JP5464973B2 - ウレタン製バンパスプリングの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のサスペンション機構におけるショックアブソーバのピストンロッドに装着され、このショックアブソーバの作動ストロークを弾性的に制限するウレタン製バンパスプリングの製造方法に関するものである。
例えば、図2に示すように、車両のサスペンションを構成するショックアブソーバ30のピストンロッド31には、ゴムや発泡ポリウレタン樹脂等の弾性体からなる略筒状(蛇腹形状)のバンパスプリング2が外挿され、このショックアブソーバ30のシリンダ(アブソーバプレート)32と、車体側の取付部(アッパーサポート33)との間に配置されている(特許文献1を参照)。
この車両用バンパスプリングの代表として、発泡ポリウレタン樹脂(以下「ウレタン」と略す)を用いたウレタン製バンパスプリングがあげられる。また、上記ウレタン製バンパスプリングを製造する方法としては、通常、成形型(金型)を用いたモールド成形が用いられる(特許文献2を参照)。
上記ウレタンのモールド成形は、主型(おもがた)と中子(なかご)からなる成形型(金型)の成形キャビティ内に、ウレタン原料を注入(注型)して加熱することにより、成形型内においてウレタン原料を反応(発泡)させて硬化させた後、上記成形型から取り出し、筒状のウレタン成形体内側の成形型中子を抜き取って(脱型して)から、製品としてのウレタン製バンパスプリングを得る方法である。なお、ウレタンの発泡・硬化方法には、一次硬化,二次硬化の2段階の加熱ステップを経て行う方法もあり、その場合は、一次硬化したウレタン成形体(半硬化品)内側の成形型中子を抜き取って(脱型して)から、このウレタン成形体をさらに加熱して二次硬化させ、完全硬化品(製品)としてのウレタン製バンパスプリングを得る(特許文献3を参照)。
そして、上記のようなモールド成形を用いたウレタン製バンパスプリングの製造方法においては、硬化後のウレタン成形体の成形型からの離型(脱型)を容易にするために、ウレタン原料の注型前に、予め、成形型を構成する略筒状の主型の内面および円筒状の中子の外面に、離型剤を塗布しておく方法が採用されており、従来より、このウレタン用離型剤として、フッ素系,シリコーン系等の溶剤系離型剤が汎用されており、これに代わるものとして、離型成分を水に分散させた水系離型剤が多種提案されている(特許文献4参照)。
特に、上記車両用(自動車用)のウレタン製バンパスプリングにおいては、図2のように、その中空円筒形状の本体(2)の内面(内周面2a)に、バンパスプリング長手方向(軸方向)の伸縮を容易にして衝撃吸収力を高めるための内側環状凹部2c,2c・・・が複数形成されている。そのため、この部位は、バンパスプリングの下端開口2bより大径で、いわばアンダーカットとなることから、成形型(図示省略)からの脱型時に、成形型中子のいわゆる「無理抜き」が発生する。この場合は、上記成形型の中子の外周面(アンダーカットとなる部位)に、離型(脱型)性に優れる離型剤を充分に塗布しておく必要がある。
特許第3758343号公報 特開2004−293697号公報 特開2006−56132号公報 特開平7−329098号公報
ところで、ウレタン用の溶剤系離型剤は、その離型剤成分をトルエン,キシレンや塩化メチレン等の揮発性有機溶剤で希釈しており、これら揮発性有機溶剤のなかには、環境規制物質に該当するものもある。そこで、近年の工場等における作業環境改善の要望から、有機溶剤を含有しない、ウレタン用の水系離型剤の開発が望まれている。
しかしながら、従来のウレタン用水系離型剤は、安全性は高いものの、溶剤系離型剤を使用した場合に比べ、脱型後のウレタン成形品(製品)の表面摩擦抵抗(摩擦係数)が高くなる傾向にあり、車両用のウレタン製バンパスプリングにおいては、組み付け相手部材(ショックアブソーバのピストンロッド等)への組み付け性の悪化を招いたり、ショックアブソーバの作動時に異音が発生する等の不具合が生じたりする不具合がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、水系離型剤を使用しながらも、溶剤系離型剤を用いた場合と同等の低い摩擦係数を有するウレタン製バンパスプリングを効率良く製造する方法の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、成形型のキャビティの壁面に、水系離型剤を塗布し、このキャビティ内にウレタン原料を注入して加熱することにより、上記成形型内でウレタン原料を硬化させる工程と、上記硬化後のウレタン成形体を成形型より取り出す脱型工程と、を備えるウレタン製バンパスプリングの製造方法であって、上記水系離型剤が、樹脂パウダを含有しており、この樹脂パウダが、上記硬化後のウレタン成形体の表面に転写されているウレタン製バンパスプリングの製造方法を、その要旨とする。
すなわち、本発明者は、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、溶剤系離型剤使の場合バンパスプリングの表面摩擦が低くなるのは、その離型成分がウレタン製品の表面に転写されるからであるが、ウレタン用水系離型剤では、離型成分を水に分散させる必要があるため離型成分の種類が限定され、揮発性に富む溶剤ではなく溶媒に水を用いることから、この離型成分が製品表面に転写されにくくなっていることを見出した。そこで、従来のウレタン用水系離型剤に、ウレタン成形体の表面に積極的に移行(付着)する性質を有する樹脂パウダを添加することにより、このウレタン製品(バンパスプリング)の表面摩擦抵抗を低減できることを見出し、本発明に到達した。
発明のウレタン製バンパスプリングを製造する方法は、成形型のキャビティの壁面に、水系離型剤を塗布し、このキャビティ内にウレタン原料を注入して加熱することにより、上記成形型内でウレタン原料を硬化させる工程と、上記硬化後のウレタン成形体を成形型より取り出す脱型工程と、を備えるウレタン製バンパスプリングの製造方法であって、上記水系離型剤に、金型を構成する金属への親和性よりウレタンに対する親和性の方が高い樹脂からなる樹脂パウダ(以下、「ウレタンに対する親和性の高い樹脂パウダ」)を含有させている。そのため、上記樹脂パウダの摩擦低減作用によって、ウレタン成形体の成形型からの脱型が容易になるとともに、この樹脂パウダがウレタン成形体に転写され、表面に散在するようになり、このウレタン製バンパスプリングの表面摩擦抵抗を低く維持することができる。
したがって、本発明のウレタン製バンパスプリングの製造方法は、溶剤系離型剤を用いて製造した場合と同等性能のバンパスプリングを、この溶剤系離型剤を用いることなく、効率良く製造することができる。また、この製造方法は、溶剤系離型剤を用いてバンパスプリングを製造する従来の方法と同様の手順で、作業工数やコストの上昇を招くことなく、本発明のウレタン製バンパスプリングを製造することができるという利点を有する。
また、そのなかでも、上記水系離型剤に含有されるウレタンに対する親和性の高い樹脂パウダが、シリコーン系樹脂,ポリアミド系樹脂,アクリル系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つの樹脂から構成されている場合は、上記樹脂パウダが、ウレタンの硬化工程(一次硬化,二次硬化の2段階の加熱がある場合を含む)の熱に耐えることができるとともに、成形時や車両に組み付けた後の圧縮変形にも耐えることができ、好ましい。
本発明の実施形態におけるウレタン製バンパスプリングの構成を示す断面図である。 従来のウレタン製バンパスプリングの構成を示す断面図である。
つぎに、本発明の実施の形態を、図面にもとづいて詳しく説明する。
本実施形態のウレタン製バンパスプリング1は、例えば、自動車のサスペンション装置におけるショックアブソーバのピストンロッドに、その作動ストロークを弾性的に制限するストッパ等として嵌装されるものであり、図1のような筒状体である。
この筒状のウレタン製バンパスプリング1は、ショックアブソーバ(図示省略)の車体取付部側(図示上側)に配置される上部筒部11と、ショックアブソーバのシリンダ側(図示下側)に配置される下部筒部12とからなる筒状体であり、上記ピストンロッド(図示省略)に外嵌される。そして、その上部筒部11の外周(外周面11a)には、バンパスプリング1の軸方向への撓みを容易にして圧縮時の座屈を防止するための、周方向に延びる環状溝11c,11c,・・・が、筒状体の軸方向に離間して複数設けられており、全体として、肉厚の蛇腹形状に形成されている。
上端開口11dを有する上部筒部11の内周(内周面11b)は、上記ショックアブソーバのピストンロッドの外形に略沿ったストレート形状(凹凸のない形状)に形成されており、その内周面11bの全体に、後述する水系離型剤に含有されている樹脂パウダが散在している。
また、下端開口12dを有する下部筒部12の外周(外周面12a)は、上記上部筒部11の外周面11aと同様の外径に形成されているとともに、その内周(内周面12b)は、上側が上記上部筒部11の内周面11bと同径のストレート形状に形成されている。さらに、下部筒部12の下側は、ショックアブソーバ作動時の衝撃吸収力を高めるために、上側の内周面12bより拡径されており、大径の内側環状凹部12cが形成されている。
なお、上記下部筒部12の下端開口12dの径は、上記内側環状凹部12cの最大経より小径に形成されており、この内側環状凹部12cは、バンパスプリング成形時に成形型(中子)の無理抜きが必要な、アンダーカット部位となる。そして、この下部筒部12の内周面12bおよび内側環状凹部12cの表面にも、上記上部筒部11の内周面11b同様、後述する水系離型剤に含有されている樹脂パウダが散在している。
つぎに、本発明のウレタン製バンパスプリングの形成材料について説明し、ついで、それを用いた製法について述べる。
本発明のウレタン製バンパスプリングは、金属製成形型を用いたモールド成形により製造されるものであり、その成形型の成形キャビティ内に注入(注型)されるウレタンの原料としては、ポリオール(A)成分およびポリイソシアネート(B)成分の配合物と、必要に応じて添加された、水等の発泡剤、触媒,整泡剤,加水分解防止剤,難燃剤,減粘剤,安定剤,充填剤,架橋剤,着色剤等の各種添加剤(助剤)とからなる反応性原料(発泡性組成物)が用いられる。
上記ウレタン原料を構成するポリオール(A)成分の例としては、従来よりポリウレタンの製造に一般的に用いられているポリエーテルポリオール,ポリエステルポリオール,ポリマーポリオール等があげられる。
また、上記ウレタン原料を構成するポリイソシアネート(B)成分としては、少なくとも2官能以上のポリイソシアネートの全てが使用可能で、例えば、2,4−および2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、オルトトルイジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびカーボジイミド変性MDI、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネートや、それらのうちの少なくとも一種をポリオールと反応させて得られるプレポリマー等が、単独で、または組み合わせて使用することができる。
そして、上記成形キャビティの壁面(金型内面)に塗布される離型剤としては、離型成分を水に分散させたウレタン用水系離型剤であり、本発明で用いる水系離型剤の特徴は、ウレタンに対する親和性が高い樹脂パウダを含有する点(含有率:0.01〜10重量%)である。なお、この水系離型剤に用いられる離型成分(ベース樹脂)としては、シリコーン樹脂や変性シリコーン樹脂,変性フッ素樹脂等があげられ、これらの離型成分を水に分散させ、エマルジョンやサスペンジョンとしたものが用いられる。通常は、エマルジョン形態のものが用いられる。
また、この水性離型剤に添加する樹脂パウダを構成する樹脂としては、ウレタンへの高い親和性を有し(すなわち、金型を構成する金属への親和性より、ウレタンに対する親和性の方が高い樹脂)、後述するウレタン成型時の熱や、車両に組み付けた後の圧縮変形にも耐える適度な硬さを有する樹脂が選択される。具体的には、シリコーン系樹脂,ポリアミド系樹脂あるいはアクリル系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つの樹脂が用いられる。
つぎに、上記ウレタン製バンパスプリングを製造する方法について説明する。なお、本実施形態においては、ウレタンの発泡・硬化方法として、2段階の加熱工程(一次硬化,二次硬化)を経て行う方法を用いて説明する。
本発明におけるウレタン製バンパスプリングを製造する方法は、例えば、
1)主型(おもがた)と中子(なかご)とからなる成形型(金型)を用意して、これらの間に形成される成形キャビティの壁面(金型内面)に所定の離型剤を塗布して乾燥させる金型準備工程と、
2)ウレタン製バンパスプリングの製造に用いるウレタン原料(ポリオール成分およびポリイソシアネート成分)を配合して調整・準備する原料準備工程と、
3)上記金型の成形キャビティ内にウレタン原料を注入(注型)して加熱し、このウレタン原料を発泡・硬化(半硬化)させて、バンパスプリングの成形体(半製品)を得る一次硬化工程と、
4)上記一次硬化後のバンパスプリング成形体を主型より取り出し、ついでこの成形体の内周から中子を抜き取る脱型工程と、
5)上記脱型後のバンパスプリング成形体を加熱し、ウレタンの硬化反応を完了させて、ウレタン製バンパスプリングの製品を得る二次硬化工程と、からなる。
本実施形態におけるウレタン製バンパスプリング1は、上記1)〜5)に準じ、具体的には、つぎのようにして作製される。
[金型準備工程]
まず、図1に記載のバンパスプリング1の形状と同じキャビティを形成することのできる金型を用意し、その中子の表面(外周面)に、スプレーあるいはその他の方法により、水系離型剤(本例においては、ポリアミド系樹脂からなる樹脂パウダ:平均粒径2μmを1〜10重量%含有する水系離型剤)を塗布し、乾燥させて、この水系離型剤と樹脂パウダとからなる均一な被膜を形成させた。なお、上記離型剤の被膜形成後、主型と中子を組合せ、所定の成形キャビティを形成した後、所定の温度まで金型を加温する。
[原料準備工程]
つぎに、ポリオール(A)成分と、ポリイソシアネート(B)成分と、必要に応じて加水分解防止剤とを、反応器中に投入して反応させ、予め、プレポリマーを調製する。また、ポリオール(A)成分と、発泡剤と、必要に応じて整泡剤および触媒とを混合してなるポリオールも調製する。
[一次硬化工程]
ついで、上記のようにして調整したプレポリマーとポリオールとを混合,撹拌した後、昇温した金型内に注型し、所定の時間加熱して発泡,硬化させ、ポリウレタンフォーム化させることにより、一次硬化したバンパスプリング成形体(半製品)を作製する。
なお、工業的にウレタン製品を製造する観点からは、金型内よりバンパスプリング成形体を取り出す際に、成形体が型くずれしない程度に、また金型より取り出されても(脱型しても)、その形状を保持し得る程度に、一次硬化が進行しておれば充分である。具体的には、本実施形態におけるサスペンション用バンパスプリングを製造するに際しては、一般に、80〜130℃程度の温度にて、5分〜1時間程度加熱することにより、一次硬化工程が実施される。
また、上記水系離型剤(水系離型剤からなる被膜)に含まれる樹脂パウダは、ウレタンに対する親和性と、前記プレポリマーとポリオールとの発泡の際の圧力により、一次硬化工程の間に、キャビティ表面の被膜からバンパスプリング成形体の表面に移動・転写される。
[脱型工程]
つぎに、一次硬化の完了したバンパスプリング成形体を主型より取り出し、ついでこの成形体の内周から中子を抜き取る。このとき、図1のように、内側環状凹部12cがアンダーカットとなっていることから、金型の中子は、上記バンパスプリング成形体の内周から無理抜きする必要がある。しかしながら、本実施形態におけるウレタン製バンパスプリング1の製造方法においては、先に述べたように、上記水系離型剤に含有されてい、ウレタンに対する親和性の高い樹脂パウダが、バンパスプリング1の内側環状凹部12cの表面に転写され散在していることから、この無理抜きを容易に行うことができる。また、スムーズに脱型できることから、上記バンパスプリング1のオリジナルの形状を損なうことなく、再現性よく製造することができる。
[二次硬化工程]
その後、上記のようにして金型から取り出されたバンパスプリング成形体を、加熱炉等を用いて、所定の条件にしたがって加熱し、成形体中に残存する未反応のポリオール成分とポリイソシアネート成分とを充分に反応させ、硬化反応を終了させて、ウレタン製バンパスプリング1の完成品を得る。なお、上記二次硬化工程における加熱条件としては、100〜150℃程度の温度にて、3〜20時間程度加熱する条件が採用される。
以上のようにして製造されたウレタン製バンパスプリング1は、成形後も、その内周面(11b,12bおよび12c)の表面に上記樹脂パウダが留まるため、接触相手部材(ショックアブソーバのピストンロッド等)との摩擦抵抗を低く抑えることができる。したがって、実施形態で得られたウレタン製バンパスプリング1は、車両側相手部材への組み付け性が向上するとともに、車両へ組み付けた後も、このバンパスプリング1と上記車両側相手部材との間の摺動摩擦が低減され、これらの間の摩擦に起因する異音等の発生を防止することができる。
さらに、本実施形態におけるウレタン製バンパスプリング1の製造方法は、アンダーカットとなる金型の中子を、容易に無理なく脱型でき、上記無理抜きによる形状の変形を防止することができるとともに、有害な有機溶媒を使用しないため、人にも環境にも優しいバンパスプリング1の製造方法とすることができる。
そして、本実施形態におけるウレタン製バンパスプリング1の製造方法は、新たな設備を増設することなく既存の設備で、従来の揮発性離型剤を置き換えるだけで実施することが可能で、しかも、バンパスプリング製造工程の工数の増加を最小限に抑えることができるという点で優れる。
なお、本発明は、アンダーカットとなる部位が存在しないウレタン製バンパスプリングにも適応できることは勿論である。また、先に述べたような2段階の加熱ステップを経ず、1段階の加熱で発泡・硬化を完了させるウレタン製バンパスプリング製造方法にも適用でき得ることは、いうまでもない。
また、上記金型の中子に対向する、金型主型の内周面に塗布する離型剤は、上記と同じ水系離型剤でもよく、従来型の水系離型剤や溶剤系離型剤でもよい。しかしながら、工程全体の安全性や、環境への配慮等を考慮すると、金型主型の内周面に塗布する離型剤にも、上記と同じ樹脂パウダを含有する水系離型剤を使用することが望ましい。その場合には、ウレタン製バンパスプリングの外周面にも、上記内周面と同様、水系離型剤に含有されてい、ウレタンに対する親和性の高い樹脂パウダが散在するようになる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例]
本実施例においては、実施例および比較例の各離型剤を用意し、これらの離型剤を、ブロック形状のキャビティを有する成形型(金型:主型のみ)の内面に塗布して乾燥させ、離型剤からなる被膜を形成した後、この金型内に、上記実施形態で述べたウレタン原料を注型し、所定条件で加熱して一次硬化させ、この金型から脱型するときの「ウレタン成形体(半製品)の取り出し易さ」(以下、「脱型(離型)性」)を比較した。また、その後、上記得られたウレタン成形体(半製品)を、所定条件で加熱して二次硬化させ、得られたブロック状のポリウレタン供試体(100mm×100mm×50mm)の表面摩擦係数(「静摩擦係数」および「動摩擦係数」)を測定した。
準備したポリウレタン原料は以下のとおりである。
[プレポリマー]
ポリウレタン原料のポリイソシアネート成分として、1,5−ナフチレンジイソシアネート(1,5−NDI)と、ポリエチレンアジペート(PEA)(大日本インキ化学工業社製:ポリライトODX−2402)とを、1,5−NDI:25重量部、PEA:85重量部の割合で配合し、予め反応させることにより、末端にNCO基(イソシアネート基)を有するプレポリマーを準備した。
[ポリオール]
ポリウレタン原料のポリオール成分として、ポリエチレンブチレンアジペート(PEBA)(大日本インキ化学工業社製:ポリライトTR−2330)を用いて、このPEBAの15重量部に対して、発泡剤および整泡剤としての脂肪酸スルホン酸塩の50%水溶液(住化バイエルウレタン社製:アディティブSV)を2重量部と、触媒としてのN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンを0.025重量部とを配合し、架橋剤(クロスリンク)を調製した。
用意した離型剤は以下のとおりである。
比較例1:配合のベースとなる従来の水系離型剤(ネオス社製 シリコーンエマルジョン系水系離型剤 FRX−310I 固形分:11.9重量%)を使用してポリウレタン供試体(比較例1)を作成した。
実施例1:比較例1の水系離型剤に、シリコーン系樹脂からなる樹脂パウダ(平均粒径2μm)を1.5重量%(固形分換算)添加して、撹拌・分散させた水系離型剤を使用してポリウレタン供試体(実施例1)を作成した。
実施例2:比較例1の水系離型剤に、ポリアミド系樹脂からなる樹脂パウダ(平均粒径2μm)を1重量%(固形分換算)添加して、撹拌・分散させた水系離型剤を使用してポリウレタン供試体(実施例2)を作成した。
実施例3:比較例1の水系離型剤に、ポリアミド系樹脂からなる樹脂パウダ(平均粒径2μm)を3重量%(固形分換算)添加して、撹拌・分散させた水系離型剤を使用してポリウレタン供試体(実施例3)を作成した。
実施例4:比較例1の水系離型剤に、ポリアミド系樹脂からなる樹脂パウダ(平均粒径2μm)を5重量%(固形分換算)添加して、撹拌・分散させた水系離型剤を使用してポリウレタン供試体(実施例4)を作成した。
実施例5:比較例1の水系離型剤に、ポリアミド系樹脂からなる樹脂パウダ(平均粒径2μm)を10重量%(固形分換算)添加して、撹拌・分散させた水系離型剤を使用してポリウレタン供試体(実施例5)を作成した。
実施例6:比較例1の水系離型剤に、アクリル系樹脂からなる樹脂パウダ(平均粒径0.1μm)を1.5重量%(固形分換算)添加して、撹拌・分散させた水系離型剤を使用してポリウレタン供試体(実施例6)を作成した。
実施例7:比較例1の水系離型剤に、アクリル系樹脂からなる樹脂パウダ(平均粒径0.5μm)を1.5重量%(固形分換算)添加して、撹拌・分散させた水系離型剤を使用してポリウレタン供試体(実施例7)を作成した。
実施例8:比較例1の水系離型剤に、アクリル系樹脂からなる樹脂パウダ(平均粒径2.0μm)を1.5重量%(固形分換算)添加して、撹拌・分散させた水系離型剤を使用してポリウレタン供試体(実施例8)を作成した。
実施例9:比較例1の水系離型剤に、アクリル系樹脂からなる樹脂パウダ(平均粒径10μm)を1.5重量%(固形分換算)添加して、撹拌・分散させた水系離型剤を使用してポリウレタン供試体(実施例9)を作成した。
実施例10:比較例1の水系離型剤に、アクリル系樹脂からなる樹脂パウダ(平均粒径30μm)を1.5重量%(固形分換算)添加して、撹拌・分散させた水系離型剤を使用してポリウレタン供試体(実施例10)を作成した。
また、参考として従来の溶剤系離型剤を「比較例2」として評価した。
比較例2:溶剤系離型剤(中京油脂社製 シリコーン系離型剤 型番H−728 固形分:5.0重量%)を使用してポリウレタン供試体(比較例2)を作成した。
[ポリウレタン製品(供試品)の作製]
上記各離型剤を使用した供試品の作製は、成形型(金型)のキャビティ内面に、離型剤(実施例1〜10または比較例1,2)のいずれかをスプレー塗布して乾燥させ、金型表面に離型剤からなる均一な被膜を形成させた後、上記プレポリマーおよびポリオール(架橋剤)を、プレポリマー:ポリオール=85:15(重量比)の割合で混合し、撹拌して得られたポリウレタン原料を金型内に注入し、金型温度:100℃、硬化時間:15分間の条件にて一次硬化させた。その後、この金型内よりポリウレタン成形体を取り出し、さらに、このポリウレタン成形体を、加熱温度:120℃、加熱時間:12時間の条件にて二次硬化させ、ブロック形状のポリウレタン供試体を得た。
[離型(脱型)性]
また、上記のようなポリウレタン供試体の作製において、一次硬化の後に金型内から成形体を取り出すに際に、これら成形体の取出し易さ「離型(脱型)性」を評価し、その結果を「表1」および「表2」に示した。なお、表1,表2中の「○」は良好に脱型できたことを、「△」は成形体が金型に接着するものの脱型可能であったことを、「×」は成形体が金型に接着し脱型が困難であったことを、それぞれ示している。
[摩擦係数]
また、得られたポリウレタン供試体表面の動摩擦係数(μs)および静摩擦係数(μk)を、JIS−K−7125に準拠して測定し、その結果を、「表1」および「表2」に併せて示した。
Figure 0005464973
Figure 0005464973
上記表1中の実施例1の結果より、ウレタンに対する親和性の高いシリコーン系樹脂パウダを添加した水系離型剤は、従来の溶剤系離型剤より摩擦係数が劣るものの、充分に実用的な性能を有していることが判る。
また、上記表1中の実施例2〜5の結果より、ウレタンに対する親和性の高いポリアミド系樹脂パウダを添加した水系離型剤は、従来の溶剤系離型剤より優れた離型効果と摩擦係数を有することが確認された。しかしながら、添加量(固形分)1重量%でも摩擦低減効果がある一方、樹脂パウダの添加量を増やしても、その増加に伴って一次関数的に性能が向上するわけではなく、添加量(固形分)10重量%においては、むしろ肌荒れのような外観不良が観察された。
さらに、上記表2中の実施例6〜10の結果より、水系離型剤に添加する、ウレタンに対する親和性の高いアクリル系樹脂パウダは、その平均粒径が小さいほど摩擦低減効果が高いことが確認された。しかしながら、アクリル系樹脂パウダは、ポリアミド系樹脂パウダと比較すると、摩擦係数低減効果が小さい。
本発明のウレタン製バンパスプリングの製造方法は、ショックアブソーバのピストンロッドに装着されるバンパスプリングの製造に適する。また、本発明のウレタン製バンパスプリングの製造方法は、アンダーカット(無理抜き)部位を有するウレタン製品の製造に、広く適用することができる。
1 バンパスプリング
11 上部筒部
11b 内周面
12 下部筒部
12b 内周面
12c 内側環状凹部

Claims (2)

  1. 成形型のキャビティの壁面に、水系離型剤を塗布し、このキャビティ内にウレタン原料を注入して加熱することにより、上記成形型内でウレタン原料を硬化させる工程と、上記硬化後のウレタン成形体を成形型より取り出す脱型工程と、を備えるウレタン製バンパスプリングの製造方法であって、上記水系離型剤が、樹脂パウダを含有しており、この樹脂パウダが、上記硬化後のウレタン成形体の表面に転写されていることを特徴とするウレタン製バンパスプリングの製造方法。
  2. 上記水系離型剤に含有される樹脂パウダが、シリコーン系樹脂,ポリアミド系樹脂,アクリル系樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つの樹脂から構成されている請求項記載のウレタン製バンパスプリングの製造方法。
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