JP4404452B2 - 改竄防止用感圧複写シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バックカーボンを用いた感圧複写シートにおいて、改竄による不正行為を簡単に見抜けるようにした、バックカーボンを用いた改竄防止用感圧複写シートに関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、複写帳票類としてはノーカーボン用紙の用いられたものが主流であるが、PCB薬剤の毒性問題の後遺症から依然としてバックカーボン用紙を用いたものが要求されており、又その需要も多い。このように現在においても多く利用されているバックカーボン形式の感圧複写シートは、例えば図5(a)のように対向面側要所にバックカーボンインキ層Pが設けられた転写シートQと、これに対応する受容シートRとが一方の端部で綴合Sされた構成のものが代表的である。
【0003】
しかしながら、上述した従来のバックカーボン形式の感圧複写シートでは、管理される転写シートQと顧客などに控えとして渡す受容シートRを別々にして、その転写シートQと受容シートRとのそれぞれに単独に内容を記入するという改竄が行われても、回収管理する転写シートから検証する方法が無いという問題がある。
即ち、申請者(作為者)が感圧複写シートの転写シートQと受容シートRを別々にして、図5(b)のように転写シートQと申請者が不正に用意した別の受容シートR1を合わせてその転写シートQに記載事項Aを記入して、その記載事項Aを有する転写シートQを管理部門などに提出し、さらに、図5(c)のように申請者が不正に用意したバックカーボンインキ層Pを有する別の転写シートQ1を利用して正規の受容シートRに対して異なる記載事項Bを複写記入して、これを受諾者に提出する。
このようにした場合、受諾者が持っている受容シートRの記載事項Bと管理部門などが管理する転写シートQに記載された記載事項Aとに相違があるため不正問題が発生する。これらは、申請者の改竄行為が巧妙であると転写シートの記載事項の真偽の判別がつかなくなってしまう。
【0004】
本発明者にあっては、このような改竄を簡単に見抜くことで不正を未然に防止できるようにするために、先にバックカーボンを用いた改竄防止用感圧複写シートに関して、転写シートの受容シート側対向面に顕色剤とバックカーボン層を順に積層するとともに、受容シートの転写シート側対向面に前記バックカーボンインキとは異色に発色する発色剤を含有した発色剤マイクロカプセル層を設けた感圧複写シートを提案している。この感圧複写シートにあっては、正規使用時のみにバックカーボンインキの転移による受容シート表面側への複写と、発色剤の転移による転写シート裏面側への複写とが同時に行われるようにしたものである。
そして、本発明においては、このような転写シート裏面側への複写がより鮮明なものとなるようにすることを課題し、その複写像の確認がより簡単に行なえるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、転写シートと受容シートとを重ね合わせた感圧複写シートであって、前記転写シートの対向面の要所に顕色剤層を設けるとともに、この顕色剤層の受容シート側に、バックカーボンインキと該バックカーボンインキとは異色に発色する第一発色剤を含有した発色剤マイクロカプセルとが混合してなる混合層を設け、受容シートの対向面における前記混合層に少なくとも対向する所定領域に、前記バックカーボンインキとは異色に発色する第二発色剤を含有した発色剤マイクロカプセル層を設け、前記第一発色剤が発色したときの色彩と前記第二発色剤が発色したときの色彩とが異なり、前記両発色剤の混合発色が前記バックカーボンインキとは異色に設けられていることを特徴とする改竄防止用感圧複写シートを提供して、上記課題を解消するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明を図1から図4に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
先ず、図1において、図中1は改竄防止用感圧複写シートで、該感圧複写シート1は、転写シート2と受容シート3とが重ね合わされて一方の端部で綴合4されたものである。前記転写シート2の表面には図示されていない記入欄が設けられている。そして、この転写シート2の受容シート3に対する対向面においては、前記記入欄に対応する領域に転写シート2側から順に顕色剤層5と混合層6が積層されていて、前記混合層6にあっては、第一発色剤を含有する発色剤マイクロカプセルとバックカーボンインキとが混合されたものである。そして、マイクロカプセルに含有される第一発色剤は、前記バックカーボンインキとは異色に発色する作用を有する。一方、受容シート3の上記転写シート2に対する対向面においては、上記混合層6に少なくとも対向する所定領域に、転写シート2側から順に発色剤マイクロカプセル層7と硬質層8とが積層されている。この受容シート3における前記発色剤マイクロカプセル層7にあっても、混合層6のバックカーボンインキとは異色に発色する第二発色剤を含有した発色剤マイクロカプセルからなる透明の層である。なお、両発色剤の発色は互いに異なる色彩であって、その点は後述する。
硬質層8にあってはアンダーコート剤を塗布したアンダーコート層として形成されており、第二発色剤マイクロカプセル層7が硬質層8の上に位置するように設けられているものである。
【0007】
前記顕色剤層5を形成する顕色剤としては、例えば活性白土、酸性白土、ゼオライト、ベントナイト等の粘土類、フェノール樹脂類、芳香族カルボン酸の多価金属塩類及びこれらの混合物が使用でき、特に印字の良好な保存性から2,2−ビスフェノールスルホン化合物の亜鉛塩等が好ましい。
【0008】
上記マイクロカプセルに含有する発色剤は、電子供与性発色剤を使用することができ、例えばベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニオロベンゾイルメチレンブルー等のチアジン系染料、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド等のトリアニールメタン系染料、4,4−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリルベンジルエーテル等のジフェニタルメタン系染料、3−フェニル−スピロージナフトピラン等のスピロ系染料、3−ピペリジノ−メチル−7−フェニルアミノフルオラン等のフルオラン系染料等から任意に選択できるが、バックカーボンインキと発色色調は異なることが前提となる。
【0009】
このような発色剤を含有するマイクロカプセルは、公知のコアセルベーション法、界面重合法、インサイチュ重合法等により製造することができ、そのカプセル分散液を界面活性剤と共に、非水系溶媒に混合分散させ、油溶性バインダーを添加して調製する。
このマイクロカプセルは、スポット的に塗布でき、加熱せずとも速やかに乾燥できる紫外線硬化型のインキ化としたものが好適である。即ち、非水系のカプセル分散液に、非水系溶媒、バインダー、界面活性剤、カプセル保護剤、紫外線吸収剤、光重合開始剤、ワックス、増粘剤、増感剤、ゲル化剤等の主剤、補助剤を混合して成る紫外線硬化型のマイクロカプセル塗料としたものである。勿論、混合層6にあっては、バックカーボンインキと混合した状態で印刷手法などを用いて顕色剤層5に対して積層形成されるものである。
【0010】
上記硬質層8を形成するためのアンダーコート剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、各種メジウムインキが良く、製造面や性能面から、特に好ましくは、UV硬化型メジウムインキまたは油性メジウムインキを塗布して形成するのが良い。
【0011】
このように構成された感圧複写シート1は、使用時に転写シート2の記入欄にボールペン等で記入すると、図2のように混合層6の対応部分6aが受容シート3の発色剤マイクロカプセル層7の上に転移して複写される。この時、対応部分6aが転移しても顕色剤層5には、図3に示されているように第一発色剤(マイクロカプセル化されたもの)とバックカーボンインキとの混合物が残存層6bとして残っている。
そして、記入による加圧によって、混合層6と発色剤マイクロカプセル層7のそれぞれのマイクロカプセルが破壊されて、両層から発色剤が出るようになる。
受容シート3側からの第二発色剤は混合層6の抜け落ち箇所6c(残存層6b)を通過して顕色剤層5に転移し、また、第一発色剤は直接顕色剤層5に転移し、その両方からの発色剤が顕色剤層5において発色する。この発色した発色部9の色彩は、後述するようにバックカーボンインキの色とは異なるため容易に視認することができる。
また、上記発色剤マイクロカプセル層7の下層が硬質層8となって硬質であるため、筆記された際に発色剤マイクロカプセル層7が硬質層8に押し付けられ、その加圧部分のマイクロカプセルが確実に破壊されるようになる。よって、発色剤マイクロカプセル層7の第二発色剤が顕色剤層5に達し易くなり、この点からも発色部9を鮮やかに発色させることができるようになる。
【0012】
上述したように第一発色剤と第二発色剤のそれぞれは、顕色剤層の顕色剤と反応することでバックカーボンインキとは異色に発色するものである。そして、第一、第二の発色剤それぞれは、単独では異なる色彩に発色するものを選択するとともに、上述した発色部9での混合発色がバックカーボンインキとは異色となるようにその発色剤の組み合わせが選択されている。
【0013】
混合層6は第一発色剤の発色剤マイクロカプセルとバックカーボンインキとが混合してなるものであるが、バックカーボンインキに対する第一発色剤の混合割合があまり小さいと、上記残存層6bが抜け落ち個所6cに位置していても鮮やかな発色が生じない可能性がある。また、バックカーボンインキに対する第一発色剤の混合割合が大きすぎると、発色剤マイクロカプセルとバックカーボンインキとを混合した混合インキによる印刷的性が低下する可能性がある。
そのため、第一発色剤の混合割合はバックカーボンインキ100質量部に対して5〜60質量部、好ましくは10〜50質量部、より好ましくは15〜40質量部が選択される。
【0014】
図4は、本感圧複写シート1に対して改竄を試みようとした状態を示すもので、正規に記載した事項に対して改変となる記載を行なう場合、そして、虚偽の事項を記載する場合も転写シート2のみに記入を行なうものとなる。
即ち、転写シート2に対して不正な記載事項を記入すると、この記入により混合層6の対応部分6aが抜け落ちることになる。この不正な記載に際して何らかの当て紙の上に転写シートを置いて記載することになると想定されるが、転写シート2一枚に記載を行なっても、下敷となった面に対応部分が転移する。そして、この改竄行為をした場合、受容シートが無いため第二発色剤が転移しない。
【0015】
なお、転写シート2単独に情報を記載した場合、その転写シート2に設けられている混合層6に含まれている発色剤マイクロカプセルが破壊され、第一発色剤が顕色剤層5に達して発色するが、第一発色剤の発色と第二発色剤の発色とが混色して特定の色彩で発色する上記構成の感圧複写シートで対処しているので、上述した転写シート2に不正状態で情報記載した場合には、第一発色剤のみが顕色剤層5で発色するため、予め設定されている混色での発色とはならず、よって、改竄行為がなされたかどうかが確認し易くなる。
このように、正しい使用の場合は転写シート裏面側に、特定の色彩の状態となっている複写像が存在するのに対して、改竄した不正使用の場合は転写シート裏面側に複写像が特定の色彩で発色しないため、転写シートの裏面側を見れば改竄の有無を簡単に判別することができる。
【0016】
上記実施の形態では2枚複写の例で説明したが、本発明はこれに限定されずに3枚以上の感圧複写シートで実施することも可能である。ちなみに、3枚複写の場合は転写シートと受容シートの間に転写・受容シートを挟み込み、この転写・受容シートの転写シート側の対向面に転写・受容シート側から順に硬質層と発色剤マイクロカプセル層を積層し、受容シート側の対向面には転写・受容シート側から順に顕色剤層と混合層を設ける構成にすればよい。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の構成によって、適正に情報記載した時には、第一発色剤と第二発色剤との両方が顕色剤層に転移するようになり、その両方の発色剤が発色することにより確実にして、かつ、発色強度が高い鮮やかな発色部を生じさせるようになる。よって、転写シート裏面側への複写の有無の確認作業が簡単になるなど、実用性に優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る改竄防止用感圧複写シートの一例を示す説明図である。
【図2】一例に対する正しい使用状態を示す説明図である。
【図3】一例における混合層の残存層を示す説明図である。
【図4】一例に対する不正使用の状態を示す説明図である。
【図5】従来例を示すもので、(a)は従来のバックカーボン感圧複写シートを示す説明図、(b)は転写シートに対する不正使用の状態を示す説明図、(c)は同じく受容シートに対する不正使用の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1…改竄防止用感圧複写シート
2…転写シート
3…受容シート
5…顕色剤層
6…混合層
6a…対応部分
6b…残存層
6c…抜け落ち箇所
7…発色剤マイクロカプセル層
8…硬質層
9…発色部
Claims (1)
- 転写シートと受容シートとを重ね合わせた感圧複写シートであって、
前記転写シートの対向面の要所に顕色剤層を設けるとともに、この顕色剤層の受容シート側に、バックカーボンインキと該バックカーボンインキとは異色に発色する第一発色剤を含有した発色剤マイクロカプセルとが混合してなる混合層を設け、
受容シートの対向面における前記混合層に少なくとも対向する所定領域に、前記バックカーボンインキとは異色に発色する第二発色剤を含有した発色剤マイクロカプセル層を設け、
前記第一発色剤が発色したときの色彩と前記第二発色剤が発色したときの色彩とが異なり、前記両発色剤の混合発色が前記バックカーボンインキとは異色に設けられていることを特徴とする改竄防止用感圧複写シート。
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