JP4399653B2 - スクロール圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は冷凍用あるいは空調用の冷媒圧縮機として、または空気やその他のガス圧縮機として好適なスクロール圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動機の圧縮機構部側に主軸受、電動機の反種軸受側には副軸受を備えたスクロール圧縮機としては、例えば特開平10−318167号公報に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この種スクロール圧縮機において、副軸受部に給油するための給油通路と電動機との間を確実にシールするためのシール部材を設けることが検討されている。しかし、シール部材を設けた場合、シール部材と回転軸との間に確実なシールのための最適な隙間を保ちつつ圧縮機を組立てることは極めて難しく、圧縮機を構成する部品の製作公差や圧縮機組立公差など高精度な圧縮機の組立てが要求される。また、運転時の回転軸の変形等の影響により、回転軸とシール部材との隙間を、十分なシール効果が得られるように小さく取ると、シール部材に過大な荷重が発生し、シール部材にかじりや焼付きが発生する等の問題も考えられる。
【0004】
本発明の目的は、副軸受部に設けた給油通路と電動機側空間を確実にシールすると共にシール部材のかじりや焼付きを防止し、かつ圧縮機の組立も容易にすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、台板に渦巻き状のラップを有する固定スクロールと旋回スクロールとを互いに噛み合わせて構成された圧縮機構部と、旋回スクロールの台板背面に係合させた回転軸を駆動するための電動機と、前記回転軸を支持するために前記電動機を挟んで配置された主軸受部及び副軸受部とを密閉容器内に備えたスクロール圧縮機において、前記副軸受部は、前記密閉容器に固定された下フレームに取り付けられたハウジングと、該ハウジング内に支持された副軸受と、該副軸受上部に設けられ前記ハウジング内と前記電動機側空間との間を仕切るシール部材と、該シール部材の外周部と前記ハウジングとの間に設けられ副軸受部内外をシールすると共に前記シール部材を回転軸の傾きや振れ回りに対し追従可能に構成するためのOリングとを備え、更に、前記密閉容器内下方の油溜りの油を、圧縮機構部内の圧力と密閉容器内の圧力との差により前記副軸受部内に供給するための給油パイプを備え、前記副軸受部内部に入った油は、前記副軸受を潤滑した後、回転軸内の給油穴へ流れる構成としたものである。
【0007】
なお、シール部材の回転軸との摺動部にすべり軸受を設けるとなお良い。さらに、シール部材と回転軸との摺動部に給油溝を設けることも可能である。
また、前記シール部材を変形可能な部材で構成することによっても回転軸の傾きや振れ回りに対し追従可能に構成することができる。
【0008】
本発明では上記のように構成することにより、回転軸とシール部材に過大な荷重が発生するのを防止できる。また、回転軸とシール部材との摺動部にすべり軸受や給油溝を備えるようにすれば、回転軸とシール部材とが接触して荷重が発生した場合でも、かじりや焼付きの発生を防止できる。
【0009】
したがって、本発明によれば、副軸受部に設けた給油通路と電動機側の空間とを確実にシールすることができ、しかも圧縮機の組立精度を高める必要もないから製作、組立も容易になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のスクロール圧縮機の具体的実施例を説明する。
図1はスクロール圧縮機の断面図である。密閉容器700内には、上方に圧縮機構部、中央に電動機600、下方に油溜り900が配設されており、回転軸300を介して圧縮機構部と電動機が連結されている。圧縮機構部は、台板101に渦巻き状のラップ102を直立した固定スクロール100と、台板201に渦巻き状のラップ202を直立した旋回スクロール200を、ラップを互いに噛み合わせて形成されている。固定スクロール100には吸入口103と吐出口104が設けられている。回転軸300は、電動機の上部側(圧縮機構部側)に備えた主軸受401、および電動機下部側に備えた副軸受部800により支持されている。副軸受部は下フレーム802を介して密閉容器700に固定されている。回転軸300の先端にはクランクピン301を備え、該クランクピン301が旋回スクロール200の台板201の下方に突設したボス203に挿入されている。ボス203内には旋回軸受205が設けられており、クランクピン301と摺動する構造となっている。旋回スクロール200の台板201の背面にはオルダム継手500が配設されている。該オルダム継手500は、旋回スクロール200を固定スクロール100に対し自転することなく旋回運動させる自転防止機構としての継手である。
【0011】
上記圧縮機構部は、電動機部600に連結した回転軸300の回転によりクランクピン301が偏心回転すると、旋回スクロール200がオルダム継手500の自転防止機構により固定スクロール100に対し自転せずに旋回運動を行い、ガスを吸入管701および吸入口103を介してスクロールラップ102および202で形成される密閉室に吸入する。上記旋回運動により、密閉室は中央部へ移動しながら容積を減少してガスを圧縮し、圧縮ガスを吐出口104より吐出室に吐出する。吐出室に吐出されたガスは、圧縮機構部および電動機部の周囲を循環したのち吐出管702から圧縮機外へ放出される。
【0012】
シール部材805は、副軸受部800に設けられている。副軸受部800は、圧縮機構部に対し電動機部を挟んだ反対側に位置しており、ハウジング801に玉軸受で構成された副軸受804を組付け、該副軸受の上部にシール部材805を備えた構造としている。副軸受部800内への給油は、密閉容器700内下方の油溜り900の油が、圧縮機構部内の圧力と密閉容器700内の圧力との差により副軸受部800下端に取付けられた給油パイプ806を通して供給されることにより為される。副軸受部800内部に入った油は、副軸受804を潤滑し、回転軸300に設けられた横穴304を介して回転軸300内へ流れる。シール部材805は、副軸受部内部の油が副軸受部外部へ流出したり、あるいは副軸受部外部のガスが副軸受部内部へ流入するのを防止している。
【0013】
図2は副軸受部付近の拡大断面図である。圧縮機を構成する部品の製作公差や圧縮機組立時の組立公差により、また圧縮機運転時における圧縮機構部内および電動機部に発生する荷重により、回転軸300は理想の軸心位置に対して傾いたり振れ回りを生じる。この傾きおよび振れ回りにより回転軸300とシール部材805とが接触して荷重が発生する。シール部材805外周部にはOリング808が設けられており、副軸受部800内外をシールすると共に自らの変形により前記荷重を吸収し、回転軸300とシール部材805とが接触しても過大な過重が発生しない構造となっている。
【0014】
図3はシール部材805の可動の模式図である。シール部材805外周部に隙間を設けることにより、シール部材805は圧縮機組立時あるいは圧縮機運転時に発生する回転軸300の傾きに対し追従した動きをすることが可能になる。
【0015】
図4はシール部材805の回転軸300との摺動部にすべり軸受を設けた例である。このすべり軸受809を設けることにより、焼き付きやかじりへの耐力を向上できる。
【0016】
図5および図6は、回転軸300とシール部材805との間の摺動部に給油溝810,305を設けた例である。給油溝810はシール部材の内周面に形成した場合の例、給油溝305は回転軸の外周側に設けた場合の例である。前記給油溝には副軸受部内に形成された給油経路から油が供給され、焼き付きやかじりへの耐力向上を図っている。
【0017】
図7は、シール部材を容易に変形可能な部材805aで構成した例である。容易に変形可能な部材805aは、上記した実施例のシール部材805にOリング808を備えた構造と同様に、回転軸300とシール部材805a間に発生する荷重を変形可能な部材805a自身が変形することにより吸収することができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、副軸受部内と電動機側との空間を確実にシールすることができるので、副軸受部内部の油が副軸受部外部へ流出したり、或いは副軸受部外部のガスが副軸受部内部へ流入するのを防止することができるから、副軸受部内部に油を確実に供給し、副軸受を潤滑でき、その後油を回転軸内の給油穴へ確実に流すことができる。
また、本発明によれば、シール部材への過大な荷重の発生によるシール部材のかじりや焼付きなどを防止することができるから、信頼性の高いスクロール圧縮機が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すスクロール圧縮機の断面図である。
【図2】図1の副軸受部の拡大断面図である。
【図3】図1の副軸受部におけるシール部材の可動を説明する模式図である。
【図4】副軸受部のシール部材にすべり軸受を設けた場合の例を示す拡大断面図である。
【図5】副軸受部のシール部材内周面に給油溝を形成した例を示す拡大断面図である。
【図6】副軸受部のシール部材内周面に対向する回転軸表面に給油溝を形成した例を示す拡大断面図である。
【図7】本発明のシール部材の他の例を説明する副軸受部の拡大断面図である。
【符号の説明】
100:固定スクロール、101:台板、102:ラップ、103:吸入口、104:吐出口、200:旋回スクロール、201:台板、202:ラップ、203:ボス、204:背圧穴、300:回転軸、301:クランクピン、302:給油穴、303:横穴、304:横穴、305:給油溝、400:フレーム、401:軸受、402:シール軸受、403:背圧室、500:オルダム継手、600:電動機部、700:密閉容器、701:吸入管、702:吐出管、800:副軸受部、801:ハウジング、802:下フレーム、803:ボルト、804:副軸受、805:シール部材、806:給油パイプ、807:閉止部材、808:Oリング、809:すべり軸受、810:給油溝。
Claims (3)
- 台板に渦巻き状のラップを有する固定スクロールと旋回スクロールとを互いに噛み合わせて構成された圧縮機構部と、旋回スクロールの台板背面に係合させた回転軸を駆動するための電動機と、前記回転軸を支持するために前記電動機を挟んで配置された主軸受部及び副軸受部とを密閉容器内に備えたスクロール圧縮機において、
前記副軸受部は、前記密閉容器に固定された下フレームに取り付けられたハウジングと、該ハウジング内に支持された副軸受と、該副軸受上部に設けられ前記ハウジング内と前記電動機側空間との間を仕切るシール部材と、該シール部材の外周部と前記ハウジングとの間に設けられ副軸受部内外をシールすると共に前記シール部材を回転軸の傾きや振れ回りに対し追従可能に構成するためのOリングとを備え、
更に、前記密閉容器内下方の油溜りの油を、圧縮機構部内の圧力と密閉容器内の圧力との差により前記副軸受部内に供給するための給油パイプを備え、前記副軸受部内部に入った油は、前記副軸受を潤滑した後、回転軸内の給油穴へ流れる構成とした
ことを特徴とするスクロール圧縮機。 - 請求項1記載のスクロール圧縮機において、前記シール部材の回転軸との摺動部にすべり軸受を設けたことを特徴とするスクロール圧縮機。
- 請求項1または2記載のスクロール圧縮機において、前記シール部材と回転軸との摺動部に給油溝を設けたことを特徴とするスクロール圧縮機。
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- 1999-04-28 JP JP12128699A patent/JP4399653B2/ja not_active Expired - Fee Related
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