JP3133692B2 - ポリオレフィン系樹脂組成物及びこれを用いてなる成形体 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂組成物及びこれを用いてなる成形体

Info

Publication number
JP3133692B2
JP3133692B2 JP09041181A JP4118197A JP3133692B2 JP 3133692 B2 JP3133692 B2 JP 3133692B2 JP 09041181 A JP09041181 A JP 09041181A JP 4118197 A JP4118197 A JP 4118197A JP 3133692 B2 JP3133692 B2 JP 3133692B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
weight
resin composition
molded article
polyolefin
melting point
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP09041181A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH10237235A (ja
Inventor
吉晃 熊本
著 野々村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP09041181A priority Critical patent/JP3133692B2/ja
Publication of JPH10237235A publication Critical patent/JPH10237235A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3133692B2 publication Critical patent/JP3133692B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン系
樹脂組成物及びこれを用いてなる成形体、詳しくは、フ
レーム処理を必要とせずとも塵埃等の付着が全くない、
帯電防止性能に非常に優れ、更にはポリオレフィン系樹
脂の基本性能を損なうことなく、マット調から光沢調ま
での外観の付与が可能で且つ耐傷つき性、すべり性に優
れた成形体を成形し得るポリオレフィン系樹脂組成物及
びこれを用いてなる成形体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂は、その有す
る優れた性能のため、各種中空成形品等の成形体をはじ
め、幅広い用途に利用されている。かかるポリオレフィ
ン系樹脂を利用した成形体は、柔軟性や剛性、硬度等に
優れたものである。しかし、このような成形体は、帯電
性を有しており空気中の塵埃等が付着して汚れやすく、
塵埃等で汚れた成形体は実用性に欠けるため、帯電防止
性能が必要とされる。
【0003】このようなポリオレフィン系樹脂を利用し
た成形体の帯電防止性を改善するために、種々の提案が
なされている。例えば、特開昭56−50942号公報
では、ポリプロピレン、無機充填剤及び帯電防止剤を混
合した樹脂組成物が提案され、また、特開昭58−11
8838号公報では、ポリオレフィン樹脂及びポリエー
テルエステルアミドから構成される樹脂組成物が提案さ
れ、また、特開昭60−58444号公報では、ポリオ
レフィン系重合体、アルキルアミン及び/又はアルキル
アミド並びにグリセリンモノエステルからなる樹脂組成
物が提案され、また、特開平4−198339号公報で
は、密度が0.918〜0.922g/cm3 、メルト
インデックス(以下、「MI」ともいう)が1〜20g
/10分の直鎖状ポリエチレンと、密度が0.914〜
0.919g/cm3 、MIが3〜15g/10分の直
鎖状ポリエチレンとの混合物に、帯電防止剤を混合した
樹脂組成物が提案され、更に、特開平4−270759
号公報には、ポリアミド樹脂、変性ポリオレフィン、ポ
リプロピレン樹脂からなる混合物に、帯電防止剤である
陰イオン系及び非イオン系界面活性剤を混合した樹脂組
成物が提案されている。一方、特開平3−247637
号公報では、ポリオレフィンに、非イオン系の帯電防止
剤である特定のポリエーテルエステルアミドを混合した
樹脂組成物を吹込成形してしてなるポリオレフィンブロ
ー中空成形品が提案されており、このような中空成形品
は、帯電防止性の優れた成形体であることが知られてい
る。
【0004】一般に、成形体の表面に付着する塵埃など
の汚れを防止させるためには、帯電防止剤を混合した樹
脂組成物からなる成形体の表面にフレーム(火炎)処理
が施される。かかるフレーム処理を施すことによって、
表面極性基を形成させ、樹脂中の帯電防止剤を拡散、ブ
リードアウトの促進を行い、成形体の帯電防止性能を向
上させている。
【0005】しかしながら、上述の帯電防止性能を向上
させる方法では、火炎を使用するため、(1)安全性に
欠ける、(2)設備が複雑で、生産性が悪いため、コス
トアップにつながる、(3)成形体の処理面のばらつき
により、効果が不均一である、(4)ラベル付きボトル
として成形した場合には、ラベルダメージが起きやす
い、等の問題点があった。
【0006】従って、本発明の目的は、フレーム処理を
必要とせずとも塵埃等の付着が全くない、帯電防止性能
に非常に優れ、更にはポリオレフィン樹脂の基本性能を
損なうことなく、マット調から光沢調までの外観の付与
が可能で且つ耐傷つき性、すべり性に優れた成形体を成
形し得るポレオレフィン系樹脂組成物及びこれを用いて
なる成形体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意研究
を重ねた結果、特定の高密度ポリエチレンと特定の低密
度ポリエチレンとを特定の混合割合で混合し、この混合
物に特定の帯電防止剤を配合することにより、上記目的
を達成し得ることの知見をした。
【0008】本発明は、上記知見に基づきなされたもの
で、下記(A)成分10〜90重量%及び下記(B)成
分90〜10重量%からなる混合物100重量部に、
(C)非イオン系帯電防止剤0.01〜5重量部が配合
されていることを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成
物を提供するものである。 (A)融点が120〜140℃の高密度ポリエチレン。 (B)融点が95〜120℃の高圧法低密度ポリエチレ
ン。
【0009】また、本発明は、下記(A)成分10〜9
0重量%及び下記(B)成分90〜10重量%からなる
混合物100重量部に、(C)非イオン系帯電防止剤
0.01〜5重量部が配合されているポリオレフィン系
樹脂組成物を、押し出し成形して得られることを特徴と
する成形体を提供するものである。(A)融点が120〜140℃の高密度ポリエチレン。 (B)融点が95〜120℃の低密度ポリエチレン。
【0010】また、本発明は、少なくとも二層の樹脂層
が積層された構造の多層成形体において、該樹脂層の最
外層が、上記ポリオレフィン系樹脂組成物から成形さ
れ、該最外層の厚みが全体の層の厚みの2%以上である
ことを特徴とする多層成形体を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、先ず本発明のポリオレフィ
ン系樹脂組成物について詳細に説明する。本発明のポリ
オレフィン系樹脂組成物は、下記(A)成分10〜90
重量%及び下記(B)成分90〜10重量%からなる混
合物100重量部に、(C)非イオン系帯電防止剤0.
01〜5重量部が配合されているものである。 (A)融点が120〜140℃の高密度ポリエチレン
(以下、「(A)HDPE」ともいう)。 (B)融点が95〜120℃の高圧法低密度ポリエチレ
ン(以下、「(B)LDPE」ともいう)。
【0012】本発明に用いられる混合物は、本発明の樹
脂組成物における樹脂成分であり、上述のように、
(A)HDPE10〜90重量%及び(B)LDPE9
0〜10重量%からなるものである。ここで、これらの
混合割合が上記の範囲から外れる場合、即ち、上記
(A)HDPEが10重量%未満〔上記(B)LDPE
が90重量%超〕のときは、帯電防止性に優れ、高光沢
調の成形体が得られる反面、摩擦力が高いため、成形体
表面に傷がつきやすくなり、上記(A)HDPEが90
重量%超〔上記(B)LDPEが10重量%未満〕のと
きは、マット調の成形体が得られ、摩擦力が低く、傷が
つきにくい成形体が得られる反面、帯電防止性に劣る成
形体となる。
【0013】また、上記混合物は、得ようとする成形体
の用途に応じて、その混合割合を上記の範囲内で適宜調
節することができる。即ち、上記混合物として、上記
(A)HDPE50〜90重量%及び上記(B)LDP
E50〜10重量%からなるもの、特に上記(A)HD
PE70〜90重量%及び上記(B)LDPE30〜1
0重量%からなるものを用いた場合には、広く種々のマ
ット調の成形体を成形することができるため好ましい。
【0014】また、上記混合物として、上記(A)HD
PE10〜50重量%及び上記(B)LDPE90〜5
0重量%からなるもの、特に上記(A)HDPE10〜
30重量%及び上記(B)LDPE90〜70重量%か
らなるものを用いた場合には、特に高級感等の外観が必
要とされる光沢調の成形体を成形することができるため
好ましい。
【0015】上記(A)HDPEは、その融点が120
〜140℃である。該融点が120℃に満たないと、流
動性が良すぎるため、ドローダウンが激しく、成形が困
難となり、140℃を超えると、波うちやシャークスキ
ン現象が生じ、外観的に劣る成形体となる。尚、上記
(A)HDPEの融点を上記範囲内とするためには、そ
の製造工程において、重合触媒の種類や量、温度や圧力
等の重合条件をコントロールすればよい。また、該
(A)HDPEの融点は、JIS K 7121に準拠
し、示差走査熱量測定(DSC)によって測定された値
である。また、該(A)HDPEの融点は、融解ピーク
の頂点の温度とする。
【0016】また、上記(A)HDPEは、その分子構
造が直鎖状のものや、1−ブテン、1−ヘキセン、1−
オクテン、1−デセン等のα−オレフィンを共重合した
短鎖分岐を有するものを包含する。
【0017】また、上記(A)HDPEは、その密度が
0.940〜0.970g/cm3であることが好まし
い。該密度が0.940g/cm3 に満たないと、樹脂
が軟質になり、成形体が傷つきやすくなり、また、マッ
ト調の外観も得難く、一方、0.970g/cm3 を超
えると、成形体の耐傷つき性は良くなり、マット調が得
やすくなる反面、光沢調に劣る成形体となることがあ
る。特に、該(A)HDPEの密度は、マット調の成形
体を成形する場合には、0.950〜0.970g/c
3 であることが更に好ましく、光沢調の成形体を成形
する場合には、0.940〜0.950g/cm3 であ
ることが更に好ましい。
【0018】また、上記(A)HDPEは、成形性と外
観性の点から、そのメルトインデックス(MI)が、
0.01〜20g/10分であることが好ましく、特
に、マット調の成形体を成形する場合には、0.01〜
1.0g/10分であることが更に好ましく、光沢調の
成形体を成形する場合には、1.0〜20g/10分で
あることが更に好ましい。尚、該メルトインデックス
は、JIS K 6760に準拠して測定された値であ
る(以下、同じ)。
【0019】更に、上記(A)HDPEは、成形性の点
から、その重量平均分子量分布(Mw/Mn)が、4〜
15であることが好ましい。
【0020】上記(B)LDPEは、その融点が95〜
120℃である。該融点が95℃に満たないと、流動性
が良すぎるため、ドローダウンが激しく、成形が困難と
なり、120℃を超えると、帯電防止性能の発現効果に
劣る成形体となる。尚、上記(B)LDPEの融点を上
記範囲内とするためには、前記(A)HDPEの融点を
前記範囲内とする方法と同様の方法を行えばよい。ま
た、該(B)LDPEの融点は、前記(A)HDPEの
融点と同様の方法で測定された値である。また、該
(B)LDPEの融点は、融解ピークの頂点の温度とす
る。
【0021】また、上記(B)LDPEは、その密度が
0.905〜0.935g/cm3であることが好まし
く、0.910〜0.930g/cm3 であることが更
に好ましい。該密度が0.905g/cm3 に満たない
と、マット調に劣り、傷がつきやすく、また、0.93
5g/cm3 を超えると、光沢調に劣る成形体となるこ
とがある。特に、該(B)LDPEの密度は、マット調
の成形体を成形する場合には、0.920〜0.935
g/cm3 であることが更に好ましく、光沢調の成形体
を成形する場合には、0.905〜0.920g/cm
3 であることが更に好ましい。
【0022】また、上記(B)LDPEは、成形性と外
観性の点から、そのMIが、0.1〜50g/10分で
あることが好ましく、特に、マット調の成形体を成形す
る場合には、0.1〜1.0g/10分であることが更
に好ましく、光沢調の成形体を成形する場合には、1.
0〜50g/10分であることが更に好ましい。
【0023】また、上記(B)LDPEは、成形性の点
から、その重量平均分子量分布(Mw/Mn)が、4〜
15であることが好ましい。
【0024】上記(B)LDPEとしては、その製造法
に特に制限されないが、帯電防止性能の効果発現性の点
から、通常の高圧法によって製造される高圧法LDPE
を用いることが好ましい。
【0025】本発明に用いられる上記(C)非イオン系
帯電防止剤としては、例えば、アルキルジエタノールア
ミド、アルキルジエタノールアミン、グリセリン脂肪酸
エステル及びこれらの二種以上の混合物等が挙げられ
る。更には、成形体の帯電防止性能の向上や経時安定性
の向上を目的として、上記(C)非イオン系帯電防止剤
として、上記の例示した化合物に、ブリードアウト促進
剤や凝集抑止剤等の他の化合物を添加したものも用いる
ことができる。該他の化合物としては、例えば、炭素原
子数12〜18の高級アルコールやシリカ、タルク等の
無機物粉末が挙げられる。該他の化合物は、上記(C)
成分100重量部中に、1〜55重量部添加されること
が好ましく、1〜35重量部添加されることが更に好ま
しい。尚、該他の化合物は一種又は二種以上の組み合わ
せであっても良い。
【0026】上記(C)非イオン系帯電防止剤の配合量
は、前記(A)HDPE及び(B)LDPEからなる混
合物100重量部に対して、0.01〜5重量部であ
る。該配合量が0.01重量部に満たないと、帯電防止
性能に劣り、汚れが付着しやすい成形体となり、5重量
部を超えると、ブリードアウトが激しくなるため、成形
体表面の白化現象を引き起こしたり、印刷やラベル貼り
の工程で、インキの密着不良やラベルのはがれ等の問題
を引き起こす。また、該配合量は、0.05〜2.0重
量部であることが好ましく、0.1〜1.0重量部であ
ることが更に好ましい。
【0027】また、本発明のポリオレフィン系樹脂組成
物には、前記必須成分〔(A)HDPE、(B)LDP
E及び(C)非イオン系帯電防止剤〕以外に、必要に応
じて、無機充填物、酸化防止剤、紫外線防止剤、熱安定
剤、光安定剤、滑剤、顔料、離型剤等の通常樹脂組成物
に用いられる添加剤を添加することができる。該添加剤
は、上記混合物100重量部に対して、0.01〜10
重量部添加されることが好ましく、0.1〜1.0重量
部添加されることが更に好ましい。
【0028】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の好
ましい配合組成は、前記(A)HDPE及び前記(B)
LDPEからなる混合物100重量部、並びに前記
(C)非イオン系帯電防止剤0.01〜5重量部(好ま
しくは0.05〜2.0重量部)からなる配合組成であ
る。
【0029】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、
前記(A)HDPEと前記(B)LDPEとを、ヘンシ
ェルミキサー、ドラムタンブラ、V型ブレンダー等の一
般に用いられるブレンダーにより均一に混合して混合物
を得、該混合物に、前記(C)非イオン系帯電防止剤及
び必要に応じその他の添加剤を配合し、上記ブレンダー
により更に均一に混合することにより得られる。
【0030】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、
成形して成形体とする際の成形方法に特に制限されない
が、例えば、押し出し成形(押し出しブロー成形等)、
射出成形(射出ブロー成形等)、金型内成形、真空成形
等により得られ、中でも、樹脂の流れ性の点で、押し出
し成形して得られるものが好ましい。
【0031】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を成
形して得られる成形体は、その表面の帯電性が著しく減
少した、帯電防止性を有するものであり、フレーム処理
を必要とせずとも塵埃等の付着が全くなく、更にはポリ
オレフィン系樹脂の基本性能損なわず、マット調から光
沢調までの外観を付与することが可能で且つ耐傷つき
性、すべり性に優れたものである。
【0032】次に、本発明の成形体について詳細に説明
する。本発明の成形体は、上述した本発明のポリオレフ
ィン系樹脂組成物を、押し出し成形して得られるもので
ある。
【0033】上記ポリオレフィン系樹脂組成物を押し出
し成形する際には、例えば、加熱混合機及び一軸又は二
軸スクリュー押し出し機等の押し出し機を使用し、該樹
脂組成物の温度を180〜230℃とし、射出圧力を1
0〜500kg/cm2 とし、押し出し機の流速を1〜
300kg/hとし、トータルサイクルを5〜30秒と
することが好ましい。
【0034】本発明の成形体は、上記ポリオレフィン系
樹脂組成物単独からなる成形体であってもよく、また上
記ポリオレフィン系樹脂組成物からなる層と他の樹脂組
成物からなる層とが積層された多層成形体であってもよ
い。この場合、帯電防止効果を発揮する点で、上記ポリ
オレフィン系樹脂組成物からなる層を最外層とした構造
で用いられる。
【0035】本発明の成形体は、上述した本発明のポリ
オレフィン系組成物から構成されるため、塵埃等の付着
が全くない、帯電防止性能に非常に優れ、ポリオレフィ
ン樹脂の基本性能を損なうことなく、マット調から光沢
調までの外観を付与することが可能で且つ耐傷つき性、
すべり性に優れたものである。従って、本発明の成形体
は、チューブ、フィルム、シート、ラベルや、化粧品、
シャンプー、リンス、食料品、医薬品、及び洗剤等を収
容する容器等、マット調の成形体から高級感等の外観が
必要とされる光沢調の成形体まで幅広い用途に好適に用
いられる。
【0036】次に、本発明の多層成形体について詳細に
説明する。本発明の多層成形体は、少なくとも二層の樹
脂層が積層された構造の多層成形体において、該樹脂層
の最外層が、上述した本発明のポリオレフィン系樹脂組
成物から成形され、該最外層の厚みが全体の層の厚みの
2%以上であるものである。
【0037】ここで、上記最外層の厚みが2%に満たな
いと、得られる多層成形体の帯電防止効果が得られな
い。また、上記最外層の厚みは、マット調及び光沢調の
何れに成形する場合にも、2〜10%であることが好ま
しい。
【0038】また、本発明の多層成形体においては、樹
脂層の数及び上記最外層以外の層を構成する樹脂の種類
に特に制限はなく、該多層成形体に要求される性能やそ
の用途等に応じて種々の樹脂を選択して用いることがで
きる。例えば、本発明の多層成形体を化粧品、シャンプ
ーやリンスの収容用容器として用いる場合には、樹脂層
を二重構造とし、内層を高密度ポリエチレンから構成
し、外層を上記ポリオレフィン系樹脂組成物から構成す
ることができる。
【0039】本発明の多層成形体を上記収容用容器とし
て用いる場合に、該収容用容器は、従来公知の中空成形
法を用いて製造することができる。即ち、多層構造のパ
リソンの成形が可能なダイから多層溶融パリソンを押し
出し、該パリソンを所定形状の割型で挟み、続いて所定
圧力の圧縮空気を該パリソン内に吹き込むことによっ
て、本発明の多層成形体としての収容用容器を製造する
ことができる。
【0040】また、本発明の多層成形体は、必要に応じ
て着色することができ、例えば、上記収容用容器として
用いる場合には、内層を着色し、外層を透明にして用い
られる。
【0041】本発明の多層成形体は、上述した本発明の
ポリオレフィン系組成物から構成される最外層を全体の
層の2%以上の厚みで有するため、塵埃等の付着が全く
ない、帯電防止性能に非常に優れ、ポリオレフィン樹脂
の基本性能を損なうことなく、マット調から光沢調まで
の外観を付与することが可能で且つ耐傷つき性、すべり
性に優れたものである。従って、本発明の多層成形体
は、チューブ、フィルム、シート、ラベルや、化粧品、
シャンプー、リンス、食料品、医薬品、及び洗剤等を収
容する容器等、マット調の成形体から高級感等の外観が
必要とされる光沢調の成形体まで幅広い用途に好適に用
いられる。
【0042】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明のポリ
オレフィン系樹脂組成物及びその成形品の有効性を例示
する。しかし本発明の範囲は、かかる実施例に制限され
るものではない。
【0043】〔実施例1〜8及び比較例1〜3〕(A)
HDPEとして下記A−1、並びに(B)LDPEとし
て下記B−1、B−2、B−3及びB−4を、それぞれ
下記表1に示す重量比で混合した後、得られた混合物1
00重量部に対して、(C)帯電防止剤として下記C−
1及びC−2を、それぞれ下記表1に示す配合量で配合
してポリエチレン系樹脂組成物を得た。得られたポリエ
チレン系樹脂組成物を外層用樹脂組成物として用いた。
また、MI0.3g/10分、密度0.948g/cm
3 、融点130℃のHDPE〔日本ポリオレフィン
(株)製、ジェイレックス5503D〕を内層用樹脂と
して用いた。該外層用樹脂組成物及び該内層用樹脂を用
い、下記成形方法に従い二層構造のボトルを成形した。
【0044】<ポリエチレン系樹脂組成物> ・A−1:MI0.3g/10分、密度0.948g/
cm3 、融点130℃のHDPE〔日本ポリオレフィン
(株)製、ジェイレックス5503D〕(上記内層用樹
脂と同じ) ・B−1:MI7.5g/10分、密度0.920g/
cm3 、融点109℃のLDPE〔三井石油化学(株)
製、ミラソン403P〕 ・B−2:MI10g/10分、密度0.928g/c
3 、融点107℃、119℃の直鎖状LDPE〔三井
石油化学(株)製、25100J〕 ・B−3:MI10g/10分、密度0.918g/c
3 、融点104℃のLDPE〔三井石油化学(株)
製、ミラソン10P〕 ・B−4:MI4.5g/10分、密度0.935g/
cm3 、融点124℃の直 鎖状LDPE〔三
井石油化学(株)製、3550R〕 ・C−1:アルキルジエタノールアミド50重量%及び
グリセリン脂肪酸エステル50重量%〔花王(株)製、
HS12〕 ・C−2:アルキルジエタノールアミン45.4重量
%、高級アルコール45.4重量%及びシリカ9.2重
量%〔花王(株)製、TS2〕 尚、(A)HDPE及び(B)LDPEの融点は、JI
S K 7121に準拠し、示差走査熱量測定(DS
C)により求めた。
【0045】
【表1】
【0046】<成形方法>上記外層用樹脂組成物及び上
記内層用樹脂をそれぞれ外層用押出機及び内層用押出機
に供給して、ダイから溶融パリソンを押し出した。該パ
リソンを割型で挟み込み、続いて該パリソン内に吹き込
み圧力6.0kg/cm2 の圧縮空気を吹き込んで中空
容器を成形した。成形条件は、樹脂温度190℃、金型
温度20℃、冷却時間6秒であった。その結果、厚み比
率:内層/外層=95/5、内容積550cc、重量約
40gのボトルを得た。
【0047】〔性能評価〕実施例及び比較例で得られた
ボトルについて、下記の方法により帯電防止性の尺度で
ある表面固有抵抗値及びダートチャンバー、光沢度、並
びに摩擦力を測定・評価した。その結果を表2に示す。
【0048】<表面固有抵抗値>得られたボトルを温度
23℃・相対湿度50%RHの環境可変室に静置して2
4時間コンディショニングを行った後、該ボトル表面を
(株)ダイアインスツルメンツのメガレスタ、プローブ
(HRSS)の表面固有抵抗測定装置を用いて測定し
た。
【0049】<ダートチャンバー>得られたボトルを温
度23℃・相対湿度50%RHの環境可変室に静置して
24時間コンディショニングを行った後、ダートチャン
バー試験機の中に入れた。濾紙にトルエンを浸み込ま
せ、これを燃焼室に入れて点火し、ファンを回転させて
該ボトルに汚れを付着させた。5分間放置してから該ボ
トルを取り出して汚れ状況を観察した。汚れ状況を観察
した結果、汚れが全く付着していないものを○、使用可
能であるが汚れが全く付着していないものと比較すれば
僅かに劣るものを△、使用不可能なものを×として評価
した。
【0050】<光沢度>ASTM D 523に準拠
し、ボトルの表面をグロスメーター〔(株)村上色彩技
術研究所製、GXM−101型〕にて、入射角60°に
おいて評価した。
【0051】<摩擦力>得られたボトルを温度23℃・
相対湿度50%RHの環境可変室に静置して24時間コ
ンディショニングを行った後、該ボトルから20mm×
100mmの試験片を採取し、HEIDON社の表面性
測定器HEIDON14型を用いてボール圧子による摩
擦力(動摩擦抵抗力)を測定した。測定条件は、速度1
0mm/秒、荷重50g、ボール圧子は直径6mmのス
テンレス玉であった。
【0052】
【表2】
【0053】表2に示す結果から明らかなように、実施
例1〜6のボトルは、表面固有抵抗値が1012Ω以下で
あり、ダートチャンバー評価も優れ、帯電防止性が高い
ものであった。また、摩擦力も小さく、傷つき性の少な
いものであった。また、実施例7のボトルも、表面固有
抵抗値が1011Ω以下であり、ダートチャンバー評価も
優れ、帯電防止性が高いものであった。また、摩擦力は
少し生じるが、光沢度が高いものであった。更に、実施
例8のボトルも、表面固有抵抗値が1011Ω以下であ
り、ダートチャンバー評価も優れ、帯電防止性が高いも
のであった。また、摩擦力はやや大きいものの、光沢度
が特に高く、特に高級感等の外観が必要とされる場合に
有用である。
【0054】これに対して、比較例1のボトルは、実施
例5における(B)LDPEをB−2(融点107℃、
119℃)からB−4(融点124℃)に置き換えたも
のであり、実施例5のボトルと比べると表面固有抵抗値
が1013以上と高く、ダートチャンバー評価に劣り、帯
電防止性が低く、使用に耐えられるものではなかった。
比較例2のボトルは、上記(B)LDPEを全く使用し
ない樹脂組成物から成形されたものであるため、摩擦力
は小さく、傷つき性が少ないものの、表面固有抵抗値及
びダートチャンバー評価に劣り、汚れが付着しやすく、
使用不可能なものであった。比較例3のボトルは、上記
(A)HDPEを全く使用しない樹脂組成物から成形さ
れたものであるため、表面固有抵抗値が1012Ω以下で
あり、ダートチャンバー評価も優れ、帯電防止性は高
く、また光沢度も高いものの、摩擦力が大きく、傷つき
性が大きいものであった。
【0055】
【発明の効果】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物
は、フレーム処理を必要とせずとも塵埃等の付着が全く
ない、帯電防止性能に非常に優れ、更にはポリオレフィ
ン樹脂の基本性能を損なうことなく、マット調から光沢
調までの外観の付与が可能で且つ耐傷つき性、すべり性
に優れた成形体を成形し得るものである。また、本発明
の成形体及び本発明の多層成形体は、何れも塵埃等の付
着が全くない、帯電防止性能に非常に優れ、ポリオレフ
ィン樹脂の基本性能を損なうことなく、マット調から光
沢調までの外観を付与することができ且つ耐傷つき性、
すべり性に優れたものである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−328639(JP,A) 特開 昭61−157558(JP,A) 特開 昭61−60775(JP,A) 特開 平5−169601(JP,A) 特開 平8−41254(JP,A) 特開 昭64−43546(JP,A) 特開 平3−39332(JP,A) 特開 平2−67345(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/00 - 23/36 C08K 5/00 - 5/59 B29C 47/06 B32B 27/32

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)成分10〜90重量%及び下
    記(B)成分90〜10重量%からなる混合物100重
    量部に、(C)非イオン系帯電防止剤0.01〜5重量
    部が配合されていることを特徴とするポリオレフィン系
    樹脂組成物。 (A)融点が120〜140℃の高密度ポリエチレン。 (B)融点が95〜120℃の高圧法低密度ポリエチレ
    ン。
  2. 【請求項2】 上記混合物が、上記(A)成分50〜9
    0重量%及び上記(B)成分50〜10重量%からなる
    ことを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン系樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 上記混合物が、上記(A)成分10〜5
    0重量%及び上記(B)成分90〜50重量%からなる
    ことを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン系樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】 下記(A)成分10〜90重量%及び下
    記(B)成分90〜10重量%からなる混合物100重
    量部に、(C)非イオン系帯電防止剤0.01〜5重量
    部が配合されているポリオレフィン系樹脂組成物を、押
    し出し成形して得られることを特徴とする成形体。(A)融点が120〜140℃の高密度ポリエチレン。 (B)融点が95〜120℃の低密度ポリエチレン。
  5. 【請求項5】 少なくとも二層の樹脂層が積層された構
    造の多層成形体において、該樹脂層の最外層が、請求項
    1〜の何れかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物か
    ら成形され、該最外層の厚みが全体の層の厚みの2%以
    上であることを特徴とする多層成形体。
JP09041181A 1997-02-25 1997-02-25 ポリオレフィン系樹脂組成物及びこれを用いてなる成形体 Expired - Fee Related JP3133692B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09041181A JP3133692B2 (ja) 1997-02-25 1997-02-25 ポリオレフィン系樹脂組成物及びこれを用いてなる成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP09041181A JP3133692B2 (ja) 1997-02-25 1997-02-25 ポリオレフィン系樹脂組成物及びこれを用いてなる成形体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10237235A JPH10237235A (ja) 1998-09-08
JP3133692B2 true JP3133692B2 (ja) 2001-02-13

Family

ID=12601264

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP09041181A Expired - Fee Related JP3133692B2 (ja) 1997-02-25 1997-02-25 ポリオレフィン系樹脂組成物及びこれを用いてなる成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3133692B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1425344B1 (en) 2001-08-31 2005-01-26 Dow Global Technologies Inc. Multimodal polyethylene material
US7891898B2 (en) 2005-01-28 2011-02-22 S.C. Johnson & Son, Inc. Cleaning pad for wet, damp or dry cleaning
US7740412B2 (en) 2005-01-28 2010-06-22 S.C. Johnson & Son, Inc. Method of cleaning using a device with a liquid reservoir and replaceable non-woven pad
US7976235B2 (en) 2005-01-28 2011-07-12 S.C. Johnson & Son, Inc. Cleaning kit including duster and spray
US8893347B2 (en) 2007-02-06 2014-11-25 S.C. Johnson & Son, Inc. Cleaning or dusting pad with attachment member holder
JP5365087B2 (ja) * 2008-08-04 2013-12-11 東ソー株式会社 ラミネートフィルム
JP5925632B2 (ja) * 2012-08-02 2016-05-25 株式会社クレハ 植物由来のポリエチレンを含有する樹脂積層体及び樹脂製多層容器
JP5925633B2 (ja) * 2012-08-02 2016-05-25 株式会社クレハ カーボンラベリングされた表層を備える樹脂積層体及び樹脂製多層容器

Also Published As

Publication number Publication date
JPH10237235A (ja) 1998-09-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101329856B1 (ko) 수지 조성물, 수지 조성물로 이루어진 필름 또는 시트 또는적층체
JP2007137963A (ja) 光輝材含有樹脂組成物
JP3133692B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂組成物及びこれを用いてなる成形体
US20110042380A1 (en) Process for Making Thermoplastic Polymer Pellets
TWI816986B (zh) 密封劑用膜以及積層體
CN103524882A (zh) 一种具有无光特性的聚烯烃树脂组合物
JP4453432B2 (ja) 二軸延伸多層ポリプロピレンフィルム
JP7321163B2 (ja) 樹脂組成物及びそれを用いた多層構造体
JPH06220270A (ja) 耐傷性プロピレン系樹脂組成物
JP3132373B2 (ja) 多層フィルム
US5319022A (en) Ethylene copolymer molded structure and ethylene copolymer composition
JP6852527B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂組成物およびフィルムそれぞれの製造法
JP2006289888A (ja) プロピレン系フィルムの製造方法
JP2015193697A (ja) プロピレン系樹脂組成物および成形体
JP2001071431A (ja) 多層延伸ポリプロピレン系フィルム
JP3850491B2 (ja) 樹脂フィルム及びその製造方法
JPS6390552A (ja) プロピレン系樹脂組成物
JP3894822B2 (ja) 樹脂組成物及び延伸成形体
JP2004035625A (ja) 4−メチル−1−ペンテン系重合体の樹脂組成物
JP4011422B2 (ja) 中空容器
JP3145310B2 (ja) 多層光沢プラスチック容器
JP7196413B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法およびポリオレフィン系フィルム
JPH02175248A (ja) 半調印刷性包装材料
TW201922871A (zh) 聚乙烯系樹脂膜
JP2019093712A (ja) 加飾フィルムおよびそれを用いた加飾成形体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071124

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081124

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091124

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091124

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101124

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111124

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121124

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121124

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131124

Year of fee payment: 13

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees