JP4394208B2 - ポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末及び活性炭 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性炭の原料として好適なポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末、及び該樹脂粉末を炭化・賦活してなる活性炭に関する。本発明の活性炭は、高嵩密度であり、活性炭電極、特に電気二重層キャパシタの分極性電極の形成材料として好適である。また、本発明は、該活性炭を用いて形成した活性炭電極、及び該活性炭電極を分極性電極として備えた静電容量の大きい電気二重層キャパシタに関する。
【0002】
【従来の技術】
活性炭は、細孔を有する多孔質炭素体であって、大きな比表面積と吸着能を持つことから、微量成分の吸着や分離などの用途に使用されている。近年、活性炭は、電池材料としても注目されており、例えば、空気電池の電極材料、電気二重層キャパシタ(即ち、電気二重層コンデンサ)の分極性電極材料としての用途展開が図られている。特に電気二重層キャパシタは、大静電容量かつ長寿命で、急速充電が可能、充放電が容易、二次電池に比べてサイクル特性に優れている、二次電池の中で最も信頼性の高いNi−Cd電池に比べて安価であるといった特徴を有するため、新たなエネルギーデバイスとして、多くの分野で機能的な応用が期待されるようになっている。また、電気二重層キャパシタは、電子機器のバックアップ電源などの小電力用分野から、電気自動車やハイブリッドカーの補助電源などの大電力用分野への応用も検討されている。それに伴って、分極性電極に対しても、更なる大静電容量化などの高性能化が求められている。
【0003】
電気二重層キャパシタは、分極性電極と電解質との界面に生じる電気二重層に蓄積される静電容量を利用するキャパシタである。分極性電極には、比表面積や嵩密度が大きく、電気化学的に不活性であって、電気抵抗が低いことが要求されている。活性炭は、これらの要求を満たすことが可能な電極材料であり、既に活性炭を用いて形成された分極性電極を備えた電気二重層キャパシタが開発されている。従来、電気二重層キャパシタの分極性電極材料として、ヤシ殻、フェノール樹脂、石油ピッチ、コークスなどの炭素質原料を炭化・賦活して得られた活性炭を用いることが提案されている。しかし、これらの活性炭から形成された分極性電極を備えた電気二重層キャパシタは、一般に、その体積当りの静電容量が十分ではない。
【0004】
最近、炭素質原料としてポリ塩化ビニリデン系樹脂を用いて得られた活性炭を電気二重層キャパシタの分極性電極材料とすることが提案されている(特開平7−249551号公報、特開平8−236406号公報、特開平9−213589号公報)。ポリ塩化ビニリデン系樹脂を炭化・賦活してなる活性炭を用いて分極性電極を形成すると、静電容量が比較的大きい電気二重層キャパシタを得ることができる。しかしながら、年々高まる高性能化の要求の下で、静電容量の更なる向上が求められているが、その改良を図ることは極めて困難であった。
【0005】
電気二重層キャパシタを高性能化するには、活性炭から形成された分極性電極の体積当りの静電容量を大きくすることが必要である。電極の体積当りの静電容量を大きくするには、電極中の活性炭の重量当りの静電容量と電極の嵩密度とが大きくなるような活性炭を使用する必要がある。しかしながら、一般に、活性炭重量当りの静電容量と電極嵩密度とは相反する特性であり、例えば、活性炭重量当りの静電容量を大きくすると、電極嵩密度が低下するため、電極体積当りの静電容量を向上させることができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電気二重層キャパシタの電極用活性炭の炭素質原料として好適なポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末を提供することにある。
また、本発明の目的は、活性炭の炭素質原料としてポリ塩化ビニリデン系樹脂を用いて、分極性電極材料として適用した場合に、電極の体積当りの静電容量が改善された活性炭電極を得ることができる活性炭を提供することにある。
本発明の他の目的は、このような活性炭を用いて形成した活性炭電極、並びに該活性炭電極を分極性電極として備えた静電容量の大きい電気二重層キャパシタを提供することにある。
【0007】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、従来よりも細孔容積が小さな粉末状のポリ塩化ビニリデン系樹脂が活性炭の炭素質原料として優れていることを見いだした。このポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末を炭化・賦活してなる活性炭は、分極性電極に形成した場合、電極中の活性炭の重量当りの静電容量を高度に維持しながら、電極の嵩密度を大きくすることができる。したがって、この活性炭を用いて分極性電極を作成すると、従来品に比べて電極の体積当りの静電容量の点で性能が一段と向上した電気二重層キャパシタを得ることができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、細孔容積が0.250cm3 /g以下であるポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末が提供される。
また、本発明によれば、細孔容積が0.250cm3 /g以下であるポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末を炭化及び/または賦活してなる活性炭が提供される。
さらに、本発明によれば、細孔容積が0.250cm3 /g以下であるポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末を炭化及び/または賦活してなる活性炭を用いて形成された活性炭電極、並びに、該活性炭電極を、分極性電極として備えた電気二重層キャパシタが提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末は、細孔容積が0.250cm3 /g以下であることが必要である。この細孔容積は、好ましくは0.245cm3 /g以下、より好ましくは0.240cm3 /g以下、特に好ましくは0.235cm3 /g以下である。多くの場合、細孔容積が0.230cm3 /g以下のポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末を用いることにより、良好な結果を得ることができる。この細孔容積の下限は、通常、0.050cm3 /g程度である。細孔容積が従来の0.250cm3 /gを越えるポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末を炭化・賦活した活性炭を用いると、電極の嵩密度が小さくなるため、電極の体積当りの静電容量を大きくすることが困難である。細孔容積が前記範囲内にあるポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末を炭化・賦活した活性炭を使用することにより、電極中の活性炭の重量当りの静電容量を高度に維持しながら、電極の嵩密度を大きくすることができ、その結果、電極の体積当りの静電容量を大きくすることが可能となる。
【0010】
本発明のポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末は、平均粒径が500μm以下であることが好ましく、より好ましくは300μm以下、特に好ましくは200μm以下である。ポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末の平均粒径が大きすぎると、炭化・賦活することが困難で、電極とした場合に大きい静電容量を示す活性炭を得ることが困難となる。多くの場合、平均粒径が0.1〜200μmの範囲で良好な結果を得ることができる。本発明のポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末の嵩密度は、通常0.750g/cm3 以上、好ましくは0.770g/cm3 以上である。ポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末の嵩密度の上限は、1.1g/cm3 程度である。
【0011】
ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC系樹脂)としては、例えば、塩化ビニリデンのホモポリマー、塩化ビニリデンとこれと共重合可能なモノマーとのコポリマー、及びこれらのホモポリマーまたはコポリマーを含有する樹脂組成物を挙げることができる。塩化ビニリデンと共重合可能なモノマーとしては、特に限定されないが、代表的なものとして、例えば、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ジビニルベンゼンなどのビニル系モノマー;イタコン酸やそのエステル(例:モノブチルイタコネート)などの不飽和二塩基酸とそのモノエステルまたはジエステル;などを挙げることができる。これら共重合可能なモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。コポリマー中の塩化ビニリデンの共重合割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上である。
【0012】
ポリ塩化ビニリデン系樹脂としては、塩化ビニリデンホモポリマー、及び塩化ビニリデンの共重合割合が50重量%以上の塩化ビニリデンコポリマーが好ましい。工業的に実用化されているポリ塩化ビニリデン系樹脂は、一般に、安定剤、可塑剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、滑剤などの多種類の添加剤を含有しているのが普通であり、本発明で使用するポリ塩化ビニリデン系樹脂には、このような添加剤を含有した樹脂組成物も包含される。また、ポリ塩化ビニル樹脂やポリアクリロニトリル樹脂などの他の樹脂を少量成分として含有する樹脂組成物であってもよい。
【0013】
本発明のポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末は、懸濁重合、乳化重合などの重合法により得ることができる。ポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末の細孔容積を小さくするには、モノマーの反応率を高めたり、モノマー成分の一部を分割して反応系にアフターチャージする方法が効果的である。合成に使用するモノマー成分の通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上をアフターチャージすることにより、細孔容積が小さなポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末を容易に得ることができる。アフターチャージするモノマー成分の比率の上限は、50重量%程度である。
【0014】
本発明の活性炭は、上記のポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末を炭化及び/または賦活することによって得ることができる。ポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末を活性炭とするには、炭化処理だけでよく、また、賦活処理だけでもよい。もちろん、ポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末を炭化してから賦活してもよい。さらに、炭化及び/または賦活により得られた活性炭を、必要に応じて、二次賦活、三次賦活などの高次賦活処理をすることもできる。炭化方法及び賦活方法には、特に制限はない。
【0015】
炭化方法としては、例えば、窒素ガス、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、キセノン、ネオン、一酸化炭素、燃焼排ガスなどの不活性ガス中で、塩化ビニリデン系樹脂粉末を焼成する方法が挙げられる。ポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末は、不活性ガス中で熱分解処理するだけで、十分な比表面積を有する活性炭となる。熱分解処理条件は、熱処理温度が通常200〜1200℃、好ましくは300〜800℃程度であり、熱処理時間が通常10分間〜30時間、好ましくは15分間〜25時間程度である。
【0016】
賦活方法としては、例えば、水蒸気、二酸化炭素、一酸化炭素、塩化水素、酸素などの賦活ガスを用いたガス賦活法;塩化亜鉛、リン酸、ホウ酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの薬品を用いた薬品賦活法;を挙げることができる。処理条件としては、賦活ガスや薬品の種類などによって異なるが、熱処理温度が通常200〜1200℃、好ましくは300〜800℃で、熱処理時間が通常10分間〜30時間、好ましくは15分間〜25時間程度である。
【0017】
これらの中でも、塩化亜鉛を用いた薬品賦活法が特に好ましい。具体的には、ポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末と塩化亜鉛との混合物を、非酸化性雰囲気下で加熱して炭化かつ賦活する方法であり、この方法によれば、生産性良く所望の高性能活性炭を容易に得ることができる。より具体的には、ポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末と塩化亜鉛との混合物を、非酸化性雰囲気下で、塩化亜鉛の沸点(732℃)以下の温度、通常300〜730℃の温度に加熱して、ポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末を炭化かつ賦活させる。
【0018】
塩化亜鉛は、粉末状で使用してもよいが、ポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末との混和性(濡れ)をよくするために、水溶液または少量の水(塩化亜鉛に対して10重量%以下)との混合物として使用することができる。ポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末と塩化亜鉛との使用割合は、重量比で通常1:0.5〜1:2、好ましくは1:0.8〜1:1.5、より好ましくは1:0.9〜1:1.2である。多くの場合、両者を1:1の重量比で使用すると、好ましい結果が得られる。塩化亜鉛の使用割合が過小であると、充分に高性能の活性炭を得ることが困難となる。塩化亜鉛の使用割合が過大であると、添加効果がレベルオフとなるため、経済的ではない。
【0019】
炭化・賦活は、ポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末と塩化亜鉛との混合物を、窒素ガスなどの非酸化性雰囲気下で、所定の温度に昇温することにより行う。活性炭の製造方式としては、固定床方式、移動床方式、流動床方式、トンネルキルン方式、ロータリーキルン方式などがある。この炭化・賦活工程の後、必要に応じて、二次賦活や三次賦活などの付加的な賦活処理を行ってもよい。より具体的には、以下の通りである。
【0020】
(1)炭化・賦活処理は、塩化亜鉛の沸点以下の温度で行う。この温度は、通常300〜730℃、好ましくは400〜730℃である。炭化・賦活処理の後、塩化亜鉛を水で抽出除去し、乾燥する。乾燥後、必要に応じて、活性炭の性能を損なわない範囲で、高温での熱処理を行うことも可能である。
(2)活性炭の性能をさらに高めるために、二次賦活処理を行うことができる。二次賦活処理は、例えば、上記で得られた活性炭を賦活ガス(例えば、水蒸気、二酸化炭素、空気、燃焼排ガス)を用いて、通常、700〜1000℃の温度でガス賦活することにより行うことができる。この二次賦活処理により、通常、5〜30重量%の減量賦活がなされる。二次賦活処理として、塩化亜鉛以外の薬品(例えば、リン酸、KOH)を用いた薬品賦活を行ってもよい。二次賦活処理に加えて、同様の方法により、三次以上の賦活処理も行うことができる。
【0021】
本発明の活性炭は、微量成分の吸着及び分離などの用途に広く使用することができるが、それらの一般的な用途以外に、電極材料として好適に使用することができる。本発明の活性炭電極は、本発明の活性炭を用いて形成される。活性炭電極を製造するには、一般に、活性炭とバインダー、必要に応じて導電性アセチレンブラックなどの導電材とを混練し、所定の電極形状に成形すればよい。この場合、必要に応じて有機溶剤、水などの溶剤(分散媒体)を加えて、スラリーまたはペーストにしてから成形することができる。
【0022】
バインダーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルピロリドン、ポリイミド、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。導電材としては、例えば、導電性カーボンブラック、黒鉛、金属繊維、酸化チタン、酸化ルテニウムなどがある。溶剤としては、水、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、フタル酸ジメチル、エタノール、メタノール、ブタノールなどが挙げられる。分散性の改善のために、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子を添加してもよい。
【0023】
代表的な分極性電極の作製方法としては、(1)活性炭、導電材、バインダーなどを含む混合物に溶剤を添加して混合スラリーとしたものを、集電体に塗布するか、あるいは混合スラリー中に集電板を浸漬し、乾燥して作製する方法(例えば、特開平10−64765号公報)、(2)活性炭、導電材、溶剤に不溶のバインダーなどを含む混合物に溶剤を添加して混練し、得られたペースト状混合物をロールを用いて圧延してシート状に成形し、次いで、乾燥して得たシートを集電板表面に導電性接着剤等を介して接合した後、プレスし、熱処理乾燥して作製する方法などを挙げることができる。
【0024】
本発明の電気二重層キャパシタは、本発明の活性炭電極を分極性電極として備えた電気二重層キャパシタであり、図1に示す構造のものを例示することができる。すなわち、図1は、単セルの電気二重層キャパシタの一例の断面図である。この電気二重層キャパシタは、2つの分極性電極1,1によりセパレーター2を挟み、それをさらに集電板(集電極)3,3で挟んだ構造のものを、電解液を入れたケース4,4内に、パッキング5を介して封入したものである。
【0025】
電解液の溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメトキシエタン、ブチレンカーボネート、スルホラン、メチルスルホラン、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの非水系溶媒が用いられる。電解質としては、例えば、(C2 H5 )4 NBF4 、(C2 H5 )(CH3 )NBF4 、(C2 H5 )(CH3 )PBF4 などが挙げられる。希硫酸などの水溶液系電解液を用いることもできる。なかでも、(C2 H5 )4 NBF4 のプロピレンカーボネート溶液に代表される有機電解液が好ましい。
【0026】
正極、負極用の集電板としては、アルミニウム、ステンレス、ニッケルなどを用いることができる。集電板の形状は、箔状、シート状、板状、エキスパンドメタル状、金属発泡体などがある。セパレーターとしては、ガラス繊維マット、マニラ麻やクラフトからなるセルロース紙、親水化多孔質PTFEフィルム、ポリプロピレン不織布などが挙げられる。ケースの材質としては、アルミニウム、ステンレス、鉄とその合金、合成樹脂(例、PTFE)などが挙げられる。分極性電極は、電気二重層キャパシタの形状等に応じて、セパレーターを介して積層または巻回することができる。
【0027】
本発明の活性炭を用いて形成された活性炭電極は、特に電気二重層キャパシタの分極性電極として好適であり、従来の活性炭を用いた場合に比べて、静電容量の点でさらに性能を一段と高めた、特に体積当りの静電容量の高い電気二重層キャパシタを得ることができる。
【0028】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、ポリマー物性等の測定法は、以下のとおりである。
(1)粉体嵩密度
試料1gを精秤し、内径約9mm、容積5cm3 のシリンダーに入れ、一定の容積を示すまでタッピングし、その容積値から粉体嵩密度を求めた。
(2)平均粒径
ポリマー粒子を日本工業規格標準フルイで篩分し、各フルイ上に残った粒子質量から各目開きに対応するフルイ通過重量百分率を求めて、フルイ通過質量累計50%に相当するフルイの目開きを平均粒径とした。
(3)細孔容積
島津製作所社製のMICROMERITICS AUTO−PORETM 9200 V2.03を使用し、その測定マニュアルに従って、ポリマー粒子0.2gを使用し、圧力124KPa〜414MPaでの圧入水銀体積量から細孔容積を算出し、その値からポリマー粒子1g当たりの細孔容積を算出した。従って、細孔径0.03〜10μmの細孔容積をポリマー粒子1g当たりの細孔容積としたことに相当する。
【0029】
[実施例1〜4、及び比較例1]
攪拌機付の10L重合反応槽に、脱イオン水4100g、及びメチルセルロース1.5%溶液243gを投入し、槽内を25℃にコントロールした。次に、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート5.6g、及び塩化ビニリデンモノマー3500gを投入し、分散攪拌後、重合温度まで昇温して重合を開始した。表1に示すように、重合温度及び重合時間を様々に変化させて重合反応を行った。実施例3及び4では、モノマーの一部を重合反応の途中でアフターチャージした。重合時間の経過後、重合反応槽内の温度を35℃以下に下げて攪拌を停止し、反応系を大気に解放した。槽内より生成したスラリーを取り出して、遠心式脱水機にかけて水を分離し、得られたポリマーを60℃の棚段乾燥機に15時間入れて乾燥した。重合条件及び得られたポリ塩化ビニリデンホモポリマー粒子の細孔容積と平均粒径を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
[実施例5〜8、及び比較例2]
前記実施例1〜4及び比較例1で得られた各ポリマー粒子を用いて、塩化亜鉛賦活法により活性炭を作製した。具体的には、各ポリマー粒子80gと塩化亜鉛80gとをミキサーで均一に混合してから、窒素気流中で、平均昇温速度60℃/時間で700℃まで昇温し、炭化と賦活を同時に行った。得られた混合物は、塩化亜鉛を含有しているので、5%HCl溶液を用いて塩化亜鉛を抽出除去し、さらに水洗を繰り返した後、130℃で乾燥して、約21gの活性炭を得た。
このようにして得られた各活性炭を用いて、以下の手順に従って分極性電極を作製し、次いで、分極性電極を組み込んだ電気二重層キャパシタを作製した。そして、得られた各電気二重層キャパシタの充・放電特性を調べた。
【0032】
▲1▼活性炭の乾燥
活性炭を減圧乾燥機中150℃で1時間乾燥させた後、サンプル瓶に入れ、シールテープを巻いて密封し、シリカゲル入りデシケータに入れて常温まで冷却した(その間、約15分間)。
▲2▼活性炭の混練
導電性アセチレンブラック9重量部を乳鉢ですりつぶした。乾燥した活性炭を速やかに81重量部計量し、乳鉢に入れて導電性アセチレンブラックと良く混練した。次に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粉末10重量部を乳鉢に入れて良く粉砕した後、乳棒で混練し、全体をガム状にまとめた。このガム状物を薬包紙に包み、1時間大気中に放置し、電極用試料を調製した。
【0033】
▲3▼電極の作製
上記ガム状の電極用試料を剃刀の刃で刻み、円形の金型に入れ、500MPaの圧力下で5分間加圧成形して電極を作製した。電極の厚みを厚み計で測定し、体積を算出した。
▲4▼電気二重層キャパシタの作製
SUS−316製の2枚の集電板のそれぞれに、導電性カーボンブラックとカルボキシメチルセルロースと水の混合物からなる導電性ペーストを塗り、半乾きの状態で電極を貼り付けた。ガラス繊維製フィルター(ADVANTEC社製:GA−200)をセパレーターとして、これを2つの電極で挟み、PTFE製のセルに組み込んだ。その後、減圧乾燥機中で150℃で3時間乾燥し、露点−90℃以下のグローブボックス内で放冷した。次いで、電解液を添加してセルを組み上げた。電解液としては、(C2 H5 )4 NBF4 /プロピレンカーボネート(1mol/L)溶液を用いた。
【0034】
▲5▼充・放電試験:
試験は、(株)東洋システムの充・放電試験機(TOSCATTM−3100U)を用いて行った。充電は、まず電圧が2.3Vに達するまでは5mAの定電流で行い、電圧が2.3Vに達したら2.3Vの定電圧充電に切り替え、全充電時間が2.5時間になるようにして行った。次に、5mAの定電流で放電を行い、電圧1V付近の電圧V1 (ボルト)に達するまでの時間T1 (秒)、電圧0.5V付近の電圧V0.5 (ボルト)に達するまでの時間T0.5 (秒)を求める。これらの関係を図2に示す。電気二重層キャパシタの静電容量(F)を次式により求めた。
静電容量=I×(T0.5 −T1 )/(V1 −V0.5 )
ここで、Iは、アンペアを単位とする放電電流である。
このようにして求めた電気二重層キャパシタの静電容量(F)を、電極中の活性炭重量(正極及び負極の合計)及び電極の体積(正極及び負極の合計)で除した値を、それぞれ重量当りの静電容量(F/g)及び体積当りの静電容量(F/cm3 )とした。結果を表2に示す。なお、表2には、各活性炭の原料として使用したポリ塩化ビニリデン粒子の細孔容積と嵩密度を併せて示した。
【0035】
【表2】
【0036】
表2の結果から明らかなように、細孔容積が0.250cm3 /g以下かつ平均粒径が300μm以下であるポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末(No.1〜4)を炭化及び/または賦活してなる活性炭を用いて分極性電極を作製すると、活性炭の重量当りの静電容量(F/g)を高度に維持しながら、電極の嵩密度を高めることができ、その結果、電極の体積当りの静電容量(F/cm3 )が向上した電気二重層キャパシタを得ることができる(実施例5〜8)。これに対して、従来の細孔容積が大きいポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末(NO.5)を用いると、活性炭の重量当りの静電容量(F/g)は高いものの、電極の嵩密度が低くなり、その結果、電極の体積当りの静電容量(F/cm3 )を改善することができない(比較例2)。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、電気二重層キャパシタの電極用活性炭の炭素質原料として好適なポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末が提供される。また、本発明によれば、活性炭の炭素質原料としてポリ塩化ビニリデン系樹脂を用いて、分極性電極材料として適用した場合に、電極の体積当りの静電容量が改善された活性炭電極を得ることができる活性炭が提供される。さらに、本発明によれば、このような活性炭を用いて形成した活性炭電極、並びに該活性炭電極を分極性電極として備えた静電容量の大きい電気二重層キャパシタが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気二重層キャパシタの一例を示す断面図である。
【図2】電気二重層キャパシタを充電後、定電流放電を行った場合の電圧曲線、並びに電極電圧の変化とその変化に要する時間との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1:分極性電極
2:セパレーター
3:集電板
4:ケース
5:パッキング
Claims (6)
- 91.0%以上のモノマー反応率を有する重合法により得たポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末であって、細孔容積が0.050〜0.245cm 3 /gの範囲であり、嵩密度が0.770〜1.1g/cm 3 の範囲であるポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末。
- 91.0%以上のモノマー反応率を有する重合法により得たポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末であって、細孔容積が0.050〜0.245cm 3 /gの範囲であり、嵩密度が0.770〜1.1g/cm 3 の範囲であるポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末を炭化及び/または賦活してなる活性炭。
- 該ポリ塩化ビニリデン系樹脂が、塩化ビニリデンのホモポリマー、塩化ビニリデンとこれと共重合可能なモノマーとのコポリマー、またはこれらのポリマーを含有する樹脂組成物である請求項2記載の活性炭。
- 該コポリマーが、塩化ビニリデンの共重合割合が50重量%以上のコポリマーである請求項3記載の活性炭。
- 91.0%以上のモノマー反応率を有する重合法により得たポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末であって、細孔容積が0.050〜0.245cm 3 /gの範囲であり、嵩密度が0.770〜1.1g/cm 3 の範囲であるポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末を炭化及び/または賦活してなる活性炭を用いて形成された活性炭電極。
- 91.0%以上のモノマー反応率を有する重合法により得たポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末であって、細孔容積が0.050〜0.245cm 3 /gの範囲であり、嵩密度が0.770〜1.1g/cm 3 の範囲であるポリ塩化ビニリデン系樹脂粉末を炭化及び/または賦活してなる活性炭を用いて形成された活性炭電極を、分極性電極として備えた電気二重層キャパシタ。
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