JP4400241B2 - ケイ素系アルカリ可溶性樹脂 - Google Patents
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マクロモレキュールズ(Macromolecules),2002, 35, P2452-2454。
しかし、上記一般式(5)で表される有機ケイ素化合物は、縮合速度が遅く、製膜性を有する程度に縮合させるには1週間以上の縮合時間を要する。従って、上記一般式(5)で表される有機ケイ素化合物単独では、成膜材料の原料として実用的でなく、工業的な面を考えると、より短時間で縮合させることができ、かつ製膜性を有する材料が望まれている。
一方、ヘキサフルオロカルビノール基を有するケイ素系アルカリ可溶性樹脂として、種々の樹脂が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
脂肪族環を有するアルカリ可溶性樹脂についても報告されているが、高価なモノマーを用いるため、工業的な面を考えるとより安価な材料が望まれているのが現状である。
・目的の樹脂を得るには、脱ハロゲン化工程が必要である。
・ヘキサフルオロカルビノール基の保護および脱保護反応が必要であり、工程が複雑である。
以下、本発明について詳述する。
また、末端シラノール基を保護すれば、経時に対しても安定であり、樹脂末端の架橋によるゲル化(不溶化)を抑制することができる。
上記一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)および一般式(4)におけるR1、R2、R3およびR4は、炭素数1から3のアルキル基である。その中でも、原料が得易く、合成が容易なことから、一般的にエチル基が好ましい。
最も好ましい有機ケイ素化合物(1)は、以下の構造式で示される化合物(I)(以下、TEStBuと略す)である。
最も好ましい有機ケイ素化合物(3)は、以下の構造式で示される化合物(II)(以下、TESHFC-OHと略す)である。
本発明のケイ素系アルカリ可溶性樹脂は、例えば次のようにして製造することができる。
樹脂骨格を形成させる有機ケイ素化合物(1)、有機ケイ素化合物(2)、有機ケイ素化合物(3)、有機ケイ素化合物(4)、触媒、水及び溶媒を反応器に加え、これらを攪拌することにより、ベース樹脂が得られる。
好ましい保護基として、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリシクロへキシルシリル基、ジシクロヘキシルメチルシリル基、シクロヘキシルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリビニルシリル基、ジビニルメチルシリル基及びジメチルビニルシリル基等がある。
本発明のケイ素系アルカリ可溶性樹脂に光酸発生剤を配合することにより、本発明の樹脂に感光性を付与することができる。
好ましい光酸発生剤としては、ジフェニルヨード二ウム塩、トリフェニルスルホ二ウム塩等のオニウム塩、ベンジルトシレート、ベンジルスルホネート等のスルホン酸エステル、ジブロモビスフェノールA、トリスジブロモプロピルイソシアヌレート等のハロゲン類が例示されるが、特にこれらに限定されるものではない。
光酸発生剤及び溶剤を配合したケイ素系アルカリ可溶性樹脂を被加工基板上に塗布する場合、スピンコート法が使用可能である。塗布膜厚は、0.01〜1.0μmが好ましい。
光酸発生剤を含有したケイ素系アルカリ可溶性樹脂は、露光により光酸発生剤から発生する酸触媒により、樹脂中の保護基であるt−ブチル基が脱保護し、アルカリ可溶性が発現する。露光後さらに加熱することにより、脱保護反応が促進される。
以下、本発明のケイ素系アルカリ可溶性樹脂をベース樹脂と略す。
〔ベース樹脂の合成〕
実施例1
磁気撹拌子を備えた反応器にTEStBu(2.5g、8.16mmol)、テトラエトキシシラン(1.7g、8.16mmol)、TESHFC-OH(0.61g、1.63mmol)、TESNE(0.21g、0.82mmol)、アセトン(2g)を入れ、1.5wt%塩酸水溶液(0.92g)をゆっくり加えた。30℃にて1.5時間撹拌後、GPCを用いてTEStBu、テトラエトキシシラン、TESHFC-OHおよびTESNEが完全に消費されていることを確認した。減圧下にて溶媒及び揮発成分を留去し、ジイソプロピルエーテル(15g)を加えた。25wt%Me4NOH水溶液(0.37g)とメタノール(0.55g)の混合液をゆっくり加え、30℃にて2時間撹拌を行った。1M HClジエチルエーテル溶液(0.8g)でアルカリを中和し、減圧下で溶媒を留去した。ジイソプロピルエーテル(15g)を加えて樹脂を溶解し、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(HMDS)(1.32g、8.16mmol)をゆっくり加え、樹脂中の残存シラノールをトリメチルシリル化させた。室温にて2時間攪拌後、減圧下、揮発成分と過剰のHMDSを留去した。ジイソプロピルエーテル(15g)を加え、水層が中性になるまで純水(20g)により水洗した。有機層を回収し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下、溶媒を留去し、ベース樹脂を合成した(0.91g、34.6%)。分子量:Mn = 9500、Mw/Mn = 17.6
この樹脂について、270MHzの1H-NMRの測定を行ったところ、第1図のスペクトルを得た。δ値とその帰属は第1表のとおりであった。これにより得られた樹脂は、t−ブチルエステル、ヘキサフルオロカルビノール、ノルボルネン構造を含有するケイ素樹脂であることが確認できた。
磁気撹拌子を備えた反応器にTEStBu(2.5g、8.16mmol)、テトラエトキシシラン(1.70g、8.16mmol)、TESHFC-OH(0.61g、1.63mmol)、TESNE(0.21g、0.82mmol)、アセトン(2.0g)を入れ、1.5wt%塩酸水溶液(0.92g)をゆっくり加えた。30℃にて1.5時間撹拌を行い、GPCを用いて、TEStBu、テトラエトキシシラン、TESHFC-OHおよびTESNEが完全に消費されていることを確認した。減圧下にて、溶媒および揮発成分を留去し、ジイソプロピルエーテル(15g)を加えた。1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(HMDS)(1.32g、8.16mmol)をゆっくり加え、樹脂中の残存シラノールをトリメチルシリル化させた。室温にて2時間攪拌後、減圧下、揮発成分と過剰のHMDSを留去した。ジイソプロピルエーテル(15g)、水(20g)を加え、水層が中性になるまで水洗した。有機層を回収し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下にて溶媒を留去し、ベース樹脂を合成した(2.5g、90%)。分子量:Mn = 5400、Mw/Mn = 1.68
実施例4
実施例1にて合成したベース樹脂(1.0g)にMIBK(15.6g)を加え、6wt%のMIBK溶液を調製した。調製したベース樹脂の6wt%MIBK溶液にトリフェニルスルホ二ウムトリフレート(0.05g)を加え、溶解させた。この溶液を0.5mLシリンジに取り、3インチシリコンウエハーにスピンコートした(スピンコート条件:2500rpm、10秒)。スピンコートしたシリコンウエハーをホットプレートで、110℃、2分ベークし、溶媒を揮発させた。膜厚は、0.27μmであった。
実施例5
実施例4にて調製したシリコンウエハーに石英製のマスクを設置し、UV(254nm)を用いて1分間露光した。シリコンウエハーを110℃にてベークし、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)溶液に浸漬させた。シリコンウエハーを水洗し、10μmのパターンが構築されていることを確認した。
磁気攪拌子を備えた反応器にTEStBu(75g、245mmol)、TESHFC−OH(9.0g、24.5mmol)、1.5%塩酸水溶液(27.6g)、アセトン(60g)を加え、室温にて12時間攪拌した。GPCを用いて、TEStBu、テトラエトキシシランおよびTESHFC−OHが完全に消費されていることを確認した。減圧下にて、溶媒および揮発成分を留去し、ジイソプロピルエーテル(90g)を加えた。1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)(39.6g、244.8mmol)をゆっくり加え、樹脂中の残存シラノールをトリメチルシリル化させた。室温にて2時間攪拌後、減圧下、揮発成分と過剰のHMDSを留去した。ジイソプロピルエーテル(90g)、水(150g)を加え、水層が中性になるまで水洗した。有機層を回収し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下、溶媒を留去し、ベース樹脂を合成した(40g、84%)。分子量:Mn=1300、Mw/Mn=1.2 実施例5と同様に、得られたベース樹脂の成膜を試みたが、ハジキが多く、成膜が困難であった。
磁気撹拌子を備えた反応器にTEStBu(2.5g、8.16mmol)、テトラエトキシシラン(1.70g、8.16mmol)、TESNE(0.21g、0.82mmol)、アセトン(2.0g)を入れ、1.5wt%塩酸水溶液(0.92g)をゆっくり加える。30℃にて1.5時間撹拌を行い、GPCを用いて、TEStBu、テトラエトキシシランおよびTESNEが完全に消費されていることを確認した。減圧下にて、溶媒および揮発成分を留去し、ジイソプロピルエーテル(15g)を加えた。1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)(1.32g、8.16mmol)をゆっくり加え、樹脂中の残存シラノールをトリメチルシリル化させた。室温にて2時間攪拌後、減圧下、揮発成分と過剰のHMDSを留去した。ジイソプロピルエーテル(15g)、水(20g)を加え、水層が中性になるまで水洗した。有機層を回収し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下、溶媒を留去し、ベース樹脂を合成した
実施例5と同様に、得られたベース樹脂の露光−現像工程を行ったが、現像液に対する溶解性が低く、10μmのパターンは得られなかった。
比較例3
磁気攪拌子を備えた反応器にTEStBu(2.5g、8.16mmol)、テトラエトキシシラン(3.4g、16.3mmol)、TESHFC−OH(0.30g、0.82mmol)、1.5%塩酸水溶液(0.92g)、アセトン(2.0g)を加え、室温にて12時間攪拌した。GPCを用いて、TEStBu、テトラエトキシシランおよびTESHFC−OHが完全に消費されていることを確認した。ジイソプロピルエーテル(15g)を加え、硫酸マグネシウムを加え、1.5時間放置した。減圧下にて、溶媒および揮発成分を留去し、ジイソプロピルエーテル(15g)を加えた。1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(HMDS)(1.32g、8.16mmol)をゆっくり加え、樹脂中の残存シラノールをトリメチルシリル化させた。室温にて2時間攪拌後、減圧下、揮発成分と過剰のHMDSを留去した。ジイソプロピルエーテル(15g)、水(20g)を加え、水層が中性になるまで水洗した。有機層を回収し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下、溶媒を留去し、ベース樹脂を合成した(0.88g、34%)。分子量:Mn=7700、Mw/Mn=5.8 実施例5と同様に、得られたベース樹脂の露光−現像工程を行ったが、10μmパターンは得られなかった。
Claims (4)
- 下記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物(1)、下記一般式(2)で表される有機ケイ素化合物(2)、下記一般式(3)で表される有機ケイ素化合物(3)及び下記一般式(4)で表される有機ケイ素化合物(4)とを、有機ケイ素化合物(2)、有機ケイ素化合物(3)および有機ケイ素化合物(4)の仕込み割合が、各々有機ケイ素化合物(1)1モル当たり、0.01〜30モルで加水分解共縮合してなり、樹脂末端シラノール基が、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリシクロへキシルシリル基、ジシクロヘキシルメチルシリル基、シクロヘキシルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリビニルシリル基、ジビニルメチルシリル基及びジメチルビニルシリル基の中から選択される少なくとも1つのシリル基で封止され、数平均分子量が500〜100,000であるケイ素系アルカリ可溶性樹脂。
- 有機ケイ素化合物(1)、有機ケイ素化合物(2)、有機ケイ素化合物(3)および有機ケイ素化合物(4)におけるアルコキシ基の全てを加水分解共縮合するのに必要な理論量以上の水を存在させて加水分解共縮合させてなることを特徴とする請求項1に記載のケイ素系アルカリ可溶性樹脂。
- 樹脂末端シラノール基がトリメチルシリル基で封止されていることを特徴とする請求項1または2に記載のケイ素系アルカリ可溶性樹脂。
- 請求項1〜3の何れかの請求項に記載のケイ素系アルカリ可溶性樹脂に光酸発生剤を配合してなる感光性アルカリ可溶性樹脂組成物。
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