JP4393153B2 - 樹脂成形用離型剤およびこれを用いた樹脂成形体の製法 - Google Patents

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Description

本発明は樹脂成形用の離型剤とこれを用いた樹脂成形体の製法に関し、例えば軟質ウレタンフォームの如き軟質発泡樹脂成形品の成形用として優れた性能を示す離型剤と、これを用いた製法に関するもので、本発明によって得られる例えば軟質ウレタンフォームは、自動車用クッション材やヘッドレスト、その他、各種電化製品や家具など、特に難燃性が求められる分野において有用である。
軟質発泡ウレタンフォームなどの発泡樹脂成形品を製造する際に、金型内面に塗布される離型剤としてはワックス、金属石鹸、油脂、シリコーンオイルなどが知られている。
例えば特許文献1には、エチレン/プロピレン共重合体ワックスを必須成分として有機溶剤に分散させたポリウレタンフォーム形成用離型剤が開示されている。しかしこの離型剤は、成形を繰り返すうちに離型剤の固形成分が金型に堆積するため、定期的に金型を清掃しなければならず、作業性が悪いという難点がある。しかも有機溶剤タイプであるため、火災の危険性や作業環境汚染の問題も指摘される。
また特許文献2には、乳化剤を用いてポリエチレンを乳化させたワックスエマルションタイプの水性離型剤が提案されている。このタイプの離型剤は、火災の危険性や作業環境汚染の問題は改善されているものの、金型内面への離型剤堆積の問題は改善されていない。
同様にシリコーンエマルションタイプの離型剤も検討されているが、ワックスに比べて金型への離型剤の堆積は少ないものの、高弾性軟質ポリウレタンフォームの成形に使用すると、シリコーンの有している消泡性がウレタンの発泡を阻害し、ウレタンフォームがセル荒れを起こすことがある。また、これらワックスやシリコーン、油脂などの離型剤は、難燃性が要求されるウレタンフォームの成形に適用すると、該離型剤のうち燃焼性を有する固形成分がウレタン成形品側へ移行するため、難燃性が害されるという難点も指摘される。
更に特許文献3には、ウレタンフォームを成形する際に、毎回の離型剤塗布作業を省略して繰返し連続成形を可能にする手法として、室温硬化型シリコーン樹脂を金型内面にコーティングし、シリコーンゴム皮膜を外部離型剤とすることによって、作業性や生産性を高める方法が提案されている。しかしこの方法では、ウレタンがシリコーンゴムに直接接触するためその発泡が阻害され、セル荒れを起こす原因になる。
特開平2−32816号公報 特開昭54−47755号公報 特開昭55−48245号公報
上記の様に、離型剤として汎用されている従来のワックスや金属石鹸、油脂、シリコーンオイルなどは、1回の成形毎に金型内面に塗布しなければならず、また成形を繰り返すと、離型剤中の固形成分が型内面に付着・堆積して型の寸法精度を低下させるため、溶剤や洗浄剤、さらにはドライアイス等を用いたエッチング等による物理的洗浄を頻繁に行わねばならず、多くの時間と労力を要しコスト高となる。
離型作用の高いフッ素系樹脂で金型内面をコーティングしておくことも行われているが、離型皮膜形成のための焼付け処理などが煩雑で手数と費用を要する割には、必ずしも十分な離型性が得られるとは限らず、繰り返し使用による離型性の低下や、離型皮膜の劣化を回復させるための修復にも多大な手数と費用がかかるため、汎用化されるには至っていない。
また、成形用金型の内面に外部離型剤として室温硬化型の液状シリコーン系樹脂を塗布して硬化皮膜を形成することにより、成形毎の離型剤の塗布操作を行うことなしにポリウレタン成形原料を注入して成形する方法も知られており、この方法であればそれなりの離型性を得ることができる。しかしこの方法では、外部離型剤として金型内面に形成するシリコーン系樹脂皮膜がウレタンの発泡を阻害し、成形品表面の肌荒れを起こすといった問題を引き起こす。
高弾性の軟質ポリウレタンフォームを成形する際には、こうした表面の肌荒れが製品欠陥の大きな原因になるため、上述した様なシリコーン系樹脂皮膜を上回る耐久性や離型性を有すると共に、美麗な表面肌を安定して確保し得るような離型剤が求められる。
他方、溶剤タイプの離型剤では、火災の危険性や作業環境の問題を払拭できないことから、こうした問題を起こすことのない水溶性の離型剤が求められる。
本発明は上述した様な従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、成形用金型を用いて成形を行う際に、火災の危険や作業環境上の問題を引き起こすことなく、また成形品表面の肌荒れや寸法精度の低下などを生じることなく、且つ多数回の繰り返し成形にも耐える離型剤を開発し、延いては優れた品質の成形品を高い生産性の下で効率よく製造することのできる方法を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明の離型剤とは、成形用金型内面に形成されるシリコーン系離型皮膜、好ましくは常温硬化型シリコーン系離型皮膜の内面側に塗布される離型剤であって、造膜性を有する水溶性高分子を主成分として含有する水性液からなるところに特徴を有している。
造膜性を有する上記水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド等を使用できるが、これら水溶性高分子を主成分とする離型剤を用いて成形した樹脂に難燃性が求められる場合は、該高分子として、ポリエチレングリコールとポリエチレンオキシドを併用するのがよく、中でも、分子量が200〜20,000であるポリエチレングリコール1〜10質量%と、分子量が10万〜1000万であるポリエチレンオキサイド0.01〜1.0質量%を含む水性液からなる離型剤が好ましい。
本発明に係る上記離型剤には、他の成分として、当該離型剤における固形成分の融点を高める成分、例えば尿素、硝酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、リン酸アンモニウムなどを配合すれば、成形時における該離型剤の軟化・溶融が抑えられ、より高温域でも優れた離型性能を発揮し得るものになるので好ましい。更に該離型剤には、金型内面に形成されるシリコーン系離型皮膜に対する親和性やレベリング性などを高めるため、少量の界面活性剤を配合することも有効である。中でもフッ素系界面活性剤は、表面エネルギーを著しく低下させる作用を有しているので好ましく、該界面活性剤を配合して離型剤の表面エネルギーを10〜30mN/Nに調整しておけば、シリコーン系離型皮膜に対する濡れ性が高まり塗装性が向上するので好ましい。またフッ素系界面活性剤は難燃性にも優れているため、成形品表層部の難燃性を阻害することもないので好ましい。
そして本発明の離型剤は、上記の如く成形用金型の内面に形成されるシリコーン系離型皮膜の内面側に離型層として形成されるもので、成形材料としてはウレタン系樹脂、中でも軟質ウレタンフォームの成形に極めて優れた離型性能を発揮する。
また本発明の他の構成は、本発明に係る上記離型剤を用いた樹脂成形品の製法として位置付けられるもので、成形金型の内面にシリコーン系離型皮膜を形成した後、該皮膜の内面側に、前掲の離型剤を塗布してから成形原料を注入し成形するところに要旨があり、上記成形原料として特に好適なのは、ポリオール、ポリイソシアネートおよび必要により発泡剤を含む軟質ウレタンフォーム成形材料である。
本発明によれば、シリコーン系離型皮膜が形成された金型の内面に、造膜性を有する水溶性高分子による離型塗膜、特に難燃性フォームの成形を行う場合はポリエチレングリコールとポリエチレンオキサイドを含む水溶性高分子からなる離型塗膜を形成してから成形を行うことで、シリコーン系離型皮膜が本来有している離型性を遺憾なく発揮させつつ、その耐久性を大幅に延長することができ、下記の様な多くの利益を享受できる。
(1)軟質ウレタンフォーム等を含めた樹脂成形品の離型不良に起因する表面荒れをなくすことができ、安定した表面性状の成形品を得ることができる。特に、最近さまざまの分野で広く実用化されている高弾性軟質ポリウレタンフォーム(HRF)用の離型剤として使用することにより、卓越した表面品質の成形品を得ることができる。
(2)人体に有害な有機溶剤を使用しないため作業環境を汚染する恐れがない。
(3)離型性が良好で、且つ成形材料と反応することもなく、金型内面への原料樹脂の付着・堆積が少なくて金型清掃の手間も省かれ、且つ連続成形可能回数も大幅に増大するので、作業性および生産性が著しく向上する。
(4)金型の清掃は水で軽く洗浄する程度でよいため、清掃にかかる手間と費用が著しく軽減される。
(5)離型剤の主成分は難燃性であるため、成形品表面に難燃性が与えられる。
本発明の離型剤は、上記の如く成形用金型内面に外部離型剤として形成されるシリコーン系離型皮膜の内面側に適用され、より好ましくは常温硬化型のシリコーン系離型皮膜の内面側に適用されるもので、該外部離型剤を用いて例えば高弾性の軟質ポリウレタンフォームを成形する際に使用され、該シリコーン系離型皮膜の上に水溶性の塗膜層を形成することで、シリコーン系離型皮膜が備えている耐久性や離型性を損なうことなく、良好な表面性状の成形品を安定して製造可能にするものである。
金型内面に外部離型皮膜として形成されるシリコーン系樹脂とは、好ましくは、金型に熱履歴を与えて寸法精度を低下させる恐れのない室温硬化型の液状シリコーン系樹脂で、ポリウレタンなどの成形材料、特に発泡成形材料を用いて成形を行う際の外部離型剤として公知のものであり、一液型および二液型のものが挙げられる。これらの市販品としては、信越化学社製の商品名「KM2002T」、「KN202A」、「KNS204B」、「KNS303」、「KNS305」、「KS700」、「KS701」、「KS737」、「KS774」、「KS778」、「KS779H」、「KS837」、「KS841」など;GE東芝シリコーン社製の商品名「TSM6281」、「TSR144」、「YSR3022」、「YSR6209」、「YSR6209S」など;東レ・ダウコーニング社製の商品名「PRX305」、「SD7224」、「SD7333」、「SH7020」、「SRX202M」、「SRX242AC」、「SRX357」など、が好ましいものとして入手できる。
上記シリコーン系樹脂を用いて外部離型皮膜を形成する際には、それらの樹脂をトルエン、キシレン、ナフサ、工業用ガソリン等の溶剤によって適度に希釈し、通常は60〜80℃程度に加熱した成形金型の内側にスプレー又は刷毛塗り等で塗布した後、乾燥することによって離型皮膜を形成すればよい。
なお、多数回の繰り返し成形で該皮膜が劣化した場合は、劣化皮膜の上から重ね塗りすることで容易に修復することができ、また場合によっては、トルエンやキシレン等の有機溶剤で洗浄すれば、シリコーン系樹脂皮膜を簡単に除去できる。また該離型皮膜は強アルカリ水溶液でも洗浄除去できるが、金型の素材によっては金型が腐食劣化することがあるので注意すべきである。
金型内面に形成される該シリコーン系離型皮膜の厚さは特に制限されないが、外部離型皮膜としての性能を有効に発揮させつつ十分な耐久性を確保する上では、乾燥膜厚で5〜300μm、より好ましくは15〜100μmの範囲が望ましい。
本発明の離型剤は、成形金型の内壁面に形成される上記シリコーン系離型皮膜の内面側に塗布されるもので、造膜性を有する水溶性高分子を主成分とする水性液であり、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド等を使用できるが、これら水溶性高分子を主成分とする離型剤を用いて成形した樹脂に難燃性が求められる場合は、該高分子として、ポリエチレングリコールとポリエチレンオキシドを併用するのがよく、中でも、分子量が200〜20,000であるポリエチレングリコール1〜10質量%と、分子量が10万〜1000万であるポリエチレンオキサイド0.01〜1.0質量%を含む水性液からなる離型剤が好ましい。
そして、この離型剤を前述したシリコーン系離型皮膜の内面側に塗布し乾燥してから樹脂材料を注入して成形することで、該成形品を脱型する際に該成形品が上記離型皮膜から離脱するのを容易にし、結果的にシリコーン系離型皮膜の損耗を抑制する。
即ち、内壁面にシリコーン系離型皮膜が形成された金型における該離型皮膜の更に内面側に、上記離型剤を塗布して離型用塗膜を形成した後、例えばポリオール、ポリイソシアネートおよび必要に応じて発泡剤などを含むウレタン成形原料を金型内へ導入して成形を行うと、該成形原料とシリコーン系離型皮膜との直接接触が阻止され、安定した表面性状の成形品を得ることが可能となる。
なお、シリコーン系離型皮膜の内面側に形成された離型用塗膜は、その殆ど全てがウレタン成形品側へ移行するが、離型剤として、特にポリエチレングリコールとポリエチレンオキサイドを必須成分として含有する水性液を用いたときに形成される離型塗膜は、国際難燃規格である「UL94V−0」に合格するため、特に難燃性が要求される樹脂成形品の製造に好適である。
難燃性の離型塗膜を構成する上記水溶性高分子としては、上記の様にシリコーン系離型皮膜に対して優れた離型作用を有すると共に、成形温度である約45〜70℃の温度域で溶融することのがなく且つ難燃性で高弾性の塗膜を形成し得るものとして、平均分子量が200〜20,000、より好ましくは3,000〜20,000の範囲のポリエチレングリコールと、平均分子量10万〜1,000万、より好ましくは10万〜40万の範囲のポリエチレンオキサイドが使用される。
なお、ポリエチレングリコールの平均分子量が200未満では、60〜80℃で形成すると皮膜が溶融し、逆に20,000を超えて分子量が大きくなり過ぎると皮膜が過度に硬くなり、成形品表面がひび割れを起こす原因になる。
また、たとえ適正な分子量範囲のものであっても、ポリエチレングリコールのみで離型塗膜を形成すると、塗膜が弾性および柔軟性不足となってひび割れを起こし易くなり、離型塗膜がウレタンフォーム側へ移行し、成形品表面にひび割れが発生して白化するなどの現象が起こり、安定した表面性状が得られ難くなるなどの懸念があるが、これを平均分子量が10万〜1,000万、より好ましくは10万〜40万の範囲のポリエチレンオキサイドと併用すると、塗膜に適度の弾性と柔軟性が与えられ、離型塗膜としての性能が高められる。ポリエチレンオキサイドの平均分子量が10万未満では、形成される皮膜に柔軟性が与えられず、ひび割れを起こす原因になる。逆に1,000万を超えて過度に高分子量物になると、皮膜に高い粘着性が生じて離型性能が低下する。また、離型剤の粘度が高くなり過ぎるため離型剤として適性を欠くものとなる。
離型塗膜形成剤として上記ポリエチレングリコールとポリエチレンオキサイドの作用を有効に発揮させるには、水溶性高分子含有水性液としてポリエチレングリコールの含有率を1〜50質量%、より好ましくは1〜10質量%の範囲から選定することが望ましい。1質量%未満では満足のいく離型性能が得られ難くなり、また50質量%を超えて過度に多くなると、離型剤組成物が金型に残留し却って離型性能が悪くなるからである。一方、ポリエチレンオキサイドの含有率は0.01〜1質量%、より好ましくは0.1〜0.5質量%の範囲にすべきであり、0.01質量%未満では離型塗膜の弾性や柔軟性が不足気味となり、1質量%を超えると塗膜の離型性能が乏しくなる。
ところで、使用するポリエチレングリコールやポリエチレンオキサイドの分子量やそれらの配合量にもよるが、成形温度が60℃以上になると、離型塗膜を構成する高分子皮膜が溶融し離型性に悪影響を及ぼすことがある。従ってこの様な場合は、塗膜形成剤中に融点を高める作用を有する成分として、例えば尿素、あるいは硝酸、酢酸、リン酸などのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩などを適量(好ましくは上記ポリエチレングリコールやポリエチレンオキサイドに対して0.5〜5質量%程度)配合し、離型塗膜の融点を成形温度以上に高めることが望ましい。もっとも、成形温度が離型塗膜の融点未満である場合は、この様な融点上昇成分を配合する必要はない。
また該塗膜形成剤(離型剤)中には、更に他の成分として、シリコーン系離型皮膜の内面側へ塗布する際の親和性やレベリング性を一段と向上させるため、少量の表面張力降下剤(界面活性剤)を添加することも有効であり、これら界面活性剤の添加によって該離型剤の表面エネルギーを10〜30mN/Nに調整すれば、シリコーン系離型皮膜に対する濡れ性が向上してより均一な離型皮膜を形成できるので好ましい。この様な表面張力低下剤としては、難燃性を害することなく少量で優れたレベリング性向上効果を発揮する水溶性のフッ素系界面活性剤、具体的には、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキシドなどが好適である。
更に、水性塗膜形成剤として保管時の腐敗などによる劣化を防止するため、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(BIT)、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MIT)、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(OIT)、2,2−ジブロモ−3−ニトロプロピオンアミド、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オン、メチレンビスチオシアナート、ビストリブロモメチルスルホン、5−クロル−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ビス−ブロモ−4−アセトキシ−2−ブテン、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、塩化ベンザルコニウム等の殺菌剤や防腐剤などを微量添加することも有効である。
上記水性の離型塗膜形成剤をシリコーン系離型皮膜が形成された金型内面へ塗布する際には、通常、45〜70℃程度に加熱した金型にエアスプレー法などによって塗布されるが、塗布後の乾燥に要する時間を短縮するため、メタノール、エタノール、IPA等のアルコール類や、アセトンなどのケトン類の低沸点溶剤で希釈することで、塗膜の乾燥を促進することも有効である。
シリコーン系離型皮膜の内面側に上記離型塗膜を成形した後は、常法に従って成形原料を金型内へ注入し、通常は45〜70℃、1〜30分間でキュアを行ってから脱型する。この脱型時に、離型塗膜は成形品と一体となって表面に付着した状態でシリコーン系離型皮膜から離脱することで、シリコーン系離型皮膜の劣化・損耗を抑えると共に、金型内面側への成形用原料樹脂の付着を阻止し、表面性状の良好な成形品を与える。
そして一回の成形を終える毎に、本発明に係る上記水性離型剤を金型内面に塗布することで、シリコーン系離型皮膜の損耗を阻止しつつ安定して繰り返し成形を継続することが可能となる。尚、多数回の繰り返し成形によってシリコーン系離型皮膜が損耗したときには、前述した如く損耗皮膜の上に同種の皮膜形成剤を塗布して修復することで、金型そのものの劣化はほぼ完全に防止される。
本発明が適用される成形材料の種類は特に制限されないが、その作用がより有効に活かされるのは、80℃程度以下の低温域でキュアが行われる低温反応硬化型の成形材料であり、中でも、例えばポリオキシプロピレンポリオール、ポリエーテルポリオールなどのポリオール、およびトリレンジイソシアネート(TDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)等のポリイソシアネートの如き軟質ウレタンフォーム成形材料を金型内で発泡成形してウレタンフォーム成形体を製造する際に有効に活用できる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、下記実施例および比較例で用いた各成分は下記の通りである。
成分(A):三洋化成工業社製のポリエチレングリコール、商品名「PEG4000S」(平均分子量3,300)、
成分(B):三洋化成工業社製のポリエチレングリコール、商品名「PEG6000S」(平均分子量8,300)、
成分(C):三洋化成工業社製のポリエチレングリコール、商品名「PEG20,000」(平均分子量20,000)、
成分(D):住友精化社製のポリエチレンオキサイド、商品名「PEO−1Z」(平均分子量150,000〜400,000)、
成分(E):三井化学社製の工業用尿素、
成分(F):セイミケミカル社製のカチオン系フッ素系界面活性剤、商品名「サーフロンS−121」、
成分(G):脱イオン水
実施例および比較例
まず、ウレタンフォーム成形用金型(材質:アルミニウム製、成形品サイズ:30mm×30mm×30mm)の内面にシリコーン系離型皮膜形成処理を行う。即ち、GE東芝シリコーン社製の室温硬化型シリコーンゴム「YSR3022」に、硬化剤として同社製の「YC6831」を加えてから均一に撹拌する。これを、60℃に加熱した金型の内面に乾燥厚さが約30μmとなる様に均一に塗布する。
シリコーンゴム皮膜が乾燥した後、金型を成形温度である60℃に保ち、表1に示す配合組成の各離型塗膜形成剤を、乾燥膜厚が約10μmとなる様にスプレー塗布してから乾燥させる。塗膜の乾燥後、軟質ポリウレタン原料であるポリオールとイソシアネートを質量比率70:30で混合し、速やかに高速攪拌してから金型内に流し込み、60℃で10分間キュアを行った。なお、符号1〜3は離型塗膜形成剤組成が本発明の規定要件を満たす実施例、符号4〜6は離型塗膜形成剤組成が本発明の規定要件を欠く比較例、符号7は離型塗膜形成剤を塗布しなかったブランク例、符号8,9はシリコーンゴム皮膜を省略して市販の離型剤のみを塗布した対照例、符号10は、関東化学社製のポリビニルアルコール(商品名「ポリビニルアルコール500」)、符号11は日本製紙社製のカルボキシメチルセルロース(商品名「サンローズF」)のみを用い対照例である。
各々について、60℃の金型に塗布したときの状態、成形品の表面状態、金型内面への堆積状態、金型内面の洗浄性、成形品表面に移行した離型塗膜の難燃性、および連続成形可能回数を下記の基準で評価し、表2に示す結果を得た。
(1)塗膜形成性:60℃の金型内面に塗布し離型塗膜を成形したときの状態を、次の基準で評価した。
○:塗膜が完全に固化している、△:塗膜が一部溶融している、×:塗膜の大部分が溶融している。
(2)成形品の表面状態:成形フォームの仕上がり状態を、上記成形品の表面を目視で観察し、次の基準で評価した。
○:ピンホールや陥没がなく肌荒れがない、△:部分的にピンホールや陥没があり少し肌荒れが認められる、×:ピンホールや陥没が激しい。
(3)金型への堆積性:金型への各処理剤および各離型剤の堆積性を目視観察し、次の基準で評価した。
○:型内に処理剤および離型剤の固形分などの残留物が殆んど残っていない、△:型内にわずかに上記固形分などの残留物がみられる、×:型内に上記固形分などの残留物の堆積が激しい。
(4)金型の洗浄性:成形を繰り返して行う際の金型の洗浄性について、次の基準で評価した。
◎:水洗のみで外力を加えず簡単に洗浄できる、○:水洗のみで洗浄できるが、外力を加えなければ汚れが落ちない、△:洗剤で洗浄すれば外力を加えなくても洗浄できる、×:洗剤を使用し、かつ外力を加えなければ洗浄できない。
(5)成形品表面の難燃性:成形フォームの難燃性を、アメリカ保険業者安全規格「UL94V−0」規格に基づいて、次の基準で評価した。
○:UL94V−0規格に合格、×:UL94V−0規格に不合格。
(6)連続成形回数:成形途中に金型洗浄なしで支障なく連続成形することのできる回数を調査した。
表1,2より、次の様に解析できる。
符号1〜3は本発明の規定要件を満たす実施例であり、シリコーン系離型皮膜の上に形成した離型塗膜は優れた剥離性を有しており、繰り返し成形を行っても離型性の低下や型汚れ等を生じることがなく、100回以上の連続成形が可能であった。
符号4はポリエチレンオキサイドと融点上昇成分である尿素を含まない比較例であり、塗膜の融点が成形温度(60℃)付近であり、一部溶融が起こって成形時に溶融部分がウレタンと反応してセル荒れを起こし、連続成形は10回が限度であった。
符号5はポリエチレンオキサイドを含まない比較例であり、セルオープン性や連続成形性に問題は認められなかったが、成形品表面に転写した離型塗膜が硬くてひび割れを起こし、成形品の表面状態が悪かった。
符号6はポリエチレングリコールを含まない比較例であり、塗膜の溶融は見られなかったものの塗膜の粘着性が高く、シリコーンゴム皮膜の方に強く付着したため離型性が悪く、連続成形回数は5回が限度であった。
符号7は、シリコーンゴム皮膜とポリウレタン原料が直接接触しウレタンの発泡が阻害されるためセル荒れを起こし、成形品の一部が型に残って次第に離型性が低下した。
符号8,9は市販の一般的な離型剤であり、離型剤中の固形成分が型内面に堆積し、成形を繰り返すにつれて離型性が次第に低下した。各々で得た成形品について燃焼試験を行ったところ、激しい燃焼性を示し「UL94V−0」に不合格であった。
符号10,11は、水溶性高分子としてポリビニルアルコールまたはカルボキシメチルセルロースを用いた離型剤を用いたものであり、符号1〜3と同様に離型性と連続成形性は良好である。しかし、成形品の難燃試験では燃焼性が確認され「UL94V−0」には不合格であった。
なお上記では、離型塗膜形成剤の融点上昇成分として尿素を用いた例を示したが、尿素以外に硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム等にも同様に離型塗膜の融点を高める作用があることを確認した。

Claims (8)

  1. 分子量が200〜20,000であるポリエチレングリコール1〜10質量%と、分子量が10万〜1,000万であるポリエチレンオキサイド0.01〜1.0質量%とを含有する水性液からなることを特徴とする樹脂成形用離型剤。
  2. さらに、尿素が含まれている請求項1に記載の樹脂成形用離型剤。
  3. さらに、フッ素系界面活性剤が含まれている請求項1または2に記載の樹脂成形用離型剤。
  4. 樹脂成形用金型内面に形成されるシリコーン系離型皮膜の内面側に塗布されるものである請求項1〜のいずれかに記載の樹脂成形用離型剤。
  5. 前記シリコーン系離型皮膜が常温硬化型のシリコーン系樹脂である請求項に記載の樹脂成形用離型剤。
  6. 軟質ウレタンフォーム成形体の製造に使用されるものである請求項1〜のいずれかに記載の樹脂成形用離型剤。
  7. 樹脂成形品を成形するに当り、成形金型の内面にシリコーン系離型皮膜を形成した後、該皮膜の内面側に、前記請求項1〜のいずれかに記載の離型剤を塗布してから成形原料を注入することを特徴とする樹脂成形体の製法。
  8. 上記成形原料として、ポリオールとポリイソシアネート、および、必要に応じて発泡剤を含む軟質ウレタンフォーム成形材料を使用する請求項に記載の製法。
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