上述のように、硬貨包装紙の材質をセロハンや合成樹脂などの透明材質とした場合、透明部分を通じて重積硬貨の金種や枚数などを確認できるが、紙材質に比べて高価で環境への配慮の点で劣る問題がある。
また、硬貨包装紙の材質を紙材質とした場合、セロハンや合成樹脂などに比べて安価で環境への配慮の点でも優れているが、重積硬貨の周面が隠蔽され、重積硬貨の周面側から重積硬貨を可視して金種や枚数などを確認できない問題がある。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、材質を安価で環境への配慮の点でも優れた紙材質でかつ包装する重積硬貨のいずれの金種についても共通とし、そのうえで重積硬貨の周面を重積方向全域にわたって可視し得て金種や枚数などを確認できる硬貨包装紙、およびこの硬貨包装紙を用いた硬貨包装方法を提供することを目的とする。
請求項1記載の硬貨包装紙は、包装する重積硬貨のいずれの金種についても共通でその重積硬貨の周囲に巻回して包装する硬貨包装紙であって、材質が紙材質で、この紙材質に透明化薬剤およびワックスのいずれかが浸透して形成される透明化処理が施された透明化域を有し、この透明化域は重積硬貨に巻回される巻回方向に対し交差する幅方向には全域に形成されるとともに巻回方向には所定幅でかつ所定ピッチで形成され、その透明化域の所定幅および所定ピッチは、包装する重積硬貨のいずれの金種についてもその重積硬貨の周囲に巻回した包装状態で透明化域を通じて重積硬貨の周面が可視し得る可視化域が形成される値に設定されたものである。
そして、この構成では、包装する重積硬貨のいずれの金種についても共通でその重積硬貨の周囲に巻回して包装する硬貨包装紙であって、材質が紙材質で、この紙材質に透明化薬剤およびワックスのいずれかが浸透して形成される透明化処理が施された透明化域を有し、この透明化域は重積硬貨に巻回される巻回方向に対し交差する幅方向には全域に形成されるとともに巻回方向には所定幅でかつ所定ピッチで形成され、その透明化域の所定幅および所定ピッチは、包装する重積硬貨のいずれの金種についてもその重積硬貨の周囲に巻回した包装状態で透明化域を通じて重積硬貨の周面が可視し得る可視化域が形成される値に設定したため、セロハンや合成樹脂などの材質に比べて安価で環境への配慮の点でも優れ、紙材質でかつ包装する重積硬貨のいずれの金種についても共通でありながら透明化域を通じて重積硬貨の周面を重積方向全域にわたって可視し得て金種や枚数などを確認可能とする。
請求項2記載の硬貨包装紙は、請求項1記載の硬貨包装紙において、包装工程で所定長さの切断ピッチの包装紙片に切断されて重積硬貨の周囲に巻回され、この包装紙片の所定長さの切断ピッチは、包装する重積硬貨のいずれの金種についてもその重積硬貨の周囲に略2巻き巻回される値に設定され、透明化域の所定幅および所定ピッチは、包装する重積硬貨のいずれの金種についてもその重積硬貨の周囲に巻回される包装紙片の重なり部位に各々形成される透明化域を通じて重積硬貨の周面が可視し得る可視化域が形成される値に設定されたものである。
そして、この構成では、包装工程で所定長さに切断されて重積硬貨の周囲に巻回される包装紙片が、包装する重積硬貨のいずれの金種についてもその重積硬貨の周囲に略2巻き巻回される場合、透明化域の所定幅および所定ピッチは、包装する重積硬貨のいずれの金種についてもその重積硬貨の周囲に巻回される包装紙片の重なり部位に各々形成される透明化域を通じて重積硬貨の周面が可視し得る可視化域が形成される値に設定したため、透明化域を通じて重積硬貨の周面を重積方向全域にわたって確実に可視し得る。
請求項3記載の硬貨包装紙は、包装する重積硬貨の高さが異なるいずれの金種についても共通でその重積硬貨の周囲に巻回して包装する硬貨包装紙であって、包装時に略凸V字形カッタにより略凸V字形状先端部とそれに続く後続主要部分とそれに続き略凸V字形状先端部に対応する略凹V字形状後端部とを有する包装紙片に切断され、この包装紙片によって重積硬貨を包装する硬貨包装紙において、材質が紙材質で、この紙材質に透明化薬剤およびワックスのいずれかが浸透して形成される透明化処理が施された透明化域を有し、この透明化域は重積硬貨に巻回される巻回方向に対し交差する幅方向には全域に形成されるとともに巻回方向には所定幅でかつ所定ピッチで形成され、その透明化域の所定幅および所定ピッチは、包装する重積硬貨のいずれの金種についても、その重積硬貨の周囲に巻回して略凸V字形カッタで切断される包装紙片の巻回方向長さ全長が巻回された包装硬貨のいずれかの巻回方向域に、透明化域を通じて重積硬貨の周面が可視し得る可視化域が形成される値に設定されたものである。
そして、この構成では、包装する重積硬貨のいずれの金種についても共通でその重積硬貨の周囲に巻回して包装する硬貨包装紙であって、材質が紙材質で、この紙材質に透明化薬剤およびワックスのいずれかが浸透して形成される透明化処理が施された透明化域を有し、この透明化域は重積硬貨に巻回される巻回方向に対し交差する幅方向には全域に形成されるとともに巻回方向には所定幅でかつ所定ピッチで形成され、その透明化域の所定幅および所定ピッチは、包装する重積硬貨のいずれの金種についてもその重積硬貨の周囲に巻回した包装状態で透明化域を通じて重積硬貨の周面が可視し得る可視化域が形成される値に設定したため、セロハンや合成樹脂などの材質に比べて安価で環境への配慮の点でも優れ、紙材質でかつ包装する重積硬貨のいずれの金種についても共通でありながら透明化域を通じて重積硬貨の周面を重積方向全域にわたって可視し得て金種や枚数などを確認可能とする。特に、透明化域の所定幅および所定ピッチは、包装する重積硬貨のいずれの金種についても、その重積硬貨の周囲に巻回して略凸V字形カッタで切断される包装紙片の巻回方向長さ全長が巻回された包装硬貨のいずれかの巻回方向域に、透明化域を通じて重積硬貨の周面が可視し得る可視化域が形成される値に設定したため、その可視化域が重積硬貨の周面のいかなる位置に形成されても重積硬貨の重積方向全域の可視が許容され、さらには包装紙片の後端部の略凹V字形状後端部に可視化域が形成される場合でも重積方向全域の可視が許容される。
請求項4記載の硬貨包装方法は、包装する重積硬貨のいずれの金種についても共通でその重積硬貨の周囲に巻回して包装する硬貨包装紙であって、材質が紙材質で、この紙材質に透明化薬剤およびワックスのいずれかが浸透して形成される透明化処理が施された透明化域を有し、この透明化域は重積硬貨に巻回される巻回方向に対し交差する幅方向には全域に形成されるとともに巻回方向には所定幅でかつ所定ピッチで形成され、その透明化域の所定幅および所定ピッチは、包装する重積硬貨のいずれの金種についてもその重積硬貨の周囲に巻回した包装状態で透明化域を通じて重積硬貨の周面が可視し得る可視化域が形成される値に設定される硬貨包装紙をロール状に巻回した包装ロール紙を用い、この包装ロール紙を硬貨包装機の包装機構に導く給紙機構に装填し、前記包装機構の複数の包装ローラ間に重積硬貨を送り込み、その送り込む重積硬貨の高さ位置を金種に応じて異ならせ、いずれの金種についても重積硬貨の高さ方向の中心を包装機構に導く包装ロール紙の上下方向の中心に略一致させ、包装ローラで重積硬貨を挟持回転させ、包装ロール紙の先端部分を包装ローラと重積硬貨との間に導いて巻回開始させ、巻回途中で包装ロール紙の後続部分を直線状に緊張させてカッタに押し付けて所定長さの包装紙片に切断し、その包装紙片を重積硬貨の周面に巻回させ、重積硬貨より上下に突出する包装紙片の突出部分を包装機構の上下のかしめ鉤で重積硬貨の上下面にかしめるものである。
そして、この構成では、包装する重積硬貨のいずれの金種についても共通でその重積硬貨の周囲に巻回して包装する硬貨包装紙であって、材質が紙材質で、この紙材質に透明化薬剤およびワックスのいずれかが浸透して形成される透明化処理が施された透明化域を有し、この透明化域は重積硬貨に巻回される巻回方向に対し交差する幅方向には全域に形成されるとともに巻回方向には所定幅でかつ所定ピッチで形成され、その透明化域の所定幅および所定ピッチは、包装する重積硬貨のいずれの金種についてもその重積硬貨の周囲に巻回した包装状態で透明化域を通じて重積硬貨の周面が可視し得る可視化域が形成される値に設定される硬貨包装紙をロール状に巻回した包装ロール紙を用いるため、セロハンや合成樹脂などの材質に比べて安価で環境への配慮の点でも優れ、紙材質でかつ包装する重積硬貨のいずれの金種についても共通でありながら透明化域を通じて重積硬貨の周面を重積方向全域にわたって可視し得て金種や枚数などを確認可能とする。さらに、包装する重積硬貨のいずれの金種についても重積硬貨の高さ方向の中心を包装ロール紙の上下方向の中心に略一致させて包装することにより、包装する重積硬貨のいずれの金種についても紙材質の共通の包装ロール紙を用いて包装可能とする。
請求項5記載の硬貨包装方法は、包装する重積硬貨の高さが異なるいずれの金種についても共通な硬貨包装紙を用い、この硬貨包装紙を用いた包装時に略凸V字形カッタにより略凸V字形状先端部とそれに続く後続主要部分とそれに続き略凸V字形状先端部に対応する略凹V字形状後端部とを有する包装紙片に切断し、この包装紙片によって重積硬貨を包装する硬貨包装方法において、硬貨包装紙として、材質が紙材質でこの紙材質に透明化薬剤およびワックスのいずれかが浸透して形成される透明化処理が施された透明化域を有するロール状に巻回した包装ロール紙を用い、この包装ロール紙上の透明化域は、重積硬貨に巻回される巻回方向に対し交差する幅方向には全域に形成されるとともに巻回方向には所定幅でかつ所定ピッチで形成され、その透明化域の所定幅および所定ピッチは、包装する重積硬貨のいずれの金種についても、その重積硬貨の周囲に巻回して略凸V字形カッタで切断される包装紙片の巻回方向長さ全長が巻回された包装硬貨のいずれかの巻回方向域に、透明化域を通じて重積硬貨の周面が可視し得る可視化域が形成される値に設定されており、この包装ロール紙を硬貨包装機の包装機構に導く給紙機構に装填し、前記包装機構の複数の包装ローラ間に重積硬貨を送り込み、その送り込む重積硬貨の高さ位置を金種に応じて異ならせ、いずれの金種についても重積硬貨の高さ方向の中心を包装機構に導く包装ロール紙の上下方向の中心に略一致させ、包装ローラで重積硬貨を挟持回転させ、前回の包装時に略凸V字形カッタで切断された包装ロール紙の略凸V字形状先端部を包装ローラと重積硬貨との間に導いて巻回開始させ、巻回途中で包装ロール紙の後続部分を直線状に緊張させて略凸V字形カッタに押し付けて所定長さの包装紙片に切断し、その包装紙片を重積硬貨の周面に巻回させ、重積硬貨より上下に突出する包装紙片の突出部分を包装機構の上下のかしめ鉤で重積硬貨の上下面にかしめ、いずれの金種の包装硬貨についても包装紙片の巻回方向長さ全長が巻回された包装硬貨のいずれかの巻回包装域に、透明化域を通じて重積硬貨の周面が可視し得る可視化域が形成された包装硬貨を、上下のかしめ爪の退避と包装ローラの退避とにより包装機構から放出するものである。
そして、この構成では、包装する重積硬貨のいずれの金種についても共通でその重積硬貨の周囲に巻回して包装する硬貨包装紙であって、材質が紙材質で、この紙材質に透明化薬剤およびワックスのいずれかが浸透して形成される透明化処理が施された透明化域を有し、この透明化域は重積硬貨に巻回される巻回方向に対し交差する幅方向には全域に形成されるとともに巻回方向には所定幅でかつ所定ピッチで形成され、その透明化域の所定幅および所定ピッチは、包装する重積硬貨のいずれの金種についてもその重積硬貨の周囲に巻回した包装状態で透明化域を通じて重積硬貨の周面が可視し得る可視化域が形成される値に設定される硬貨包装紙をロール状に巻回した包装ロール紙を用いるため、セロハンや合成樹脂などの材質に比べて安価で環境への配慮の点でも優れ、紙材質でかつ包装する重積硬貨のいずれの金種についても共通でありながら透明化域を通じて重積硬貨の周面を重積方向全域にわたって可視し得て金種や枚数などを確認可能とする。さらに、包装する重積硬貨のいずれの金種についても重積硬貨の高さ方向の中心を包装ロール紙の上下方向の中心に略一致させて包装することにより、包装する重積硬貨のいずれの金種についても紙材質の共通の包装ロール紙を用いて包装可能とする。特に、透明化域の所定幅および所定ピッチは、包装する重積硬貨のいずれの金種についても、その重積硬貨の周囲に巻回して略凸V字形カッタで切断される包装紙片の巻回方向長さ全長が巻回された包装硬貨のいずれかの巻回方向域に、透明化域を通じて重積硬貨の周面が可視し得る可視化域が形成される値に設定したため、その可視化域が重積硬貨の周面のいかなる位置に形成されても重積硬貨の重積方向全域の可視が許容され、さらには包装紙片の後端部の略凹V字形状後端部に可視化域が形成される場合でも重積方向全域の可視が許容される。
請求項1記載の硬貨包装紙によれば、包装する重積硬貨のいずれの金種についても共通でその重積硬貨の周囲に巻回して包装する硬貨包装紙であって、材質が紙材質で、この紙材質に透明化薬剤およびワックスのいずれかが浸透して形成される透明化処理が施された透明化域を有し、この透明化域は重積硬貨に巻回される巻回方向に対し交差する幅方向には全域に形成されるとともに巻回方向には所定幅でかつ所定ピッチで形成され、その透明化域の所定幅および所定ピッチは、包装する重積硬貨のいずれの金種についてもその重積硬貨の周囲に巻回した包装状態で透明化域を通じて重積硬貨の周面が可視し得る可視化域が形成される値に設定したため、セロハンや合成樹脂などの材質に比べて安価で環境への配慮の点でも優れ、紙材質でかつ包装する重積硬貨のいずれの金種についても共通でありながら透明化域を通じて重積硬貨の周面を重積方向全域にわたって可視し得て金種や枚数などを確認できる。
請求項2記載の硬貨包装紙によれば、請求項1記載の硬貨包装紙の効果に加えて、包装工程で所定長さに切断されて重積硬貨の周囲に巻回される包装紙片が、包装する重積硬貨のいずれの金種についてもその重積硬貨の周囲に略2巻き巻回される場合、透明化域の所定幅および所定ピッチは、包装する重積硬貨のいずれの金種についてもその重積硬貨の周囲に巻回される包装紙片の重なり部位に各々形成される透明化域を通じて重積硬貨の周面が可視し得る可視化域が形成される値に設定したため、透明化域を通じて重積硬貨の周面を重積方向全域にわたって確実に可視し得ることができる。
請求項3記載の硬貨包装紙によれば、包装する重積硬貨のいずれの金種についても共通でその重積硬貨の周囲に巻回して包装する硬貨包装紙であって、材質が紙材質で、この紙材質に透明化薬剤およびワックスのいずれかが浸透して形成される透明化処理が施された透明化域を有し、この透明化域は重積硬貨に巻回される巻回方向に対し交差する幅方向には全域に形成されるとともに巻回方向には所定幅でかつ所定ピッチで形成され、その透明化域の所定幅および所定ピッチは、包装する重積硬貨のいずれの金種についてもその重積硬貨の周囲に巻回した包装状態で透明化域を通じて重積硬貨の周面が可視し得る可視化域が形成される値に設定したため、セロハンや合成樹脂などの材質に比べて安価で環境への配慮の点でも優れ、紙材質でかつ包装する重積硬貨のいずれの金種についても共通でありながら透明化域を通じて重積硬貨の周面を重積方向全域にわたって可視し得て金種や枚数などを確認できる。特に、透明化域の所定幅および所定ピッチは、包装する重積硬貨のいずれの金種についても、その重積硬貨の周囲に巻回して略凸V字形カッタで切断される包装紙片の巻回方向長さ全長が巻回された包装硬貨のいずれかの巻回方向域に、透明化域を通じて重積硬貨の周面が可視し得る可視化域が形成される値に設定したため、その可視化域が重積硬貨の周面のいかなる位置に形成されても重積硬貨の重積方向全域を可視でき、さらには包装紙片の後端部の略凹V字形状後端部に可視化域が形成される場合でも重積方向全域を可視できる。
請求項4記載の硬貨包装方法によれば、包装する重積硬貨のいずれの金種についても共通でその重積硬貨の周囲に巻回して包装する硬貨包装紙であって、材質が紙材質で、この紙材質に透明化薬剤およびワックスのいずれかが浸透して形成される透明化処理が施された透明化域を有し、この透明化域は重積硬貨に巻回される巻回方向に対し交差する幅方向には全域に形成されるとともに巻回方向には所定幅でかつ所定ピッチで形成され、その透明化域の所定幅および所定ピッチは、包装する重積硬貨のいずれの金種についてもその重積硬貨の周囲に巻回した包装状態で透明化域を通じて重積硬貨の周面が可視し得る可視化域が形成される値に設定される硬貨包装紙をロール状に巻回した包装ロール紙を用いるため、セロハンや合成樹脂などの材質に比べて安価で環境への配慮の点でも優れ、紙材質でかつ包装する重積硬貨のいずれの金種についても共通でありながら透明化域を通じて重積硬貨の周面を重積方向全域にわたって可視し得て金種や枚数などを確認できる。さらに、包装する重積硬貨のいずれの金種についても重積硬貨の高さ方向の中心を包装ロール紙の上下方向の中心に略一致させて包装することにより、包装する重積硬貨のいずれの金種についても紙材質の共通の包装ロール紙を用いて包装できる。
請求項5記載の硬貨包装方法によれば、包装する重積硬貨のいずれの金種についても共通でその重積硬貨の周囲に巻回して包装する硬貨包装紙であって、材質が紙材質で、この紙材質に透明化薬剤およびワックスのいずれかが浸透して形成される透明化処理が施された透明化域を有し、この透明化域は重積硬貨に巻回される巻回方向に対し交差する幅方向には全域に形成されるとともに巻回方向には所定幅でかつ所定ピッチで形成され、その透明化域の所定幅および所定ピッチは、包装する重積硬貨のいずれの金種についてもその重積硬貨の周囲に巻回した包装状態で透明化域を通じて重積硬貨の周面が可視し得る可視化域が形成される値に設定される硬貨包装紙をロール状に巻回した包装ロール紙を用いるため、セロハンや合成樹脂などの材質に比べて安価で環境への配慮の点でも優れ、紙材質でかつ包装する重積硬貨のいずれの金種についても共通でありながら透明化域を通じて重積硬貨の周面を重積方向全域にわたって可視し得て金種や枚数などを確認できる。さらに、包装する重積硬貨のいずれの金種についても重積硬貨の高さ方向の中心を包装ロール紙の上下方向の中心に略一致させて包装することにより、包装する重積硬貨のいずれの金種についても紙材質の共通の包装ロール紙を用いて包装できる。特に、透明化域の所定幅および所定ピッチは、包装する重積硬貨のいずれの金種についても、その重積硬貨の周囲に巻回して略凸V字形カッタで切断される包装紙片の巻回方向長さ全長が巻回された包装硬貨のいずれかの巻回方向域に、透明化域を通じて重積硬貨の周面が可視し得る可視化域が形成される値に設定したため、その可視化域が重積硬貨の周面のいかなる位置に形成されても重積硬貨の重積方向全域を可視でき、さらには包装紙片の後端部の略凹V字形状後端部に可視化域が形成される場合でも重積方向全域を可視できる。
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1ないし図3において、11は同一金種の硬貨を所定枚数重積した重積硬貨Cを包装する包装ロール紙で、複数金種に共通使用され、この包装ロール紙11は、材質が例えば30g/m2〜110g/m2クラフト紙などの不透明な紙材質で帯状に形成された硬貨包装紙12をパイプ状の芯材13にロール状に巻回して形成されている。
硬貨包装紙12の第1実施例について述べると、この硬貨包装紙12の重積硬貨Cに巻回する巻回方向(長手方向)に対して交差する幅方向寸法Wは、包装する重積硬貨Cのいずれの金種つまり1円、5円、10円、50円、100円、500円についても、包装可能とする値に設定されている。すなわち、硬貨を50枚ずつ重積したときの高さが1円、5円、10円の75mm、50円の87.5mm、100円の85mm、500円の90mmである場合、硬貨包装紙12の幅方向寸法Wが110mmに設定されている。
硬貨包装紙12は、包装工程において、略凸V字形カッタ75(図4参照)で切断され、硬貨包装紙12が巻回方向(長手方向)に所定長さLxの切断長さピッチ寸法の包装紙片14に切断されて重積硬貨Cの周囲に巻回される。
包装紙片14の先端および後端の切断形状は、略凸V字形カッタ75で切断されるので、先端中央が突出するとともに後端中央が窪む略V字形になっている。
この包装紙片14の先端中央の突出端と後端中央の先端側へ窪む略凹V字形状先端との寸法がLxであり、包装紙片14の後端中央の先端側へ窪む略凹V字形状先端部から包装紙片14の後端までの寸法がL1であり、包装紙片14の巻回方向(長さ方向)全長の寸法はLx+L1となる。
なお、包装紙片14の先端に形成されている略凸V字形状先端部と、包装紙片14の後端に形成されている略凹V字形状後端部とは、同じ略凹V字形カッタ75で切断されるので、凹凸の違いはあれ、同じ形状であり、寸法も同じL1である。包装紙片14において先端側の略凹V字形状先端部(寸法L1)と後端側の略凹V字形状後端部(寸法L1)の間の巻回方向(長さ方向)域が後続主要部分(Lx−L1)で、重積硬貨を巻く包装紙片14の主要部分となる。
この例では、L1は20mmに設定されている。なお、略凹V字形カッタ75により切断される包装紙片14の巻回方向(長さ方向)の後端について、本例では上側後端と下側後端が巻回方向(長さ方向)の等位置にある。ところが、上側後端または下側後端の一方が他方より巻回方向(長さ方向)の後方に位置している場合は、包装紙片14の後端中央の先端側へ窪む略凹V字形状先端から包装紙片14の後端のうち後方に位置する上側後端または下側後端までの寸法がL1となる。
包装紙片14の所定長さLxは、包装する重積硬貨Cのいずれの金種についても、その重積硬貨Cの周囲に略2巻きに巻回される値に設定されている。例えば、硬貨の外径が1円の20mm、5円の22mm、10円の23.5mm、50円の21mm、100円の22.6mmの場合、略2巻きに巻回可能とする包装紙片14の所定長さLxは145mmに設定され、また、500円の26.5mmの場合、略2巻きに巻回可能とする包装紙片14の所定長さLxは他の金種の145mmより少し長い167mmに設定される。
硬貨包装紙12には、紙材質の不透明な領域に不透明域15が形成され、この不透明域15より透明な透明化域16が重積硬貨Cに巻回する巻回方向に対し交差する幅方向には全域の幅方向寸法Wに形成されているとともに巻回方向には所定幅bでかつ所定ピッチpで形成されている。この透明化域16は、例えば、包装ロール紙11の製造段階でアクリル系、ポリエステル系などの透明化薬剤やワックスをフレキソ印刷機、グラビア印刷機、スクリーン印刷機などの印刷機で塗布して紙材質に浸透させる透明化処理により、紙材質より透明度を高くし、硬貨包装紙12の一側方向から透明化域16を透かして他側方向を可視できるようにしている。
なお、透明化域16の透明度は重積硬貨Cに巻回した状態で、重積硬貨Cが確認できる程度であれば半透明であってもよい。
透明化域16の巻回方向における所定幅bおよび所定ピッチpは、包装する重積硬貨Cのいずれの金種についても、その重積硬貨Cの周囲に巻回した包装状態で透明化域16を通じて重積硬貨Cの周面が可視し得る値に設定されており、重積硬貨Cの周囲に包装紙片14が略2巻きに巻回される場合、重積硬貨Cの周囲に巻回される包装紙片14の重なり部位に各々形成される透明化域16を通じて重積硬貨Cの周面が可視し得る可視化域Yが形成される値に設定されている。例えば、所定ピッチpは、包装する重積硬貨Cのいずれの金種についても対応できるように、最小外径金種の外径と最大外径金種の外径との平均外径から求められる円周の長さとして設定でき、最小外径金種の外径20mmと最大外径金種の外径26.5mmの場合、(20+26.5)/2×3.14=73mmに設定する。また、所定幅bは、所定ピッチpより短い値で、30mmに設定される。
硬貨包装紙12の不透明域15の表面には、予め銀行名などの表示を印刷したり、包装工程において金種や金額などの表示を印刷可能とする。
次に、図4に硬貨包装機21を示し、この硬貨包装機21は、包装する金種の硬貨を1枚ずつ供給する包装用硬貨供給機構22、この包装用硬貨供給機構22から供給される硬貨を所定枚数ずつ重積する硬貨重積機構23、この硬貨重積機構23で重積された重積硬貨Cを包装ロール紙11から切断した包装紙片14で包装する包装機構24、この包装機構24に包装ロール紙11を供給する給紙機構25、および包装機構24で包装完了した包装硬貨(棒金)を排出する包装硬貨排出機構26、包装サイクルを定めるカム群27を有している。
包装用硬貨供給機構22では、包装する硬貨をホッパ31に受け入れて供給円盤32により回転円盤33に所定量ずつ供給し、この回転円盤33の回転による遠心力によって硬貨を硬貨通路34へ1枚ずつ送り込み、この硬貨通路34の上方に配設された搬送ベルト35によって硬貨通路34内の硬貨を搬送する。硬貨通路34は、固定通路板36と可動通路板37との間に形成されており、これら固定通路板36と可動通路板37との間隔は、包装する包装金種の硬貨が跨って載った状態で硬貨通路34を通過し、包装金種より小径の金種の硬貨が固定通路板36と可動通路板37との間から落下排除されるように構成されている。硬貨通路34には、硬貨を識別するセンサ38、硬貨通路34から送り出す硬貨枚数を検知するセンサ39、および硬貨重積機構23に対して所定の重積枚数分の硬貨を送り出した後の次の硬貨を停止させるストッパ40がそれぞれ配設されている。
また、硬貨重積機構23は、対向して配置される一対の重積ベルト41とこれら一対の重積ベルト41と交差する方向で対向して配置される一対のガイド42とを有し、これら一対の重積ベルト41と一対のガイド42との間に重積空間43が形成されている。一対の重積ベルト41の表面に突起41aが設けられ、これら両突起41a上に硬貨通路34から送り出される硬貨を受け取り、さらにこれら両突起41aに載る硬貨上に続けて硬貨通路34から送り出される硬貨を順に受け取って重積する。一対の重積ベルト41の突起41a上に1枚の硬貨を受け取って重積する度に一対の重積ベルト41を回転させて突起41aを硬貨1枚分ずつ下降させることにより、突起41a上に所定枚数の硬貨を重積して重積硬貨Cを構成する。一対の重積ベルト41の下部間には両突起41a上から重積硬貨Cを受け取るとともに包装機構24に受け渡すシャッタ44が開閉可能に配設されている。
また、包装機構24は、硬貨重積機構23の下方に配置された3本の包装ローラ45,46,47を有し、これら包装ローラ45,46,47のうち、2本の包装ローラ45,46は定位置で回転可能とし、残りの1本の包装ローラ47は径方向に移動可能で、重積硬貨Cを3本の包装ローラ45,46,47で挟持可能としている。定位置で回転する2本の包装ローラ45,46のうちの1本はモータによって回転駆動し、3本の包装ローラ45,46,47で挟持した重積硬貨Cを回転させる。
包装機構24は、硬貨重積機構23から3本の包装ローラ45,46,47間に重積硬貨Cを送り込む重積硬貨供給機構48を有している。図5に示すように、この重積硬貨供給機構48は、図示しないガイドによって3本の包装ローラ45,46,47間で上下方向に移動可能に支持された支持部49を有し、この支持部49の溝50に揺動レバー51の一端のローラ52が転動可能に係合され、この揺動レバー51の他端のローラ53が案内部材54の案内溝55に転動可能に係合されている。
揺動レバー51の中間には従動レバー56の先端がピン57によって回転可能に連結され、従動レバー56の基端がピン58によって定位置に回転可能に支持されている。従動レバー56の中間にカムローラ59が回転可能に軸支され、このカムローラ59が支持部49の上下方向の高さ位置を上昇、下降させる昇降用カム60(包装サイクルを定めるカム群27の1個)のカム面に当接されている。昇降用カム60のカム面は環状に形成され、回転時に所定位置に回動する昇降用カム60のカム面との当接位置に応じてカムローラ59を上下方向に移動させることにより、従動レバー56がピン58を支点として上下方向に揺動するとともに、この従動レバー56によって揺動レバー51が案内部材54に係合するローラ53を支点として上下方向に揺動し、支持部49が上下方向に移動する。そして、昇降用カム60の回転で上下方向に移動する支持部49は、硬貨重積機構23から重積硬貨Cを受け取る重積硬貨受取位置A1、重積硬貨Cを包装機構24で包装する包装位置A2、包装機構24の下方で包装硬貨を放出する放出位置A3に移動する。
案内部材54には一体回動するアーム61が突設され、このアーム61の先端にカムローラ62が回転可能に軸支され、このカムローラ62が金種切換用カム63のカム面に当接されている。金種切換用カム63のカム面は環状に形成され、金種切換時に回動する金種切換用カム63のカム面との当接位置に応じてカムローラ62を上下方向に移動させることにより、アーム61と一緒に案内部材54が回動し、案内部材54の案内溝55が回動変位して揺動レバー51のローラ53の位置を上下方向に移動させ、揺動レバー51が従動レバー56のピン57を支点として上下方向に揺動し、支持部49が上下方向に移動する。そして、金種切換用カム63の切り換えにより、包装位置A2に移動する支持部49は、重積硬貨Cの高さ位置を金種に応じて異ならせるとともに、いずれの金種についても重積硬貨Cの高さ方向の中心を包装機構24に導く包装ロール紙11の上下方向の中心hに略一致させる。なお、重積硬貨Cの高さ調整は、重積硬貨Cの各金種別に個別に調整するか、重積硬貨Cの高さを大、中、小の3グループに分けて3段階に調整する。
包装機構24には、重積硬貨Cの周面に巻回した包装紙片14の重積硬貨Cの上下より突出する突出部分を重積硬貨Cの上下面に巻き込んでかしめる上下のかしめ鉤64が配設されている。
また、給紙機構25は、包装ロール紙11が装填される装填部65を有し、この装填部65には包装ロール紙11が載置される回転可能とする円板66、この円板66から突出して包装ロール紙11の芯材13が挿通される支持軸67が突設されている。円板66は包装ロール紙11の引出方向に対して所定の制動力が与えられ、引出時に包装ロール紙11が慣性回転するのを防止している。
図4および図6に示すように、包装ロール紙11の先端つまり硬貨包装紙12の先端は一対の給紙ローラ68,69間にくわえ込まれ、これら給紙ローラ68,69の駆動によって硬貨包装紙12の先端を包装機構24の包装ローラ45〜47間に導く湾曲した給紙通路70が形成されている。この給紙通路70には、硬貨包装紙12の一面をガイドする複数のガイド板71,72,73が配設されているとともに、硬貨包装紙12の下縁をガイドする基台74が配設されている。中間のガイド板72は湾曲状に形成されている。
給紙通路70に臨んで硬貨包装紙12を所定長さの包装紙片14に切断するための略凸V字形カッタ75が配設され、この略凸V字形カッタ75の刃部は中央が突出する略V字形に形成されている。
包装硬貨排出機構26は、包装機構24から放出される包装硬貨を受け取る受取部76を有し、この受取部76に受け取った包装硬貨を所定の場所に搬送する。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
図4に示すように、包装ロール紙11を装填部65に装填し、包装ロール紙11の先端つまり硬貨包装紙12の先端を一対の給紙ローラ68,69間を通じて給紙通路70に送り込み、硬貨包装紙12を略凸V字形カッタ75で切断して硬貨包装紙12の先端形状を略凸V字形とし、図6に実線で示すように、硬貨包装紙12の先端部を包装ローラ45〜47の直前の待機位置に送って待機させる。
包装する硬貨をホッパ31に投入し、このホッパ31に投入された硬貨を回転円盤33を通じて硬貨通路34に1枚ずつ送り込み、この硬貨通路34で識別するとともに包装金種の硬貨のみを硬貨重積機構23へ送り出し、重積硬貨Cを構成する所定枚数分の硬貨を送り出したら後続の硬貨をストッパ40で停止させ、次の重積硬貨Cを構成する硬貨の送り出しに待機する。
硬貨重積機構23では、一対の重積ベルト41の突起41a上に硬貨通路34から送り出される硬貨を受け取り、一対の重積ベルト41の突起41a上に1枚の硬貨を受け取って重積する度に一対の重積ベルト41を回転させて突起41aを硬貨1枚分ずつ下降させることにより、突起41a上に所定枚数の硬貨を重積して重積硬貨Cを構成する。
一対の重積ベルト41の突起41a上に重積された重積硬貨Cをシャッタ44に受け渡す。図5に示すように、このシャッタ44の下側には、重積硬貨受取位置A1に移動させた重積硬貨供給機構48の支持部49が位置し、シャッタ44の開放によって重積硬貨Cを支持部49に受け渡す。重積硬貨Cを載せた支持部49を包装位置A2に移動させ、重積硬貨Cを包装機構24の包装ローラ45〜47間に移動させる。このとき、重積硬貨Cの高さ位置を金種に応じて異ならせるとともに、いずれの金種についても重積硬貨Cの高さ方向の中心を包装機構24に導く包装ロール紙11の上下方向の中心hに略一致させる。
包装機構24の包装ローラ45〜47で重積硬貨Cを挟持して回転させるとともに、重積硬貨Cの挟持の直前あるいは直後に、一対の給紙ローラ68,69によって硬貨包装紙12の先端を重積硬貨Cと包装ローラ45との間に送り込み、硬貨包装紙12の先端を重積硬貨Cの周囲に巻回開始させる。
給紙ローラ68,69の硬貨包装紙12の送出速度より包装ローラ45〜47による巻回速度が速く、これらの速度差によって、図5に2点鎖線で示すように、硬貨包装紙12が直線状に緊張していって略凸V字形カッタ75に押し付けられ、所定長さLの包装紙片14に切断する。したがって、所定長さの包装紙片14が重積硬貨Cの周囲に巻回され、略凸V字形カッタ75によって切断した後続の硬貨包装紙12の先端部は包装ローラ45〜47の直前の待機位置に送って次回の包装動作に待機させる。なお、500円以外の包装金種の場合には、包装紙片14の所定長さLxが重積硬貨Cを略2巻きに巻回可能とする145mmであるが、包装金種が500円の場合には、給紙ローラ68,69の送出速度を少し速めることにより、包装紙片14の所定長さLxを145mmより長い157mmとして500円の重積硬貨Cを略2巻きに巻回可能としている。
上下のかしめ鉤64により、重積硬貨Cの周面に巻回した包装紙片14の重積硬貨Cの上下より突出する突出部分を重積硬貨Cの上下面に巻き込んでかしめ、図2に示すように、重積硬貨Cを包装紙片14で包装した包装硬貨を形成する。
包装機構24による上下のかしめ鉤64のかしめ動作終了後、包装硬貨を載せた支持部49を包装機構24の下方の放出位置A3に移動させるとともにこの支持部49を側方に移動させ、包装ローラ47の開放方向への移動によって包装硬貨を下方へ放出し、この放出された包装硬貨を包装硬貨排出機構26の受取部76に受け取って所定の場所に搬送する。
そして、包装硬貨は、図3(a)(b)に示すように、最小径硬貨である1円から最大径硬貨である500円のいずれの金種についても、重積硬貨Cの周囲に包装紙片14の切断長さ寸法Lxが略2巻きに巻回されている。重積硬貨Cの周囲に巻回される包装紙片14の1巻きずつに透明化域16が位置し、包装紙片14の1巻き目の透明化域16と2巻き目の透明化域16との一部が重なり、これら両透明化域16の重なり部位である透明化域Yを通じて重積硬貨Cの周面が可視し得る。
次に、硬貨包装紙12の第1実施例および第2実施例について、さらに詳細に説明する。
まず、硬貨包装紙12の包装紙片14の第1実施例を説明する。
なお、硬貨包装紙12は60g/m2のクラフト紙にピッチpが73mm、所定幅bが30mmの透明化域16をフレキソ印刷機でアクリル系透明化薬剤を40g/m2塗布、含浸し形成した。
1円、5円、10円、50円、100円の各金種硬貨を包装する包装紙片14の切断長さLxは145mm、略凹V字形状後端部の寸法L1の寸法は20mmであり、500円の金種硬貨を包装する包装紙片14の切断長さLxは167mm、略凹V字形状後端部の寸法L1の寸法は20mmであるので、Lx部分の巻数は1円の2.3巻、5円の2.1巻、10円の2巻、50円の2.2巻、100円の2巻、500円の2巻、(Lx+L1)の巻数は1円の2.6巻、5円の2.4巻、10円の2.2巻、50円の2.5巻、100円の2.3巻、500円の2.2巻となる。
また、1円、5円、10円、50円、100円(以下1円〜100円と記載する)はピッチp(73mm)の点からみると、包装硬貨1本について1.98pずつ使われる。また、500円は包装硬貨1本につき2.3pずつ使われる。
包装ロール紙11は1本で例えば包装硬貨2000本程度(500円硬貨の包装本数で算出)が包装され、1円〜100円から500円へ、またはその逆の金種変更が行われると、1.98pから2.3pへ、またはその逆の包装紙片14の送り量が変わる。
その結果、包装紙片14は、1円〜100円および500円のいずれについても73本を1サイクルとし、同一金種硬貨が連続的に包装されるとすると1本目と73本目の包装紙片14が同じ可視化域Y位置の状態となり、不透明域15および透明化域16の配置も1本目と73本目が同じとなる。
そして、1円〜100円および500円について包装硬貨の周面に出現する可視化域Yの個数、可視化域Yの幅、可視化域Yの出現箇所について次の表1に示す。
次に、硬貨包装紙12の第2実施例を説明する。
この第2実施例では、金種毎に全て完全二重巻きとなるLxの寸法に設定される。具体的には、硬貨の外径が1円の20mmの場合の所定長さLxは126mm、5円の22mmの場合の所定長さLxは138mm、10円の23.5mmの場合の所定長さLxは148mm、50円の21mmの場合の所定長さLxは132mm、100円の22.6mmの場合の所定長さLxは142mm、500円の26.5mmの場合の所定長さLxは167mmに設定される。硬貨包装紙12の幅方向寸法W、包装紙片14の略凸V字形状先端部および略凹V字形状後端部の各寸法L1は第1実施例と同じである。
また、包装ロール紙11の1本で例えば2000本程度(500円硬貨の包装とみて算出)の包装硬貨が包装できるようになっている。
そして、1円〜100円および500円の各金種硬貨を包装する包装紙片14の切断長さLxについて述べると、1円のLxは126mm、5円のLxは138mm、10円のLxは148mm、50円のLxは132mm、100円のLxは142mm、500円のLxは第1の実施例と同じ167mmである。
略凹V字形状後端部の寸法L1は、1円〜100円および500円の全て20mm(第1の実施例と同じ)である。
その結果、Lxの巻数は1円〜100円および500円の全金種とも2巻となり、Lx+L1の巻数は1円〜100円は2.3巻、500円は2.2巻となる。
1円〜100円および500円の包装硬貨1本あたりの使用量についてピッチp(73mm)の点からみると、1円は1.7p、5円は1.9p、10円は2p、50円は1.8p、100円は1.9p、500円は2.3pである。
包装金種の変更時は変更前の金種の包装紙片14の送りピッチ量から、変更後の金種の包装紙片14の送りピッチ量に変わるが、同じ略凸V字形カッタ75で切断されるため、包装紙片14の略凸V字形状先端部、および略凹V字形状後端部の形状は金種が変わっても変わらない。
1円〜100円および500円のいずれも73本を1サイクルとし、同一金種硬貨が連続的に包装されるとすると、1本目と73本目の包装紙片14が同じ可視化域Y位置の状態となり、不透明域15および透明化域16の配置も1本目と73本目か同じとなる。
そして、1円〜100円および500円について包装硬貨の周面に出現する可視化域Yの個数、可視化域Yの幅、可視化域Yの出現箇所について次の表2に示す。
なお、硬貨包装紙12の第1実施例および第2実施例における1本目から73本目までの不透明域15、透明化域16の各配置は、紙厚を考慮しないで示したものであり、紙厚の大小によっては変化することになり、また、透明化域16の所定幅bとか所定ピッチpの誤差、硬貨包装機21の製造誤差、略凸字形カッタ75による包装紙片14の切断時の誤差などによっても変わってくる。両例とも一例として示したもので、両例に限られるものではない。
このように、硬貨包装紙12は、材質が紙材質で、この紙材質に透明化処理が施された透明化域16を有し、この透明化域16は重積硬貨Cに巻回される巻回方向に対し交差する幅方向には全域の幅方向寸法Wに形成されるとともに巻回方向には所定幅bでかつ所定ピッチpで形成され、その透明化域16の所定幅bおよび所定ピッチpは、包装する重積硬貨Cのいずれの金種についても、その重積硬貨Cの周囲に巻回した包装状態で透明化域16を通じて重積硬貨Cの周面が可視し得る可視化域Yが形成できる値に設定したため、セロハンや合成樹脂などの材質に比べて安価で環境への配慮の点でも優れ、しかも、紙材質でかつ包装する重積硬貨Cのいずれの金種についても共通でありながら透明化域16を通じて可視化域Yにより重積硬貨Cの周面を可視し得て金種や枚数などを確認できる。
しかも、包装紙片14が重積硬貨Cの周囲に略2巻き(例えば切断長さ寸法Lxについて2巻〜2.3巻)巻回される場合でも、透明化域16の所定幅bおよび所定ピッチpは、包装する重積硬貨Cのいずれの金種についても、その重積硬貨Cの周囲に巻回される包装紙片14の重なり部位(1巻目と2巻目の各部位)に各々形成される透明化域16を通じて重積硬貨Cの周面が可視し得る可視化域Yが形成できる値に設定したため、透明化域16を通じて可視化域Yにより重積硬貨Cの周面を確実に可視し得ることができる。
また、硬貨包装紙12の紙材質に透明化薬剤およびワックスのいずれかを浸透させることにより、透明化域16を容易に形成できる。
また、包装工程において、包装する重積硬貨Cのいずれの金種についても重積硬貨Cの高さ方向の中心を包装ロール紙11の上下方向の中心hに略一致させて包装することにより、包装する重積硬貨Cのいずれの金種についても紙材質の共通の包装ロール紙11を用いて包装できる。
なお、硬貨包装紙12の紙材質としては、クラフト紙を用いることにより、丈夫で、透明化域16を容易に形成しやすいが、重積硬貨Cへの包装紙片14の巻き数を変化させたり透明化薬剤の選択などによって他の紙材質を用いることもできる。