JP4401071B2 - 易開栓型キャップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンパーエビデント特性を有する易開栓型キャップに関するものであり、より詳しくは、容器への内容物充填後のキャッピング操作並びにキャップ開封時の操作が、いずれも容易、且つ確実になされ得る易開栓型キャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
飲食物用の容器のキャップは、第一義的に容器内の内容物である飲食物の漏れや菌類や異物の侵入を長期にわたり防ぎ、飲食物の変質を防止するものであるから、容器の口部に強固に取り付け、緩みや隙間が生じないようにする必要がある。このキャップは、タンパーエビデント特性、すなわち、内容物の飲食物に対する不正防止特性を有するものが主流となっている。このタンパーエビデント特性を有するキャップは、材質面ではプラスチック又は金属のいずれかで構成されている。
【0003】
プラスチック製のキャップは、その素材特性の圧縮性、変形性を利用して、特に異材質のシール材を介在させなくても、容器内の密封性を確保できることから多用されている。このようなプラスチック製のキャップaは、図4に示すように、天板bの周縁に筒体cを設けてなるキャップ本体dと、該キャップ本体dの筒体c端部に破断可能な複数のブリッジeを介して連なるリング体fとを有してなり、容器の口部に装着してこの口部とキャップ本体dとを上記のプラスチック特性を利用して密着させ、容器内を閉栓するように構成されている。
【0004】
このプラスチック製のキャップaは、キャップ本体dを開栓方向に回して、複数のブリッジeを破断してリング体fから離脱させないと、容器を開栓することが出来ず、キャップ本体dがリング体fから離脱していることは、キャップaが既に開栓していることを示し、これでタンパーエビデント特性を担保している。このキャップaは、更にキャップ本体dを回して容器の口部から外すことで開栓し、容器の内容物を利用することが出来、内容物が残留している場合に再び容器の口部にキャップaを装着すれば、容器内を閉栓することが出来る。
【0005】
ところで、このキャップaの複数のブリッジeは、タンパーエビデント特性を具現化する意味で、通常それぞれ一定の破断強度が付与されて、ある程度の力でキャップ本体dを手指で開栓方向に回さないと開けることができないようになっている。また、密封性を保持するために、ねじ部によりシール部が容器口部に圧接されているため、開栓の際にある程度の力を必要とする。
したがって、力の弱い子供や老人あるいは女性にとって、キャップaを開栓する操作は必ずしも容易ではなく、特に手が濡れているような場合は、比較的力の強い男性でも開栓しづらく、子供や老人、女性では一層開栓が困難になることがある。
【0006】
このような状況から、キャップの側面にゴムなどのすべり止めを設け、力の弱い子供や老人、女性でもキャップaを開栓することを容易にしたものが提案されている。例えば、実用新案登録第3011771号公報には、アルミ製のタンパーエビデント特性を有したネジ式キャップの外周面全体に、ゴムなどのすべり止めを設けたものが開示されている。また、実用新案登録第3008012号公報には、キャップの外周面全体にゴムなどのすべり止めを設け、更に瓶の外周面にもゴムなどのすべり止めを設けたものが開示されている。さらに、実開平7−4354号公報には、キャップの外周面全体にゴムなどのすべり止めを設けたものが、実開平6−35149号公報には、キャップの外周面の一部にゴムなどのすべり止めを設けたものが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記した飲食物用容器のキャップは、すでに述べたように、タンパーエビデント特性を有すると、有しないとにかかわらず、第一義的に容器内の飲食物の漏れや菌類や異物の侵入を長期にわたり防ぎ、飲食物の変質を防止するものであるから、容器の口部に強固に取り付け、緩みや隙間が生じないようにしている。したがって、上記した先行技術は、いずれもキャップの外周面にゴムなどのすべり止めを設けているから、そのすべり止めにより、消費段階における開栓が容易となることは明らかである。ところが、これら先行技術はいずれもキャップの開栓を容易にしてはいるが、内容物充填時の閉栓については考慮していない。飲食物用容器のキャップは、容器内の飲食物の漏れや菌類や異物の侵入を長期にわたり防ぎ、飲食物の変質を防止することが第一義的であり、易開栓性は第二義的な問題である。
【0008】
現状での容器の口部に対するキャップの装着は、工業的な生産体系では機械化され、通常チャックと呼ばれるつかみ取り機によりキャップを回転不可につかみ取り、容器の口部にあてがい回転させ螺着することで、強固に取り付け緩みや隙間が生じないようにして、行われるものである。しかしながら、上記した先行技術の例は、いずれもキャップの外周面にゴムなどの軟質のすべり止めを設けているだけで、上記チャックによりつかみ取ると、すべり止めにキズが付いて破れたり、更に回転させ螺着して強固に取り付けようとすると、すべり止めが剥がれたり、空回りして容器の口部にキャップの装着が充分にできなくなる虞がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、消費段階における開栓が容易であることに加え、工業的な生産体系における閉栓も極めて容易にすることができる易開栓型キャップを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであって、下記の構成からなることを特徴とするものである。
すなわち、本発明によれば、天板の周縁外周にローレットが形成された筒体を設けてなるキャップ本体と、該キャップ本体の筒体端部に破断可能な複数のブリッジを介して連なるリング体とを有して、容器の口部に装着して該容器を密封するキャップであって、前記キャップ本体の前記筒体外周面上方には、前記ローレット部が露出状態で形成されており、前記筒体の下方からほぼ中間部に至る外周面には、筒体の材質よりも摩擦係数が高く、且つ、軟質の熱可塑性樹脂エラストマーからなる開栓用すべり止めを周設したことを特徴とする易開栓型キャップが提供される。
【0011】
また、本発明によれば、前記開栓用すべり止めの表面凹部または凸部が断続的に形成されてなる上記易開栓型キャップが提供される。
【0013】
また、本発明によれば、前記開栓用すべり止めは、前記筒体外周面より大径であり、且つ前記筒体外周面に設けた係止突起により移動不可に保持されている上記易開栓型キャップが提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施の形態を示す易開栓型キャップの側面図、図2は本発明の実施の形態である易開栓型キャップを容器に装着した状態を示す半裁断面図、図3は図1の縦断面図である。
これら図面において、易開栓型キャップ1は、天板2の周縁に外周にローレットが形成された筒体3を設けてなるキャップ本体4と、このキャップ本体4の筒体3端部に破断可能な複数のブリッジ5を介して連なるリング体6とを有してなり、容器7の口部8(図2の二点鎖線にて示す)に装着してこのようき7を密封するものであって、前記キャップ本体4の前記筒体3外周面上方にローレット部30を露出した状態で形成し、前記筒体の下方からほぼ中間部に至る外周面には、筒体3の材質よりも摩擦係数が高く、且つ、軟質の熱可塑性樹脂エラストマーからなる開栓用すべり止め10を周設したことを特徴とするものである。
【0016】
この易開栓型キャップ1は、容器7内に内容物が充填された後、その口部8に装着されることで、最終製品の一部をなすものであるが、キャップ本体上方に周設されたローレット30は、巻締装置のチャック(図示せず)の凹部に係合して閉蓋作業を確実なものにするために利用される。
すなわち、容器7に内容物を充填したあとのキャッピングは、工業的な生産体系では機械化され、キャッピング用のローレット30に対応する形状のチャックにより、易開栓型キャップ1をつかみ取り、容器7の口部8にあてがい回転させて螺着することで、巻締不足等が生じないように確実な密封が行われる。したがってこのローレット30があることにより、キャップ本体4の外周面に傷が付いたり、空回りして易閉開栓型キャップ1の装着ができなくなるなどの虞がない。
【0017】
このキャップ本体4は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系の熱可塑性樹脂にて構成され、そのキャップ本体4の天板2には、容器7の口部8の内周面に接するインナーリング20、口部8の外周面に接するアウターリング21及び口部8の天面に接する突起22を有してなるシール部23が設けられ、このシール部23により、容器7内の密封性が担保されている。更に、筒体3の内周面には、容器7の口部8の外周面にあるネジに沿ったネジ24が設けられ、この筒体3の端部には上述の通り複数のブリッジ5を介してリング体6が連なっている。
【0018】
従って、この易開栓型キャップ1は、キャップ本体4により容器7の口部8に対する螺着性及び密封性を充足すると共に、この易開栓型キャップ1の開栓は、キャップ本体4を手指で持ち開栓方向に回しブリッジ5を破断して、リング体6から分離することで行うから、開栓の事実を容易に確認でき、タンパーエビデント特性を満足させるものである。なお、キャップ本体4の外周面には手指で強く開栓方向に回すことが出来るように、前記開栓用すべり止め10が設けられている。また、図2、図3中、25はフラップ片であり、容器7の口部8にリング体6を固定するのに重要な役割を担うものである。
内容物充填後の閉栓用すべり止めとして機能するローレット30は、キャップ本体4及びこれに複数のブリッジ5を介して連なるリング体6をインジェクション成形すると同時に形成される。
【0019】
一方、前記開栓用すべり止め10も、手指による開栓時にすべり止めができれば、その形状などに特に限定はない。この開栓用すべり止め10を筒体3の表面のような硬質材とした場合は、形状により摩擦係数を高めなければならないため、本発明では筒体3の材質より摩擦係数が高く、且つ軟質の熱可塑性樹脂エラストマーを用い、開栓用すべり止め10の外表面に断続的または連続的に帯状に形成している。また、この開栓用すべり止め10は、前記筒体3のリング体側の下方からキャップ本体4のほぼ中間部に達する外周面に形成しておけば、キャップ本体の上方に形成されている前記ローレット30の露出部を確保出来る。
【0020】
この開栓用すべり止め10は、筒体3の材質よりも摩擦係数が高く、且つ、軟質の熱可塑性樹脂エラストマーにて構成し、これを二色成形によってキャップ本体成形時に一体化されることが好ましい。この熱可塑性樹脂エラストマーとしては、熱可塑性スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン-非共役ジエン・ゴムなどが例示される。
【0021】
開栓用すべり止め10は、キャップ本体の外周に上記の制限条件を満たして設けられているかぎり、その形状はとくに制限されるものではないが、図1に示したような、凹部または凸部が断続的に形成されていることが好ましく、凸部部分は筒体3の外周面より大径に形成されることが好ましい。また、この開栓用すべり止め10は筒体3外周面に設けた係止突起31により移動不可に保持されていることが好ましい。この係止突起31は、ローレット30に連なる突起32と筒体3下端のはね上げ部33とで構成し、その間に開栓用すべり止め10を設けて筒体3の外周面から離脱や空回りを防いでいる。更に、突起32とはね上げ部33との間の筒体3の外周面に突起(図示せず)、例えば前述のローレット30のようなものを設けてあれば、開栓用すべり止め10の空回り防止に万全となる。また、開栓用すべり止め10には、その表面に凹部34が設けられ手指のかかりを良くし、開栓し易くすることが好ましい。
【0022】
次に、上記構成になる易開栓型キャップ1の作用について説明する。
まず、容器7内に飲食物等の内容物を充填し終わったら、容器7の口部8に易開栓型キャップ1を螺着するが、これは巻締装置に付設されているチャックによりキャッピング用のローレット30に沿って易開栓型キャップ1をつかみ取り、容器7の口部8にあてがい、チャックを閉栓方向に回転させて容器7の口部8に強固に螺着することで、巻締不足等が生じないようにキャッピングして、全体として最終製品とする。この最終製品が、最終ユーザーに渡り消費される。最終ユーザーは、消費に際して、まず、キャップ本体4の外周面にある開栓用すべり止め10に手指をかけ、開栓方向に回すことになる。
【0023】
この際開栓用すべり止め10は、軟質の熱可塑性樹脂エラストマーにて構成してあることにより手触りが良く、しかも摩擦係数が高くその上に凹部34もあるため手指の開栓方向に回す力がそのままキャップ本体4に伝わり、このキャップ本体4の筒体3端部とリング体6とを破断可能に連なる複数のブリッジ5を容易に破断することができる。従って、最終ユーザーが、力の弱い子供や老人、女性であっても、容器7の口部8からキャップ本体4を容易に外し、容器7の内容物を利用出来、内容物を利用しきれない場合には再び口部8にキャップ本体4を螺着し、容器7を密封できる。
【0024】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体的な構成はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での変更は適宜なし得るものと理解すべきである。
【0025】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、容器内に内容物を充填したあと、閉栓用すべり止め(ローレット)を利用して容器の口部に易開栓型キャップを機械的に装着する機能を保持しながら、消費時には開栓用すべり止めに手指をかけて易開栓型キャップを開栓方向に回せば、手指の力がそのまま伝わり開栓を容易に行うことができる。従って、消費段階における最終ユーザーが力の弱い子供や老人、女性であっても開栓が容易であることに加え、工業的な生産体系における閉栓も極めて容易にすることができる効果がある。
また、本発明によれば、開栓用すべり止めを摩擦係数の高い素材で構成しているために、開栓時にすべらず、更に軟質材を採用しているから手触りがよい易開栓型キャップを開栓できる。
また、開栓用すべり止めが筒体外周面より大径に形成されていることにより、開栓時の力が少なくて済み、接着に加えて係止突起を設けると更に開栓用すべり止めが移動不可となり空回りしないという効果がある。さらに、開栓用すべり止めを構成する素材である熱可塑性樹脂系エラストマーをキャップ本体の成形時に二色成形により一体化することができ、成形が容易であるばかりでなく、キャップ本体とすべり止めとが強固に一体化された製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す易閉開栓型キャップの側面図である。
【図2】本発明の実施の形態である易閉開栓型キャップを容器に装着した状態を示す半裁断面図である。
【図3】図1の縦断面図である。
【図4】従来例の縦断面図である。
【符号の説明】
1,a 易閉開栓型キャップ
2,b 天板
3,c 筒体
4,d キャップ本体
5,e ブリッジ
6,f リング体
7 容器
8 口部
10 開栓用すべり止め
20 インナーリング
21 アウターリング
22,32 突起
23 シール部
24 ネジ
25 フラップ片
30 ローレット
31 係止突起
33 はね上げ部
34 凹部
a プラスチック製のキャップ

Claims (3)

  1. 天板の周縁外周にローレットが形成された筒体を設けてなるキャップ本体と、該キャップ本体の筒体端部に破断可能な複数のブリッジを介して連なるリング体とを有して、容器の口部に装着して該容器を密封するキャップであって、前記キャップ本体の前記筒体外周面上方には、前記ローレット部が露出状態で形成されており、前記筒体の下方からほぼ中間部に至る外周面には、筒体の材質よりも摩擦係数が高く、且つ、軟質の熱可塑性樹脂エラストマーからなる開栓用すべり止めを周設したことを特徴とする易開栓型キャップ。
  2. 前記開栓用すべり止めの表面外周には凹部または凸部が断続的に形成されてなる請求項1記載の易開栓型キャップ。
  3. 前記開栓用すべり止めは、前記筒体外周面より大径であり、且つ前記筒体外周面に設けた係止突起により移動不可に保持されている請求項1または2記載の易開栓型キャップ。
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