JP5034710B2 - 熱可塑性樹脂組成物発泡成形体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また、近年、リサイクル性や生産性の観点から、熱可塑性樹脂を用いて射出成形を行った発泡体の製造について数多く報告されている。中でも、生産性及び外観に優れた方法としては、成形材料を成形型に充填した後に成形型を開いて発泡させる発泡成形が挙げられる。しかし、発泡成形では、発泡倍率をあまり大きくできないため、平滑な表面や全体的なソフト感(反発弾性が小さい柔らかな感触)を得るために、スチレン系熱可塑性エラストマーを主として用いる方法が知られている(特許文献1参照)。
化学発泡剤としては、アゾジカルボン酸アミドのようなアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、重炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、重炭酸アンモニウム塩等の炭酸塩、クエン酸、クエン酸ナトリウム、シュウ酸などの有機酸等が用いられている。しかし、化学発泡剤は、化学分解でガスを発生させる一方、様々な分解生成物を発生させてしまう。例えば、重炭酸ナトリウムとクエン酸との混合発泡剤では、分解とともに炭酸塩、有機酸や水などが発生し、また、アゾジカルボン酸アミドの分解では、アンモニア、シアヌル酸などが発生する。これらの物質は、成形型(金型)を腐食させやすい。また、分解生成物は、成形品性能を低下させる原因ともなりやすい。
即ち、本発明の要旨は、(a)熱可塑性樹脂、と(b)平均粒子径が5〜100μmであって、粒径0.1μm以上、1.0μm未満の粒子の個数分率が50数量%以下であるフッ素樹脂粒子、とを含み、かつメルトフローレート(JIS K7210)が10〜200g/10minである熱可塑性樹脂組成物(I)を発泡成形させてなる、発泡成形体に存する。
また本発明の別の要旨は、上記の熱可塑性樹脂組成物(I)が、更に(c)離型剤を含む、発泡成形体に存する。
また本発明の別の要旨は、上記のフッ素樹脂粒子(b)が、フッ素を含む重合体を粉砕することによって得られてなる、発泡成形体に存する。
また本発明の別の要旨は、上記発泡成形が物理発泡剤を用いるものである、発泡成形体に存する。
また本発明の別の要旨は、上記の発泡成形体とその他の部材とからなる複合成形体に存する。
また本発明の別の要旨は、(a)熱可塑性樹脂、と(b)平均粒子径が5〜100μmであって、粒径0.1μm以上、1.0μm未満の粒子の個数分率が50数量%以下であるフッ素樹脂粒子、とを含む混合物を溶融混練し、メルトフローレート(JIS K7210)が10〜200g/10minの熱可塑性樹脂組成物(I)を得、これを成形型に充填した後、成形型の内容積を拡大して熱可塑性樹脂組成物(I)を発泡成形させる、発泡成形体の製造方法に存する。
使用する熱可塑性樹脂(a)は特に限定されないが、例えばポリスチレン、ポリオレフィン単独重合体、エチレン系共重合体、ポリエステルの他、熱可塑性エラストマーなども挙げられる。具体的には高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン単独重合体、ポリプロピレン単独重合体、ポリブテン単独重合体などのポリオレフィン単独重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ブテン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等のエチレン系共重合体;脂肪族ポリエステル、脂肪族芳香族ポリエステル等のポリエステル;エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)、エチレン−ブテン共重合ゴム(EBM)、エチレン−プロピレン−ブテン共重合ゴム等のエチレン系エラストマー、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム等のスチレン系エラストマー、ポリブタジエン等が挙げられる。
熱可塑性樹脂(a)の密度は、発泡性、発泡後のソフト感、使用目的の性能等が満足していれば特に限定されないが、0.85〜1.3g/cm3であるのが好ましい。
本発明におけるフッ素樹脂粒子(b)は、その平均粒径が1〜100μmであって、粒径0.1μm以上、1.0μm未満の粒子の個数分率が50数量%以下である。本発明におけるフッ素樹脂粒子は、含フッ素モノマーを原料とした樹脂粒子であり、含フッ素モノマーの単独重合体や共重合体など種々の重合体であって、且つ上記の粒径範囲であるものをいう。本発明におけるフッ素樹脂粒子(b)は、本発明の熱可塑性樹脂組成物(I)を発泡させる場合に発泡用成核剤として機能する。フッ素樹脂の例を挙げると、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体(ECTFE)などが挙げられる。この内、PTFE、PFAおよびETFEが好ましい。また、発泡射出成形において脂肪酸アミド等の離型剤と併用する場合は、離型性を疎外することなく、また、発泡成形品表面に発生するアバタの発生が少なくなりやすいなどの理由から、特に、PTFEを粉砕して得られるPTFE粉砕粒子が好ましい。
本発明におけるフッ素樹脂粒子の粒径及び粒度分布は、以下の方法により測定された値とする。
測定対象とするフッ素樹脂粒子をエタノールに入れ、40kHz程度の超音波を2分間照射する。得られた分散液をレーザー散乱式粒度分布測定機 堀場製作所製「LA910」により測定する。なお、フッ素樹脂粒子とエタノールの比率は、分散液のレーザー透過率(入射光量に対する透過光量の比率)が70〜95%になるように調整しておく。分散液中の粒径及び個数分率を測定し、以下の(1)式により平均粒径を算出する。
(Dは、個々の粒子の球相当径(μm)、Nはその粒子の個数分率を表す。)
また、特定の粒径以下の粒子の個数分率は、堀場製作所製「LA910」に付属のソフトにより、自動的に算出される。具体的には、その特定の粒径以下の粒子の検出個数を各々合計することにより算出される。相対屈折率は、フッ素樹脂/エタノールのそれ(0.99)にできるだけ近くなるように測定器の設定値を選択する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物(I)におけるフッ素樹脂粒子(b)の含有量は、熱可塑性樹脂(a)100重量部に対し、下限が、通常0.01重量部、好ましくは0.05重量部であり、上限が、通常10重量部であり、好ましくは7重量部であり、より好ましくは4重量部である。フッ素樹脂粒子(b)が上記下限以上の場合、樹脂に対し安定的に添加しやすく、均一な核を形成する効果が得られやすい。また、上記上限以下であると、添加量に見合った核形成効果が得られ好ましく、更には気泡膜中のフッ素樹脂粒子密度が低く好ましい。発泡成形体の気泡径の制御は、発泡用成核剤の添加量によっても適宜調整できる。
射出完了までの時間は、スキン層の厚みが薄く、良好なソフト感等を有する発泡成形体が得られやすいことから短い方が好ましい。通常、射出完了までの時間は0.1〜20秒程度とする。
硬質熱可塑性樹脂は、当該、複合成形体の形状保持、もしくは使用目的の強度を確保することが出来れば特に規定はされないが、一般的に 曲げ弾性率(JIS K7203)500MPa以上である熱可塑性樹脂のことをいう。硬質熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂;ポリメチルメタクリレート系樹脂やポリスチレン、ABS、AS、ポリカーボネート、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂などが挙げられる。なかでも強度、成形性、融着性が良好であることから、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂やABS、ポリカーボネートが好ましい。また、成形型内に配置する硬質熱可塑性樹脂の成形体は、例えば、射出成形、プレス成形、真空成形等によって成形することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物(I)と硬質熱可塑性樹脂とで複合成形体を形成するために、本発明の熱可塑性樹脂組成物(I)を発泡射出成形する際には、本発明の熱可塑性樹脂組成物(I)の温度を160℃以上にして、硬質熱可塑性樹脂の表面を溶融させた状態で両層を接触させるのが好ましい。硬質熱可塑性樹脂成形体と発泡成形体を一体成形する場合は、これらが融着した状態で複合成形体を成形することが好ましい。また、成形型中の充填量は、両層の接着強度が十分となるよう、両層が接触したときに十分な圧力が加わるようにするのが好ましい。
[成形方法]
成形機は宇部興産機械製UBENIGATA:MD450の2色成形機を使用し、300mm×400mmのトレイ状の形状の金型を使用した。基材とされる一次側成形品の板厚を1.5mmとし、発泡層とされる二次側成形品の材料である当該エラストマーは、射出後金型拡張を行わず成形される板圧は2.5mmとした。金型設定温度は35℃とした。
一次側射出条件は、射出シリンダー設定温度:200℃、射出速度:100mm/sec、保持圧力:40MPa、保持時間:5秒、冷却時間:30秒、計量条件はスクリュウ背圧:5MPa、スクリュウ回転数:120rpmとし、冷却時間を30秒とした。二次側射出条件は、射出シリンダー設定温度:220℃ 射出速度:300mm/sec、保持圧力:0MPa、冷却時間:30秒、計量条件はスクリュウ背圧:5MPa、スクリュウ回転数:200rpmとし、冷却時間:90秒とした。尚、二次側射出成形は、一次側射出成形の冷却終了後、二次側射出材料所定の板厚分金型を後退させた後、二次側射出成形を行った。更に、発泡させるための発泡ガスとして、二次側成形の射出シリンダーより炭酸ガス4MPaを充填した。
硬質熱可塑性樹脂(II)の基材用射出成形材料として 日本ポリプロ製「BC03B」(MFR(JIS K7210) 30g/10min、曲げ弾性率 1200MPa) を使用した。
[評価方法]
<硬度>
JIS K−6262に準じ、コンパウンドにて得られた熱可塑性樹脂組成物(I)をJISファミリー金型にて射出成形を行い、120mm×80mm、厚み2mmのシートを3枚重ねで硬度Aの測定を行った。
得られた熱可塑性樹脂組成物(I)の発泡成形の際、射出シリンダーより溶融した熱可塑性樹脂組成物(I)中に炭酸ガスを注入する工程において、計量工程中もしくは、次射出工程までにシリンダー中に充填したガス圧の変化をガス注入位置に設けた圧力計より判断した。
○:ガス充填圧力4MPa±0.5MPa以内でガス圧が安定している状態
△:計量中にスクリュウが計量しなくなったり、後退速度が不安定な状態
×:充填したガスが、スクリュウ後方へ逆流する現象等、ガス抜けが発生し圧力が安定していない状態もしくは、著しく圧力が低下する状態
未拡張で得られる未発泡品の熱可塑性樹脂組成物(I)層の厚み(2.5mm)に対する発泡後の熱可塑性樹脂組成物(I)層の厚みを発泡倍率とし、以下の式の通り発泡倍率を算出した。
発泡倍率=発泡後の熱可塑性樹脂組成物(I)層の厚み/未発泡品の熱可塑性樹脂組成物(I)層の厚み(2.5mm)
発泡成形体を金型より取り出す際には、可動型側に基材が密着した状態で型開きが行われ、その後突き出し機構により金型から発泡成形体を取り出す。金型離型性とは、型開きの時に発泡表皮材面が固定金型より離れる際の状態を目視にて観察し、以下の通り評価した。
◎:成形体が可動側に付いた状態で型開きが行われ、表皮材表面に離型時のすり傷等が確認されない状態
○:可動型に成形体が付いた状態で、表皮材が固定側に引っ張られ、可動型より一部離れてしまうが、表皮材表面に離型時のすり傷や成形品の変形がない状態
△:可動型に成形体が付いた状態で、表皮材が固定側に引っ張られ、可動型より一部離れてしまい、表皮材表面に離型時のすり傷等が残る状態
×:型開き時に表皮材側が固定側に残ってしまう状態、もしくは固定金型より落下してしまう状態
得られた発泡成形体の切断断面より、発泡成形体の気泡状態及び発泡層の断面を観察し、以下の通り評価した。
◎:発泡成形体の平均気泡径が0.7〜2.0mmで且つ均一なもの
○:発泡成形体の平均気泡径が0.4〜2.5mmで且つ均一なもの
×:発泡成形体の平均気泡径がまったく不均一なもの、または、気泡と判断できるものが存在しないもの
気泡径が平均気泡径の10倍以上のものをボイドとし、発泡気泡断面の長さ100mmにおいて、ボイドの発生を観察し、以下の通り評価した。
○:発泡成形体の気泡断面の長さ100mm中にボイドが確認出来ないもの
△:発泡成形体の気泡断面の長さ100mm中に1個から5個未満のボイドが発生しているもの
×:発泡成形体の気泡断面の長さ100mm中に5個以上のボイドが発生しているもの
アバタとは、一般的に発泡層の表面の発生する不良現象であり、発泡成形体の表面が、 他の表面と比較して、微少もしくは、広範囲において凹む現象のことを指す。
得られた成形品の発泡層の表面を観察し、以下の通り評価した。
○:表面の凹凸等の異常が認められないもの
△:微少範囲での凹凸不良が認められたもの
×:平坦部の凹凸の激しいもの
外観性状は、一般的な発泡射出成形の外観不良に見られるシルバー等の樹脂流れマークやシボ転写性不良等性状について確認し、以下の通り評価した。
○:まったく異常が認められないもの
△:一部ないし微少な不良は認められるが、意匠性の低い部位では容認できる程度、または塗装等の表面加工によって外観不良が無くなる程度のもの
×:著しく外観不良が発生しているもの
(a)成分:熱可塑性樹脂
(a−1) スチレン含有量:30重量%のスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体の水素添加物(分子量Mn:10万、密度 0.91g/cm3)
(a−2) スチレン含有量:20重量%のスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体の水素添加物(分子量Mn:17万、密度 0.91g/cm3)
(a−3) Block−PP(ブロックポリプロピレン)(日本ポリプロ社製「ノバテックPP BC1」、MFR(JIS K7210):33g/10min、密度 0.90g/cm3)
(b−1) テトラフルオロエチレンの粉砕粒子(住友3M社製「Dyneon TF9205」)、平均粒子径:9μm、粒径0.1μm以上、1.0μm未満の粒子の個数分率:0数量%
(b−2) フッ化ビニリデンヘキサフロロプロペン共重合体40重量%、ポリエステルポリオール60重量%のフッ素樹脂粒子(Dupont社製「Viton FreeFlow Z200」)、平均粒子径:0.34μm、粒径0.1μm以上、1.0μm未満の粒子の個数分率:95数量%
(b−3) フッ化ビニリデンヘキサフロロプロペン共重合体99重量%以上のフッ素樹脂粒子(Dupont社製「Viton FreeFlow10」)、平均粒子径:0.4μm、粒径0.1μm以上、1.0μm未満の粒子の個数分率:90数量%
(b−4) フッ化ビニリデンヘキサフロロプロペン共重合体25重量%、エチレン/メタクリル酸共重合体75重量%のフッ素樹脂粒子(Dupont社製「Viton FreeFlow SCPW」)、平均粒子径:0.39μm、粒径0.1μm以上、1.0μm未満の粒子の個数分率:91数量%
(b−5) フッ化ビニリデンヘキサフロロプロペン共重合体50重量%、ポリエチレングリコール50重量%のフッ素樹脂粒子(Dupont社製「Viton FreeFlow Z100」、平均粒子径:0.38μm、粒径0.1μm以上、1.0μm未満の粒子の個数分率:92数量%
(c−1) オレイン酸アミド(日本化精社製「ニュ−トロン」)
(d)成分:ゴム用軟化剤
(d−1) 炭化水素系ゴム軟化剤(出光石油化学社製「プロセスオイルPW90」)、粘度:25℃ 90cSt(センチストークス)
上記(a−1)〜(a−3)を(a−1)31重量部、(a−2)31重量部、(a−3)38重量部とし、さらに(a)成分の熱可塑性樹脂のうち熱可塑性エラストマーである(a−1)及び(a−2)の合計量100重量部に対して100重量部の(d)を使用した。
尚、加工助剤、酸化防止剤として、ジメチルシリコン(東レ・ダウコーニング社製「SH200−1000CS」、粘度:1000cSt)とヒンダートフェノール系酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「IRGANOX1010」)を、(a)成分の熱可塑性樹脂100重量部に対して、それぞれ0.3重量部、0.16重量部使用した。更に、(b−1)を(a)成分の熱可塑性樹脂100重量部に対して、4重量部を使用した。
成形方法及び発泡射出成形条件は上述の通りとし、表皮材成形シリンダーより炭酸ガス4MPaを注入した。更に表皮材の射出充填後の発泡拡張量を4.2mm、拡張速度を48mm/sとした。成形中のガスの保持状態は安定であり、得られた発泡成形体の発泡倍率は、1.8であった。得られた発泡成形体について、金型離型性、発泡層の気泡状態及びボイド、外観のアバタ及び性状(シルバー等の樹脂流れマークやシボ転写性)を評価した。結果を表1に示す。
離型剤として、(c−1)を(a)成分の熱可塑性樹脂100重量部に対して0.16重量部を添加した以外は、実施例1と同様の配合にて熱可塑性樹脂組成物(I)の造粒をおこなった。得られた熱可塑性樹脂組成物(I)は、硬度Aが63で、MFRが74g/10minであった。
発泡射出成形条件は実施例1と同様とした。成形中のガスの保持状態は良好であり、得られた発泡成形体の発泡倍率は、1.76倍であった。得られた発泡成形体について、金型離型性、発泡層の気泡状態及びボイド、外観のアバタ及び性状(シルバー等の樹脂流れマークやシボ転写性)を評価した。結果を表1に示す。
(b−1)の添加量を(a)成分の熱可塑性樹脂100重量部に対して1.6重量部に変えた以外は、実施例2と同様の配合にて熱可塑性樹脂組成物(I)の造粒をおこなった。得られた熱可塑性樹脂組成物(I)は、硬度Aが63で、MFRが78g/10minあった。
発泡射出成形条件は実施例1と同様とした。成形中のガス保持状態は良好であり、得られた発泡成形体の発泡倍率は、1.76倍であった。得られた発泡成形体について、金型離型性、発泡層の気泡状態及びボイド、外観のアバタ及び性状(シルバー等の樹脂流れマークやシボ転写性)を評価した。結果を表1に示す。
(b)成分を未添加とした以外は、実施例2と同様の配合にて熱可塑性樹脂組成物(I)の造粒をおこなった。得られた熱可塑性樹脂組成物(I)は、硬度Aが64で、MFRが72g/10minであった。
発泡射出成形条件は実施例1と同様とした。成形中のガス保持状態も良好であったが、得られた発泡成形体の発泡倍率は、1.6倍となった。得られた発泡成形体について、金型離型性、発泡層の気泡状態及びボイド、外観のアバタ及び性状(シルバー等の樹脂流れマークやシボ転写性)を評価した。結果を表1に示す。
離型状態は、可動側金型から離れることなく離型性に問題なく、また成形外観に傷等が確認されなかった。得られた発泡成形体の気泡発泡の状態は、3mm以上気泡径で殆どがボイドの状態であった。発泡成形体の外観は、全面にアバタが発生し凹凸が激しい状態であり、外観は微少なシルバーの発生が確認された程度であった。
(b)成分を(b−2)に変更した以外は、実施例1と同様の配合にて熱可塑性樹脂組成物(I)の造粒をおこなった。得られた熱可塑性樹脂組成物(I)は、硬度Aが65で、MFRが74g/10minであった。
発泡射出成形条件は、表皮材の射出充填後の発泡拡張量を3.8mmとした以外は実施例1と同様とした。成形中のガスの保持状態は良好であり、得られた発泡成形品の発泡倍率は、1.72倍であった。得られた発泡成形体について、金型離型性、発泡層の気泡状態及びボイド、外観のアバタ及び性状(シルバー等の樹脂流れマークやシボ転写性)を評価した。結果を表1に示す。
(b)成分を(b−2)に変更した以外は、実施例2と同様の配合にて熱可塑性樹脂組成物(I)の造粒をおこなった。得られた熱可塑性樹脂組成物(I)は、硬度Aが63で、MFRが75g/10minであった。
発泡射出成形条件は実施例1と同様とした。成形中のガスの保持状態は良好であり、得られた発泡成形体の発泡倍率は、1.52倍であった。得られた発泡成形体について、金型離型性、発泡層の気泡状態及びボイド、外観のアバタ及び性状(シルバー等の樹脂流れマークやシボ転写性)を評価した。結果を表1に示す。
離型状態は、可動側金型から若干離れたが離型性には問題なかったが、成形外観に傷が確認された。得られた発泡成形体の気泡発泡の状態は、0.4〜2.5mmの範囲であり、発泡気泡断面の長さ100mm中に5個以上確認された。発泡成形体の外観は、全面でアバタの発生が確認された。外観に発生したシルバーは著しかった。
(b)成分を(b−3)に変更した以外は、実施例2と同様の配合にて熱可塑性樹脂組成物(I)の造粒をおこなった。得られた熱可塑性樹脂組成物(I)は、硬度Aが64で、MFRが77g/10minであった。
発泡射出成形条件は実施例1と同様とした。成形中のガスの保持状態は良好であり、得られた発泡成形体の発泡倍率は、1.56倍であった。得られた発泡成形体について、金型離型性、発泡層の気泡状態及びボイド、外観のアバタ及び性状(シルバー等の樹脂流れマークやシボ転写性)を評価した。結果を表1に示す。
離型状態は、可動側金型から若干離れたが離型性には問題なかったが、成形外観に傷が確認された。得られた発泡成形体の気泡発泡の状態は、0.4〜2.5mmの範囲で均一であったが、ボイドは確認されなかった。発泡成形体の外観は、全面でアバタの発生が確認された。外観に発生したシルバーは著しかった。
(b)成分を(b−4)に変更した以外は、実施例2と同様の配合にて熱可塑性樹脂組成物(I)の造粒をおこなった。得られた熱可塑性樹脂組成物(I)は、硬度Aが65で、MFRが69g/10minであった。
発泡射出成形条件は実施例1と同様とした。成形中のガスの保持状態は良好であり、得られた発泡成形体の発泡倍率は、1.56倍であった。得られた発泡成形体について、金型離型性、発泡層の気泡状態及びボイド、外観のアバタ及び性状(シルバー等の樹脂流れマークやシボ転写性)を評価した。結果を表1に示す。
離型状態は、可動側金型から若干離れたが離型性には問題なかった、しかし成形外観に傷が確認された。得られた発泡成形体の気泡発泡の状態は、0.4〜2.5mmの範囲で均一であったが、発泡気泡断面長さ100mm中に2〜4個確認された。発泡成形体の外観は、全面でアバタの発生が確認された。外観に発生したシルバーは著しかった。
(b)成分を(b−5)に変更した以外は、実施例2と同様の配合にて熱可塑性樹脂組成物(I)の造粒をおこなった。得られた熱可塑性樹脂組成物(I)は、硬度Aが64で、MFRが74g/10minであった。
発泡射出成形条件は実施例1と同様とした。成形中のガスの保持状態は良好であり、得られた発泡成形体の発泡倍率は、1.52倍であった。得られた発泡成形体について、金型離型性、発泡層の気泡状態及びボイド、外観のアバタ及び性状(シルバー等の樹脂流れマークやシボ転写性)を評価した。結果を表1に示す。
離型状態は、可動側金型から若干離れたが離型性には問題なかったが、成形外観に傷が確認された。得られた発泡成形体の気泡発泡の状態は、0.4〜2.5mmの範囲で均一であったが、発泡気泡断面長さ100mm中に2〜4個確認された。発泡成形体の外観は、全面でアバタの発生が確認された。外観に発生したシルバーは著しかった。
(b)成分を未添加とした以外は、実施例2と同様の配合にて熱可塑性樹脂組成物(I)の造粒をおこなった。得られた熱可塑性樹脂組成物(I)は、硬度Aが64で、MFRが78g/10minであった。
発泡射出成形条件は、発泡成形時に重炭酸ナトリウム系の化学発泡剤(日東化工社製「ファインブローS20N」)(a)成分の熱可塑性樹脂100重量部に対して5重量部をペレットに混合した以外は実施例1と同様とした。成形中のガス保持状態は良好であり、得られた発泡成形体の発泡倍率は、1.88倍であった。得られた発泡成形体について、金型離型性、発泡層の気泡状態及びボイド、外観のアバタ及び性状(シルバー等の樹脂流れマークやシボ転写性)を評価した。結果を表1に示す。
さらに、本発明の発泡成形体は、自動車内装材(インストルメントパネル、ドアパネル、シートバックパネル、ステアリングホイール等)、家電製品、家具(クッション部等)等、幅広くクッション性を必要とする部材に好適に用いられる。
Claims (9)
- (a)熱可塑性樹脂、と(b)平均粒子径が5〜100μmであって、粒径0.1μm以上、1.0μm未満の粒子の個数分率が50数量%以下であるフッ素樹脂粒子、とを含み、かつメルトフローレート(JIS K7210)が10〜200g/10minである熱可塑性樹脂組成物(I)を発泡成形させてなることを特徴とする、発泡成形体。
- 発泡成形が、発泡射出成形である、請求項1に記載の発泡成形体。
- 上記の熱可塑性樹脂組成物(I)が、更に(c)離型剤を含む、請求項1又は2に記載の発泡成形体。
- 上記のフッ素樹脂粒子(b)が、フッ素を含む重合体を粉砕することによって得られたものである、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発泡成形体。
- 上記の熱可塑性樹脂組成物(I)の硬度A(JIS K6253)が、40以上、90以下である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発泡成形体。
- 発泡成形が、物理発泡剤を用いるものである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の発泡成形体。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の発泡成形体とその他の部材とからなることを特徴とする複合成形体。
- 上記のその他の部材が硬質熱可塑性樹脂からなる、請求項7に記載の複合成形体。
- (a)熱可塑性樹脂、と(b)平均粒子径が5〜100μmであって、粒径0.1μm以上、1.0μm未満の粒子の個数分率が50数量%以下であるフッ素樹脂粒子、とを含む混合物を溶融混練し、メルトフローレート(JIS K7210)が10〜200g/10minの熱可塑性樹脂組成物(I)を得、これを成形型に充填した後、成形型の内容積を拡大して熱可塑性樹脂組成物(I)を発泡成形させることを特徴とする、発泡成形体の製造方法。
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