JP3281436B2 - 水溶性レジストの剥離方法及び剥離液 - Google Patents

水溶性レジストの剥離方法及び剥離液

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JP3281436B2 JP3527793A JP3527793A JP3281436B2 JP 3281436 B2 JP3281436 B2 JP 3281436B2 JP 3527793 A JP3527793 A JP 3527793A JP 3527793 A JP3527793 A JP 3527793A JP 3281436 B2 JP3281436 B2 JP 3281436B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、配線板の製造工程にお
ける水溶性レジストの剥離方法と剥離液に関する。
【0002】
【従来の技術】配線板の製造法の一つに、はんだをエッ
チングレジストとして用い、配線形成する方法が知られ
ている。この方法の一般的な場合を例にあげると、両面
に銅箔を積層した基板に、穴あけ後、銅めっきをほどこ
し、この後、有機レジスト膜によって、被めっき部以外
を被覆する。このものに、はんだめっきを行い、有機レ
ジスト膜を剥離後、不要部分の銅をエッチングによって
除去する。この有機レジスト膜に水溶性レジストを用
い、アルカリ性水溶液によって剥離する方法がある。水
溶性レジストの剥離に用いられる剥離液は、一般的に水
酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの強アルカリ性水
溶液で、pH13以上で用いられることが多い。このと
きの、温度は、40〜50℃で、剥離に要する時間は、
2〜3分程度が一般的である。実際の剥離時間は、高密
度パターン部分に剥離残渣などが残らず、完全に水溶性
レジストが剥離されるために、ほぼレジストが剥離され
る時間(約40〜50秒)の3倍程度に設定される。こ
のため、剥離作業の多くの時間は、銅(水溶性レジスト
の剥離された部分)とはんだめっきとが同時に剥離液に
さらされる状態となる。剥離液は、上記したように強ア
ルカリ性の液であるため、エッチングレジストの役割を
果たすべき、はんだが溶解され、その厚さが不十分とな
ったり、また、はんだの構成金属の一方(錫)が過剰に
溶解されてしまったりすることがある。特に基板周辺部
や疎なパターンにおいては、はんだめっきの電流密度が
大となるため、はんだめっき中の錫比率が高くなり、剥
離時にはんだめっきの溶解が増加する傾向がある。この
ため、次工程であるアルカリエッチング工程において、
充分なエッチングレジストの役割を果たしえず、配線に
断線や欠けなどの欠陥を作ることがあった。また、水溶
性レジストの剥離時には、銅とはんだが接触しているた
めの局部電池作用も、先に述べたはんだの腐食、溶解の
促進要因となっている。
【0003】そこで、この腐食、溶解を防止するため
に、還元性物質や、さらに、アリールスルホン酸ナトリ
ウムや有機イオウ化合物等を添加する方法、ホウ水素化
合物を添加する方法、イミダゾール化合物を添加する方
法や、3,5ジメチルピラゾールを添加する方法が、特
開昭63−183445号公報、特開昭64−2425
4号公報、特開昭64−81295号公報および特開昭
62−151589号公報に、それぞれ、示されてい
る。また、水溶性レジストの剥離において、鉛イオンが
水溶性レジスト剥離後の銅表面に析出し、エッチングを
阻害するために、配線間のショートを引き起こすことが
ある。そこで、鉛の析出を防ぐために、酸化剤を添加す
る方法が、特開昭63−38588号公報に示されてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記特開昭63−18
3445号公報、特開昭64−24254号公報、特開
昭64−81295号公報および特開昭62−1515
89号公報に示されている方法では、スプレー方式によ
り剥離作業を行うと、充分な効果が得られない。また、
特開昭63−38588号公報において鉛の析出を防ぐ
方法として示されている酸化剤を用いる方法と、特開昭
63−183445号公報や特開昭64−81295号
公報においてはんだの溶解を抑制する方法として示され
ている還元性物質を用いる方法とは、両立しえない。す
なわち、いままでは、はんだの溶解抑制と鉛の析出防止
を同時にはかることは困難であった。
【0005】本発明は、はんだの溶解抑制に優れ、同時
に、鉛の析出防止に優れた水溶性レジストの剥離方法と
剥離液を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、銅箔を積層し
た基板に、水溶性レジストでめっきレジストを形成し、
はんだめっきを行い、その後、この水溶性レジストを剥
離する水溶性レジストの剥離方法において、剥離液中
に、トリエタノールアミンを含むことを特徴とする。さ
らに、アミノグアニジン、ヒドラジン類、亜硫酸、亜二
チオン酸またはこれらの塩、ホウ水素化物、カルバジン
酸エステル、二酸化チオ尿素、スルフィン酸類、スルホ
キシ酸類、ヒドラジド類、セミカルバジド塩の少なくと
も一つを含むことを特徴とする。
【0007】配線形成を阻害する鉛の析出について、特
開昭63−38588号公報では、はんだめっき液成分
残存の影響が述べられている。しかし、筆者らの検討結
果では、鉛の析出は、剥離液中で引き起こされるものと
考えられる。以下にこれについて詳細に述べる。
【0008】銅のエッチングレジストに使用されるはん
だの構成金属である錫や鉛は、pH13以上で溶解する
ことが、化学同人1984年発行の「金属の腐食防食序
論」p242における図17−11、「スズの電位−p
H図」、および、p243における図17−12、「鉛
の電位−pH図」などに示されている。実際に、銅表面
に配線幅、スペース幅ともに100〜150μm程度の
高密度なはんだめっきのパターンを形成し、400pp
mの鉛イオンを含む40g/l程度の水酸化ナトリウム
水溶液の液滴を落とすと、室温で数分放置後に、銅の露
出部分が灰色に変色するのが容易に観察されることを、
筆者らは見出している。また、この灰色部分を分析する
と鉛が検出される。この理由は、はんだめっき金属成分
の溶解と鉛イオンの再析出が、液滴中で、同時に、もし
くは、逐次的に起っていることになる。この詳細な機構
については不明である。はんだめっき金属の鉛と錫、お
よび、銅(はんだめっきがなされていない部分)の三種
類の金属が存在するためにこの様な現象が起るようであ
る。このように、アルカリ剥離液中での、はんだの溶解
や鉛の再析出現象は容易に確認される。
【0009】はんだの溶解抑制方法を示した特開昭63
−183445号公報、特開昭64−81295号公
報、特開昭62−151589号公報および特開昭63
−38588号公報に、室温において、静置時の溶解速
度や溶解量の実例が実施例および比較例として示されて
いる。これら4件の公報のそれぞれの実施例に示されて
いるように、溶解をある程度抑制することはできるが、
完全には溶解を抑制できないことがわかる。実際の作業
には、一般的に、1〜2kg/cm2のスプレー圧力で、
40〜50℃の温度の剥離液を、コンベアを用いて搬送
している基板に接触させて、水溶性レジストを剥離する
スプレー方式を用いられることが多い。この様に、常に
新しい液が基板表面に供給される場合、見かけの拡散係
数は静置時と比較にならないほど大きくなり、はんだの
溶解速度は、上記の公報の実施例の値よりもはるかに大
きくなることが容易に推定される。従って、上に示した
ような溶解抑制方法を採用しても、基板の処理枚数とと
もに、剥離液中にはんだが溶解し、その金属イオン量が
増加することになる。
【0010】実際に、スプレー式水溶性レジスト剥離装
置を用い、特開昭63−183445号公報に示されて
いる方法に相当する還元剤入り薬剤であるOPCパーソ
リ(奥野製薬株式会社製、商品名)を剥離液に添加し、
200m2の基板(はんだ面積:25%)のドライフィ
ルムHF450(日立化成工業株式会社製、商品名)を
剥離した後、液中の鉛イオンを測定したところ、その濃
度は、300〜400ppmであった。筆者らは、剥離
液中の鉛イオン量が、400ppm程度になると、鉛の
基板表面への析出が目視で観察され始め、その後のアル
カリエッチングで残銅を引き起こすことを見出してい
る。そこで、鋭意検討を行った結果、液中に鉛イオンが
増加すると、溶解が加速されること、また、特開昭63
−183445号公報、特開昭64−24254号公
報、特開昭64−81295号公報および特開昭62−
151589号公報に示されている方法で試験した結
果、液中に鉛イオンが存在すると溶解が増大し(溶解電
流値を測定)、充分な抑制効果が得られないことを見出
した。鉛イオンの存在時に、溶解が加速される理由とし
て、先に述べた鉛の再析出反応が、腐食、溶解の対極反
応となっているためと推定される。また、溶解電流を測
定したところ、液中の鉛イオンが50〜100ppmの
場合、目視では必ずしも鉛の析出が確認できないが、こ
の様な溶解の加速現象の起ることがわかった。即ち、一
般の剥離作業において、はんだの溶解が特に問題になる
のは、単にアルカリ液中へはんだが溶解する単純な溶解
現象に加えて、このような加速現象によるためと考えら
れる。
【0011】そこで、鉛イオンと錯体を形成し、鉛の析
出を抑制する方法を検討した結果、剥離液中にトリエタ
ノールアミンを添加することが有効なことがわかった。
剥離液中へ、トリエタノールアミンを添加した結果、そ
の後のアルカリエッチングによって配線部分がエッチン
グされる(欠けや断線不良)ような欠陥を防止できる。
トリエタノールアミンの添加量は、実用的には、0.0
5g/l以上である。また、不必要に多くの量を添加す
ることは、コスト的に不利となることから、100g/
lが実用的な最大添加量である。実用上、より望ましい
添加量の範囲は、0.1〜50g/lである。
【0012】さらに、アミノグアニジン、ヒドラジン
類、亜硫酸、亜二チオン酸またはこれらの塩、ホウ水素
化物、カルバジン酸エステル、二酸化チオ尿素、スルフ
ィン酸類、スルホキシ酸類、ヒドラジド類、セミカルバ
ジド塩の少なくとも一つを含むことによって、より一層
の効果が得られる。アミノグアニジン類については、重
炭酸アミノグアニジン、硫酸アミノグアニジン、塩酸ア
ミノグアニジンなどが使用できる。ヒドラジン類につい
ては、水加ヒドラジン、モノメチルヒドラジン、ジメチ
ルヒドラジンなどが使用でき、その塩としては、硫酸ヒ
ドラジン、炭酸ヒドラジン、塩酸ヒドラジンが使用でき
る。亜硫酸塩については、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸カ
リウムが使用できる。亜二チオン酸塩としては、ハイド
ロサルファイトナトリウム、ハイドロサルファイトカリ
ウム、ハイドロサルファイトアンモニウムが使用でき
る。ホウ水素化物としては、ジメチルアミンボラン、水
素化ホウ素ナトリウムや水素化ホウ素カリウムが使用で
きる。カルバジン酸エステルとしては、メチルカルバゼ
ート(別名:カルバジン酸メチル)やエチルカルバゼー
ト(別名:カルバジン酸エチル)が使用できる。スルフ
ィン酸類としては、ホルムアミジンスルフィン酸をスル
ホキシ酸類としては、通称ロンガリットと呼ばれるソジ
ウムホルムアルデヒドスルホキシレート(別名:ヒドロ
キシメタンスルホン酸ナトリウム)が使用できる。ヒド
ラジド類としては、カルボヒドラジド、アセトヒドラジ
ドやイソニコチン酸ヒドラジドが使用できる。セミカル
バジド塩としては、硫酸セミカルバジドや塩酸セミカル
バジドが使用できる。なお、二酸化チオ尿素は、アルカ
リ液中で分解し、ホルムアミジンスルフィン酸を生成す
るので、ホルムアミジンスルフィン酸と同様の効果が得
られるものである。第二の添加剤として示した上記化合
物は、いずれも剥離液中で還元効果を示すものであり、
添加量は、これらの化合物の還元当量や寿命(還元効果
の持続時間)によって異なる。しかし、溶解性やコスト
などの実用的な観点から、望ましい添加量は、0.01
〜100g/lである。なお、第二の添加剤を複数用い
る場合は、「添加量」の語を「合計の添加量」と読みか
えることとする。実用上、より望ましい添加量の範囲
は、0.05〜50g/lである。
【0013】一般的に、還元剤として知られている亜リ
ン酸水素二ナトリウムやホスフィン酸ナトリウム(別
名:次亜リン酸ナトリウム)では、剥離液中で充分な還
元性が見られず、また、溶解抑制効果(溶解電流を測
定)も得られなかった。この理由として、剥離液のpH
条件では、還元寿命が数分以下と極めて短いためではな
いかと考えられる。チオ硫酸ナトリウムについては、還
元寿命はある程度得られるものの、溶解抑制効果は得ら
れなかった。この理由として、チオ硫酸ナトリウムの還
元能力が低く、溶解抑制には不十分なことが考えられ
る。また、アルデヒド類であるホルムアルデヒド、テレ
フタルアルデヒド酸、o−フタルアルデヒド酸、ベンズ
アルデヒド−oスルホン酸、テレフタルアルデヒド、ベ
ンズアルデヒド2,4ジスルホン酸については、剥離液
中での還元剤としての寿命が、極めて短く、30分以下
で還元剤量(ヨウ素による酸化還元滴定で測定)が初期
投入量から計算される値の1/10以下となり、実用的
ではなかった。フェノール類である没食子酸、没食子酸
エチル、没食子酸nプロピル、没食子酸メチル、ピロガ
ロール、pヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、
2,4キシレノールについては、還元寿命が短く、実用
的ではなかった。なお、アミノグアニジンについては、
剥離液中で還元効果が得られるが、1,1,3,3テト
ラメチルグアニジンや硫酸グアニジンなどアミノ基のな
いグアニジン類については効果が得られず、適していな
かった。以上の様に、剥離液に添加して効果のある還元
性物質は、本特許に示したように、極めて限られたもの
だけであった。また、剥離液に添加された還元剤は、剥
離作業時に基板と接触する。亜硫酸ナトリウムで調べた
結果、銅との接触によって分解が促進された。トリエタ
ノールアミンの添加によって、還元剤の寿命低下が抑制
された。
【0014】
【作用】従来の剥離液に対するはんだの溶解抑制方法
は、静置条件では効果が得られていた。しかし、スプレ
ーのように新しい液が常に接触する条件では、はんだの
溶解が予想以上に大きく、その結果、基板を処理するに
したがい、剥離液中の鉛イオンが増加すること、50〜
100ppmの鉛イオンの存在においても、従来の溶解
抑制方法の効果を阻害するという知見を得ることにより
本発明をなしえたものである。本発明では、金属イオン
と錯体を形成し得る特定の物質を剥離液に添加すること
により、鉛イオンを封鎖、もしくは、銅表面を封鎖し、
はんだめっきの溶解抑制効果を得られたと考えられる。
また、より一層の溶解抑制効果を得るために、特定の還
元剤の添加を行った。公知の還元剤のみを添加する方法
では、はんだめっきより溶けだす鉛イオンの作用によっ
て、充分な効果が得られなかった。しかし、本発明の場
合、金属イオンと錯体を形成し得る物質によって、鉛イ
オンの析出作用を防いでおり、その結果、還元剤の添加
による溶解抑制効果を得ることができた。ここで、還元
剤によって、はんだの溶解が抑制される理由の一つとし
て、次のように推定している。はんだ中の金属(鉛、
錫)が亜鉛酸、鉛酸や亜錫酸、錫酸などのイオンに溶解
する反応が酸素要求反応である。剥離液に添加された還
元剤は、液中の溶存酸素を還元し、液中の溶存酸素濃度
を低下させる。このために、はんだの溶解反応が抑制さ
れる。実際に、いくつかの還元剤で、溶存酸素濃度を測
定した。その結果、ハイドロサルファイトナトリウム、
亜硫酸ナトリウム、ホルムアミジンスルフィン酸やヒド
ラジンでは、室温で溶存酸素濃度の低下がみられた。ま
た、溶解電流値の測定から、室温では、効果が少なかっ
たが、50℃では溶解抑制効果のみられたソジウムアル
デヒドスルホキシレート、硫酸アミノグアニジンや水素
化ホウ素ナトリウム等では、測定した溶存酸素濃度低下
も、室温では、あまりみられず、50℃で大きな低下が
みられた。このように、還元剤添加による溶存酸素濃度
の低下とはんだの溶解抑制効果に相関がみられた。ま
た、重金属は、還元剤の分解を促進させる作用がある
が、本発明の場合、重金属が封鎖されているためか還元
剤の分解が抑制されている。以上のことから明らかなよ
うに、本発明では、鉛の析出と溶解の問題を同時に解決
したものである。
【0015】
【実施例】
(溶解抑制添加剤の実施例および比較例)NaOH水溶
液(NaOH濃度:40g/l)に、鉛濃度で150m
g/l(150ppm)となるように硫酸鉛を混合し、
約2時間撹拌して硫酸鉛を完全に溶解し、液を調整し
た。容量100mlのビーカに、この液50mlをそそ
ぎ、また、それぞれ露出面積が4cm2となるように被
覆した銅とはんだ板を液中に浸漬し、液中を流れる電流
測定用の電極とした。電極からの引きだし線間に10オ
ームの抵抗を介し、銅とはんだ電極を接続した。この抵
抗両端の電圧を測定することにより、溶解電流を測定で
きるようにした。測定は、室温(約20℃)において、
マグネチックスターラで液を撹拌しながら行った。ま
た、表1に示す添加剤0.2gを、少量(2〜3ml)
のNaOH水溶液(NaOH濃度:40g/l)に溶解
した液を用意した。これらの液を撹拌中のビーカ内に注
ぎ、溶解電流の変化を測定した。その結果、添加剤投入
後(添加剤濃度:約4g/l)の電流値が投入前の電流
値に比べ、2割以上低下したものを○、電流値低下が2
割未満、もしくは、逆に増加したものを×とし、表1
(実施例:表1−1、比較例:表1−2)に示した。な
お、×のものは、ほとんどのものにおいて、電流値の減
少は見られなかった。特に、比較例22〜25の含有機
イオウ化合物、比較例34〜37のニトロ化合物、比較
例56の臭素酸ナトリウムについては、鉛イオンを含ま
ない水酸化ナトリウム溶液にこれらの化合物を添加する
だけでも、溶解電流の大幅な増大をもたらし、かえっ
て、はんだの溶解を促進した。
【0016】
【表1】
【0017】(第二の添加剤の実施例および比較例)次
に、第二の添加剤(還元剤)の溶解抑制効果を調べた。
効果の有無は、50℃の液温を保ったまま、はんだと銅
電極を用い、マグネチックスターラで液を撹拌しながら
溶解電流を測定することにより確認した。より詳しくの
べると、予め、10mlのNaOH水溶液(NaOH濃
度:40g/l)に溶解した0.2gの還元剤を50℃
に加温しておき、この液を、同じく50℃に加温した4
0mlのトリエタノールアミン(濃度:4g/l)入り
のNaOH水溶液(NaOH濃度:40g/l)に加え
ることによりおこなった。評価は、第二の添加剤を加え
たことによって、2割以上の電流値低下が見られたもの
を○、それ以外を×とした。結果を表2に示した。
【0018】
【表2】
【0019】(第一の添加剤の還元剤寿命延長効果)第
一の添加剤による還元剤の寿命延長効果を調べた。Na
OH水溶液(NaOH濃度:40g/l)中に、第二の
添加剤として亜硫酸ナトリウムを還元剤濃度で、0.3
規定(19g/l)となるように調整した。この液中
に、第一の添加剤の濃度が4g/lとなるように添加し
たもの(表3−1、実施例15)と添加しないもの(表
3−2、比較例68)をつくった。また、別途、NaO
H水溶液(NaOH濃度:40g/l)中に、OPCパ
ーソリを添加し、0.3規定となるように液を調整した
(OPCパーソリの添加量で25ml/l、比較例6
9)。300mlトールビーカに、これらの液100m
lと2cm角の銅張り積層板をいれ、湯煎器で、温度を
50℃に保った。液中にエアーポンプで毎分2.5〜3
リットルの空気を注入し、液と空気を接触させた。この
時、空気と液との接触を良くするために、ガラスボール
フィルタ(木下式、タイプG2、径20mm)によっ
て、微細な気泡にした。この液を適宜サンプリングし、
還元剤濃度を、ヨウ素液による滴定によって測定し、経
時変化を調べた。評価は、還元剤濃度が初期値の50%
になるまでの時間が6時間以上の場合を○、6時間以下
の場合を×とした。実際には、表に示した実施例15の
場合、8時間経過後において80%以上の還元剤濃度を
保っていた(水分蒸発による濃縮分を換算済)。一方、
第一の添加剤を含まない比較例68の場合、1時間後に
は、50%以下の濃度となり、8時間後には、10%以
下となっていた。また、比較例69については、2時間
後に10%以下の濃度となり、8時間後には、1%程度
まで濃度低下を引き起こしていた。
【0020】
【表3】
【0021】(鉛の析出抑制効果)銅張り積層板に水溶
性ドライフィルムHF450(日立化成工業製)を用い
て、露光、現像を行い、パターンを形成した。このもの
に約5μmの厚さの電気はんだめっきを行った。この基
板を、2cm×5cmになるように切出した。このと
き、基板の半分(2cm×2.5cm)がドライフィル
ムで被覆されており、残りの部分がはんだめっきされて
いるようにした。このものを400ppmの鉛イオンと
添加剤を含むNaOH水溶液中に浸漬し、ドライフィル
ムを剥離した。剥離は、ビーカ中で行い、温度50℃で
マグネチックスターラで約2分間、撹拌しながら行っ
た。この時の鉛の析出を目視で観察した。露出している
銅に、灰色の変色部分が観察されたものを×、全く変色
が観察されず、銅光沢のあるものを○とした。結果を表
4(実施例:表4−1、比較例:表4−2、表4−3)
に示した。
【0022】
【表4】
【0023】(鉛イオンが存在する剥離液中での添加剤
の効果)第一の添加剤と第二の添加剤の効果、および、
これらの共同効果を明らかにするための試験を行った。
まず、NaOHの濃度が40g/lの水溶液を作った。
別に、NaOH濃度が40g/lの水溶液に硫酸鉛を溶
解し、5000ppmの鉛イオンを含む液を作った。ま
た、第一の添加剤(トリエタノールアミン)0.2gを
少量(2〜3ml)の水酸化ナトリウム(NaOH濃
度:40g/l)に溶解した。また、第二の添加剤(亜
硫酸ナトリウム)0.2gを、少量(2〜3ml)のN
aOH溶液(NaOH濃度:40g/l)に溶解した。
容量100mlのビーカに、濃度が40g/lのNaO
H水溶液50mlをそそぎ、先に述べた銅とはんだ電極
を用いて、添加剤等を順次加えた時の溶解電流の変化を
測定した。測定は、50℃で、マグネチックスターラで
液を撹拌しながら行った。結果を図1に示す。図1で、
最初はNaOH水溶液中での溶解電流を測定する。この
時、電極の表面状態がわずかづつ変化するためか、徐々
に電流値が減少している(区間1)。この様な現象は、
実際の水溶性レジストの剥離時にも起っているものと思
われる。しかし、実際の剥離に要する時間(2〜3分
間)における電流の減少量はわずかである。ここで、第
二の添加剤の効果をみるために、先に用意した亜硫酸ナ
トリウムを液に投入する。そうすると、急速に電流値の
減少が起る(区間2)。説明を加えると、ここでは、添
加剤の効果をみるために、後から、第二の添加剤を加え
たが、実際の場合は、最初から液に加えられているの
で、電極を液に入れて、電流値を測定し始める時から電
流値は低下していることになる。次に、鉛イオンの影響
をみるために、先に用意した5000ppmの鉛を含む
液を1ml加える。すると、加えられた液の鉛イオン濃
度は、約100ppmとなる。鉛イオンが加わることに
より、第二の添加剤の効果は、全くなくなり、急激に、
溶解電流値が上昇してしまう(区間3)。そこで、第一
の添加剤であるトリエタノールアミンを水酸化ナトリウ
ム水溶液へ溶解したものを加えると、鉛イオンによる電
流値上昇分がほとんど打ち消されて、鉛イオン添加前の
電流値近くまで減少する(区間4)。このように、第二
の添加剤だけでは、鉛イオンがある時には、電流値抑制
効果が打ち消されてしまうが、第一の添加剤を加えるこ
とにより、鉛イオンの作用をなくし、第二の添加剤の効
果を発揮させることができるようになる。
【0024】
【発明の効果】水溶性レジストをアルカリ性の剥離液で
剥離する場合に、本発明を適用することによって、はん
だめっきの溶解を抑制できるとともに、鉛の析出も抑制
できる。したがって、配線欠陥のない良好な配線を形成
することができる。その他の効果として、本発明の方法
に用いる剥離液は、強アルカリを得るために、安価な水
酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの無機アルカリを
用いることができる。また、鉛の析出がなくなるため
に、同一量の剥離液で処理できる基板面積が増加し、単
位面積当りの剥離液の使用量を低減でき、また廃液量も
減少する。このため、廃液処理のコストも低下する。ま
た、有機アルカリを用いないので、廃液処理も容易とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の効果を説明するための添加剤と溶解電
流の関係を示す線図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−183445(JP,A) 特開 昭64−24254(JP,A) 特開 昭62−106459(JP,A) 特開 昭57−165834(JP,A) 特開 昭63−121848(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03F 7/42 C23F 1/00 104 H05K 3/06 H05K 3/24

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅箔を積層した基板に、ドライフィルム
    等の水溶性レジストによって、めっきレジストを形成
    し、はんだめっきを行い、水溶性レジストを強アルカリ
    性水溶液で剥離する水溶性レジストの剥離方法におい
    て、剥離液中に、トリエタノールアミンを0.05〜1
    00g/l含むことを特徴とする水溶性レジストの剥離
    方法。
  2. 【請求項2】 第二の添加剤として、アミノグアニジ
    ン、ヒドラジン類、亜硫酸、亜二チオン酸またはこれら
    の塩、ホウ水素化物、カルバジン酸エステル、二酸化チ
    オ尿素、スルフィン酸類、スルホキシ酸類、ヒドラジド
    類、セミカルバジド塩の少なくとも一つを0.01〜1
    00g/l含む請求項1に記載の水溶性レジストの剥離
    方法。
  3. 【請求項3】 剥離液をスプレーによって基板に接触さ
    せ水溶性レジストを剥離する請求項1または請求項2に
    記載の水溶性レジストの剥離方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の剥離方法に用いること
    を目的とする、強アルカリ性水溶液と、トリエタノール
    アミンとを含有してなる剥離液。
  5. 【請求項5】 第二の添加剤として、アミノグアニジ
    ン、ヒドラジン類、亜硫酸、亜二チオン酸またはこれら
    の塩、ホウ水素化物、カルバジン酸エステル、二酸化チ
    オ尿素、スルフィン酸類、スルホキシ酸類、ヒドラジド
    類、セミカルバジド塩の少なくとも一つを含む請求項4
    に記載の剥離液。
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