JP4401527B2 - 半導体チップの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体チップの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体チップを製造する際には、同じ回路の半導体素子が多数形成された一枚のシリコンウエハ面上に導体回路を形成した後、切り分けることにより、一枚のウエハから多数の半導体チップを製造している。
その製造工程の概要は、以下の通りである。まず、一面側の所定位置にアルミニウム電極パッドが設けられ、その他の部分が保護膜(パッシベーション膜)で覆われたウエハにおいて、その電極パッドが設けられた面上に硬化前の硬化性樹脂を全面に積層し硬化させる。こうしてウエハ上に絶縁層を積層しておき、例えばレーザによって電極パッドに連絡するビアホールを形成し、そのビアホールを導電性材料で充填することにより、導体回路を形成する。
回路が複雑な場合には、さらに導体回路上に硬化性樹脂を積層・硬化させ、その第二の絶縁層に、上記と同様にして導体回路を形成する。
このようにして、硬化性樹脂による絶縁層と、その絶縁層の所定の位置に設けられたビアホールを利用した導体回路とを交互に形成することにより、ウエハ面上に半導体チップが形成される。
最後に、各半導体チップを区画するダイシングストリートに沿って、ウエハを各チップに切り分けるダイシング操作を行うことにより、個々の半導体チップが製造される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ウエハ面上に形成される絶縁層は、ウエハの片面側にのみ積層されることに加え、材料として使用される硬化性樹脂は硬化時に収縮を起こす。このため、硬化性樹脂の硬化反応に伴い、ウエハが反り変形を起こしてしまうことがあった。このようなウエハの反り量は、例えば直径4インチのウエハにおいて、厚さ20μmの第一絶縁層を形成した場合には、ウエハの中央と端縁部分との間で100μm〜150μm、厚さ50μm〜70μmの第二絶縁層を形成した場合には、ウエハの中央と端縁部分との間で400μm〜600μmに達する。
【0004】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、硬化性樹脂を硬化させるときのウエハの反り変形を防止することのできる半導体チップの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために請求項1の発明に係る半導体チップの製造方法は、半導体素子形成後のウエハ面上に、硬化性樹脂層を設けてなる半導体チップの製造方法であって、少なくとも、(a)前記半導体素子形成後のウエハ面上に硬化前の硬化性樹脂を積層する工程、(b)前記工程(a)で積層された硬化性樹脂に溝部を形成する工程、(c)前記工程(b)終了後の前記硬化性樹脂を硬化させて一の絶縁層を形成する工程、(d)前記一の絶縁層上に硬化前の硬化性樹脂を積層する工程、(e)前記工程(d)で積層された前記硬化性樹脂に、一の絶縁層に形成された溝部よりも幅の広い溝部を形成する工程、(f)前記工程(e)終了後の前記硬化性樹脂を硬化させて他の絶縁層を形成する工程、(g)必要に応じて前記(d)から前記(f)の工程を繰り返す工程、(h)前記ウエハを所定の大きさに切断して前記半導体チップとする工程を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載の製造方法であって、前記溝部は、前記ウエハを切断するときのダイシングストリートに合わせて設けられていることを特徴とする。
【0007】
【発明の作用、および発明の効果】
請求項1の発明によれば、硬化性樹脂を硬化させる前に、硬化性樹脂に溝部を形成させておく。このように溝部を形成した後に、硬化性樹脂を硬化させると、硬化性樹脂の硬化反応に伴って収縮力が発生し、ウエハを反らせようとする。しかしながら、そのような収縮力は、溝部を挟んで隣接する2つの区間において、互いに逆方向に向かうため、収縮力同士が相殺される。これにより、ウエハ全体では、反り変形を軽減させることができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、溝部はダイシングストリートに合わせて設けられている。このように、切断部分に合わせてあらかじめ溝部を設けておくことにより、ダイシング作業を容易に行うことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の半導体チップ1の製造方法を具体化した一実施形態について、図1〜図4を参照しつつ詳細に説明する。この半導体チップ1の製造方法においては、特にウエハ2面上に硬化性樹脂7を積層・硬化させて絶縁層11A,11Bを形成する前の工程で、ダイシングストリート9に合わせて溝部10を形成しておくことが特徴的である。
【0010】
半導体チップ1に使用されるウエハ2は、シリコン単結晶製で、例えば直径4インチ、厚さ500μm程度の薄い円盤状に成形されている。このウエハ2に、例えば一辺15mm程度の正方形状の半導体チップ1が縦横に整列した状態で製造される。
このウエハ2の片面(図1Aにおいて上面側)には、所定の位置にアルミニウムの電極パッド3が設けられており、その他の部分はパッシベーション膜6によって覆われている。電極パッド3の表面には、ジンケート処理が施されている。この処理により、ニッケルめっき層或いは、ニッケルと銅の複合めっき層の析出を容易にすることが可能となる。ジンケート処理としては、例えば、ウエハ2を常温で10〜30秒間、金属塩である酸化亜鉛と還元剤としての水酸化ナトリウムとの混合液中に浸漬することにより行うことができる。
【0011】
次に、ウエハ2をニッケル無電解めっき浴中に浸漬して、電極バッド3上にニッケルめっき層4を析出させる。続いて、ウエハ2をニッケル−銅の複合めっき液に浸漬し、ニッケルめっき層4上に厚さ0.01μm〜5μmのニッケルと銅との複合めっき層5を形成する。
【0012】
次いで、全面に感光性の硬化性樹脂7を塗布する(図1A)。硬化性樹脂7としては、例えば感光性のエポキシ樹脂やポリイミド樹脂を使用することができる。
次に、露光・現像処理を施すことにより、ダイシングストリート9に整合する位置に、硬化性樹脂7の上面からパッシベーション膜6に至る溝部10Aを形成する。また、同時にビアホール8Aを形成する(図1B)。こうして溝部10Aとビアホール8Aを形成した後に、硬化性樹脂7の硬化反応を行うことで、厚さが約20μmの第一絶縁層11Aを形成する。このように、硬化性樹脂7の硬化反応を行う前に溝部10Aを形成しておくことで、硬化反応に伴うウエハ2の反り変形を軽減させることができる。
【0013】
この実施形態では、感光性の硬化性樹脂7を用いて溝部10Aとビアホール8Aとを同時に形成したが、溝部10Aのみ形成、硬化した後、炭酸ガスレーザを用いてビアホール8Aを形成することも可能である。なお、ビアホール8Aを形成した後に、ビアホール8Aの内部に残留する樹脂を取り除くためのデスミア処理を行う。
次に、ビアホール8A内に無電解銅めっきを充填して、ビア12を形成するとともに、第一絶縁層11A上に導体回路13を形成する(図1C)。
【0014】
次に、第一絶縁層11A上に、感光性の硬化性樹脂7を塗布した後に、ダイシングストリート9の形状に合わせたマスクを施しておき、露光・現像処理を行って硬化性樹脂7を硬化させる前に、硬化性樹脂7にパッシベーション膜6に至る溝部10を形成しておく(図2D)。こうして溝部10を形成した後に、硬化性樹脂7の硬化反応を行い、厚さ50μm〜70μmの第二絶縁層11Bを形成する。この硬化反応の際には、硬化性樹脂7の収縮によってウエハ2を反らせようとするが、そのような収縮力は、溝部10を挟んで隣接する2つの区間において、互いに逆方向に向かうため、収縮力同士が相殺される。このため、ウエハ2全体では、反り変形を軽減させることができる。特に本実施形態では、第一絶縁層11Aよりも第二絶縁層11Bの方が厚みが大きいので、硬化反応に伴ってウエハ2を反らせようとする収縮力が大きくなるため、第二絶縁層11Bを形成する前に溝部10を設けておく効果が大きい。
【0015】
さらに、例えば炭酸ガスレーザにより、第二絶縁層11Bの表面から導体回路13に至るビアホール8Bを形成する(図2E)。このとき、第二絶縁層11Bの上面にポリエチレンテレフタレート製の保護フィルム(図示せず)を貼り付けておくことができる。このようにPETフィルムを貼り付けておくことで、ビアホール8Bの開口縁がすり鉢状に拡がってしまうことを防止できる。この後、ビアホール8B内部に残留する樹脂を取り除くためのデスミア処理を行う。
次に、第二絶縁層11B、ビアホール8Bおよび溝部10の表面に、無電解めっきにより銅めっき膜14を形成する(図2F)。その後、例えばパラジウム触媒(アトテック製)を付与することにより、銅めっき膜14に触媒核を付与しておく。
【0016】
次に、この銅めっき膜14の面上に、例えばスピンコートにより感光性のレジスト15を積層しておき、所定のパターンをマスクした状態で露光・現像処理を行うことにより、レジスト15にビアホール8Bと同心でかつビアホール8Bの直径よりも一回り大きな直径を備えた開口部15Aを形成する(図2G)。
【0017】
次に、電解めっきを行うことにより、銅めっき膜14上の開口部15Aに相当する位置に銅を析出させ、バンプパッド16を形成する(図3H)。次いで、レジスト15を剥離し(図3I)、ライトエッチングすることにより銅めっき膜14を除去する(図3J)。
次いで、感光性のソルダレジスト17を全面に塗布する(図3K)。ソルダレジスト17を露光・現像処理することにより、ソルダレジスト17にバンプパッド16の中央部を開放する開口部18を設けるとともに、ダイシングストリート9の上面部分に設けられた溝部10を開放する(図4L)。なお、開口部18は、半導体チップ1を他のプリント基板等に接続する際に用いるはんだバンプ19を形成するために使用される。
【0018】
最後に、溝部10およびダイシングストリート9に沿ってウエハ2を切り分けるダイシング操作を行うことにより、半導体チップ1の製造が完了する(図4M)。
【0019】
以上のように、本実施形態によれば、ウエハ2面上に積層した硬化性樹脂7を硬化させる前に、硬化性樹脂7に溝部10を形成しておく(図1Bおよび図2D参照)。このように溝部10を形成した後に、硬化性樹脂7を硬化させると、硬化性樹脂7の硬化反応に伴って、収縮力が発生し、ウエハ2を反らせようとする。しかしながら、そのような収縮力は、溝部10を挟んで隣接する2つの区間において、互いに逆方向に向かうため、収縮力同士が相殺される。これにより、ウエハ2全体では、反り変形を軽減させることができる。
【0020】
また、溝部10はダイシングストリート9に合わせて設けられている。このように、切断部分に合わせてあらかじめ溝部10を設けておくことにより、ダイシング作業を容易に行うことができる。
【0021】
なお、本発明は以下のように変形して実施することもできる。また、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、均等の範囲にまで及ぶものである。
(1)本実施形態では、溝部10をダイシングストリート9に合わせて形成したが、本発明によれば、必ずしも溝部とダイシングストリートとの位置を合わせる必要はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における半導体チップの製造方法を示す図−1
(A)所定位置に設けられたアルミニウムパッド上にニッケルめっき層および複合めっきパッドを形成し、さらに硬化性樹脂を積層したときの硬化反応前の断面図
(B)硬化性樹脂に溝部およびビアホールを設けた後に硬化させて第一絶縁層を形成したときの断面図
(C)ビアホールを充填し、第一絶縁層上に導体回路を形成したときの断面図
(D)第一絶縁層上に硬化性樹脂を積層し、硬化反応前に溝部を設けたときの断面図
【図2】本実施形態の半導体チップの製造方法を示す図−2
(E)第二絶縁層にビアホールを形成したときの断面図
(F)第二絶縁層表面に銅めっき膜を形成したときの断面図
(G)無電解銅めっき膜上にレジストを設けたときの断面図
(H)バンプバッドを形成したときの断面図
【図3】本実施形態の半導体チップの製造方法を示す図−3
(I)レジストを剥離したときの断面図
(J)銅めっき膜を除去したときの断面図
(K)ソルダレジストを設けたときの断面図
(L)ソルダレジストに開口部を設けたときの断面図
【図4】本実施形態の半導体チップの製造方法を示す図−4
(M)ダイシングストリートに沿って切断したときの半導体チップの断面図
【符号の説明】
1…半導体チップ
2…ウエハ
7…硬化性樹脂
9…ダイシングストリート
10,10A…溝部

Claims (3)

  1. 半導体素子形成後のウエハ面上に、硬化性樹脂層を設けてなる半導体チップの製造方法であって、少なくとも、
    (a)前記半導体素子形成後のウエハ面上に硬化前の硬化性樹脂を積層する工程、
    (b)前記工程(a)で積層された硬化性樹脂に溝部を形成する工程、
    (c)前記工程(b)終了後の前記硬化性樹脂を硬化させて一の絶縁層を形成する工程、
    (d)前記一の絶縁層上に硬化前の硬化性樹脂を積層する工程、
    (e)前記工程(d)で積層された前記硬化性樹脂に、一の絶縁層に形成された溝部よりも幅の広い溝部を形成する工程、
    (f)前記工程(e)終了後の前記硬化性樹脂を硬化させて他の絶縁層を形成する工程、
    (g)必要に応じて前記(d)から前記(f)の工程を繰り返す工程、
    (h)前記ウエハを所定の大きさに切断して前記半導体チップとする工程を備えることを特徴とする半導体チップの製造方法。
  2. 前記溝部は、前記ウエハを切断するときのダイシングストリートに合わせて設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体チップの製造方法。
  3. 前記工程(c)の後であって前記工程(d)の前に、さらに
    (i)前記一の絶縁層上に導体回路を形成する工程、
    を備えることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の半導体チップの製造方法。
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