JP4401530B2 - 鳩目穴かがりミシン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、針棒上下駆動機構と針振り機構とを備える鳩目穴かがりミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
ミシン針が固定された針棒を上下に駆動する針棒上下駆動機構と、該針棒上下駆動機構に同期して針棒を左右に振らせる針振り機構とを備え、鳩目のボタン穴の周りにかがり縫いを施す鳩目穴かがりミシンが知られている。
図7に、従来知られている鳩目穴かがりミシンの針振り機構の主要部を示す。図8は図7の一部分解斜視図である。図7、図8に示す針振り機構では、固定カラー94、連結カラー72、針棒案内部材60、ブロック部66の内部に針棒20が上下動自在に内挿され、針棒20の先端にミシン針4が固定されている。なお、針棒20は、その上部において図示しない針棒上下駆動機構に連結されており、上下方向に駆動されるようになっている。
【0003】
図7の針振り機構においては、図示しないミシン主軸の回転により、連結棒97が左右に揺動すると、針振りレバー76が針振り軸78を中心に矢印A方向に往復回動する。そして、針振りレバー76が回動すると、針振りレバー76の先端の長孔76aに結合されているリンク105が上下動し、針振り揺動体106は上下に往復移動(図中のB方向)する。
また、針振り揺動体106の嵌合孔106a(図8)に針振りヨーク74の支持軸80が挿入されている。ここで、支持軸80の軸方向を通る直線をX軸とし、後述の連結ピン70,70を通る直線をZ軸とする。支持軸80はX軸を中心として回動可能であり、かつX軸方向に沿って摺動可能となっている。
【0004】
針振りヨーク74の先端部は、二股に別れ、連結カラー72の両側に突出する連結ピン70、70を把持する把持部74a、74aとなっている。
ここで、把持部74a、74aは一部切り欠いたリング状に形成され、連結ピン70,70は円柱形の両側部を切り落とした形状に形成されているのは、組み立て時の利便性のためである。つまり、把持部74a、74aの切り欠きに対して連結ピン70,70の幅の狭い方を合わせて入れた後、連結カラー72を90度回転させ、図7の状態に組み立てるのである。
一方、針棒案内部材60の下部に固定されているブロック部66の両側面には斜めに斜状溝64(図7、図8では一方のみ図示)が形成されている。これら斜状溝64,64に対して、ガイドピン86、86がそれぞれ係合している。そして、針棒案内部材60の上部に、連結カラー72と固定カラー94が取り付けられている。
【0005】
したがって、針振り揺動体106が図7中のB方向に上下動すると、針振りヨーク74および連結カラー72を介して針棒案内部材60も上下に駆動されるが、その際に、ブロック部66の斜状溝64,64にガイドピン86、86が係合していることから、ブロック部66は溝の方向に沿って左右に振れながら上下動することになり、したがって、針棒案内部材60は針振り揺動体106の上下動に伴いC方向に振られ、針棒20も同じ方向に振られる。
【0006】
図9には、針振り動作時の様子を示した。
図9(a)、(b)に示すように、針棒案内部材60が左右に振れる際、針振り揺動体106に対する針棒案内部材60の水平方向の距離が変化し、支持軸80が針振り揺動体106の嵌合孔106aに対して、X軸に沿うように摺動する。針棒案内部材60が図9で左方に振れるとき(図9(a))、支持軸80は嵌合孔106aに入り込み、針振り揺動体106と支持棒80のフランジ80aとの距離がL1となり、右方に振れるとき(図9(b))、支持軸80は嵌合孔106aから突出し前記距離はL1より大きいL2になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、針棒上下駆動機構の動作に対して、針振り機構の上下動が影響することがある。つまり、針棒上下駆動機構により針棒20は下降中であるが、針振り機構により針棒案内部材60は上昇中である場合や、これとは逆に針棒20は上昇中であるが針棒案内部材60は下降中である場合である。針棒20は針棒案内部材60に対して上下動自在に内挿されてはいるが実際には両機構は影響しあい、両機構の動作方向が逆の場合、針振りヨーク74のX軸方向に沿った移動において、針振りヨーク74と針振り揺動体106との間に機械的なこじれ(モーメント)が発生し、針振りヨーク74のスムーズな動作が妨げられる。これにより、針振りヨーク74の支持軸80や針振り揺動体106に無理な力がかかり、結果として前記ミシン主軸のトルクが増大し、ミシン針4の振り幅にムラが生じたりすることがあった。
【0008】
加えて、図9において分かるように、針振りの際に、連結カラー72は、前記Z軸を中心として、針振りヨーク74の把持部74a、74a内を摺動しながら回転する。前述のように、組み立て時の利便性のために、各把持部74aは一部切り欠いたリング状で、各連結ピン70は断面ほぼ長方形であるので、連結ピン70と把持部74aとの接触面は、連結ピン70の上下面だけである。したがって、接触面積が小さいことから、摩耗やガタが発生しやすく、耐久性の点で問題があった。また、これを解決するために連結ピン70を太くすることは、スペースの都合上難しい。
【0009】
本発明の課題は、鳩目穴かがりミシンにおいて、針棒上下駆動機構と針振り機構との動作にずれが生じても針振り機構の各部材やミシン主軸に無理な負荷がかかることなく、円滑な針振り運動が行われ、また針振り機構を構成する部材に十分な耐久性を持たせることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、たとえば図1〜図3に示すように、
先端にミシン針(4)が固定された針棒(20)と、
針棒を上下方向に駆動する針棒上下駆動機構(2)と、
針棒を、上下方向に直交する面内の所定の方向において振らせる針振り機構(3)とを備え、
前記針振り機構は、
ミシン主軸(44)に連動して上下に往復移動する針振り移動体(針振り揺動体106)と、
ミシンアーム(アーム14)に上下動可能に設けられ、針棒が上下動自在に内挿される針棒案内部材(60)と、
針棒案内部材の上部(60b)に外挿され、かつ前記上下方向に直交する面内であって前記所定の方向にほぼ直交する方向に突出する一対の連結軸(連結ピン204、204)を有する連結部材(連結カラー203)と、
前記所定の方向にほぼ平行するように針振り移動体に挿通される軸部(支持軸201)と、前記一対の連結軸のそれぞれを支持する2本の支持部(フォーク部200a、200a)とからなる連結軸支持部材(針振りヨーク200)と、
針棒案内部材の下端部に設けられ、側面に斜めに走る斜状溝(64)が形成された溝部材(ブロック部66)と
斜状溝に摺動可能に係合し、針棒案内部材の上下動に伴い針棒案内部材を前記所定の方向に揺動させる係合部材(ガイドピン86、86)とを含む鳩目穴かがりミシン(1)において、
連結軸支持部材の軸部は、前記所定の方向に沿って移動できないように針振り移動体に挿通され、
連結軸支持部材の各支持部には、前記所定の方向にほぼ平行し、かつ、互いに平行する2つの面(200b、2000c)が対向するように形成され、
連結軸は、前記2つの対向する面の間で、直接、または連結軸が挿通可能な挿通部材(角コマ210、210)を介して、摺動可能に挟持されていることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、連結部材の連結軸を支持する連結軸支持部材の各支持部には、針振り方向にほぼ平行し、かつ、互いに平行する2つの面が対向するように形成され、連結軸は、前記2つの対向する面の間で、直接、または挿通部材を介して、摺動可能に挟持されていることから、連結軸は2つの面に沿って針振り方向にスライド可能となる。また、連結軸支持部材の軸部は、前記所定の方向に沿って移動できないように針振り移動体に挿通されている。
よって、針棒案内部材が針振り方向へ揺動する際、針振り移動体に対して距離が変化すると、連結軸が支持部に対してスライドすることで対応する。
したがって、前述のように針棒上下駆動機構と針振り機構との間で動作にずれが生じても、その影響は連結軸のスライド運動において吸収されてしまい、機械的な「こじれ」が発生することはなく、連結軸支持部材さらには針振り移動体への影響は極めて小さくなり、針振り移動体を介してミシン主軸44に影響を与えるようなことはなく、円滑な針振り運動が可能となる。
【0012】
ここで、支持部の形状は、前記所定の方向にほぼ平行し、かつ、互いに平行する2つの面が対向するように形成されていればよく、具体的には、コ字状やU字状、あるいは矩形の枠状に形成されることが挙げられる。
また、「直接、または連結軸が挿通可能な挿通部材を介して」とは、連結軸そのものを2つの面の間にちょうど納まる大きさに形成してもよいし、あるいは請求項2のように構成してもよい。
【0013】
すなわち、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鳩目穴かがりミシンにおいて、例えば図3、図5、図6に示すように、
連結軸は円柱形状に形成され、
挿通部材は、連結軸が挿通可能な断面円形の軸穴を有する角コマ(210、310、410)またはコロであることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、連結軸は、周面全体が角コマあるいはコロに支持され、接触面積が大きいことから、連結軸が角コマやコロ内を摺動しても摩耗やガタが生じにくく、十分な耐久性が得られる。
【0014】
請求項1または請求項2に記載の鳩目穴かがりミシンにおいて、請求項3に記載の発明のように、連結部材が上下方向を軸として回転することを防止する回転止め(縁部210c、回転止め部材311、411)を設けてもよい。
請求項3に記載の発明によれば、回転止めが設けられているので、連結部材が上下方向を軸として回転してしまうことはない。
ここで、回転止めは、支持部に直接接する部材、つまり連結軸を直接支持部に挟持させる場合には連結軸に、請求項2のように角コマまたはコロを介設する場合には角コマやコロに設けてもよいし、これらの部材とは別に設けてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図1〜図6において、前述の図7〜図9と全く同じ部材については同符号を付している。
図1には、鳩目穴かがりミシン1の針棒上下駆動機構2と針振り機構3を示した。この鳩目穴かがりミシン1は、主にベッド12と、該ベッド12の左方から起立する縦胴部13と、縦胴部13からベッド12に平行するように設けられたアーム(ミシンアーム)14とからなり、ベッド12上の布送り台24上に載置された布地に対して、鳩目穴のボタンホールを形成するとともに、該ボタンホール周りにかがり縫いを施すものである。
【0016】
まず、針棒上下駆動機構2について説明する。針棒上下駆動機構2は、先端にミシン針4を固定した針棒20を上下に駆動するもので、針棒20は、アーム14の頭頂部に設けられた自在軸受け62により上下動及び揺動可能に支持されている。針棒20の中間部には側方(図1では紙面に垂直な方向)に突出するピンを有する針棒抱き40が設けられている。
一方、縦胴部13内部には、ミシンモータ(図示せず)により回転駆動されるミシン主軸44が紙面垂直方向に設けられている。このミシン主軸44に、第1ギア52が固定されている。第1ギア52の上方にはミシン主軸44に平行するように上軸48が回転可能に設けられ、この上軸48に第2ギア50が第1ギア52に噛み合うように固定されている。
第2ギア50の側方には、上軸48に対して偏心する偏心カム55が固定され、偏心カム55には延出部56aを有する連結部材56が嵌合している。
【0017】
アーム14の内部には上下動ピン36が設けられ、該上下動ピン36に針棒駆動レバー38のほぼ中央部分が回転可能に軸支されている。針棒駆動レバー38の一端部には連結部材56の延出部56aが回転可能に取り付けられている。
また、針棒駆動レバー38の他端部38bから内部に向かって深穴38aが設けられており、該深穴38aに針棒上下ヨーク110の軸部が内挿されている。
針棒上下ヨーク110の先端部には、一部切り欠いたリング状に形成されたリング部110aが形成され、リング部110aに針棒抱き40のピンが係合している。
なお、針棒抱き40のピンは針棒20の両側部に設けられ、またリング部110aもこれに対応して2つ設けられているが、図1ではいずれも一方のみ示している。
【0018】
以上の構成の針棒上下駆動機構2によれば、ミシン主軸44が回転すると、第1ギア52および第2ギア50が回転し、これにより上軸48を介して、偏心カム55が回転し延出部56aはほぼ上下に運動するようになる。
延出部56aが上下動すると、針棒駆動レバー38は上下動ピン36を軸に揺動し、それにより他端部38bが上下に移動し、針棒上下ヨーク110のリング部110aを介して針棒20が上下に駆動されるようになっている。
なお、針棒上下ヨーク110の軸部は、深穴38aに対して、出入りする方向(G方向)において摺動自在になっており、これにより針棒駆動レバー38の他端部38bが上下動する際に生じる図1の左右方向の移動分を吸収し、上下動のみ針棒20に伝達される。さらに、針棒上下ヨーク110は、回転方向(J方向)についても深穴38aに対して摺動自在になっており、これにより針棒20の図1の紙面に垂直な面内における針振り運動に対応している。
【0019】
次いで、針振り機構3について図1〜図3に基づいて説明する。なお、図3においても図8同様にX軸、Z軸を示している。
図1に示すようにミシン主軸44には、偏心カム96が固定されている。また、ミシン主軸44の下方には、ピン99を軸として左右に揺動可能な揺動レバー98が設けられ、この揺動レバー98の上端は二股に分かれ、偏心カム96を挟持する挟持部98aとなっている。偏心カム96は、挟持部98aに内接した状態で摺動可能であり、ミシン主軸44の回転により偏心カム96が挟持部98a内で回転すると、揺動レバー98が左右に揺動するようになっている。
【0020】
挟持部98aの右方の腕には、前方に突出する突出部98bが一体に形成されており、この突出部98bにピン95を介して連結棒97の一端が回転可能な状態で取り付けられている。
この連結棒97の他端近傍には、ミシン主軸44とほぼ平行に針振り軸78が設けられ、この針振り軸78に、略L形に形成された針振りレバー76が針振り軸78を中心に揺動可能に取り付けられている。連結棒97と針振りレバー76はピン93を介して互いに回動可能に取り付けられている。図2に示すように、針振りレバー76には、長穴76aが形成され、この長穴76aに針振りリンク105の上端部が係合している。一方、針振りリンク105の下端部は針振り揺動体(針振り移動体)106に対して回転可能に取り付けられている。針振り揺動体106の突出部106bは、針振り揺動体106の回り止めで、図示しない溝に摺動可能に挿入されている。
【0021】
針振り揺動体106には、両端がメタル軸受け108a、108b(図1)に固定されたガイド軸107が挿通している。
したがって、揺動レバー98が左右に揺動すると、連結棒97が左右に振れて、針振りレバー76の先端が図1のD方向に回動し、針振りリンク105を介して針振り揺動体106がガイド軸107に沿って上下に往復移動(図2のB方向)する。
【0022】
図2、図3に示すように、本実施の形態においては、図7の針振りヨーク74の代わりに針振りヨーク(連結軸支持部材)200を用い、連結カラー72の代わりに、連結カラー(連結部材)203と角コマ(挿通部材)210を用いる。
針振りヨーク200の二股に分かれた先端部それぞれはさらに二股にフォーク状に形成されフォーク部(支持部)200a、200aとなっている。
フォーク部200a、200aには、所定の幅Mをもって離間し互いに平行な状態で上下に対向する面200b、面200cが形成されている。これら面200b、200cはX軸方向にほぼ平行である。
針振りヨーク200の後部には支持軸201が固定され、支持軸201の後端部には周方向に沿って切り欠き201aが形成されている。
針振りヨーク200は、針振り揺動体106の嵌合穴106aに支持軸201を挿入し、切り欠き201aにCリング202をはめ込んで、取り付けられる。従って、X軸を中心とした回転運動は可能であるが、X軸に沿った直線方向への動作はできない。
【0023】
連結カラー203の両側部からは、水平面(上下方向に直交する面)内であってX軸に直交するように、円柱形状の連結ピン204、204(連結軸)が突出し、連結ピン204、204の端部には周方向に沿って切り欠き204aが形成されている。
また、角コマ210の上面には、図3に示すように、フォーク部200aの面200b、200cの幅Nとほぼ同じ幅を有する凹部210aが形成されると共に、連結ピン204が挿通可能な挿入孔210bが形成されている。また、角コマ210において、凹部210aから下面までの高さは、前記幅Mに形成されている。
図2に示すように、連結カラー203は、各連結ピン204を角コマ210の挿入孔210bに挿入し、この状態の角コマ210をフォーク部200aの面200b、200c間にはめ込んで、さらに、それぞれの角コマ210の外側から、連結ピン204の切り欠き204aにCリング211をはめることで、針振りヨーク200に取り付けられる。
【0024】
このように針振りヨーク200に取り付けられた連結カラー203は、各連結ピン204が角コマ210の挿入孔210bに対して摺動可能であることから、Z軸を中心とする回転が可能である。さらに、角コマ210、210が面200b、200cに沿ってスライドすることで、X軸方向への直線移動も可能となる。
なお、上下方向に通るY軸を中心とする連結カラー203の回転は、角コマ210の凹部210aを画成する縁部210c、210cによって係止されることによって不可能となっており、すなわち、縁部210c、210cがY軸回転の回転止めとなっている。
【0025】
アーム14の下面には、図示しない大径の貫通孔(図示せず)が形成されており、この貫通孔に軸受けメタル83(図1)が固定され、この軸受けメタル83に針棒回動ブラケット82が回動可能にはめ込まれている。針棒回動ブラケット82は、筒状部82aとタイミングプーリ82bと該プーリ82bから錘下するように設けられた2つの脚部82c(図3では一方のみ図示)とからなる。
筒状部82aには、針棒案内部材60が上下動可能に内挿される。このとき、針棒案内部材60の下端部に固定され両側面に斜状溝64(一方のみ図示)が形成されたブロック部66は、脚部82c、82cに挟まれた位置にある。また、この状態で筒状部82aから突出する針棒案内部材60の上部60bに前記連結カラー203が外挿され、さらにその上から固定カラー94が外挿されている。連結カラー203は、針棒案内部材60の周方向に形成されたフランジ60aと固定カラー94との間で、針棒案内部材60の周面に沿って回動可能に挟まれている。
【0026】
2つの脚部82cには横方向に貫通する収納孔84が形成され、該収納孔84に対してガイドピン86が収納されている。ガイドピン86の先端はブロック部66の斜状溝64にはまるように細く形成され、他端には有底の孔部86aが形成されている。この孔部86aに圧縮ばね90が収容されている。そして、断面L字状に形成された押え板88を脚部82cに固定するとともに、舌片部88aにより孔部86aを塞ぐことで、ガイドピン86、86は、ブロック部66側に押しつけられ斜状溝64,64に対して摺動可能に係合する。
針棒案内部材60、連結カラー203および固定カラー94に、針棒20が上下動自在に内挿されている。
【0027】
上記構成の針振り機構3によれば、ミシン主軸44が回転すると、偏心カム96、揺動レバー98、連結棒97及び針振りレバー76を介して、針振り揺動体106はガイド軸107に沿って上下に往復移動(図2のB方向)する。
これにより針振り揺動体106に取り付けられている針振りヨーク200、さらには連結カラー203を介して針棒案内部材60も所定量上下に往復駆動される。その際に、ブロック部66の斜状溝64、64にガイドピン86、86が係合していることにより、ブロック部66は斜状溝64、64の方向に沿って左右に振れながら上下動することになり、したがって、針棒案内部材60はC方向に振られ、針棒20も同じ方向に所定幅をもって振られる。
針棒20は、前記針棒上下駆動機構2によって上下に駆動されるとき、1針ごとに前記針振り機構によりC方向に振られるようになっている。
【0028】
以上の鳩目穴かがりミシン1によれば、針振りヨーク200の先端を互いに平行する面200b、200cを有するフォーク部200a、200aに形成し、連結カラー203を角コマ210、210を介して取り付けたことから、針棒案内部材60がC方向に揺動する際に針振り揺動体106と針振りヨーク200間に機械的な「こじれ」が発生しない。図4を用いてこれについて説明する。
【0029】
すなわち、針振り運動により針棒案内部材60が左右に揺動する際、針振り揺動体106に対する針棒案内部材60の水平方向の距離が変化する。従来の図9においては、針振りヨーク74の支持軸80が針振り揺動体106の嵌合孔106aに摺動することでこの変化に対応していた。
しかし、本実施の形態では、角コマ210それぞれが面200b、200c間においてスライドすることで対応する。図4(a)で針棒案内部材60が左方に振られるときは、角コマ210がフォーク部200aの奥に位置する。図4(b)で針棒案内部材60が右方に振られるときは、角コマ210がフォーク部200aの先端側にスライドし、針棒案内部材60は針振り揺動体106に対して離れる。
【0030】
したがって、針振り機構と針棒上下駆動機構の間で動作にずれが生じても、その影響は角コマ210のスライド動作によって吸収されてしまい、機械的な「こじれ」が発生することはなく、針振りヨーク200への影響は極めて小さくなり、よってミシン主軸44のトルクが増大するようなことはなく、円滑な針振り運動が可能となる。
すなわち、従来針振りヨークと針振り揺動体の間で行われていた運動を、針振りヨーク200のフォーク部200aと角コマ210との関係に置き換えることで、より円滑な針振り運動を可能としたものである。
【0031】
なお、針振り機構3においては、X軸方向を中心とする回転については、従来同様に針振りヨーク200の支持軸201が嵌合孔106aに対して回転摺動することで吸収する。
また、Z軸周りの回転については連結ピン204、204が角コマ210、210内を回動することで吸収する。
【0032】
さらに、鳩目穴かがりミシン1によれば、連結カラー203の連結ピン204、204は、周面全体が角コマ210、210によって支持され、接触面積が大きいことから、連結ピン204、204が角コマ210内を摺動しても摩耗やガタが生じにくく、十分な耐久性を有する。
【0033】
<変形例>
本発明において、針振りヨークおよび連結カラーの結合部分については、上記実施の形態に限定されない。例えば、角コマは図3の形状に限定されず、凹部は上面だけでなく下面にも設けられていてよい。さらに、凹部はなくてもよい。その場合の例を図5および図6に示した。
【0034】
図5には、本実施の形態の第1の変形例を示した。図5において、図2、図3と全く同様の部材については同符号を付して説明を省略する。
図5では、角コマ210の代わりに角コマ310を用いる。角コマ310は、角コマ210のような凹部が形成されていない単なる直方体である。したがって、角コマ310にはY軸を中心とする回転止めの作用はない。そこで、前記Cリンク211、211の代わりに、回転止め部材311を用いる。回転止め部材311は、図5(b)に示すように、下方から見るとコ字状に形成され、両側部の係止片311aは、連結ピン204にはめ込まれている。
【0035】
また、針振りヨーク200の支持軸201の後端部に、断面L字状のL型部材313がはめ込まれ、コイルバネ312の一端がこのL型部材313に掛けられている。
コイルバネ312の他端は、回転止め部材311下部の中央部に掛けられている。回転止め部材311は、コイルバネ312によって針振り揺動体106側に引きつけられ、その力は2つの係止片311aに均一にかかる。したがって、連結カラー203がY軸回りに回転しようとしても、コイルバネ312によって一定の姿勢に戻され、結果的に回転しない。
【0036】
図6には、第2の変形例を示した。図6において、図2、図3と全く同様の部材については同符号を付して説明を省略する。
図6においては、図5同様に単なる直方体形状の角コマ410、410を用い、回転止め部材411によってY軸回りの回転止めを防ぐ。回転止め部材411は、図6(b)に示すように、前記回転止め部材311と同様の形状であるが、中央部からさらに後方に延出する板状の延出部412を有する。
回転止め部材411の両側部の係止片411aは、連結ピン204にはめ込まれている。
【0037】
図6においては、針振り揺動体106の代わりに針振り揺動体107を用いる。この針振り揺動体107は、針振り揺動体106とほぼ同様であるが、その下面には、前記X軸方向に沿って凹面107bが形成され、この凹面107bに延出部412がはめ込まれている。
凹面107bには図示しないネジ孔が形成され、一方延出部412には長孔412aが形成されている。回転止め部材411は、段ネジ413が長孔412aを介して凹面107bの前記ネジ孔に固定されることで、針振り揺動体107に取り付けられている。なお、長孔412aは、連結カラー203の前記X軸に沿った直線方向の移動に対応できる長さに形成され、回転止め部材411は連結カラー203とともにX軸に沿ってスライドするようになっている。
図6の構造は、図5の構成よりもさらに強固な構造であり、連結カラー203にY軸回りに回転する力がかかっても、回転することはない。
【0038】
このように図5及び図6の構成をとることによって、図3のように角コマ210にフォーク部200aの形状に合わせて凹部を形成するという精密加工を施さなくてもよく、製造が容易になり低コストにつながる。
【0039】
なお、本発明においては、図5あるいは図6のように回転止め部材を設けるのであれば、挿通部材として角コマでなく断面円形のコロであってもよい。
さらに、連結ピンの外径をフォーク部200aの幅Mとほぼ同じとし、角コマを介設させずに直接フォーク200aの間に嵌挿させてもよい。その場合、連結ピンに回転止めを形成しないのであれば、図5、図6に示すような回転止め部材を用いる。
【0040】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、連結部材の連結軸を支持する連結軸支持部材の各支持部には、針振り方向にほぼ平行し、かつ、互いに平行する2つの面が対向するように形成され、連結軸は、前記2つの対向する面の間で、直接、または挿通部材を介して、摺動可能に挟持されていることから、連結軸は2つの面に沿って針振り方向にスライド可能となる。また、連結軸支持部材の軸部は、前記所定の方向に沿って移動できないように針振り移動体に挿通されている。
よって、針棒案内部材が針振り方向へ揺動する際、針振り移動体に対して距離が変化すると、連結軸が支持部に対してスライドすることで対応する。
したがって、前述のように針棒上下駆動機構と針振り機構との間で動作にずれが生じても、その影響は連結軸のスライド運動において吸収されてしまい、機械的な「こじれ」が発生することはなく、連結軸支持部材さらには針振り移動体への影響は極めて小さくなり、針振り移動体を介してミシン主軸44に影響を与えるようなことはなく、円滑な針振り運動が可能となる。
【0041】
請求項2に記載の発明によれば、連結軸は、周面全体が角コマあるいはコロに支持され、接触面積が大きいことから、連結軸が角コマやコロ内を摺動しても摩耗やガタが生じにくく、十分な耐久性が得られる。
【0042】
請求項3に記載の発明によれば、回転止めが設けられているので、連結部材が上下方向を軸として回転してしまうことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例としての鳩目穴かがりミシンの内部機構を示す図である。
【図2】図1の鳩目穴かがりミシンの針振り機構の主要部を示す図である。
【図3】針振り機構の主要部の分解斜視図である。
【図4】針振り動作における連結ピンおよび角コマのスライド移動を説明するための図である。
【図5】連結カラーの回転止め部材の変形例を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は下面図である。
【図6】連結カラーの回転止め部材の第2の変形例を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は下面図である。
【図7】従来のミシンにおける針振り機構の主要部を示す図である。
【図8】図7の針振り機構の分解斜視図である。
【図9】図7の針振り機構における針振りヨークの動作を説明するための図である。
【符号の説明】
1 鳩目穴かがりミシン
2 針棒上下駆動機構
3 針振り機構
4 ミシン針
12 ベッド
13 縦胴部
14 アーム
20 針棒
44 ミシン主軸
60 針棒案内部材
64 斜状溝
66 ブロック部(溝部材)
86、86 ガイドピン(係合部材)
106、107 針振り揺動体(針振り移動体)
200 針振りヨーク(連結軸支持部材)
200a フォーク部(支持部)
200b、200c 面
201 支持軸(軸部)
203 連結カラー(連結部材)
204 連結ピン(連結軸)
210 角コマ(挿通部材)
210c 縁部(回転止め)
310、410 角コマ(挿通部材)
311、411 回転止め部材(回転止め)
Claims (3)
- 先端にミシン針が固定された針棒と、
針棒を上下方向に駆動する針棒上下駆動機構と、
針棒を、上下方向に直交する面内の所定の方向において振らせる針振り機構とを備え、
前記針振り機構は、
ミシン主軸に連動して上下に往復移動する針振り移動体と、
ミシンアームに上下動可能に設けられ、針棒が上下動自在に内挿される針棒案内部材と、
針棒案内部材の上部に外挿され、かつ前記上下方向に直交する面内であって前記所定の方向にほぼ直交する方向に突出する一対の連結軸を有する連結部材と、
前記所定の方向にほぼ平行するように針振り移動体に挿通される軸部と、前記一対の連結軸のそれぞれを支持する2本の支持部とからなる連結軸支持部材と、
針棒案内部材の下端部に設けられ、側面に斜めに走る斜状溝が形成された溝部材と
斜状溝に摺動可能に係合し、針棒案内部材の上下動に伴い針棒案内部材を前記所定の方向に揺動させる係合部材とを含む鳩目穴かがりミシンにおいて、
連結軸支持部材の軸部は、前記所定の方向に沿って移動できないように針振り移動体に挿通され、
連結軸支持部材の各支持部には、前記所定の方向にほぼ平行し、かつ、互いに平行する2つの面が対向するように形成され、
連結軸は、前記2つの対向する面の間で、直接、または連結軸が挿通可能な挿通部材を介して、摺動可能に挟持されていることを特徴とする鳩目穴かがりミシン。 - 連結軸は円柱形状に形成され、
挿通部材は、連結軸が挿通可能な断面円形の軸穴を有する角コマまたはコロであることを特徴とする請求項1に記載の鳩目穴かがりミシン。 - 連結部材が上下方向を軸として回転することを防止する回転止めが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の鳩目穴かがりミシン。
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