JP4392767B2 - 熱硬化性低誘電樹脂組成物及び回路積層板 - Google Patents

熱硬化性低誘電樹脂組成物及び回路積層板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板に使用するための低誘電率、低誘電正接であり、かつ金属への接着性に優れ、作業時に樹脂の飛散がきわめて少ない熱硬化性低誘電樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた積層板、金属箔張積層板等に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子システムの信号スピード及び作動周波数が飛躍的に増加してきている。このため、高周波領域で用いられる電子システムには、耐熱性に優れ、低誘電率、低誘電正接の積層板用樹脂及びこのような特性を備えた樹脂を使用したプリプレグ等から得られる積層板、金属箔張積層板等が望まれている。低誘電材料を使用した積層板、金属箔張積層板等は電気信号の伝搬速度を早くすることができるため、より速いスピードで信号の処理を行うことができるようになる。
誘電率の小さいフッ素樹脂やポリフェニレンエーテル樹脂の使用も提案されている。しかしこれらは、作業性、接着性が悪く信頼性に欠ける等の問題があった。そこで、作業性、接着性を改善する目的でエポキシ変性ポリフェニレンエーテル樹脂あるいはポリフェニレンエーテル変性エポキシ樹脂が提案されている。しかしエポキシ樹脂の誘電率が高く満足な特性が得られていない。ポリフェニレンエーテル樹脂と多官能シアン酸エステル樹脂類、さらにこれにその他の樹脂を配合し、ラジカル重合開始剤を添加し、予備反応させてなる硬化可能な樹脂組成物(特開昭57−185350)が知られているが、誘電率の低下は不十分であった。
【0003】
また、熱硬化性の1,2−ポリブタジエンを主成分とするポリブタジエン樹脂は低誘電率であるが、接着性に劣り耐熱性が不十分であった。ポリフェニレンエーテル樹脂100重量部に対し1,2−ポリブタジエン樹脂5〜20重量部、架橋性モノマー5〜10重量部およびラジカル架橋剤を配合した組成物(特開昭61−83224)も提案されている。しかし、分子量数千の1,2−ポリブタジエン樹脂を用いた場合には、溶剤除去後の組成物にはベタツキが残り、ガラス基材等に塗布、含浸して得られるプリプレグはタックフリーの状態を維持できないという実用上の問題があった。一方ベタツキをなくすために高分子量の1,2−ポリブタジエンを用いると、溶媒への溶解性が低下し、溶液が高粘度になり流動性が低下するという実用上の問題があった。
フルオロカーボン繊維からなる布に熱硬化性樹脂を含浸した低誘電積層板、銅張積層板(特公平8−2578097)が提案されている。しかしこの場合、フルオロカーボン繊維と熱硬化性樹脂との密着性を向上させるためにフルオロカーボン繊維の表面を処理しなくてはならないこと、及びフルオロカーボン繊維の価格が高いため、最終的な積層板、銅張積層板が非常に高価になってしまい実用化されずにいる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、プリント配線板に使用するための低誘電率、低誘電正接で金属への接着性に優れ、作業時の樹脂の飛び散りがきわめて少ない熱硬化性低誘電樹脂組成物及びそれを用いた積層板、金属箔張積層板等を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の本発明は、成分(a)シロキサン変性ポリイミドと、成分(b)アリル基もしくはメチルアリル基を3個含有する下記式(1)で示す化合物および成分(c)マレイミド基を2個含有する化合物からなり、かつマレイミド基を2個含有する化合物が下記式(4−1)ないし式(4−3)であることを特徴とする熱硬化性低誘電樹脂組成物を提供する。
【0006】
【化5】
Figure 0004392767
【化6】
Figure 0004392767
【0007】
本発明の熱硬化性低誘電樹脂組成物において、上記各成分の割合が、成分(a)100重量部に対して、成分(b)および成分(c)の総和が10〜900重量部であり、成分(c)のマレイミド基1モル当量に対する成分(b)のメチルアリル基が0.1〜2.0モル当量であるものが特に好ましく使用される。
第2の本発明は、繊維強化材に上記熱硬化性低誘電樹脂組成物を充填したプリプレグを1枚若しくは2枚以上積層した積層板を提供する。
第3の本発明は、上記積層板の片面ないし両面に金属箔を積層一体化した金属箔張積層板を提供する。本発明において、金属箔張積層板の熱硬化性低誘電樹脂組成物は、用途により、適宜半硬化状態または硬化状態のいずれかで使用される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、第1の熱硬化性低誘電樹脂組成物について説明する。
第1の熱硬化性低誘電樹脂組成物は、成分(a)シロキサン変性ポリイミドと、成分(b)アリル基もしくはメチルアリル基を3個含有する化合物および成分(c)マレイミド基を2個含有する化合物から構成される。
成分(a)シロキサン変性ポリイミドを使用することにより、樹脂組成物の可とう性が良くなり、作業時の樹脂の飛び散りがきわめて少なくなり、プリント配線板を製造する際、取り扱い性が良くなり、歩留まりが向上する。
本発明に使用されるシロキサン変性ポリイミドとしては、下記式(2a)で表される構造単位の少なくとも1種を90〜40モル%と、下記式(2b)で表される構造単位の少なくとも1種を10〜60モル%含有する。
【0009】
【化7】
Figure 0004392767
【0010】
(式中、Xは4価の芳香族基で3,3’,4,4’−ジフェニルスルホン構造、3,3’,4,4’−ビフェニル構造、2,3’,3,4’−ビフェニル構造の何れかを、Arは芳香環を有する下記式(3)の構造を有する基群から選ばれる2価の基を、Rは炭素数1〜10のアルキレン基またはメチレン基がSiに結合している−CHOC−を示し、nは1〜20の整数を意味する。)。
【0011】
式(3)
【化8】
Figure 0004392767
【0012】
(式中R、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基を示すが、これら全ての基が同時に水素原子であることはない。)
【0013】
成分(a)のシロキサン変性ポリイミドは、重量平均分子量が5,000〜500,000、ガラス転移点温度が150℃以下、誘電率が3.0以下のものが好ましい。重量平均分子量が5,000〜300,000、ガラス転移点温度が140℃以下、誘電率が3.0以下のもがより好ましく、重量平均分子量が10,000〜300,000、ガラス転移点温度が130℃以下、誘電率が3.0以下のものはさらに好ましい。重量平均分子量が上記範囲の下限より小さくなると熱安定性が不良になり、耐熱性が低下し、上限より大きくなると溶融粘度の増大により、樹脂組成物として使用した場合、作業性、接着性が不良となる。ガラス転移点温度が上記範囲の上限より高くなると溶融温度が高くなり、作業温度の上昇を招いたり、接着性が不良となったりする。誘電率が3.0を超えると樹脂組成物の低誘電化を達成できず、高速度の信号処理には不向きである。なお、本発明において、ガラス転移点温度は下記のようにして測定された温度である。
ガラス転移点温度(Tg)の測定条件:
装置:剪断弾性率測定装置(HAAKE社製Rheo Stress RS75)
測定温度範囲:−10℃〜300℃
昇温速度:3℃/min.
測定周波数:1Hz
歪み率:0.01%±0.0025%。
【0014】
本発明に使用するシロキサン変性ポリイミドは、一般的なポリイミドの製造方法を用いることにより得ることができる。即ち、各繰り返し構造単位に対応するテトラカルボン酸二無水物と、各繰り返し構造単位に対応するシロキサン系化合物を含むジアミン又はジイソシアナートとから製造ができる。
具体的には、テトラカルボン酸二無水物としてピロメリト酸二無水物、3,3‘、4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3‘,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3‘,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3‘,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4‘−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物等を、より好ましくは3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を前記の式(3)で表される化合物及び下記式(5)で表されるシロキサン系化合物とを反応させることにより製造することができる。
【0015】
CH CH
│ │
Y−R−Si−(OSi)−R−Y (5)
│ │
CH CH
【0016】
ポリイミドの製造原料として使用する式(5)で表されるシロキサン系化合物において、官能基Yがアミノ基であるジアミン類としては、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(10−アミノデカメチレン)テトラメチルジシロキサン、アミノプロピル末端基を有するジメチルシロキサン4量体、8量体、ビス(3−アミノフェノキシメチル)テトラメチルジシロキサン等が挙げられ、これらを併用することも可能である。
また、式(5)で表される化合物において、官能基Yがイソシアナート基であるジイソシアナート類としては、上記に示したジアミン類において、「アミノ」を「イソシアナート」に置き換えたものを挙げることができる。
上記式(5)で表される化合物において、官能基Yがイソシアナート基であるジイソシアナート類は、上記に例示した対応するジアミンを常法に従いホスゲンと反応させることにより容易に製造することができる。
【0017】
シロキサン変性ポリイミドは式(2a)で示される構成単位の少なくとも一種を90〜40モル%と式(2b)で示される構成単位の少なくとも一種を10〜60モル%含有していることが好ましい。式(2a)のArを構成できるジアミン類をさらに具体的に例示すると次の通りである。
1、3−ビス[1−(3−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1、3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1、4−ビス[1−(3−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1、4−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2、2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2、2−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2、2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2、2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2、2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2、2−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2、2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2、2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4、4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエチルジフェニメタン、4,4’−ジアミノー3,3’,5,5’−テトラプロピルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトライソプロピルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラブチルジフェニルメタン、4、4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、4,4−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5−5’−テトラメトキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラエトキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラプロポキシジフェニルメタン、4,4−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラブトキシジフェニルメタン、4,4’−ジアミノー3,3’−ジメトキシジフェニルメタン、等である。
【0018】
本発明で使用されるシロキサン変性ポリイミドは、次の様にして製造することができる。
原料として、テトラカルボン酸二無水物とジアミン(シロキサン系化合物を含む)とを使用する場合、これらを有機溶媒中、必要に応じてトリブチルアミン、トリエチルアミン、亜リン酸トリフェニル等の触媒存在下(反応物の20重量部以下)で、100℃以上、好ましくは180℃以上に加熱し、直接ポリイミドを得る方法、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを有機溶媒中、100℃以下で反応させポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を得た後、必要に応じてp−トルエンスルホン酸等の脱水触媒(テトラカルボン酸二無水物の1〜5倍モル)を加え、加熱によりイミド化を行うことでポリイミドを得る方法、或いはこのポリアミド酸を、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸等の酸無水物、ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物等の脱水閉環剤と、必要に応じてピリジン、イソキノリン、イミダゾール、トリエチルアミン等の閉環触媒(脱水閉環剤及び閉環触媒はテトラカルボン酸二無水物の2〜10倍モル)を添加して、比較的低温(室温〜100℃程度)で化学閉環させる方法等がある。
【0019】
上記の反応に用いる有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン等の非プロトン性極性溶媒、フェノール、クレゾール、キシレノール、p−クロロフェノール等のフェノール系溶媒等が挙げられる。また、必要に応じて、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、モノグライム、ジグライム、メチルセロソルブ、セロソルブアセテート、メタノール、エタノール、イソプロパノール、塩化メチレン、クロロホルム、トリクレン、ニトロベンゼン等を先の溶媒に混合して用いることも可能である。
【0020】
また、原料として、テトラカルボン酸二無水物とジイソシアナートとを使用する場合には、上記したポリイミドを直接得る方法に準じて製造することが可能であり、このときの反応温度は室温以上、特に60℃以上であることが好ましい。テトラカルボン酸二無水物とジアミン或いはジイソシアナートとの反応は等モル量で反応させることにより、高重合度のポリイミドを得ることが可能であるが、必要に応じて何れか一方が10モル%以下の範囲で過剰量用いてポリイミドを製造することも可能である。
【0021】
アリル基もしくはメチルアリル基を3個含有する化合物としては、下記式(1)のものが使用される。この化合物は、樹脂組成物の硬化後の耐熱性、誘電率特性の点において優れている。式(1)の化合物は一般に市販されており、容易に入手することができる。
【0022】
【化9】
Figure 0004392767
【0023】
成分(c)のマレイミド基を2個含有する化合物としては、電気的信頼性、溶剤溶解性等の点から、下記式(4−1)ないし(4−)が特に好ましい。これらの化合物は一般に市販されており、容易に入手することができる。又従来公知の方法により合成することもできる。
【0024】
【化10】
Figure 0004392767
【0025】
熱硬化性低誘電樹脂組成物の配合割合は、成分(a)100重量部に対して、成分(b)および成分(c)の総和が10〜900重量部、好ましくは50〜900、より好ましくは100〜900に設定する。成分(b)および成分(c)の総和が10重量部より少なくなると硬化した後、樹脂組成物の耐熱性、特にTg、ヤング率の低下が著しくなり、目的の用途に適さない。また、900重量部より多くなると、樹脂組成物をBステージまで硬化した際に、樹脂組成物自体が脆くなって樹脂の飛び散りの原因となる。
また、成分(b)と成分(c)の配合割合は、成分(c)のマレイミド基1モル当量に対する成分(b)のアリル基もしくはメチルアリル基が0.1〜2.0モル当量になるようにする必要があり、好ましくは0.3〜1.8モル当量、より好ましくは0.5〜1.5モル当量に設定する。アリル基またはメチルアリル基当量が上記範囲の下限より少なくなると、樹脂組成物の硬化後、電気的な信頼性が悪くなり、上限より多くなると、混合に際してゲル化するため、接着剤を調製することができなくなる。
【0026】
成分(a)、成分(b)及び成分(c)の混合は、それらを溶解する溶媒中で行うこともできる。溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシメタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルセロソルブ、セロソルブアセテート、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトニトリル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等が挙げられ、これらの中から、各成分が溶解するように種類と量を適宜選択して使用する。
【0027】
熱硬化性低誘電樹脂組成物においては、乾燥時、又は加熱硬化時における反応を促進させるために、必要に応じて、ジアザビシクロオクタン、又はメチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5トリメチルヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、アセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、スクシニックアシッドパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−ミリスティルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ−アリルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクテート、t−ヘキシルパーオキシネオデカネート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオヘキサネート、アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート等の有機過酸化物、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチル−2−エチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール・トリメリット酸塩、1−ベンジル−2−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチル−5−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−フェニル−4−ベンジルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌール酸付加物、2−フェニルイミダゾリウムイソシアヌール酸付加物、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン−イソシアヌール酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ベンジル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、4,4’−メチレン−ビス−(2−エチル−5−メチルイミダゾール)、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−4,5−ジ(シアノエトキシメチル)イミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾール・ベンゾトリアゾール付加物、1−アミノエチル−2−エチルイミダゾール、1−(シアノエチルアミノエチル)−2−メチルイミダゾール、N,N’−[2−メチルイミダゾリル−(1)−エチル]−アジポイルジアミド、N,N’−ビス−(2−メチルイミダゾリル−1−エチル)尿素、N−(2−メチルイミダゾリル−1−エチル)尿素、N,N’−[2−メチルイミダゾリル−(1)−エチル]ドデカンジオイルジアミド、N,N’−[2−メチルイミダゾリル−(1)−エチル]エイコサンジオイルジアミド、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール・塩化水素酸塩等のイミダゾール類、トリフェニルフォスフィン等の反応促進剤を添加することもできる。
【0028】
また、熱硬化性低誘電樹脂組成物には、積層板あるいは金属張積層板に適用した場合、樹脂組成物の流動性を安定させるために、粒径1μm以下のフィラーを含ませることができる。フィラーの含有率は、全固形分の5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは20〜50重量%の範囲に設定される。含有率が上記範囲の下限よりも低くなると流動性の安定化効果が小さくなり、上限よりも多くなると積層板の接着強度が低下し、誘電率が上昇する。フィラーとしては、例えば、シリカ、石英粉、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、ダイヤモンド粉、マイカ、フッ素樹脂、ジルコン粉等が使用される。
次に、上記の熱硬化性低誘電樹脂組成物を使用した本発明の積層板及び金属張積層板について説明する。
【0029】
第2の本発明は、繊維強化材に上記熱硬化性低誘電樹脂組成物を充填したプリプレグを1枚若しくは2枚以上積層した積層板を提供する。
この積層板は、有機溶剤に溶解した熱硬化性低誘電樹脂組成物ワニスを、基材に塗布、含浸させ、乾燥すればよい。その際、乾燥後の樹脂組成物量は布の空隙を充填できる量であることが好ましい。繊維強化材の厚さは、0.05〜1mm、好ましくは、0.1〜0.5mm、より好ましくは0.1〜0.2mmの範囲に設定する。薄すぎる場合には繊維強化材の強度が不充分になり、厚すぎる場合には、樹脂組成物ワニスの塗布、含浸が困難となる。
繊維強化材に用いる材料としては耐熱性繊維であることが好ましく、具体的には炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、芳香族ポリエステル繊維、ボロン繊維、シリカ繊維あるいはテトラフルオロカーボン繊維等を挙げることができる。これらの繊維は、長繊維、短繊維の何れであっても良く、織布、不織布のいずれを使用しても良い。これらの補強剤は、単独で使用しても、2種以上を併用しても良いが、特にアラミド繊維、芳香族ポリエステル繊維あるいはテトラフルオロカーボン繊維が好ましい。
樹脂組成物ワニスを布に塗布、含浸させて作製した積層板は、熱ラミネーター、カレンダー等を使用して積層板の表面を平滑にしても良い。
第3の本発明は、積層板の片面ないし両面に金属箔を積層一体化した熱硬化性低誘電樹脂組成物が半硬化状態である金属箔張積層板を提供する。
この金属箔張積層板を作製するには、プレス機、真空プレス機又は熱ラミネーター等を使用して半硬化状樹脂組成物を充填した上記積層板の片面ないし両面に金属箔を張り合わせて積層一体化すればよい。金属箔としては厚さ5μm〜200μmの銅、白銅、銀、鉄、42合金、ステンレスが使用できる。
第4の発明は、積層板の片面ないし両面に金属箔を積層一体化した後、熱硬化性低誘電樹脂組成物が硬化状態である金属箔張積層板を提供する。
この金属箔張積層板を作製するには、繊維強化材に半硬化状態の熱硬化性低誘電樹脂組成物を充填した積層板と金属箔又は金属板を加熱加圧により積層一体化すればよい。金属箔としては上記のものが使用できる。
【0030】
なお、繊維強化材に、半硬化状態の上記樹脂組成物を充填した積層板の両面もしくは片面に及び積層板の片面に金属箔又は金属板を積層一体化した片面金属箔張積層の樹脂組成物面の上に剥離性の保護フィルムを設けてもよい。保護フィルムとしては、ポリプロピレンフィルム、フッ素樹脂系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、紙、及び場合によってはそれらにシリコーン樹脂で剥離性を付与したもの等が挙げられる。
これらの剥離性フィルムは、90゜ピール強度が0.01〜7.0g/cmの範囲にあることが望ましい。剥離強度が0.01g/cmより小さい場合には積層板および片面金属張積層板の搬送時に剥離性フィルムが簡単に剥離する等の問題があり、7.0g/cmより大きい場合には剥離性フィルムが積層板および片面金属張積層板からきれいに剥がれず、作業性が悪くなる。
【0031】
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。
【実施例】
(シロキサン変性ポリイミド合成例)
合成例1
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン29.42g(72ミリモル)と前記式(5)においてY=NH、R=プロピル、n=1で表されるジアミノシロキサン6.96g(28ミリモル)と3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物35.83g(100ミリモル)及びN−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と記す。)300mlとを氷温下に導入し、1時間攪拌を続けた。次いで、この溶液を室温で2時間反応させポリアミド酸を合成した。得られたポリアミド酸に50mlのトルエンと1.0gのp−トルエンスルホン酸を加え、160℃に加熱し、反応の進行に伴ってトルエンと共沸してきた水分を分離しながら、3時間イミド化反応を行った。その後トルエンを留去し、得られたシロキサン変性ポリイミドワニスをメタノール中に注いで、得られた沈殿物を分離、粉砕、洗浄、乾燥させる工程を経ることにより、上記した式で表される各構成単位のモル比が(1a):(1b)=72:28で示される分子量18,000、Tg30℃、誘電率2.8のシロキサン変性ポリイミド61.9g(収率94%)を得た。
得られたシロキサン変性ポリイミドの赤外吸収スペクトルを測定したところ、1718cm−1及び1783cm−1に典型的なイミドの吸収が認められた。
【0032】
合成例2
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン30.39g(74ミリモル)と前記式(5)においてY=NH、R=プロピル、n=8で表されるジアミノシロキサン19.94g(26ミリモル)と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.42g(100ミリモル)及びNMP300mlを用いて、合成例1と同様の方法で、各構成単位のモル比が(3a):(3b)=74:26で示される分子量19,000、Tg45℃、誘電率2.9のシロキサン変性ポリイミド72.3g(収率95%)を得た。
得られたシロキサン変性ポリイミドの赤外吸収スペクトルを測定したところ、1718cm−1及び1783cm−1に典型的なイミドの吸収が認められた。
【0033】
合成例3
2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン41.48g(80ミリモル)と前記式(5)においてY=NH、R=プロピル、n=8で表されるジアミノシロキサン15.54g(20ミリモル)と2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物29.42g(100ミリモル)及びNMP300mlを用いて、合成例1と同様の方法で、各構成単位のモル比が(3a):(3b)=80:20で示される分子量10,000、Tg60℃、誘電率2.9のシロキサン変性ポリイミド81.2g(収率94%)を得た。
得られたシロキサン変性ポリイミドの赤外吸収スペクトルを測定したところ、1718cm−1及び1783cm−1に典型的なイミドの吸収が認められた。
参考例として使用されたマレイミド基を2個含有する式(4−4)及び式(4−5)の化合物を次に示す。
【化11】
Figure 0004392767
【0034】
(熱硬化性低誘電樹脂組成物作成例)
樹脂組成物作成例1
合成例3で得られたシロキサン変性ポリイミド樹脂100重量部、前記式(4−5)で示される化合物314重量部、前記式(1)で示される化合物の内Rがメチル基である化合物86重量部(マレイミド基1モル当量に対するメチルアリル基のモル当量は0.5)を、テトラヒドロフラン中に添加して充分に混合、溶解し、固形分率30重量%の樹脂組成物ワニスを得た。
【0035】
樹脂組成物作成例2
前記式(4−5)で示される化合物を259重量部に、前記式(1)で示される化合物の内Rがメチル基である化合物を141重量部(マレイミド基1モル当量に対するメチルアリル基のモル当量は1.0)に代えた以外は樹脂組成物作成例1と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0036】
樹脂組成物作成例3
前記式(4−5)で示される化合物を221重量部に、前記式(1)で示される化合物の内Rがメチル基である化合物を179重量部(マレイミド基1モル当量に対するメチルアリル基のモル当量は1.5)に代えた以外は樹脂組成物作成例1と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0037】
樹脂組成物作成例4
前記式(4−5)で示される化合物を64重量部に、前記式(1)で示される化合物の内Rがメチル基である化合物を36重量部(マレイミド基1モル当量に対するメチルアリル基のモル当量は1.0)に代えた以外は樹脂組成物作成例1と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0038】
樹脂組成物作成例5
前記式(4−5)で示される化合物を584重量部に、前記式(1)で示される化合物の内Rがメチル基である化合物を316重量部(マレイミド基1モル当量に対するメチルアリル基のモル当量は1.0)に代えた以外は樹脂組成物作成例1と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0039】
樹脂組成物作成例6
前記式(4−5)で示される化合物314重量部を前記式(4−4)で示される化合物298重量部に、前記式(1)で示される化合物の内Rがメチル基である化合物86重量部を102重量部(マレイミド基1モル当量に対するメチルアリル基のモル当量は1.0)に代えた以外は樹脂組成物作成例1と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0040】
樹脂組成物作成例7
前記式(4−5)で示される化合物314重量部を前記式(4−1)で示される化合物278重量部に、前記式(1)で示される化合物の内Rがメチル基である化合物86重量部を122重量部(マレイミド基1モル当量に対するメチルアリル基のモル当量は1.0)に代えた以外は樹脂組成物作成例1と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0041】
樹脂組成物作成例8
前記式(4−5)で示される化合物314重量部を前記式(4−2)で示される化合物の内pが0(ゼロ)である化合物271重量部に、前記式(1)で示される化合物の内Rがメチル基である化合物86重量部を129重量部(マレイミド基1モル当量に対するメチルアリル基のモル当量は1.0)に代えた以外は樹脂組成物作成例1と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0042】
樹脂組成物作成例9
前記式(4−5)で示される化合物314重量部を前記式(4−2)で示される化合物の内pが4である化合物309重量部に、前記式(1)で示される化合物の内Rがメチル基である化合物86重量部を90重量部(マレイミド基1モル当量に対するメチルアリル基のモル当量は1.0)に代えた以外は樹脂組成物作成例1と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0043】
樹脂組成物作成例10
前記式(4−5)で示される化合物314重量部を前記式(4−2)で示される化合物の内pが8である化合物333重量部に、前記式(1)で示される化合物の内Rがメチル基である化合物86重量部を67重量部(マレイミド基1モル当量に対するメチルアリル基のモル当量は1.0)に代えた以外は樹脂組成物作成例1と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0044】
樹脂組成物作成例11
前記式(4−5)で示される化合物314重量部を前記式(4−3)で示される化合物294重量部に、前記式(1)で示される化合物の内Rがメチル基である化合物86重量部を106重量部(マレイミド基1モル当量に対するメチルアリル基のモル当量は1.0)に代えた以外は樹脂組成物作成例1と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0045】
樹脂組成物作成例12
合成例3で得られたシロキサン変性ポリイミドを合成例1で得られたシロキサン変性ポリイミドに代えた以外は樹脂組成物作成例2と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0046】
樹脂組成物作成例13
合成例3で得られたシロキサン変性ポリイミドを合成例2で得られたシロキサン変性ポリイミドに代えた以外は樹脂組成物作成例2と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0047】
樹脂組成物作成例14
樹脂組成物作成例2で得られた樹脂組成物ワニスにシリカフィラー150重量部を分散し、樹脂組成物ワニスを得た。
【0048】
樹脂組成物作成例15
樹脂組成物作成例2で得られた樹脂組成物ワニスにシリカフィラー300重量部を分散し、樹脂組成物ワニスを得た。
【0049】
樹脂組成物作成例16
合成例3で得られたシロキサン変性ポリイミド樹脂100重量部、前記式(4−5)で示される化合物325重量部、前記式(1)で示される化合物の内Rが水素である化合物75重量部(マレイミド基1モル当量に対するアリル基のモル当量は0.5)を、テトラヒドロフラン中に添加して充分に混合、溶解し、固形分率30重量%の樹脂組成物ワニスを得た。
【0050】
樹脂組成物作成例17
前記式(4−5)で示される化合物を273重量部に、前記式(1)で示される化合物の内Rが水素である化合物を127重量部(マレイミド基1モル当量に対するアリル基のモル当量は1.0)に代えた以外は樹脂組成物作成例16と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0051】
樹脂組成物作成例18
前記式(4−5)で示される化合物を236重量部に、前記式(1)で示される化合物の内Rが水素である化合物を164重量部(マレイミド基1モル当量に対するアリル基のモル当量は1.5)に代えた以外は樹脂組成物作成例16と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0052】
樹脂組成物作成例19
前記式(4−5)で示される化合物を68重量部に、前記式(1)で示される化合物の内Rが水素である化合物を32重量部(マレイミド基1モル当量に対するアリル基のモル当量は1.0)に代えた以外は樹脂組成物作成例16と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0053】
樹脂組成物作成例20
前記式(4−5)で示される化合物を615重量部に、前記式(1)で示される化合物の内Rが水素である化合物を285重量部(マレイミド基1モル当量に対するアリル基のモル当量は1.0)に代えた以外は樹脂組成物作成例16と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0054】
樹脂組成物作成例21
前記式(4−5)で示される化合物325重量部を前記式(4−4)で示される化合物310重量部に、前記式(1)で示される化合物の内Rが水素である化合物75重量部を90重量部(マレイミド基1モル当量に対するアリル基のモル当量は1.0)に代えた以外は樹脂組成物作成例16と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0055】
樹脂組成物作成例22
前記式(4−5)で示される化合物325重量部を前記式(4−1)で示される化合物291重量部に、前記式(1)で示される化合物の内Rが水素である化合物75重量部を109重量部(マレイミド基1モル当量に対するアリル基のモル当量は1.0)に代えた以外は樹脂組成物作成例16と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0056】
樹脂組成物作成例23
前記式(4−5)で示される化合物325重量部を前記式(4−2)で示される化合物の内pが0(ゼロ)である化合物284重量部に、前記式(1)で示される化合物の内Rが水素である化合物75重量部を156重量部(マレイミド基1モル当量に対するアリル基のモル当量は1.0)に代えた以外は樹脂組成物作成例16と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0057】
樹脂組成物作成例24
前記式(4−5)で示される化合物325重量部を前記式(4−2)で示される化合物の内pが4である化合物320重量部に、前記式(1)で示される化合物の内Rが水素である化合物75重量部を80重量部(マレイミド基1モル当量に対するアリル基のモル当量は1.0)に代えた以外は樹脂組成物作成例16と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0058】
樹脂組成物作成例25
前記式(4−5)で示される化合物325重量部を前記式(4−2)で示される化合物の内pが8である化合物341重量部に、前記式(1)で示される化合物の内Rが水素である化合物75重量部を59重量部(マレイミド基1モル当量に対するアリル基のモル当量は1.0)に代えた以外は樹脂組成物作成例16と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0059】
樹脂組成物作成例26
前記式(4−5)で示される化合物325重量部を前記式(4−3)で示される化合物305重量部に、前記式(1)で示される化合物の内Rが水素である化合物75重量部を94重量部(マレイミド基1モル当量に対するアリル基のモル当量は1.0)に代えた以外は樹脂組成物作成例16と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0060】
樹脂組成物作成例27
合成例3で得られたシロキサン変性ポリイミドを合成例1で得られたシロキサン変性ポリイミドに代えた以外は樹脂組成物作成例17と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0061】
樹脂組成物作成例28
合成例3で得られたシロキサン変性ポリイミドを合成例2で得られたシロキサン変性ポリイミドに代えた以外は樹脂組成物作成例17と同様に操作して樹脂組成物ワニスを得た。
【0062】
樹脂組成物作成例29
樹脂組成物作成例17で得られた樹脂組成物ワニスにシリカフィラー150重量部を分散し、樹脂組成物ワニスを得た。
【0063】
樹脂組成物作成例30
樹脂組成物作成例17で得られた樹脂組成物ワニスにシリカフィラー300重量部を分散し、樹脂組成物ワニスを得た。
【0064】
(実施例)
実施例1〜10、参考例1〜20
樹脂組成物作成例1〜30で得られた樹脂組成物ワニスを芳香族ポリエステル不織布(厚さ0.1mm、クラレ社製)100重量部に固形分で120重量部含浸させて140℃の乾燥炉中で5分間乾燥させ、プリプレグを作成した。得られたプリプレグはタックフリーで可とう性を有しており作業性に優れていた。このプリプレグを4枚重ね合わせ、さらに上下の最外層に18μmの銅箔を配して、20kg/cmの圧力で、200℃2時間の加熱条件で成形し、0.4mmの両面銅箔張積層板を得た。得られた積層板の試験結果を表1に示す。
【0065】
実施例11
芳香族ポリエステル不織布をアラミド不織布(厚さ0.1mm、デュポン社製)に代えた以外は実施例1〜10、参考例1〜20と同様に操作して0.4mmの両面銅箔張積層板を得た。得られた積層板の試験結果を表1に示す。
【0066】
実施例12
芳香族ポリエステル不織布をテトラフルオロカーボン不織布(厚さ0.1mm、巴川社製)に代えた以外は実施例1〜10、参考例1〜20と同様に操作して0.4mmの両面銅箔張積層板を得た。得られた積層板の試験結果を表1に示す。
【0067】
実施例13
厚さ18μmの銅箔を厚さ18μmの42材箔に代えた以外は実施例1〜10、参考例1〜20と同様に操作して0.4mmの両面銅箔張積層板を得た。得られた積層板の試験結果を表1に示す。
【0068】
比較例1
合成例3で得られたシロキサン変性ポリイミド樹脂100重量部と前記式(4−5)で示される化合物400重量部を、テトラヒドロフラン中に添加して充分に混合、溶解し、得られた固形分率30重量%の樹脂組成物を用いて、実施例1〜10、参考例1〜20と同様に操作して0.4mmの両面銅箔張積層板を得た。得られた積層板の試験結果を表1に示す。
【0069】
比較例2
合成例3で得られたシロキサン変性ポリイミドをアクリロニトリル−ブタジエン共重合体に代えた以外は樹脂組成物作成例1と同様に操作して樹脂組成物ワニスを用いて、実施例1〜10、参考例1〜20と同様に操作して0.4mmの両面銅箔張積層板を得た。得られた積層板の試験結果を表1に示す。
【0070】
表1
誘電率 ヒ゜ール強度 はんだ耐熱性 PCBT
参考例1 3.0 1.2 kg/cm 異常なし ショート無し
参考例2 2.9 1.2 kg/cm 異常なし ショート無し
参考例3 3.0 1.3 kg/cm 異常なし ショート無し
参考例4 3.0 1.3 kg/cm 異常なし ショート無し
参考例5 3.0 1.2 kg/cm 異常なし ショート無し
参考例6 3.0 1.4 kg/cm 異常なし ショート無し
実施例 2.9 1.3 kg/cm 異常なし ショート無し
実施例 2.8 1.2 kg/cm 異常なし ショート無し
実施例 2.9 1.3 kg/cm 異常なし ショート無し
実施例 3.0 1.2 kg/cm 異常なし ショート無し
実施例 2.9 1.2 kg/cm 異常なし ショート無し
参考例7 2.8 1.4 kg/cm 異常なし ショート無し
参考例8 2.9 1.4 kg/cm 異常なし ショート無し
参考例9 3.0 1.3 kg/cm 異常なし ショート無し
参考例10 3.0 1.2 kg/cm 異常なし ショート無し
参考例11 2.9 1.3 kg/cm 異常なし ショート無し
参考例12 2.9 1.4 kg/cm 異常なし ショート無し
参考例13 3.0 1.2 kg/cm 異常なし ショート無し
参考例14 2.9 1.2 kg/cm 異常なし ショート無し
参考例15 2.8 1.3 kg/cm 異常なし ショート無し
参考例16 2.9 1.3 kg/cm 異常なし ショート無し
実施例 2.9 1.2 kg/cm 異常なし ショート無し
実施例 3.0 1.3 kg/cm 異常なし ショート無し
実施例 2.8 1.4 kg/cm 異常なし ショート無し
実施例 3.0 1.2 kg/cm 異常なし ショート無し
実施例10 3.0 1.2 kg/cm 異常なし ショート無し
【0071】
表1(続)
誘電率 ヒ゜ール強度 はんだ耐熱性 PCBT
参考例17 2.9 1.3 kg/cm 異常なし ショート無し
参考例18 3.0 1.2 kg/cm 異常なし ショート無し
参考例19 2.9 1.2 kg/cm 異常なし ショート無し
参考例20 3.0 1.4 kg/cm 異常なし ショート無し
実施例11 2.8 1.2 kg/cm 異常なし ショート無し
実施例12 2.8 1.2 kg/cm 異常なし ショート無し
実施例13 3.0 1.3 kg/cm 異常なし ショート無し
比較例1 3.3 1.4 kg/cm 銅箔ふくれ ショート無し
比較例2 3.5 1.2 kg/cm 異常なし ショート無し
【0072】
(評価方法)
誘電率:JIS C6481(比誘電率および誘電)に準じて行い周波数1MHzの静電容量を測定して求めた。
ピール強度:JIS C6481(引き剥がし強さ)に準じて測定した。
はんだ耐熱性:JIS C6481(はんだ耐熱性)に準じて測定し、260℃での外観の以上の有無を調べた。
PCBT(Pressure Cooker Bias Test):積層板の表面にエッチングで線間100μmのパターンを作成し、そのパターンの上に厚さ0.1mmのプリプレグを積層し、圧力20kg/cm、温度200℃で2時間加熱加圧成形を行い試験体を作成した。試験体に5V印加、121℃、2気圧、100%RH、1000時間の条件でパターン間のショートの有無を調べた。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、低誘電率、耐熱性に優れ、かつ室温において十分なピール強度を有するため、プリント配線板等の積層用材料として好適に使用することができる樹脂組成物および該樹脂組成物を用いた積層板、金属箔張り積層板が提供される。

Claims (13)

  1. 成分(a)シロキサン変性ポリイミドと、成分(b)アリル基もしくはメチルアリル基を3個含有する下記式(1)で示す化合物および成分(c)マレイミド基を2個含有する化合物からなり、かつマレイミド基を2個含有する化合物が下記式(4−1)ないし式(4−3)であることを特徴とする熱硬化性低誘電樹脂組成物、
    Figure 0004392767

    Figure 0004392767
  2. 請求項1記載の各成分が、成分(a)100重量部に対して、成分(b)および成分(c)の総和が10〜900重量部であり、成分(c)のマレイミド基1モル当量に対する成分(b)のメチルアリル基が0.1〜2.0モル当量であることを特徴とする請求項1記載の熱硬化性低誘電樹脂組成物。
  3. 成分(a)のシロキサン変性ポリイミドが下記式(2a)で表される構造単位の少なくとも1種を90〜40モル%と、下記式(2b)で表される構造単位の少なくとも1種を10〜60モル%含有してなることを特徴とする請求項1記載の熱硬化性低誘電樹脂組成物。
    Figure 0004392767
    (式中、Xは4価の芳香族基で3,3’,4,4’−ジフェニルスルホン構造、3,3’,4,4’−ビフェニル構造、2,3’,3,4’−ビフェニル構造の何れかを、Arは芳香環を有する下記式(3)の構造を有する基群から選ばれる2価の基を、Rは炭素数1〜10のアルキレン基またはメチレン基がSiに結合している−CHOC−を示し、nは1〜20の整数を意味する。)、
    式(3)
    Figure 0004392767
    (式中R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基を示すが、これら全ての基が同時に水素原子であることはない。)。
  4. 成分(a)のシロキサン変性ポリイミドの誘電率が3.0以下であることを特徴とする請求項1記載の熱硬化性低誘電樹脂組成物。
  5. 成分(a)のシロキサン変性ポリイミドのガラス転移点温度が150℃以下であることを特徴とする請求項1記載の熱硬化性低誘電樹脂組成物。
  6. 成分(a)のシロキサン変性ポリイミドの重量平均分子量が5,000〜500,000であることを特徴とする請求項1記載の熱硬化性低誘電樹脂組成物。
  7. 粒径1μm以下のフィラーが、全固形分の5〜70%含まれていることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性低誘電樹脂組成物。
  8. 繊維強化材に、請求項1〜記載の半硬化状態の熱硬化性低誘電樹脂組成物を充填したプリプレグを1枚若しくは2枚以上積層したことを特徴とする積層板。
  9. 請求項記載の積層板の片面ないし両面に金属箔を積層し、一体化したことを特徴とする金属箔張積層板。
  10. 積層板の熱硬化性低誘電樹脂組成物が、半硬化状態であることを特徴とする請求項記載の金属箔張積層板。
  11. 積層板の熱硬化性低誘電樹脂組成物が、硬化状態であることを特徴とする請求項記載の金属箔張積層板。
  12. 請求項8〜11記載の繊維強化材が、アラミド繊維、芳香族ポリエステル繊維またはテトラフルオロカーボン繊維の織物または不織布であることを特徴とする積層板または金属箔張積層板。
  13. 金属箔が、銅、白銅、銀、鉄、42合金およびステンレスから選ばれた少なくとも1種の金属箔であることを特徴とする請求項記載の金属箔張積層板。
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