JP4396549B2 - 異繊度混繊ポリテトラフルオロエチレン繊維及びこれを用いた布帛 - Google Patents

異繊度混繊ポリテトラフルオロエチレン繊維及びこれを用いた布帛 Download PDF

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Description

本発明は、繊度が2.5dtex以下の細繊度ポリテトラフルオロエチレン繊維と3.3dtex以上の太繊度ポリテトラフルオロエチレン繊維が混在したポリテトラフルオロエチレン繊維(混合原綿や混繊糸)に関する。また、この異繊度混繊繊維を用いた布帛、この布帛を用いたフィルター材に関する。
ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと略称する)繊維に代表されるフッ素樹脂系繊維は、その優れた耐熱性、耐薬品性、電気特性あるいは低摩擦係数などから、産業資材用途に広く用いられている。
PTFEは不溶解性であり、また加熱溶融時に非常に高い溶融粘度を持っている。その製法は、従来公知のマトリックス法(エマルジョン法ともいう)、スプリット剥離法、またはペースト押出法などにより生産される。一方、PTFEを共重合させた共重合系のフッ素系樹脂(4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)、4−フッ化エチレン− パーフロロアルコキシ基共重合体(PFA) または4−フッ化エチレン− オレフィン共重合体(ETFE)など)は溶融紡糸法により生産が可能である。
スプリット剥離法による異形断面PTFE繊維および該異形断面繊維を用いたフェルト状フィルタ材は公知である(特許文献1)。しかし、スプリット剥離法で得られる異形断面繊維はその製法上、どうしても扁平断面形状となり、その形状・繊度もランダムで不均一となるため、フェルト加工時にネップが発生しやすく生産が困難であるという欠点があった。
また、共重合タイプのフッ素系樹脂を用いた溶融紡糸による異形断面繊維およびこれを用いたバグフィルタは公知である(特許文献2,3)。しかしながら、溶融紡糸を行う共重合タイプのフッ素系樹脂は溶融時の流動性を与える目的で共重合しているため、どうしてもPTFEに比べ耐薬品性・耐熱性に劣ってしまう。
PTFE繊維のエマルジョン法による製法は特許文献4,5により公知である。特許文献4には平均繊度が3d以下の細繊度PTFE繊維が記載されているが、この方法によると、製糸時の糸切れが発生し安定した生産が困難であるという問題があった。特許文献5の方法によっても細繊度PTFE繊維を安定に製造することは困難であった。
すなわち、これまで繊度が均一でかつ細繊度で安定生産が可能な工業的に実用化可能なPTFE繊維の製造方法は見いだされいなかったのである。また、細繊度PTFE繊維と異形断面PTFEの混在したPTFE繊維原綿や混繊糸も存在しなかったのである。
一方で、PTFE繊維は、その用途の中でもゴミ焼却炉のバグフィルター用途に特に広く用いられており、フッ素繊維とガラス繊維との複合品が広く利用されている。あるいはまた、ガラス繊維以外の耐熱性繊維、例えばアラミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミドあるいはポリパラフェニレンベンゾオキサゾールなどを用いたバグフィルターも広く用いられている。
上記の耐熱性繊維を用いたバグフィルターに対して、現在はダストの捕集効率がさらに高いバグフィルターが求められている。これは例えばガス化溶融処理炉等に用いられるバグフィルターであり、粒径の小さなダストの捕集が可能な高捕集効率のフィルターである。
あるいは、また、フッ素樹脂系繊維を用いた微粒子封止材料も広く用いられている。例えばプリンターのトナー封止材料などであり、150℃以上の温度で微少なトナーを封止するものである。トナーのカラー化が進むにつれ、さらに微少なトナーの封止が可能な材料が求められている。
そこで、耐熱性繊維のフェルト表面にフッ素樹脂の微多孔膜を貼り合わせ、該微多孔膜でダストを高効率に捕集する方法が提案されている(特許文献6)。確かにこの方法では0.5μm以下のダストの捕集効率は高いが、フッ素樹脂の微多孔膜と他素材との接着性が悪いため、剥離してしまうという問題がある。さらにバグフィルター用に使用した場合、逆洗パルスを打つ時にリテーナーと摩擦を生じるため、この摩擦力によっても剥離が発生する問題がある。
あるいは、特許文献7にあるように、極細繊維層とフェルト基材層とをニードルパンチ処理して一体化し、極細化可能繊維の分布を表面から裏面に向かって漸減させ、次に高圧水流パンチによって極細化可能繊維を分割して極細化させるような高捕集効率のフィルターが公知である。しかしこのフィルターでは、2種類以上の異なる繊維を積層する必要があり、加工工程が多い問題がある。さらに、特許文献7の極細化可能繊維はポリアミド/ポリエステルの分割繊維が例示されているにすぎない。
また、特許文献8には、分枝及び/またはループを有するフッ素樹脂繊維を用いた濾材が記述されているが、該繊維はカーディング処理してウェッブとした後、ニードルパンチすることで分枝及び/またはループを生じる繊維である。この方法で得られる分枝及び/またはループを有する布帛は、表面および内部、全体にわたってフッ素樹脂繊維が分割しているため、ウェッブの強度が低下する問題がある。
特開2001−276528号公報(特許請求の範囲、第2頁) 特公平3−10723号公報(特許請求の範囲) 特開2002−282627号公報(第3,5,6欄) 登録2571379号公報(特許請求の範囲、第4頁) 登録3327027号公報(特許請求の範囲、第3,4頁) 特開2000−140588号公報等(特許請求の範囲) 特開平4−32649号公報(特許請求の範囲) 特開2000−61224号公報(特許請求の範囲)
本発明の課題は、PTFE繊維の特性を損なうことなく、より微少なダストの捕集性と通気性の向上に優れた布帛を製造できるPTFE繊維を提供することであり、この課題について鋭意検討し、繊度が2.5dtex以下の細繊度PTFE繊維と繊度が3.3dtex以上の太繊度PTFE繊維が混在した異繊度混繊PTFE繊維(混合原綿や混繊糸)を用いることにより、かかる課題を一挙に解決し得ることを見いだしたものである。
上記課題を解決するために、次のような手段を採用する。
すなわち、本発明は、繊度が2.5dtex以下の細繊度ポリテトラフルオロエチレン繊維と、繊度が3.3dtex以上の太繊度ポリテトラフルオロエチレン繊維からなることを特徴とする異繊度混繊ポリテトラフルオロエチレン繊維である
さらに、本発明は、前述の異繊度混繊ポリテトラフルオロエチレン繊維を少なくとも一部に用いた布帛、このような布帛を用いてなるフィルター材である。
本発明によれば、これまで以上に通気性が良好で微少なダストの捕集性に優れた布帛を製造可能なPTFE繊維(混合原綿や混繊糸)を得ることができる。また、本発明のPTFE繊維を用いると、これまで以上に通気性が良好で微小なダストの捕集性に優れた布帛を得ることができる。この布帛及びそれをフィブリル化させた布帛はフィルター材の布帛に好適に用いることができる。さらにはかかる繊維をマトリックス紡糸法により安定して製造することができる。
以下に本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
フッ素系ポリマーにはPTFEの他にPTFEに共重合した4−フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、4−フッ化エチレン−パーフロロアルコキシ基共重合体(PFA)、または4−フッ化エチレン− オレフィン共重合体(ETFE)などがあり、これらは溶融紡糸により生産されている。しかしながら、耐熱性の点からPTFEが最も優れている。本発明はこれまで開示されていなかった上記、繊度が2.5dtex以下の細繊度PTFE繊維と3.3dtex以上の太繊度PTFE繊維が混在した異繊度混繊PTFE繊維に関するものである。
これまでPTFE繊維の製造方法にはマトリックス紡糸法(エマルジョン法ともいう)、スプリット剥離法、ペースト押出法などが知られている。
スプリット剥離法とはPTFEの粉末をシリンダ圧縮せしめた後、焼結、スプリット剥離させた後、延伸する製法である。
ペースト押出法とは、マトリックスポリマーを用いずにPTFEの粉末をワックス状潤滑剤と混練し、棒状もしくはフィルム状に成形した後、該潤滑剤を除去し、延伸、焼成(焼成しない場合もある)する製法である。しかしながら、これら2つの製法では、どうしてもその製法上細く切り裂いて得られる最終繊維状物の断面は扁平形状であり、しかもランダムで均一性に劣り、特に短繊維として単独でフェルト加工する際にはネップなどが生成されやすいという欠点があった。
本発明に係るPTFE繊維は、繊度が2.5dtex以下の細繊度PTFE繊維と3.3dtex以上の太繊度PTFE繊維が混在した異繊度混繊PTFE繊維である。ダスト捕集効率を向上させる目的では表面積を上げるため細繊度化させることが有効である。細繊度PTFE繊維は、2.5dtex以下であり、この範囲内においては、これまでのダスト捕集性能を遙かに凌ぐフェルトが得られる。一方、通気性を向上させる目的では太繊度化も要望される。太繊度PTFE繊維は、3.3dtex以上であることが必要である。本発明に係る異繊度混繊PTFE繊維は、細繊度繊維と太繊度繊維が特定の繊度範囲にあることで通気性が高いレベルを保ったまま、ダスト捕集性能も高いフェルトが得られる。
この時、本発明で言う太繊度PTFE繊維の混繊率は特に限定されないがカード通過性および通気性、ダスト捕集性能の観点から10〜90%が好ましく、更に好ましくは30〜70%である。
更に、本発明の異繊度混繊PTFE繊維では、太繊度繊維の少なくとも一部に繊度が3.3dtex以上18.0dtex以下であって、その繊度ばらつきが該繊度の10%以下である太繊度PTFE繊維を混在していることが好ましい。前述した通り、スプリット剥離法やペースト押出法で得られる繊維の断面はランダムでその繊度ばらつきも該繊維の繊度の10%を超えており繊度も不均一である。繊度ばらつきが該繊度の10%を超えることは、断面形状および繊度が不均一であることを意味している。それ故、ダスト捕集性能は良好であるが、その一方、単独ではフェルト加工時にネップなどが生成されやすく加工が困難という欠点があった。本発明では、細繊度繊維とともに繊度および繊度ばらつきの小さい太繊度PTFE繊維を混在させることでダスト捕集性能とカード通過性などのフェルト加工性の両立ができるようになる
太繊度PTFE繊維の繊度が3.3dtex未満で有る場合、ダスト捕集性能には優れるが通気性が劣ってしまう。また、18dtexを超える場合は、通気性に優れるが、ダスト捕集性能に劣ってしまうため、繊度は3.3dtex以上18.0dtex以下であることが好ましい。
また、少なくとも一部に複数の凸部を含む繊維断面、または扁平の繊維断面を有する太繊度ポリテトラフルオロエチレン繊維を混在してなることが好ましい。複数の凸部を含む繊維断面、または扁平の繊維断面を有する太繊度PTFE繊維を混在させることで良好な通気性を保ちつつ、ダスト捕集性を向上させることが可能となるのである。更に、異形化による通気性向上効果の観点から該凸部の数は3〜8葉であることが好ましい。8葉以上においては、異形化による通気性向上効果が小さくなってしまうので好ましくない。
本発明でいう異繊度混繊繊維の形態は、ボビンに巻かれた延伸糸、該延伸糸を加工して得られる撚糸などの糸や、捲縮加工されカットされた短繊維原綿などを指すが特に限定されない。
また、本発明で言う布帛の形態は、延伸糸をからなる織編物、短繊維をローラーカードに通して得られる不織布、フェルトなどを指すが特に限定されない。
また、その異繊度混繊糸は、紡糸段階で太繊度繊維と細繊度繊維を混合して紡糸し、延伸して製造してもよいし、太繊度繊維、細繊度繊維を別々に製造し後から混ぜて混繊糸製造してもよい。
更に本発明のPTFE異繊度混繊糸をカットして異繊度混合短繊維原綿とする際には、その繊維長30〜100mm程度であればよいが、特に限定されない。
本発明の異繊度混繊PTFE繊維において、単糸強度は0.7cN/dtex以上、単糸伸度は50%以下であることが好ましい。単糸強度が0.7cN/dtex未満、単糸伸度が50%を越える繊維を後加工する場合、単繊維が延伸され、工程通過性不良となるので好ましくない。
また、本発明の異繊度混繊PTFE繊維が短繊維混合原綿である場合には、その300℃×30分における乾熱収縮率は30%以下であることが好ましい。実際フェルトなどを作製して使用する場合、その素材のもつ耐熱性ゆえ、高温度下で使用される用途が多く収縮が高すぎるフェルトが収縮し、目詰まりも起こしやすく好ましくない。乾熱収縮率は、より好ましくは20%以下である。
本発明の上記細繊度PTFE繊維と太繊度PTFE繊維が混在した異繊度混繊PTFE繊維を得るには、また、繊度ばらつきが範囲内にあり、複数の凸部または扁平の繊維断面を有する太繊度PTFE繊維を得るには、マトリックス紡糸法の実施が必要である。マトリックス紡糸法とは、ビスコースなどをマトリックスとしてPTFEの水分散液との混合液を凝固浴中に吐出して繊維化し、次いで精錬した後、焼成を行う。ポリマーの融点以上で焼成することで、マトリックスポリマーの大部分を焼成飛散させながら、PTFEを溶融し、粒子間を融着することで、初めてその後の延伸性が付与される。焼成後、未延伸糸は直接1段もしくは2段に分けて延伸され、強度が発現する。
本発明のいう上記細繊度PTFE繊維と太繊度PTFE繊維が混在した異繊度混繊PTFE繊維や、繊度ばらつきが範囲内にあり、複数の凸部または扁平の繊維断面を有する太繊度PTFE繊維は、該マトリックス紡糸法を用い、しかも特定の条件下で製糸を行うことで初めて得られるのであり、スプリット剥離法やペースト押出法で得ることは出来ない。
本発明の上記細繊度PTFE繊維と太繊度PTFE繊維が混在した異繊度混繊PTFE繊維や、繊度ばらつきが範囲内にあり、複数の凸部または扁平の繊維断面を有する太繊度PTFE繊維を製造するためには、マトリックスとしてビスコースを用い、PTFEの水分散液との混合液を、硫酸濃度7〜13%、硫酸ソーダ濃度7〜15%に制御した凝固浴槽に複数の口金孔から吐出し、紡糸、精練した後、焼成ローラを用い、焼成ローラ間で1〜5%のリラックスを与えながら80以上320℃未満の温度の半焼成工程を経た後に、320〜380℃の温度で焼成を行うことが必要である。
本発明で用いるビスコースは通常レーヨン製造に用いられるもの、すなわちセルロース濃度5〜10重量%、アルカリ濃度4〜10%重量%、二硫化炭素27〜32重量%(セルロースに対し)が好ましい。
本発明で用いるPTFEの水分散液は濃度は50〜70重量%、安定剤として非イオン活性剤またはアニオン活性剤をPTFEポリマに対して3〜10重量%含有するものが好ましく用いられる。またPTFE水分散液の分散粒子の大きさは0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下である。
これらビスコースとPTFEの水分散液を混合させて混合液を作製する。 この際、混合液中のPTFE濃度は20〜40%、好ましくは25〜35%、一方、セルロース濃度は2〜6%、好ましくは3〜5%程度である。
この時、PTFE濃度が40%を超えて高すぎると凝固浴中で糸条が凝固しにくくなる。また精練浴・アルカリ浴中で糸条からPTFE粒子が脱落して安定した紡糸が行えなくなってしまう。また、焼成時にPTFE粒子同士の融着が強固となり単糸間融着が激しくなる他、単糸自体のフィブリル化も発現しにくくなるので好ましくない。PTFE濃度が20%未満となると、凝固浴中で凝固はしやすくなるが焼成時に均一な断面形状を保つことが困難になる他、焼成後の繊維中に炭化成分が多く残存するようになるため繊維強度が著しく低下し好ましくない。
この混合された混合液は脱泡されるが、この時温度が高いとビスコースが凝固してしまう懸念、また水分が蒸発しPTFEが凝集する懸念がある。そのため、脱泡時は15℃以下の低温に制御することが好ましい。真空度は約10Torr程度が好ましい。ビスコースとPTFEの混合のタイミングについては脱泡前にビスコースとPTFE水分散液を混合するか、それぞれ脱泡した後スタティックミキサーなどを用い口金に導く直前で混合する方法が採用できる。
次に、この紡糸混合液は凝固浴中に浸漬された多数の吐出孔からなる成型用口金より吐出し、凝固される。
凝固浴としては無機鉱酸および/または無機塩の水溶液が用いられるが、本発明では硫酸−硫酸ソーダの混合水溶液を用いる。
このとき硫酸濃度は7〜13%とする必要がある。硫酸濃度が7%未満であると凝固浴中で糸条が凝固する速度が非常に遅くなるため所望の断面形状を得ることが困難となるので好ましくない。一方、硫酸濃度が13%を超えると繊維表面に付着した硫酸が脱酸されにくく焼成工程で糸切れが多発する他、凝固浴中で糸条が凝固する速度が非常に速くなり、この場合も断面形状のコントロールが困難となるので好ましくない。
硫酸ソーダ濃度は7〜15%に調整する必要がある。硫酸ソーダはセルロースの急激な凝固を抑制する。硫酸ソーダ濃度が7%未満の場合、凝固浴中で糸条が凝固する速度が非常に速くなり、断面形状のコントロールが困難となるので好ましくない。一方、硫酸ソーダ濃度が15%を超える場合、凝固浴中で糸条が凝固する速度が非常に遅くなるため所望の断面形状を得ることが困難となり好ましくない。すなわち、本発明ではマトリックス法を用いて上記した硫酸濃度及び硫酸ソーダ濃度の両方を特定の範囲内に調整することで均一なPTFE繊維を製造することができたのである。
半焼成には接触タイプの焼成ローラまたは非接触タイプの焼成ヒーターを用いることができるが、好ましくは、接触タイプの焼成ローラを用いる。精練浴もしくはアルカリ浴から導かれた未焼成糸をそのままもしくはニップローラなどで絞った後、焼成ローラ間で1〜5%のリラックスを与えながら80以上320℃未満の温度の半焼成工程を行うことが必要である。80以上320℃未満の温度に保った接触タイプの半焼成工程のローラに導かれた未焼成糸はローラ上で急速に収縮し張力を増す。リラックス率が1%未満であれば張力が高くなりすぎて丸形もしくは所望の異形の断面形状を均一に保つことが困難となり、また、特に3.3dtex以下の細繊度糸を製造する場合には収縮による糸切れが多発してしまう。5%を超えるとリラックス率が高すぎて糸が弛み工程通過性に問題が生じてしまう。但し、1〜5%のリラックスは、半焼成に入った直後の焼成ローラ間に1回だけではなく半焼成工程のローラ間や焼成工程のローラ間においても行うことができる。
半焼成工程は次いで行う焼成工程に入る前になくてはならない工程である。半焼成工程のローラ温度が80℃より低い場合は、次いで行う焼成工程で一気に繊維に熱がかかるため繊維断面が変形もしくは単糸間での融着が発生する。一方、320℃より高い場合は半焼成段階で一気に繊維に熱がかかるため繊維断面が変形もしくは単糸間での融着が発生しやすい。従って、半焼成工程のローラは80以上320℃未満の温度の範囲に保つことが必要である。
この時、各ローラ温度は単独で変更出来、上記範囲内で有れば特に限定無く設定できる。
焼成ローラ数により半焼成工程の好適ローラ温度は異なる。半焼成工程のローラ温度は、好ましくは150以上320℃未満、より好ましくは250以上320℃未満である。
次いで、半焼成された糸は320〜380℃の温度で焼成される。この段階でセルロースの大部分は燃焼飛散し、セルロース中のPTFE粒子は繊維状に熱融着してPTFE未延伸糸が得られる。焼成温度が320℃より低いと繊維内のPTFE粒子同士の融着が不十分で、焼成後の延伸時に糸切れが頻発する他、繊維強度も低くなり好ましくない。一方、焼成温度が380℃より高いと熱により繊維断面形状が変形し所望の均一な断面形状を得ることが困難となってしまう。また、単糸間の融着も生じ製品の開繊性に悪影響を与える結果となるので好ましくない。また、焼成時、各ローラ温度は単独で変更出来、上記範囲内で有れば特に限定無く設定できる。
次いでPTFE未延伸糸は、通常用いられる公知の延伸方法で300〜400℃の温度で熱延伸されてPTFE延伸糸が得られる。
また、焼成の際に非接触タイプの焼成ヒーターを用い上記と同様にし製造することもできる。
精錬された後、半焼成、焼成工程を行う前に0.08〜0.16%のアルカリ濃度でアルカリによる洗浄工程を行うことが好ましい。かかるアルカリ洗浄浴には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩から選ばれた化合物の水溶液を用いるが、一般にはアルカリ金属の水溶液、中でも苛性ソーダ水溶液が好適に用いられる。該化合物の濃度は0.08〜0.16wt%が好ましい。一般に、次工程の焼成温度範囲にもよるが、PTFE繊維は焼成工程に入る際、繊維表面に酸成分が残存していると焼成工程での糸切れが頻発する。従来の3.3dtexを越える太繊度PTFE繊維であれば、精錬工程のみでもその精錬時間を長く考慮すれば洗浄は十分である。しかしながら、本発明でいう3.3dtex以下の細繊度PTFE繊維を製造する場合には、その細繊度糸の繊維表面積が広いゆえに、表面の酸成分をアルカリで中和および洗浄することが好ましい。アルカリによる洗浄は脱酸による糸切れ抑制の他に焼成具合つまり色目やフィブリル化しやすさにも影響を与える。
前記した半焼成及び焼成温度の範囲内で実施する場合には、アルカリ浴の濃度が0.08〜0.16wt%が好ましい。アルカリ浴の濃度が0.08wt%未満であると焼成時にセルロース分が分解しにくく、その結果、焼成後の繊維に分解しきれないセルロース分が多く残存し、その後の延伸がしにくくなり、延伸工程で糸切れが頻発する傾向となる。一方、アルカリ浴の濃度が0.16wt%を超えるとアルカリ洗浄時にセルロースが溶けだし、アルカリ浴中やガイドにカスが溜まりやすくなる。また半焼成・焼成工程に入る際の未焼成糸強度が弱くなり、工程通過性トラブルを発生しやすくなるので好ましくない。また、焼成時繊維内部のPTFE粒子同士の融着が強固となり、フィブリル化しにくくなるので好ましくない。より好ましいアルカリ濃度は、0.10〜0.14wt%である。
更にアルカリ浴の温度は、20℃以下が好ましい。アルカリ浴の温度が20℃を超えた場合もアルカリ濃度が高すぎる場合と同様にアルカリ洗浄時にセルロースが溶けだし、アルカリ浴中やガイドにカスが溜まりやすくなる他、半焼成・焼成工程に入る際の未焼成糸強度が弱くなり、工程通過性トラブルを発生しやすくなるので好ましくない。アルカリ浴の温度は、好ましくは15℃以下である。
本発明でいう少なくとも一部に本発明のPTFE繊維を用いた布帛において、その布帛の形態は、織編物、不織布、フェルトなどであり、特に限定されない。また、該布帛は本発明のPTFE繊維とともにガラス繊維やアラミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリパラフェニレンベンゾオキサゾールなどの繊維と混合して作製することができる。しかし、アラミド繊維は分解温度が500℃以上と優れているが、耐酸性が低い弱点があり、ポリフェニレンサルファイド繊維は耐薬品性に優れるものの、融点が285℃と耐熱性がやや低い。ポリイミド繊維の場合耐アルカリ性にやや問題があり、ポリフェニレンベンゾオキサゾール繊維は、高強度ではあるが、市場価格が非常に高価である。ガラス繊維は分解点が700℃以上と耐熱性は問題ないが、耐アルカリ性にやや問題がある。これに対してフッ素樹脂系繊維、中でもPTFE繊維は特定の過フッ化有機液体に299℃以上で溶けることと、溶融アルカリ金属にわずかに侵される以外は、非常に優れた耐薬品性を示し、また耐熱性も融点が327℃と高温であることから総合的に見てフッ素樹脂系繊維が最もバランスよく優れた性能を発揮する。そのため、最もフィルター用途に好適である。その混合比率としては本発明のPTFE繊維を20〜100%、好ましくは40〜100%の割合で混繊することが好ましい。本発明のPTFE繊維はそのまま布帛として使用することもできるが、以下で説明するフィブリル化した布帛として使用するとより効果的である。
本発明でいうフィブリル化を有する布帛とは、フィブリル化したPTFE繊維が布帛表面の総面積の50%以上を占めることが好ましい。総面積の50%未満しか占有しない場合は、0.5μm以下のダストの捕集効率が低い布帛しか得ることができないからである。
次に、かかる布帛の製造方法について説明する。すなわち、かかるフィブリル化したPTFE繊維からなる布帛は、フィブリル化していないPTFE繊維から構成される布帛の表面に、物理的衝撃を加えることで、該表面にフィブリル化したPTFE繊維を生成させる手段を用いて製造するものである。
本発明の布帛では、表面に最小繊度が1.1dtex以下、更に0.1dtex以下であるフィブリル化したPTFE繊維があり、表面から内部に向かって繊度の大きいPTFE繊維の割合が漸次に増大する布帛が好ましい。なぜなら布帛の厚み方向で全体にわたってフィブリル化したPTFE繊維からなる布帛は、構成繊維が全て細く分割してしまったため、布帛の強度が低下してしまい好ましくない。また、布帛表面でフィブリル化したPTFE繊維と共に、布帛内部にフィブリル化せずに存在する所定断面を保ったPTFE繊維がダストの捕集効率を向上させる。ここでいうフィブリル化していないPTFE繊維からなる布帛は、PTFE短繊維からなるウェッブをニードルパンチで一体化したフェルトとすれば、問題なく用いることができる。
またここでいうフェルトにおいては、PTFE繊維の短繊維からなるウェッブと、耐熱性繊維のマルチフィラメントやモノフィラメントからなる織物からなる基布を積層したものでもよい。あるいはフッ素樹脂系繊維(4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、4フッ化エチレン− パーフロロアルコキシ基共重合体(PFA) または4フッ化エチレン− オレフィン共重合体(ETFE)など)からなる織物や編み物単体も基布として用いることができる。さらにまた、フィブリル化していないPTFE繊維からなる布帛としては、PTFE繊維からなるウェッブ単体でも良く、あるいはまた、このウェッブをカレンダーした布帛や、樹脂を付着して硬化したレジンボンド不織布でも問題なく用いることができる。
本発明の物理的衝撃は、高圧ジェット水流処理であることが好ましい。なぜなら高圧ジェット水流処理をすることで、例えばニードルパンチなどによって発生する針穴や、繊維の断裂が発生するのを最小限に抑えて、物理的衝撃を与えることができるためである。
ここでいう高圧ジェット水流処理は3MPa.以上の処理圧が好ましい。丸断面のフッ素繊維と比べ、本発明で得られる異形繊維を用いることで処理圧を3MPa.まで低く設定しても割繊が可能となり、繊維へ与えるダメージを極力抑えることが可能である。一方、処理圧が3MPa.未満であると繊維が割繊しにくく、0.5μm以下のような微少ダストの捕集効率が低い布帛しか得られないため、好ましくない。
本発明で得られる布帛はフィルター用材料または微粒子封止用材料用途に好適に用いることが出来る。本発明の布帛によれば、飛灰や粉塵を捕集するフィルターのみならず、さらには、液体用の濾過フィルターでも問題なく用いることができ、更には微粒子封止材料として、例えばプリンターのトナー封止材料などとして使用することができるが、これらの用途に限定されるものではない。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、布帛の各物性の測定方法は以下の通りである。
PTFE繊維の繊度ばらつき]
フィブリル化させていないPTFE延伸糸からサンプルをランダムに抜き取り下記の通り包埋法により断面写真を撮影する。その上でそれぞれの断面写真を切り取り重量を測定することで断面積を求め、本発明のPTFE繊維は比重2.30g/cmを用いて繊度を計算した。ランダムに30本測定し、平均値を算出する。その平均値と最小繊度、最大繊度の大きい方のばらつきの程度を測定した。
また、この時スプリット剥離法やペースト押出法で得られる繊維の断面はランダムな扁平形状であり、均一性に劣っている。更にその製法上、細く切り裂いて得られるため繊維の角がシャープであり明らかにマトリックス紡糸法で得られるPTFE繊維とは異なり除外して測定することができる。
<包埋法>
サンプル糸を成形枠にやや張力を加えセロハンテープで固定する。200℃で加熱してパラフィンとステアリン酸の混合物を溶融させる。130℃になったらエチルセルロースを少量ずつ加え、攪拌しながら1時間保温して泡を抜く。100℃まで落とした後、成形枠に流し込む。冷却・固化させた後、適当な大きさのブロックに切り分ける。ミクロトームを用いて、ブロックから切片(厚さ7μm程度)を切り出し、スライドグラスの上に載せる。このとき、スライドグラス上にアルブメンを薄く塗り延ばしておく(アルブメンは卵の白身とグリセリン等量、防腐剤としてサリチル酸ソーダ1wt%添加したもの)。70℃に保った乾燥機に20分放置して熱処理を行い乾燥させた後、酢酸イソアミル浴に約1時間浸し、脱包埋を行ない、その後風乾する。スライドグラスの上に流動パラフィンを一滴つけ、空気が入らないようにカバーグラスを静かに載せ、顕微鏡を用いて写真を撮影する。
[カード通過性]
室内温度30℃、相対湿度60%とし、カード機に2g/m〜10g/mの原綿を投入しつつ、ローラー通過時のシリンダーローラーの巻き付き、ネップの発生を観察し、以下のように評価した。
○ 良好 △ やや悪い × 非常に悪い。
[布帛表面の総面積に占めるフィブリル糸の割合(以下フィブリルの割合と記述)]
布帛の表面写真を撮影し、フィブリル糸の占める面積をよみとった。撮影倍率は50倍で、ビデオハイスコープを用いた。
[最小繊維径]
布帛の断面写真を電子顕微鏡で撮影し、最も繊維径の細い繊維を選択し、該繊維の繊維直径をよみとる。撮影倍率は1000倍とする。
[ダスト捕集効率]
捕集効率は大気塵計数法により実施した。ダスト粒径は0.5μm以下、濾過風速は1.0m/分で、パーティクルカウンターを使用して、大気中のダストの捕集効率を測定したデータである。
[通気量]
JIS L 1096に規定されるフラジール形法に基づいて測定した。測定試料は、無作為に5点選んで測定した。
(実施例1〜6)
ビスコース熟成度(塩点)8.0、セルロース濃度9.0%、アルカリ濃度6.2%のビスコース50重量%と濃度60%のPTFE水分散液50%を混合した後、10Torrの減圧下で脱泡して重合体濃度30%の成形用原液を得た。原液中のポリマーに対するPTFE樹脂含有量は87.0%であり、30℃における原液粘度は132ポイズであった。この原液を複数の細繊度繊維用吐出孔と太繊度繊維用吐出孔を有する成用口金に導き、吐出孔から凝固浴中に吐出した。この際、表1に示した断面形状、繊度の混繊糸になるように紡糸口金の吐出孔を次のように変更した。なお、細繊度繊維と太繊度繊維を同じ口金から吐出させ紡糸段階から混繊して紡糸を行った。
<細繊度糸>
丸型断面形状繊維用の吐出孔: 0.08mmφ×200ホール
<太繊度糸>
三葉断面形状繊維用の吐出孔: 0.12mm(W)−0.08mm(L)×400ホール
五葉断面形状繊維用の吐出孔: 0.10mm(W)−0.08mm(L)×400ホール
扁平型断面形状繊維用の吐出孔: 0.14mm(W)−0.08mm(L)×400ホール
丸型断面形状繊維用の吐出孔: 0.12mmφ×400ホール
凝固浴は硫酸濃度10.0%、硫酸ソーダ濃度11.0%の混合水溶液であり、温度は10℃であった。次いで凝固した未焼成糸を温度80℃の温水で洗浄した後、濃度0.12%の苛性ソーダ水溶液を入れたアルカリ浴中に導いて精練し、酸成分を完全に除去した。その後、アルカリ浴から導かれた未焼成糸をニップローラで絞った後、4%のリラックスを与えながら280℃の温度で半焼成を行ない、次いで350℃に保った焼成ローラを用いて焼成を行い30m/分の速度で引き取り、未延伸糸を得た。次いで未延伸糸を350℃の温度で熱延伸し、表1に示す断面形状の太繊度糸と細繊度糸とが混繊されたPTFE延伸糸を得た。この紡糸、延伸工程において工程通過性は良好で1錘当たりの糸切れ回数は約15時間当たり1回の割合であった。
得られたPTFE延伸糸を合糸し、捲縮を掛けカットしてPTFEステープルを得た。該ステープルをカーディング処理してウェッブを得た。しかる後にPTFEマルチフィラメントよりなる織物(東レ・ファインケミカル製TOYOFLON#4300)の表裏両側に上記のウェッブを積層して、350本/cm2でニードルパンチ処理して一体化し、フェルトを得た(実施例5,6)。このフェルトの表面と裏面から3回ずつ処理水圧15MPa.、送り速度5m/minでウォータージェットパンチ処理し、表面のフィブリル化した布帛を得た(実施例1〜4)。該繊維の形状、繊度、繊度ばらつき、カード通過性、該布帛のフィブリルの割合、最小繊維径、通気量、捕集効率を測定した結果を表1に示す。
(比較例1)
PTFEステープルファイバー(東レ・ファインケミカル社製“TOYOFLON“7.4dtex×70mm;丸断面)を用い実施例1と同様にして、フィブリル化していないフェルト布帛を得た。布帛のフィブリルの割合、最小繊維径、通気量、捕集効率を測定した。結果を表1に示す。フィブリル化していない布帛である実施例5,6と比較例1を比べると、本発明のPTFE繊維を用いた実施例5,6の方がダスト捕集効率が遙かに優れていた。
(比較例2,3)
実施例1で得られたPTFE延伸糸から、太繊度PTFE繊維と細繊度PTFE繊維を分繊し、それぞれの太繊度PTFE繊維(三葉断面、7.7dtex)及び細繊度PTFE繊維(丸断面、1.5dtex)を得た。それぞれの繊維を用い、実施例1と同様にしてフィブリル化していないフェルト布帛を得た。布帛のフィブリルの割合、最小繊維径、通気量、捕集効率を測定した。結果を表1に示す。フィブリル化していない布帛である実施例5,6と比較例2を比べると、通気量は同程度だが、本発明のPTFE繊維を用いた実施例5,6の方がダスト捕集効率が遙かに優れていた。また、比較例3はダスト捕集効率は優れていたが、通気量が小さく通気性に劣る結果となった。
(比較例4)
実施例4で得たPTFE水分散液原液を用い、実施例4と同様にしてこの原液を複数の丸吐出孔を有する成用口金に導き、延伸糸の繊度が7.4と1.5dtexになるように凝固浴中に吐出した。凝固浴は硫酸濃度7%、硫酸ソーダ濃度20.0%の混合水溶液であり、温度は23℃であった。次いで凝固した未焼成糸を温度80℃の温水で洗浄した後、濃度0.05mol/l(0.2%)の苛性ソーダ水溶液を入れたアルカリ浴中に導いて精練し、酸成分を完全に除去した。その後、アルカリ浴から導かれた未焼成糸をニップローラで絞った後、本発明で言うリラックス半焼成を行うことなくそのまま380℃に加熱されたローラに接触させて焼成を行い30m/分の速度で引き取り、未延伸糸を得た。次いで未延伸糸を350℃の温度で熱延伸し、7.4と1.5dtexの丸形断面形状のPTFE延伸糸を得た。
該条件では、硫酸ソーダ濃度が15%を超え、凝固浴中で糸条が凝固する速度が非常に遅くなったこと、またリラックス半焼成を行うことなくそのまま380℃に加熱されたローラに接触させて焼成を行った際の急激な熱収縮により工程通過性は不良であり、紡糸、延伸工程において糸切れが激しく1錘当たりの糸切れ回数は約10分当たり1回の割合であった。また、リラックス半焼成を経ず急激に熱焼成を実施したため、延伸後の延伸糸の単糸間融着が激しく、そのため繊維ばらつきも太繊度PTFE繊維が±20%と非常に大きな値となった。
Figure 0004396549
Figure 0004396549
これらの結果から明らかなように、本発明に係る、繊度が2.5dtex以下の細繊度ポリテトラフルオロエチレン繊維と3.3dtex以上の太繊度ポリテトラフルオロエチレン繊維が混在する異繊度混繊ポリテトラフルオロエチレン短繊維原綿を用いると、より微小なダストの捕集性に優れた布帛を得ることができる。
また、マトリックス紡糸法によると、上記細繊度PTFE繊維と太繊度PTFE繊維が混在した異繊度混繊のPTFE混繊糸を、更には繊度ばらつきが所定範囲内にあり、複数の凸部または扁平の繊維断面を有する太繊度PTFE繊維を含む異繊度混繊PTFE糸を安定して製造することができる。

Claims (9)

  1. 繊度が2.5dtex以下の細繊度ポリテトラフルオロエチレン繊維と、繊度が3.3dtex以上の太繊度ポリテトラフルオロエチレン繊維からなることを特徴とする異繊度混繊ポリテトラフルオロエチレン繊維。
  2. 太繊度ポリテトラフルオロエチレン繊維の繊度が3.3dtex以上18.0dtex以下であって、その繊度ばらつきが該繊度の10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の異繊度混繊ポリテトラフルオロエチレン繊維。
  3. 太繊度ポリテトラフルオロエチレン繊維が複数の凸部を含む繊維断面または扁平の繊維断面を有する繊維を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の異繊度混繊ポリテトラフルオロエチレン繊維。
  4. 異繊度混繊ポリテトラフルオロエチレン繊維が、ポリテトラフルオロエチレン短繊維の異繊度混合原綿、又は、ポリテトラフルオロエチレン異繊度混繊糸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリテトラフルオロエチレン繊維。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の異繊度混繊ポリテトラフルオロエチレン繊維を少なくとも一部に用いたことを特徴とする布帛。
  6. 布帛表面のポリテトラフルオロエチレン繊維がフィブリルを有することを特徴とする請求項5に記載の布帛。
  7. フィブリルが物理的衝撃により形成されてなることを特徴とする請求項に記載の布帛。
  8. 物理的衝撃が高圧ジェット水流処理であることを特徴とする請求項に記載の布帛。
  9. 請求項5〜8のいずれかに記載の布帛を用いてなるフィルター材。
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