JP2003226775A - ポリオレフィン系樹脂発泡粒子およびその発泡成形体 - Google Patents
ポリオレフィン系樹脂発泡粒子およびその発泡成形体Info
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Abstract
屈し難く、製品表面に露出する用途に好適に使用可能で
あるEPO成形体を製造可能なポリオレフィン系樹脂発
泡粒子、および該発泡粒子を型内成形してなる発泡成形
体(EPO成形体)を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明のポリオレフィン系樹脂発泡粒子
は、ポリオレフィン系樹脂(i)20重量%〜70重量%
と、金属酸化物(ii)30重量%〜80重量%(ただし、
成分(i)と成分(ii)との合計は100重量%である。)
とを主成分とする樹脂組成物からなるポリオレフィン系
樹脂発泡粒子であり、かつ該発泡粒子の高温吸熱ピーク
熱量が1〜30J/gである。
Description
樹脂発泡粒子に関し、さらに詳しくはポリオレフィン系
樹脂と金属酸化物を含有するポリオレフィン系樹脂発泡
粒子、およびその発泡成形体に関する。
的強度、耐熱性、加工性が優れ、更にリサイクル、焼却
が容易で、低価格であることから利用分野を拡大しつつ
ある。
る発泡粒子を型内成形してなる発泡成形体(以下、EP
O成形体という。)は、無架橋ポリオレフィン系樹脂の
優れた性質を損うことなく、緩衝性、断熱性等の特性を
付加できるため、包装材料等の消費材、建築材料、断熱
材料、自動車部材等の耐久材として広く利用されてい
る。さらに該発泡粒子は軽量な材料であることに加え高
度な型内成形性を有するので、耐久性が要求される一般
雑貨素材、例えば、自転車用軽量ヘルメット、スポーツ
用緩衝パッド等の用途における拡大が予想される。
る用途については、EPO成形体より安価なポリスチレ
ン系樹脂発泡粒子からなる型内発泡成形体(以下、EP
S成形体という)の採用も予想される。しかしながら、
ポリスチレン系樹脂はポリオレフィン系樹脂に比較して
耐衝撃性、耐熱性が劣り、特に表面の耐摩耗性、耐傷つ
き性が大きく劣る。従って、EPS成形体は、耐久材と
して製品表面に露出する用途では使用が限定される。
ン系樹脂発泡粒子からなる型内発泡成形体(以下、EP
P成形体という。))は、EPS成形体に比べ、耐摩耗
性、耐傷つき性が優れ、さらに、座屈し難い特徴がある
ので、製品表面に露出する用途に使用できる可能性が高
い。もしも、製品表面に露出する用途にEPO成形体
(特にEPP成形体)が使用できると、表面材(合成皮
革、ファブリック等)を省略できるので、大幅なコスト
ダウンにつながる。
表面に露出して使用される分野においては、より高度な
耐摩耗性、耐傷つき性が要求されるので、従来のEPO
成形体では未だ不十分である。従って、耐摩耗性、耐傷
つき性を改善できれば、EPO成形体を使用できる分野
がさらに広がる。
耐傷つき性に優れ、座屈し難く、製品表面に露出する用
途に好適に使用可能であるEPO成形体を製造可能なポ
リオレフィン系樹脂発泡粒子、および該発泡粒子を型内
成形してなる発泡成形体(EPO成形体)を提供するこ
とを目的とする。
リオレフィン系樹脂(i)20重量%〜70重量%と、金
属酸化物(ii)30重量%〜80重量%(ただし、成分
(i)と成分(ii)との合計は100重量%である。)とを
主成分とする樹脂組成物からなるポリオレフィン系樹脂
発泡粒子であり、かつ該発泡粒子の高温吸熱ピーク熱量
が1〜30J/gであることを特徴とするポリオレフィ
ン系樹脂発泡粒子、(2)発泡粒子の高温吸熱ピーク熱
量が2〜20J/gであることを特徴とする前記(1)
に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子、(3)前記
(1)又は(2)に記載されたポリオレフィン系樹脂発
泡粒子を型内成形してなることを特徴とするポリオレフ
ィン系樹脂発泡成形体、を要旨とする。
泡粒子は、ポリオレフィン系樹脂(i)20重量%〜70
重量%と、金属酸化物(ii)30重量%〜80重量%(た
だし、成分(i)と成分(ii)との合計は100重量%であ
る。)とを主成分とする樹脂組成物からなる。本発明の
ポリオレフィン系樹脂発泡粒子(以下、単に発泡粒子と
いう。)は該樹脂組成物から構成されるので、高度な耐
摩耗性、耐傷つき性を有し、製品表面に露出する用途に
好適に使用可能で、しかも安価である。
量%未満の場合には良好な発泡粒子は勿論、発泡成形体
を得ることができない。一方、70重量%を超える場合
には、目的とする高度な耐摩耗性、耐傷つき性を得るこ
とができず、製品表面に露出する用途に使用することが
できない虞がある。発泡時に気泡膜が破れることがなく
良質の発泡粒子が製造でき、得られるEPO成形体の収
縮がなく寸法精度が高く、外観が良好であり、高度な耐
摩耗性、耐傷つき性を有する発泡成形体を得るために
は、ポリオレフィン系樹脂の割合は30重量%〜65重
量%が好ましく、40重量%〜60重量%がより好まし
い。
ン系樹脂とは、オレフィンの単独重合体、オレフィン同
士の共重合体、オレフィンと他のモノマー成分との共重
合体であってオレフィン成分比率が60重量%以上の共
重合体、或いはこれらの2以上の混合物をいう。
ン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリペンテンが例示さ
れ、上記共重合体としては、エチレン−プロピレンラン
ダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合
体、エチレン−ブテンブロック共重合体、エチレン−ブ
テンランダム共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メチ
ルメタクリレート共重合体、エチレン−無水マレイン酸
共重合体等のエチレン成分比率が60重量%以上のエチ
レン系共重合体、上記エチレン−メタクリル酸共重合体
の分子間を金属イオンで架橋したエチレン系アイオノマ
ー、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレ
ン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンラ
ンダム共重合体、プロピレン−ブテンブロック共重合
体、プロピレン−エチレン−ブテン三元共重合体、プロ
ピレン−アクリル酸共重合体、プロピレン−無水マレイ
ン酸共重合体等のプロピレン成分比率が60重量%以上
のプロピレン系共重合体が挙げられる。
衝性、圧縮歪回復性が良好なポリオレフィン系樹脂とし
ては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、
直鎖状超低密度ポリエチレン等のポリエチレン、プロピ
レン単独重合体、ポリブテン、プロピレン−エチレン共
重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−エ
チレン−ブテン三元共重合体が好ましく、特に、プロピ
レン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合
体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン
−エチレン−ブテン三元共重合体、直鎖状低密度ポリエ
チレンが好ましい。
を有するという点から、ポリプロピレン系樹脂が好まし
い。ポリプロピレン系樹脂とは、プロピレン単独重合
体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレ
ン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−
ブテン三元共重合体等のプロピレン成分比率が60重量
%以上のプロピレン系共重合体、或いはこれらの2以上
の混合物をいう。
放射線により架橋して用いてもよいが、後述する金属酸
化物との混合が容易であり、生産工程が簡易であり、リ
サイクルが容易な無架橋のものを用いることが好まし
い。
系樹脂としては、後述する金属酸化物との混合性を向上
させたり、金属酸化物の分散性を向上させるために、酸
変性ポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましく、酸
変性ポリマーを酸変性されていないポリオレフィン系樹
脂に混合して用いることがより好ましい。
酸、メタクリル酸、アクリル酸等の酸成分が共重合(グ
ラフト重合も含む)されたポリマーを言う。具体的に
は、上記したエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン
−メタクリル酸共重合体、エチレン−メチルメタクリレ
ート共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体等の
エチレン成分比率が60重量%以上の酸変性エチレン系
共重合体(酸変性ポリオレフィン系樹脂)、プロピレン
−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−エチレン−無
水マレイン酸共重合体、プロピレン−ブテン−無水マレ
イン酸共重合体等のプロピレン成分比率が60重量%以
上の酸変性プロピレン系共重合体(酸変性ポリオレフィ
ン系樹脂)が例示される。また、オキサゾリン変性ポリ
オレフィン系樹脂も例示される。また、酸変性ポリオレ
フィン系樹脂以外の酸変性ポリマーとしては、スチレン
−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−
イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エ
チレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレ
ン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体
等のスチレン含有熱可塑性エラストマーに無水マレイン
酸等の酸成分をグラフト重合してなる酸変性含有熱可塑
性エラストマーが挙げられる。
主成分の一は、30重量%〜80重量%の金属酸化物で
ある。該金属酸化物の割合が30重量%未満の場合に
は、目的とする高度な耐摩耗性、耐傷つき性を得ること
ができず、製品表面に露出する用途に好適に使用するこ
とができない虞がある。一方、70重量%を超える場合
には、ポリオレフィン系樹脂の量が少なすぎて良好な発
泡粒子は勿論、発泡成形体を得ることができない虞があ
る。発泡時に気泡膜が破れることがなく良好な発泡粒子
が製造でき、得られる発泡成形体の収縮がなく寸法精度
が高く、外観が良好であり、高度な耐摩耗性、耐傷つき
性を有する発泡成形体を得るには、金属酸化物の割合は
35重量%〜70重量%が好ましく、40重量%〜60
重量%がより好ましい。
は、例えば酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化
珪素、酸化鉛、酸化マグネシウム、酸化コバルト、酸化
チタンなどが挙げられる。
性に優れる発泡粒子を容易に得ることができるという点
で、酸化チタンが好ましい。該酸化チタンとしては、一
酸化チタン、二酸化チタン、三酸化チタン、五酸化チタ
ン(IV)二鉄(III)、五酸化二チタン(IV)二カリウム、四
酸化チタン(IV)四ナトリウム、四酸化チタン(IV)二鉄(I
I)、四酸化チタン(IV)バリウム、三酸化チタン(IV)カル
シウム、三酸化チタン(IV)コバルト(II)、三酸化チタン
(IV)ストロンチウム、三酸化チタン(IV)鉄(II)、三酸化
チタン(IV)鉛(II)、三酸化チタン(IV)二カリウム、三酸
化チタン(IV)二ナトリウム、三酸化チタン(IV)バリウ
ム、三酸化チタン(IV)マンガン(II)、チタン酸カリウム
ウィスカなどが包含される。また、チタン酸カリウムウ
ィスカとしては、8チタン酸カリウム、6チタン酸カリ
ウムなどが挙げられる。
性、耐傷つき性に優れる発泡粒子を得ることができ、し
かもポリオレフィン系樹脂の発泡性を阻害することが少
ないという点で、一酸化チタン、二酸化チタン、三酸化
チタン、チタン酸カリウムウィスカが特に好ましい。
属酸化物が針状の場合は長さを意味する。)は、0.0
01μm〜10μmの範囲であることが好ましく、0.
005μm〜5μmの範囲にあることがより好ましく、
0.01μm〜1μmの範囲にあるものが特に好まし
い。粒径が10μmを超える金属酸化物を使用すると発
泡時に気泡膜が破れる虞れがあり、収縮や成形加工不良
の要因となるので好ましくない。一方、粒径が0.00
1μmよりも小さい金属酸化物は微細過ぎてポリオレフ
ィン系樹脂と均一に混合を行うことが困難であったり、
部分的に凝集したり、また混合操作に長時間を要する虞
れがある。
ン系樹脂との混合性や分散性を向上させて生産性を向上
させるためや、より多くの金属酸化物を添加して耐摩耗
性、耐傷つき性を大きく向上させるために、表面処理剤
を用いて表面処理されていることが好ましい。
機珪素化合物、チタネート系またはアルミニウム系のカ
ップリング剤が挙げられる。高級脂肪酸としては、ステ
アリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸などの炭素数10
〜30の飽和高級脂肪酸、オレイン酸、エルカ酸などの
炭素数10〜30の不飽和高級脂肪酸が挙げられる。
ップリング剤とシラン系カップリング剤以外の有機珪素
化合物が挙げられる。シラン系カップリング剤として
は、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ラン等が例示され、チタネート系カップリング剤として
は、イソプロピルトリイソステアリックチタネート、テ
トラオクタジシルチタネート等が例示され、アルミニウ
ム系カップリング剤として、アセトアルコキシアルミニ
ウムジイソプロピレート等が例示される。
有機珪素化合物としては、メチルメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシランなどが例示される。
物に対して通常0.5〜5重量%である。該含有量が
0.5重量%未満の場合は、その効果が小さく所期の目
的が達成されない虞がある。一方、5重量%を超える場
合は、格別効果に変わりはなく、むしろ金属酸化物がべ
とついたりして取り扱いにくくなることがあるので好ま
しくない。これらの表面処理剤のうち、ポリオレフィン
系樹脂とのなじみがよく、発泡時の気泡の連続気泡化を
妨げる効果がある点において、高級脂肪酸がより好まし
い。
は、以上説明したようにポリオレフィン系樹脂と金属酸
化物とが主成分であり、該ポリオレフィン系樹脂と金属
酸化物とが均一に混合されていることが好ましい。かか
る観点から、本発明において用いるポリオレフィン系樹
脂又は金属酸化物の何れかが混合性を向上させるための
前記処理を施されていることが好ましい。又、本発明の
目的とする耐摩耗性、耐傷つき性を十分に発揮し得る多
量の金属酸化物を多量に添加することができるという観
点からは、ポリオレフィン系樹脂と金属酸化物の双方に
処理が施されていることがより好ましい。
成物は、前述したようにポリオレフィン系樹脂と金属酸
化物を主成分とする。ポリオレフィン系樹脂と金属酸化
物を主成分とするとは、ポリオレフィン系樹脂と金属酸
化物の総重量が、樹脂組成物中で70重量%以上である
ことを意味するが、80重量%以上であることが好まし
く、90重量%以上であることがより好ましく、95重量
%以上であることが更に好ましい。上記主成分以外の他
の副成分としては、例えば、酸化防止剤、安定剤、着色
剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等の従来公知の添
加剤や、ポリスチレン樹脂、スチレン−ブタジエン共重
合体、ポリ酢酸ビニル樹脂等のポリオレフィン系樹脂以
外のポリマー成分が例示される。ただし、これら他の副
成分が添加される場合には、本発明の目的を阻害しない
範囲内で使用される。
オレフィン系樹脂と金属酸化物とを主成分とする樹脂組
成物から構成され、その高温吸熱ピーク熱量は1〜30
J/gである。該高温ピーク熱量が1J/g未満の場合
は、発泡粒子が発泡時に或いは型内成形時に連続気泡化
するために収縮が大きく、スチームによる型内成形が不
可能になる虞がある。一方、高温ピーク熱量が30J/
gを超える場合は、発泡性が極端に悪くなり発泡粒子が
得られない虞がある。また発泡粒子が得られたとしても
型内成形時に、発泡粒子が膨張しにくくなり良好な発泡
成形体が得られない虞がある。連続気泡化することがな
く、スチーム成形が容易であるという点から、高温ピー
ク熱量は2〜20J/gが好ましく、2.5〜15J/
gがより好ましい。
程において、昇温速度の調整または発泡前の保持温度、
該保持温度における保持時間の調整を行うことにより所
望の値に調整することができる。
泡粒子の示差走査熱量計による測定(熱流束DSC法)
において現れる2つの融解ピークのうち高温側の融解ピ
ーク熱量の絶対値をいう。
う。まず、60℃、24時間乾燥した発泡粒子1〜8m
gを、示差走査熱量計を用いて10℃/分の昇温速度で
220℃まで昇温して、図1に一例を示すような、DS
C曲線を測定する。次に、図1に示すDSC曲線上の8
0℃に相当する点αと、DSC曲線上の発泡粒子の融解
終了温度(TE)に相当するDSC曲線上の点βとを結
ぶ直線(α−β)を引く。次にポリオレフィン系樹脂の
融解時の吸熱に相当する低温側吸熱ピークaと、ポリオ
レフィン系樹脂の融解時の吸熱に相当する高温側吸熱ピ
ークbとの谷部に当たるDSC曲線上の点γを通りグラ
フ縦軸に対して平行な直線を引き、前記点αと点βとを
結んだ前記直線(α−β)との交点をδとする。こよう
にして求めた点δと点βとを結ぶ直線、点γと点δとを
結ぶ直線、および点δと点βの間のDSC曲線とによっ
て囲まれる部分(斜線で示す)の面積が高温ピーク熱量
に相当する。
に規定されないが、1.2倍〜30倍が好ましい。発泡
倍率が30倍より大きい場合は、気泡膜が薄くなり過ぎ
て耐摩耗性、耐傷つき性が低下する虞がある。一方、発
泡倍率が1.2倍未満の場合には、発泡成形体に要求さ
れる軽量性が失われる虞れがある。軽量性と耐摩耗性、
耐傷つき性を兼ね備えるという点から、発泡粒子の発泡
倍率は、1.5倍〜20倍が好ましく、1.5倍〜15
倍がより好ましい。
下記(1)式により求められる。
(g/cm3)は、該樹脂組成物の重量(g)と体積
(cm3)とから算出される。具体的には、所定量の該樹
脂組成物を、JIS K 6758−1981の試験片
の作製に従って厚さ2mmのシートを作製し、このシー
トから長さ50mm×幅20mmの短冊状の試料片を切
りだし、該試料片10枚を1サンプルとして重量(g)
を測定する。次に上記の1サンプルを、200mlのメ
スシリンダーに100mlの水を収容した23℃の水に
水没させて上昇した水の目盛を読み取ってサンプルの体
積(cm3)を得、サンプルの重量(g)を体積(c
m3)で除して、樹脂組成物の密度(g/cm3)を求め
る。なお、樹脂組成物の密度は、発泡粒子を使用して、
上記の方法で試験片を作製して同様にして求めることも
できる。
群から約1000個の発泡粒子をサンプリングし、60
℃、24時間乾燥した後、温度23℃、相対湿度50%
の条件下で24時間放置した後、このサンプルの重量W
(g)を秤量し、次いでサンプルをメスシリンダー内の
23℃の水中に沈め、水位上昇分よりサンプルの真の体
積L(cm3)を求め、下記(2)式より求める。
樹脂、金属酸化物、さらに必要に応じて添加される酸化
防止剤、安定剤、着色剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防
止剤等の添加剤を押出機に供給し、加熱し溶融し混練
し、押出機先端の細孔より押出すことにより得ることが
できる。本発明においては、樹脂組成物を押出直後、ま
たはストランド状に押出して冷却した後、ペレタイザー
でペレット化し樹脂粒子とすることが、後述するよう
に、発泡粒子の製造を容易に行なうことができるので好
ましい。
樹脂、金属酸化物、添加剤等を予備混合しておくことも
できる。また、本発明の樹脂組成物は、予め混練機によ
って溶融混練したものをさらに溶融混練することもでき
る。但し、生産性、金属酸化物の分散性等を向上させる
点からポリオレフィン系樹脂、金属酸化物、さらに必要
に応じて着色剤等の添加剤を予備混合してから二軸式押
出混練機を用いてペレット化することにより、樹脂粒子
を得ることが好ましい。なお、樹脂粒子の重量は、生産
性、取り扱い等の点から1〜8mgが好ましい。
ミキサー、加圧式ニーダー、ロール式混練などのバッチ
式混練機、あるいは単軸押出機、二軸押出機などの連続
式混練押出機等が使用される。
様にして得られた樹脂粒子を、オートクレーブのような
密閉容器内に充填し発泡剤と共に分散媒中に分散させて
所定温度まで昇温し、次いで密閉容器から分散媒ととも
に大気圧下に放出する公知の方法を採用することができ
る。分散媒は、上記樹脂粒子を溶解させないものであれ
ばよく、このような分散媒としては、例えば、水、エチ
レングリコール、グリセリン、メタノール、エタノール
などが挙げられるが、通常は水が使用される。
させるに当たり、融着防止剤を分散媒中に添加すること
が好ましい。融着防止剤を添加しないと、加熱により樹
脂粒子同士が密閉容器内で相互に融着する虞がある。
且つ加熱により溶融しないものであれば有機物質、無機
物質を問わずいかなるものでも使用することができる。
但し、一般的には無機系の融着防止剤が使用される。該
無機系の融着防止剤としては、マイカ、カオリン、タル
ク、燐酸三カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、
酸化アルミニウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム等
の従来公知のものが例示される。融着防止剤は、通常分
散媒に分散させる樹脂粒子100重量部に対して0.1
重量部〜2重量部の割合で使用される。
としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイ
ン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤や、硫酸、硝
酸、塩酸などの強酸や、硫酸アルミニウム、塩化マグネ
シウム、硫酸カルシウムなどの強酸塩または強酸塩の水
和物などを分散媒に添加することが望ましい。このよう
な分散助剤は、通常樹脂粒子100重量部当たり0.0
001重量部〜0.2重量部程度が添加される。
剤としては、例えば、揮発性有機発泡剤、無機ガス発泡
剤が挙げられる。これらのうち、オゾン層の破壊の虞れ
がなく、安価な無機ガス系発泡剤が好ましい。無機ガス
系の発泡剤としては、例えば、空気、窒素、二酸化炭素
などが挙げられる。また、発泡剤として水を使用するこ
とが好ましいが、この場合水は、例えば、樹脂粒子を発
泡させる際に、樹脂粒子を分散させるための分散媒とし
て使用される水を利用すればよく、さらに積極的に水を
発泡剤として利用するためには吸水性樹脂紛体等が混合
された樹脂粒子を使用することもできる。
場合、該無機ガス系発泡剤は、密閉容器内の空間部の圧
力が0.098MPa(G)〜4.9MPa(G)とな
るように容器内に供給することが好ましく、0.294
MPa(G)〜3.92MPa(G)となるように容器
内に供給することがより好ましい。無機ガス系発泡剤は
密閉容器内、例えば、樹脂粒子を水に分散させた密閉容
器内に供給した後、撹拌しながら加熱下に保持すること
により樹脂粒子内に含浸させることができる。また、得
られる発泡粒子の密度のバラツキを防止するために、樹
脂粒子を大気圧下に放出する間、容器内温度や容器内圧
力等を放出開始時と同一の条件下に保持することが好ま
しい。
気圧下で熟成してから、後述するように型内に充填して
加熱成形されて、発泡粒子相互が融着した所望形状のポ
リオレフィン系樹脂発泡成形体(EPO成形体)に成形
される。
の表面平滑性を良好にするために発泡粒子に内圧を付与
した後、加熱して成形することが好ましい。発泡粒子に
内圧を付与する場合、型内成形時の二次発泡と発泡粒子
間の融着性を考慮し、内圧は0.05MPa(G)〜
0.3MPa(G)とすることが望ましい。
密閉容器に発泡粒子を入れ、該容器内に加圧空気を供給
した状態で適当な時間放置して発泡粒子内に加圧空気を
浸透させることが好ましい。
粒子を加熱成形することにより得られる。加熱成形の手
段としては、通常はバッチ式成形法が採用されるが、連
続式成形法を採用することもできる。
の製造は、加熱および冷却が可能な開閉し密閉できる型
内に発泡粒子を充填し、飽和水蒸気圧0.10〜0.5
9MPa(G)のスチームを供給して加熱することによ
り、型内で発泡粒子を膨張させて発泡粒子同士を相互に
融着させ、次いで、冷却後型内から取り出すことにより
行われる。
製造は、必要に応じて発泡粒子に内圧を付与した後、通
路内の上下に沿って連続的に移動するベルト間に連続的
に発泡粒子を供給し、スチーム加熱帯域を通過させて発
泡粒子を膨張させて発泡粒子同士を相互に融着させ、そ
の後冷却帯域を通過させて冷却し、得られたEPO成形
体を通路内から取り出し、適宜の長さに順次切断するこ
とにより行われる。連続式成形法としては、例えば、特
開平9−104026号、特開平9−104027号、
および特開平10―180888号などに記載の方法が
挙げられる。
1.2倍〜50倍であるが、EPO成形体の圧縮強度等
の物性、表面の平滑性等の点から、発泡倍率は1.5倍
〜35倍であることが好ましく、1.5倍〜25倍であ
ることがさらに好ましい。
体は、難燃性のものでないことが好ましい。難燃性にす
ると、コストアップにつながると共に、焼却処理が容易
に行なえない虞がある。
は、UL94(1992)発泡材料水平燃焼試験に記載
の方法において、溶融液化物が滴下し、標識綿が着火す
るEPO成形体をいう。
本発明をさらに具体的に説明する。
マレイン変性プロピレン−エチレン共重合体(樹脂1)
50重量%と、金属酸化物としての酸化チタン(Ti0
2)50重量%とを、予め混合してから二軸式押出混練
機により混練し押出してペレット化して樹脂粒子とし
た。尚、無水マレイン変性プロピレン−エチレン共重合
体(樹脂1)の融点とメルトフローレイト(MFI)を
表3に示す。また二酸化チタン(Ti02)は表面処理
が施されていないものであって、その形状と、モース硬
度を表4に示す。
な容器(オートクレーブ)に充填し、分散媒としての水
300重量部に分散させた。この際、融着防止剤として
水酸化アルミニウムを1.0重量部、分散助剤としてド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.05重量部
添加した。
拌しながら表2に示した温度(発泡温度と表記)よりも
5℃手前の温度まで加熱し、その直後にその温度を維持
しつつ上記オートクレーブ内に加圧空気(発泡剤)を導
入して15分間保持した。続いて表2に示した発泡温度
まで加熱し、その温度で15分間保持した。このときの
オートクレーブ内圧力を発泡圧力として表2に示した。
続いて、オートクレーブ内容物の温度を発泡温度に維持
しつつ、オートクレーブ内に加圧空気を導入することに
よりオートクレーブ内圧力を表2に示す発泡圧力に維持
しつつオートクレーブ内容物を大気中に放出して発泡粒
子を得た。得られた発泡粒子の発泡倍率、高温ピーク熱
量を表2に示す。
泡粒子内圧と表記)を付与してから、成形用の型内に充
填し、表2に示す圧力(スチーム圧と表記)のスチーム
を型内に導入することにより加熱し、冷却して発泡成形
体を得た。得られた発泡成形体を60℃、大気圧下の養
生室で24時間放置した後、23℃大気圧下の部屋に移
し、それから48時間後に発泡成形体の発泡倍率、外
観、耐摩耗性を評価した。その結果を表2に示す。
た。 ○………表面に凹凸、収縮による皺が殆どない。 △………部分的に表面に凹凸、収縮による皺がある。 ×………表面全体に凹凸、収縮による皺がある。
0の布やすりを直径12mmの底面を持つ円柱治具下部
全面に取り付け、発泡成形体表面を50g/cm2の面圧で
5往復(10回)摩擦を行なってから、成形品の表面状態
を目視で評価した。 ○…目立った変化なし。 △…摩耗により、表面のツヤがなくなる。 ×…摩耗による傷が見られる。
1)と、二酸化チタン(Ti02)とを表1に示すよう
に配合したこと以外は実施例1と同様に、樹脂粒子を得
た。
以外は、実施例1と同様にして発泡粒子を得た。得られ
た発泡粒子の発泡倍率、高温ピーク熱量を表2に示す。
の通り変更した以外は、実施例1と同様にして発泡成形
体を得た。得られた発泡成形体の発泡倍率、外観、耐摩
耗性を表2に示す。
1)と、二酸化チタン(Ti02)とを表1に示すよう
に配合したこと以外は実施例1と同様に、樹脂粒子を得
た。
以外は、実施例1と同様にして発泡粒子を得た。得られ
た発泡粒子の発泡倍率、高温ピーク熱量を表2に示す。
は、連泡化しており、型内で成形することができなかっ
た。
しなかったため発泡粒子を得ることができなかった。
重合体(樹脂2)のみを用いたこと以外は、実施例1と
同様に樹脂粒子を得た。 尚、エチレン−プロピレン共
重合体(樹脂2)の融点とメルトフローレイト(MF
I)を表3に示す。
以外は、実施例1と同様にして発泡粒子を得た。得られ
た発泡粒子の発泡倍率、高温ピーク熱量を表2に示す。
の通り変更した以外は、実施例1と同様にして発泡成形
体を得た。得られた発泡成形体の発泡倍率、外観、耐摩
耗性を表2に示す。比較例4では金属酸化物を添加しな
かったので、得られた発泡成形体は耐摩耗性に劣るもの
であった。
性プロピレン−エチレン共重合体(樹脂1)と、水酸化
マグネシウム(Mg(OH)2)とを表1に示すように
配合したこと以外は実施例1と同様に、樹脂粒子を得
た。尚、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)の形
状、モース硬度を表4に示す。
以外は、実施例1と同様にして発泡粒子を得た。得られ
た発泡粒子の発泡倍率、高温ピーク熱量を表2に示す。
の通り変更した以外は、実施例1と同様にして発泡成形
体を得た。得られた発泡成形体の発泡倍率、耐摩耗性を
表2に示す。比較例5と比較例6では、金属酸化物では
なく、金属水酸化物を添加した樹脂組成物から得られた
発泡成形体であるため、耐摩耗性に劣るものであった。
は、ポリオレフィン系樹脂と金属酸化物が特定範囲内に
配合された樹脂組成物を主成分とするので、この発泡粒
子を型内成形してなる発泡成形体は、高度な耐摩耗性、
耐傷つき性を有する。
子は、その高温吸熱ピーク熱量が1〜30J/gなの
で、スチームによる型内成形が容易である。
は、前記の通り、高度な耐摩耗性、耐傷つき性を有する
ので、製品表面に露出する用途に好適に使用可能であ
る。具体的には、自転車用軽量ヘルメット、スポーツ用
緩衝パッド等の用途において使用されることが期待され
る。
されるDSC曲線を示す。
ーク。bは、基材樹脂の融解時の吸熱に相当する高温側
吸熱ピーク。αは、DSC曲線上の80℃に相当する
点。βは、DSC曲線上の発泡粒子の融解終了温度に相
当する点。γは、DSC曲線上の固有吸熱ピークと固有
吸熱ピークの谷部。
Claims (3)
- 【請求項1】ポリオレフィン系樹脂(i)20重量%〜7
0重量%と、金属酸化物(ii)30重量%〜80重量%
(ただし、成分(i)と成分(ii)との合計は100重量%
である。)とを主成分とする樹脂組成物からなるポリオ
レフィン系樹脂発泡粒子であり、かつ該発泡粒子の高温
吸熱ピーク熱量が1〜30J/gであることを特徴とす
るポリオレフィン系樹脂発泡粒子。 - 【請求項2】発泡粒子の高温吸熱ピーク熱量が2〜20
J/gであることを特徴とする請求項1に記載のポリオ
レフィン系樹脂発泡粒子。 - 【請求項3】請求項1又は2に記載されたポリオレフィ
ン系樹脂発泡粒子を型内成形してなることを特徴とする
ポリオレフィン系樹脂発泡成形体。
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