JP4394768B2 - 加圧送風フードシール装置およびそれを用いたシール方法 - Google Patents

加圧送風フードシール装置およびそれを用いたシール方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高炉の原料となる焼結鉱の製造に関わり、焼結設備における加圧送風フードシール装置およびそのシール方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
焼結機において、図3に示すように、配合原料を原料ホッパー5から無端状のパレット1に装入して、点火炉6で原料充填層2の上部に点火し、ウインドボックス8、排気ダクト9、排ガス集塵機10を介して排気ブロアー11により下方に吸引するとともに、ガスの加圧送風ブロアー4を接続した加圧送風フード3から原料充填層2の上部にガスを送風し、パレット1を移動させることで、順次上層から下層へ焼成する加圧焼結法がある。
【0003】
このような加圧焼結法として、例えば、焼成初期にはウインドボックス8の吸引圧力を大気圧に対して−1000mmAqとして大気を吸引し、燃焼溶融帯の上層から下層までの移行速度を小さくし、高温保持時間を従来よりも大きくすることで、原料充填層2の上部の成品歩留、焼結鉱品質を向上することができる。焼成中期以降は、例えば、原料充填層2の上部から空気の加圧送風ブロアー4を接続した加圧送風フード3により大気圧に対して+2000mmAqで空気を押し込み、下方から−1000mmAqで吸引し、原料充填層2の差圧を3000mmAqにすることで、通過ガスの密度を増大してコークス燃焼速度を増すとともに伝熱速度を増して、燃焼溶融帯の移行速度を大きくできる。さらに、ガス流量の増大によって冷却速度を増すことで、原料充填層内の燃焼溶融帯の高さ方向の厚みが小さくなり、燃焼溶融帯の通気抵抗を小さくして、燃焼溶融帯の移行速度を大きくすることができる。その結果、加圧焼結法においては焼結機の生産率、成品歩留、焼結鉱品質を大幅に向上できる。
【0004】
しかし、加圧焼結法は加圧送風フード3と原料充填層2とのシールが極めて困難であり、実施された例はほとんどない。特に、焼結パレット全体を覆う場合、あるいは焼結パレットの一部分を利用してシールする場合、パレット群が上下左右に揺動し、点火炉の通過時や焼成時に受ける熱膨張などの影響を考慮して設計する必要があることから、十分なシール技術が確立されていないからである。
【0005】
実公昭58−177797号公報には、「固定式のフードのスカート部に適正な弾性を備えている材料を設置し、焼結鉱上面に摺接せしめることによりシールできる」と記載されている。しかし、凹凸があり移動しているパレット上の焼結鉱にスカート部を摺接しても、単独でシールが可能でかつ耐用性のある弾性体はない。
【0006】
実公昭61−141700号公報には、「シール片が焼結鉱上面の上下動に追従しながら移動し、シール体がシール片の上下動に追従して上下に伸縮することでフード外周部のシールができる」と記載されている。しかし、これではパレット移動方向と幅方向のコーナー部のシールが困難であり、設備も大がかりなものとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の技術は、いずれもシール片と焼結鉱、あるいはシール片間で摺動が発生する機構である。すなわち、従来の加圧焼結方法においては、図4に示すように、加圧送風フード3のスカート下端部13と原料充填層2の間にシール片19がなければ、加圧送風フード3からの漏れガス量が多く、加圧送風フード3内の圧力が増加せず、加圧焼結法に必要な送風圧力を得ることができない。しかし、通常、焼結機は24時間連続稼働しており、シール片の消耗には非常に過酷な条件なので、十分にシールが可能で耐用性のあるシール片を得ることが困難であった。従って、摺動が発生しても問題とならない画期的なシール技術の開発が望まれていた。
【0008】
そこで本発明は、焼結パレット上方に設けた加圧送風フードから十分に加圧送風が可能で、耐用性も兼ね備えた焼結設備の加圧送風フードシール装置およびそのシール方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の焼結設備における加圧送風フードシール装置およびそのシール方法は以下の通りである。
【0010】
(1)下方吸引式焼結機の焼結原料充填層の上方に設けた加圧送風フードシール装置において、加圧送風フードのスカート下端部に内部圧力の調節が可能なエアーダクトを設置し、該エアーダクトの原料充填層上面に接触する底部がシート状の弾性体からなり、エアーダクトの内側底部に永久磁石あるいは電磁石を有することを特徴とする焼結設備における加圧送風フードシール装置。
【0012】
)前記(1)の加圧送風フードシール装置を用いて、エアーを供給することによりエアーダクト内の圧力を調節し、エアーダクト底部に備えたシート状の弾性体を原料充填層上面に接触させ、シート状の弾性体と原料充填層上部との間に磁場を形成し、シート状の弾性体と原料充填層上部との隙間に焼結鉱粉を滞留させることを特徴とする焼結設備における加圧送風フードシール方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明者らは、シール片の消耗の挙動と送風ガスの漏れについて検討した結果、シール片の消耗は部分的に発生し、全く消耗されずに完全にシールできている部分も多く残っていることを発見した。そして、その原因は、シール片と焼結鉱間の摺動が不均一、不規則的に起こるためであり、シール片と焼結鉱間の摺動を全体的に均一にすることでシール片の耐用性およびシール性が大きく向上することを見出した。
【0016】
例えば、図1に示すように、加圧送風フード3のスカート下端部13にエアーダクト15を設け、シート状の弾性体14をエアーダクト15の底部に取り付ける。この際、弾性体14を複数に分割して設置し、エアーダクト15内で分割された各々の弾性体14にエアーを供給・加圧できるような構造としても良い。
【0017】
図1に示すような加圧送風フードシール装置を用いて、エアーダクト15に供給するエアーにより弾性体14を加圧することで、弾性体14を原料充填層2の表面へ押しつけ、弾性体14と焼結鉱間での摺動を吸収して弾性体14全体に均一な押しつけ加重を得ることができる。また、シールを可能とする必要最小限の弾性体14の加圧を維持できるようにエアーダクト15の内圧を調整することにより、弾性体14と焼結鉱間の摩擦力を最小とすることができ、弾性体14の耐用性を向上できる。
【0018】
本発明で用いる弾性体は、ゴムシートなどの弾力性があり、耐摩耗性の優れたものであれば、特に限定されるものではないが、特に好ましいものとしては、例えば、ウレタンゴム、NBR、CR、布入り強化ゴムなどが挙げられる。
【0019】
さらに、本発明では、図2に示すように、弾性体14の耐用性を増すために、エアーダクト15内の弾性体14の上方に永久磁石あるいは電磁石16を設置して、弾性体14と原料充填層2の上部との間に磁場を形成し、弾性体14と原料充填層2の上部との隙間に磁性体である焼結鉱粉17を滞留させる。このようにして、弾性体14の滑り面に脆弱な焼結鉱粉17を見かけ上コーティングすることで、弾性体14は原料充填層2の移動による焼結鉱からの摩擦を直接受けることがないので、耐用性を格段に増すことができる。また、永久磁石あるいは電磁石16と弾性体14との間には、弾性体14の変形を阻害しないために、ある程度の隙間を置くかスポンジ状ゴム18などを挟んでおけば良い。
【0020】
【実施例】
本発明を比較例および実施例、参考例により詳細に説明する。
【0021】
焼結パレット幅4m、焼結機長さ100m、吸引負圧1300mmAqの焼結機を、一定の操業となるようにした。原料充填層の層厚は550mm、パレットスピードは3.5m/s一定とした。加圧送風フードは、幅3.5m、長さ30mの大きさであり、スカート下端部と原料充填層表層との距離は50mmとし、排鉱側の焼結ストランド上方に設置した。加圧送風フードからの送風量は8.5×1053/Hr一定とし、漏風量を測定して漏風率を計算した。また、加圧送風フードの内圧800mmAqが極端に低下した時をシールの寿命とした。
【0022】
参考例においては、図1に示すような構造とし、弾性体として厚み2mmの布入りウレタンゴムを用いた。この時、エアーダクトの内圧は0.1〜0.3kg/cm2 の間で調節した。
【0023】
実施例においては、図2に示すような構造とし、弾性体として厚み2mmの布入りウレタンゴムを用いた。この時、エアーダクトの内圧は0.1〜0.3kg/cm2 の間で調節した。永久磁石には、磁石表面の磁束密度が300ガウスのフェライト磁石を用い、焼結鉱粉の厚みが約5mmとなるように磁石の高さを調節して設置した。
【0024】
比較例においては、図4に示すような構造とし、シール片として厚み2mmの布入りウレタンゴムを用いた。この時、シール片が外側にめくれないように、シール片の端部を内側へ紐で引っ張る形にした。
【0025】
表1に加圧送風フードからの漏風率、シールの寿命を示す。
【0026】
【表1】
Figure 0004394768
【0027】
表1から分かるように、実施例では比較例および参考例に対して、漏風率およびシールの寿命が著しく向上した。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、加圧送風フードと原料充填層との間をシールできると共に、シール用の弾性体の耐用性を大幅に延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考である加圧送風フードシール装置の例を示す図である。
【図2】本発明の加圧送風フードシール装置の例を示す図である。
【図3】加圧焼結法の例を示す図である。
【図4】従来の加圧送風フードシール装置の例を示す図である。
【符号の説明】
1 パレット
2 原料充填層
3 加圧送風フード
4 加圧送風ブロアー
5 原料ホッパー
6 点火炉
7 スプロケット
8 ウインドボックス
9 排気ダクト
10 排ガス集塵機
11 排気ブロアー
12 煙突
13 スカート下端部
14 弾性体
15 エアーダクト
16 永久磁石あるいは電磁石
17 焼結鉱粉
18 スポンジ状ゴム
19 シール片

Claims (2)

  1. 下方吸引式焼結機の焼結原料充填層の上方に設けた加圧送風フードシール装置において、加圧送風フードのスカート下端部に内部圧力の調節が可能なエアーダクトを設置し、該エアーダクトの原料充填層上面に接触する底部がシート状の弾性体からなり、エアーダクトの内側底部に永久磁石あるいは電磁石を有することを特徴とする焼結設備における加圧送風フードシール装置。
  2. 請求項1記載の加圧送風フードシール装置を用いて、エアーを供給することによりエアーダクト内の圧力を調節し、エアーダクト底部に備えたシート状の弾性体を原料充填層上面に接触させ、シート状の弾性体と原料充填層上部との間に磁場を形成し、シート状の弾性体と原料充填層上部との隙間に焼結鉱粉を滞留させることを特徴とする焼結設備における加圧送風フードシール方法。
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