JP4402201B2 - ステップアッテネータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スルー側とアッテネータ側とを電子スイッチで切り換えるステップアッテネータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術の例について、図11〜図15を参照して説明する。
最初に、従来のステップアッテネータの構成について説明する。
図15に示すように、従来のステップアッテネータは、スイッチSW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6と、アッテネータ20、30、40とで構成している。
【0003】
アッテネータ20、30、40の回路は、図13に示すように、抵抗R1、R2、R3で構成するT型アッテネータ、または図14に示すように、抵抗R4、R5、R6で構成するπ型アッテネータ等がある。
例えば、π型アッテネータは、図11に示すようにプリント配線基板の上にパターン構成している。
【0004】
抵抗R1、R2、R3、R4、R5、R6の抵抗値は、アッテネータとしての特性インピーダンスと減衰量から決まる。
例えば、アッテネータ20、30、40を、特性インピーダンス50Ωで、減衰量20dBでそれぞれ構成する。
また、アッテネータ20、30、40をπ型アッテネータとした場合、図11に示すパターン幅eは、特性インピーダンス50Ωとなるようにする。
【0005】
スイッチSW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6は、例えば、電磁石で接点を切り換える機械式のスイッチである。
【0006】
次に、0から20dBステップで60dBまで減衰させるステップアッテネータの動作について説明する。
この場合、アッテネータ20、30、40は、それぞれ20dBの減衰量とする。
【0007】
減衰量を0dBとするときは、スイッチSW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6をすべてa側に切り換えスルーとする。
【0008】
減衰量を20dBとするときは、スイッチSW1、SW2をb側に、スイッチSW3、SW4、SW5、SW6をa側に切り換える。
【0009】
減衰量を40dBとするときは、スイッチSW1、SW2、SW3、SW4をb側に、スイッチSW5、SW6をa側に切り換える。
【0010】
減衰量を60dBとするときは、スイッチSW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6をすべてb側に切り換える。
【0011】
スイッチとして機械式スイッチを使用した場合、スイッチ自体による減衰量は、例えば図12に示すように、8GHzにおいて2dB(以下、8GHzにおける減衰量がxdBの場合をxdB/8GHzと表記する)と少ない。
しかし、機械式スイッチを使用した場合、切換速度が遅く、寿命も短い。
【0012】
一方、電子式スイッチを使用してステップアッテネータを構成した場合、切換速度が早く、寿命も長くなるが、電子式スイッチ自体による減衰量が大きい。
例えば図10に示すように、電子式スイッチを6個使用した場合、8GHzにおいて9dB/8GHzの減衰量がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記説明のように、機械式スイッチを使用した場合、スイッチ自体による減衰量は少ないが、切換速度が遅く、寿命も短い。
また、電子式スイッチを使用した場合、切換速度が早く、寿命も長くなるが、スイッチ自体の減衰量が大きいという実用上の問題があった。
そこで、本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、その目的は、電子スイッチによる減衰量を補正した、切換速度が早く、寿命も長い、広帯域で使用できるステップアッテネータを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
即ち、上記目的を達成するためになされた本発明の第1は、
スルー側とアッテネータ側とを電子スイッチで切り換えるステップアッテネータにおいて、
ステップ減衰量を与える側に、周波数が高くなるほど減衰量が少なくなる逆特性の補正アッテネータを設けて、
スルー側の経路は2つの電子スイッチで切り換えていることを特徴としたステップアッテネータを要旨としている。
【0015】
また、上記目的を達成するためになされた本発明の第2は、
スルー側とアッテネータ側とを電子スイッチで切り換えるステップアッテネータにおいて、
ステップ減衰量を与える側に、周波数が高くなるほど減衰量が少なくなる逆特性の補正アッテネータを設けて、前記電子スイッチの減衰量を補正していることを特徴としたステップアッテネータを要旨としている。
【0016】
そして、逆特性の補正アッテネータは、信号をGND側にバイパスする抵抗と直列にインダクタンスを設けた本発明第1又は2に記載のステップアッテネータを要旨としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態は、下記の実施例において説明する。
【0018】
【実施例】
(実施例1)
本発明の実施例について、図1〜図14を参照して説明する。
本発明の実施例1の電子式スイッチによるステップアッテネータは、図1に示すように、スイッチSW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6と、アッテネータ20、30と、補正アッテネータ10とで構成している。
【0019】
スイッチSW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6は、例えば、SPDT(single-pole double-throw)の電子スイッチである。
【0020】
アッテネータ20、30の回路は、図13または図14に示すように、従来と同じ構成で実現しているので説明を省略する。
【0021】
補正アッテネータ10は、図13または図14に示すように、直流的には従来と同じ回路構成と抵抗値で実現している。
つまり、抵抗値は、アッテネータとしての特性インピーダンスと減衰量から決まる。
但し、補正アッテネータ10の減衰量の周波数特性は、図8に示すように、周波数が高いほど減衰量が少なくなる逆特性としている。
【0022】
次に、図11に示す通常のπ型アッテネータのパターンを、逆特性の補正アッテネータ10のパターンとするための方法について説明する。
高周波において、π型アッテネータの減衰量を少なくするために、信号をGND側にバイパスする抵抗R4と、R6と直列にインダクタンス成分を付加する。
【0023】
インダクタンス成分の付加は、シミュレーションによりパターン形状を最適化して求めるが、その方法について、箇条書きで以下説明する。
(1)例えば、図2に示すように、抵抗R4と、抵抗R6側の直列パターンにおいて、パターンの長さhでパターン幅をgとし、所定の特性インピーダンスの幅fよりも狭くしてインダクタンスとしている。
【0024】
(2)パターンの長さhでパターン幅gとしたときの、減衰量の周波数特性を求める。
【0025】
(3)一方、抵抗R4と、抵抗R6側のパターンにインダクタンスを付加したことにより、特性インピーダンスが変化するため、アッテネータとしてのリターンロスが増加する。
【0026】
(4)そのため、図3に示すように、抵抗R5の両端のパターンを狭くしてインダクタンスを直列に付加し、リターンロスを減少させている。
【0027】
(5)例えば、パターンiの長さでパターン幅mと、パターンkの長さでパターン幅jとしてインダクタンスを抵抗R5の両端に設ける。
その場合、パターン幅gのパターンの長さがhからnに長くなっている。
【0028】
(6)従って、抵抗R4と、抵抗R6側のパターンのインダクタンスも特性インピーダンスも変化するため、減衰量の周波数特性を再度求めてインダクタンスを修正する。
【0029】
(7)上記(3)から(6)までを繰り返して、使用周波数帯域において所望の逆特性の減衰量とリターンロス特性となるようにパターンの最適化をはかる。
以上の方法で、補正アッテネータ10のパターンを形成する。
【0030】
次に、図1の回路を参照して、0〜60dBの減衰量を20dBステップで可変するアッテネータの具体例で特性と動作について説明する。
ここで、アッテネータ20、30は、20dBの減衰量とする。
補正アッテネータ10は、図8に示すように、減衰量20dBで、8GHzにおける減衰量が2dB少なくなる逆特性の周波数特性とする。
また、スイッチSW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6の8GHzにおける各減衰量は、1.5dB/8GHzとする。
従って、図10に示すように、8GHzにおけるスイッチ6個分と2個分の差の減衰量は、6dB/8GHとなる。
【0031】
(1)減衰量を0dBとする場合は、スイッチSW1、SW6をa側とし、スイッチSW2〜SW5は動作させない。
このとき、信号経路は、スイッチSW1とSW6との2個分となる。
従って、減衰量0dBの周波数特性は、図9示すように、8GHzにおいて基準値0dBに対して3dB/8GHz減衰量誤差となる。
【0032】
(2)減衰量を20dBとする場合は、スイッチSW1、SW6をb側とし、スイッチSW2〜SW5はa側とする。
この場合、スイッチ6個分と2個分の差の減衰量が、補正アッテネータ10の逆特性の減衰量により減少する。
従って、減衰量20dBの周波数特性は、図9示すように、8GHzにおいて基準値20dBに対して7dB/8GHzの減衰量誤差となる。
【0033】
(3)減衰量を40dBとする場合は、スイッチSW1、SW2、SW3、SW6をb側とし、スイッチSW4、SW5はa側とする。
減衰量20dBの場合と同様に、スイッチ6個分と2個分の差の減衰量が、補正アッテネータ10の逆特性の減衰量により減少する。
従って、減衰量40dBの周波数特性は、図9示すように、8GHzにおいて基準値40dBに対して7dB/8GHzの減衰量誤差となる。
【0034】
(4)減衰量60dBとする場合は、スイッチSW1〜SW6をすべてb側とする。
減衰量20dBの場合と同様に、スイッチ6個分と2個分の差の減衰量が、補正アッテネータ10の逆特性の減衰量により減少する。
従って、減衰量60dBの周波数特性は、図9示すように、8GHzにおいて基準値60dBに対して7dB/8GHzの減衰量誤差となる。
【0035】
ところで、本実施例1では、20dBステップのステップアッテネータとして説明したが、アッテネータ20、30の減衰量を変えることにより所望のステップ減衰量が得られる。
また、減衰量のステップ数は、2つの電子スイッチと1つのアッテネータで構成するスルーとアッテネータとの切換ブロックを1つとしたり、又は増加することによりステップ数を少なくしたり多くしたりできる。
【0036】
(実施例2)
本発明の実施例2の電子スイッチのステップアッテネータは、図4に示すように、スイッチSW7、SW8、SW9、SW10と、アッテネータ20、30と、補正アッテネータ10とで構成している。
【0037】
スイッチSW7、SW8は、例えば、SPDT(single-pole double-throw)の電子スイッチである。
スイッチSW9、SW10は、例えば、SP3T(single-pole 3-throw)の電子スイッチである。
【0038】
補正アッテネータ10と、アッテネータ20、30は、実施例1と同じ構成であるから説明を省略する。
【0039】
次に、図4の回路を参照して、0〜60dBの減衰量を20dBステップで可変するアッテネータの具体例で動作を説明する。
ここで、アッテネータ20、30は、20dBのアッテネータとする。
また、実施例1と同様に、本実施例2の各スイッチの8GHにおける減衰量を、1.5dB/8GHz、補正アッテネータ10の8GHにおける補正減衰量を2dB/8GHzとする。
従って、スイッチ4個分と2個分との差の減衰量は、3dB/8GHとなる。
【0040】
(1)減衰量を0dBとする場合は、スイッチSW1、SW6をa側とし、スイッチSW2〜SW5は動作させない。
このとき、信号経路は、スイッチSW1と、SW6との2個分となる。
従って、減衰量0dBのときは、8GHzにおいて基準値0dBに対して3dB/8GHz減衰量誤差となる。
【0041】
(2)減衰量を20dBとする場合は、スイッチSW9、SW10をb側とし、スイッチSW7、SW8はa側とする。
この場合、スイッチ4個分と2個分の減衰量誤差が、補正アッテネータ10の逆特性の減衰量により減少する。
従って、減衰量20dBのときは、8GHzにおいて基準値20dBに対して4dB/8GHzの減衰量誤差となる。
【0042】
(3)減衰量を40dBとする場合は、スイッチSW9をc側とし、スイッチSW7はb側とし、スイッチSW8はa側とし、スイッチSW10はb側とする。
減衰量20dBの場合と同様に、減衰量40dBのときは、8GHzにおいて基準値40dBに対して4dB/8GHzの減衰量誤差となる。
【0043】
(4)減衰量60dBとする場合は、スイッチSW9をc側とし、スイッチSW7はb側とし、スイッチSW8はb側とし、スイッチSW10はc側とする。
減衰量20dBの場合と同様に、減衰量60dBのときは、8GHzにおいて基準値60dBに対して4dB/8GHzの減衰量誤差となる。
【0044】
(応用例)
図5に示すように、スルーとアッテネータとの切換ブロックは、2つの電子スイッチと1つのアッテネータで構成する例で説明したが、図6又は図7に示すように構成してもよい。
例えば、図6の抵抗R1、R2、R3のT型アッテネータとスイッチS1、S2で構成して、アッテネータとするときは、S1をOFFとし、S2をONとし、スルーとするときは、S1をONとし、S2をOFFとする。
図7のπ型アッテネータの動作も同様であるので、説明を省略する。
【0045】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
即ち、本発明のステップアッテネータは、電子スイッチを使用しているので、切換速度が早く、寿命も長くできる効果がある。
また、本発明のステップアッテネータは、電子スイッチによる誤差減衰量を補正アッテネータで補正しているので減衰量の誤差が少ない広帯域で使用できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1のステップアッテネータの回路図である。
【図2】補正アッテネータの平面図である。
【図3】補正アッテネータの平面図である。
【図4】本発明の実施例2のステップアッテネータの回路図である。
【図5】スルーとアッテネータとの切換ブロック図である。
【図6】スルーとT型アッテネータとの切換回路図である。
【図7】スルーとπ型アッテネータとの切換回路図である。
【図8】補正アッテネータの周波数特性図である。
【図9】本発明のアッテネータと従来のアッテネータとの周波数特性図である。
【図10】電子式スイッチの周波数特性図である。
【図11】アッテネータの平面図である。
【図12】機械式スイッチを使用したステップアッテネータの周波数特性図である。
【図13】T型アッテネータの回路図である。
【図14】π型アッテネータの回路図である。
【図15】従来のステップアッテネータの回路図である。
【符号の説明】
10 補正アッテネータ
20、30、40 アッテネータ
Claims (1)
- スルー側とアッテネータ側とを電子スイッチで切り換えるステップアッテネータにおいて、
ステップ減衰量を与える側に、周波数が高くなるほど減衰量が少なくなる逆特性の補正アッテネータを備え、
前記逆特性の補正アッテネータは、
信号を受ける入力端と、
前記入力端において受けた前記信号が減衰したものが出力される出力端と、
前記入力端に入力側インダクタンスを介して接続され、前記出力端に出力側インダクタンスを介して接続された抵抗と、
前記入力側インダクタンスに接続された入力側バイパス用インダクタンスと、
前記出力側インダクタンスに接続された出力側バイパス用インダクタンスと、
前記入力側バイパス用インダクタンスに直列に接続され、前記信号をGND側にバイパスする入力側バイパス用抵抗と、
前記出力側バイパス用インダクタンスに直列に接続され、前記信号をGND側にバイパスする出力側バイパス用抵抗と、
を有する、
ステップアッテネータ。
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