JP2739222B2 - 高エネルギー線硬化用オルガノポリシロキサンおよびその製造方法 - Google Patents

高エネルギー線硬化用オルガノポリシロキサンおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、紫外線、電子線、X線等の高エネルギー線
照射により硬化する高エネルギー線硬化用オルガノポリ
シロキサンおよびその製造方法に関するものである。
[従来の技術] 従来、高エネルギー線感応性有機基としては、エポキ
シ基や二重結合のような連鎖反応を起こすものと、ハロ
ゲン化アルキル基のように逐次反応を起こすものとが知
られている。
また、逐次反応を起こす高エネルギー線感応性有機基
を有するオルガノポリシロキサンとしては、ジ(α−ク
ロロメチルフェニル)ポリシロキサン(電気通信研究所
研究実用化報告第33巻第9号第77頁1984年発行参照)、
α−クロロメチルフェニルポリシルセスキオキサン(電
子通信学会技術研究報告書第84巻第291号第27頁1984年
発行、特開昭60−59347号参照)、α−クロロメチルフ
ェニルアルキルポリシルセスキオキサン(特開昭61−20
032号参照)が知られている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、連鎖反応型の有機化合物は、一般に高
感度であるが、高エネルギー線照射後にさらに重合して
しまうという欠点があった。そのため該化合物をレジス
ト材に応用した場合、レジストの解像度が低下するとい
う欠点があった。
また逐次反応型のα−クロロメチルフェニル基含有オ
ルガノポリシロキサンは、ポリマーの合成が容易でな
い、高エネルギー線感応性有機基の量を制御することが
困難である、分子量や軟化点の制御が出来ないといった
欠点を有していた。
本発明は、紫外線、電子線、X線等の高エネルギー線
に対して感応性を示し、高エネルギー線照射により硬化
する高エネルギー線硬化用オルガノポリシロキサン、お
よび合成が容易でしかも分子量、高エネルギー線感応性
有機基の量および軟化点の制御が簡単である該オルガノ
ポリシロキサンの製造方法を提供することを目的とす
る。
[課題を解決するための手段とその作用] 上記した目的は、 一般式 [式中、R1は炭素数1〜6の一価炭化水素基であり、R2
は水素原子もしくは炭素数1〜6の一価炭化水素基、x,
zは正の数であり、yは0または正の数であって、0.3≦
(x+y)/z≦4かつ0≦y/x≦100である]で表され、
分子量が500〜500,000である高エネルギー線硬化用オル
ガノポリシロキサンと、 (A)一般式 (式中、R1は前記と同じ、Mは加水分解性基)で示され
る加水分解性基含有オルガノシラン もしくは (A′)一般式 (R1は前記と同じ)で示されるジシロキサン、 (B)一般式 (R1,R2およびMは前記と同じ)で示される加水分解性
基含有オルガノシラン もしくは (B′)一般式 (R1およびR2は前記と同じ)で示されるジシロキサン、 および (C)一般式 SiM4 (式中、Mは前記と同じ)で示される加水分解性シラン
を、共加水分解・縮合反応することを特徴とする該オル
ガノポリシロキサンの製造方法により達成される。
本発明の一般式 で示される高エネルギー線硬化用オルガノポリシロキサ
ンを説明するに、式中、R1は炭素数1〜6の一価炭化水
素基であり、これには、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基
のようなアルキル基;ビニル基、アリル基のようなアル
ケニル基;フェニル基が例示される。1分子中のR1は同
種であってよく、また2種以上の異種の組み合わせであ
ってよい。R2は水素原子もしくは炭素数1〜6の一価炭
化水素基であり、炭素数1〜6の一価炭化水素基として
はR1で例示したものである。
またx,zは正の数であり、yは0または正の数であっ
て、0.3≦(x+y)/z≦4かつ0≦y/x≦100であるこ
とが必要である。これは、x,yおよびzがこれらの範囲
を外れると、合成し難くなったり、高エネルギー線に対
する感度が低くなったりするためである。x,yおよびz
が、0.3≦(x+y)/z≦1.0を満たす場合には、本発明
の高エネルギー線硬化用オルガノポリシロキサンは室温
において固体となる。
また分子量は500〜500,000である。これはこの範囲を
外れると合成し難くなるためである。
本発明の高エネルギー線硬化用オルガノポリシロキサ
ンにおける式 SiO4/2 で示される4官能性シロキサン単位の結合は、 他の式 SiO4/2 で示される4官能性シロキサン単位、一般式 (式中、R1は前記と同じ)で示される1官能性シロキサ
ン単位、一般式 (R1,R2は前記と同じ)で示される1官能性シロキサン
単位のいずれが結合していてよい。また、本発明の高エ
ネルギー線硬化用オルガノポリシロキサンは、製造過程
で残存する若干の水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子
などを含んでいても構わない。
本発明の高エネルギー線硬化用オルガノポリシロキサ
ンの製造方法は (A)一般式 (式中、R1は前記と同じ、Mは加水分解性基)で示され
る加水分解性基含有オルガノシラン もしくは (A′)一般式 (R1は前記と同じ)で示されるジシロキサン、 (B)一般式 (R1,R2およびMは前記と同じ)で示される加水分解性
基含有オルガノシラン もしくは (B′)一般式 (R1およびR2は前記と同じ)で示されるジシロキサン、 および (C)一般式 SiM4 (式中、Mは前記と同じ)で示される加水分解性シラン
を、共加水分解・縮合反応するものである。
ここで、上記した式中、Mの加水分解性基としては塩
素原子、臭素原子のようなハロゲン原子、メトキシ基、
エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基の
ようなアルコキシ基、アセトキシ基のようなアシロキシ
基が例示される。
なお(A)の一般式 (式中、R1は前記と同じ、Mは加水分解性基)で示され
る加水分解性基含有オルガノシランは、例えばトリメチ
ルクロロシランの光塩素化反応により、容易に合成でき
る。
また(A′)一般式 (R1は前記と同じ)で示されるジシロキサンは、(A)
の加水分解性基含有オルガノシランを加水分解すること
により、容易に合成できる。
共加水分解・縮合反応時に、他の溶媒を併用してよ
く、これには、ベンゼン、トルエン、キシレンのような
芳香族系炭化水素溶媒、メタノール、エタノールのよう
なアルコール溶媒、アセトンのようなケトン溶媒、塩素
化炭化水素溶媒などが例示される。共加水分解・縮合反
応を促進させるために、塩酸、硫酸、燐酸、硝酸、酢酸
のような酸性触媒を併用してよい。
本発明の高エネルギー線硬化用オルガノポリシロキサ
ンは、クロロメチル基含有1官能性シロキサン単位、ク
ロロメチル基を有しない1官能性シロキサン単位および
4官能性シロキサン単位のモル比を変えるだけで、分子
量、軟化点、高エネルギー線に対する感度を自由に制御
できる。また本発明の高エネルギー線硬化用オルガノポ
リシロキサンは、高エネルギー線照射により逐次反応を
起こして硬化するので、LSI製造時における微細加工に
用いるレジスト材料等への応用が期待できる。
[実施例] 次に本発明を実施例により説明する。
合成例1 撹拌機、還流管、滴下ロートおよび温度計を備えた四
つ口フラスコに、1,3−ビス(α−クロロメチル)−1,
1,3,3,−テトラメチルジシロキサン11.6g(0.05モ
ル)、ヘキサメチルジシロキサン32.5g(0.20)モル、
水60g、濃塩酸40g、エタノール20gおよびトルエン30gを
入れ、70℃に加熱し、撹拌しながらテトラエトキシシラ
ン208.3g(1.00モル)を2時間かけて滴下した。滴下終
了後1時間加熱還流を続けた後、水100gを加えポリマー
層(下層)を分取した。上層に水100gとトルエン100gを
加え抽出し、水層を廃棄した。トルエン層とポリマー層
を合わせトルエン150gと水100gを加えて水洗し、水層を
廃棄した。加熱共沸によって水分を除去した後、残存シ
ラノールをキャッピングするため、ヘキサメチルジシラ
ザン40gを加え、6時間加熱還流した。これをろ過し、
溶媒を留去したところ軟化点のない白色固体106gを得
た。得られた白色固体の分析結果は以下の通りであっ
た。1 HNMRδ(ppm): 0.3(5.8H,br,CH3Si),1.3(0.5H,br,CH3CH2OS
i),2.7(0.2H,br,ClCH2Si),3.3(0.3H,br,CH3CH2OS
i)29 SiNMRδ(ppm): 13(0.57Si,br,(CH33SiO1/2), 7(0.11Si,br,ClCH2(CH32SiO1/2), −100(0.16Si,br,ROSiO3/2), −110(0.84Si,br,SiO4/2) GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー): Mw(重量平均分子量)=1.6×104, Mn(数平均分子量)=4.7×103 以上の分析結果より得られた生成物は、次の平均組成
式で示される化合物であることが判明した。
合成例2 撹拌機、還流管、滴下ロートおよび温度計を備えた四
つ口フラスコに、1,3−ビス(α−クロロメチル)−1,
1,3,3,−テトラメチルジシロキサン23.1g(0.10モ
ル)、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキ
サン28.0g(0.15モル)、水60g、濃塩酸40g、エタノー
ル20gおよびトルエン30gを入れ、70℃に加熱撹拌し、テ
トラエトキシシラン208.3g(1.00モル)を2時間かけて
滴下した。さらに1時間加熱還流した。実施例1と同様
の操作により、ポリマーを抽出し、ヘキサメチルジシラ
ザンにより後処理して、軟化点のない白色固体107gを得
た。得られた白色固体の分析結果は以下の通りであっ
た。1 HNMRδ(ppm): 0.3(4.2H,br,CH3Si),1.3(0.4H,br,CH3CH2OS
i),2.7(0.4H,br,ClCH2Si),3.3(0.3H,br,CH3CH2OS
i),6.0(0.9H,br,CH2=CH−Si)29 SiNMRδ(ppm): 13(0.16Si,br,(CH33SiO1/2), 7(0.18Si,br,ClCH2(CH32SiO1/2), 0(0.28Si,br,CH2=CH−(CH32SiO1/2), −100(0.13Si,br,ROSiO3/2), −110(0.87Si,br,SiO4/2) GPC:Mw=1.4×104, Mn=4.3×103 以上の分析結果より得られた生成物は、次の平均組成
式で示される化合物であることが判明した。
合成例3 撹拌機、還流管、滴下ロートおよび温度計を備えた四
つ口フラスコに、α−クロロメチルジメチルクロロシラ
ン100.2g(0.70モル)、テトラエトキシシラン208.3g
(1.00モル)およびトルエン100gを入れ、70℃で加熱撹
拌しながら、これに水60g、濃塩酸40gおよびエタノール
20gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後4時
間加熱還流を続けた後、水150gを加えポリマー層(下
層)を分取した。得られたポリマー層をトルエン250gで
希釈し、共沸によってエタノールおよび水を除去した
後、ヘキサメチルジシラザン40gを加え6時間還流し
た。ろ過し、ろ液を濃縮して、軟化点約110℃の白色固
体115gを得た。得られた白色固体の分析結果は以下の通
りであった。1 HNMRδ(ppm): 0.3(5.4H,br,CH3Si),1.3(0.5H,br,CH3CH2OS
i),2.7(1.4H,br,ClCH2Si),3.3(0.3H,br,CH3CH2OS
i)29 SiNMRδ(ppm): 13(0.15Si,br,(CH33SiO1/2), 7(0.65Si,br,ClCH2(CH32SiO1/2), −100(0.15Si,br,ROSiO3/2), −110(0.85Si,br,SiO4/2) GPC:Mw=2.7×103 Mn=1.9×103 以上の分析結果より得られた生成物は、次の平均組成
式で示される化合物であることが判明した。
合成例4 撹拌機、還流管、滴下ロートおよび温度計を備えた四
つ口フラスコに、α−クロロメチルジメチルクロロシラ
ン35.8g(0.25モル)、トリメチルクロロシラン27.2g
(0.25モル)、テトラエトキシシラン208.3g(1.00モ
ル)およびトルエン100gを入れ、70℃で加熱撹拌しなが
ら、これに水60g、濃塩酸40gおよびエタノール20gの混
合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後4時間加熱還
流を続けた後、水150gを加えポリマー層(下層)を分取
した。得られたポリマー層をトルエン250gで希釈し、共
沸によってエタノールおよび水を除去した後、ヘキサメ
チルジシラザン40gを加え6時間還流した。ろ過し、ろ
液を濃縮して、軟化点のない白色固体108gを得た。得ら
れた白色固体の分析結果は以下の通りであった。1 HNMRδ(ppm): 0.3(4.8H,br,CH3Si),1.3(0.5H,br,CH3CH2OS
i),2.7(0.5H,br,ClCH2Si),3.3(0.3H,br,CH3CH2OS
i)29 SiNMRδ(ppm): 13(0.38Si,br,(CH33SiO1/2), 7(0.22Si,br,ClCH2(CH32SiO1/2), −100(0.16Si,br,ROSiO3/2), −110(0.84Si,br,SiO4/2) GPC:Mw=2.4×104 Mn=5.4×103 以上の分析結果より得られた生成物は、次の平均組成
式で示される化合物であることが判明した。
以下の分析結果より得られた生成物は、次の平均組成
式で示される化合物であることが判明した。
実施例1 合成例1〜合成例4で得られたシロキサン重合体を各
々n−ヘプタンに溶解させて10重量%溶液とし、シリコ
ンウエハー上にスピンコートして乾燥させ、厚さ0.5μ
mのポリマー塗膜を形成した。これに加速電圧25kVの電
子線を100μc/cm2照射したところ硬化して、エタノール
に再溶解しなかった。
実施例2 合成例1〜合成例4で得られたシロキサン重合体を各
々実施例1と同様にスピンコートしてポリマー塗膜を形
成し、13.3AのX線を500mJ/cm2照射したところ硬化し
て、エタノールに再溶解しなかった。
比較例1 実施例1において、合成例1〜4で得られたシロキサ
ン重合体を使用せずに、式: [(CH33SiO1/20.5[SiO4/21.0 で示されるオルガノポリシロキサンを使用した以外は実
施例1と同様にしてポリマー塗膜を形成した。次いでこ
れに、実施例1と同様に電子線を照射したところ、硬化
しなかった。
[発明の効果] 本発明の高エネルギー線硬化用オルガノポリシロキサ
ンは、紫外線、電子線、X線等の高エネルギー線に対し
て良好な感応性を示し、高エネルギー線照射により硬化
するという特徴を有する。また本発明の高エネルギー線
硬化用オルガノポリシロキサンの製造方法は、合成が容
易でしかも分子量、高エネルギー線感応性有機基の量お
よび軟化点の制御が簡単であるという特徴を有する。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 [式中、R1は炭素数1〜6の一価炭化水素基であり、R2
    は水素原子もしくは炭素数1〜6の一価炭化水素基、x,
    zは正の数であり、yは0または正の数であって、0.3≦
    (x+y)/z≦4かつ0≦y/x≦100である]で表され、
    分子量が500〜500,000である高エネルギー線硬化用オル
    ガノポリシロキサン。
  2. 【請求項2】0.3≦(x+y)/z≦1.0であり、室温にお
    いて固体である特許請求の範囲第1項記載の高エネルギ
    ー線硬化用オルガノポリシロキサン。
  3. 【請求項3】(A)一般式 (式中、R1は前記と同じ、Mは加水分解性基)で示され
    る加水分解性基含有オルガノシラン もしくは (A′)一般式 (R1は前記と同じ)で示されるジシロキサン、 (B)一般式 (R1,R2およびMは前記と同じ)で示される加水分解性
    基含有オルガノシラン もしくは (B′)一般式 (R1およびR2は前記と同じ)で示されるジシロキサン、 および (C)一般式 SiM4 (式中、Mは前記と同じ)で示される加水分解性シラン
    を、共加水分解・縮合反応することを特徴とする、特許
    請求の範囲第1項記載の高エネルギー線硬化用オルガノ
    ポリシロキサンの製造方法。
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