JP4401550B2 - パラジウム又はパラジウム化合物の溶解処理方法 - Google Patents

パラジウム又はパラジウム化合物の溶解処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パラジウム又はパラジウム化合物を溶解する方法に関し、特に、微細なパラジウム又はパラジウム化合物粒子を迅速、容易に溶解除去する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板などの回路基板の製造において、樹脂などの絶縁層上に銅めっきを施す際には、予め前処理としてパラジウムを含む溶液で素材を処理し、表面にパラジウムを含む微細な粒子を付着させて無電解銅めっきの析出開始の核とする。また、同様にして素材表面に導電性を付与し、直接電気銅めっきを施すこともできる。次の工程で、析出させた銅を部分的にエッチングして回路を形成するときに、銅が溶解し除去された部分の絶縁層表面にはパラジウム或いはパラジウム化合物がスマット状で残存する。この状態で回路上に無電解めっきを施すと、絶縁層上にも金属が析出して、回路間の絶縁性不良となりやすい。
【0003】
エッチング液として、硫酸/過酸化水素、過硫酸塩、アルカリ性アンモニアなどの水溶液を使用したときには、特にパラジウムスマットが残り易い。
これに対して、塩化第二鉄、塩化第二銅溶液などを使用すれば、銅のエッチング・溶解と同時にパラジウムも殆んど溶解・除去される。しかしながら、近年製造されている微細な配線板では、銅回路の幅及び厚みともに狭く且つ薄いために、塩化第二鉄や塩化第二銅溶液では銅のエッチング速度が速すぎ、パラジウムを除去して銅を溶解しないという選択的エッチング条件を調節し維持することが困難となるので、これらを採用できないことが多い。
【0004】
このため、パラジウムが樹脂絶縁層上に残った場合には、その除去に、さらに塩酸、硝酸、弗化水素酸、ホウ弗化水素酸、酸性弗素酸塩、シアン化合物などが使用されている。しかし、これらは著しく銅を溶解してしまうという性質があると同時に、いずれもパラジウム又はパラジウム化合物の除去効果が不充分である。更に、シアン化合物の使用は毒性の点で環境保全上好ましくないという問題があった。
【0005】
近年、プリント配線板などの回路は益々微細化されており、所定の導電性と絶縁性を確保し、信頼性の高い製品を製造するためには、回路の銅皮膜を実質的に損傷することなく、回路間の樹脂表面に付着・残存しているパラジウム又はパラジウム化合物を溶解し除去する技術が強く求められており、性能の優れたパラジウム除去剤の供給が求められていた。しかしながら、パラジウムを迅速且つ容易に溶解するが銅を溶解しないという二律背反の条件を満たすパラジウム除去剤がなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の発明者は、パラジウム又はパラジウム化合物を迅速・確実・容易に溶解し除去する方法を開発し、提供することを本発明の研究課題とした。
さらに詳しくは、本発明の発明者は、プリント配線板などの製造において、樹脂上に付着したパラジウム又はパラジウム化合物を溶解し除去する工程で、回路を形成する銅皮膜を実質的に溶解することなく、パラジウム又はパラジウム化合物を迅速・確実・容易に溶解し除去できる方法を提供し、その後に施される無電解めっきが樹脂上に析出するのを抑止し、もってプリント回路基板の製造において信頼性の高い製品を製造する方法を開発し、提供することを本発明の研究課題とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者は、上記の問題を解決するために、鋭意種々の化合物を検討した結果、メルカプト化合物、チオエーテル化合物、ジスルフィド化合物又は環状チオン化合物から選ばれる含硫黄有機化合物又はそれらの塩の1種又は2種以上を含有する溶液に処理対象物を浸漬又は処理対象物にスプレー噴霧することによって、下地の銅を実質的に溶解することなく、パラジウム又はパラジウム化合物を迅速・確実・容易に溶解し除去することができることを見出し、本発明の研究課題を解決した。もって、プリント回路基板の製造において、その後に施される無電解めっきが樹脂上に析出することが抑止され、信頼性の高い製品を製造することが可能となった。
【0008】
しかして、本発明の主題の一つは、メルカプト化合物、チオエーテル化合物、ジスルフィド化合物又は環状チオン化合物から選ばれる含硫黄有機化合物又はそれらの塩の1種又は2種以上を含有する水性処理液を使用して、パラジウム又はパラジウム化合物を溶解することを含むパラジウム又はパラジウム化合物の溶解処理方法を提供することである。
【0009】
特に、本発明は、上記メルカプト化合物、チオエーテル化合物又はジスルフィド化合物がさらにスルホン酸基、カルボキシル基、水酸基又はアミノ基(一級、二級若しくは三級)から選ばれる置換基の少なくとも一つを含有する含硫黄有機化合物又はそれらの塩である水性処理液を使用して、パラジウム又はパラジウム化合物を溶解することを含むパラジウム又はパラジウム化合物の溶解処理方法を提供する。
【0010】
更に詳しくは、本発明は、該メルカプト化合物がメルカプトエタンスルホン酸、メルカプトプロパンスルホン酸、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトメチルプロピオン酸、メルカプトこはく酸、メルカプトプロピオニルグリシン、メルカプト安息香酸、メルカプトニコチン酸、メルカプトフェニルプロピオン酸、メルカプトテトラゾ−ル酢酸、メルカプトエチルアミン、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノールのいずれか又はそれらの塩である含硫黄有機化合物である水性処理液を使用して、パラジウム又はパラジウム化合物を溶解することを含むパラジウム又はパラジウム化合物の溶解処理方法を提供する。
【0011】
更に、本発明は、該化合物の濃度が1〜700g/である水性処理液を使用して、パラジウム又はパラジウム化合物を溶解することを含むパラジウム又はパラジウム化合物の溶解処理方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、さらに銅の溶解抑制剤を含有させた水性処理液を使用して、パラジウム又はパラジウム化合物を溶解することを含むパラジウム又はパラジウム化合物の溶解処理方法を提供する。
【0013】
本発明の他の主題は、電気・電子回路又は電気・電子回路部品の素材の絶縁層を前もってパラジウム含有溶液で処理し、次いで銅めっきを施し、析出した銅を部分的にエッチングして回路を形成させ、次いで該回路上に無電解めっきを施す工程を包含する電気・電子回路又は電気・電子回路部品の作成方法において、前処理工程でスマット状で残存するパラジウム又はパラジウム化合物を溶解させるために前述した水性処理液を使用することを特徴とする、電気・電子回路又は電気・電子回路部品の作成方法、並びにこの方法で作成した電気・電子回路又は電気・電子回路部品である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のパラジウム又はパラジウム化合物を溶解するための水性処理液は、例えばパラジウム又はパラジウム化合物を溶解させてパラジウムを含む触媒等の水溶液を調製したり、パラジウムを含む廃棄物等からパラジウムを水溶液の形で回収すること等にも用いられるが、特にプリント基板の製造工程において広く利用できる。
【0015】
すなわち、例えば、プリント配線板などの回路板の製造においては、樹脂などの絶縁層上に銅めっきを施す際に、予め前処理として素材をパラジウムを含む溶液で処理し、表面にパラジウムを付着させて無電解銅めっきの析出開始の核とする。次の工程で、前述の工程で析出させた銅を部分的にエッチングして回路を形成する。このときに、銅が溶解し除去された部分の絶縁層表面には、先に処理を施したパラジウム或いはパラジウム化合物がスマット状に残存し、回路上に無電解めっきを施そうとすると、周辺の絶縁層上にも金属が析出してしまい、回路間の絶縁性不良が発生しやすい。この無電解めっきに先立ち、本発明のパラジウム又はパラジウム化合物を溶解するための水性処理液に浸漬又はスプレー噴霧して処理することによって無電解めっきは回路上のみに析出し、信頼性の高い回路を製造することが可能となる。
【0016】
本発明のパラジウム又はパラジウム化合物を溶解するための水性処理液は、メルカプト化合物、チオエーテル化合物、ジスルフィド化合物又は環状チオン化合物又はそれらの塩から選ばれる含硫黄有機化合物を適宜単独又は混合して含有させてなるものである。
【0017】
上記メルカプト化合物、チオエーテル化合物又はジスルフィド化合物には、さらにスルホン酸基、カルボキシル基、水酸基又はアミノ基(一級、二級若しくは三級)(芳香族又は脂肪族の環状アミノ基の場合も含む)から選ばれる置換基の少なくとも一つを含有させることがさらに好ましい。即ち、メルカプトスルホン酸類、メルカプトカルボン酸類、メルカプトアミン類、メルカプトアルコール類、チオエーテルスルホン酸類、チオエーテルカルボン酸類、チオエーテルアミン類、チオエーテルアルコール類、ジスルフィドスルホン酸類、ジスルフィドカルボン酸類、アミンジスルフィド類、ジスルフィドアルコール類等(又はそれらの塩)が好ましく用いられる。
【0018】
上記置換基の導入は、これらの基の導入によって化合物の溶解性を増大させ、パラジウムを錯体として該水性処理液の中にパラジウムを一層速やかに溶解させることができる。
【0019】
上記した好ましく用いられる含硫黄有機化合物をさらに具体的に例示すれば、メルカプトエタンスルホン酸、メルカプトプロパンスルホン酸、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトメチルプロピオン酸、メルカプトこはく酸、メルカプトプロピオニルグリシン、メルカプト安息香酸、メルカプトニコチン酸、メルカプトフェニルプロピオン酸、メルカプトテトラゾール酢酸、メルカプトエチルアミン、メルカプトプロピルアミン、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、2,2’−ジチオジアニリン、2,2’−ジピリジルジスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、2−エチルチオアニリン、2,2’−ジピリジルスルフィド、2−イミダゾリジンチオン、2−チオバルビツル酸、2−ピリジル−2−アミノフェニルジスルフィド等が挙げられる。
【0020】
上記の化合物は、塩の形で添加し含有させてもよく、例えば、ナトリウム又はカリウムなどのアルカリ金属、アンモニウム等の塩、又は塩酸、硫酸、燐酸、スルホン酸等の塩が特に便利に用いられる。
【0021】
の含硫黄有機化合物はいずれも水溶液として使用でき、その濃度、液のpH、温度、攪拌、処理時間などの処理条件は、絶縁層樹脂の種類及び表面状態、或いはパラジウムの付着状態により変化させ、調整することができる。
【0022】
化合物の濃度は、概ね1g/L以上で効果が認められ、一般に1〜700g/Lで用いられる。低濃度では処理液の温度を高く、処理時間を長くする必要があり、実用上は20g/L以上が好ましい。また、上限は各化合物の溶解度までの濃度で使用できるが、経済性の点から多くの化合物では300g/Lを超えないことが好ましい。
【0023】
本発明のパラジウム又はパラジウム化合物を溶解するための水性処理液には、さらに銅の溶解抑制剤を含有させることができる。
【0024】
上記の銅の溶解抑制剤としては、公知の化合物が適宜単独又は併用して使用できる。一例として、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、ラウリルメルカプタン、チオナフトール、チオアンスラノール等の化合物を挙げることができる。
【0025】
本発明のパラジウム又はパラジウム化合物を溶解するための水性処理液には、さらに、pH緩衝剤、pH調整剤、界面活性剤、錯化剤等を含有させて用いることができる。該pH緩衝剤、pH調整剤、界面活性剤、錯化剤等には公知の化合物が適宜単独又は併用して利用できる。
【0026】
処理液のpHは2〜12の広い範囲でスマット除去の効果が見られるが、低いpHでは銅回路が溶解して導通性を損ない、或いはその表面に硫化物の薄い皮膜が生成したり、変色して不活性化する可能性があるため、無電解めっきに先立ち銅の溶解を犠牲にしても十分に活性化しないと、銅と無電解めっきとの密着性が低下することがある。この現象を防止するためには処理液のpHを5以上にすることが一層好ましい。
【0027】
また、pHの上限については、パラジウムの除去効果はpHの高いほうが大きいが、比較的低温で硬化させるコーティングタイプの絶縁層樹脂が用いられている場合には、高いpHで膨潤化が起こる危険性が高く、このような場合、実用上はpH10以下が一層適切である。
【0028】
処理液の温度は15℃〜80℃の広い範囲で使用できるが、低温度ではパラジウム除去に長い時間を要するため、30℃以上が一層好ましい。また、高温度では絶縁層の樹脂が膨潤したり、銅の表面が変色し、不活性化することがあるので、60℃以下が一層好ましい。
【0029】
液の攪拌は特に限定されない。穏やかな機械的攪拌又は空気攪拌からスプレー方式による処理まで広い条件を採用できる。
【0030】
パラジウム又はパラジウム化合物の除去のための処理時間も特に限定されず、数秒から1時間で処理を行うが、生産性、自動処理装置の採用し易さなどの観点から、概ね0.5〜20分間程度の範囲内で選定するのが一層好ましい。
【0031】
本発明に従うパラジウムの溶解処理液を、特に配線板の製造に使用することと関連させて詳細に説明したが、本発明はこのような用途に限定されるものではなく、パラジウム又はパラジウム化合物により表面被覆又は触媒化処理等の表面処理を施した物品、部品及び材料からパラジウムを溶解するのに使用することが可能である。溶解したパラジウムイオンは、アルカリ剤や錯化剤などの沈殿剤を用いて沈殿させ分離することができる他に、イオン交換樹脂や電解による分離回収も可能である。
【0032】
また、パラジウム又はバラジウム化合物溶解除去後のめっき処理工程は、無電解ニッケルめっきに限定されるものではなく、銅、金、銀、錫、又はこれらの金属を含む合金めっき処理、一例として、錫−鉛、錫−亜鉛、錫−銀、錫−銅、錫−ビスマス合金めっき等においても使用することが可能である。
【0033】
【実施例】
本発明の水性処理液によるパラジウム又はパラジウム化合物の除去法及びこれに続く無電解めっき方法に関して詳細に説明する。
以下では、本発明の内容を実施例並びに比較例を挙げて更に明確にするが、本発明はこれらの数例に限定されるものではなく、前述した目的の主旨に添って処理液の組成及び処理条件を変更することができる。
【0034】
一般に、絶縁層上に銅皮膜で回路が形成されていて、樹脂上にパラジウムスマットが付着しているプリント配線板の銅回路上に無電解ニッケルめっきを施すと、樹脂面にもめっきが析出し、回路間の絶縁性が低下し、製品不良の原因となることに留意されたい。
【0035】
パラジウムの除去試験は、通常の工業的な工程に準じて、下記の工程に従って実施した。Pdスマット除去の工程のみを順次実施例1〜14及び比較例1〜3に示した溶液に変更して処理した。Pdスマット除去の工程以外は市販の基板用処理薬品を用いた。処理溶液のpH及び温度条件、処理方法(浸漬処理又はスプレー噴霧処理)は各実施例及び比較例の記載とともに示した。
【0036】
パラジウムの除去試験の処理工程及び処理条件を表1に示した。
【表1】
Figure 0004401550
【0037】
各実施例に用いたパラジウム除去処理用の溶液の組成を下記に示した。処理温度及び処理時間は、結果を表した表2に示した。
実施例1
3−メルカプトプロパンスルホン酸 100g/L
水酸化ナトリウムを添加し、pHを約5に調整し、浸漬処理とした。
【0038】
実施例2
2−メルカプトエタンスルホン酸 10g/L
3−メルカプトプロパンスルホン酸 30g/L
水酸化アンモニウムを添加して、液のpHを8に調整し、浸漬処理とした。
【0039】
実施例3
メルカプト酢酸 300g/L
水酸化ナトリウムを添加し、pHを約9に調整し、浸漬処理とした。
【0040】
実施例4
メルカプトプロピオン酸 100g/L
メルカプト酢酸 30g/L
ヨウ化カリウム 10g/L
水酸化ナトリウムを添加して、液のpHを8に調整し、浸漬処理とした。
【0041】
実施例5
メルカプト酢酸 100g/L
2,2‘−ジチオジアニリン 1g/L
水酸化ナトリウムを添加して、液のpHを8に調整し、浸漬処理とした。
【0042】
実施例6
メルカプトこはく酸 20g/L
4,4’−ジチオジアニリン 3g/L
塩化アンモニウム 30g/L
水酸化ナトリウムを添加し、pHを約10に調整し、浸漬処理とした。
【0043】
実施例7
メルカプトプロピオニルグリシン 60g/L
メルカプトこはく酸 30g/L
2−イミダゾリジンチオン 2g/L
水酸化ナトリウムを添加して、液のpHを9に調整し、浸漬処理とした。
【0044】
実施例8
2−メルカプトニコチン酸 100g/L
水酸化アンモニウムを添加し、pHを約8.5に調整し、スプレー処理とした。
【0045】
実施例9
メルカプトフェニルプロピオン酸 20g/L
メルカプトニコチン酸 50g/L
ヨウ化カリウム 10g/L
水酸化ナトリウムを添加して、液のpHを9に調整し、浸漬処理とした。
【0046】
実施例10
2−メルカプト安息香酸 100g/L
2−チオバルビツル酸 3g/
水酸化ナトリウムを添加し、pHを約9.5に調整し、浸漬処理とした。
【0047】
実施例11
2−メルカプトエチルアミン(塩酸塩) 100g/L
6,6’−ジチオジニコチン酸 5g/L
水酸化ナトリウムを添加し、pHを約9に調整し、浸漬処理とした。
【0048】
実施例12
2−メルカプトプロピルアミン 40g/L
2−メルカプトエチルアミン 40g/L
クエン酸アンモニウム 10g/L
水酸化アンモニウムを添加して、pHを8に調整し、浸漬処理とした。
【0049】
実施例13
2−メルカプトエタノール 200g/L
クエン酸アンモウム 30g/L
ヨウ化カリウム 10g/L
水酸化ナトリウムを添加し、pHを約8.5に調整し、浸漬処理とした。
【0050】
実施例14
メルカプトエチルアミン 100g/L
チオジプロピオン酸 30g/L
水酸化ナトリウムを添加し、pHを約8.5に調整し、浸漬処理とした。
【0051】
比較例として、従来の処理液を、下記の比較例1〜3の通り調製して実施例と同様の工程・操作手順により、Pdスマットの付着した基板を処理した。
比較例1
硫酸 180g/L
過酸化水素 50g/L
ブチルカルビトール 5g/L
浸漬処理とした。
【0052】
比較例2
酸性弗化アンモニウム 200g/L
塩化アンモニウム 50g/L
チオ尿素 2g/L
浸漬処理とした。
【0053】
比較例3
塩化第二銅 150g/L
塩酸 50g/L
イミダゾ−ル 5g/L
浸漬処理とした。
【0054】
スマット除去の条件及び無電解ニッケルめっき後の基板の表面状態を、実施例については以下の表2に、比較例については表3にまとめて記載した。
【0055】
表2に実施例の結果を示した。
【表2】
Figure 0004401550
【0056】
表3に比較例の結果を示した。
【表3】
Figure 0004401550
【0057】
上記の実施例の方法及び条件で処理された基板は、銅回路面にのみニッケルめっきが析出し、樹脂面への析出は見られず、良好な製品が得られた。
【0058】
これに対して、同種の基板を上記の工程中に、Pdスマット除去処理のみを削除して処理した場合、樹脂上にもほぼ全表面にニッケルめっきが析出し、満足な製品は得られなかった。
また、比較例1〜8の各液で処理した場合も、Pdスマットの除去が不充分で樹脂面にNiが析出し、或いは銅の溶解量が多く回路が損傷されて、満足な製品が得られなかった。
【0059】
また、パラジウム又はパラジウム化合物が付着した回路基板の樹脂面(表面積既知)を王水に浸漬して、表面に付着しているパラジウム又はパラジウム化合物を溶解し、その溶液のパラジウム濃度分析を行い、単位面積当りのパラジウム量(mg/dm2)を求めた。1dm2当り0.18mg/dm2のパラジウムが付着している基板の樹脂面を上記の実施例の条件で処理したところ、概ね0.03mg/dm2まで除去し減少することができた。
【0060】
更に、同時にこの実施例の条件で、電気めっきにより得られた面積既知の銅箔を処理し、処理前後の銅箔の重量差から、溶解された銅の平均厚みを計算して求めた結果、それは0.1ミクロン以下であった。
【0061】
これらの各処理液により、樹脂表面にパラジウムスマットの付着した銅回路基板を、前記の工程に従って、それぞれ別個に処理し、無電解めっきまで施した。
【0062】
更に、銅素材に無電解パラジウムめっき0.01μmを施した試料を、実施例1記載のパラジウム溶解液を用いて、50℃の液温で攪拌条件下に、2時間浸漬した結果、パラジウムめっき皮膜は完全に除去された。一方、比較例1の処理液を使用した条件では、パラジウム皮膜が全面に残存した。
【0063】
パラジウム1重量%坦持触媒5gを実施例4に記載のパラジウム溶液100mに投入、70℃まで液温を上昇させて24時間攪拌を継続した。次いで、溶液をろ過した後、溶液中のパラジウムイオン濃度を高周波プラズマ発光分光分析装置にて定量した結果、280ppmの溶解量が確認された。一方、比較例3の処理液を用いた同一条件の実験でのパラジウムの溶解量は、検出限界3ppm以下の値であった。
【0064】
【発明の効果】
以上のように、本発明のパラジウム溶解処理液を使用して、パラジウム又はパラジウム化合物が樹脂表面に付着した銅回路基板を、次工程のめっきに先立って処理することによって、銅回路皮膜を溶解・損傷したり、不活性化することなく、パラジウムスマットを除去することができる。この結果、無電解めっきを樹脂面には析出させず、銅回路面上にのみ析出させて、所定の伝導性及び絶縁性を備えた、信頼性の高い回路基板を製造することができる。
また、本発明の処理液は、これらの銅回路基板作製用の処理への使用に限定されるものではなく、パラジウム又はパラジウム化合物を溶解エッチングする広範囲の工程に使用することができる。

Claims (7)

  1. メルカプトスルホン酸類、メルカプトカルボン酸類、メルカプトアルコール類、メルカプトアミン類から選択されるメルカプト化合物、チオエーテル化合物、ジスルフィド化合物又は環状チオン化合物から選ばれる含硫黄有機化合物又はそれらの塩の1種又は2種以上を含有し、シアン化合物を含有しない水性処理液を使用して、パラジウム又はパラジウム化合物を溶解することを含むパラジウム又はパラジウム化合物の溶解処理方法
  2. チオエーテル化合物及びジスルフィド化合物は、さらにスルホン酸基、カルボキシル基、水酸基又はアミノ基(一級、二級若しくは三級)から選ばれる置換基の少なくとも一つを含有する化合物である水性処理液を使用することを含む請求項1に記載の溶解処理方法
  3. 含硫黄有機化合物として、メルカプトエタンスルホン酸、メルカプトプロパンスルホン酸、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトメチルプロピオン酸、メルカプトこはく酸、メルカプトプロピオニルグリシン、メルカプト安息香酸、メルカプトニコチン酸、メルカプトフェニルプロピオン酸、メルカプトテトラゾール酢酸、メルカプトエチルアミン、メルカプトプロピルアミン、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノールのいずれか又はそれらの塩を含有する水性処理液を使用することを含む請求項1又は2記載の溶解処理方法
  4. 含硫黄有機化合物の濃度が1〜700g/である水性処理液を使用することを含む請求項1〜3のいずれかに記載の溶解処理方法
  5. さらに銅の溶解抑制剤を含有させた水性処理液を使用することを含む請求項1〜4のいずれかに記載の溶解処理方法
  6. 電気・電子回路又は電気・電子回路部品の素材の絶縁層を前もってパラジウム含有溶液で処理し、次いで銅めっきを施し、析出した銅を部分的にエッチングして回路を形成させ、次いで該回路上に無電解めっきを施す工程を包含する電気・電子回路又は電気・電子回路部品の作成方法において、析出した銅を部分的にエッチングして回路を形成させた工程でスマット状で残存するパラジウム又はパラジウム化合物を溶解させるために請求項1〜5のいずれかに記載の水性処理液を使用することを特徴とする、電気・電子回路又は電気・電子回路部品の作成方法。
  7. 請求項6に記載の方法により作成した電気・電子回路又は電気・電子回路部品。
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