JP4396536B2 - 細繊度ポリテトラフルオロエチレン繊維の製造方法 - Google Patents
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Description
半焼成工程は次いで行う焼成工程に入る前になくてはならない工程である。半焼成工程のローラ温度が80℃より低い場合は、次いで行う焼成工程で一気に繊維に熱がかかるため繊維断面が変形もしくは単糸間での融着が発生する。一方、320℃より高い場合は半焼成段階で一気に繊維に熱がかかるため繊維断面が変形もしくは単糸間での融着が発生しやすい。従って、半焼成工程のローラは80℃以上320℃未満の温度の範囲に保つことが必要である。
本発明の半焼成及び焼成温度の範囲内で実施する場合には、アルカリ浴の濃度が0.08〜0.16wt%が好ましい。アルカリ浴の濃度が0.08wt%未満であると焼成時にセルロース分が分解しにくく、その結果、焼成後の繊維に分解しきれないセルロース分が多く残存し、その後の延伸がしにくくなり、延伸工程で糸切れが頻発する傾向となる。一方、アルカリ浴の濃度が0.16wt%を超えるとアルカリ洗浄時にセルロースが溶けだし、アルカリ浴中やガイドにカスが溜まりやすくなる。また半焼成・焼成工程に入る際の未焼成糸強度が弱くなり、工程通過性トラブルを発生しやすくなるので好ましくない。また、焼成時繊維内部のPTFE粒子同士の融着が強固となり、フィブリル化しにくくなるので好ましくない。より好ましいアルカリ濃度は、0.10〜0.14wt%である。
また、本発明のPTFE繊維が短繊維原綿である場合、その300℃×30分における乾熱収縮率は30%以下であることが好ましい。実際にフェルトなどを作製して使用する場合、その素材のもつ耐熱性ゆえに高温度下で使用されることが多く、高温下でフェルトが大きく収縮すると目詰まりを起こしやすくなり、好ましくないからである。その乾熱収縮率は、より好ましくは20%以下である。
またここでいうフェルトにおいては、PTFE繊維の短繊維からなるウェッブと、耐熱性繊維のマルチフィラメントやモノフィラメントからなる織物からなる基布を積層したものでもよい。あるいは、フッ素樹脂系繊維(4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、4フッ化エチレン− パーフロロアルコキシ基共重合体(PFA) または4フッ化エチレン− オレフィン共重合体(ETFE)など)からなる織物や編み物単体も、基布として用いることができる。さらにまた、フィブリル化していないPTFE繊維からなる布帛としては、PTFE繊維からなるウェッブ単体でも良く、あるいはまた、このウェッブをカレンダーした布帛や、樹脂を付着して硬化したレジンボンド不織布でも問題なく用いることができる。
フィブリル化させる前のPTFE延伸糸からサンプルをランダムに抜き取り下記の通り包埋法により断面写真を撮影する。その上でそれぞれの断面写真を切り取り重量を測定することで断面積を求め、本発明のPTFE繊維は比重2.30g/cm3を用いて繊度を計算した。ランダムに30本測定し、平均値を算出する。その平均値と最小繊度、最大繊度の大きい方のばらつきの程度を測定した。
サンプル糸を成形枠にやや張力を加え粘着テープで固定する。200℃で加熱してパラフィンとステアリン酸の混合物を溶融させる。130℃になったらエチルセルロースを少量ずつ加え、攪拌しながら1時間保温して泡を抜く。100℃まで落とした後、成形枠に流し込む。冷却・固化させた後、適当な大きさのブロックに切り分ける。ミクロトームを用いて、ブロックから切片(厚さ7μm程度)を切り出し、スライドグラスの上に載せる。このとき、スライドグラス上にアルブメンを薄く塗り延ばしておく(アルブメンは卵の白身とグリセリン等量、防腐剤としてサリチル酸ソーダ1wt%添加したもの)。70℃に保った乾燥機に20分放置して熱処理を行い乾燥させた後、酢酸イソアミル浴に約1時間浸し、脱包埋を行ない、その後風乾する。スライドグラスの上に流動パラフィンを一滴つけ、空気が入らないようにカバーグラスを静かに載せ、顕微鏡を用いて写真を撮影する。
室内温度30℃、相対湿度60%とし、カード機に2g/m〜10g/mの原綿を投入しつつ、ローラー通過時のシリンダーローラーの巻き付き、ネップの発生を観察し、以下のように評価した。
○ 良好
△ やや悪い
× 非常に悪い
布帛の表面写真を撮影し、フィブリル糸の占める面積をよみとった。撮影倍率は50倍で、ビデオハイスコープを用いた。
布帛の断面写真を電子顕微鏡で撮影し、最も繊維径の細い繊維を選択し、該繊維の繊維直径をよみとる。撮影倍率は1000倍とする。
捕集効率は大気塵計数法により実施した。ダスト粒径は0.5μm以下、濾過風速は1.0m/分で、パーティクルカウンターを使用して、大気中のダストの捕集効率を測定したデータである。
ビスコース熟成度(塩点)8.0、セルロース濃度9.0%、アルカリ濃度6.2%のビスコース50重量%と濃度60%のPTFE水分散液50%を混合した後、10Torrの減圧下で脱泡して重合体濃度30%の成形用原液を得た。原液中のポリマーに対するPTFE樹脂含有量は87.0%であり、30℃における原液粘度は132ポイズであった。この原液を、複数の丸吐出孔(0.12mmφ×600ホール)を有する成形用口金に導き、表1に示す断面形状、繊度になるように凝固浴中に吐出した。
PTFEステープルファイバー(東レ・ファインケミカル社製“TOYOFLON“7.4dtex×70mm;丸断面)を用い実施例1と同様にしてフィブリル化した布帛を得た。実施例1と比較例1を比べると、本発明で得られる布帛は捕集効率が高いことが分かる。
フィブリル化を行わない点以外は比較例1と同様にして、フィブリル化していないフェルト布帛を得た。布帛のフィブリルの割合、最小繊維径、捕集効率を測定した。結果を表1に示す。フィブリル化していない布帛である実施例2と比較例2を比べると、本発明のPTFE繊維を用いた実施例2の方がダスト捕集効率は遙かに優れていた。
実施例1で得たPTFE水分散液原液を用い、この原液を複数の丸孔を有する成形用口金に導き、延伸糸の繊度が2.2dtexになるように凝固浴中に吐出した。凝固浴は硫酸濃度7%、硫酸ソーダ濃度20.0%の混合水溶液であり、温度は23℃であった。次いで凝固した未焼成糸を温度80℃の温水で洗浄した後、濃度0.05mol/l(0.2%)の苛性ソーダ水溶液を入れたアルカリ浴中に導いて精練し、酸成分を完全に除去した。その後、アルカリ浴から導かれた未焼成糸をニップローラで絞った後、本発明で言うリラックス半焼成を行うことなくそのまま380℃に加熱されたローラに接触させて焼成を行い30m/分の速度で引き取り、未延伸糸を得た。次いで未延伸糸を350℃の温度で熱延伸し、2.2dtexの丸形断面形状のPTFE延伸糸を得た。
Claims (4)
- マトリックス成分としてのビスコースとポリテトラフルオロエチレンの水分散液との混合液を、硫酸濃度7〜13%、硫酸ソーダ濃度7〜15%を含有する凝固浴中に複数の口金孔から吐出し、紡糸、精練した後、焼成ローラ間で1〜5%のリラックスを与えながら80℃以上320℃未満の温度で半焼成した後、320〜380℃の温度で焼成を行ない、延伸前に一旦巻き取るか、もしくは巻き取らずに、延伸して、繊度が3.3dtex以下でかつ繊度ばらつきが10%以下である丸形断面ポリテトラフルオロエチレン繊維を製造することを特徴とするポリテトラフルオロエチレン繊維の製造方法。
- 接触タイプの焼成ローラを用いて半焼成することを特徴とする請求項1記載のポリテトラフルオロエチレン繊維の製造方法。
- 半焼成および焼成の前に、アルカリ濃度0.08〜0.16wt%のアルカリ水溶液による洗浄を行うことを特徴とする請求項1または2記載のポリテトラフルオロエチレン繊維の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のポリテトラフルオロエチレン繊維の製造方法にて得られるポリテトラフルオロエチレン繊維。
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