JP2018103579A - 加硫ゴム用離型剤 - Google Patents

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順市 中島
Junichi Nakajima
順市 中島
徹也 宗石
Tetsuya Muneishi
徹也 宗石
秀明 廣野
Hideaki Hirono
秀明 廣野
吉田 武司
Takeshi Yoshida
武司 吉田
勝彦 島川
Katsuhiko Shimakawa
勝彦 島川
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Abstract

【課題】 挿入性、離型性、洗浄性、常温塗布性及び高温塗布性をいずれも十分に優れたものとすることが可能な加硫ゴム用離型剤を提供すること。【解決手段】 不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)とアルキレンオキサイド化合物(II)とを含有しており、前記不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)が、エチレン性不飽和カルボン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の単量体を20質量%以上の割合で含む単量体成分の重合体であり、かつ、B型粘度計を用いて温度20℃、回転数6rpmの条件で測定される0.5質量%水溶液の粘度が10〜90000mPa・sであるものであり、かつ、前記アルキレンオキサイド化合物(II)が、特定の一般式で表されるポリオキシアルキレン脂肪酸エステル(II−i)、特定の一般式で表されるポリアミンのアルキレンオキサイド付加物(II−ii)等から選択される少なくとも1種のアルキレンオキサイド化合物であることを特徴とする加硫ゴム用離型剤。【選択図】 なし

Description

本発明は、加硫ゴム用離型剤に関する。
ゴムホース等のゴム製品は、自動車をはじめ、様々な機械の部品として広範に使用されている。ゴム製品の多くは、天然ゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリル・ブタジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の原料ゴムに硫黄や架橋剤を添加してゴム分子同士を架橋させる加硫を行い、該原料ゴムに伸縮性や弾性を付与した加硫ゴムを、押出成型や金型成型等で成型したものである。例えば、ゴムホースは、主に、所定の形状に成型されたマンドレルなどの金型に加硫ゴムを挿入して成型した後に引き抜く方法、又は、前記金型に未加硫の原料ゴム組成物を挿入して加硫・成型した後に引き抜く方法によって製造されている。
このようなゴム製品の成型においては、成型後の加硫ゴム製品と金型とを離し易くするために離型剤が用いられており、かかる離型剤には、金型に対する加硫ゴム又は未加硫ゴムの挿入作業を容易にする特性(挿入性(潤滑性))、成型後の加硫ゴム製品の引き抜き作業を容易にする特性(離型性)、及び成型後の加硫ゴム製品の表面に付着している離型剤の除去が容易である特性(洗浄性)が求められている。
加硫ゴム用の離型剤としては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、脂肪酸石鹸、ジメチルシリコーン、変性シリコーンオイル等が知られている。しかしながら、これらの加硫ゴム用離型剤では洗浄性や離型性が未だ十分ではないという問題を有していた。
また、例えば、特開平7−292236号公報(特許文献1)には、特定の構造を有するジアミンのアルキレンオキサイド付加物からなる加硫ゴム用離型剤が記載されており、特開2008−201010号公報(特許文献2)には、グリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物を含有する加硫ゴム用離型剤が記載されている。
特開平7−292236号公報 特開2008−201010号公報
しかしながら、本発明者らは、上記特許文献1〜2に記載されている従来の加硫ゴム用離型剤は挿入性、離型性、洗浄性をいずれも十分に優れたものとするといった点では未だ十分なものではないことを見い出した。更に、環境負荷軽減の観点等から、これらの従来の加硫ゴム用離型剤を低濃度で使用しようとすると、常温近傍(25±15℃程度)においてゴム製品に離型剤を十分に付着させることができない場合が生じたり、高温(80℃程度以上の温度)の金型に離型剤を十分に付着させることができない場合が生じ、常温近傍におけるゴム製品への塗布性(以下、場合により「常温塗布性」と称する)や、高温の金型への塗布性(以下、場合により「高温塗布性」と称する)を十分に優れたものとすることができない場合があることを本発明者らは見出した。このように、特許文献1〜2に記載されている従来の加硫ゴム用離型剤は、挿入性、離型性、洗浄性、塗布性(付着性:常温塗布性及び高温塗布性)といった特性をいずれも十分に優れたものとすることができず、全ての特性を高度な水準で十分にバランスよく有するものとすることができなかった。
本発明は上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、挿入性、離型性、洗浄性、常温塗布性及び高温塗布性をいずれも十分に優れたものとすることが可能な加硫ゴム用離型剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、後述の不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)と、後述のアルキレンオキサイド化合物(II)とを含有させることにより、得られる加硫ゴム用離型剤の挿入性、離型性、洗浄性、常温塗布性及び高温塗布性をいずれも十分に優れたものとすることが可能となることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の加硫ゴム用離型剤は、不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)とアルキレンオキサイド化合物(II)とを含有しており、
前記不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)が、エチレン性不飽和カルボン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の単量体を20質量%以上の割合で含む単量体成分の重合体であり、かつ、B型粘度計を用いて温度20℃、回転数6rpmの条件で測定される0.5質量%水溶液の粘度が10〜90000mPa・sであるものであり、かつ、
前記アルキレンオキサイド化合物(II)が、
下記一般式(1):
[式(1)中、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を示し、aはAOの平均付加モル数であって20〜400の整数を示し(ただし、該平均付加モル数のうち、エチレンオキシ基の平均付加モル数は20〜300の整数を示し、かつ、プロピレンオキシ基の平均付加モル数は0〜100の整数を示す。)、Rは炭素数9〜21の直鎖状のアルキル基、炭素数9〜21の分岐鎖状のアルキル基、炭素数9〜21の直鎖状のアルケニル基、又は、炭素数9〜21の分岐鎖状のアルケニル基を示し、Xは水素原子又は式:−C(O)−Y(式中のYは炭素数9〜21の直鎖状のアルキル基、炭素数9〜21の分岐鎖状のアルキル基、炭素数9〜21の直鎖状のアルケニル基、又は、炭素数9〜21の分岐鎖状のアルケニル基を示す。)で表される基を示す。]
で表されるポリオキシアルキレン脂肪酸エステル(II−i)、
下記一般式(2):
[式(2)中、bは2〜5の整数を示し、cは2〜5の整数を示し、dは0〜8の整数を示し、Rは、それぞれ独立に、下記一般式(3):
[式(3)中、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を示し、eはAOの平均付加モル数であって1〜350の整数を示し、AOが複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
で表わされる基を示し、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、及び、下記一般式(4):
[式(4)中、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を示し、eはAOの平均付加モル数であって1〜350の整数を示し、AOが複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
で表わされる基からなる群から選択されるいずれか1つの基を示し、e及びeの総和(eの総和+eの総和)は20〜700である。]
で表わされるポリアミンのアルキレンオキサイド付加物(II−ii)、
下記一般式(5):
[式(5)中、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を示し、fはAOの平均付加モル数であって15〜600の整数を示し、複数あるAOは同一でも異なっていてもよい。]
で表わされるポリアルキレングリコール(II−iii)、及び
下記一般式(6):
[式(6)中、Rは炭素数7〜17のアルキル基又は炭素数7〜17のアルケニル基を示し、AOは、それぞれ独立に、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を示し、g及びgはAOの平均付加モル数であって、それぞれ独立に、1〜149の整数を示し、g及びgの和(g+g)は20〜150であり、そのうち、エチレンオキシ基の平均付加モル数は15〜150であり、プロピレンオキシ基の平均付加モル数は0〜50である。]
で表わされるグリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物(II−iv)
からなる群から選択される少なくとも1種のアルキレンオキサイド化合物であること、
を特徴とするものである。
また、上記本発明の加硫ゴム用離型剤としては、
下記一般式(7):
[式(7)中、EOはエチレンオキシ基を示し、hはEOの平均付加モル数であって1,000〜150,000の整数を示す。]
で表わされるポリエチレンオキサイドをさらに含有するものが好ましい。
また、上記本発明の加硫ゴム用離型剤としては、
下記一般式(8):
[式(8)中、Rは炭素数8〜22のアルキル基又は炭素数8〜22のアルケニル基を示し、Zは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム、及び炭素数1〜3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアンモニウムからなる群から選択されるいずれか1種を示す。]
で表わされるモノカルボン酸塩、
下記一般式(9):
[式(9)中、Rは炭素数12〜22のアルキル基又は炭素数12〜22のアルケニル基を示し、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を示し、iはAOの平均付加モル数であって1〜30の整数を示し、AOが複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
で表わされる長鎖脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド付加物、及び
下記一般式(10):
[式(10)中、AOはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基及びブチレンオキシ基からなる群から選択されるいずれか1つの基を示し、jはAOの平均付加モル数であって1〜5の整数を示し、AOが複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
で表わされるグリコール溶媒
からなる群から選択される少なくとも1種をさらに含有することが好ましい。
なお、本発明において、AO(エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基等のアルキレンオキシ基)の平均付加モル数とは、式:−(AO)−(nは各式中のa、e、e、f、g、g、h、i、jとそれぞれ同義である)で表わされるアルキレンオキサイド鎖1モル中において付加しているアルキレンオキシ基(AO)のモル数の平均値を意味する。
本発明によれば、挿入性、離型性、洗浄性、常温塗布性及び高温塗布性をいずれも十分に優れたものとすることが可能な加硫ゴム用離型剤を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の加硫ゴム用離型剤は、不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)とアルキレンオキサイド化合物(II)とを含有しており、
前記不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)が、エチレン性不飽和カルボン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の単量体を20質量%以上の割合で含む単量体成分の重合体であり、かつ、B型粘度計を用いて温度20℃、回転数6rpmの条件で測定される0.5質量%水溶液の粘度が10〜90000mPa・sであるものであり、かつ、
前記アルキレンオキサイド化合物(II)が、上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン脂肪酸エステル(II−i)、上記一般式(2)で表わされるポリアミンのアルキレンオキサイド付加物(II−ii)、上記一般式(5)で表わされるポリアルキレングリコール(II−iii)、及び、上記一般式(6)で表わされるグリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物(II−iv)からなる群から選択される少なくとも1種のアルキレンオキサイド化合物であること、
を特徴とするものである(以下、前記不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)を場合により単に「成分(I)」と称し、また、前記アルキレンオキサイド化合物(II)を場合により単に「成分(II)」と称する)。先ず、各成分(I)及び(II)について説明する。
[不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)]
本発明にかかる不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)は、エチレン性不飽和カルボン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の単量体(以下、場合により単に「単量体(i)」と称する)を20質量%以上の割合で含む単量体成分の重合体であり、かつ、B型粘度計を用いて温度20℃、回転数6rpmの条件で測定される0.5質量%水溶液の粘度が10〜90000mPa・sであるものである。
このように、前記不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)は、前記単量体(i)を20質量%以上の割合で含む単量体成分の重合体である。ここで、「単量体成分の重合体」とは、単量体(i)を20質量%以上の割合で含む単量体成分を重合して得られる重合体と同様の構造を有するものであればよく、前記単量体成分を直接重合して得られたものの他、前記単量体成分を重合して重合物を得た後にそれを中和して得られる重合物の塩(例えば、エチレン性不飽和カルボン酸を含む単量体成分を重合後にアルカリ金属やアルカノールアミン等で中和して得られる重合物の塩)も含む概念(前記単量体(i)を20質量%以上の割合で含む単量体成分を重合して得られる重合体(重合物)及びその塩を含む概念)である。なお、このような重合物の塩(中和物)は、結果として、重合反応後の中和によりエチレン性不飽和カルボン酸の塩に由来する構造単位と同様の構造単位が重合物中に形成されることとなり、エチレン性不飽和カルボン酸の塩を単量体成分中に当初より含有させて重合させた場合と結果的に同様の構造のものとし得ることから、本発明においては、そのような重合後の中和塩も「単量体成分の重合体」に含む。
また、このような単量体成分中の単量体(i)の含有量は、上述のように20質量%以上(より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは70質量%以上)である。このような単量体(i)の含有量が前記下限未満では、離型剤の挿入性、離型性、洗浄性、常温塗布性及び高温塗布性といった特性が不十分となる。また、このような単量体成分中の単量体(i)の含有量としては、離型剤の挿入性、離型性、洗浄性、常温塗布性及び高温塗布性がより優れたものとなるといった観点から、20〜100質量%であることがより好ましく、40〜99質量%であることが更に好ましく、70〜95質量%であることが特に好ましい。
また、このような単量体成分の重合体としては、離型剤の挿入性、離型性、洗浄性、常温塗布性及び高温塗布性の観点からは、単量体(i)を主成分として70質量%以上の割合で含む単量体成分の重合体(いわゆる不飽和カルボン酸系重合体)であることがより好ましい。
また、このような単量体成分中の単量体(i)は、エチレン性不飽和カルボン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の成分である。このようなエチレン性不飽和カルボン酸(α,β−エチレン性不飽和カルボン酸であることが好ましい)としては、例えば、エチレン性不飽和モノカルボン酸、エチレン性不飽和ジカルボン酸等が挙げられる。
このようなエチレン性不飽和カルボン酸としては、特に制限されないが、炭素数が3〜6(より好ましくは3〜5)である不飽和カルボン酸が好ましい。このような炭素数が前記範囲内であると、離型剤の常温塗布性及び高温塗布性がより優れたものとなる傾向にある。
また、このようなエチレン性不飽和カルボン酸としては、離型剤の高温塗布性がより優れたものとなるといった観点から、エチレン性不飽和モノカルボン酸が好ましい。このようなエチレン性不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸等が挙げられ、中でも、離型剤の挿入性、離型性、洗浄性、常温塗布性及び高温塗布性といった特性がより優れたものとなることから、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
また、前記エチレン性不飽和カルボン酸の塩としては、特に制限されないが、例えば、アルカリ金属塩、アンモニア塩、アルカノールアミン塩が挙げられる。このようなアルカノールアミンとしては、炭素数が1〜6のアルカノール基を有するアルカノールアミンが好ましく、炭素数が1〜3のアルカノール基を有するアルカノールアミンがより好ましい。また、このようなアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)−エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、2−(ジフェニルアミノ)エタノール、1−フェニルアミノエタノール、N−ベンジルエタノールアミン、N,N−ジベンジル−2−エタノールアミン、モノイソプロパノールアミン等のモノアルカノールアミン化合物;ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノールアミン、N−ベンジルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のジアルカノールアミン化合物;トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のトリアルカノールアミン化合物;等が挙げられ、中でも、離型剤の挿入性、離型性、洗浄性、常温塗布性及び高温塗布性といった特性がより優れたものとなることから、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
また、このようなエチレン性不飽和カルボン酸の塩の中でも、離型剤の挿入性、離型性、洗浄性、常温塗布性及び高温塗布性といった特性がより優れたものとなることから、アルカリ金属塩、アルカノールアミン塩がより好ましく、ナトリウム塩、アルカノールアミン塩が更に好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
このように、単量体(i)としては、アクリル酸、メタクリル酸及びそのアルカリ金属塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸及びそのナトリウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、アクリル酸及びそのナトリウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが更に好ましい。
また、前記単量体成分は、前記単量体(i)を20質量%以上の割合で含有するものであればよく、他の単量体を含んでいてもよい。また、このような単量体成分は、離型剤の挿入性、離型性、洗浄性、常温塗布性及び高温塗布性といった特性がより優れたものとなることから、前記単量体(i)とともに他の単量体を含む単量体組成物であることが好ましい。
このような他の単量体としては、前記単量体(i)と共重合し得る単量体であればよく、一般的に広く使用されている単量体を適宜利用することができ、例えば、架橋性単量体、エチレン性不飽和カルボン酸エステル(例えば、(メタ)アクリル酸モノエステル類)、スチレン、スチレンスルホン酸、塩化ビニリデン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルニトリル、メタクリロニトリル、メタクリルアミド等が挙げられる。
このような他の単量体の中でも、離型剤の挿入性、離型性、洗浄性、常温塗布性及び高温塗布性の観点から、前記架橋性単量体、前記エチレン性不飽和カルボン酸エステル、スチレンスルホン酸が好ましく、中でも、離型剤の常温塗布性及び高温塗布性がより向上するといった観点からは、前記架橋性単量体がより好ましい。すなわち、前記単量体成分としては、前記単量体(i)を20質量%以上の割合で含有しかつ架橋性単量体を含有する単量体組成物であることがより好ましい。なお、前記単量体成分が前記架橋性単量体を含む場合には、離型剤の挿入性、離型性、洗浄性、常温塗布性及び高温塗布性といった特性がより優れたものとなるばかりか、前記単量体成分が架橋性単量体を含まなかった場合と比較して、得られる不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)が同粘度であっても曳糸性(糸を引くこと)がより抑えられたものとなり、それを用いた加硫ゴム用離型剤の取り扱い性がより向上する傾向にある。
このような架橋性単量体としては、例えば、ビニル基を複数(好ましくは2〜4個)有する化合物を挙げることができる。また、このようなビニル基を複数(好ましくは2〜4個)有する化合物としては、例えば、(a)多価アルコールの不飽和脂肪酸エステル;(b)多価アルコールのアリルエーテル;(c)多価アルコールのメタリルエーテル;(d)不飽和脂肪酸のアリルエステル;(e)不飽和脂肪酸のメタリルエステル;(f)N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼン、トリ(メタ)アリルアミン、ジメチルジ(メタ)アリルアンモニウムクロリド、テトラアリルオキシエタン、トリアリルイソシアヌレート等の、上記(a)〜(e)以外のビニル基を複数有する他の化合物;を挙げることができる。
このような(a)多価アルコールの不飽和脂肪酸エステルにおいて、前記多価アルコールとしては、2〜8価のアルコールが好ましい。このような2価のアルコールとしては、例えば、炭素数2〜8(好ましくは炭素数2〜4)のグリコール、ポリアルキレングリコール(中でもアルキレン基の炭素数2〜4であり、かつ、繰り返し数が2〜30モルのポリアルキレングリコールがより好ましい)が挙げられる。更に、3価のアルコールとしては、例えば、トリメチロールプロパンが挙げられる。また、3〜8価のアルコールとしては、例えば、糖アルコール、糖、及び、それらの炭素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物(例えば、1〜30モル付加物)等が挙げられる。このような糖アルコールとしては、例えば、炭素数3〜6の単糖類のアルデヒド基やケトン基を還元して得られるアルコールが好ましい。また、このような糖アルコールとしては、例えば、グリセリン、エリトリット(エリスリトール)、ペンタエリスリトール、アラビット(アラビトール)、ソルビット(ソルビトール)、マンニット(マンニトール)等が挙げられる。また、前記糖としては、炭素数3〜6の単糖類、ショ糖等の2糖類、多糖類等が挙げられ、中でも、ショ糖がより好ましい。また、(a)多価アルコールの不飽和脂肪酸エステルにおける不飽和脂肪酸としては、特に制限されないが、アクリル酸、メタクリル酸であることが好ましい。
このような(a)多価アルコールの不飽和脂肪酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル、ポリエチレングリコール〔オキシエチレンの平均付加モル数=2〜30モル〕の(メタ)アクリル酸ジエステル、トリメチロールプロパンの(メタ)アクリル酸トリエステル等が挙げられる。
また、(b)多価アルコールのアリルエーテル、(c)多価アルコールのメタリルエーテルにおいても、多価アルコールとしては前記(a)中の多価アルコールとして説明したものと同様のものが挙げられる。また、(b)多価アルコールのアリルエーテルとしては、多価アルコールとアリルアルコール(2−プロペン−1−オール)とから得られるエーテルであることが好ましい。また、(c)多価アルコールのメタリルエーテルとしては、多価アルコールとメタリルアルコール(2−メチル−2−プロペン−1−オール)とから得られるエーテルであることが好ましい。このような多価アルコールのアリルエーテル又はメタリルエーテルとしては、架橋性の単量体として利用するといった観点からは、エーテル化度(1分子が有するアリルエーテル基又はメタリルエーテル基の個数の平均値)が2以上であればよい。なお、ここにいう「エーテル化度」をショ糖のアリルエーテルを例に説明すると、ショ糖の有する水酸基の数が8であるため、ショ糖のアリルエーテルの1分子が有することが可能(導入することが可能)なアリルエーテル基の最大数は8となり、また、重合により重合体中に架橋構造を形成せしめるといった観点からは、1分子中にビニル基を複数(2以上)有する必要があることから、そのエーテル化度は少なくとも2以上である必要がある。また、このようなエーテル化度の求め方をショ糖のアリルエーテルを例に説明すると、ショ糖のアリルエーテルと無水酢酸とを反応させ(例えばピリジン中で反応させ)、消費される無水酢酸の量から残存する水酸基の数の1分子あたりの平均値を求め、アリルエーテル基の最大数8から水酸基の数の1分子あたりの平均値を差し引くことにより算出することができる。
(b)多価アルコールのアリルエーテルとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル等が挙げられ、また、(c)多価アルコールのメタリルエーテルとしては、例えばジエチレングリコールビスメタリルエーテル等が挙げられる。
また、(d)不飽和脂肪酸のアリルエステルにおける不飽和脂肪酸としては、特に制限されないが、アクリル酸、メタクリル酸であることが好ましい。また、このような不飽和脂肪酸のアリルエステルとしては、不飽和脂肪酸とアリルアルコール(2−プロペン−1−オール)とのエステル(例えば、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル等)であることが好ましい。
また、(e)不飽和脂肪酸のメタリルエステルにおける不飽和脂肪酸としては、特に制限されないが、アクリル酸、メタクリル酸であることが好ましい。また、このような不飽和脂肪酸のメタリルエステルとしては、不飽和脂肪酸とメタリルアルコール(2−メチル−2−プロペン−1−オール)とのエステル(例えば、アクリル酸メタリル、メタクリル酸メタリル等)であることが好ましい。
また、このような架橋性単量体の中でも、離型剤の挿入性、離型性、洗浄性、常温塗布性及び高温塗布性といった特性がより高度なものとなることから、多価アルコールのアリルエーテルがより好ましい。
さらに、前記単量体成分が架橋性単量体を含有する場合、該架橋性単量体の含有量としては、離型剤の常温塗布性及び高温塗布性がより優れたものとなるという観点から、前記単量体成分の総量に対して0.1〜30質量%(より好ましくは0.1〜15質量%、更に好ましくは0.1〜2質量%)であることが好ましい。なお、前記単量体成分が前記架橋性単量体を含有する場合、常温塗布性及び高温塗布性がより優れたものとなる傾向にある。
また、前記単量体成分は、前述のように、前記他の単量体としてエチレン性不飽和カルボン酸エステルを含有してもよい。このように、前記他の単量体としてエチレン性不飽和カルボン酸エステルを含有した場合には、離型剤の常温塗布性がより優れたものとなる傾向にある。このようなエチレン性不飽和カルボン酸エステルとしては、前記エチレン性不飽和カルボン酸と炭素数1〜22(より好ましくは1〜12)のアルコールとの縮合物(エステル)であることが好ましい。アルコールの炭素数が前記範囲内である場合には、離型剤の常温塗布性と洗浄性がより優れたものとなる傾向にある。また、前記エチレン性不飽和カルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸モノエステルがより好ましい。
また、前記単量体成分がエチレン性不飽和カルボン酸エステルを含有する場合、エチレン性不飽和カルボン酸エステルの含有量としては、前記単量体成分の総量に対して0.1〜80質量%(より好ましくは5〜60質量%、更に好ましくは10〜30質量%)であることが好ましい。エチレン性不飽和カルボン酸エステルの含有量が前記範囲内である場合には、離型剤の常温塗布性と洗浄性がより優れたものとなる傾向にある。
また、前記単量体成分が前記架橋性単量体及び前記エチレン性不飽和カルボン酸エステル以外の他の単量体を含有する場合、その含有量は75質量%以下の範囲において、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定すればよい。
このような不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)は、前記単量体成分の重合体(重合物)である。このような単量体成分の重合の方法については後述する。なお、このような重合体は、前記単量体成分中の単量体(i)に由来する構造単位(繰り返し単位:不飽和カルボン酸単位)を含むものとなる。このような単量体(i)に由来する構造単位としては、挿入性、離型性、洗浄性、常温塗布性及び高温塗布性といった特性がより優れたものとなることから、アクリル酸に由来する繰り返し単位(式:[−CH−CH(COOH)−]で表される繰り返し単位)、又は、アクリル酸のナトリウム塩に由来する繰り返し単位[−CH−CH(COONa)−]で表される繰り返し単位であることが好ましい。
また、前記不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)は、B型粘度計を用いて温度20℃、回転数6rpmの条件で測定される0.5質量%水溶液の粘度が10〜90000mPa・sのものである。このような重合体(I)の0.5質量%水溶液の粘度が前記下限未満では離型剤の常温塗布性及び高温塗布性を十分なものとすることができなくなり、他方、前記上限を超えると離型剤の挿入性、離型性、洗浄性を十分なものとすることができなくなる。また、このような0.5質量%水溶液の粘度としては、離型剤の挿入性、離型性、洗浄性、常温塗布性及び高温塗布性をより高度な水準でバランスよく有するものとすることが可能であるといった観点から、30〜80000であることがより好ましく、200〜70000であることが更に好ましく、15000〜60000が特に好ましい。
なお、本発明において、不飽和カルボン酸単位含有重合体の0.5質量%水溶液の粘度は以下のようにして測定する。すなわち、先ず、不飽和カルボン酸単位含有重合体の濃度が0.5質量%となるようにして水溶液を調製したものを測定試料(0.5質量%水溶液)として用い、測定装置としてはB型粘度計(例えば、東機産業株式会社製の商品名「BII形粘度計」)を利用して、温度20℃、回転数6rpmの条件で、粘度に応じて、より精度よく測定するためにロータ番号を後述の範囲で適宜変更して測定することにより求めることができる(JIS Z 8803(2011))の規格に準拠した測定方法)。なお、このような測定に際して採用する回転数は、使用するロータ番号によらずいずれも6rpmの値に設定し、ロータ番号に関しては、粘度が0〜1000mPa・sの範囲のものについてはNo.1ローターを使用し、粘度が0〜5000mPa・sの範囲のものについてはNo.2ローターを使用し、粘度が0〜20000mPa.sの範囲のものについてはNo.3ローターを使用し、粘度が0〜100000mPa.sである場合にはNo.4ローターを使用する。
また、不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)としては、1種の不飽和カルボン酸単位含有重合体を単独で利用しても、あるいは、2種以上の不飽和カルボン酸単位含有重合体を組み合わせて利用してもよい。
また、このような不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)の調製方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用でき、例えば、前記エチレン性不飽和カルボン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の単量体(i)を20質量%以上の割合で含有する単量体成分を用いて、B型粘度計を用いて温度20℃、回転数6rpmの条件で測定される0.5質量%水溶液の粘度が10〜90000mPa・sとなるように、その単量体成分中の単量体の種類等に応じて(単量体(i)の種類や、単量体組成物である場合にはその組成等に応じて)、公知の重合条件(仕様する触媒の種類や重合温度等の条件)を適宜採用して重合することにより重合体を調製する方法を採用してもよい。このような不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)の調製方法としては、例えば、反応容器中に上記単量体成分、溶媒を添加して、不活性ガス雰囲気下において、前記単量体成分を重合させる方法を採用してもよい。
このような重合に利用する溶剤としては、例えば、ケトン、エステル、アルコール、炭素数4〜12の脂肪族炭化水素、ベンゼン、アルキルベンゼン(アルキル基の炭素数1〜3)等の芳香族炭化水素からなる郡より選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。また、このような重合の条件としては、例えば、50℃以上且つ使用する溶剤の大気圧下の沸点以下の温度で3〜20時間重合させる条件を採用してもよい。また、このような重合には、ラジカル開始剤を用いることが好ましい。このようなラジカル開始剤としては、過酸化物系、アゾ系等の公知のラジカル開始剤から選ばれる、1種を単独で又は2種以上を組み合わせた混合物を適宜使用できる。このようなラジカル開始剤に関して、過酸化物系のラジカル開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート等が挙げられ、また、アゾ系のラジカル開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等が挙げられる。また、不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)は、前記単量体成分を重合後に中和して塩として調製してもよい。このような塩としては、アルカリ金属塩、アンモニア塩、アルカノールアミン塩が挙げられる。このような塩の中でも、挿入性、離型性、洗浄性、常温塗布性及び高温塗布性といった特性がより優れたものとなることから、アルカリ金属塩、アルカノールアミン塩がより好ましく、ナトリウム塩、アルカノールアミン塩が更に好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。このような中和に用いる化合物や中和の方法としては、目的とする設計に応じて公知の化合物や公知の方法を適宜採用することができる。
[アルキレンオキサイド化合物(II)]
前記アルキレンオキサイド化合物(II)は、前記ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル(II−i)、前記ポリアミンのアルキレンオキサイド付加物(II−ii)、前記ポリアルキレングリコール(II−iii)、及び、前記グリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物(II−iV)からなる群から選択される少なくとも1種のアルキレンオキサイド化合物である。
<ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル(II−i)>
前記ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル(II−i)は、下記一般式(1):
[式(1)中、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を示し、aはAOの平均付加モル数であって20〜400の整数を示し(ただし、該平均付加モル数のうち、エチレンオキシ基の平均付加モル数は20〜300の整数を示し、かつ、プロピレンオキシ基の平均付加モル数は0〜100の整数を示す。)、Rは炭素数9〜21の直鎖状のアルキル基、炭素数9〜21の分岐鎖状のアルキル基、炭素数9〜21の直鎖状のアルケニル基、又は、炭素数9〜21の分岐鎖状のアルケニル基を示し、Xは水素原子又は式:−C(O)−Y(式中のYは炭素数9〜21の直鎖状のアルキル基、炭素数9〜21の分岐鎖状のアルキル基、炭素数9〜21の直鎖状のアルケニル基、又は、炭素数9〜21の分岐鎖状のアルケニル基を示す。)で表される基を示す。]
で表されるものである。
このような式(1)中のAO(アルキレンオキサイド:アルキレンオキシ基)はエチレンオキサイド(エチレンオキシ基、EO)及び/又はプロピレンオキサイド(プロピレンオキシ基、PO)である。なお、AOによって形成されるアルキレンオキサイド鎖としては、エチレンオキサイド(エチレンオキシ基)を少なくとも含むものとなる(式中のa(平均付加モル数)は20〜400の整数であるが、前述のようにエチレンオキシ基の平均付加モル数の下限値が20であり、エチレンオキサイド(エチレンオキシ基)を平均付加モル数が20〜300となるように含むものとなる)。
このような式(1)中のaはAOの平均付加モル数であって20〜400(より好ましくは30〜350、更に好ましくは40〜300)の整数を示す。このようなAOの平均付加モル数aは、エチレンオキシ基の平均付加モル数とプロピレンオキシ基の平均付加モル数の総和となる。このようなAOの平均付加モル数が20未満では、挿入性及び離型性が低下し、他方、400を超えると洗浄性が低下する。また、このようなAOの平均付加モル数(a)のうち、エチレンオキシ基の平均付加モル数は20〜300(より好ましくは30〜250、更に好ましくは40〜200)の整数を示し、かつ、プロピレンオキシ基の平均付加モル数が0〜100(より好ましくは10〜80、更に好ましくは20〜50)の整数を示す。このようなエチレンオキシ基の平均付加モル数が前記下限未満では挿入性及び離型性が低下する傾向にある。また、前記エチレンオキシ基の平均付加モル数が前記上限以下となり、前記範囲内の値となる場合には、離型剤の洗浄性がより優れたものとなる傾向にある。また、前記プロピレンオキシ基の平均付加モル数が前記上限を超えると洗浄性が低下する傾向にあり、また、前記範囲内の場合には、離型剤の洗浄性がより優れたものとなる傾向にある。
このような式(1)中、−(AO)−で表されるアルキレンオキサイド鎖としては、エチレンオキサイド(エチレンオキシ基)の単独付加であっても、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの共付加であってもよい。このようなアルキレンオキサイド鎖としては、離型剤における挿入性及び離型性と洗浄性との両立の観点から、共付加であることが好ましい。なお、共付加である場合にはブロック付加であってもランダム付加であってもよい。共付加である場合、一般式(1)中におけるエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基との平均付加モル数の比(エチレンオキシ基の平均付加モル数:プロピレンオキシ基の平均付加モル数)としては、95:5〜30:70であることが好ましく、90:10〜40:60であることがより好ましく、80:20〜50:50であることがさらに好ましい。平均付加モル数の比が前記範囲内の場合には離型剤の洗浄性がより優れたものとなる傾向にある。また、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル(II−i)においては、離型剤においてより優れた洗浄性が発揮される観点から、アルキレンオキサイド鎖の末端(Xと直接結合するAO)がエチレンオキサイドであることが好ましい。
このような式(1)中のRは炭素数9〜21の直鎖状のアルキル基、炭素数9〜21の分岐鎖状のアルキル基、炭素数9〜21の直鎖状のアルケニル基、又は、炭素数9〜21の分岐鎖状のアルケニル基である。このような直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基に関して、炭素数が9未満では十分な離型性が得られず、また、炭素数が21を超える場合は洗浄性が低下する。このような直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基の炭素数としては、同様の観点から、11〜21であることがより好ましく、11〜17であることが更に好ましい。また、前記直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基に関しても、炭素数が9未満では十分な離型性が得られず、また、炭素数が21を超える場合は洗浄性が低下する。このような直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基の炭素数としては、11〜21であることがより好ましく、11〜17であることが更に好ましい。
このような式(1)中のXは、水素原子又は式:−C(O)−Y(式中のYは炭素数9〜21の直鎖状のアルキル基、炭素数9〜21の分岐鎖状のアルキル基、炭素数9〜21の直鎖状のアルケニル基、又は、炭素数9〜21の分岐鎖状のアルケニル基を示す。)で表される基である。このようなYは前述のRと同義である(その好適なものも同義である)。
このような一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン脂肪酸エステル(II−i)は、その構造に応じて、従来公知の方法に従って適宜製造することができ、例えば、一般式(1)で表される化合物を得るために所定の平均付加モル数のポリアルキレングリコールと、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸のうちのいずれかの脂肪酸とを用いて、これらをエステル化反応させることにより製造することができる。このような脂肪酸(飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸:式(1)で表される化合物中において式:R−C(O)−で表される基(構造部分)及び式:−C(O)−Yで表される基(構造部分)の由来となる脂肪酸)としては、炭素数10〜22の飽和脂肪酸、炭素数10〜22の不飽和脂肪酸を好適に利用できる。このような炭素数10〜22の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ヒドロキシステアリン酸、アラギン酸、ベヘン酸等を挙げることができる。また、このような脂肪酸の中でも、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸がより好ましい。なお、所定の平均付加モル数のポリアルキレングリコールは、その設計に応じて、公知の方法を利用して適宜調製すればよく、市販品を利用してもよい。
<ポリアミンのアルキレンオキサイド付加物(II−ii)>
前記ポリアミンのアルキレンオキサイド付加物(II−ii)は、下記一般式(2):
[式(2)中、bは2〜5の整数を示し、cは2〜5の整数を示し、dは0〜8の整数を示し、Rは、それぞれ独立に、下記一般式(3):
[式(3)中、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を示し、eはAOの平均付加モル数であって1〜350の整数を示し、AOが複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
で表わされる基を示し、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、及び、下記一般式(4):
[式(4)中、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を示し、eはAOの平均付加モル数であって1〜350の整数を示し、AOが複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
で表わされる基からなる群から選択されるいずれか1つの基を示し、e及びeの総和(eの総和+eの総和)は20〜700である。]
で表わされるものである。
ポリアミンのアルキレンオキサイド付加物(II−ii)は、ポリアミンにアルキレンオキサイド(AO)が付加されたものである。前記ポリアミンとしては、一般式(2)中、bが2〜5の整数を示し、cが2〜5の整数を示し、dが0〜8の整数を示すものであればよく、離型剤においてより優れた挿入性、離型性、洗浄性、塗布性が発揮される観点から、一般式(2)中、bが2〜3の整数を示し、cが2〜3の整数を示し、dが0〜4の整数を示すものが好ましく、より具体的には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンが好ましく、エチレンジアミンが特に好ましい。
一般式(2)において、一般式(3)で示されるR及び一般式(4)で示されるRは、前記ポリアミンに付加したアルキレンオキサイド鎖である。ポリアミンのアルキレンオキサイド付加物(II−ii)において、前記アルキレンオキサイド(アルキレンオキシ基、AO)はエチレンオキサイド(エチレンオキシ基、EO)及び/又はプロピレンオキサイド(プロピレンオキシ基、PO)であり、前記アルキレンオキサイド鎖としては、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの単独付加であっても、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの共付加であってもよいが、離型剤における挿入性及び離型性と洗浄性との両立の観点から、共付加であることが好ましい。なお、共付加である場合にはブロック付加であってもランダム付加であってもよい。共付加である場合、一般式(2)中におけるエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基との平均付加モル数の比(エチレンオキシ基の平均付加モル数:プロピレンオキシ基の平均付加モル数)としては、10:90〜80:20であることが好ましく、10:90〜60:40であることがより好ましく、20:80〜50:50であることがさらに好ましい。プロピレンオキシ基の平均付加モル数に対するエチレンオキシ基の平均付加モル数が前記上限を超える場合には、離型剤の粘度が小さくなって金型への塗布性が低下する傾向にあり、他方、前記下限未満である場合には、離型剤の離型性が低下する傾向にある。また、ポリアミンのアルキレンオキサイド付加物(II−ii)においては、離型剤においてより優れた挿入性、離型性、洗浄性、塗布性が発揮される観点から、複数あるアルキレンオキサイド鎖のうちの少なくともいずれかの末端がエチレンオキサイドが付加してなる基(−EOH)であることが好ましく、前記アルキレンオキサイド鎖の全ての末端がエチレンオキサイドが付加してなる基であることがより好ましい。
一般式(2)において、アルキレンオキサイド鎖1つあたりのアルキレンオキシ基の平均付加モル数(e、e)は、それぞれ独立に、1〜350であり、5〜200であることが特に好ましい。前記アルキレンオキサイド鎖1つあたりの平均付加モル数が前記上限を超える場合には、離型剤において優れた挿入性、離型性、洗浄性、塗布性が発揮されない傾向にあり、他方、前記下限未満である場合には、離型剤において優れた挿入性、離型性及び塗布性が発揮されない傾向にある。また、一般式(2)中におけるアルキレンオキシ基の平均付加モル数の総和(eの総和+eの総和)は20〜700であり、30〜600であることが特に好ましい。前記アルキレンオキシ基の平均付加モル数の総和が前記上限を超える場合には、離型剤において優れた挿入性、離型性、洗浄性、塗布性が発揮されない傾向にあり、他方、前記下限未満である場合には、離型剤において優れた挿入性、離型性及び塗布性が発揮されない傾向にある。
また、一般式(2)中、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基及び上記の一般式(4)で表わされる基からなる群から選択されるいずれか1つの基である。炭素数1〜5のアルキル基及び炭素数2〜5のアルケニル基としては、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、経済性の観点からは炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。これらの中でも、Rとしては、離型剤における挿入性及び離型性と洗浄性との両立の観点から、それぞれ独立に、一般式(4)で表わされる基又は炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、一般式(4)で表わされる基であることがより好ましい。
ポリアミンのアルキレンオキサイド付加物(II−ii)としては、例えば、常法に従って、前記ポリアミンに前記アルキレンオキサイドを付加重合させる方法によって得られたものを用いることができる。なお、このような方法において、反応の順序や原料の添加順序等は適宜変更することができる。また、ポリアミンのアルキレンオキサイド付加物(II−i)としては市販品を用いてもよい。
<ポリアルキレングリコール(II−iii)>
前記ポリアルキレングリコール(II−iii)は、下記一般式(5):
[式(5)中、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を示し、fはAOの平均付加モル数であって15〜600の整数を示し、複数あるAOは同一でも異なっていてもよい。]
で表わされるものである。
このようなポリアルキレングリコール(II−iii)は、アルキレンオキサイドが重合(付加重合)したものである。ポリアルキレングリコール(II−iii)において、前記アルキレンオキサイド(式中のAO)は、エチレンオキサイド(エチレンオキシ基、EO)及び/又はプロピレンオキサイド(プロピレンオキシ基、PO)であり、かかるアルキレンオキサイドが付加してなるアルキレンオキサイド鎖としては、これらのうちの1種の単独付加であっても2種の共付加であってもよいが、離型剤における挿入性及び離型性と洗浄性との両立の観点から、共付加であることが好ましい。なお、共付加である場合にはブロック付加であってもランダム付加であってもよい。共付加である場合、一般式(5)中におけるエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基との平均付加モル数の比(エチレンオキシ基の平均付加モル数:プロピレンオキシ基の平均付加モル数)としては、10:90〜60:40であることが好ましく、20:80〜40:60であることがより好ましい。プロピレンオキシ基の平均付加モル数に対するエチレンオキシ基の平均付加モル数が前記上限を超える場合には、離型剤の粘度が小さくなって金型への塗布性が低下する傾向にあり、他方、前記下限未満である場合には、離型剤の離型性が低下する傾向にある。また、ポリアルキレングリコール(II−iii)においては、離型剤においてより優れた挿入性、離型性、洗浄性、塗布性が発揮される観点から、前記アルキレンオキサイド鎖の末端がエチレンオキサイドが付加してなる基(−EOH)であることが好ましい。
一般式(5)において、アルキレンオキシ基の平均付加モル数(f)は15〜600であり、45〜350であることが特に好ましい。また、ポリアルキレングリコール(II−iii)としては、重量平均分子量が1,000〜20,000であることが好ましく、2,000〜15,000であることがより好ましい。前記アルキレンオキシ基の平均付加モル数及び/又は前記重量平均分子量が前記上限を超える場合には、離型剤の挿入性が低下する傾向にある。他方、前記アルキレンオキシ基の平均付加モル数及び/又は前記重量平均分子量が前記下限未満である場合には、離型剤の挿入性及び離型性が低下する傾向にある。
ポリアルキレングリコール(II−iii)は、例えば、常法に従って、前記アルキレンオキサイドを重合(付加重合)させる方法により得ることができる。なお、このような方法において、反応の順序や原料の添加順序等は適宜変更することができる。
<グリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物(II−iV)>
前記グリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物(II−iV)は、下記一般式(6):
[式(6)中、Rは炭素数7〜17のアルキル基又は炭素数7〜17のアルケニル基を示し、AOは、それぞれ独立に、エチレンオキシ基(EO)又はプロピレンオキシ基(PO)を示し、g及びgはAOの平均付加モル数であって、それぞれ独立に、1〜149の整数を示し、g及びgの和(g+g)は20〜150であり、そのうち、エチレンオキシ基の平均付加モル数は15〜150であり、プロピレンオキシ基の平均付加モル数は0〜50である。]
で表わされるものである。
このような一般式(6)中、Rは炭素数7〜17のアルキル基又は炭素数7〜17のアルケニル基を示す。炭素数7〜17のアルキル基及び炭素数7〜17のアルケニル基としては、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、経済性の観点から、直鎖状であることが好ましく、炭素数12〜17の直鎖状アルキル基又は炭素数12〜17の直鎖状アルケニル基であることがより好ましい。
グリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物(II−iv)において、アルキレンオキサイドは、それぞれ独立に、エチレンオキサイド(エチレンオキシ基、EO)及び/又はプロピレンオキサイド(プロピレンオキシ基、PO)であり、一般式(6)において、かかるアルキレンオキサイドが付加してなるアルキレンオキサイド鎖としては、これらのうちの1種の単独付加であっても2種の共付加であってもよいが、離型剤における挿入性及び離型性と洗浄性との両立の観点から、共付加であることが好ましい。なお、共付加である場合にはブロック付加であってもランダム付加であってもよい。
一般式(6)において、アルキレンオキサイド鎖1つあたりのアルキレンオキシ基の平均付加モル数(g、g)は、それぞれ独立に、1〜149であり、10〜75であることがより好ましく、20〜60であることがさらに好ましい。前記アルキレンオキサイド鎖1つあたりの平均付加モル数が前記上限を超える場合には、離型剤において優れた挿入性、離型性、洗浄性、塗布性が発揮されない傾向にあり、他方、前記下限未満である場合には、離型剤において優れた挿入性、離型性及び塗布性が発揮されない傾向にある。また、一般式(6)中におけるアルキレンオキシ基の平均付加モル数の総和(g+g)は20〜150であり、40〜120であることが特に好ましい。前記アルキレンオキシ基の平均付加モル数の総和が前記上限を超える場合には、離型剤において優れた挿入性、離型性、洗浄性、塗布性が発揮されない傾向にあり、他方、前記下限未満である場合には、離型剤において優れた挿入性、離型性及び塗布性が発揮されない傾向にある。
また、一般式(6)において、同式中のアルキレンオキシ基のうち、エチレンオキシ基の平均付加モル数は15〜150であり、プロピレンオキシ基の平均付加モル数は0〜50である。また、離型剤において挿入性及び離型性と洗浄性とがいずれも優れる傾向にある観点から、エチレンオキシ基の平均付加モル数が15〜80であり、プロピレンオキシ基の平均付加モル数が5〜40であることが特に好ましい。さらに、一般式(6)中におけるエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基との平均付加モル数の比(エチレンオキシ基の平均付加モル数:プロピレンオキシ基の平均付加モル数)が、20:80〜60:40であることが好ましく、30:70〜50:50であることがより好ましい。プロピレンオキシ基の平均付加モル数に対するエチレンオキシ基の平均付加モル数が前記上限を超える場合には、離型剤の粘度が小さくなって金型への塗布性が低下する傾向にあり、他方、前記下限未満である場合には、離型剤の離型性が低下する傾向にある。また、グリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物(II−iv)においては、離型剤においてより優れた挿入性、離型性、洗浄性、塗布性が発揮される観点から、複数あるアルキレンオキサイド鎖のうちの少なくともいずれかの末端がエチレンオキサイドが付加してなる基(−EOH)であることが好ましく、前記アルキレンオキサイド鎖の全ての末端がエチレンオキサイドが付加してなる基であることがより好ましい。
グリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物(II−iv)としては、例えば、常法に従って、グリセリン脂肪酸又はその低級アルコールエステルに前記アルキレンオキサイドを付加重合させる方法により得ることができる。なお、このような方法において、反応の順序や原料の添加順序等は適宜変更することができる。また、グリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物(II−iv)としては、市販品を用いてもよい。
本発明において、一般式(1)で表わされるポリオキシアルキレン脂肪酸エステル(II−i)、一般式(2)で表わされるポリアミンのアルキレンオキサイド付加物(II−ii)、一般式(5)で表わされるポリアルキレングリコール(II−iii)及び一般式(6)で表わされるグリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物(II−iv)としては、それぞれ1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、(II)アルキレンオキサイド化合物としては、上記成分(II−i)〜(II−iV)のうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)との組み合わせにおいてより優れた挿入性、離型性、洗浄性、塗布性が発揮される観点から、(II)アルキレンオキサイド化合物としては、ポリアミンのアルキレンオキサイド付加物(II−ii)であることが特に好ましい。
[加硫ゴム用離型剤について]
本発明の加硫ゴム用離型剤は、前記不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)と前記アルキレンオキサイド化合物(II)とを含有するものである。
このような加硫ゴム用離型剤において、前記不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)の含有量は、加硫ゴム用離型剤の全質量に対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜5質量%であることがより好ましく、0.1〜3質量%であることが更に好ましい。このような成分(I)の含有量が前記範囲(0.01〜10質量%)内であると、より優れた挿入性、離型性が発揮される傾向にある。
また、このような加硫ゴム用離型剤において、アルキレンオキサイド化合物(II)の含有量は、加硫ゴム用離型剤の全質量に対して、10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましい。このような成分(II)の含有量が前記範囲(10〜90質量%)内であると、より優れた洗浄性が発揮される傾向にある。
また、このような加硫ゴム用離型剤において、前記不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)と前記アルキレンオキサイド化合物(II)との総量が、加硫ゴム用離型剤の全質量に対して1〜80質量%であることがより好ましく、5〜75質量%であることが更に好ましい。このような成分(I)と(II)の総量が前記範囲(1〜80質量%)内であると、より優れた挿入性、離型性、洗浄性が発揮される傾向にある。
さらに、このような加硫ゴム用離型剤において、前記不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)と前記アルキレンオキサイド化合物(II)との含有比率は、質量比([成分(I)]:[成分(II)])が0.01:99.99〜90.9:9.1であることが好ましく、0.05:99.95〜70:30であることがより好ましく、0.1:99.9〜50:50であることが更に好ましい。前記含有比率の範囲内であると、挿入性、離型性がより優れたものとなる傾向にある。
なお、本発明の加硫ゴム用離型剤においては、不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)及びアルキレンオキサイド化合物(II)に加えて、本発明の効果を阻害しない範囲内において、他の成分を更に含有していてもよい。以下、このような本発明の加硫ゴム用離型剤に含有し得る他の成分について説明する。
<他の成分(III)>
本発明の加硫ゴム用離型剤に利用可能な他の成分としては、下記一般式(7):
[式(7)中、EOはエチレンオキシ基を示し、hはEOの平均付加モル数であって1,000〜150,000の整数を示す。]
で表わされるポリエチレンオキサイドをさらに含有することが好ましい。前記ポリエチレンオキサイドを本発明の加硫ゴム用離型剤にさらに含有させることにより、特に(II)アルキレンオキサイド化合物としてポリアミンのアルキレンオキサイド付加物(II−i)を含有する場合において、より優れた塗布性、挿入性、離型性(特には塗布性)が発揮される。
一般式(7)において、エチレンオキシ基(EO)の平均付加モル数(h)は1,000〜150,000であり、1,000〜80,000であることが特に好ましい。また、前記ポリエチレンオキサイドとしては、重量平均分子量が40,000〜7,000,000であることが好ましく、40,000〜3,500,000であることがより好ましい。前記エチレンオキシ基の平均付加モル数及び/又は前記重量平均分子量が前記上限を超える場合には、離型剤の挿入性は向上する傾向にあるものの、離型性、洗浄性が低下する傾向にある。他方、前記エチレンオキシ基の平均付加モル数及び/又は前記重量平均分子量が前記下限未満である場合には、離型剤の塗布性、挿入性、離型性が低下する傾向にある。
前記ポリエチレンオキサイドは、例えば、常法に従って、エチレンオキサイドを重合(付加重合)させる方法により得ることができる。なお、このような方法において、反応の順序や原料の添加順序等は適宜変更することができる。
このようなポリエチレンオキサイドを本発明の加硫ゴム用離型剤に含有させる場合、その含有量としては、加硫ゴム用離型剤の全質量に対して10質量%以下であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。前記ポリエチレンオキサイドの含有量が前記上限を超える場合には、離型剤の挿入性は向上する傾向にあるものの、離型性、洗浄性が低下する傾向にあり、他方、前記下限未満である場合には、離型剤における塗布性、挿入性、離型性の向上効果が奏されない傾向にある。
また、本発明の加硫ゴム用離型剤としては、下記一般式(8):
[式(8)中、Rは炭素数8〜22のアルキル基又は炭素数8〜22のアルケニル基を示し、Zは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム、及び炭素数1〜3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアンモニウムからなる群から選択されるいずれか1種を示す。]
で表わされるモノカルボン酸塩をさらに含有することも好ましい。前記モノカルボン酸塩を本発明の加硫ゴム用離型剤にさらに含有させることにより、粘度が高くなってより優れた塗布性が発揮されると共に、挿入性及び洗浄性が向上する傾向にある。なお、本発明において、前記モノカルボン酸塩には、Zが水素原子であるモノカルボン酸も含む。
一般式(8)において、炭素数8〜22のアルキル基及び炭素数8〜22のアルケニル基としては、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。このようなアルキル基及びアルケニル基としては、炭素数が12〜22であることが好ましく、14〜20であることがより好ましい。炭素数が前記上限を超える場合には、疎水会合性が増すために離型剤の粘度が高くなりすぎて安定性が低下する傾向にあり、他方、前記下限未満である場合には、加硫ゴム用離型剤の塗布性が低下する傾向にある。これらの中でも、Rとしては、炭素数14〜20のアルケニル基であることが特に好ましい。
一般式(8)において、Zは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム、及び炭素数1〜3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアンモニウムからなる群から選択されるいずれか1種を示す。前記アルカリ金属原子としては、ナトリウム及びカリウムが好ましい。また、前記炭素数1〜3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアンモニウムとしては、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウムが好ましい。これらの中でも、Zとしては、離型剤においてより優れた挿入性及び離型性が発揮される傾向にある観点から、アルカリ金属原子及び水素原子のうちのいずれか1種であることが好ましく、水素原子、ナトリウム及びカリウムのうちのいずれか1種であることがより好ましい。
また、前記モノカルボン酸塩としては、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよいが、Zが水素原子であるモノカルボン酸と、Zがアルカリ金属原子、アンモニウム、及び炭素数1〜3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアンモニウムからなる群から選択されるいずれか1種であるモノカルボン酸塩とを組み合わせて用いることが好ましく、Rが互いに同一のモノカルボン酸とその塩とを組み合わせて用いることがより好ましい。また、このようなモノカルボン酸とモノカルボン酸塩との含有比(Zが水素原子であるモノカルボン酸の含有質量:Zがアルカリ金属、アンモニウム及び/又はアルカノールアンモニウムであるモノカルボン酸塩の含有質量)としては、40:60〜99:1であることが好ましい。
前記モノカルボン酸塩を本発明の加硫ゴム用離型剤に含有させる場合、その含有量としては、加硫ゴム用離型剤の全質量に対して1〜35質量%であることが好ましく、3〜15質量%であることがより好ましい。前記モノカルボン酸塩の含有量が前記上限を超える場合には、離型剤の安定性が低下する傾向にある。他方、前記下限未満である場合には、離型剤の増粘効果が奏されず塗布性が向上しない傾向にあり、また、離型剤における洗浄性の向上効果も奏されない傾向にある。
また、本発明の加硫ゴム用離型剤としては、下記一般式(9):
[式(9)中、Rは炭素数12〜22のアルキル基又は炭素数12〜22のアルケニル基を示し、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を示し、iはAOの平均付加モル数であって1〜30の整数を示し、AOが複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
で表わされる長鎖脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド付加物をさらに含有することも好ましい。前記長鎖脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド付加物を本発明の加硫ゴム用離型剤にさらに含有させることにより、挿入性及び離型性がより向上し、また、水溶性が向上してより優れた洗浄性が発揮される傾向にある。
前記長鎖脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド付加物は、長鎖脂肪族アルコールにアルキレンオキサイドが付加されたものである。一般式(9)において、炭素数12〜22のアルキル基及び炭素数12〜22のアルケニル基としては、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。このようなアルキル基及びアルケニル基としては、炭素数が18〜22であることが好ましい。炭素数が前記上限を超える場合には、疎水会合性が増すために離型剤の粘度が高くなりすぎて安定性が低下する傾向にあり、他方、前記下限未満である場合には、離型剤が発泡し易くなって作業性が低下する傾向にある。これらの中でも、Rとしては、炭素数が18〜22のアルケニル基であることが特に好ましい。
前記長鎖脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド付加物において、前記アルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド(エチレンオキシ基、EO)及び/又はプロピレンオキサイド(プロピレンオキシ基、PO)であり、かかるアルキレンオキサイドが付加してなるアルキレンオキサイド鎖としては、これらのうちの1種の単独付加であっても2種の共付加であってもよいが、離型剤における挿入性及び離型性と洗浄性との両立の観点から、エチレンオキサイドの単付加であることが好ましい。なお、共付加である場合にはブロック付加であってもランダム付加であってもよい。
一般式(9)において、アルキレンオキシ基の平均付加モル数(i)は1〜30であり、1〜10であることが特に好ましい。前記アルキレンオキシ基の平均付加モル数が前記上限を超える場合には、離型剤における挿入性及び離型性の向上効果が奏されない傾向にあり、他方、前記下限未満である場合には、離型剤の洗浄性が低下する傾向にある。
長鎖脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド付加物は、例えば、常法に従って、長鎖脂肪族アルコールに前記アルキレンオキサイドを付加重合させる方法により得ることができる。なお、このような方法において、反応の順序や原料の添加順序等は適宜変更することができる。
このような長鎖脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド付加物を本発明の加硫ゴム用離型剤に含有させる場合、その含有量としては、加硫ゴム用離型剤の全質量に対して1〜10質量%であることが好ましく、3〜15質量%であることがより好ましい。前記長鎖脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド付加物の含有量が前記上限を超えてもそれ以上の挿入性の向上効果は奏されない傾向にあり、他方、前記下限未満である場合には、離型剤の挿入性が十分に向上しない傾向にある。
また、本発明の加硫ゴム用離型剤としては、下記一般式(10):
[式(10)中、AOはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基及びブチレンオキシ基からなる群から選択されるいずれか1つの基を示し、jはAOの平均付加モル数であって1〜10の整数を示し、AOが複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
で表わされるグリコール溶媒をさらに含有することも好ましい。前記グリコール溶媒を本発明の加硫ゴム用離型剤にさらに含有させることにより、加硫ゴム用離型剤の安定性がより向上する傾向にある。
前記グリコール溶媒は、アルキレンオキサイドが重合(付加重合)したものである。前記グリコール溶媒において、前記アルキレンオキサイドは、エチレンオキサイド(エチレンオキシ基、EO)、プロピレンオキサイド(プロピレンオキシ基、PO)及びブチレンオキサイド(ブチレンオキシ基、BO)のうちのいずれかであり、かかるアルキレンオキサイドが付加してなるアルキレンオキサイド鎖としては、これらのうちの1種の単独付加であっても2種以上の共付加であってもよいが、離型剤においてより優れた安定性が発揮される傾向にある観点から、プロピレンオキサイドの単独付加であることが好ましい。なお、共付加である場合にはブロック付加であってもランダム付加であってもよい。
一般式(10)において、アルキレンオキシ基の平均付加モル数(j)は1〜5であり、1〜3であることが特に好ましい。前記アルキレンオキシ基の平均付加モル数が前記範囲内にあることにより、離型剤においてより優れた安定性が発揮される傾向にある。
前記グリコール溶媒は、例えば、常法に従って、前記アルキレンオキサイドを重合(付加重合)させる方法により得ることができる。なお、このような方法において、反応の順序や原料の添加順序等は適宜変更することができる。
このようなグリコール溶媒を本発明の加硫ゴム用離型剤に含有させる場合、その含有量としては、加硫ゴム用離型剤の全質量に対して1〜40質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。前記グリコール溶媒の含有量が前記上限を超える場合には、離型剤の粘度が低下して塗布性が低下する傾向にあり、他方、前記下限未満である場合には、離型剤の安定性が十分に向上しない傾向にある。
本発明の加硫ゴム用離型剤においては、離型性及び洗浄性向上の観点より、アニオン界面活性剤をさらに含有することが好ましい。このように、本発明の加硫ゴム用離型剤に利用可能な他の成分としては、アニオン界面活性剤を更に含有することが好ましい。
このようなアニオン界面活性剤としては、炭素数8〜22のアルコールの硫酸エステル、炭素数8〜22のアルコールのアルコキシル化物の硫酸エステル、ビスフェノールAのアルコキシル化の硫酸エステル、それらの塩等の硫酸エステル系化合物、アルキルベンゼンスルホン酸(アルキル基の炭素数8〜22)、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸(アルキル基の炭素数8〜22)、アルキルスルホコハク酸(アルキル基の炭素数8〜22)、パラフィンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、それらの塩等のスルホン酸系化合物、アルキルリン酸エステル、芳香族リン酸エステル、それらの塩等のリン酸エステル系化合物、アルキルホスホン酸(アルキル基の炭素数8〜22)、それらの塩等のホスホン酸系化合物、α−スルホ脂肪酸、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸、それらの塩等の脂肪酸系化合物等が好ましい。
また、このようなアニオン界面活性剤として利用可能な上述の化合物(前記硫酸エステル系化合物、前記スルホン酸系化合物等)における塩としては、アルカリ金属塩やアミン類の塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、モノタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。
さらに、前記アニオン界面活性剤としては、離型性及び洗浄性向上の観点より、スルホン酸系化合物、ホスホン酸系化合物がより好ましく、スルホン酸系化合物が更に好ましい。このようなスルホン酸系化合物の中でも、アルキルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、それらの塩がより好ましい。
また、前記アニオン界面活性剤を本発明の加硫ゴム用離型剤に含有させる場合、その含有量としては、離型性及び洗浄性向上の観点より、加硫ゴム用離型剤の全質量に対して
0.1〜20質量%であることが好ましく、0.3〜15質量%であることがより好ましく、0.5〜10質量%であることが更に好ましい。
さらに、本発明の加硫ゴム用離型剤としては、不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)、アルキレンオキサイド化合物(II)、及び必要に応じて上記他の成分に加えて、本発明の効果を阻害しない範囲内において、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾールなどの防錆剤;増粘剤;防腐剤;シリコーン;粘度鉱物等の添加剤をさらに含有していてもよい。これらの添加剤を本発明の加硫ゴム用離型剤に含有させる場合、その合計含有量としては、加硫ゴム用離型剤の全質量に対して1質量%以下であることが好ましい。
本発明の加硫ゴム用離型剤は、不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)、アルキレンオキサイド化合物(II)、及び必要に応じて上記他の成分や添加剤を適宜混合することで得ることができる。このような混合方法としては特に限定されない。
本発明の加硫ゴム用離型剤としては、環境負荷軽減の観点から、低濃度となるように水で希釈し、離型剤溶液として用いることが好ましい。本発明の加硫ゴム用離型剤は水に容易に溶解し、また、低濃度でも優れた挿入性、離型性、洗浄性及び塗布性のいずれも発揮することができる。さらに、安定性に優れるため、水で希釈した状態でも長期間保存することができる。本発明の加硫ゴム用離型剤をこのように水で希釈して離型剤溶液とする場合、その濃度としては、前記離型剤溶液の全質量に対する不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)及びアルキレンオキサイド化合物(II)の総含有量が、1〜80質量%となる濃度であることが好ましく、5〜75質量%となる濃度であることがより好ましい。
本発明の加硫ゴム用離型剤は、例えば、金型の加硫ゴム又は未加硫ゴムと接する部分に予め前記離型剤溶液を塗布する方法;未加硫ゴムホースの末端に前記離型剤溶液を塗布する方法;及びこれらの方法を組み合わせた方法等で使用することができる。前記金型としては、鉄製、ステンレス製、ジェラルミン製、アルミニウム製等の金型が挙げられ、形状は特に制限されないが、本発明の加硫ゴム用離型剤は、加硫ゴムホースの成型に用いるマンドレルに適用する離型剤として好適に用いることができる。前記塗布の方法としては、特に制限されず、従来公知の方法を採用することができ、スプレーガンを用いて吹き付ける方法(スプレー塗布)や刷毛で塗布する方法等が挙げられる。塗布量は、前記離型剤溶液の濃度、加硫ゴム又は未加硫ゴムの種類や挿入速度、金型の温度等によって適宜調整することができる。
前記加硫ゴムとしては、特に制限されず、天然ゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリル・ブタジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を加硫したものが挙げられる。本発明の加硫ゴム用離型剤は、例えば、エチレン・プロピレン・ジエンゴムを加硫した加硫ゴムに対して好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
先ず、各実施例等で用いた重合体(成分(I)又はその比較成分)、その粘度の測定方法、各実施例等で用いたアルキレンオキサイド化合物(成分(II)又はその比較成分)、並びに、各実施例等で用いたその他の成分(III)について説明する。
<重合体(成分(I)又はその比較成分)について>
各実施例等において用いた「重合体(成分(I)又はその比較成分)」について説明する。なお、このような重合体(成分(I)又はその比較成分)としては、以下のようにして合成された又は準備された重合体のうちのいずれかを選択して用いた。
(合成例1:重合体(A)の調製)
温度計、撹拌装置、N導入管を付した1リットルのフラスコ内に、メタノール368.75質量部と、水酸化ナトリウム(東ソー株式会社製の商品名「トーソーパール」:以下、単に「水酸化ナトリウム」という)53.75質量部と、アクリル酸205.03質量部と、メタクリル酸ラウリル45.0質量部とをゆっくりと添加して混合物を得た。その後、得られた混合物を撹拌混合しながら、フラスコ内のガスを窒素置換するとともに、温度を65℃まで昇温した。次いで、フラスコ内の温度が65℃に維持されるように加熱しながら、前記フラスコ内にラジカル開始剤である4,4’−アゾビスシアノ吉草酸0.265質量部を更に添加し、得られた混合物を撹拌して11時間反応を継続せしめた。その後、加熱を停止して前記フラスコ内の温度が30℃になるまで自然冷却した後、水酸化ナトリウム70.65質量部で中和し、得られたスラリー液から固形分をろ過、乾燥することにより、粉末状の不飽和カルボン酸単位含有重合体を得た。このようにして得られた不飽和カルボン酸単位含有重合体は、単量体の仕込み量やその製造方法から、アクリル酸及びそのナトリウム塩を70質量%以上の割合で含む単量体成分(アクリル酸及びそのナトリウム塩からなる単量体並びにメタクリル酸ラウリル(を含む単量体組成物)を重合して得られる重合物のナトリウム塩(以下、「重合体(A)」と称する。)であることは明らかである。得られた不飽和カルボン酸単位含有重合体の特性を表1に示す。
(合成例2:重合体(B)の調製)
温度計、撹拌装置、N導入管を付した500mlのフラスコ内に、メタノール(180質量部)及びメチルエチルケトン(100質量部)からなる溶媒280質量部と、アクリル酸100質量部と、ポリエチレングリコール(オキシエチレンの平均付加モル数:4モル)のメタクリル酸ジエステル(新中村工業株式会社製の商品名「4G」:0.17質量部)及びトリメチロールプロパンジアリルエーテル(株式会社大阪ソーダ製の商品名「ネオアリルT−20」:1.0質量部)からなる架橋性単量体1.17質量部とを添加して混合物を得た。その後、得られた混合物を撹拌混合しながら、フラスコ内のガスを窒素置換するとともに、温度を68℃まで昇温した。次いで、フラスコ内の温度が68℃に維持されるように加熱しながら、前記フラスコ内にラジカル開始剤である4,4’−アゾビスシアノ吉草酸0.02質量部を更に添加し、得られた混合物を撹拌して8時間反応を継続せしめた。その後、加熱を停止して前記フラスコ内の温度が30℃になるまで自然冷却した後、得られたスラリー液から固形分をろ過、乾燥することにより、粉末状の不飽和カルボン酸単位含有重合体を得た。このようにして得られた不飽和カルボン酸単位含有重合体は、単量体の仕込み量やその製造方法から、アクリル酸(98.8質量%)及び架橋性単量体(1.2質量%)を含有する単量体成分の重合体(以下、「重合体(B)」と称する。)であることは明らかである。得られた不飽和カルボン酸単位含有重合体の特性を表1に示す。
(合成例3:重合体(C)の調製)
温度計、撹拌装置、N導入管を付した300mlのフラスコ内に、メタノール108質量部と、アクリル酸11.8質量部と、架橋性単量体であるジエチレングリコールビスアリルエーテル0.2質量部とをゆっくりと添加して混合物を得た。その後、得られた混合物を撹拌混合しながら、フラスコ内のガスを窒素置換するとともに、温度を50℃まで昇温した。次いで、フラスコ内の温度が45〜50℃に維持されるように加熱しながら、フラスコ内にラジカル開始剤である4,4’−アゾビスシアノ吉草酸0.06質量部を更に添加し、得られた混合物を撹拌して12時間反応を継続せしめた。その後、加熱を停止して前記フラスコ内の温度が30℃になるまで自然冷却した後、水酸化ナトリウム6.5質量部で中和し、得られたスラリー液から固形分をろ過、乾燥することにより、粉末状の不飽和カルボン酸単位含有重合体を得た。このようにして得られた不飽和カルボン酸単位含有重合体は、単量体の仕込み量やその製造方法から、アクリル酸(98.3質量%)及び架橋性単量体(1.7質量%)を含有する単量体成分を重合して得られる重合物のナトリウム塩(以下、「重合体(C)」と称する。)であることは明らかである。得られた不飽和カルボン酸単位含有重合体の特性を表1に示す。
(合成例4:重合体(D)の調製)
温度計、撹拌装置、N導入管を付した500mlのフラスコ内に、エタノール200質量部と、アクリル酸6質量部と、アクリル酸ナトリウム49質量部と、架橋性単量体であるショ糖アリルエーテル(エーテル化度2.8)4質量部と、メタクリルアミド(メタクリルアマイド)5質量部をゆっくりと添加して混合物を得た。その後、得られた混合物を撹拌混合しながら、フラスコ内のガスを窒素置換するとともに、温度を67℃まで昇温した。次いで、フラスコ内の温度が63〜67℃に維持されるように加熱しながら、フラスコ内にラジカル開始剤である4,4’−アゾビスシアノ吉草酸0.1質量部を更に添加し、得られた混合物を撹拌して9時間反応を継続せしめた。その後、加熱を停止して前記フラスコ内の温度が30℃になるまで自然冷却した後、水酸化ナトリウム3.3質量部で中和し、得られたスラリー液から固形分をろ過、乾燥することにより、粉末状の不飽和カルボン酸単位含有重合体を得た。このようにして得られた不飽和カルボン酸単位含有重合体は、単量体の仕込み量やその製造方法から、アクリル酸及びそのナトリウム塩(85.9質量%)、架橋性単量体(6.3質量%)及びその他の単量体であるメタクリルアミド(7.8質量%)を含有する単量体成分を重合して得られる重合物のナトリウム塩(以下、「重合体(D)」と称する。)であることは明らかである。得られた不飽和カルボン酸単位含有重合体の特性を表1に示す。
(合成例5:重合体(E)の調製)
アクリル酸(11.8質量部)を用いる代わりにメタクリル酸を11.8質量部用い、かつ、架橋性単量体としてジエチレングリコールビスアリルエーテル(0.2質量部)を用いる代わりに下記式:
で表されるエチレングリコールメタリルエーテルを0.3質量部用いた以外は合成例3と同様にして粉末状の不飽和カルボン酸単位含有重合体を得た。このようにして得られた不飽和カルボン酸単位含有重合体は、単量体の仕込み量やその製造方法から、メタクリル酸(97.5質量%)及び架橋性単量体(2.5質量%)を含有する単量体成分を重合して得られる重合物のナトリウム塩(以下、「重合体(E)」と称する。)であることは明らかである。得られた不飽和カルボン酸単位含有重合体の特性を表1に示す。
(合成例6:重合体(F)の調製)
温度計、撹拌装置、N導入管を付した500mlのフラスコ内に、エタノール290質量部と、アクリル酸90質量部と、メタクリル酸ラウリル10質量部、架橋性単量体であるペンタエリスリトールトリアリルエーテル0.95質量部とを添加した後、更に、水酸化ナトリウム18質量部と水9質量部とを温度が40℃以下に保たれるようにゆっくりと添加して混合物を得た。その後、得られた混合物を撹拌混合しながら、フラスコ内のガスを窒素置換するとともに、温度を68℃まで昇温した。次いで、フラスコ内の温度が68℃に維持されるように加熱しながら、フラスコ内にラジカル開始剤である4,4’−アゾビスシアノ吉草酸0.013質量部を更に添加し、得られた混合物を撹拌して8時間反応を継続せしめた。その後、加熱を停止して前記フラスコ内の温度が30℃になるまで自然冷却した後、温度が50℃以上にならないように、水酸化ナトリウム33質量部をゆっくりと添加することにより中和し、得られたスラリー液から固形分をろ過、乾燥することにより、粉末状の不飽和カルボン酸単位含有重合体を得た。このようにして得られた不飽和カルボン酸単位含有重合体は、単量体の仕込み量やその製造方法から、アクリル酸及びそのナトリウム塩を70質量%以上の割合で含む単量体成分(アクリル酸及びそのナトリウム塩からなる単量体、メタクリル酸ラウリル並びに架橋性単量体を含む単量体組成物)を重合して得られる重合物のナトリウム塩(以下、「重合体(F)」と称する。)であることは明らかである。得られた不飽和カルボン酸単位含有重合体の特性を表1に示す。
(合成例7:重合体(G)の調製)
架橋性単量体としてジエチレングリコールビスアリルエーテル(0.2質量部)を用いる代わりにジエチレングリコールビスメタリルエーテルを0.12質量部用いた以外は合成例3と同様にして粉末状の不飽和カルボン酸単位含有重合体を得た。このようにして得られた不飽和カルボン酸単位含有重合体は、単量体の仕込み量やその製造方法から、アクリル酸(99.0質量%)及び架橋性単量体(1.0質量%)を含有する単量体成分を重合して得られる重合物のナトリウム塩(以下、「重合体(G)」と称する。)であることは明らかである。得られた不飽和カルボン酸単位含有重合体の特性を表1に示す。
(合成例8:重合体(H)の調製)
温度計、攪拌装置、N導入管を付した500mlのフラスコ内に、メタノール(125質量部)及びアセトン(110質量部)からなる溶媒235質量部と、アクリル酸100質量部と、メタクリル酸アリル(0.17質量部)及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル(0.47質量部)からなる架橋性単量体0.64質量部とをゆっくりと添加して混合物を得た。その後、得られた混合物を撹拌混合しながら、フラスコ内のガスを窒素置換するとともに、温度を室温(25℃)から68℃まで昇温した。次いで、フラスコ内の温度が68℃に維持されるように加熱しながら、フラスコ内にラジカル開始剤である4,4’−アゾビスシアノ吉草酸0.02質量部を更に添加し、得られた混合物を撹拌して8時間反応を継続せしめた。その後、加熱を停止して前記フラスコ内の温度が30℃になるまで自然冷却した後、トリエタノールアミン103質量部を温度が50℃以上とならないようにゆっくりと添加して中和し、得られたスラリー液から固形分をろ過、乾燥することにより、粉末状の不飽和カルボン酸単位含有重合体を得た。このようにして得られた不飽和カルボン酸単位含有重合体は、単量体の仕込み量やその製造方法から、アクリル酸(99.4質量%)及び架橋性単量体(0.6質量%)を含有する単量体成分を重合して得られる重合物のトリエタノールアミン塩(以下、「重合体(H)」と称する。)であることは明らかである。得られた不飽和カルボン酸単位含有重合体の特性を表1に示す。
(比較合成例1:重合体(I)の調製)
温度計、攪拌装置、N導入管を付した300mlフラスコ内に、イソプロピルアルコール45質量部と、メタクリル酸3質量部と、アクリルアマイド47質量部と、架橋性単量体であるジエチレングリコールジアクリレート5質量部とをゆっくりと添加して混合物を得た。その後、得られた混合物を撹拌混合しながら、フラスコ内のガスを窒素置換するとともに、温度を55℃まで昇温した。次いで、フラスコ内の温度が55℃に維持されるように加熱しながら、フラスコ内にラジカル開始剤である4,4’−アゾビスシアノ吉草酸0.1質量部を更に添加し、得られた混合物を撹拌して6時間反応を継続せした。その後、加熱を停止して前記フラスコ内の温度が30℃になるまで自然冷却した後、水酸化ナトリウム1.38質量部で中和し、得られたスラリー液から固形分をろ過、乾燥することにより、粉末状の不飽和カルボン酸単位含有重合体を得た。このようにして得られた不飽和カルボン酸単位含有重合体は、単量体の仕込み量やその製造方法から、メタクリル酸(5.5質量%)、架橋性単量体(9.0質量%)及びアクリルアマイド(85.5質量%)を含有する単量体成分を重合して得られる重合物のナトリウム塩(以下、「比較用重合体(I)」と称する。)であることは明らかである。得られた不飽和カルボン酸単位含有重合体の特性を表1に示す。
(比較合成例2:重合体(J)の調製)
温度計、攪拌装置、N導入管を付した300mlフラスコ内に、ベンゼン108質量部と、メタクリル酸118質量部と、架橋性単量体であるジエチレングリコールメタリルエーテル3.0質量部とをゆっくりと添加して混合物を得た。その後、得られた混合物を撹拌混合しながら、フラスコ内のガスを窒素置換するとともに、温度を50℃まで昇温した。次いで、フラスコ内の温度が45〜50℃に維持されるように加熱しながら、フラスコ内にラジカル開始剤である4,4’−アゾビスシアノ吉草酸0.06質量部を更に添加し、得られた混合物を撹拌して12時間反応を継続せしめた。その後、加熱を停止して前記フラスコ内の温度が30℃になるまで自然冷却した後、水酸化ナトリウム54.3質量部で中和し、得られたスラリー液から固形分をろ過、乾燥することにより、粉末状の不飽和カルボン酸単位含有重合体を得た。このようにして得られた不飽和カルボン酸単位含有重合体は、単量体の仕込み量やその製造方法から、メタクリル酸(97.5質量%)及び架橋性単量体(2.5質量%)を含有する単量体成分の重合体(以下、「比較用重合体(J)」と称する。)であることは明らかである。得られた不飽和カルボン酸単位含有重合体の特性を表1に示す。
(比較合成例3:比較用重合体(K))
比較用の重合体として市販のヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業株式会社製の商品名「メトローズ90SH−100000」:比較用重合体(K))を準備した。かかる重合体の特性を表1に示す。
[不飽和カルボン酸単位含有重合体の粘度の測定方法]
不飽和カルボン酸単位含有重合体の粘度を以下のようにして測定した。すなわち、各合成例等で得られた不飽和カルボン酸単位含有重合体の濃度が0.5質量%となるようにして水溶液を調製したものを測定試料(0.5質量%水溶液)として用い、測定装置としてはB型粘度計(東機産業株式会社製の商品名「BII形粘度計(BLII)」)を利用して、温度20℃の条件で回転数を6rpmに設定し、測定される粘度に応じて最適なロータを選択して利用することにより、不飽和カルボン酸重合体の粘度を測定した(JIS Z 8803(2011)の規格に準拠した測定方法)。なお、ロータとしては、粘度が0〜1000mPa・sの範囲のものについてはNo.1ローターを使用し、粘度が0〜5000mPa・sの範囲のものについてはNo.2ローターを使用し、粘度が0〜20000mPa.sの範囲のものについてはNo.3ローターを使用し、粘度が0〜100000mPa.sである場合にはNo.4ローターを使用した。
<アルキレンオキサイド化合物について>
各実施例等において用いた「アルキレンオキサイド化合物(成分(II))又はその比較成分)」について説明する。なお、各実施例等においては、前記アルキレンオキサイド化合物(成分(II))又はその比較成分)として下記(A)〜(G)に示す化合物を適宜利用した。
(A)次式:
で表わされる化合物[エチレンジアミンPO(40モル)EO(8モル)付加物]、
(B)次式:
で表わされる化合物[エチレンジアミンPO(52モル)EO(48モル)付加物]、
(C)次式:
で表わされる化合物[ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(34モル)グリコール)、
(D)次式:
(上記式中、Rはペンタデシル基又はヘプタデシル基を示す。)
で表わされる化合物[グリセリンモノ脂肪酸(C16,18)エステルPO(30モル)EO(20モル)付加物]、
(E)次式:
R−C(O)−O−(EO)n−C(O)−R
(上記式中、Rは炭素数17のアルキル基を示し、nは250を示す)
で表される化合物[ポリオキシエチレン(250モル)ステアリン酸ジエステル]、
(F)次式:
で表わされる化合物[エチレンジアミンPO(8モル)EO(4モル)付加物:比較成分]、及び、
(G)次式:
で表わされる化合物[エチレンジアミンPO(240モル)EO(800モル)付加物:比較成分]。
<その他の成分(III)について>
各実施例等において用いた「その他の成分(III)」について説明する。なお、各実施例等においては、その他の成分(III)として下記(A)〜(D)に示す成分を適宜利用した。
(A)トリプロピレングリコール、
(B)重量平均分子量が1,600,000(一般式(7)中のh:36,360)のポリエチレンオキサイド(住友精化株式会社製の商品名「PEO−8」)、
(C)オクチルホスホン酸ナトリウム(オクチルホスホン酸のナトリウム塩:アニオン界面活性剤:ソルベイ株式会社製の商品名「Rhodafac ASI−80」)、
(D)ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸のナトリウム塩:アニオン界面活性剤:三洋化成工業株式会社製の商品名「エレミノールMON−7」)。
(実施例1〜15)
下記表2〜3に示す組成となるように、所定量の水に対して、所定量の成分(I)、所定量の成分(II)及び所定量の成分(III)を添加して混合することにより、加硫ゴム用離型剤(離型剤溶液)をそれぞれ得た。なお、表2〜3中の空欄部は0質量%であることを示す。
(比較例1〜9)
下記表4に示す組成となるように、所定量の水に対して、所定量の成分(I)又はその比較成分;所定量の成分(II)又はその比較成分;及び場合により所定量の成分(III)を添加して混合することにより、加硫ゴム用離型剤(離型剤溶液)をそれぞれ得た。なお、表4中の空欄部は0質量%であることを示す。
[加硫ゴム用離型剤(離型剤溶液)の特性の評価方法]
各実施例及び各比較例で得られた離型剤溶液を用いて、それぞれ、以下の方法で、挿入性(潤滑性)、離型性、洗浄性、塗布性(常温塗布性及び高温塗布性)を評価した。結果をそれぞれ表2〜表3に示す。
(挿入性(潤滑性))
離型剤溶液を水で3倍に希釈し、SUS304製の鋼板(厚さ:1.0mm、10×170mm)の表面に、離型剤成分(離型剤溶液から水を除いた成分)が1gになるように塗布した。次いで、離型剤成分を塗布した面上に加硫済みのエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)からなるゴムシート(厚さ:2.0mm、60×120mm)を積層した。前記ゴムシートの上面から一定の加重を手で掛けた状態で同ゴムシートを面と平行の方向へスライドさせたときの潤滑性を以下の基準:
5:スムーズにスライドできる
4:スライドできる
3:抵抗はあるがスライドできる
2:かなり抵抗はあるがスライドできる
1:スライドできない
に従って評価した。なお、上記の潤滑性に優れるほど、金型への挿入性に優れるものと判断できる。
(離型性)
離型剤溶液を水で3倍に希釈し、SUS304製の鋼板(厚さ:1.0mm、10×170mm)の表面に、離型剤成分(離型剤溶液から水を除いた成分)が1gになるように塗布した。次いで、離型剤成分を塗布した面上に加硫済みのエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)からなるゴムシート(厚さ:2.0mm、60×120mm)を積層し、150℃で30分間加熱した後に空冷した。空冷後、前記ゴムシートの上面から一定の加重を手で掛けた状態で同ゴムシートを面と平行の方向へスライドさせたときの潤滑性を以下の基準:
5:スムーズにスライドできる
4:スライドできる
3:抵抗はあるがスライドできる
2:かなり抵抗はあるがスライドできる
1:スライドできない
に従って評価した。なお、上記の加熱後の潤滑性に優れるほど、成型後の離型性に優れるものと判断できる。
(洗浄性)
離型剤溶液を水で3倍に希釈し、SUS304製の鋼板(厚さ:1.0mm、10×170mm)の表面に、離型剤成分(離型剤溶液から水を除いた成分)が1gになるように塗布した。次いで、離型剤成分を塗布した面に加硫済みのエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)からなるゴムシート(厚さ:2.0mm、60×120mm)を積層させ、150℃で30分間加熱した後に空冷した。次いで、空冷後の離型剤が付着したゴムシートを20℃の水に1分間浸漬して取り出し、乾燥させた。乾燥後のゴムシートから脱落した離型剤量より、以下の基準:
5:0.9g以上脱落した
4:0.8g以上0.9g未満脱落した
3:0.7g以上0.8g未満脱落した
2:0.6g以上0.7g未満脱落した
1:ほとんど脱落していない(0.1g以下)
に従って評価した。
(常温塗布性:付着性1)
離型剤溶液を水で3倍に希釈して20℃にし、これに、加硫済みのエチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)からなるゴムシート(厚さ:2.0mm、60×120mm)を浸漬した後、水面に対してゴムシートの面が垂直になるように引き上げてそのまま1分間静置した。静置後のゴムシートの質量及び浸漬前のゴムシートの質量から、ゴムシートの単位面積あたりに付着した離型剤量を算出し、以下の基準:
5:0.1g/cm以上付着した
4:0.08g/cm以上0.1g/cm未満付着した
3:0.07g/cm以上0.08g/cm未満付着した
2:0.05g/cm以上0.07g/cm未満付着した
1:ほとんど付着していない(0.05g/cm未満)
に従って、常温のゴムシートに対する離型剤溶液の付着性(常温塗布性)を評価した。
(高温塗布性:付着性2)
あらかじめ秤量したSUS304製の鋼板(厚さ:1.0mm、10×170mm)を120℃に加熱し、25℃の各離型剤溶液に浸漬した後、水面に対して前記鋼板の面が垂直になるように引き上げてそのまま1分間静置した。静置後の鋼板の質量を秤量し、浸漬前後の質量変化から、鋼板の単位面積あたりに付着した離型剤量を算出し、以下の基準:

5:0.03g/cm以上付着した
4:0.02g/cm以上0.03g/cm未満付着した
3:0.017g/cm以上0.02g/cm未満付着した
2:0.015g/cm以上0.017g/cm未満付着した
1:ほとんど付着していない(0.005g/cm未満)
に従って、高温の鋼板に対する離型剤溶液の付着性(高温塗布性)を評価した。
表2〜4に示す結果からも明らかなように、本発明の加硫ゴム用離型剤(実施例1〜15)においては、挿入性、離型性、洗浄性、常温塗布性及び高温塗布性がいずれも3以上の評価となっており、各特性を十分に高度な水準でバランスよく有することが確認され、挿入性、離型性、洗浄性、常温塗布性及び高温塗布性のいずれもが十分に優れたものであることが分かった。また、粘度が10〜90000mPa・sの範囲内にある不飽和カルボン酸単位含有重合体(成分(I))とアルキレンオキサイド化合物(成分(II))とを組み合わせた本発明の加硫ゴム用離型剤(実施例1〜15)において、架橋構造を有する成分(I)を利用した本発明の加硫ゴム用離型剤(実施例2〜15)がいずれも、架橋構造を持たない成分(I)を利用した本発明の加硫ゴム用離型剤(実施例1)よりも、高温塗布性がより高度なものとなることが分かった。
以上説明したように、本発明によれば、挿入性、離型性、洗浄性、常温塗布性及び高温塗布性をいずれも十分に優れたものとすることが可能な加硫ゴム用離型剤を提供することが可能となる。

Claims (3)

  1. 不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)とアルキレンオキサイド化合物(II)とを含有しており、
    前記不飽和カルボン酸単位含有重合体(I)が、エチレン性不飽和カルボン酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の単量体を20質量%以上の割合で含む単量体成分の重合体であり、かつ、B型粘度計を用いて温度20℃、回転数6rpmの条件で測定される0.5質量%水溶液の粘度が10〜90000mPa・sであるものであり、かつ、
    前記アルキレンオキサイド化合物(II)が、
    下記一般式(1):
    [式(1)中、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を示し、aはAOの平均付加モル数であって20〜400の整数を示し(ただし、該平均付加モル数のうち、エチレンオキシ基の平均付加モル数は20〜300の整数を示し、かつ、プロピレンオキシ基の平均付加モル数は0〜100の整数を示す。)、Rは炭素数9〜21の直鎖状のアルキル基、炭素数9〜21の分岐鎖状のアルキル基、炭素数9〜21の直鎖状のアルケニル基、又は、炭素数9〜21の分岐鎖状のアルケニル基を示し、Xは水素原子又は式:−C(O)−Y(式中のYは炭素数9〜21の直鎖状のアルキル基、炭素数9〜21の分岐鎖状のアルキル基、炭素数9〜21の直鎖状のアルケニル基、又は、炭素数9〜21の分岐鎖状のアルケニル基を示す。)で表される基を示す。]
    で表されるポリオキシアルキレン脂肪酸エステル(II−i)、
    下記一般式(2):
    [式(2)中、bは2〜5の整数を示し、cは2〜5の整数を示し、dは0〜8の整数を示し、Rは、それぞれ独立に、下記一般式(3):
    [式(3)中、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を示し、eはAOの平均付加モル数であって1〜350の整数を示し、AOが複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
    で表わされる基を示し、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、及び、下記一般式(4):
    [式(4)中、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を示し、eはAOの平均付加モル数であって1〜350の整数を示し、AOが複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
    で表わされる基からなる群から選択されるいずれか1つの基を示し、e及びeの総和(eの総和+eの総和)は20〜700である。]
    で表わされるポリアミンのアルキレンオキサイド付加物(II−ii)、
    下記一般式(5):
    [式(5)中、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を示し、fはAOの平均付加モル数であって15〜600の整数を示し、複数あるAOは同一でも異なっていてもよい。]
    で表わされるポリアルキレングリコール(II−iii)、及び
    下記一般式(6):
    [式(6)中、Rは炭素数7〜17のアルキル基又は炭素数7〜17のアルケニル基を示し、AOは、それぞれ独立に、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を示し、g及びgはAOの平均付加モル数であって、それぞれ独立に、1〜149の整数を示し、g及びgの和(g+g)は20〜150であり、そのうち、エチレンオキシ基の平均付加モル数は15〜150であり、プロピレンオキシ基の平均付加モル数は0〜50である。]
    で表わされるグリセリン脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物(II−iv)
    からなる群から選択される少なくとも1種のアルキレンオキサイド化合物であること、
    を特徴とする加硫ゴム用離型剤。
  2. 下記一般式(7):
    [式(7)中、EOはエチレンオキシ基を示し、hはEOの平均付加モル数であって1,000〜150,000の整数を示す。]
    で表わされるポリエチレンオキサイドをさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の加硫ゴム用離型剤。
  3. 下記一般式(8):
    [式(8)中、Rは炭素数8〜22のアルキル基又は炭素数8〜22のアルケニル基を示し、Zは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム、及び炭素数1〜3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアンモニウムからなる群から選択されるいずれか1種を示す。]
    で表わされるモノカルボン酸塩、
    下記一般式(9):
    [式(9)中、Rは炭素数12〜22のアルキル基又は炭素数12〜22のアルケニル基を示し、AOはエチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基を示し、iはAOの平均付加モル数であって1〜30の整数を示し、AOが複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
    で表わされる長鎖脂肪族アルコールのアルキレンオキサイド付加物、及び
    下記一般式(10):
    [式(10)中、AOはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基及びブチレンオキシ基からなる群から選択されるいずれか1つの基を示し、jはAOの平均付加モル数であって1〜5の整数を示し、AOが複数ある場合は同一でも異なっていてもよい。]
    で表わされるグリコール溶媒
    からなる群から選択される少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の加硫ゴム用離型剤。
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