JP2019072294A - トイレ用部材、および便座 - Google Patents

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文枝 堀端
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Daiki Umemoto
大輝 梅本
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Abstract

【課題】防汚性に優れ、高い防汚性の耐久にも優れたトイレ用部材を提供することを課題とする。【解決手段】ベース樹脂と摺動性添加剤で構成され、前記摺動性添加剤は、前記ベース樹脂より融点が低く、かつ常温で固体の添加剤である。ベース樹脂に摺動性添加剤を混錬することで、ベース樹脂の摺動性が向上し、磨耗負荷による表面摩擦が抑制され、傷つきが抑制される。【選択図】図2

Description

本発明は、表面に液滴汚れが付着しにくい状態が長期間に渡って維持されるトイレ用部材および便座に関するものである。
トイレ用部材、特に便座は、尿汚れが付着しやすく、悪臭や外観の悪化による不快感の原因となるため、頻繁な拭き掃除が求められている。従来、この拭き掃除の負荷低減を目的として、便座に防汚性を付与する技術開発が行われている。便座は、一般的に樹脂で構成されているため、表面コーティングやベース樹脂への添加剤の練り込み等による防汚性付与が試みられてきた。
防汚性の指標のうち、トイレ用部材や便座のような部材表面上における液滴の付着性を示す指標として「転落角」がある。
転落角とは、図1に記す通り、液滴2が載った部材1表面を、水平な位置から徐々に傾斜させていき、液滴2が部材1表面を滑落し始める角度のことである。
転落角が0度に近づくほど、液滴2は、部材1表面から除去されやすくなり、転落角が90度に近づくほど、液滴2は、部材1表面から離れにくくなり、90度でも滑落しない場合は、表面に付着した状態のままになる。
表面コーティングは、防汚性向上のための一手段であり、部材成形後に、後工程で部材表面に、液滴の接触角を向上させるようなシリコーンやフッ素化合物等を含有するコーティング剤を塗装し、乾燥硬化を行って防汚性を付与する。必要に応じてプライマーやトップコート等も含めて二度塗り、三度塗りを行う。この方法では、コーティング剤によって部材表面全体が防汚性物質に覆われるので、防汚効果が発現する。しかしながら、工程・コストの増大、さらには磨耗によって表面からコーティング剤が剥離しやすいことから、日常的な拭き掃除が行われ、さらに10年近くの長期に渡って使用されるトイレ用部材には適さないという課題がある。
一方、ベース樹脂への添加剤の練り込みは、防汚性化合物をあらかじめ添加剤とともにベース樹脂に練りこんでペレット化し、そのペレットを用いて成形することにより、成形と同時に防汚性が付与された部材を得ることができる。この手法を用いた部材は、工程が増えないことから経済的で、磨耗による剥離の心配がないことなどから耐久性の良いという利点が挙げられる。
しかしながら、ベース樹脂への添加剤の練り込みは、表面コーティングよりは勝るが、依然として磨耗による劣化が課題となる。それは、長期的な磨耗負荷を受けることによる微小な傷付きや表面の荒れにより、部材表面1の表面状態が悪くなることで、転落角が高くなり、防汚性が徐々に失われるためである。
そこで、従来、この磨耗による表面劣化を防ぐ様々な方法が検討されている。
例えば、樹脂成形体で構成された便座、便蓋、ケースカバー等の衛生洗浄装置において、樹脂中に滑剤をコーティングした硬質充填剤を混入したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の技術のように、樹脂中に硬質充填剤を混入することで、樹脂を硬質化し、磨耗負荷による傷付きを防ぐことができる。さらには、硬質充
填剤を滑剤でコーティングすることで、表面の抵抗を下げ、磨耗による摩擦を抑制することができる。
特開2005−102761号公報
特許文献1に記載の樹脂成形体で構成された衛生洗浄装置は、ベース樹脂としてポリプロピレン樹脂やアクリロニトリルーブタジエンースチレン樹脂を想定している。
しかしながら、ベース樹脂より硬い充填剤の箇所のみが滑り性が向上しているために、使用年数の増加に伴って磨耗回数が増加するために、ベース樹脂のみが磨耗劣化し、表面に微細な凹凸が発生し、経年的に増大する。表面に発生した凹凸の溝に尿や便の汚れが入り込むことで、汚れが付着しやすくなるとともに、拭き取り性が低下する虞がある。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、汚れが付着しにくい状態を長期間に渡って維持できるトイレ用部材および便座を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するための手段は、トイレ用部材は、ベース樹脂と摺動性添加剤で構成され、前記摺動性添加剤は、前記ベース樹脂より融点が低く、かつ常温で固体の添加剤である。
本開示のトイレ用部材は、液滴が部材表面を滑り落ちやすく、かつ、表面の摺動性が長期に渡って維持することができる。したがって、防汚性に優れ、高い防汚性の耐久にも優れたトイレ用部材を提供することが可能となる。
転落角の説明図 本発明の実施の形態におけるトイレ装置および部材の斜視図 本発明の実施の形態におけるトイレ装置の本体、本体ケースの平面図 本発明の実施の形態における液滴付着評価装置の斜視図 本発明の実施の形態における液滴付着評価装置の上面図 本発明の実施の形態における液滴付着状態を示す平面図 本発明の実施の形態における静摩擦係数評価装置の模式図 本発明の実施の形態における便座の断面図
第1の発明のトイレ用部材は、ベース樹脂と摺動性添加剤で構成され、摺動性添加剤はベース樹脂より融点が低く、かつ常温で固体の添加剤である。
ベース樹脂に摺動性添加剤を混錬することで、ベース樹脂の摺動性が向上し、磨耗負荷による表面摩擦が抑制され、傷つきが抑制される。さらに、ベース樹脂の融点が添加剤の融点より低いことにより、射出成形時に、ベース樹脂が先に固化する一方で、添加剤は流動性を保ちながら射出圧により押出されるので、表面に移動しやすくなる。
また、添加剤がベース樹脂より融点が低く、かつ常温で固体であるため、ベース樹脂が
固化したのちも添加剤は液体の状態を保ち、成形後に常温になり添加剤が固化する際に表面張力により表面積が小さくなろうとし、部材表面に存在する添加剤が平滑な表面層を形成する。これにより、部材表面の平滑性が高くなるため、液滴が滑りやすくなり、転落角が小さくなり、尿汚れが付きにくく、高い防汚性が得られる。さらに、部材表面に摺動性添加剤が均一に分散されやすくなり、高い摺動性を発揮することで、表面の傷つきや表面の荒れが抑制される。加えて、長期的に高い平滑性が保たれることにより、防汚性の劣化も抑制することができる。
第2の発明のトイレ用部材は、第1に開示のトイレ用部材が、前記摺動性添加剤が炭化水素系添加剤である。
表面エネルギーが低い―CH3基や―CH2−基を有する添加剤がベース樹脂表面に存在する。これにより、液滴の転落角が小さくなり、液汚れの付着防止や、尿や便などの汚染物が付着した場合の拭き取り性の向上効果が付与できる。また、酸やアルカリに弱い官能基が少ないことから、トイレ用洗剤に対する耐薬品性に優れる。
第3の発明のトイレ用部材は、第1または第2の発明のトイレ用部材が、前記ベース樹脂がポリプロピレン樹脂であるものである。
特に、添加剤が炭化水素系添加剤を含み、ベース樹脂がポリプロピレンの場合は相溶性がよいため、表面に添加剤が分布しやすくなるだけでなく、内部にも分散しやすくなる。
トイレ用部材、特に便座は、上下の部材を嵌合することにより構成されるが、嵌合部の溝に汚れがたまるのを防ぐため、嵌合部にシームレス加工と呼ばれる切削で嵌合部の溝をなくす加工を施す場合がある。このような加工を行った場合には、部材の最表面が削られ、部材内部が露出するが、そのような箇所においても、長期に渡って高い防汚性を発揮できる。
さらに、ポリプロピレン樹脂は、耐薬品性に優れた汎用樹脂であるため、洗剤や薬剤に触れるような部位でも耐久性に優れる。
さらに、ポリプロピレン樹脂は、硬度が低く、傷付きや磨耗の表面荒れに弱い特性があることから、本発明の効果をより発揮することが可能になる。
第4の発明のトイレ用部材は、第1から第3の発明のトイレ用部材が、表面における水滴の転落角が90°以下であり、表面の静摩擦係数が0.20以下であるものである。
トイレ用部材に尿が付着する場合は、便器内部に衝突した尿が飛散して付着する。トイレ用部材の表面における水滴の転落角が90°以下であれば、運動エネルギーを持って飛散してきた液滴は、トイレ用部材表面に飛散しても、トイレ用部材表面に付着した状態にならず、汚れ付着を防止することができる。
さらに、トイレ用部材表面の拭き掃除において、表面を荒れさせやすいのは、表面に接した雑巾等の拭き掃除道具が動き始める時であり、表面の静摩擦係数が小さいほど、摩擦の負荷が小さく、表面粗さの増大が抑制される。トイレ用部材表面の静摩擦係数が0.20以下であれば、表面粗さの増大が抑制され、長期に渡って、平滑で液滑りの良い防汚表面が維持される。
第5の発明の便座は、第1から第4の発明の便座が、前記摺動性添加剤が、便座の座面裏側にのみ含有されているものである。
尿汚れのほとんどは、便座の座裏面に付着することから、便座の座裏面にのみ添加剤を使用することで、十分に防汚性の効果を発揮することができる。さらに、便座の座表面に摺動性添加剤を使用すると、便座の座表の成形部品表面の表面エネルギーが小さくなり、特に、便座の座表面に暖房機能を備えた便座の場合、座表の内側に貼り付けたヒーターが取れやすくなるという課題を防ぐことができる。
また、便座の座表面に摺動性添加剤を使用すると、特に、便座の座表面に抗菌性を備えた便座の場合に、摺動性の表面層により、抗菌成分の露出が少なくなり、抗菌性が損なわれるという課題を防ぐことができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態によって本発明が限定されるわけではない。
(実施の形態)
本実施の形態のトイレ用部材は、便座、便蓋、本体ケース、洗浄ノズル、操作部、リモコン等の防汚性の求められるトイレ装置を構成している樹脂成形体を想定しているが、これに限定されるものではない。
図2、図3に、本発明のトイレ用部材を用いたトイレ装置およびその部品を示す。
図2において、3はトイレ装置、4は便座、5は本体、6は便器、7は便蓋、8は洗浄ノズル、9は操作部、また、図3において10は本体ケースである。
トイレ用部材のベース樹脂の材質としては、トイレ用部材が耐久的に形状を維持できる材料であればよく、特に指定するものではない。トイレ用部材として、求められる外観品位、機械物性、撥水性、耐久性、機能性、透明性、コスト等を考慮して自由に選択することができる。
ベース樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルペンテン、シクロオレフィンポリマー、ポリフェニレンスルファイド、ポリスルフォン、ポリアミドイミドなどから適宜選択して用いることができ、特に指定するものではない。
また、ポリプロピレンとして、ホモポリマー、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー等が使用できるが、その他樹脂との共重合体を使用する、あるいは、エチレン―プロピレン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレンーエチレンーブタジエンースチレンブロック共重合体(SEBS)等のエラストマーを配合した材料を用いることもできる。
また、複数の種類の樹脂が混合されたものを用いてもよい。
また、求められる機械物性や熱特性、撥液性を付与するために、無機や有機、それらの混合物からなる添加剤をトイレ用部材に含有していてもよい。
例えば、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、金属不活性化剤、帯電防止剤、防曇剤、核剤、抗菌剤、防カビ剤、発泡剤、安定剤、可塑剤、安定剤、フィラー、補強材、繊維、顔料、ゴム成分、撥水剤、滑剤、オイルなどを一種もしくは複数種含有してい
てもよい。
トイレ用部材に含有する摺動性添加剤は、特に指定するものではない。摺動性添加剤としては、パラフィンワックス、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の炭化水素系やオレフィン系の添加剤やワックス、ポリオレフィン共重合体、鉱油、合成油、またそれらの一部を酸化等の変性処理を行ったもの、あるいはステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸系、脂肪族アルコール系、脂肪酸アミド系、あるいはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸系の摺動性添加剤、ブチルステアレート、グリセリンものアセテート等のエステル系添加剤等があるが、これに限定されるものではない。ノフアロイ(登録商標)、ハイワックス(商標)等を一種もしくは複数種用いてよい。
また、ポリプロピレン中にオレフィン系添加剤が含有されている場合の確認方法としては、例えば、DSCやTG−DTA、GC/MS、NMR、IR、GPC等を用いることが可能であるが、これに限定するものではない。
さらに、シリコーンオイルやシリコーン樹脂等のシリコーン系、フッ素系、オレフィン系等の撥水性添加剤を含有することも可能である。
また、添加剤の分散性や性能向上のために、例えば、パラフィン等をあらかじめ適した樹脂に分散もしくは結合させたものを用いてもよい。このとき、樹脂は複数の種類や重合体等でもよい。
ガラス繊維やタルク等の無機物を添加することにより、強度向上を図ることも可能である。また、炭酸カルシウムや酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、マイカ、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、リン酸カルシウム、ガラスバルーン等の充填剤、顔料、あるいは難燃剤等を用いることも可能である。
さらに、抗菌剤を含有させてもよい。抗菌剤として、Ag系、Zn系、Cu系等の1種あるいは複数種、あるいはそれらをシリカ、アルミナ、ゼオライト、リン酸塩、ケイ酸塩等の単体に担持させたもの、あるいは有機系抗菌剤、天然有機系抗菌剤等があるが、特に指定するものではない。
トイレ用部材は、射出成形、押出し成形、ブロー成形、圧縮成形等で作製される。
例えば、射出成形とは、加熱したシリンダー内で材料を溶融し、溶融した材料を金型に射出・圧入し、冷却後、成形品を得るものである。
射出成形に用いられる材料、すなわちベース樹脂、摺動性添加剤やその他添加剤、他の樹脂材、ゴム材等の材料は、あらかじめ混合、あるいは二軸混錬機等により混錬して、材料をできるだけ均質化、ペレット化しておくことが望ましい。
本実施の形態では、ポリプロピレンをベース樹脂として用いており、MFRが3〜70g/minのポリプロピレンを用いることが多い。
(実施例)
以下に、本開示に係る実施例をより具体的に説明する。なお、この実施例によって本発明が限定されるものではない。
まず、ベース樹脂としてポリプロピレン、添加剤として、摺動性添加剤、酸化防止剤や強化剤、ゴム材、その他添加剤を二軸混錬機で混錬・ペレット化後、射出成形機にて成形
し、各実施例のサンプル板15を得た。ポリプロピレンの融点は約160℃であった。
このとき、既にマスターバッチ化されている添加剤や、混錬しない方がよい樹脂や添加剤などは、二軸混錬することなく、成形までの間に混合すればよく、特に指定するものではない。
また、摺動性添加剤の融点が樹脂よりも低いため、二軸混錬を用いる場合、スクリュー部への摺動性添加剤の投入温度は、スクリューの練り部の温度よりも低い方が望ましい。
次に、サンプル板15の表面における転落角の評価方法を以下に示す。
転落角は5μLもしくは20μLの蒸留水で測定した。転落角の計測には、協和界面科学株式会社の接触角計DM−501型を用いた。基材表面を垂直にしても水滴が転落しない場合は、>90°と表記した。
実施例で用いたサンプル板15の一部の表面粗さは、レーザー顕微鏡を用いて評価したところ、いずれもRa=1.0μm以下、あるいは0.5μm以下であった。
また、液滴付着評価は、以下の通り行った。
図4、図5に示すように、トイレ装置3を用いて作製した評価装置11を作製し、表面張力を尿に近づけるために、60〜65mN/mに調整した水を絵の具で黒く着色し、噴射部品12から便器内側に一定速度で噴射させた。評価装置11の便座13の座裏面に左右対称に2種類のサンプル板15を貼り付け、便器内側に当たって飛散し、便座13の裏面に付着した液滴の面積を評価した(図6)。付着液滴14は、乾燥後、二値化して面積を算出し、定量比較した。液滴が付着しにくい程面積が小さくなり、尿汚れに対する防汚性が高い。
このとき、便座13の座裏面の半分側に比較例1に記載のポリプロピレン樹脂のサンプル板15を貼付し、線対称となる位置に実施例記載のサンプル板15を貼付し、比較例記載のサンプル板15に対して実施例記載のサンプル板15に付着した液滴の面積比を評価した。
また、サンプル板15の静摩擦係数の評価方法を以下に示す。
評価装置は、株式会社インテスコの精密万能材料試験機2005−3型を選定した。図7のように、上部にサンプル板15(20×20×t1.6mm)を、下部にSUS304の基準板16(150×400×t3mm、Ra=3〜4μm)を重ね合わせて、200g(30×30mm)の滑り片17をサンプル板15と両面テープ18で固定して、試験速度100mm/minで水平なベース板19に沿って引っ張ることにより、サンプル板15を基準板16上で滑らせた。この時の荷重から静摩擦係数を算出した。試験は各サンプル板につき5回測定し、平均値を使用した。
また、サンプル板15の耐久性能を評価するため、実使用の拭き掃除を想定した磨耗試験を実施した。試験は自作の磨耗試験機を使用し、ステンレス製の磨耗冶具に磨耗冶具を含めて1kgとなるように荷重を載せた。磨耗冶具の先端に、水道水を含ませた日本製紙クレシア株式会社のキムタオルホワイトを当て、さらにそれをつつむように、花王株式会社トイレクイックルを2つ折りにして巻き付けた。磨耗条件は、ストローク70mmで、1秒間に1往復の速度でサンプル板の表面を水平に磨耗した。
(実施例1)
上記製造方法にてサンプル板15を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
サンプル板は、ベース樹脂としてポリプロピレン樹脂100部に、融点約70°のパラフィン系の摺動性添加剤3部を混錬・ペレット化し、成形した。
水の転落角は、5μLでおこなったところ、42°であり、20μLで行ったところ、19°であった。また、磨耗試験を300回実施したサンプル板の転落角を20μLで測定したところ、31°であった。
液付着評価試験を、磨耗試験を実施しないサンプル板で行ったところ、比較例1のサンプルを1とすると、液付着抑制効果が2.0倍、磨耗試験を300回実施したサンプル板は1.6倍となった。静摩擦係数は、0.18であった。
本開示の発明により、防汚性が高く、さらに磨耗300回でも転落角が+12°と変化が少なく、磨耗後でも比較例1よりも高い液付着抑制効果が確認された。
(実施例2)
上記製造方法にてサンプル板15を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
サンプル板は、ベース樹脂としてポリプロピレン樹脂100部に、融点約70°のパラフィン系の摺動性添加剤5部、衝撃強度を向上するためにタルクを5部添加し、混錬・ペレット化し、成形した。
水の転落角は、5μLでおこなったところ、46°であり、20μLで行ったところ、20°であった。また、磨耗試験を300回実施したサンプル板の転落角を20μLで測定したところ、30°であった。
液付着評価試験を、磨耗試験を実施しないサンプル板で行ったところ、比較例1のサンプルを1とすると、液付着抑制効果が2.0倍、磨耗試験を300回実施したサンプル板
は1.6倍となった。静摩擦係数は、0.18であった。
実施例2のサンプル板は、実施例1の成形体よりも摺動性添加剤の量を増大させている。添加剤の量を増大させると、防汚性・低摩擦性は同等であるが、成形時の金型を確認したところ、添加剤が金型に付着していた。これは、添加剤が表面に偏在・析出したためと考えられる。これ以上の過剰な添加剤の添加を行なうと、サンプル板の表面粗さが大きくなり、液滴の滑り性が悪化すると推測される。
(実施例3)
上記製造方法にてサンプル板15を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
サンプル板は、ベース樹脂としてポリプロピレン樹脂100部に、融点約70°のパラフィン系の摺動性添加剤3部、衝撃強度を向上するためSEBSを3部添加し、混錬・ペレット化し、成形した。
水の転落角は、20μLで行ったところ、19°であった。また、磨耗試験を300回実施したサンプル板の転落角を20μLで測定したところ、34°であった。
実施例3のサンプル板は、実施例1のサンプル板にSEBSを追加している。SEBSを添加しても、パラフィン系の摺動性添加剤が平滑な表面層を形成しているため、実施例1と同等の防汚性を示すことができる。
(実施例4)
上記製造方法にてサンプル板15を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
サンプル板は、ベース樹脂としてポリプロピレン樹脂100部に、融点約90°の脂肪酸アミド系の摺動性添加剤3部、衝撃強度を向上するためにタルクを5部添加し、混錬・ペレット化し、成形した。
水の転落角は、5μLでおこなったところ、56°であり、20μLで行ったところ、24°であった。
(比較例1)
上記製造方法にてサンプル板15を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
サンプル板は、ベース樹脂としてポリプロピレン樹脂100部に、衝撃強度を向上するためにタルクを5部添加し、混錬・ペレット化し、成形した。
水の転落角は、5μLでおこなったところ、>90°であり、20μLで行ったところ、35°であった。また、磨耗試験を300回実施したサンプル板の転落角を20μLで測定したところ、52°であった。
液付着評価試験を、磨耗試験を300回実施したサンプル板は0.9倍となった。静摩擦係数は、0.22であった。
このように、防汚性の指標である転落角が悪化し、液付着抑制効果がないことに加え、磨耗によりさらに悪化しており、転落角が+27°大きくなっている。これは静摩擦係数が0.20以上と大きく、磨耗により表面粗さが増大したことが考えられる。
(比較例2)
上記製造方法にてサンプル板15を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
サンプル板は、ベース樹脂としてポリプロピレン樹脂100部に、融点約300°のフッ素系の摺動性添加剤5部、衝撃強度を向上するためにタルクを5部添加し、混錬・ペレット化し、成形した。
水の転落角は、5μLでおこなったところ、>90°であった。このように、防汚性の指標である転落角が悪化し、液付着抑制効果がないことがわかる。
(比較例3)
上記製造方法にてサンプル板15を作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
サンプル板は、ベース樹脂としてポリプロピレン樹脂100部に、融点約<0°のシリコーンオイル系(非変性、粘度12,500)の摺動性添加剤5部、衝撃強度を向上するためにタルクを5部添加し、混錬・ペレット化し、成形した。
水の転落角は、5μLでおこなったところ、>90°であった。このように、防汚性の指標である転落角が悪化し、液付着抑制効果がないことがわかる。
(便座の構成)
図8は、便座の断面図である。
図8に示すように、便座300は、上面側から、上部便座ケーシング310と、アルミニウム箔製の均熱板331にコードヒータ332を配設した便座ヒータ330と、発泡スチロール製の断熱材340と、下部便座ケーシング320を主構成部材として構成されている。
上部便座ケーシング310の材質としては、トイレ用部材が耐久的に形状を維持できる材料であればよく、特に指定するものではない。トイレ用部材として、求められる外観品位、機械物性、撥水性、耐久性、機能性、透明性、コスト等を考慮して自由に選択することができる。本実施の形態では、ポリプロピレン樹脂を用いている。
下部便座ケーシング320は、実施例1と同様に、ベース樹脂としてポリプロピレン樹脂を用い、ポリプロピレン樹脂100部に、融点約70℃のパラフィン系の摺動性添加剤3部を混錬・ペレット化し、成形したものを用いている。
下部便座ケーシング320は、融点約70℃のパラフィン系の摺動性添加剤が混練されている。パラフィン系の摺動性添加剤は、ポリプロピレン樹脂よりも融点が低いために、混練時や成型時にポリプロピレン樹脂中で分散しやすく、十分な防汚効果を発揮することができる。パラフィン系の摺動性添加剤は、樹脂組成物中での流動性が高いため、成形体表面に向かってパラフィン系の摺動性添加剤が移動する現象が生じる。そのため、成形体表面にパラフィン系の摺動性添加剤が存在する比率が高くなり、高度の防汚性および耐磨耗性を達成することができる。
上部便座ケーシング310と下部便座ケーシング320は、完成状態では、相互の内周縁と外周縁が接合され内部が中空の環状をなしている。
便座ヒータ330は、前部の一部が切り取られた略馬蹄形状のアルミニウム箔で形成された均熱板331の表面に、軟質の塩化ビニール製の絶縁被覆で覆われたコードヒータ332が間隔を設けて蛇行して配設されており、コードヒータ332で発熱した熱が均熱板
331に伝導して均熱板331の全面に拡散する構成となっている。便座ヒータ330は着座面313の全面を加熱できるようにコードヒータ332が配設あり、特に着座した使用者の大腿部と臀部が快適に加熱されるように場所によって密度を変えて配設してある。
また、均熱板331の表面には図示しない温度検知手段であるサーミスタと過昇防止手段であるサーモスタット設置されており、コードヒータ332とサーミスタおよびサーモスタットはリード線で接続されている。
本実施の形態における便座ヒータ330は、上部便座ケーシング310の上面を設定温度に保温した状態に維持する。設定温度は、図示しない操作スイッチにより使用者の好みにより変更が可能であり、35℃から40℃の範囲で調整することができる。上部便座ケーシング310の上面温度を40℃までにしているのは、使用者の低温やけどを防止するためである。
便座ヒータ330は、上部便座ケーシング310に両面テープなどにより貼着される。下部便座ケーシング320は、パラフィン系の摺動性添加剤が混練されているために、両面テープなどが剥離しやすい。便座ヒータ330は、パラフィン系の摺動性添加剤を混練していない上部便座ケーシング310に貼着するので、便座ヒータ330の剥離が抑制される。
断熱材340は、独立発泡体である発泡スチロールで一体に成形されており、略馬蹄形状をしている。断熱材340の内周と外周の形状は、上部便座ケーシング310の内周と外周の形状と略相似形に形成されており、上部便座ケーシング310および便座ヒータ330の前部および側部を覆うことができる形状となっている。
便座ヒータ330は、着座した使用者の大腿部が接触する両側部の発熱量を多くなるようにコードヒータ332を配設しており、断熱材340は、便座ヒータ330の主要部を断熱する構成となっている。断熱材340の下面と下部便座ケーシング320との間で断熱空間305が形成されている。
便座ヒータ330より輻射および対流により下方に放出された熱は、断熱材340により下方への移動が抑制される。
上部便座ケーシング310の下面に便座ヒータ330を貼着し、便座ヒータ330の下方に断熱材340を配置したことにより、便座ヒータ330の熱が下部便座ケーシング330に伝達されることが抑制される。
下部便座ケーシング320は、パラフィン系の摺動性添加剤が混練されており、下部便座ケーシング320表面にパラフィン系の摺動性添加剤が存在する比率が高い。下部便座ケーシング320のパラフィン系の摺動性添加剤は、融点、あるいは融点に近い温度になると、液状になる。液状になった状態で、使用者が下部便座ケーシング320の汚れを拭き取ると、汚れと共に液状になった摺動性添加剤も拭き取られ、防汚性が低下する虞がある。
本実施の形態では、便座ヒータ330の下方に断熱材340を配設しているので、便座ヒータ330からの下部便座ケーシング320への熱的影響は非常に小さいものとなる。
また、融点が約70℃のパラフィン系の摺動性添加剤を用いているので、断熱材340を用いない場合でも、下部便座ケーシング320は、摺動性添加剤が液状となる温度に達することがない。例えば、夏季においては、トイレ空間は、40℃に達することが想定さ
れるが、40℃に達したとしても、融点が約70℃のパラフィン系の摺動性添加剤を用いているので、液状になることはない。
本実施の形態では、融点が約70℃の摺動性添加剤を用いたが、融点が55℃以上であれば、トイレ空間の温度が40℃に達した場合でも、液状になることはなく、使用者が汚れを拭き取っても下部便座ケーシング320表面のパラフィン系摺動性添加剤が拭き取られることはない。また、融点が約50℃の摺動性添加剤を用いてもよい。融点が約50℃であれば、トイレ空間の温度が40℃に達した場合には、摺動性添加剤の一部が液状になることが想定される。しかしながら、仮に液状になったとしても、わずかの量であるため、防汚性の低下は抑制される。
以上のように、本開示にかかるトイレ用部材、および便座は、尿汚れが付着しにくく、かつ長期的にその性能を維持することができるので、尿汚れが付着しやすい便座、本体ケースをはじめとするほとんどのトイレ装置の構成部品およびトイレ内で使用するトイレ用品に使用することができる。
3 トイレ装置
4 便座
5 本体
6 便器
7 便蓋
8 洗浄ノズル
9 操作部
10 本体ケース
11 評価装置
12 噴射部品
13 便座
14 付着液滴
15 サンプル板
16 基準板
17 滑り片
18 両面テープ
19 ベース板

Claims (5)

  1. ベース樹脂と摺動性添加剤で構成され、前記摺動性添加剤は、前記ベース樹脂より融点が低く、かつ常温で固体の添加剤であるトイレ用部材。
  2. 前記摺動性添加剤が炭化水素系添加剤である請求項1に記載のトイレ用部材。
  3. 前記ベース樹脂がポリプロピレン樹脂である請求項1または2に記載のトイレ用部材。
  4. 表面における水滴の転落角が90°以下であり、表面の静摩擦係数が0.20以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載のトイレ用部材。
  5. 前記摺動性添加剤が、便座の座面裏側にのみ含有されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の便座。
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