JP4392483B2 - 新規糖転移酵素遺伝子 - Google Patents
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Description
花の色のうち、橙、赤、紫、青は主にアントシアニンと呼ばれるフラボノイドに由来する。黄色は、カロチノイド、ベタレインといったフラボノイド以外の化合物に由来することが多いが、一部の植物種の黄色はフラボノイドに由来する。たとえば、黄色カーネーションには4,2’,4’,6’−テトラヒドロキシカルコン(以下、「THC」とする。)の2’位配糖体が花弁中に存在することが知られている(例えば、非特許文献3参照)。カルコン類としては、THC、ブテイン、イソリクイチゲニン等の配糖体が知られており、カーネーション、アサガオ、ボタン、アスター、ムギワラギクにはTHCが、キンギョソウやスターチスには3,4,2’,4’,6’−ペンタヒドロキシカルコンが、コスモス、キクイモにはブテインが、ダリアにはブテインおよびイソリクイチゲニンをアグリコンとする配糖体が含まれている。また、キンギョソウなどの限られた種にはオーレウシジン、ブラックテアチンなどのオーロン類と呼ばれる黄色の花色素が存在するが、オーロンの吸収極大は399nmから403nmであるのに対し、カルコンの吸収極大は365nmから382nmであるから、両者の色調は異なる(例えば、非特許文献4参照)。一般にカルコン類、オーロン類とも植物細胞中では糖転移された配糖体になることにより安定化され液胞中に移行し蓄積される。アントシアニンの生合成経路はよく研究されており、アントシアニンの生合成に関与する酵素やそれらをコードする遺伝子が知られている(例えば、非特許文献5参照)。また、オーロンの生合成に関わる酵素とその遺伝子についても報告されている(例えば、非特許文献6参照)。
フラボノイドの生合成経路は高等植物には広く存在しており、また、種間で共通している。THCは、3分子のマロニルCoAと1分子のクマロイルCoAからカルコン合成酵素の触媒作用により生合成される。図1に示すように、THCは薄い黄色を呈するが、植物においては、カルコンイソメラーゼにより速やかに無色のナリンゲニンに変換される。また、THCは中性付近のpHではきわめて不安定であり、自発的に閉環してナリンゲニンに変換される。THCが植物細胞中で安定に存在する、すなわち黄色を安定に呈するためにはTHCの2’位に糖転移され、液胞に輸送されることが必要であるとされている。したがって、THCの2’位に糖転移する酵素の遺伝子を得ることができれば、この酵素遺伝子を植物において発現し、THC配糖体を蓄積させ、黄色の花を作成できると考えられていた(例えば、非特許文献7参照)。
しかしながら、THCをはじめ、カルコン類の2’位の水酸基に糖、例えばグルコースを転移する反応を触媒する酵素の活性を測定することができなかった。従来カルコン糖転移酵素の活性測定には、UDP−グルコースを放射性同位元素で標識し、酵素反応後、生成した配糖体を酢酸エチル抽出した有機層の放射活性を測定するという方法(例えば、非特許文献8参照)が用いられていた。しかし、THCの配糖体はそのほとんどが水層に移動するため、放射活性でカウントされていたのは未反応でわずかに有機層に溶出したフリーのUDP−グルコースの可能性が高く、本来のTHC糖転移酵素活性を正確に測定できないという問題があった。従って、この糖転移反応を触媒する酵素が精製できなかったので、当該糖転移酵素をコードする遺伝子がクローン化できなかった。
THCの2’位の水酸基がメチル化された化合物が蓄積した場合も、花弁は淡い黄色となることは知られているが、このメチル化を触媒する酵素やその遺伝子については知られていない。ダリア、コスモスなどの黄色の品種には6’−デオキシカルコンが含まれる。マメ科植物においては、6’−デオキシカルコンは5−デオキシフラボノイドの前駆体であり、カルコンシンターゼ(CHS)とカルコンリダクターゼ(CHR)の触媒作用により生合成される。ペチュニアにアルファルファのCHR遺伝子を導入したところ、ブテインなどの6’−デオキシカルコン類が生成したことが報告されているが、当該CHR遺伝子を白い花をもつペチュニアに導入した場合、つぼみの段階ではごく薄い黄色が見られたが、開花時にはほとんど白であり、産業上有用な黄色の花を作出するに至らなかった(例えば、非特許文献9参照)。
フラボノイドをはじめ多様な花色素化合物の糖転移反応を触媒して配糖体を生成する酵素は、糖転移酵素と呼ばれ、植物はアグリコン及び転移する糖の種類に特異性を有する多様な分子種の糖転移酵素およびそれらをコードする遺伝子を持っている。グルコース転移酵素は通常UDP−グルコースをグルコース供与体として利用するので、グルコース転移酵素はそのアミノ酸配列中にUDP−グルコースに結合するモチーフを含んでいる(例えば、非特許文献10参照)。このモチーフを有する糖転移酵素の遺伝子は、すでにゲノムの全構造が明らかになっているアラビドプシスには、99種あることが知られている(例えば、非特許文献11参照)。また、いくつかの糖転移酵素のアミノ酸配列と機能が解明されている。フラボノイドあるいはアントシアニジンの3位の水酸基にグルコースを転移する反応を触媒する酵素(UDP−グルコース:フラボノイド3−グルコシルトランスフェラーゼ)の遺伝子は、トウモロコシ、リンドウ、ブドウなどから得られている(例えば、非特許文献11参照)。また、アントシアニンの5位の水酸基にグルコースを転移する反応を触媒する酵素(UDP−グルコース:アントシアニン5−グルコシルトランスフェラーゼ)の遺伝子は、シソ、バーベナなどから得られている(例えば、非特許文献12参照)。
これらのグルコース転移酵素のアミノ酸配列の解析から、グルコース転移反応を触媒するという同一機能を有するタンパク質は植物種が異なっていてもアミノ酸配列は類似していること、すなわちファミリーを形成することが知られている(例えば、非特許文献11参照)。つまり、すでにアミノ酸配列とグルコース転移反応を触媒することが明らかとなっているグルコース転移酵素と同一機能を有する酵素(オルソログ)を他の植物種から得ることについては報告がある。たとえば、ペチュニアのUDP−グルコース:アントシアニン5−グルコシルトランスフェラーゼの遺伝子は、シソのUDP−グルコース:アントシアニン5−グルコシルトランスフェラーゼの遺伝子を用いてクローニングされた(例えば、非特許文献13参照)。しかしながら、現在の技術水準からしても、アミノ酸配列あるいは機能の明らかではない糖転移酵素の遺伝子を取得することには、多大の試行錯誤と困難が伴う。特に、アラビドプシスの花は白であり、カルコン2’位配糖体の蓄積は報告されていない。したがって、すでにゲノム構造が決定されているアラビドプシスの糖転移酵素遺伝子の情報を利用して本遺伝子のクローニングを行うことはできない。カーネーションに関しては、カルコンイソメラーゼとジヒドロフラボノール還元酵素遺伝子に変異が生じた際にTHC配糖体が蓄積し黄色を呈することが報告されている。また、シクラメンにおいてはカルコンイソメラーゼの変異によりTHC配糖体が蓄積すると考えられている。同様にカルコン2’位配糖体が蓄積する植物としてはペチュニア花粉,シャクヤク、ムギワラギク、エゾギク、シクラメン、ツキミソウ、ニチニチソウなどが知られており、また、多くの植物、特に薄い黄色の花を呈する植物にもTHCの2’位に糖を転移する酵素の遺伝子が発現していると考えられる。
非特許文献1;Plant Cell Physiol.39,1119(1998)
非特許文献2;Curr.Opin.Biotechnol.12,155(2001)
非特許文献3;Phytochemistry,5,111(1996)
非特許文献4;バイオホルティ 1 49−57(1990)誠文堂新光社
非特許文献5;Comprehensive Natural Products Chemistry,vol I(ed.Sankawa)pp713−748,Elsevier,Amsterdam(1999)
非特許文献6;Science,290,1163(2000)
非特許文献7;Biotechnology of Ornamental Plants(Edited by Geneve,Preece and Merkle)pp259−294,CAB International Wallingford,UK(1997)
非特許文献8;Phytochemistry,Vol.17,pp.53−56,(1978)
非特許文献9;Plant J.13,259(1998)
非特許文献10;Plant Physiol.112,446(2001)
非特許文献11;J.Biol.Chem.276,4338,(2001)
非特許文献12;J.Biol.Chem.274,7405,(1999)
非特許文献13;Plant Mol Biol.48,401−11(2002)
前述のように、カルコン2’位糖転移酵素の性質は知られておらず、酵素が精製されたり、その遺伝子がクローニングされたこともなかった。発明者らは、カーネーションの花弁cDNAライブラリーから糖転移酵素の保存領域に対応したプローブを用いて、当該保存領域に対応する塩基配列を有する糖転移酵素遺伝子を数十種クローン化した。さらに、当該糖転移酵素遺伝子群を各々大腸菌で発現させ、その中に、当該大腸菌の抽出液中にカルコンの2’位にグルコースを転移する活性、すなわちカルコン2’位糖転移酵素活性を確認し、クローン化した遺伝子が2’位糖転移酵素をコードすることを確認して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1) 配列番号2に記載のアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列に対して1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(2) 配列番号1に記載する塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(3) 配列番号15に記載のアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列に対して1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(4) 配列番号14に記載する塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(5) 配列番号17に記載のアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列に対して1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(6) 配列番号16に記載する塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(7) 配列番号19に記載のアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列に対して1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(8) 配列番号18に記載する塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(9) 配列番号21に記載のアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列に対して1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(10) 配列番号20に記載する塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(11) 配列番号56に記載のアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列に対して1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
(12) 配列番号55に記載する塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
(13) 前記(1)から(12)のいずれか一項に記載の遺伝子を含んでなるベクター。
(14) 前記(13)に記載のベクターにより形質転換された宿主細胞。
(15) 前記(14)に記載の宿主細胞を培養又は生育させ、当該宿主細胞からカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質を採取することを特徴とする当該タンパク質の製造方法。
(16) 前記(15)に記載の方法で得られたタンパク質。
(17) 前記(1)から(12)のいずれか一項に記載の遺伝子が導入された植物体若しくは当該植物体の子孫となる植物体、又はそれら植物体の組織。
(18) 前記(17)に記載の植物体から採取された切り花。
(19) 前記(1)から(12)のいずれか一項に記載の遺伝子を植物体に導入及び発現して花色が改変された植物体、及び当該植物体の子孫となる植物体。
(20) 改変された花色が黄色であることを特徴とする前記(18)に記載の植物体。
本発明により新規な遺伝子および酵素等が提供され、カルコン類の2’位の水酸基に特異的に糖を転移させることができ、カルコン類を安定化させることができる。本発明は、花色を改変させた植物体の作製に好適に用いられる。
第2図は、植物由来の糖転移酵素のアミノ酸の配列のアライメントを示す図である。矢印で示した部分のアミノ酸配列に相当する塩基配列をプライマーとして用いた。これらにより増幅される部分をGT保存領域として実施例2のプローブに用いた。四角で囲んだ部分は各GT間の配列に相同性のある部分である。略号は、次の通りである。MG3GGT:アサガオ3GGT; GGT7:リンドウ3GT; HGT8:バーベナ5GT; Sb UFGT:コガネバナGT。
本発明はまた、配列番号1、14、16、18、20、55のいずれかに記載の塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAに対し、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカルコン2’位糖転移酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子に関するものである。すなわち、配列番号1、14、16、18、20、55のいずれかに記載の塩基配列と相補的な塩基配列を有するDNAに対しストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつカルコン2’位糖転移酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子も、本発明の技術的範囲に属する。ハイブリダイゼーションの条件はプローブに用いるDNAの長さ及び塩基組成によって異なるから、以下に数値によって示す具体的な条件に限定されるものではないが、ここでいう「ストリンジェントな条件」とは、例えば、好ましくは5×SSC、37℃、より好ましくは5×SSC、50℃、さらに好ましくは2×SSC、65℃である。ここで、5×SSC、37℃の条件は、実施例2に示すように、アントシアニジン類の糖転移酵素遺伝子の保存領域をプローブとして、本発明のカルコン2’位糖転移酵素のようなホモログとハイブリダイズさせる条件として好ましく適用でき、5×SSC、50℃の条件は、本発明のカーネーション由来のカルコン2’位糖転移酵素遺伝子をプローブとして他起源のカルコン2’位糖転移酵素遺伝子(オルソログ)をハイブリダイズさせる条件として好ましく適用できる。
上述のようなハイブリダイゼーションによって選択される遺伝子としては、天然由来のもの、例えば植物由来のもの、例えばシクラメン由来の遺伝子が挙げられるが、植物由来に限定されるものではない。すなわち、本発明のカルコン2’位糖転移酵素遺伝子は、カーネーション由来のカルコン2’位糖転移酵素遺伝子に限定されるものではなく、当該遺伝子のオルソログであるシクラメン、シャクヤクなどのカルコン類の2’位配糖体を含む植物に由来するカルコン2’位糖転移酵素遺伝子であってもよく、当該遺伝子のいずれでも黄色の花を育種するのに用いることができる。また、ハイブリダイゼーションによって選択される遺伝子はcDNAであってもよく、ゲノムDNAであってもよい。
糖転移酵素の保存領域の相同性を有する遺伝子は実施例に示すように、例えばカーネーション花弁から作成したcDNAライブラリーのスクリーニングによって得られる。また、配列番号2に記載のアミノ酸配列が改変されたアミノ酸配列を有する糖転移酵素をコードするDNAは、配列番号1に記載の塩基配列を有するDNAを用いて、公知の部位特定変異誘発法やPCR法によって合成することができる。また、配列番号15に記載のアミノ酸配列が改変されたアミノ酸配列を有する糖転移酵素をコードするDNAは、配列番号14に記載の塩基配列を有するDNAを用いて、公知の部位特定変異誘発法やPCR法によって合成することができる。また、配列番号17に記載のアミノ酸配列が改変されたアミノ酸配列を有する糖転移酵素をコードするDNAは、配列番号16に記載の塩基配列を有するDNAを用いて、公知の部位特定変異誘発法やPCR法によって合成することができる。また、配列番号19に記載のアミノ酸配列が改変されたアミノ酸配列を有する糖転移酵素をコードするDNAは、配列番号18に記載の塩基配列を有するDNAを用いて、公知の部位特定変異誘発法やPCR法によって合成することができる。また、配列番号21に記載のアミノ酸配列が改変されたアミノ酸配列を有する糖転移酵素をコードするDNAは、配列番号20に記載の塩基配列を有するDNAを用いて、公知の部位特定変異誘発法やPCR法によって合成することができる。また、配列番号56に記載のアミノ酸配列が改変されたアミノ酸配列を有する糖転移酵素をコードするDNAは、配列番号55に記載の塩基配列を有するDNAを用いて、公知の部位特定変異誘発法やPCR法によって合成することができる。例えばアミノ酸配列を改変したいDNA断片をcDNAまたはゲノムDNAの制限酵素処理によって得、これを鋳型にして、所望のアミノ酸配列の改変に対応したプライマーを用い、部位特異的変異誘発またはPCR法を実施し、所望のアミノ酸配列の改変に対応したDNA断片を得ることができる。その後、この改変を導入したDNA断片を目的とする酵素の他の部分をコードするDNA断片と連結すればよい。
あるいはまた、短縮されたアミノ酸配列からなる酵素をコードするDNAを得るには、例えば目的とするアミノ酸配列より長いアミノ酸配列、例えば全長アミノ酸配列をコードするDNAを所望の制限酵素により切断し、その結果得られたDNA断片が目的とするアミノ酸配列の全体をコードしていない場合は、不足部分のアミノ酸配列に対応するDNA断片を合成し、連結すればよい。
このようにして得られた糖転移酵素遺伝子を大腸菌又は酵母での遺伝子発現系を用いて発現させ、当該大腸菌又は酵母の抽出液中のカルコン2’位糖転移酵素の活性を測定することにより、得られた糖転移酵素遺伝子がカルコン2’位糖転移活性を示すタンパク質をコードすることを確認することができる。カルコン2’位糖転移酵素の活性は、例えば実施例5に記載したように、ゲル濾過樹脂にカルコン2’位糖転移酵素の基質となるカルコン類を吸着させた後、当該ゲル濾過樹脂を糖転移酵素遺伝子で形質転換した大腸菌又は酵母の抽出液と反応させ、生成したカルコン2’位配糖体を高速液体クロマトグラフィーで分析することにより測定できる。
さらに、得られたカルコン2’位糖転移酵素遺伝子を適切な宿主細胞で発現させることにより、当該遺伝子の産物であるカルコン2’位糖転移酵素タンパク質を得ることができる。あるいはまた、例えば配列番号2に記載のアミノ酸配列の全部又は一部を有するタンパク質又はペプチドに対する抗体を用いて他の生物由来のカルコン2’位糖転移酵素遺伝子を発現クローニングによって得ることもできる。配列番号15、17、19、21、56のアミノ酸配列に関しても同様である。
本発明はまた、カルコン2’位糖転移酵素遺伝子を含む組換えベクター、特に発現ベクター、及び当該ベクターによって形質転換された宿主細胞に関するものである。宿主としては、原核生物または真核生物を用いることができる。原核生物としては細菌、例えばエシェリヒア(Escherichia)属に属する細菌、例えば大腸菌(Escherichia coli)、バシルス(Bacillus)属細菌、例えばバシルス.スブチリス(Bacillus subtilis)など従来公知の宿主細胞を用いることができる。真核細胞としては、例えば真核微生物、好ましくは酵母または糸状菌が使用できる。酵母としては例えばサッカロミセス.セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等のサッカロミセス(Saccharomyces)属酵母が挙げられ、また糸状菌としては、例えばアスペルギルス.オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス.ニガー(Aspergillus niger)等のアスペルギルス(Aspergillus)属糸状菌、及びペニシリウム(Penicillium)属糸状菌等が挙げられる。さらに動物細胞または植物細胞も宿主細胞として使用でき、動物細胞としては、マウス、ハムスター、サル、ヒト等の細胞系が使用される。さらに昆虫細胞、例えばカイコ細胞、またはカイコの成虫それ自体も宿主として使用される。
本発明の発現ベクターはそれらを導入すべき宿主の生物種に依存したプロモーターおよびターミネーター等の発現制御領域、及び複製起点等を含有する。細菌用、特に大腸菌における発現ベクターのプロモーターとしては、従来公知のプロモーター、例えばtrcプロモーター、tacプロモーター、lacプロモーター等が使用できる。また、酵母用プロモーターとしては、例えばグリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター、PHO5プロモーター等が使用され、糸状菌用プロモーターとしては例えばアミラーゼ、trpC等のプロモーターが使用できるが、これらのプロモーターに限定されるものではない。また動物細胞用プロモーターとしてはウイルス性プロモーター、例えばSV40アーリープロモーター、SV40レートプロモーター等が使用される。発現ベクターの作成は制限酵素、リガーゼ等を用いて常法に従って行うことができる。また、発現ベクターによる宿主細胞の形質転換も従来公知の方法に従って行うことができる。
植物の発現ベクターの構築は、例えばアグロバクテリウムを用いる場合にはpBI121などのバイナリーベクターを、パーティクルガンを用いる場合にはpUC19などの大腸菌ベクターを用いることができる。さらに、当該植物の発現ベクターで形質転換された植物細胞を例えば抗生物質耐性遺伝子などのマーカー遺伝子を用いて選抜し、適切な植物ホルモン等の条件を用いて再分化させ、カルコン2’位糖転移酵素遺伝子で形質転換された植物体を得ることができる。当該形質転換植物を栽培することにより、開花させ、花色が改変された植物体を得ることができる。
発現ベクターによって形質転換された宿主細胞又は形質転換植物体を培養又は栽培し、培養物または植物体等から常法に従って、例えば、濾過、遠心分離、細胞の破砕、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等により目的とするカルコン2’位糖転移酵素を回収、精製することができる。
本発明はカーネーション、シクラメンのカルコン2’位糖転移酵素遺伝子のみに限定されるものではなく、カルコン2’位糖転移酵素遺伝子の起源としては、植物でも動物でも微生物であってもよく、当該遺伝子がコードするタンパク質がカルコン2’位糖転移活性を有していれば同様に花色変換へ利用できる。本発明はまた、カルコン2’位糖転移酵素遺伝子の利用に関するものであり、カルコン2’位糖転移酵素遺伝子を植物体に導入および発現することにより、花色が改変された植物体もしくはその子孫の植物体又はこれら植物体の組織も本発明の技術的範囲であり、組織の形態としては切り花であってもよい。
現在の技術水準をもってすれば、植物に遺伝子を導入し、その遺伝子を構成的あるいは組織特異的に発現させることは可能であるし、またアンチセンス法やコサプレッション法などによって目的の遺伝子の発現を抑制することも可能である。形質転換可能な植物の例としては、バラ、キク、カーネーション、金魚草、シクラメン、ラン、トルコギキョウ、フリージア、ガーベラ、グラジオラス、カスミソウ、カランコエ、ユリ、ペラルゴニウム、ゼラニウム、ペチュニア、トレニア、チューリップ、イネ、オオムギ、小麦、ナタネ、ポテト、トマト、ポプラ、バナナ、ユーカリ、サツマイモ、タイズ、アルファルファ、ルーピン、トウモロコシ、カリフラワー、ニチニチソウなどがあげられるがこれらに限定されるものではない。
また、花色を改変させる方法の他の実施形態としては、上記のように本発明のカルコン2’位糖転移酵素遺伝子を導入すると共に、併せてTHCがカルコン2’位配糖体以外の物質に転換される代謝を抑制するような手段を採ることもできる。例えば、本発明のカルコン2’位糖転移酵素遺伝子を導入すると共に、CHI遺伝子(EMBO J 7、1257(1988))、ペチュニアのフラバノン3水酸化酵素遺伝子(F3H)(Britsh et al.(1993)European J.Biochemistry 217,p745−754)、ジヒドロフラボノール4還元酵素遺伝子(DFR)(Beld et al.(1989)Plant Molecular Biology 13,p491−502,Huits et al.(1994)Plant J.6,p295−310)などの遺伝子群から選ばれる1種または2種以上の遺伝子の発現を抑制する形態を採用してもよい。
実施例1 カーネーション花弁cDNAライブラリーの構築
黄色のカーネーションの新鮮な花弁5gから、R.McGookinらのMethod in Molecular Biology vol.2(Humana Press Inc.1984)に詳細に示されているチオシアン酸グアニジン・塩化セシウムを用いる方法でRNAを取得し、オリゴテックスdT30(日本ロシュ社)を用いてpolyA+RNAを精製した。このpolyA+RNAから、cDNA synthesis Kit(Stratagene社)およびλZAPIIUni−XR vector kit(Stratagene社)を用いて、cDNAライブラリーを構築した。得られたライブラリーは、1.6x105 プラーク・フォーミング・ユニット(plaque forming unit)からなっていた。
実施例2 完全長カルコン2’位糖転移酵素遺伝子の取得
図2に示した、糖転移酵素(GT)のアミノ酸配列を比較し得られた保存領域(図2中、対合する矢印で示した領域)に相当する塩基配列からなるDNA断片を増幅し、これをプローブとして実施例1で述べたカーネーションcDNAライブラリーをスクリーニングした。アミノ酸配列を比較したGTはアサガオ由来のUDP−グルコース:アントシアニジン3−グルコシド糖転移酵素(3GGT)(配列番号13に記載のアミノ酸配列)、リンドウ由来UDP−グルコース:アントシアニン3−グルコシルトランスフェラーゼ(3GT)(Plant Cell Physiol.37,pp.711(1996))、バーベナ由来UDP−グルコース:アントシアニン5−グルコシルトランスフェラーゼ(5GT)(J.Biol.Chem.,274,7405,(1999))、コガネバナ糖転移酵素(GT)(Planta 210,1006−1013(2000))記載のアミノ酸配列の4種である。それぞれGTについて、図2の逆方向の矢印で示した保存領域を増幅できるオリゴヌクレオチドを作製し、DIG標識システム(ロシュ・ダイアグノスティックス社)にて製造者が推奨する条件に従いPCRによりラベルした。この際、鋳型として1ngのそれぞれのcDNAを含むプラスミド、プライマーとして各100ngの以下のオリゴヌクレオチドを使用し、95℃1分、55℃1分、72℃2分からなる反応を1サイクルとし、25サイクルを行った。これらのPCR増幅産物を等量混合したものをハイブリダイゼーションのプローブとして、実施例1に記載のカーネーション由来のcDNAライブラリーをスクリーニングした。保存領域の増幅に使用したプライマーは以下のとおりである。
ライブラリーのスクリーニングはノンラジオシステムDNA検出キット(ロッシュ・ダイアグノスティック社製)を用いて行った。ハイブリダイゼーションは、1%SDS、30%ホルムアミドを含む5×SSC中で37℃で一夜行い、フィルターの洗浄は1xSSC、1%SDSを用いて55℃で30分間行った。約27万プラークをスクリーニングし、最終的に約30の糖転移酵素遺伝子を含むクローンを得た。このクローンの中から、実施例4及び実施例5に記載した方法でカルコン2’位糖転移活性を確認できたクローンが1つ得られ、該クローンをT170と名づけ全塩基配列を決定した。塩基配列の決定は合成オリゴヌクレオチドプライマーによるプライマーウォーキング法により行い、DNA Sequencer model 3100(Applied Biosystems社)を用いて決定した。塩基配列と当該塩基配列がコードするアミノ酸配列を配列番号1及び2に、それぞれ示した。
実施例3 カルコン2’位糖転移酵素T170のアミノ酸配列解析
pT170は、490アミノ酸からなる分子量54.2kDaのタンパク質をコードする1709bpの遺伝子T170を含んでいた。T170がコードするアミノ酸配列を、すでに報告のある糖転移酵素と比較したところリビングストーンデージー由来GT(Plant J.19,509(1999))と25%、シソ、バーベナ由来5GTと21%の相同性を示した。使用したソフトフェアはMacVector ver.6.0(Oxford Molecule社)に含まれるClustalWで、条件は、Matrix Blosum:30、ketuple:1、Gap penalty:3、Topdiagonals:5、Window Size:5で行った。BLAST検索(検索はデフォルトの条件で実施した。すなわち、Composition−based statisticsは、on、Choose filterはLow complexity、MatrixはBlosum62、Gap costsはExistence:11 Extention:1)では多くのGTに対してホモロジーを示した。たとえば、リビングストーンデージー由来ベタニジン6GT(Planta Vol.214,pp.492(2002))に対して55%、サリチル酸などで誘導されるタバコGT(アクセション番号AB052557、Eur.J.Biochem.Vol.268,pp.4086(2001))に対して45%、タバコNTGT3(アクセション番号AB072918)に対して44%のアミノ酸配列の相同性を示した。
同じ機能、活性を有する酵素はアミノ酸配列が類似しており、ファミリーを形成することが知られているが、GTにおいても、図2に示したアサガオ由来の3GGT、リンドウ由来の3GT及びバーベナ由来の5GT及びコガネバナGTはファミリーを形成する。本発明のカルコン2’位糖転移酵素のアミノ酸配列はこれら4種のGTのアミノ酸配列とは低いホモロジーしか示さず、このファミリーには属さない。また、上記のリビングストーンデージー由来ベタニジン6GT、サリチル酸などで誘導されるタバコGT及びタバコNTGT3には比較的高いホモロジーを示したが、これらのGTにカルコン糖転移活性は確認されていない。
実施例4 大腸菌におけるT170遺伝子の発現
T170遺伝子の大腸菌での発現は、The QIA expressionist(QIAGEN社)を用いて行った。まずT170上の糖転移酵素遺伝子の開始コドンの5’側にNcoI認識配列を導入するために、以下に示す2種のプライマーT170−NcoIおよびM13 M4 を用いてPCR反応を行った。
PCR反応液(25μl)は、T170 100ng,1xEx−Taq buffer(Takara社),0.2mM dNTPs,プライマー各0.2pmol/μl,Ex−Taq polymerase 1.25Uからなる。反応は、94℃で5分反応させた後、94℃、1分、55℃、1分、72℃、2分の反応を25サイクル行い、最後に72℃で7分間処理した。得られたPCR産物をpCR2.1 TOPO vector(INVITROGEN社)に製造者が推奨する方法でサブクローニングした。このようにして得られたプラスミドpTOPO−T170とした。PCR反応によるエラーがないことを塩基配列を決定することにより確認した。pQE60(QIAGEN)をNcoIとBglIIで消化した後、同部位に相補的プライマーpQE61−fとpQE61−rをアニーリングさせたオリゴヌクレオチドカセットを挿入して、新たにMCSを導入したベクターpQE−61を作製した。
pTOPO−T170をNcoI、KpnIおよびPstIで制限酵素処理し得られた約1.8KbのフラグメントをベクターpQE−61のNcoIとKpnI切断部位に連結し、プラスミドpSB1443を得た。pSB1443でCompetent high JM109(TOYOBO社)を形質転換した。
実施例5 T170 cDNA組換えタンパク質の糖転移酵素活性の測定
実施例4にて得られた大腸菌形質転換株を、アンピシリン50μg/mlを含むLB培地3mlで37℃で一晩振とう培養した。そのうち200μlをアンピシリン50μg/ml、カザミノ酸0.5%を含むM9培地10mlに加えA600=0.6〜1.0に達するまで培養した後、IPTG(Isopropyl−β−D−thiogalactopyranoside)を終濃度0.02mMになるよう加え、さらに27℃で一晩振とう培養し、冷却遠心(3000rpm、10分間、4℃)により集菌した。菌体を10mlの緩衝液(30mM Tris−HCl pH7.5、30mM NaCl)に懸濁し、超音波処理により大腸菌を破砕した後、遠心分離(15,000rpm、10分、4℃)を行い、得られた上清を粗酵素液とし、以下の活性測定に用いた。
THC(500μg/mlエタノール溶液)を蒸溜水で平衡化したゲル濾過樹脂、TOYOPEARL HW−40F(TOSOH社)1mlに蒸溜水3mlで希釈しながら負荷した後、水洗した。この樹脂100μlに粗酵素液200μlおよび5mM UDP−glucose 10μlを加え、30℃で2時間反応させた。遠心上清を除去後、水洗し、0.1% TFA(Trifluoroacetic acid)を含む50%アセトニトリル300μlを加え反応停止させ、超音波処理によりフラボノイドを樹脂より遊離した。15,000rpm、5分、4℃で遠心分離し、得られた上清をフィルター(ポアサイズ0.45μm、4mm Millex−LH、ミリポア)を用いて不溶物を除去して、液体高速クロマトグラフィーで分析した。カルコンおよびその配糖体の分析条件は以下の通りである。
カラムはYMC−ODS−A312(6mmφ×150mm、株式会社ワイエムシー)を用いて、移動相にはA液として2%酢酸を含むH2O、B液としてメタノールを用い、B液15%からB液40%の直線濃度勾配15分間の溶出後、B液40%で5分間維持し、さらにB液40%からB液62%の直線濃度勾配10分間の溶出の後、B液62%で2分間維持した。流速は1.0ml/min.で行った。検出は360nmにおける吸光度、及びPDA検出器SPD−M6A(島津製作所社)による250〜400nmの吸収スペクトルにより行った。この条件で、THCは保持時間27.3分に溶出され、その2’位配糖体は19.89分に溶出されることをTHC及びTHC2’位配糖体の標準品を用いて確認した。
T170由来の糖転移酵素遺伝子を発現させた大腸菌の抽出液を反応させたとところ、THC(保持時間27.3分)に加え、19.89分に溶出される新たな物質が検出された。これらはpQE−61ベクターのみを発現させた大腸菌から同様に調製した粗抽出液を反応させたものでは検出されなかったことから、T170に由来する糖転移酵素によって生じた産物と考えられる。
以上の結果から、T170由来の糖転移酵素はTHCの2’位の水酸基にグルコースを糖転移する活性を有することが確認された。
実施例6 T170の植物での発現ベクターの構築
T170由来のカルコン2’位糖転移酵素遺伝子産物の植物体での機能を明らかにするために、THCの2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードするcDNA T170を発現させ、本酵素とTHCを基質とするペチュニア由来のカルコンイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするCHI遺伝子の1つであるCHI−A遺伝子(EMBO J 7、1257(1988))の発現を抑制するバイナリーベクター(pSPB1342)を構築した。pSPB1342の作製は以下のように行った。
ペチュニア(品種バカラレッド、サカタのタネ社)の葉よりRNeasy Plant Mini Kit(QIAGEN社)を用いてtotal RNAを抽出し、これよりSuper ScriptTM First−Strand Synthesis System for RT−PCR(Invitrogen社)を用いてcDNAを合成した。このcDNAよりプライマー、BamHI−CHI−F(配列番号49)およびSal−CHI−R(配列番号50)、Sal−CHI−F(配列番号51)およびEcoRI−CHI−R(配列番号52)を用いてPCRによりそれぞれ0.6kbおよび0.8kbのペチュニアCHI遺伝子断片を得た。得られた断片をそれぞれBamHIおよびEcoRI、SalIおよびEcoRIで消化したペチュニアCHI遺伝子断片を作製した。一方pE2113(Mitsuhara et al.Plant Cell Physiol.37,45−59 1996)はエンハンサー配列を繰り返したカリフラワーモザイクウィルス35S(E1235S)プロモーターとノパリンシンターゼ(nos)ターミネーターを有する。pE2113をSnaBIで消化し、BamHIリンカー(タカラ)を挿入することにより、pUE6を得た。pUE6をSacIで消化し、平滑末端化し、SalIリンカー(たとえばタカラ社)を挿入した。このプラスミドをHindIIIとEcoRIで消化して得られるDNA断片のうちE1235Sプロモーターを有する断片を植物形質転換用バイナリーベクターpBINPLUS(vanEngelen et al.Plant Mol.Biol.15,p373(1995))のHindIII−EcoRIサイトに挿入した。このプラスミドpSPB176をBamHIとSalIで消化したDNA断片と前述の2種のペチュニアCHI遺伝子断片を連結することによりpSPB1601を得た。このpSPB1601をAscIで消化後、脱リン酸化した。
次に、pBluescriptII(sk−)(ストラタジーン社)のマルチクローニングサイトEcoRI−XhoIサイトに挿入されているT170遺伝子をBamHI(cDNAの5’端側)とKpnI(cDNAの3’端側)で消化し、約1.5kbのT170cDNA断片を得た。pUCAP(van Engelen et al.Transgenic Research 4,288−290,1995)のPacI部位をAscIリンカーで置換したプラスミドをpUCAA上で、当該pUCAAのHindIII切断部位を5’末端、EcoRI切断部位を3’末端として、MAC1プロモーター(Plant Mol.Biol.15,p373(1990))、T170遺伝子及びマンノピン合成酵素遺伝子(mas)ターミネーターからなるT170遺伝子の発現カセットを構築した(pSPB1500)。
上記のようにして構築されたT170発現カセット全体をAscI切断によって回収し、前述のpSPB1601のAscI切断部位にペチュニアのCHI発現抑制カセットと同じ方向、すなわち両発現カセットともにバイナリーベクターのレフトボーダー(LB)側が上流になるように挿入し、得られたプラスミドをpSPB1342とした。
次に、pSBP1342を持つアグロバクテリウムを作製し、リーフディスクを用いるアグロバクテリウム法でペチュニア(品種PL)リーフディスクに形質転換を行った。形質転換の方法は公知の方法(Plant J.1994 5 p81)によった。
実施例7 T170の植物での発現とフラボノイド組成の変化
実施例6で作製したpSPB1342をアグロバクテリウムツメファシエンスAg10株(Lazo et al.,Bio/Technology 9,963−967,1991)に導入し、リーフディスクを用いるアグロバクテリウム法でペチュニア(品種 PL)リーフディスクに形質転換を行った。アグロバクテリウムへのプラスミドの導入、形質転換の方法は公知の方法(Plant J.1994 5 p81)によった。品種PLはフラボノイド3’,5’−水酸化酵素遺伝子(Holton et al.(1993)Nature 366,p276−279)、フラボノイド3’−水酸化酵素遺伝子(Brugliera et al.(1999)Plant J 19,p441−451)を欠損しているため花色は白ないし薄いピンクである。なお、本実験の目的には使用するペチュニア品種はPLに限定されるものではない。
上記のようにして61系統の独立した形質転換ペチュニアを得た。ペチュニア花弁からRNeasy Plant Mini Kit(QIAGEN)を用いてtotal RNAを得た。このtotal RNA 1μgからSUPERSCRIPT First−Strand Synthesis System for RT−PCR(INVITROGEN)を用いて逆転写反応を行い、さらにEx Taq(Takara)を用いて製造者の推奨する方法によりRT−PCR反応を実施した。T170のmRNAの増幅にはプライマーT170FとT170Rを、ペチュニアCHI mRNAの増幅にはプライマーCHIF1とCHIR1を用いた。各プライマーの配列は以下のとおりである。
その結果、38系統のペチュニア花弁でT170のmRNAが検出され、32系統のペチュニアでペチュニアCHI mRNAの減少が観察された。
T170のmRNAが検出されたペチュニア花弁0.5gを2.5mlの0.1%トリフルオロ酢酸を含む50%アセトニトリルに浸潤し、フラボノイドを抽出後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析した。HPLCの条件は、ODS−A−312(150×6.0mm)を用いた実施例5と同じ条件を用いた。本条件ではカルコン2’位配糖体、カルコン4’位配糖体はそれぞれリテンションタイム19.89分、21.69分に溶出される。T170を発現しているペチュニアのうち3系統でカルコン2’位配糖体に対応するピークをもち、また同じ吸収スペクトルを有していた。さらにT170を発現しているペチュニア花弁の抽出物とカルコン2’位配糖体をコクロマトグラフィーにより解析したところ、両者のピークは完全に一致した。以上の結果より、T170の発現によりカルコン2’位配糖体が合成された、すなわちT170は植物の中で機能するカルコン2’位糖転移酵素をコードしていることを示すことができた。なお、形質転換ペチュニアにおいては、ペチュニアCHIのmRNA量は減少していたものの低レベルの転写が認められた。
実施例8 T170の植物での発現ベクターの構築2
T170の発現とペチュニアCHI遺伝子の抑制だけでは十分量のカルコン2’位配糖体の蓄積が十分ではなかったため、ペチュニアのフラバノン3水酸化酵素遺伝子(F3H)(Britsh et al.(1993)European J.Biochemistry 217,p745−754)あるいはジヒドロフラボノール4還元酵素遺伝子(DFR)(Beld et al.(1989)Plant Molecular Biology 13,p491−502,Huits et al.(1994)Plant J.6,p295−310)の抑制を行うことにした。
(8−1)ペチュニアF3HcDNA 二本鎖コンストラクト構築
ペチュニアF3HのcDNA遺伝子をpBluescriptII(sk−)にクローニングしたpSPB265を鋳型に用い、M13RV primer(配列番号48)とPhF3H−1−ClaI primer(配列番号40)の組み合わせでPCRを行い、PhF3H−1断片を得た。このPhF3H断片をZero Blunt TOPO PCR Cloning Kit(Invitrogen)を用いてクローニングした後、SacIとClaIで切り出し、約0.7kbの断片PhF3H−1’とした。一方、pSPB265をBamHIとClaIで消化して約0.9kbの断片を切り出しPhF3H−2’とした。pUE6をpUCAP(van Engelen et al.Transgenic Research 4,288−290,1995)のAscI部位を平滑末端化し、PacIリンカーを挿入したプラスミドをpUCPPとした。pUE6をEcoRIとHindIIIで消化して得られる断片のうちE1235Sプロモーターを含むDNA断片を、pUCPPのHindIII−EcoRI部位に挿入した。このプラスミドをpSPB540とした。pSPB540をBamHIとSacIで消化して得られる約3.7kbのDNA断片と、PhF3H−1’とPhF3H−2’断片をライゲーションによってpSPB1498を構築した。結果、このpSPB1498はEL235SプロモーターとNOSターミネーター制御下にdsF3Hを転写できる構造をとる。
次に、pSPB1498(dsPhF3H)をPacIにより消化した結果得られた約2.6kbの遺伝子カセットをT170とdsCHIをもつバイナリーベクターpSPB1342のPacI部位に導入しT170・dsCHI・dsF3Hの3種の遺伝子が同方向に並んだバイナリーベクターpSPB2201を構築した。
(8−2)ペチュニアDFRcDNA 二本鎖コンストラクト構築
ペチュニアDFR遺伝子を含むpCGP1403(WO96136716)をBamHIおよびScaI、PvuIIおよびSacIにより消化し、それぞれ0.85kbおよび0.45kbの断片を得た。2本鎖RNA構造を形成するこれら両断片とEL2 35Sプロモーター(Mitsuhara et al.Plant Cell Physiol.37,p49)ならびにmasターミネーターから構成されるカセットを、植物形質転換用バイナリーベクターpBINPLUS(vanEngelen et al.Plant Mol.Biol.15,p373)のMCS内HindIII−EcoRI間に挿入し、これをpSPB532とした。これをPacIで消化後、脱リン酸化した。
次に実施例6に記述した、EL2 35Sプロモーターと2本鎖RNA構造をもつペチュニアCHI遺伝子ならびにNOSターミネーターから構成されるカセットを含むpSPB1601をHindIIIおよびEcoRIで消化し、約2.5kbの断片を得た。これをベクターpUCPPのHindIII−EcoRI間に挿入し、pSFL5とした。これをPacIで切断し、pUCPPベクターから切り出し得られた約2.5kbの断片を前述のpSPB532のPacI切断部位にペチュニアのDFR発現抑制カセットと同じ方向、すなわち両発現カセットともにベクターのLB側が上流になるように挿入し、得られたプラスミドをpSFL13とした。次にこれをAscIで消化後、脱リン酸化した。実施例6に記述したプラスミドベクターpUCAA上で、MAC1プロモーター(Comai et al.(1990)Plant Mol.Biol.15,p373)、T170遺伝子及びマンノピン合成酵素遺伝子ターミネーターからなるT170遺伝子の発現カセットを、AscIで切断し、pUCAAベクターから切り出し、約3.5kbの断片を得た。これを前述のpSFL13のAscI切断部位にペチュニアのDFRおよびCHI発現抑制カセットと同じ方向になるように挿入し、得られたプラスミドをpSFL14とした。
実施例9 カルコン糖転移酵素遺伝子T128の取得
カーネーションにはT170以外にもカルコン糖転移酵素遺伝子が存在する可能性があるため探索を継続した。実施例2で得た糖転移酵素のうちpT128としたプラスミドに含まれるcDNAの塩基配列とアミノ酸配列を配列表の配列番号14、15に示した。pT128に含まれるcDNAは、489アミノ酸からなる分子量55.2kDaのタンパク質をコードする1467bpの遺伝子T128を含んでいた。T128がコードするアミノ酸配列を、すでに報告のある糖転移酵素と実施例3に記載したように比較したところリビングストーンデージー由来GTと54%、バーベナ由来5GTと24%の同一性を示した。またT170とは27%の同一性を示した。
実施例10 大腸菌におけるT128遺伝子の発現と活性測定
T128遺伝子の大腸菌での発現は、実施例4に記載された方法と同じThe QIA expressionist(QIAGEN)を用いて行った。まずT128上の糖転移酵素遺伝子の開始コドンの5’側にNcoI認識配列を導入するために、以下に示すプライマーT128−NcoIと実施例4で示したM13 M4を用いて実施例4と同様のPCR反応を行った。
得られたPCR産物をpCR2.1 TOPO vector(INVITROGEN)に製造者が推奨する方法でサブクローニングした。このようにして得られたプラスミドをpTOPO−T128とした。PCR反応によるエラーがないことを塩基配列を決定することにより確認した。pTOPO−T128をNcoI、KpnIで制限酵素処理し得られた約1.8kbのフラグメントをpQE−61 vector(QIAGEN)の同サイトに連結し、プラスミドpSPB1441を得た。pSB1441をCompetent high JM109(TOYOBO)に形質転換した。
この大腸菌形質転換株を、実施例5に記載されている方法で培養し、粗酵素液を得た。これを用いて実施例5に記載されている方法でカルコンを基質とした糖転移活性を測定した。T128由来の糖転移酵素遺伝子を発現させた大腸菌の抽出液を反応させたところ、THC(保持時間27.3分)に加え、19.89分と21.69分に溶出される新たな物質が検出された。前者はTHCの2’位配糖体で、後者はTHCの4’位配糖体であることを、それぞれの標準品の保持時間と比較することで同定した。これらはpQE−61ベクターのみを発現させた大腸菌から同様に調製した粗抽出液を反応させたものでは検出されなかったことからT128に由来する糖転移酵素によって生じた産物と考えられる。以上の結果から、T128由来の糖転移酵素はTHCの2’位と4’位の水酸基にグルコースを糖転移する活性を有することが確認された。
実施例11 T128の植物での発現ベクターの構築
T128由来のカルコン糖転移酵素遺伝子産物の植物体での機能を明らかにするために、T128を発現させ、本酵素と基質を同じにするペチュニア由来のカルコンイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするCHI−A遺伝子の発現を抑制させる共発現バイナリーベクター(pSPB2108)を構築した。pSPB2108の作製は実施例6と同様に以下のように行った。
まず、pSPB1601をAscIで消化後、脱リン酸化した。
次に、pBluescriptII(sk−)のマルチクローニングサイトに挿入されているT128遺伝子を、BamHI(cDNAの5’端側)とKpnI(cDNAの3’端側)で消化し、T128cDNA断片を得た。次にプラスミドベクターpUCAA上で、MAC1プロモーター、T128遺伝子及びマンノピン合成酵素遺伝子ターミネーターからなるT170遺伝子の発現カセットを、pUCAAベクターのBamHI切断部位を5’端、KpnIサイトを3’端として構築した。このT128発現カセット全体をAscI切断によってpUCAAベクターから切り出した。
pUCAAベクターからAscIで切り出した発現カセットを、前述のpSPB1601のAscI切断部位に、ペチュニアのCHI発現抑制カセットと同じ方向、すなわち両発現カセットともにベクターのLB側が上流になるように挿入し、得られたプラスミドをpSPB2108とした。
実施例12 カルコン糖転移酵素遺伝子CGT93の取得
T170をプローブとして、カーネーション花弁ライブラリー24000プラークよりスクリーニングを行った。スクリーニングによりプラスミドpCGT93を得た。pCGT93に含まれるcDNAは、481アミノ酸からなる分子量52.8kDaのタンパク質をコードする1443bpの遺伝子CGT93を含んでいた。CGT93がコードするアミノ酸配列を、すでに報告のある糖転移酵素と実施例3に記載したように比較したところリビングストーンデージー由来GTと26%、バーベナ由来5GTと23%の同一性を示した。またT170とは63%、T128とは25%の同一性を示した。pCGT93中に含まれる遺伝子を含む塩基配列および当該塩基配列にコードされているアミノ酸配列を配列番号16、17にそれぞれ示す。
実施例13 大腸菌におけるCGT93遺伝子の発現と活性測定
CGT93遺伝子の大腸菌での発現は、実施例4に記載された方法と同じThe QIA expressionist(QIAGEN)を用いて行った。まずCGT93上の糖転移酵素遺伝子の開始コドンの5’側にNcoI認識配列を導入するために、以下に示すプライマーA93−75BspHIとA93−75−BglIIを用いて実施例4と同様のPCR反応を行った。
得られたPCR産物をpCR−BluntII−TOPO vector(INVITROGEN)に製造者が推奨する方法でサブクローニングし、pSPB1469とした。PCR反応によるエラーがないことを塩基配列を決定することにより確認した。このpSPB1469をBspHI、BglIIで制限酵素処理し得られた約1.8Kbのフラグメントを pQE−61 vectorのNcoI、BglII切断部位に連結し、プラスミドpSPB1470を得た。このpSPB1470をCompetent high JM109に形質転換した。
この大腸菌形質転換株を、実施例5に記載されている方法で培養し、粗酵素液を得た。これを用いて実施例5に記載されている方法でカルコンを基質とした糖転移活性を測定した。
CGT 93由来の糖転移酵素遺伝子を発現させた大腸菌の抽出液を反応させたところ、THC(保持時間27.3分)に加え、19.89分に溶出される新たな物質が検出された。これはTHCの2’位配糖体の保持時間と一致し、pQE−61ベクターのみを発現させた大腸菌から同様に調製した粗抽出液を反応させたものでは検出されなかったことからCGT93に由来する糖転移酵素によって生じた産物と考えられる。以上の結果から、CGT93由来の糖転移酵素はTHCの2’位の水酸基にグルコースを糖転移する活性を有することが確認された。
実施例14 CGT93を含む植物発現ベクターの構築
CGT93由来のカルコン糖転移酵素遺伝子産物の植物体での機能を明らかにするために、CGT93を発現させ、本酵素と基質を同じにするペチュニア由来のカルコンイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするCHI−A遺伝子の発現を抑制させる共発現バイナリーベクター(pSPB1494)を構築した。pSPB1494の作製は実施例6と同様に以下のように行った。
まず、pSPB1601をAscIで消化後、脱リン酸化した。
次に、pBluescriptII(sk−)のマルチクローニングサイトに挿入されているCGT93遺伝子をXhoI(cDNAの3’端側)で消化後、DNA Blunting Kit(Takara)にて平滑化し、次にBamHI(cDNAの5’端側)で消化してCGT93 cDNA断片を得た。得られたCGT93 cDNA断片を、プラスミドベクターpUCAA上で、MAC1プロモーター、マンノピン合成酵素遺伝子ターミネーターからなるpSPB184をKpnIで消化後DNA Blunting Kitにて平滑化して更にBamHIにて消化したサイトへ挿入した。ベクターのBamHI切断部位を5’端、KpnIサイトを3’端としてMAC1プロモーター、CGT93遺伝子及びマンノピン合成酵素遺伝子ターミネーターからなる遺伝子の発現カセットpSPB1493を構築した。
このように構築したpSPB1493をAscI切断によってCGT93発現カセット全体をpUCAAベクターから切り出し、前述のpSPB1601のAscI切断部位にペチュニアのCHI発現抑制カセットと同じ方向、すなわち両発現カセットともにベクターのLB側が上流になるように挿入し、得られたプラスミドをpSPB1494とした。
実施例15 サブトラクションライブラリーの作製
実施例1に述べた方法で黄色カーネーションのつぼみの花弁と葉からpolyA+RNAを得た。CLONTECH PCR−Select cDNA Substraction Kit(CLONTECH)を用い製造者の推奨する方法により花弁で発現する遺伝子を濃縮したcDNAライブラリーを作製した。ランダムシークエンスの結果、GTと相同性のあるクローンを16種類得た。サブトラクションで得られたこれらGTホモログクローンは完全長として得られなかったので、再度GTホモログ断片をプローブとして花弁cDNAライブラリーより24,000クローンについてスクリーニングを行った。スクリーニングは実施例2に記載の方法に従った。
実施例16 カルコン糖転移酵素遺伝子S6B11の取得
実施例15のサブトラクションによって得られたクローンpS6B11としたプラスミドに含まれるcDNAの塩基配列とアミノ酸配列を配列表の配列番号18、19に示した。pS6B11に含まれるcDNAは、483アミノ酸からなる分子量54.4kDaのタンパク質をコードする1449bpの遺伝子S6B11を含んでいた。すでに報告のある糖転移酵素と実施例3に記載したように比較したところリビングストーンデージー由来GTと60%、バーベナ由来5GTと26%の同一性を示した。またT170、T128、CGT93とはそれぞれ27%、54%、27%の同一性を示した。
実施例17 S6B11の植物での発現ベクターの構築
S6B11由来のカルコン糖転移酵素遺伝子産物の植物体での機能を明らかにするために、S6B11を発現させ、本酵素と基質を同じにするペチュニア由来のカルコンイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするCHI−A遺伝子の発現を抑制させる共発現バイナリーベクター(pSPB1335)を構築した。pSPB1335の作製は実施例6と同様に以下のように行った。
まず、pSPB1601をAscIで消化後、脱リン酸化した。
次に、pBluescriptII(sk−)のマルチクローニングサイトに挿入されているS6B11遺伝子をBamHI(cDNAの5’端側)とKpnI(cDNAの3’端側)で消化し、S6B11cDNA断片を得た。次にプラスミドベクターpUCAA上で、MAC1プロモーター、S6B11遺伝子及びマンノピン合成酵素遺伝子ターミネーターからなるS6B11遺伝子の発現カセットを、ベクターのBamHI切断部位を5’端、KpnI切断部位を3’端として作製した。このS6B11発現カセット全体をAscI切断によってpUCAAベクターから切り出した。
上記のように切り出したS6B11発現カセットを、前述のpSPB1601のAscI切断部位にペチュニアのCHI発現抑制カセットと同じ方向、すなわち両発現カセットともにベクターのLB側が上流になるように挿入し、得られたプラスミドをpSPB1335とした。
実施例18 S6B11の植物での発現とフラボノイド組成の変化
実施例7に記述したように、pSPB1335をアグロバクテリウムツュメファシエンスAg10株に導入し、ペチュニアPL株を形質転換した。
上記のようにして27系統の独立した形質転換ペチュニアPL株を得た。ペチュニア花弁のRNAを用いて実施例7と同様のRT−PCR反応を実施した。S6B11のmRNAの増幅にはプライマーS6B11−RT−FとS6B11−RT−Rを、CHI mRNAの増幅には実施例7と同じCHIF1とCHIR1を用いた。各プライマーの配列は以下のとおりである。
その結果、24系統のペチュニア花弁でS6B11のmRNAが検出され、11系統のペチュニアでCHImRNAの減少が観察された。S6B11のmRNAが検出されたペチュニア花弁から実施例7と同様にフラボノイドを抽出し、ODS−A−312を用いたメタノール溶媒系の高速液体クロマトグラフィーにて分析を行った。S6B11を発現しているペチュニアのうち4系統でカルコン2’位配糖体に対応するピークをもち、また同じ吸収スペクトルを有していた。さらにS6B11を発現しているペチュニア花弁の抽出物とカルコン2’位配糖体をコクロマトグラフィーにより解析したところ、両者のピークは完全に一致した。以上は、S6B11の発現によりカルコン2’位配糖体が合成された、すなわちS6B11は植物の中で機能するカルコン2’位糖転移酵素をコードしていることを示すことができた。なお、形質転換ペチュニアにおいては、CHIのmRNA量は減少していたものの低レベルの転写が認められた。
実施例19 カルコン糖転移酵素S12A2の取得
実施例15のサブトラクションによって得られたクローンpS12A2−aは5’領域が欠失していた。S12A2−RT,S12A2−S1,S12A2−A1,S12A2−S2,S12A2−A2の4種のプライマーと5’−Full RACE Core Set(Takara)を用いた5’−RACEにより約0.4kb程度の断片をTA cloningした(pS12A2−b)。プライマーについては以下に示す。
pS12A2−bを鋳型に更にS12A2−NcoIとS12A2−A2でPCRして増幅した断片を再びTA クローニングした(pS12A2−c)。pS12A2をNdeI,KpnI消化した挿入断片側を、pS12A2−cの同サイトに導入したベクターを構築し、全長を含むクローンが得られた(pS12A2−d)。プラスミドに含まれるcDNAの塩基配列とアミノ酸配列を配列表の配列番号20、21に示した。pS12A2−dに含まれるcDNAは、486アミノ酸からなる分子量55.0kDaのタンパク質をコードする1458bpの遺伝子S12A2を含んでいた。すでに報告のある糖転移酵素と実施例3に記載したように比較したところリビングストーンデージー由来GTと57%、バーベナ由来5GTと25%の同一性を示した。またT170、T128、CGT93、S6B11とそれぞれ27%、52%、27%、67%の同一性を示した。
実施例20 大腸菌におけるS12A2遺伝子の発現と活性測定
S12A2遺伝子の大腸菌での発現は、実施例4に記載された方法でThe QIA expressionist(QIAGEN)を用いて行った。実施例19におけるpS12A2−dをNcoIとKpnIで消化し、pQE−61の同サイトに連結しpSPB1439を構築した。pSPB1439をCompetent high JM109(TOYOBO)に形質転換した。
この大腸菌形質転換株を、実施例5に記載されている方法で培養し、粗酵素液を得た。これを用いて実施例5に記載されている方法でカルコンを基質とした糖転移活性を測定した。
S12A2由来の糖転移酵素遺伝子を発現させた大腸菌の抽出液を反応させたところ、THC(保持時間27.3分)に加え、19.89分に溶出される新たな物質が検出された。これらはpQE−61ベクターのみを発現させた大腸菌から同様に調製した粗抽出液を反応させたものでは検出されなかったことからS12A2に由来する糖転移酵素によって生じた産物と考えられる。以上の結果から、S12A2由来の糖転移酵素はTHCの2’位の水酸基にグルコースを糖転移する活性を有することが確認された。
実施例21 S12A2の植物での発現ベクターの構築
S12A2由来のカルコン糖転移酵素遺伝子産物の植物体での機能を明らかにするために、S12A2を発現させ、本酵素と基質を同じにするペチュニア由来のカルコンイソメラーゼ活性を有するタンパク質をコードするCHI−A遺伝子の発現を抑制させる共発現バイナリーベクター(pSPB1478)を構築した。pSPB1478の作製は実施例6と同様に以下のように行った。
まず、pSPB1601をAscIで消化後、脱リン酸化した。
次に、pBluescriptII(sk−)のマルチクローニングサイトに挿入されているS12A2遺伝子をBamHI(cDNAの5’端側)とKpnI(cDNAの3’端側)で消化し、S12A2cDNA断片を得た。次にプラスミドベクターpUCAA上で、MAC1プロモーター、S12A2遺伝子及びマンノピン合成酵素遺伝子ターミネーターからなるS12A2遺伝子の発現カセットを、ベクターのBamHI切断部位を5’端、KpnI切断部位を3’端として構築した。このST2A2発現カセット全体をAscI切断によってpUCAAベクターから切り出した。
上記のようにして切り出したS12A2発現カセットを、前述のpSPB1601のAscI切断部位にペチュニアのCHI発現抑制カセットと同じ方向、すなわち両発現カセットとともにベクターのLB側が上流になるように挿入し、得られたプラスミドをpSPB1478とした。
実施例22 T170の植物での発現2
pSFL14を実施例7に記述したように、アグロバクテリウムツメファシエンスAg10株に導入し、ペチュニアPL株とバカラレッド株に形質転換した。同様にpSPB2201もPL株とバカラレッド株に形質転換した。
実施例23 T170の植物での発現ベクターの構築3
ペチュニア以外の植物、トレニア・バーベナでT170を発現させてカルコン配糖体を蓄積ささせるため、トレニアについては、トレニア由来のフラバノン3水酸化酵素(F3H)を抑制させる共発現ベクターを構築した。バーベナについてはバーベナ(タピアン(登録商標))由来のCHIを抑える共発現ベクターと、CHIとF3H(花手毬(登録商標))の両遺伝子発現を抑える共発現ベクターを構築した。
(23−1)トレニアF3HcDNA二本鎖コンストラクト(dsF3H)構築
トレニアの花弁cDNAライブラリー(Molecular Breeding,6,p239,2000)をペチュニアのF3H遺伝子をプローブにして実施例2に記載の方法でスクリーニングしトレニアのF3H遺伝子を取得した。
トレニアF3HのcDNA遺伝子をpBluescriptII(SK−)にクローニングしたpSPB266を鋳型に用い、M13RV Primer(配列番号48)とThF3H−SalI1 primer(配列番号41)の組み合わせでPCRを行い、ThF3H−1断片を得た。また同様に、Reverse primerとThF3H−SalI2 primer(配列番号42)の組み合わせでPCRを行い、ThF3H−2断片を得た。ThF3H−1断片・ThF3H−2断片をTOPO TA cloning kit(Invitrogen)を用いてTAクローニングした後、前者はSacIとSalIで切り出し、約0.75kbの断片ThF3H−1’とした。一方、後者はBamHIとSalIで切り出し、約0.9kbの断片ThF3H−2’とした。pUE6をHindIIIとEcoRIで消化して得られるプロモーターを含むDNAをpUCAAのHindIIIとEcoRI部位に挿入した。これをBamHIとSacIで消化して得られる約3.8kbのDNA断片とThF3H−1’とThF3H−2’断片をライゲーションによってpSFL308を構築した。結果、このpSFL308はEL235Sプロモーター下にdsF3HとNOSターミネーターをもつ構造をとる。pSFL308(dsThF3H)をAscIにより消化した結果得られた約2.7kbの断片を平滑化した後、pBINPLUSのSmaI部位に導入してpSPB2218を作製した。Macプロモーターとmasターミネーターに挟まれたT170遺伝子カセット約3.7kbをpSPB1342からAscIで切り出し、pSPB2218のAscI部位に導入し、T170とdsF3Hの2つの遺伝子が同方向に載ったバイナリーベクターを構築した(pSPB2223)。
(23−2)バーベナ(花手毬(登録商標))dsF3Hの構築
バーベナの花弁cDNAライブラリー(Plant Cell Physiol.44 s122(2003))をペチュニアのF3H遺伝子をプローブにして実施例2に記載の方法でスクリーニングしバーベナのF3H遺伝子を取得した。
バーベナF3HのcDNA遺伝子をpBluescriptII(sk−)にクローニングしたpSPB9をBstXIで消化後平滑化し、その後、BamHで部分消化し、約1.1kbの遺伝子断片を回収してHaF3H−1とした。また、pSPB9をSacIとHaeIIで消化し、約0.7kbの遺伝子断片を回収してHaF3H−2とした。pSPB540をBamHIとSacIで消化して得られる約3.8kbのDNA断片とHaF3H−1とHaF3H−2断片をライゲーションによってpSPB2501を構築した。このpSPB2501はEL235Sプロモーター下にdsF3HとNOSターミネーターをもつ構造をとる。
(23−3)バーベナ(タピアン(登録商標))dsCHIの構築
バーベナの花弁cDNAライブラリー(Plant Cell Physiol.44 s122(2003))をペチュニアのF3H遺伝子をプローブにして実施例2に記載の方法でスクリーニングしバーベナのF3H遺伝子を取得した。
バーベナCHIのcDNA遺伝子をpBluescriptII(sk−)にクローニングしたpSPB2109を鋳型に用い、M13RV Primer(配列番号48)とTpCHI−XbaI2 primer(配列番号45)の組み合わせでPCRを行い、TpCHI−1断片を得た。また同様にTpCHI−SalI primer(配列番号43)とTpCHI−XbaI1 primer(配列番号44)の組み合わせでPCRを行い、TpCHI−2断片を得た。TpCHI−1断片・TpCHI−2断片をZero Blunt TOPO PCR Cloning Kit(Invitrogen)を用いてクローニングした後、前者はBamHIとXbaIで切り出し、約0.68kbの断片TpCHI−1’とした。一方、後者はXbaIとSalIで切り出し、約0.5kbの断片TpCHI−2’とした。pSPB176のGUS遺伝子領域をBamHIとSalIで切り出して除いたDNA断片と、TpCHI−1’とTpCHI−2’断片をライゲーションによってpSPB1486を構築した。その結果、pSPB1486はEL235Sプロモーター下にdsCHIとNOSターミネーターをもつ構造をとる。このpSPB1486をPacIで消化後、PacI−FseIF(配列番号46)とPacI−FseIR(配列番号47)の2種類のオリゴDNAをアニールさせたPacI−FseIアダプターを導入し、新たにFseI部位を導入したpSPB2508を作製した。
(23−4)バーベナ(花手毬(登録商標))dsF3H+バーベナ(タピアン(登録商標))dsCHIの構築
pSPB2501をPacIで消化して得られる、2.9kbの遺伝子断片をpSPB2508のPacI部位に導入し、pSPB2504を構築した。
(23−5)バーベナでのT170遺伝子発現ベクターの構築(T170+dsCHI)
実施例6のpSPB1500をAscIによって切り出し、生じる3.7kbのT170遺伝子カセットを、pSPB1486のAscI部位に導入することにより、T170とdsCHIの2種類の遺伝子カセットを載せたバイナリーベクターpSPB1287を構築した。
(23−6)バーベナでのT170遺伝子発現ベクターの構築2(T170+dsCHI+dsF3H
pUC19のEcoRI部位にEcoFse1(配列番号57)とEcoFseR(配列番号58)のオリゴDNAをアニールさせたアダプターEcoFse1Rを導入後、HindIII部位にHinFseR(配列番号59)とHinFse3(配列番号60)のオリゴDNAをアニールさせたアダプターHinFse3Rを導入して、pUC19のマルチクローニングサイトの両端側に2ヶ所のFseI部位を導入したベクターを構築した(pSPB1838)。pSPB1838をHindIIIとEcoRIで消化した後、末端平滑化した部位に、実施例6のpSPB1500をAscIによって切り出し、生じる3.7kbのT170遺伝子カセットを末端平滑化後、挿入することによりpSPB2505を構築。この作業によりT170の遺伝子カセットがFseIを用いて切り出すことが可能となる。
pSPB2505をFseI消化して得られる3.7kbのT170遺伝子カセットをpSPB2504のFseI部位に導入してpSPB2507を構築した。以上の結果、pSPB2507にはdsCHIとT170、dsF3Hの3遺伝子カセットが同方向に並んだ構造をとる。
実施例24 バーベナでのT170の発現
pSPB1287をアグロバクテリウムツメファシエンスAg10株(Biotechnology)に導入し、田村らの方法(Tamura et al.(2003)Plant Cell Rep.21,p459−466)によりバーベナ(品種 花手毬スカーレット)に形質転換を行った。
上記のようにして7系統の独立した形質転換バーベナを得た。バーベナ花弁のRNAを用いて実施例7と同様のRT−PCR反応を実施した。T170のmRNAの増幅には実施例7と同様のプライマーT170FとプライマーT170Rのプライマーを用い、バーベナCHIのmRNAの発現量はTpCHI−SalI primer(配列番号43)とTpCHI−XbaI1 primer(配列番号44)を用いて約0.5kbの遺伝子断片の増幅で確認した。その結果、7系統のバーベナ花弁でT170のmRNAが検出され、3系統のバーベナ花弁でバーベナCHIのmRNA発現量の減少が観察された。また、T170の発現が確認できた7系統のうち1系統(SaT170#7)の花弁花色がコントロールの赤色に比べ薄く、若干の黄色を帯びていることを確認できた。
実施例25 T128の植物での発現とフラボノイド組成の変化
実施例11で作製したpSPB2108を実施例7に記述したように、アグロバクテリウムツメファシエンスAg10株に導入し、ペチュニアPL株を形質転換した。
上記のようにして37系統の独立した形質転換ペチュニアPL株を得た。ペチュニア花弁のRNAを用いて実施例7と同様のRT−PCR反応を実施した。T128のmRNAの増幅にはプライマーT128−F(配列番号38)とT128−R(配列番号39)を、CHIのmRNAの増幅には実施例8と同じCHIFとCHIRを用いた。各プライマーの配列は以下のとおりである。
その結果、19系統のペチュニア花弁でT128のmRNAが検出され、26系統のペチュニアでCHIのmRNAの減少が観察された。T128のmRNAが検出されたペチュニア花弁中から実施例7と同様の方法でフラボノイドを抽出し、実施例5と同様の方法でHPLCにより分析を行った。T128を発現しているペチュニアのうち2系統でカルコン2’位配糖体に対応するピークをもち、また、同じ吸収スペクトルを有していた。さらにT128を発現しているペチュニア花弁の抽出物とカルコン2’位配糖体をコクロマトグラフィーにより解析したところ、両者のピークは完全に一致した。以上は、T128の発現によりカルコン2’位配糖体が合成された、すなわちT128は植物の中で機能するカルコン2’位糖転移酵素をコードしていることを示すことができた。
実施例26 T128の植物での発現ベクターの構築2
(26−1)T128+ペチュニアdsCHI+dsF3H
pSPB1498(dsPhF3H)をPacIにより消化した結果得られた約2.6kbの遺伝子カセットをT128とdsCHIをもつバイナリーベクターpSPB2108のPac部位に導入しT128・dsCHI・dsF3Hの3種の遺伝子を合わせもつベクターpSPB1499を構築した。
(26−2)T128+トレニアdsF3H
Macプロモーターとmasターミネーターに挟まれたT128遺伝子カセット約3.7kbをpSPB2108からAscIで切り出し、実施例23で作製したpSPB2218のAscI部位に導入し、T128とdsF3Hの2遺伝子が同方向に載ったバイナリーベクターを構築した(pSPB2224)。
実施例27 T128の植物での発現2
pSPB1499を実施例7に記述したように、アグロバクテリウムツメファシエンスAg10株に導入し、ペチュニアPL株に形質転換した。
実施例28 CGT93の植物での発現ベクターの構築2
(28−1)CGT93+ペチュニアdsCHI+dsF3H
pSPB1498(dsPhF3H)をPacIにより消化した結果得られた約2.6kbの遺伝子カセットをCGT93とdsCHIをもつバイナリーベクターpSPB1494のPac部位に導入しCGT93・dsCHI・dsF3Hの3種の遺伝子を合わせもつバイナリーベクターpSPB2202を構築した。
(28−2)CGT93+トレニアdsF3H
Macプロモーターとmasターミネーターに挟まれたCGT93遺伝子カセット約3.7kbをpSPB1494からAscIで切り出し、実施例23で作製したpSPB2218のAscI部位に導入し、CGT93とdsF3Hの2遺伝子が同方向に載ったバイナリーベクターを構築した(pSPB2225)。
実施例29 CGT93の植物での発現
pSPB1494を実施例7に記述したように、アグロバクテリウムツメファシエンスAg10株に導入し、ペチュニアPL株を形質転換した。また、pSPB2202をペチュニアPL株とバカラレッド株に形質転換した。
実施例30 S6B11の植物での発現ベクターの構築2
(30−1)S6B11+ペチュニアdsCHI+dsF3H
pSPB1498(dsPhF3H)をPacIにより消化した結果得られた約2.6kbの遺伝子カセットをS6B11とdsCHIをもつバイナリーベクターpSPB1335のPac部位に導入しS6B11・dsCHI・dsF3Hの3種の遺伝子を合わせもつバイナリーベクターpSPB2205を構築した。
(30−2)S6B11+トレニアdsF3H
Macプロモーターとmasターミネーターに挟まれたS6B11遺伝子カセット約3.7kbをpSPB1335からAscIで切り出し、実施例23で作製したpSPB2218のAscI部位に導入し、S6B11とdsF3Hの2遺伝子が同方向に載ったバイナリーベクターを構築した(pSPB2226)。
実施例31 S6B11の植物での発現2
pSPB2205を実施例7に記述したように、アグロバクテリウムツメファシエンスAg10株に導入し、ペチュニアPL株に形質転換した。
実施例32 S12A2の植物での発現ベクターの構築2
(32−1)S12A2+ペチュニアdsCHI+dsF3H
pSPB1498(dsPhF3H)をPacIにより消化した結果得られた約2.6kbの遺伝子カセットをS12A2とdsCHIをもつバイナリーベクターpSPB1478のPac部位に導入しS12A2・dsCHI・dsF3Hの3種の遺伝子を合わせもつバイナリーベクターpSPB2206を構築した。
(32−2)S12A2+トレニアdsF3H
Macプロモーターとmasターミネーターに挟まれたS12A2遺伝子カセット約3.7kbをpSPB2206からAscIで切り出し、実施例23で作製したpSPB2218のAscI部位に導入し、S12A2とdsF3Hの2遺伝子が同方向に載ったバイナリーベクターを構築した(pSPB2227)。
実施例33 S12A2の植物での発現
実施例21で作製したpSPB1478を実施例7に記述したように、アグロバクテリウムツメファシエンスAg10株に導入し、ペチュニアPL株を形質転換した。また、pSPB2206もPL株に形質転換した。
実施例34 シクラメン花弁cDNAライブラリーの構築
黄色のシクラメンの新鮮な花弁5gから実施例1と同様の方法でcDNAライブラリーを構築した。得られたライブラリーは1.75×106プラーク・フォーミング・ユニット(pfu)からなっていた。
実施例35 カルコン糖転移酵素遺伝子YCy3−12の取得
T170をプローブとして、シクラメン花弁ライブラリー24,000プラークよりスクリーニングを行った。スクリーニングによりプラスミドpYCy3−12を得た。pYCy3−12に含まれるcDNAは、482アミノ酸からなる分子量54.3kDaのタンパク質をコードする1446bpの遺伝子YCy3−12を含んでいた。YCy3−12がコードするアミノ酸配列を、すでに報告のある糖転移酵素と実施例3に記載したように比較したところリビングストーンデージー由来GTと28%、バーベナ由来5GTと24%の同一性を示した。またT170とは46%、T128とは28%、CGT93とは46%、S6B11とは28%、S12A2とは27%の同一性を示した。PYCy3−12中に含まれる遺伝子を含む塩基配列および当該塩基配列にコードされているアミノ酸配列を配列番号55、56にそれぞれ示す。
実施例36 大腸菌におけるYCy3−12遺伝子の発現と活性測定
YCy3−12遺伝子の大腸菌での発現は、実施例4に記載された方法と同じThe QIA expressionist(QIAGEN)を用いて行った。まずYCy3−12上の糖転移酵素遺伝子の開始コドンの5’側にNcoI認識配列を導入するために、以下に示すプライマーYCy3−12P1(配列番号53)とYCy3−12P2(配列番号54)を用いて実施例4と同様のPCR反応を行った。
得られたPCR産物をpCR−BluntII−TOPO vector(INVITROGEN)に製造者が推奨する方法でサブクローニングした。このようにして得られたプラスミドpTOPO−YCy3−12とした。PCR反応によるエラーがないことを塩基配列を決定することにより確認した。pTOPO−YCy3−12をNcoI、HindIIIで制限酵素処理し得られた約1.8Kbのフラグメントを pQE−61 vectorのNcoI、HindIII部位に連結し、プラスミドpQE−YCy3−12を得た。pQE−YCy3−12をCompetent high JM109に形質転換した。
この大腸菌形質転換株を、実施例5に記載されている方法で培養し、粗酵素液を得た。これを用いて実施例5に記載されている方法でカルコンを基質とした糖転移活性を測定した。
YCy3−12由来の糖転移酵素遺伝子を発現させた大腸菌の抽出液を反応させたところ、THC(保持時間27.3分)に加え、19.89分に溶出される新たな物質が検出された。これはTHCの2’位配糖体の保持時間と一致し、pQE61ベクターのみを発現させた大腸菌から同様に調製した粗抽出液を反応させたものでは検出されなかったことからYCy3−12に由来する糖転移酵素によって生じた産物と考えられる。以上の結果から、YCy3−12由来の糖転移酵素はTHCの2’位の水酸基にグルコースを糖転移する活性を有することが確認された。
Claims (20)
- 配列番号2に記載のアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列に対して1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
- 配列番号1に記載する塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
- 配列番号15に記載のアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列に対して1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
- 配列番号14に記載する塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
- 配列番号17に記載のアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列に対して1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
- 配列番号16に記載する塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
- 配列番号19に記載のアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列に対して1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
- 配列番号18に記載する塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
- 配列番号21に記載のアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列に対して1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
- 配列番号20に記載する塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
- 配列番号56に記載のアミノ酸配列、又は当該アミノ酸配列に対して1若しくは複数個のアミノ酸が欠失、置換及び/若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
- 配列番号55に記載する塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリジェントな条件下でハイブリダイズし、かつカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
- 請求の範囲第1項から第12項のいずれか一項に記載の遺伝子を含んでなるベクター。
- 請求の範囲第13項に記載のベクターにより形質転換された宿主細胞。
- 請求の範囲第14項に記載の宿主細胞を培養又は生育させ、当該宿主細胞からカルコン類の2’位に糖を転移する活性を有するタンパク質を採取することを特徴とする当該タンパク質の製造方法。
- 請求の範囲第15項に記載の方法で得られたタンパク質。
- 請求の範囲第1項から第12項のいずれか一項に記載の遺伝子が導入された植物体若しくは当該植物体の子孫となる植物体、又はそれら植物体の組織。
- 請求の範囲第17項に記載の植物体から採取された切り花。
- 請求の範囲第1項から第12項のいずれか一項に記載の遺伝子を植物体に導入及び発現して花色が改変された植物体、及び当該植物体の子孫となる植物体。
- 改変された花色が黄色であることを特徴とする請求の範囲第18項に記載の植物体。
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