JP4390747B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、使い捨て紙おむつや吸収パッド、生理用ナプキン等の吸収性物品に関するものである。特に、軟便の液分等の粘性を有する排泄液の吸収保持性能に優れた吸収性物品に関するものである。
この種の吸収性物品としては、肌に対向する尿や軟便の液分等の排泄液を透過する表面シートと排泄液を透過するセカンドシートとこのセカンドシートの裏面側にあって排泄液を保持する吸収要素とを備え、この吸収要素が高吸収性ポリマー粒子を含む吸収体とこの吸収体を包む額巻きのティッシュペーパーやクレープ紙(以下、単にクレープ紙等ともいう。)とからなる、ものが汎用されている。そして、この種の吸収性物品は、従来から、軟便の吸収保持性能が問題になっている。具体的には、軟便が表面シートを透過せずに表面シート上に残るといった事態が発生し、肌のかぶれや、煩雑な肌の拭き取り作業をもたらしている。
このような観点から、軟便を速やかに肌から遠ざけるとともに、肌から遠い位置に収容保持する能力(単に、軟便の吸収保持性能ともいう。)を向上させるために、表面シートとして孔開きシートを用い、軟便の通過を容易にする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、軟便の液分は尿等とは異なって粘性を有するため、特許文献1等の技術によると、軟便とともに表面シートを透過した軟便の液分等の粘性を有する排泄液が、クレープ紙等の表面で膜(バリヤー)を形成してしまい、尿や軟便の液分等の逆戻りが生じるおそれがあった。したがって、軟便の液分等の粘性を有する排泄液を、速やかかつ確実に吸収体まで移行させることができる技術の開発が望まれている。
特開2001−269362号公報
本発明が解決しようとする主たる課題は、軟便の液分等の粘性を有する排泄液が速やかかつ確実に吸収体まで移行する吸収性物品を提供することにある。
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
排泄液を透過する透過シートと、この透過シートの裏面側にあって前記排泄液を保持する吸収要素と、を備えた吸収性物品であって、
前記吸収要素は、高吸収性ポリマー粒子を含む吸収体と、この吸収体を包む要素と、を有し、
この吸収体を包む要素は、前記吸収体と前記透過シートとの間に位置する部位の不織布と前記吸収体の裏面側を覆うクレープ紙とからなり、前記不織布の両側端部において、前記不織布は前記クレープ紙の下側に重なり、
前記不織布の密度が0.01〜0.2g/cm3である、
ことを特徴とする吸収性物品。
〔請求項2記載の発明〕
排泄液を透過する透過シートと、この透過シートの裏面側にあって前記排泄液を保持する吸収要素と、を備えた吸収性物品であって、
前記吸収要素は、高吸収性ポリマー粒子を含む吸収体と、この吸収体を包む要素と、を有し、
この吸収体を包む要素は、前記吸収体と前記透過シートとの間に位置する部位の不織布と前記吸収体の裏面側を覆うクレープ紙とからなり、前記不織布の両側端部において、前記不織布は前記クレープ紙の下側に重なり、
前記不織布が、エアスルー不織布からなる、
ことを特徴とする吸収性物品。
〔請求項3記載の発明〕
肌に対向する排泄液を透過する表面シートと、前記排泄液を透過する透過シートと、この透過シートの裏面側にあって前記排泄液を保持する吸収要素と、をこの順に備えた吸収性物品であって、
前記吸収要素は、高吸収性ポリマー粒子を含む吸収体と、この吸収体を包む要素と、を有し、
この吸収体を包む要素は、前記吸収体と前記透過シートとの間に位置する部位の不織布と前記吸収体の裏面側を覆うクレープ紙とからなり、前記不織布の両側端部において、前記不織布は前記クレープ紙の下側に重なり、
前記不織布の密度が0.01〜0.2g/cm3である、
ことを特徴とする吸収性物品。
〔請求項記載の発明〕
表面シートが、孔開きシートからなる、請求項1〜のいずれか1項に記載の吸収性物品。
〔請求項記載の発明〕
不織布が、繊度2〜7dtex、目付け量10〜45g/m2である、請求項1〜のいずれか1項に記載の吸収性物品。
〔請求項記載の発明〕
不織布が、撥水性又は疎水性の繊維からなる、請求項1〜のいずれか1項に記載の吸収性物品。
〔請求項記載の発明〕
吸収体が上層吸収体と他層吸収体とからなり、前記上層吸収体は高吸収性ポリマー粒子を含まない、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の吸収性物品。
本発明によると、軟便の液分等の粘性を有する排泄液が速やかかつ確実に吸収体まで移行し、吸収体のポリマー粒子が外部に出る恐れがない吸収性物品となる。
次に、本発明の実施の形態を、成人用のパンツ型おむつの使用面にあてがう使い捨ての吸収パッドの例をもって詳説するが、本発明吸収性物品としては、成人用及び幼児用を問わず、パンツ型おむつ自体やテープ式おむつのほか、生理用ナプキンや失禁ライナーなど各種の吸収性物品に適用できることはいうまでもない。
<構造>
図1及び図2に示す吸収パッドは、肌に対向する尿や軟便の液分等の排泄液を透過する表面シート1と、前記排泄液を透過する透過シート2と、この透過シート2の裏面側にあって前記排泄液を保持する吸収要素3と、を表面側(使用面側)から裏面側に向けてこの順に備える。さらに表面側に起立するバリヤーカフスB,Bを有する。
表面シート1には、少なくとも肛門に対向する領域に、実施の形態では全体に多数の軟便や排泄液等の透過孔H,H…が形成されている。表面シート1は、少なくとも肛門に対向する領域に形成された排泄液等の透過孔群において、単一の透過孔の有効開口面積が3〜75mm2であり、かつ開口面積率が10〜80%であるものが好適に使用される。開口面積及び開口面積率が小さいと軟便等の固形分の透過性が劣るものとなり、開口面積が過度に大きいと、表面シート1を透過し透過シート2表面に残留した軟便等の固形分と肌とが当たるものとなり、肌のかぶれや、煩雑な肌の清拭作業が必要となる。開口面積率が過度に大きいと、強度的に弱くなり好ましくない。
表面シート1に直接対向する透過シート2は、図示例ではセカンドシートとして機能する。その詳細は後述する。
透過シート2に直接対向する吸収要素3は、排泄液を保持する例えば綿状パルプを主体とする吸収体3Bと、この吸収体3Bと透過シート2との間に位置するエアスルー不織布からなる表層シート3Aとを有する。この表層シート3Aは、ティッシュペーパーやクレープ紙3Cとともに、吸収要素3の吸収体3Bを包む要素を構成している。
透過シート2は、望ましくはエアスルー不織布からなるもので、その詳細は後述する。
吸収性物品の裏面側を構成する裏面シート4は、実施の形態では不透液性のシートであり、例えば、プラスチックシート等からなる。裏面シート4は、通気性を有していてもよい。裏面シート4は、吸収要素3の側縁から側方に延在し、折り返されて表面側に達し、フラップを形成し、表面シート1の側部を覆っている。
裏面シート4の側部にはバリヤーシート5が設けられ、このバリヤーシート5の外側が裏面シート4に固定され、内側の自由部分の先端側が内側に折り返され、この折り返し部分に糸ゴムなどの弾性伸縮部材5aがその伸張下で固定されることにより、着用時において自由部分が起立するバリヤーカフスB,Bを構成している。本発明において、バリヤーカフスの有無は限定されないが、軟便の横漏れ防止のためにバリヤーカフスを設けることが望ましい。
続いて、他の各種の実施の形態を説明する。
図3は、吸収体3Bとして、単一層の吸収体に代えて、幅が狭い上層吸収体3B1と幅広の他層吸収体たる下層吸収体3B2と、にしたものである。
この点、吸収要素3の表層シート3Aの下方の適宜の部位に、液分の大量保持のために、高吸収性ポリマー粒子を(SAP)を設ける。この形態としては、吸収体3B上に分散散布するほか、吸収体3B中に分散させることもできる。しかしながら、本形態では、吸収体3Bを包む要素を構成する表層シート3Aが、クレープ紙等ではなくエアスルー不織布からなるため、これらの形態(吸収体3B上に分散散布する形態、及び、吸収体3B中に分散させる形態)によると、表層シート3Aを通して、外部に出てしまうおそれがある。そこで、図4に示すように、上層吸収体3B1と下層吸収体3B2との2層構造とし、上層吸収体3B1には高吸収性ポリマー粒子を包含させず、下層吸収体3B2のみに高吸収性ポリマー粒子を包含させるのが好ましい。図示の○で示したものが高吸収性ポリマー粒子である。
高吸収性ポリマーが外部に出てしまうのを防止するという観点からは、上層吸収体3B1は、厚さ1〜50mm、目付け量50〜300g/m2とするのが好ましい。また、本形態では、吸収要素3の上側両側部までクレープ紙3C等が回りこむ形態としたため、上層吸収体3B1を下層吸収体3B2よりも幅狭としたが(この形態は製造コストの観点から好ましい。)、表層シート3Aが吸収要素3の上側両側部を構成する形態とするのであれば、上層吸収体3B1を下層吸収体3B2よりも幅広とした方がよい。
図示例では、吸収体3Bを2つに分けたが、上層吸収体、中層吸収体及び下層吸収体の3つに分けることや、上層吸収体、複数の中層吸収体及び下層吸収体の4つ以上の複数に分けることもできる。また、以上のように吸収体3Bを複数に分けず、1つの吸収体の厚み方向中間部分、あるいは下側部分のみに高吸収性ポリマー粒子を包含させた形態とすることもできる。
表層シート3Aは、図5に示すように、孔開きシートとすることができる。この場合、単一の透過孔の有効開口面積が0.5〜40mm2であり、かつ開口面積率が1〜80%であるのが排泄液透過性の観点から望ましい。ただし、表層シート3Aを孔開きシートとする場合は、高吸収性ポリマー粒子が外部に出てしまうのを防止するために、高吸収性ポリマー粒子を包含しない上層吸収体3B1厚く設けるのが好ましい。また、図示例では、表層シート3Aの両側端部がクレープ紙等3Cの側縁部の下側において重なる形態としたが、上側において重なる形態とすることもできる。ただし、本形態では、表層シート3Aがエアスルー不織布であり、排泄液が面方向にも広がり易くなっているため、吸収要素3表面ではなく吸収要素3内において排泄液が広がることになる前者の形態(下側において重なる形態)とする方が好ましい。
また、表面シート1の排泄液透過速度S1、透過シート2の排泄液透過速度S2、及び表層シート3Aの排泄液透過速度S3が、S1>S2>S3の関係にあるのが望ましい。この種の吸収性物品においては、排泄液を速やかに肌から遠ざけるとともに、肌から遠い位置に収容保持する能力が高いことが必要である。これを達成するためには、各構成要素が単に排泄液透過速度が高いだけでなく、各構成要素間において排泄液透過速度に関し以上の速度勾配が存在するのが好ましく、かつ速度の絶対値より速度勾配の方が支配的であることを知見している。以上の排泄液透過速度勾配によれば、尿や軟便の液分等の吸収保持性能に優れるものとなる。
他方、図6に示すように、必要により、表面シート1を省略できる。
また、透過性シート2のフィラメントをシートの面方向に配向させる場合、図7の(a)のように製品の長手方向に配向させるほか、(b)のように製品の幅方向にさせることができる。製品の長手方向に配向させる方が、軟便の液分を前後に拡散させつつ透過させる効果が大きい。
<構成素材など>
表面シート1については先に説明したほか、素材は不織布が肌感触を良好にならしめるために望ましいが、プラスチックシートでもよい。開口の形状は、図示の丸形のほか、楕円形、三角形、四角形、菱形、6角形等の孔Hが規則的または不規則に多数配置された形態などを挙げることができる。好適に使用できる不織布としては、エアスルー不織布、レジンボンド不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、ヒートロール不織布、スパンボンド不織布などを用いることができる。不織布を構成する繊維は、その繊度が、2〜15dtex、特に3〜10dtex、とりわけ4〜10dtexであることが、軟便を吸収する空間を維持し透過性を高める点から好ましい。表面シート1の目付け量としては、5〜45g/m2が望ましい。
透過シート2は、撥水性又は疎水性の繊維を主体とするシートからなるものを使用するのが好ましい。特に、フィラメントの集合体、例えば、フィラメントを束としたトウを開繊してシート状としたもの、特にフィラメントがシートの面方向に配向しているもの、さらにはフィラメントがスパイラル捲縮しているものであるのが望ましい。
アセテートなどの親水性トウを開繊してシート状としたものでは、軟便の液分等の透過性が悪い。撥水性又は疎水性の繊維は、前述の理由により軟便の液分の透過性に優れるが、例えば、親水性のエアスルー不織布では、軟便の液分の透過性が十分でない。これに対し、例えば、撥水性又は疎水性の繊維のトウを開繊してシート状としたものを透過性シート2とすると、格段に軟便の液分の透過性に優れたものとなる。
好適に使用できる撥水性又は疎水性のフィラメントとしては、PET、PP、PEなどの繊維のほか、これらを素材とする芯鞘構造のフィラメントを挙げることができる。
フィラメントの繊度は、例えば、1〜16デニール、好ましくは1〜10デニール、さらに好ましくは2〜8デニール程度とすることができる。フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。捲縮繊維を用いると、嵩高で軽量な透過シート2を製造できるとともに、繊維間の絡み合いにより一体性の高いトウを容易に製造できる。とりわけ、スパイラル捲縮繊維は最適である。トウ構成繊維(フィラメント)の断面形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、異形(例えば、Y字状、X字状、I字状、R字状など)や中空状などのいずれであってもよい。フィラメントは、例えば、3,000〜1,000,000本、好ましくは5,000〜1,000,000本程度の単繊維を束ねることにより形成されたトウ(繊維束又はフィラメント束)の形で使用することができる。トウは、3,000〜1,000,000本程度のフィラメントを集束して構成するのが好ましい。
トウは、繊維間の絡み合いが弱いため、主に形状を維持する目的で、繊維の接触部分を接着又は融着する作用を有するバインダーを用いることができる。バインダーとしては、各種の樹脂接着剤、特に熱可塑性樹脂を用いることができる。
フィラメント集合体は公知の方法により製造できる。この代表例は、先に説明したように、フィラメントを集束してトウを形成し、このトウを開繊する形態である。トウの開繊幅は任意であり、例えば、幅100〜2000mm、好ましくは150〜1500mm程度とすることができる。トウの開繊度合いを調整することにより、フィラメント集合体の密度を調整することができる。フィラメント集合体としては、厚さを10mmとしたときの繊維密度が0.0075g/cm3以下、特に0.0060〜0.0070g/cm3であるものが好適である。過度に繊維密度が高くなると、トウからなる繊維集合体を用いることによる利点が少なくなり、軟便の液分透過性が低下する。また、透過シート2の目付けは、10〜100g/m2であるのが望ましい。透過シート2の目付けは、原反となるトウの選択、あるいはその製造条件により調整することができる。
トウの開繊方法としては、例えば、トウを複数の開繊ロールに掛渡し、トウの進行に伴って次第にトウの幅を拡大して開繊する方法、トウの緊張(伸長)と弛緩(収縮)とを繰返して開繊する方法、圧縮エアーを用いて拡幅・開繊する方法などを用いることができる。
図8は開繊設備例を示す概略図である。この例では、原反となるトウ31が順次繰り出され、その搬送過程で、圧縮エアーを用いる拡幅手段32と下流側のロールほど周速の速い複数の開繊ニップロール33,34,35とを組み合わせた開繊部を通過され拡幅・開繊された後、バインダー添加ボックス36に通され、バインダーを付与され、所望の幅・密度のフィラメントの繊維集合体40として形成されるようになっている。本形態の吸収性物品に適用する場合、所望の形状及び寸法に断裁して使用すればよい。
本発明において吸収体3Bを包む要素は、吸収体3Bと透過シート2との間に位置する部位(表層シート3A)の少なくとも一部が、好ましくは肛門に対向する領域が、より好ましくは全部が、クレープ紙等ではなく、密度0.01〜0.2g/cm3の不織布、又は、エアスルー不織布からなる。従来の吸収性物品においては、吸収体3Bを包む要素が全てクレープ紙等でできていたため、粘性を有する排泄液がクレープ紙等の表面で膜(バリヤー)を形成してしまい、尿や軟便の液分等の透過阻害要因となっていた。しかしながら、本形態のように、吸収体3Bと透過シート2との間に位置する部位を、所定の密度の不織布又はエアスルー不織布とすると、軟便の液分等の排泄液を速やかかつ確実に吸収体3Bまで移行させることができる。特に、不織布の密度が0.01g/cm3以上であると、不織布が破れて高吸収性ポリマー粒子がこぼれ出るといったおそれが全くなくなり、また、不織布の密度が0.2g/cm3以下であると、尿や軟便の液分等の透過阻害要因になるといったおそれがまったくなくなる。もちろん、これらの不織布に替えても、クレープ紙等の場合と同様に、吸収体3Bの形状保持性能も維持される。
ここで本明細書において、不織布の密度(g/cm3)は、目付け(g/cm2)/厚さ(cm)で求めた値とする。厚さは、JIS P8118に基づき、加重0.7kPaの条件下で測定した場合の値である。
不織布のうちでも、親水性の繊維ではなく、撥水性又は疎水性の繊維を使用することが特に望ましい。前述した透過シート2の場合と、同様の理由からである。撥水性又は疎水性の繊維としては、PET、PP、PEなどの繊維のほか、これらを素材とする芯鞘構造の繊維を挙げることができる。
表層シート3Aは、繊度2〜7dtex、目付け量10〜45g/m2であるのが好ましく、繊度3.3〜5.6dtex、目付け量20〜40g/m2であるのがより好ましい。この条件を満たすと、粘性を有する排泄液の透過性が確保されるうえに、高吸収性ポリマーが外部に出てしまうおそれが少なくなるため、前述した上層吸収体3B1を省略することができる。この点、粘性を有する排泄液の透過性という観点からは、繊度が大きく目付け量が小さい方が好ましい(つまり網戸の網状であるよりも、ザル状である方が好ましい)が、これを進めると、高吸収性ポリマーが外部に出てしまいやすくなる。そこで、これらのバランスをとったのが前記繊度及び目付け量ということである。なお、目付け量が10g/m2未満であると、強度的にも弱くなる。
表層シート3Aは、単層のほか、2層、3層、4層又はそれ以上の複数層に積層することができる。
吸収体3Bとしては、例えば、綿状パルプ、透過シート2と同様の素材を使用することができ、綿状パルプとしては、パルプを公知の方法により積繊し、空気や水流等により交絡処理することにより製造できる。パルプ繊維としては、木材から得られる化学パルプ 、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものを用いることができ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。
吸収体3B中に、高吸収性ポリマーを含有させる。この高吸収性ポリマーとしては、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸およびその塩類、アクリル酸塩重合体架橋物、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、澱粉−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、ポリオキシエチレン架橋物、カルボキシメチルセルロース架橋物、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド等の水膨欄性ポリマーを部分架橋したもの、あるいはイソブチレンとマレイン酸との共重合体等が好適に用いられる。製品の吸湿によるブロッキング性を抑制するためにブロッキング防止剤が添加されたものも用いることができる。また高吸収性ポリマーとしては、粉体状、粒子状、顆粒状、ペレット状、ゾル状、サスペンジョン状、ゲル状、フィルム状、不織布状等のさまざまな形態をもったものがあるが、これらはいずれも本発明において使用可能であり、特に粒子状のものが好適に使用される。
高吸収性ポリマーの含有させる方法としては、吸収体3Bに対して粉粒状の高吸収性ポリマーを散布する付与する方法、吸収体3Bにモノマー(高吸収性ポリマーとなるもの)を含浸した後に重合する方法や、未架橋のゲル状高吸収性ポリマーを吸収体3Bにコートした後に架橋処理を施す方法等を採用することができる。高吸収性ポリマーの目付け量は、当該吸収体3Bの用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、一般的には0.03g/cm2以下、特に好適には0.01〜0.025g/cm2とすることができる。
本発明は、使い捨て紙おむつや吸収パッド、生理用ナプキン等の吸収性物品として、特に、軟便の液分等の粘性を有する排泄液の吸収保持性能に優れた吸収性物品として、適用可能である。
本発明に係る吸収性物品例の展開状態における平面図である。 図1の2−2線矢視断面図である。 他の形態の断面図である。 別の形態の断面図である。 さらに他の形態の断面図である。 態様を異にする形態の断面図である。 フィラメントの配向形態を説明するための吸収性物品の展開状態における平面図である。 透過性シートを得る場合のトウの開繊方法の概要説明図である。
符号の説明
1…表面シート、H…表面シートの孔、2…透過性シート、3…吸収要素、3A…表層シート、3B…吸収体、3C…クレープ紙、4…裏面シート、5…バリヤーシート、B…バリヤーカフス。

Claims (7)

  1. 排泄液を透過する透過シートと、この透過シートの裏面側にあって前記排泄液を保持する吸収要素と、を備えた吸収性物品であって、
    前記吸収要素は、高吸収性ポリマー粒子を含む吸収体と、この吸収体を包む要素と、を有し、
    この吸収体を包む要素は、前記吸収体と前記透過シートとの間に位置する部位の不織布と前記吸収体の裏面側を覆うクレープ紙とからなり、前記不織布の両側端部において、前記不織布は前記クレープ紙の下側に重なり、
    前記不織布の密度が0.01〜0.2g/cm3である、
    ことを特徴とする吸収性物品。
  2. 排泄液を透過する透過シートと、この透過シートの裏面側にあって前記排泄液を保持する吸収要素と、を備えた吸収性物品であって、
    前記吸収要素は、高吸収性ポリマー粒子を含む吸収体と、この吸収体を包む要素と、を有し、
    この吸収体を包む要素は、前記吸収体と前記透過シートとの間に位置する部位の不織布と前記吸収体の裏面側を覆うクレープ紙とからなり、前記不織布の両側端部において、前記不織布は前記クレープ紙の下側に重なり、
    前記不織布が、エアスルー不織布からなる、
    ことを特徴とする吸収性物品。
  3. 肌に対向する排泄液を透過する表面シートと、前記排泄液を透過する透過シートと、この透過シートの裏面側にあって前記排泄液を保持する吸収要素と、をこの順に備えた吸収性物品であって、
    前記吸収要素は、高吸収性ポリマー粒子を含む吸収体と、この吸収体を包む要素と、を有し、
    この吸収体を包む要素は、前記吸収体と前記透過シートとの間に位置する部位の不織布と前記吸収体の裏面側を覆うクレープ紙とからなり、前記不織布の両側端部において、前記不織布は前記クレープ紙の下側に重なり、
    前記不織布の密度が0.01〜0.2g/cm3である、
    ことを特徴とする吸収性物品。
  4. 表面シートが、孔開きシートからなる、請求項1〜のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 不織布が、繊度2〜7dtex、目付け量10〜45g/m2である、請求項1〜のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 不織布が、撥水性又は疎水性の繊維からなる、請求項1〜のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  7. 吸収体が上層吸収体と他層吸収体とからなり、前記上層吸収体は高吸収性ポリマー粒子を含まない、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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