JP4398650B2 - 新規な熱可塑性ポリイミド及びイミドオリゴマー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリプレグ、絶縁材料、耐熱繊維のマトリックス材料、成形部品、耐熱性接着剤やそのフィルムをはじめ、各種機能性材料として有用な、新規な熱可塑性ポリイミド及びイミドオリゴマー並びにその前駆体であるポリアミド酸及びアミド酸オリゴマーに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的にポリイミドは、KAPTON(デュポン社製)、VESPEL(デュポン社製)に代表されるように、耐熱性、機械特性、耐薬品性、難燃性、電気特性に優れている。その為、フィルムとしては、フレキシブルプリント基板、電線被覆材等として利用され、成形材料としては、自動車産業、航空機産業などのエンジン廻り部品や電気電子部品等の機能性材料として広範に使用されている。しかしながらこれらのポリイミドは、加工性の乏しさという欠点がある。一つ目は熱可塑性を持たないため、通常の高分子で用いられる射出形成や押出形成が難しく、粉末焼結で形成したパーツ単位でユーザーに提供されている。その為、成形品の形態が限定され、高価なものとなっている。二つ目はほとんどの溶媒に溶けないため、コーティング材料や接着剤等のフィルムに使用する場合、ポリアミド酸の段階で形成加工をした後、熱あるいは化学的にイミド化しなければならない。またこの前駆体であるポリアミド酸は、空気中では経時変化を受けやすく、加工後の樹脂の性能も十分に発揮できない可能性もある。同時に、イミド化反応は水の脱離を伴う反応であるため、フィルムのボイドの形成や成形材料のクラックの原因になりやすい。これまでにも、ポリイミドに形成加工性を付与するために、可溶・不融、不溶・可融、可溶・可融の性質を発現させるべく多くの研究がなされているが、現在までこのようなポリイミドは多くは提供されていない。
【0003】
したがって、電気・電子分野、航空機産業、輸送機器などの分野では、熱可塑性で、高温熱流動性に優れ、溶剤に溶解し、構造材、フィルム、繊維、ワニスなどさまざまな形態で提供される耐熱性、機械強度、耐薬品性、電気絶縁性の優れたポリイミドの開発が望まれている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−317045号公報
【特許文献2】
特開2002−363284号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、本発明の第一の目的は、形成加工に有利な熱可塑性という性質(及び好適には溶媒可溶性という性質も併せて)を有する新規なポリイミド及びイミドオリゴマー並びにその前駆体であるポリアミド酸及びアミド酸オリゴマーを提供することである。また、本発明の第二の目的は、形成加工に有利な熱可塑性という性質(及び好適には溶媒可溶性という性質も併せて)を当初は有しているが、熱処理した後には、熱硬化性ポリイミドに匹敵した耐熱性、機械特性、耐薬品性、難燃性、電気特性を有するようになる新規なポリイミド及びイミドオリゴマー並びにその前駆体であるポリアミド酸及びアミド酸オリゴマーを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、第一の目的に関しては、所定の酸成分を用いることにより解決できることを見出し、また、第二の目的に関しては、所定の酸成分と所定の封止剤とを組み合わせることにより解決できることを見出し、本発明を完成させたものである。具体的には、ジアミンとして芳香族環を含むもの等を用いた場合、熱可塑性が発現しにくく、また溶媒不溶性になる傾向があるが、所定の酸成分を組み合わせたときに熱可塑性が発現し、あわせて溶媒可溶性になることを見出した。加えて、所定のポリマー末端封止剤を組み合わせることによって、熱処理した後には耐熱性の良いポリイミドが作成できることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0007】
即ち、本発明(1)は、酸成分とジアミン成分とを重合させて得られる熱可塑性ポリイミド又はイミドオリゴマーにおいて、
酸成分の少なくとも一部として、式(I):
【0008】
【化8】
【0009】
で示される芳香族テトラカルボン酸二酸無水物又はその誘導体を用いたことを特徴とする熱可塑性ポリイミドである。
【0010】
また、本発明(2)は、ジアミン成分の少なくとも一部として、式(II):
【0011】
【化9】
【0012】
(式中、Rは、置換又は非置換の、芳香族及び/又は脂肪族環を有する2価の有機基を表す)で示されるジアミンを用いた、前記発明(1)の熱可塑性ポリイミド又はイミドオリゴマーである。
【0013】
更に、本発明(3)は、Rが、芳香族環を有する2価の有機基である、前記発明(2)の熱可塑性ポリイミド又はイミドオリゴマーである。
【0014】
また、本発明(4)は、Rが、芳香族環を3個以上含有する、前記発明(3)の熱可塑性ポリイミド又はイミドオリゴマーである。
【0015】
更に、本発明(5)は、酸成分として、式(III):
【0016】
【化10】
【0017】
(式中、Arは、芳香族環を有する4価の有機基を表す)で示される、式(I)とは異なる芳香族テトラカルボン酸二酸無水物又はその誘導体を更に用いた、前記発明(1)〜(4)のいずれか一つの熱可塑性ポリイミド又はイミドオリゴマーである。
【0018】
また、本発明(6)は、前記発明(1)〜(5)のいずれか一つのポリイミド又はイミドオリゴマーを含有する溶液又は懸濁液である。
【0019】
更に、本発明(7)は、前記発明(1)〜(5)のいずれか一つのポリイミド又はイミドオリゴマーの前駆体であるポリアミド酸又はアミド酸オリゴマーである。
【0020】
また、本発明(8)は、前記発明(7)のポリアミド酸又はアミド酸オリゴマーを含有する溶液又は懸濁液である。
【0021】
更に、本発明(9)は、成分とジアミン成分とを重合させて得られる熱可塑性ポリイミド又はイミドオリゴマーにおいて、
酸成分の少なくとも一部として、式(I):
【0022】
【化11】
【0023】
で示される芳香族テトラカルボン酸二酸無水物又はその誘導体を用い、かつ、ポリマー分子末端封止剤として、分子内に三重結合を有するジカルボン酸二無水物またはモノアミンを用いたことを特徴とする、高温度領域では熱硬化性を示すことを特徴とする熱可塑性ポリイミド又はイミドオリゴマーである。
【0024】
また、本発明(10)は、ポリマー分子末端封止剤が、式(IV):
【0025】
【化12】
【0026】
(式中、R′は、炭素数が6〜30である、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、あるいは芳香族基が直接又は架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である、3価の有機基であり;式(IV)中のいずれかの芳香族環は、非置換であっても置換されていてもよい)で示される化合物である、前記発明(9)の熱可塑性ポリイミド又はイミドオリゴマーである。
【0027】
更に、本発明(11)は、ジアミン成分の少なくとも一部として、式(II):
【0028】
【化13】
【0029】
(式中、Rは、置換又は非置換の、芳香族及び/又は脂肪族環を有する2価の有機基を表す)で示されるジアミンを用いた、前記発明(9)又は(10)の熱可塑性ポリイミド又はイミドオリゴマーである。
【0030】
また、本発明(12)は、Rが、芳香族環を有する2価の有機基である、前記発明(11)の熱可塑性ポリイミド又はイミドオリゴマーである。
【0031】
更に、本発明(13)は、Rが、芳香族環を3個以上含有する、前記発明(12)の熱可塑性ポリイミド又はイミドオリゴマーである。
【0032】
また、本発明(14)は、酸成分として、式(III):
【0033】
【化14】
【0034】
(式中、Arは、芳香族環を有する4価の有機基を表す)で示される、式(1)で示される芳香族テトラカルボン酸二酸無水物及びその誘導体とは異なる、芳香族テトラカルボン酸二酸無水物又はその誘導体を更に用いた、前記発明(9)〜(13)のいずれか一つの熱可塑性ポリイミド又はイミドオリゴマーである。
【0035】
更に、本発明(15)は、前記発明(9)〜(14)のいずれか一つのポリイミドを熱処理して得られる熱硬化性ポリイミド又はイミドオリゴマーである。
【0036】
また、本発明(16)は、前記発明(9)〜(14)のいずれか一つのポリイミド又はイミドオリゴマーを含有する溶液又は懸濁液である。
【0037】
更に、本発明(17)は、前記発明(9)〜(14)のいずれか一つのポリイミド又はイミドオリゴマーの前駆体であるポリアミド酸又はアミド酸オリゴマーである。
【0038】
また、本発明(18)は、前記発明(17)のポリアミド酸又はアミド酸オリゴマーを含有する溶液又は懸濁液である。
【0039】
更に、本発明(19)は、前記発明(18)のポリアミド酸を熱処理して得られる熱硬化性ポリイミド又はアミド酸オリゴマーである。
【0040】
【発明の実施の形態】
まず、本明細書における用語につき説明する。式(II)及び式(III)における「芳香族環」とは、6〜14個の環原子よりなる、単環式、二環式又は三環式芳香族炭化水素の基、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、9−アントラシル;環中に1〜3個のヘテロ原子(例えば、酸素、硫黄、窒素)を含み、残りが炭素原子であるヘテロ環式芳香族の基、例えば、フラニル、チエニル、ピリジル、ピロリル、N−アルキルピロロ、ピリミジル、ピラジニル、イミダゾリル、ベンゾフラニル、キノリニル及びインドリルを挙げることができる。また、式(II)における「脂肪族環」とは、3〜10個(好適には3〜6個)の環原子よりなる、単環式、架橋環式、スピロ環式脂肪族炭化水素の基、例えば、シクロヘキシル、ノルボルニル、スピロ〔4.5〕デシル;環中に1〜3個のヘテロ原子(例えば、酸素、硫黄、窒素)を含み、残りが炭素原子である、単環式、架橋環式、スピロ環式脂肪族炭化水素の基、例えばピペリジルを挙げることができる。また、式(I)〜(IV)における、芳香族環や脂肪族環に関する「置換」とは、芳香族環や脂肪族環上の水素原子のすべて又は一部が、相互に独立して、アルキル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン、シクロアルキル、ニトロ、シアノ、場合により置換されたフェニル、−OR1(R1は、水素、アルキル、ハロゲン化アルキル、シクロアルキル、場合により置換されたフェニルである)、アシル、−COOR2(R2は、水素またはアルキルである)から選択される基で置換されることを意味する。ここで、アルキル、ハロゲン化アルキル、シクロアルキル及びアシルは、1〜10個の炭素原子を有する、直鎖、分岐鎖又は環状の基を意味し、これらは、場合により、一以上の置換基、例えば、ハロゲン、アリール、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、オキソ、及びシクロアルキルでさらに置換されていてもよく、また、アルキル鎖には、1またはそれ以上の酸素、硫黄、または置換もしくは非置換窒素原子が場合により挿入されていてもよい。典型的なアルキル基として、メチル、エチル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ヘプチル、ベンジル及びオクチルを挙げることができる。また、ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。尚、置換基としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシル基、ハロゲン化アルコキシル基が好適である。
【0041】
式(I)及び式(III)のテトラカルボン酸二酸無水物に関しての「その誘導体」とは、前記無水物における一個以上の芳香族環が一個以上の上記置換基で置換されているもの(以下、置換無水物という)、前記無水物又は前記置換無水物の一部及び/又は全部が開環したもの、並びに、開環した結果のカルボキシル基の一部及び/又は全部がエステル化されたものを包含する概念である。エステル化のアルコールとしては特に限定はされないが、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭化水素系のアルコールや、フェノール、クレゾール等の芳香族アルコールを挙げることができる。
【0042】
ポリイミド及びポリアミド酸における「ポリ」とは、重合度が20以上のもの(好適には600以下)を指し、イミドオリゴマー及びアミド酸オリゴマーにおける「オリゴマー」とは、重合度が2以上20未満のものを指す。
【0043】
「高温度領域」とは、熱可塑性ポリイミド又はイミドオリゴマーの末端に存在する、ポリマー分子末端封止剤に由来する炭素−炭素三重結合の熱架橋反応が開始する温度から、該ポリイミド又はイミドオリゴマーが熱的に変性しない温度(例えば、熱分解温度)までの領域をいう。
【0044】
次に本発明に係るポリイミドの一原料である酸成分につき説明する。本発明の一特徴は、この酸成分の少なくとも一部として、式(I):
【0045】
【化15】
【0046】
で示される芳香族テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体を用いた点にある。ここで、式(I)で示される化合物は、既知化合物であり、例えば、特許第3204641号公報に記載の方法で製造可能である。
【0047】
酸成分として、式(I)の化合物及びその誘導体を単独で又は二種以上を組み合わせて用いてもよい。尚、酸成分のうち、式(I)の化合物の合計は、1モル%以上であることが好適であり、30モル%以上であることがより好適であり、50モル%以上であることが特に好適である。
【0048】
他の酸成分に関しては、本発明の内容を逸脱しない範囲である限り特に限定されず、例えば、式(III):
【0049】
【化16】
【0050】
(式中、Arは、芳香族環を持つ4価の有機基を表す)で示される、式(I)で示される芳香族テトラカルボン酸二酸無水物及びその誘導体とは異なる、芳香族テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体を挙げることができる。4価の有機基としては、例えば式(V):
【0051】
【化17】
【0052】
の芳香族基を挙げることができる。このような化合物及びその誘導体の具体例として、ピロメリト酸二酸無水物、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二酸無水物、2,2′,3,3′−ビフェニルテトラカルボン酸二酸無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二酸無水物、2,2′,3,3′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二酸無水物、3,3′,4,4′−オキシジフタル酸二酸無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二酸無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二酸無水物、1,3,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二酸無水物、4,4′−(イソプロピリデン)ジフタル酸二酸無水物、4,4′−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二酸無水物、4,4′−(4,4′−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二酸無水物、4,4′−(4,4′−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸二酸無水物や、これらの化合物の芳香族環上の水素原子のすべてあるいは一部がアルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシル基、ハロゲン化アルコキシル基などの他の置換基で置換されているものを挙げることができる。尚、これらは単独でも複数を組み合わせて用いてもよい。また、これら芳香族テトラカルボン酸二無水物は、既知化合物であり、市販もされている{例えば、PMDA(ダイセル化学工業株式会社)、BPDA(宇部興産株式会社)}。
【0053】
次に、本発明に係るポリイミドの原料であるジアミン成分につき説明する。本発明で用いられるジアミンは特に限定されないが、このジアミン成分として、式(II):
【0054】
【化18】
【0055】
(式中、Rは、置換又は非置換の、芳香族及び/又は脂肪族環を持つ2価の有機基を表す)で示されるジアミンを用いることが好適である。ここで、好適なRは、芳香族環を有する2価の有機基であり、より好適には、芳香族環を3個以上(より好適には3〜6個)含有するものである(例えばターフェニル)。また1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
具体的には、Rが芳香族環を有する基である場合、芳香族基を1つ含有するものとして、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、キシリレンジアミン、ジアミノナフタレン類、ジアミノアントラセン類;芳香族基を2つ含有するものとして、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−オキジアニリン、3,4′−オキシジアニリン、3,3′−オキシジアニリン;芳香族基を3つ含有するものとして1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、α、α′−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン;芳香族基を4つ以上含有するものとして4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾフェノン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニル、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ジフェニル、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ)ジフェニルエーテル1,3−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル)ベンゼン4,4−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル)ジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンなどを挙げることができる。
【0057】
また、Rが脂肪族環を有する基である場合、例えば、trans及びcis−1,4−ジアミノシクロヘキサン、trans及びcis−1,3−ジアミノシクロヘキサン、trans及びcis−1,2−ジアミノシクロヘキサン、3−メチルtrans及びcis−1,4−ジアミノシクロヘキサン、3−メチル−3−アミノメチル−5,5′−ジメチルシクロヘキシルアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス−(4,4′−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,3′−メチル−4,4′−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス−(アミノメチル)ノルボルナン、ビス−(アミノメチル)−トリシクロ〔5,2,1,02,6〕デカンなどを挙げることができる。
【0058】
使用するポリマー分子末端封止剤は、特に限定されず、例えば、カルボン酸無水物やモノアミンを挙げることができる。また、このような封止剤は、既知であり容易に入手可能である。具体的には、例えば、カルボン酸無水物としては、無水フタル酸、ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、ジフェニルエーテルジカルボン酸無水物、ジフェニルジカルボン酸無水物、ジフェニルスルホンジカルボン酸無水物、ナフタレンジカルボン酸無水物、アントラセンジカルボン酸無水物;モノアミンとしては、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,3−キシリジン、2,6−キシリジン、3,4−キシリジン、3,5−キシリジン、2−アミノフェニルフェニルエーテル、3−アミノフェニルエーテル、4−アミノフェニルエーテル、2−アミノベンゾフェノン、3−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、2−アミノフェニルフェニルスルホン、3−アミノフェニルスルホン、4−アミノフェニルスルホン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン等を挙げることができる。
【0059】
但し、ポリマー分子末端封止剤として、分子内に三重結合を有するジカルボン酸二無水物またはモノアミンを用いることにより、高温度領域では熱硬化性を示すことを特徴とする熱可塑性ポリイミド又はイミドオリゴマーを得ることができる。即ち、通常の封止剤を用いた場合には、本発明の熱可塑性ポリイミドやイミドオリゴマーは、加熱しても熱硬化性を必ずしも示さないが、上記の封止剤を用いた場合には、ある温度以上では熱硬化性を示すようになる。換言すれば、ある程度の温度までは熱可塑性(即ち、高い加工性)を示し、ある程度の温度以上とすると熱硬化するような、熱可塑性と熱硬化性という両方の性質を有する、これまでに存在しないポリイミド・イミドオリゴマーとなる。
【0060】
例えば、式(IV):
【0061】
【化19】
【0062】
(式中、R′は、炭素数が6〜30である、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、あるいは芳香族基が直接又は架橋員により相互に連結された非縮合多環式芳香族基である3価の有機基であり;式(IV)中のいずれかの芳香族環は、非置換であっても置換されていてもよい)で示されるジカルボン酸無水物を用いると、300℃以上(好ましくは200℃以上)で熱硬化性を示す、新規な熱可塑性ポリイミドやイミドオリゴマーを得ることができる。
【0063】
式(IV)のジカルボン酸無水物としては、4−フェニルエチニル無水フタル酸、3−フェニルエチニル無水フタル酸、フェニルエチニルナフタレンジカルボン酸無水物、フェニルエチニルジフェニルテトラカルボン酸無水物、フェニルエチニルジフェニルエーテルジカルボン酸無水物、フェニルエチニルベンゾフェノンジカルボン酸無水物、フェニルエチニルジフェニルスルホンジカルボン酸無水物、フェニルエチニルアントラセンジカルボン酸無水物やこれらの芳香族環が置換されているものを挙げることができる。尚、これらは単独でも2種以上を混合して用いてもよい。また、前記の炭素−炭素三重結合を含有しない封止剤、例えば、無水フタル酸、ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、ジフェニルエーテルジカルボン酸無水物、ジフェニルジカルボン酸無水物、ジフェニルスルホンジカルボン酸無水物、ナフタレンジカルボン酸無水物、アントラセンジカルボン酸無水物の1種又は2種以上と組み合わせて用いてもよい。
【0064】
尚、封止剤の使用量は、酸成分とジアミン成分の使用モル数の差の1〜数倍のモノアミンあるいはジカルボン酸無水物であることが好適である。
【0065】
次に、本発明に係るポリイミド・イミドオリゴマーの製造方法を説明する。ポリイミド・イミドオリゴマーの製造に際しては、先ず対応するポリアミド酸・アミド酸オリゴマーの製造を行う。ここでポリアミド酸・アミド酸オリゴマーの合成反応は、特に制限はなく公知の方法でよく、通常は溶媒中で行われる。この反応に用いられる溶媒としては、反応に不活性な溶媒であれば特に限定されず、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、クレゾール酸、ジメチルスルホキシドなどを5〜80%の溶質濃度で単独または混合形態で使用することができる。特に好適なのは、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンである。またこれらの溶媒にベンゼン、キシレン、ヘキサン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、ベンゾニトリル等の溶媒を任意の割合で混合して用いてもよい。
【0066】
ここで、得られるポリアミド酸・アミド酸オリゴマーの重合度は、好適には、2〜600である。因みに、ポリイミド・イミドオリゴマーは、元のポリアミド酸・アミド酸オリゴマーと同じ重合度を有することになる。尚、この重合度は、GPCで測定される重量平均分子量に基づき算出可能である。
【0067】
重合度の調整は、通常の縮重合系ポリマーと同様に、モノマー成分のモル比を調整することにより制御可能である。例えば、酸成分1モルに対して、0.8〜1.2モルのジアミン成分を使用する。好ましくは酸成分1モルに対して、ジアミン0.9〜1.1モルを用いる。
【0068】
得られるポリアミド酸は、好適には、その溶液の粘度が0.2〜20万mPa・sの範囲にあるものである。粘度は、例えば、日本薬局方に基づく粘度測定法における回転粘度計(B型粘度計)を利用する。
【0069】
イミド化反応は、上記の方法で得られたポリアミド酸・アミド酸オリゴマーを、公知の方法で脱水することにより行う。例えば、化学的イミド化法では、上記反応で得られたポリアミド酸・アミド酸オリゴマーに、特に限定される訳ではないが、無水酢酸、トリフルオロ無水酢酸、ポリリン酸、五酸化リン、五塩化リン、塩化チオニルなどの脱水剤を単独または2種類以上を混合して作用させて化学的に脱水を行う。化学的イミド化法の反応条件は、特に制限はなく公知の条件が適用できる。また、熱的イミド化法では、上記反応で得られたポリアミド酸・アミド酸オリゴマーを、▲1▼ガラス板などに塗布した後、加熱を行い、溶媒の蒸発と同時に脱水閉環してフィルム状のポリイミド・イミドオリゴマーを得る方法や、▲2▼反応容器内に溶媒を加え、加熱を行い、脱水よって生成する水を系外に除き、析出するポリイミド粉・イミドオリゴマー粉をろ過により得る方法がある。ここで用いられる溶媒としては特に限定されず、ベンゼン、トルエン、オルソキシレン、メタキシレン、パラキシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン、クロロトルエン、ブロモトルエンなどの芳香族炭化水素、ハロゲン化芳香族炭化水素が使用可能である。これらの溶媒は、単独または2種類以上を混合して用いることができる。またこれらの溶媒の使用量についても特に制限はない。熱的イミド化法の反応条件も特に制限はなく、公知の条件が適用できる。通常は、使用する溶媒の沸点により異なるが100℃から400℃であり、反応圧力は常圧であり、反応時間は0.5時間から24時間が実用的である。また必要に応じて窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスの雰囲気下で行うことができる。また、上記化学的イミド化法、熱的イミド化法を併用してもかまわない。
【0070】
更に、熱硬化性の性質を奏し得るポリイミド・イミドオリゴマーに関しては、高温度領域に加熱することにより、熱硬化性ポリイミド・イミドオリゴマーを得ることができる。例えば、上記のようにして得られたフィルム状ポリイミド・イミドオリゴマー、ポリイミド粉・イミドオリゴマー粉、ポリアミド酸・アミド酸オリゴマー溶液、ポリイミド・イミドオリゴマーの懸濁液を熱処理することにより得られる。尚、これらのポリイミド・イミドオリゴマーの一部が、ポリアミド酸・アミド酸オリゴマーであってもよい。また、熱的イミド化を行うときに同時に熱処理を行うこともできる。
【0071】
熱処理温度は、ポリイミド・イミドオリゴマー又はポリアミド酸・アミド酸オリゴマーの種類によっても異なるが、100℃から500℃であり、より好適には250〜400℃である。熱処理時間は、ポリイミド又はポリアミド酸の種類や熱処理温度によっても異なるが、一般に炭素−炭素三重結合の熱架橋反応が十分に完結する時間から、ポリイミド、ポリアミド酸が熱的に変性しない時間が望ましい。具体的には1分から1時間である。
【0072】
【実施例】
以下に本発明の態様を明らかにするために、実施例と比較例と参考例とを示すが、本発明はここに示す実施例のみに限定される訳ではない。なお、実施例1〜4は、熱可塑性・熱硬化性を有するポリイミドに関するものであり、実施例5及び6は、熱可塑性のみを有するポリイミドに関するものである。
実施例1
フラスコ内に4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン5.8921g(0.01362mol) 2,2′,3,3′−オキシジフタル酸二酸無水物3.6058g(0.01162mol) 4−フェニルエチニルフタル酸無水物0.9929g(0.004mol)及びN−メチル−2−ピロリドン25mLを仕込み、窒素気流中、室温で12時間攪拌して溶質濃度30%の末端フェニルエチニル基含有のアミド酸オリゴマーを得た。このアミド酸オリゴマーの粘度(B型粘度計:東京計器製)は35000mPa・sであった。このアミド酸オリゴマーのN−メチル−2−ピロリドン溶液の半量をガラス板上にキャスティングし、100℃、225℃、350℃でそれぞれ1時間加熱して厚さ30μmのフィルムを得た。このポリイミドフィルムについてDSC測定を行ったところ265℃にガラス転移温度が観測された。このポリイミドフィルムについて5%重量減少をTGAにより測定すると、519.2℃であった。このポリイミドフィルムについて熱膨張係数をTMAにより測定すると、50〜250℃の温度範囲で46.8ppmであった。残りのアミド酸オリゴマーのN−メチル−2−ピロリドン溶液にオルソキシレン50mLを加え、165℃に加熱して脱水閉環イミド化を行い、冷却後メタノール中に注入して析出した結晶をろ過により収集し、水、メタノールにて洗浄後減圧乾燥を行って末端フェニルエチニル基含有のイミドオリゴマー粉を得た。このポリイミドオリゴマー粉のDSC測定を行ったところ216℃にガラス転移点が、360℃付近に末端フェニルエチニル基の架橋による発熱ピークがみられた。一方、このポリイミドオリゴマー粉を380℃で1時間熱処理して得られた熱硬化後のポリイミドのDSC測定を行ったところ264℃にガラス転移点がみられ、その温度より高温側では発熱ピークは観測されなかった。また、熱処理前のポリイミド粉は、NMP、DMAc、DMF等の極性溶媒に可溶であったが、熱処理後のポリイミドは上記のような溶媒には溶解しなかった。
【0073】
実施例2〜4
実施例1と同様に、但し第1表に示すように各種成分を変えてポリイミドを作成した。その結果も合わせて第1表に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
実施例5
ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン4.105g(0.01モル)を窒素雰囲気下にて、N−メチルピロリドン40gに溶解した。次に、2,2′,3,3′−オキシジフタル酸無水物3.102g(0.01モル)を発熱による温度の上昇を抑制しながら反応させ、粘稠なポリアミド酸を得た。このポリアミド酸の粘度を、日本薬局方に基づく粘度測定法における回転粘度計(B型粘度計:東京計器製)で測定すると、78,000mPa・sであった。上記のようにして得られたポリアミド酸をガラス基板上に皮膜を形成し、この皮膜を熱風乾燥機中出来120℃15分間、更に250℃で15分間加熱乾燥して、厚み20μのポリイミドフィルムを得た。
実施例6
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン2.923g(0.01モル)を窒素雰囲気下にて、N−メチルピロリドン27gに溶解した。次に、2,2′,3,3′−オキシジフタル酸無水物3.071g(0.01×0.99モル)を発熱による温度の上昇を抑制しながら反応させた後、無水フタル酸無水物0.095g(0.01×0.02モル)を添加し、さらに4時間攪拌しながら反応して粘稠なポリアミド酸を得た。このポリアミド酸の粘度を日本薬局方に基づく粘度測定法における回転粘度計(B型粘度計:東京計器製)で測定すると30、000mPa・sであった。上記のようにして得られたポリアミド酸にo−ジクロロベンゼン30gを加え、200℃で6時間脱水閉環反応し、ポリイミド化した。冷却後、メタノール100g中へ投入し淡黄色の粉末を得た。
【0076】
実施例7(接着試験)
実施例5で得られたポリイミドフィルムを電解銅箔に210℃、4Kg/cm2で20秒間加熱圧着した。銅箔に対する90°剥離接着強度をIPC−TM−650法2,4,9に従って測定したところ、2.18Kgf/cmであった。また、実施例6で得られたポリイミド粉末を、電解銅箔上、210℃、4Kg/cm2で60秒間加熱圧着した。銅箔に対する90°剥離接着強度をIPC−TM−650法2,4,9に従って測定したところ、1.92Kgf/cmであった。
【発明の効果】
本発明の熱可塑性ポリイミドは、比較的低温での溶融性、溶融流動性に優れており、低温での加工性が良い。またこれを熱処理することによって架橋、硬化させて得られた熱硬化性ポリイミドは耐熱性に優れるものである。
Claims (10)
- 酸成分とジアミン成分とを重合させて得られる熱可塑性ポリイミド又はイミドオリゴマーにおいて、
酸成分の少なくとも一部として、式(I):
〔但し、ジアミン成分は、一般式:H 2 N−Q−NH 2 (式中、Qは、
- Rが、芳香族環を有する2価の有機基である、請求項2記載の熱可塑性ポリイミド又はイミドオリゴマー。
- Rが、芳香族環を3個以上含有する、請求項3記載の熱可塑性ポリイミド又はイミドオリゴマー。
- 請求項1〜5のいずれか一項記載のポリイミドを熱処理して得られる熱硬化性ポリイミド又はイミドオリゴマー。
- 請求項1〜5のいずれか一項記載のポリイミド又はイミドオリゴマーを含有する溶液又は懸濁液。
- 請求項1〜5のいずれか一項記載のポリイミド又はイミドオリゴマーの前駆体であるポリアミド酸又はアミド酸オリゴマー。
- 請求項8記載のポリアミド酸又はアミド酸オリゴマーを含有する溶液又は懸濁液。
- 請求項8記載のポリアミド酸又はアミド酸オリゴマーを熱処理して得られる熱硬化性ポリイミド又はイミドオリゴマー。
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