JP6080246B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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本発明は、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に関する。
この種の吸収性物品として、肌対向面を形成する液透過性の表面シート、非肌対向面を形成する液不透過性の裏面シート及びこれら両シート間に配置された吸収体を具備し、該吸収体が、木材パルプや吸水性ポリマー等の吸収性材料を含む吸収性コアと、該吸収性コアを被覆するコアラップシートとを含んで構成されているものが知られている。コアラップシートは、吸収体の製造時には吸収性材料を受けるためのシートとして働き、製造後には吸収性コアを包んで形状化する役割等を果たす。コアラップシートとしては、従来、薄葉紙、吸収紙、不織布等の透水性シートが用いられている。
前記構成を有する吸収性物品に関し、特許文献1には、表面シートと吸収要素(吸収体)との間に排泄液を透過する透過シートを具備し、表面シートの軟便透過速度S1、透過シートの軟便透過速度S2、吸収要素の表層の軟便透過速度S3が、S1>S2>S3の関係にある吸収性物品が記載されており、着用者の肌側に近い構成部材ほど軟便透過速度が速くなる軟便透過速度勾配を吸収性物品に付与することが記載されている。前記吸収要素の表層に関し、特許文献1には、吸収性コア及びコアラップシートとは別体のプラスチック製の孔開きシートからなる表層シートを用いることが記載されている。特許文献1に記載の吸収性物品によれば、前記軟便透過速度勾配により、軟便を速やかに肌から遠ざけると共に、肌から遠い位置に確実に収容保持することができるとされている。
特開2006−141647号公報
従来の吸収性物品は、大量の排泄液を吸収し得る十分な吸収容量を持った吸収体を具備しているものの、液透過性及び液拡散性が十分とは言えず、そのため、使用時には吸収体の一部しか排泄液の吸収保持に寄与していない場合があった。尿等の排泄液に対し、吸収体を効率良く利用してこれを吸収保持でき、液戻り等のトラブルを生じ難い吸収性物品は未だ提供されていない。
従って本発明の課題は、液透過性及び液拡散性に優れ、吸収体の利用効率が高い吸収性物品を提供することにある。
本発明者らは、吸収体の利用効率を高めるべく、吸収性物品の構成部材のうち、吸収性コアを含んでこれよりも着用者の肌側に位置する肌側構成部材について種々検討した結果、表面シートと吸収性コアとの間に配されるコアラップシートを、液体が最初に接触する(表面シート側に配される)第1層とこれに重層する(吸収性コア側に配される)第2層とから構成し、且つ前記肌側構成部材それぞれの液透過時間に着目したときに、該第1層が液透過速度が最も速く、該第2層が液透過時間が最も遅くなるように調整することにより、コアラップシート全体の液透過性及び液拡散性が向上し、それによって吸収体の利用効率が高まることを知見した。
本発明は、前記知見に基づきなされたもので、吸収体及び該吸収体の肌対向面側に配された表面シートを具備し、該吸収体が、吸収性材料を含有する吸収性コアと、該吸収性コアの少なくとも肌対向面を被覆するコアラップシートとを含んで構成されている吸収性物品であって、前記コアラップシートは、第1層とこれに重層する第2層とを具備し、該第1層は、該第2層に比して前記表面シートから近い位置に存しており、前記表面シートの下記方法で測定される液透過時間T1、前記第1層の該液透過時間T2、前記第2層の該液透過時間T3、前記吸収性コアの該液透過時間T4が、T3>T4>T1≧T2の関係にある吸収性物品を提供することにより、前記課題を解決したものである。
<液透過時間の測定方法>
上下端が開口している内径35mmの2本の円筒を、両円筒の軸を一致させて上下に配し、8cm四方の測定サンプルを上下の円筒間に挟み込み、その状態で、上側の円筒内に生理食塩水を40g±1g供給する。供給された生理食塩水は、測定サンプルを透過するか又は測定サンプルに吸収されて上側の円筒内からなくなる。生理食塩水の供給開始時から、生理食塩水の水面が測定サンプルの表面と同位置になるまでの時間を測定し、その時間を液透過時間とする。
本発明によれば、液透過性及び液拡散性に優れ、吸収体の利用効率が高い吸収性物品が提供される。
図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態である使い捨ておむつを示す図であり、各部の弾性部材を伸張させて平面状に拡げた状態を模式的に示す肌対向面側(表面シート側)の平面図である。 図2は、図1のI−I線断面(幅方向の断面)を模式的に示す断面図である。 図3は、図2の一部(コアラップシート及びその近傍)を拡大して模式的に示す断面図である。 図4は、液透過時間の測定方法の説明図である。 図5は、本発明の吸収性物品の他の実施形態の図2相当図である。 図6は、本発明に係る表面シートの他の実施形態の一部を拡大して模式的に示す斜視図である。 図7は、図6に示す表面シートを備えた本発明の吸収性物品の幅方向の断面を模式的に示す断面図である。 図8(a)は、本発明に係る吸収性コアの他の実施形態を示す斜視図、図8(b)は、図8(a)のIII−III線断面(幅方向の断面)を模式的に示す断面図である。 図9は、本発明に係る吸収体の他の実施形態を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の吸収性物品について、その好ましい一実施形態である使い捨ておむつに基づき図面を参照しながら説明する。本実施形態のおむつ1は、いわゆる展開型の使い捨ておむつであり、図1及び図2に示すように、吸収体4及び吸収体4の肌対向面側に配された表面シート2を具備し、吸収体4が、吸収性材料を含有する吸収性コア40と、吸収性コア40の少なくとも肌対向面40aを被覆するコアラップシート5Aとを含んで構成されている。
おむつ1について更に説明すると、おむつ1は、肌対向面を形成する液透過性の表面シート2、非肌対向面を形成する液不透過性ないし撥水性(以下、これらを総称して液不透過性という)の裏面シート3、及び両シート2,3間に配置された吸収体4を具備し、実質的に縦長に形成されている。表面シート2、裏面シート3及び吸収体4は、何れも、一方向Xに長い縦長の形状を有している。表面シート2及び裏面シート3は、それぞれ、吸収体4よりも大きな寸法を有し、吸収体4の周縁から外方に延出している。表面シート2は、図2に示すように、その幅方向Yの寸法が、裏面シート3の幅方向Yの寸法よりも小さくなっている。
おむつ1は、図1に示すように、長手方向Xに、着用時に着用者の背側に配される背側部Aと、着用時に着用者の腹側に配される腹側部Bと、着用時に着用者の股下の配される股下部Cとを有している。股下部Cは、着用時に着用者の排泄部に対向配置される排泄部対向部を含んでおり、おむつ1の長手方向Xの中央部に位置している。おむつ1は、股下部Cの両側縁が内向きの円弧状に湾曲しており、図1に示す如き平面視において、長手方向Xの中央部が内方に括れた砂時計状の形状となっている。
本明細書において、長手方向(図中のX方向)は、吸収性物品(おむつ1)又はその構成部材(表面シート2、吸収性コア40、コアラップシート5A等)の長辺に沿う方向であり、幅方向(図中のY方向)は、該長手方向と直交する方向である。また、肌対向面は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。
吸収体4は、図1及び図2に示すように、吸収性コア40とこれを被覆する2枚のコアラップシート5A,5Bとを含んで構成されている。吸収性コア40は、親水性繊維や吸水性ポリマー等の吸収性材料を含有し、図1に示すように、一方向(おむつ1の長手方向X)に長い薄板状を有し、長手方向中央部が括れている。
図1及び図2に示すように、おむつ1の長手方向Xに沿う両側部それぞれには、一側縁部に弾性部材61が伸長状態で固定されているサイドシート6が配されており、着用時における股下部Cには、一対の立体ギャザーが形成される。また、着用者の脚周りに配される左右のレッグ部には、弾性部材62が長手方向Xに沿って配されており、着用時におけるレッグ部には、弾性部材62の収縮により、一対のレッグギャザーが形成される。一対のサイドシート6,6、表面シート2、吸収体4、弾性部材61,62及び裏面シート3は、ホットメルト型接着剤等の公知の接合手段により適宜互いに接合されている。
また、図1に示すように、おむつ1の背側部Aの長手方向Xに沿う両側縁部には、一対のファスニングテープ7,7が設けられている。ファスニングテープ7には、機械的面ファスナーのオス部材からなる止着部71が取り付けられている。また、おむつ1の腹側部Bの非肌対向面には、機械的面ファスナーのメス部材からなる被止着領域8が形成されている。被止着領域8は、裏面シート3の非肌対向面に、機械的面ファスナーのメス部材を公知の接合手段(例えば、接着剤やヒートシール等)で接合固定して形成されており、ファスニングテープ7の止着部71を着脱自在に止着可能である。
吸収性コア40と共に吸収体4を構成するコアラップシートについて説明すると、吸収体4は、図2に示すように、吸収性コア40の肌対向面40aを被覆するコアラップシート5Aと、吸収性コア40の非肌対向面40b及び吸収性コア40の長手方向Xに沿う両側縁部40s、40sを被覆するコアラップシート5Bとを含んでいる。両シート5A,5Bは、寸法(幅方向Yの長さ)のみが異なっており、組成等は同一である。コアラップシート5Aは、吸収性コア40の肌対向面40aの略全域を被覆している。コアラップシート5Bは、吸収性コア40の非肌対向面40bの略全域を被覆し、且つ吸収性コア40の両側縁部40s,40sから幅方向Yの外方に延出し、その延出部が、吸収性コア40の肌対向面40aに対向配置されたコアラップシート5A上に巻き上げられ、該シート5Aの長手方向Xに沿う両側縁部を被覆している。コアラップシート5Aと吸収性コア40との間、及びコアラップシート5Bと吸収性コア40との間は、それぞれ、ホットメルト型接着剤等の公知の接合手段により接合されていても良い。
表面シート2と吸収性コア40との間に配され、吸収性コア40の肌対向面40aを被覆するコアラップシート5Aは、図3に示すように、第1層51とこれに重層する第2層52とを具備している。第1層51と第2層52とは一体化している。第1層51は、表面シート2に隣接して配されており、第2層52に比して表面シート2から近い位置に存している。従って、おむつ1の着用時に尿等の体液が表面シート2に向けて排泄された場合、コアラップシート5Aにおいては第1層51が最初にその体液(排泄液)と接することになる。
本実施形態のおむつ1の主たる特長の1つとして、吸収性コア40を含んでこれよりも着用者の肌側に位置する肌側構成部材(表面シート2、コアラップシート5Aの第1層51及び第2層52並びに吸収性コア40)に関し、表面シート2の下記方法で測定される液透過時間T1、コアラップシート5Aの第1層51の液透過時間T2、コアラップシート5Aの第2層52の液透過時間T3、吸収性コア40の液透過時間T4が、T3>T4>T1≧T2の関係にある点が挙げられる。液透過時間は、液透過速度の指標となるもので、液透過時間が短いほど液透過速度が速いとみなされ、液透過性に優れるとして高評価となる。従って、おむつ1においては、前記肌側構成部材のうち、液透過時間T2が最も短い第1層51が最も液透過速度が速く、液透過時間T3が最も長い第2層53が最も液透過速度が遅くなっており、1枚のコアラップシート5Aの中に、液透過速度が最も速い部位(第1層51)と液透過速度が最も遅い部位(第2層52)とが存在し、両層51,52が厚み方向に隣接している。また、表面シート2の液透過時間T1は、第1層51の液透過時間T2と同等かそれよりも長く且つ吸収性コア40の液透過時間T4よりも短い。従って、表面シート2の液透過速度は、第1層51の液透過速度と同等かそれよりも遅いが、吸収性コア40の液透過速度よりは速い。
<液透過時間の測定方法>
図4に示すように、上下端が開口している内径35mmの2本の円筒91,92を、両円筒91,92の軸を一致させて上下に配し、8cm四方の測定サンプルSを上下の円筒91,92間に挟み込む。このとき、上側の円筒91の下端及び下側の円筒92の上端に設けられた環状のフランジ部にクリップ93を嵌合させ、上下の円筒91,92を連結させることが好ましい。符号94は、円筒91,92の内径と同径同形状の貫通孔を有するゴム製等のパッキンである。このように、上下の円筒91,92で測定サンプルSを挟持固定した状態で、上側の円筒91内に、図4中符合Wで示す生理食塩水(塩化ナトリウム濃度0.9質量%の水溶液)を40g±1g供給する。供給された生理食塩水は、測定サンプルSを透過するか又は測定サンプルSに吸収されて上側の円筒91内からなくなる。生理食塩水の供給開始時から、生理食塩水の水面が測定サンプルSの表面(上側の円筒91側の面)と同位置になるまでの時間を測定し、その時間を液透過時間とする。
尚、コアラップシートの第1層、第2層それぞれについて単独で液透過時間を測定する場合、コアラップシートから第1層、第2層を引き剥がし、それを測定サンプルとするが、各層を引き剥がすことが困難な場合は、第1層、第2層に相当するシートを別途作製し、その作製したシートを測定サンプルとする。別途作製するシートは、コアラップシートにおける第1層又は第2層と同一組成とし、抄紙速度、プレスロール圧、タッチロール圧、パルプスラリー濃度等の機械条件(抄紙条件)の他、厚み、密度、含水率、クレープ率等のシート特性も可能なかぎり同一にする。
おむつ1は、前記肌側構成部材(表面シート2、コアラップシート5Aの第1層51及び第2層52並びに吸収性コア40)において、T3>T4>T1≧T2となる液透過速度勾配を有していることにより、液透過性及び液拡散性に優れ、吸収体4の利用効率が高いという特長を有する。これらの肌側構成部材のうち、吸収体4の利用効率の向上の点で特に重要な役割を果たすのは、液透過速度が最も速い第1層51と最も遅い第2層52とを備えるコアラップシート5Aであり、第1層51と第2層52との斯かる液透過速度差が、尿等の排泄液の面方向への拡散を促し、それによって吸収体4の利用効率が向上する。即ち、コアラップシート5Aにおいては、第1層51と第2層52との液透過速度差に起因して、それらの界面又はその近傍(第1層51における該界面の近傍)で尿等の排泄液が面方向に拡散され、こうして拡散された排泄液は、第1層51の毛管現象によって更に面方向に拡散されつつ、第2層52に向けて厚み方向に透過していく。第2層52自体も、第1層51に比して液透過速度は遅いものの、良好な液透過性を有しているので、コアラップシート5A全体として優れた液透過性及び液拡散性を発現し得る。
このような液透過性及び液拡散性に優れるコアラップシート5Aが、図3に示すように、液透過速度が比較的速い表面シート2と液透過速度が比較的遅い吸収性コア40との間に配されていると、おむつ着用者の身体から股下部Cの前記排泄部対向部の表面シート2に向けて尿等の排泄液が排泄された場合、その排泄液は、表面シート2の内部に素早く引き込まれ、その内部を厚み方向に透過してコアラップシート5Aの第1層51に到達し、第1層51と第2層52との界面又は第1層51における該界面の近傍にて、面方向に拡散される。こうして面方向に拡散された排泄液は、第2層52を厚み方向に比較的遅い速度で透過し、吸収性コア40の肌対向面40aに到達してその内部に吸収保持される。このように、おむつ1によれば、コアラップシート5Aは、表面シート2から受け取った排泄液を、前記排泄部対向部を中心として更に面方向に拡散させてから吸収性コア40に送るため、吸収性コア40の肌対向面40aの広範な領域に排泄液を送ることが可能であり、従って、吸収性コア40の広範な領域に排泄液を吸収保持させることが可能であり、吸収性コア40(吸収体4)を効率良く利用することができる。
このような液透過時間勾配(T3>T4>T1≧T2)による作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、第2層52の液透過時間T3は、好ましくは4〜10秒、更に好ましくは4〜8秒であり、吸収性コア40の液透過時間T4は、好ましくは3〜8秒、更に好ましくは3〜5秒であり、表面シート2の液透過時間T1は、好ましくは0.1〜3秒、更に好ましくは0.5〜2秒であり、第1層51の液透過時間T2は、好ましくは0.1〜3秒、更に好ましくは0.5〜2秒である。また、T3とT4との差(T3−T4)は、好ましくは1〜8秒、更に好ましくは1〜3秒であり、T4とT1との差(T4−T1)は、好ましくは0.5〜5秒、更に好ましくは1〜4秒であり、T1とT2との差(T1−T2)は、好ましくは0〜2.5秒、更に好ましくは0〜2秒である。
おむつ1は、前記肌側構成部材として、表面シート2、コアラップシート5A(第1層51、第2層52)及び吸収性コア40に加えて、更に別の部材を具備していても良い。図5には、その一例として、表面シート2と吸収体4との間に液透過性シート9が配された形態が示されている。液透過性シート9は、紙、不織布等からなる1枚のシートであり、少なくとも前記排泄部対向部が存する股下部Cに配され、更に背側部A及び/又は腹側部Bに配されていても良い。液透過性シート9は、吸収体に吸収された液が表面シートに戻る、いわゆる液戻りの低減に有効である。
このように、おむつ1が液透過性シート9を具備している場合において、液透過性シート9の前記液透過時間をT5とした場合、おむつ1は、吸収性コア40を含んでこれよりも着用者の肌側に位置する構成部材において、T3>T4>T1≧T5≧T2となる液透過速度勾配を有していることが、吸収体4(吸収性コア40)の利用効率の向上の点で好ましい。液透過性シート9が配されていても、コアラップシート5Aが液透過速度が最も速い第1層51と最も遅い第2層52とを備えている点は、液透過性シート9が配されていない場合と同じである。
液透過性シート9の液透過時間T5は、好ましくは0.1〜3秒、更に好ましくは0.5〜2秒である。また、T1とT5との差(T1−T5)は、好ましくは0〜2.5秒、更に好ましくは0〜2秒であり、T5とT2との差(T5−T2)は、好ましくは0.5〜2秒、更に好ましくは0〜2秒である。他の液透過時間に関しては、液透過性シート9を具備していない場合と同じである。
前述した液透過速度勾配(T3>T4>T1≧T2、あるいはT3>T4>T1≧T5≧T2)をおむつ1に付与する上で最も重要なのは、コアラップシート5Aとして適切なものを選択することである。前記肌側構成部材〔表面シート2、液透過性シート9、コアラップシート5A(第1層51、第2層52)及び吸収性コア40〕のうち、コアラップシート5A以外の他の構成部材として、当該技術分野において従来用いられているものを用いても、コアラップシート5Aとして適切なものを選択すれば、前述した液透過速度勾配をおむつ1に付与することは可能である。以下、本発明で好ましく用いられる前記肌側構成部材について、コアラップシート5Aから順に説明する。尚、前述したように、コアラップシート5Bは、コアラップシート5Aと寸法のみが異なっており、コアラップシート5Bとしては、コアラップシート5Aと同じものを用いることができる。その場合、コアラップシート5Bは、その第1層51が第2層52に比して吸収性コア40から近い位置に存するように配されても良く、それとは逆に配されても良い。
〔コアラップシート〕
コアラップシート5Aとしては、最初に液体に接する第1層(おむつ1においては第1層51)及びこれに重層する第2層(おむつ1においては第2層52)を具備する2層構造のコアラップシートにおいて、第1層が第2層に比して液透過性の高いものが好ましく用いられ、その一例として、第1層が第2層に比して嵩高なものが挙げられる。斯かるコアラップシートにおいて、第1層と第2層とは一体化している。第1層及び第2層としては、それぞれ、紙(例えば湿式抄紙により得られた紙)、不織布等が挙げられ、これらの素材を適宜組み合わせることができる。コアラップシートにおいて、第1層及び第2層共に紙であっても良く、あるいは両層共に不織布であっても良く、あるいは第1層が紙、第2層が不織布であっても良く、あるいは第1層が不織布、第2層が紙であっても良い。
コアラップシートの第1層又は第2層を形成する紙としては、例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプ、楮、三椏、雁皮等の靱皮繊維、藁、竹、ケナフ、麻等の非木材パルプ等の汎用パルプ繊維を含む紙(普通紙)の他に、特殊紙として、レーヨンを含むレーヨン紙;セルロース繊維等をアルカリ処理し、繊維断面を膨潤増大させたマーセル化パルプを含むマーセル化パルプ紙;ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維を含む合成繊維紙;アセテート、リヨセル、テンセル、キュプラ等の再生セルロース繊維を含む再生セルロース繊維紙等が挙げられる。これらの特殊紙は、それぞれ、レーヨン、マーセル化パルプ、合成繊維、再生セルロース繊維等の特定繊維に加えて他の繊維を含んでいても良く、該他の繊維としては、例えば前記汎用パルプ繊維が挙げられる。他の繊維の含有率は、特殊紙中、好ましくは80質量%以下、更に好ましくは5〜50質量%である。
また、コアラップシートの第1層又は第2層を形成する不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、スパンボンド−メルトブローン不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布等が挙げられる。これらの不織布には、界面活性剤等の親水化剤を用いた親水化処理が施されていても良い。
第1層及び第2層からなる2層構造のコアラップシートにおいて、第1層及び第2層の一方を紙、他方を不織布とする場合、紙としては、例えば、レーヨン、嵩高性セルロース繊維(例えば、HBAとして知られている化学的に架橋されたセルロース繊維)、マーセル化パルプ等の、嵩高い繊維を混抄した紙を用いることができ、また不織布としては、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布、スパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンド(SMMS)不織布、エアスルー不織布、スパンレース不織布等を用いることができる。但し、本発明では上述した以外の紙や不織布も使用可能である。紙と不織布との組み合わせからコアラップシートを構成する場合、相対的に液透過性が高い方(相対的に嵩高な方)を、最初に液体に接する第1層(おむつ1においては第1層51)とすることが好ましい。
第1層及び第2層からなる2層構造のコアラップシートを紙のみから構成する場合、相対的に液透過性が高い紙(相対的に嵩高な紙)を、最初に液体に接する第1層(おむつ1においては第1層51)とする。第1層用の紙と第2層用の紙とで組成が同じものをコアラップシートに用いることもでき、その場合、坪量、クレープ率、構成繊維のフィブリル化の程度(フリーネスの値)、エンボス加工等の後加工(当該紙の抄造後に施される加工)の有無等により、第1層用の紙と第2層用の紙とに、前述した液透過時間差(液透過速度差)を付与することができる。
第1層及び第2層からなる2層構造のコアラップシートを不織布のみから構成する場合、相対的に嵩高な不織布を、最初に液体に接する第1層(おむつ1においては第1層51)とする。第1層用の不織布と第2層用の不織布とで組成が同じものをコアラップシートに用いることもでき、その場合、坪量、親水化剤、エンボス加工等の後加工(当該不織布の製造後に施される加工)の有無等により、第1層用の不織布と第2層用の不織布とに、前述した液透過時間差(液透過速度差)を付与することができる。
コアラップシート5Aとして好ましく用いられるものの一例として、液体が最初に接触する第1層(おむつ1においては第1層51)が繊維粗度0.30mg/m以上の親水性嵩高繊維とパルプ繊維とを含有し、該第1層に重層する第2層(おむつ1においては第2層52)が繊維粗度0.10〜0.20mg/mの特定パルプ繊維を含有する吸収紙(以下、特定吸収紙ともいう)が挙げられる。この特定吸収紙は、第1層が第2層に比して嵩高で液透過性が高いもので、両層共に紙からなるものである。以下、この特定吸収紙について説明する。
特定吸収紙の主たる特長の1つとして、繊維粗度の異なる2種の繊維を含有し、そのうちの相対的に繊維粗度の大きい繊維(繊維粗度0.30mg/m以上の親水性嵩高繊維)を、液体が最初に接触する第1層に含有し、相対的に繊維粗度の小さい繊維(繊維粗度0.10〜0.20mg/mの特定パルプ繊維)を、第1層に重層する第2層に含有している点が挙げられる。繊維粗度は、木材パルプのように、繊維の太さが不均一な繊維において、繊維の太さを表す尺度として用いられるものであり、後述するように市販の繊維粗度計を用いて測定される。即ち、特定吸収紙は、太さの異なる2種の繊維を含有し、そのうちの太い繊維(嵩高繊維)を第1層に、細い繊維を第2層に含有している。そのため、第1層は第2層に比して嵩高である。そして、一般に、嵩高な繊維層は、多数の繊維が比較的疎な状態で存在していて、比較的大きな繊維間空隙を多数有しているため、嵩高では無く多数の繊維が比較的密な状態で存在している繊維層に比して、液透過速度が速い。従って、特定吸収紙においては、相対的に嵩高な第1層は、第2層に比して液透過速度が速く、第1層と第2層とで液透過速度に差があり、斯かる液透過速度差が、第1層と第2層との界面又はその近傍での液拡散を引き起こす。また、第1層に含有されている繊維粗度0.30mg/m以上の太い繊維(嵩高繊維)は親水性嵩高繊維であるため、特定吸収紙においては、第1層と第2層との液透過速度差による液拡散に加えて、親水性嵩高繊維の毛管現象による液拡散も発現し、これらの液拡散作用によって優れた液拡散性が発現される。
特定吸収紙の第1層に含有される親水性嵩高繊維の繊維粗度は、前述したように0.30mg/m以上であり、好ましくは0.30〜0.40mg/m、更に好ましくは0.32〜0.38mg/mである。親水性嵩高繊維の繊維粗度が0.30mg/m未満では、第1層の嵩高さが不足して、前述した第1層と第2層との液透過速度差が小さくなり、特定吸収紙の液拡散性が不十分になるおそれがある。繊維粗度及び平均繊維長は、それぞれ、次のようにして測定される。
<繊維粗度及び平均繊維長の測定>
繊維粗度計FS−200(KAJAANI ELECTRONICS LTD.製)を用いて測定する。測定対象の繊維は未叩解のものとする。先ず、測定対象の繊維の真の重量を求めるために、該繊維を真空乾燥機内にて100℃で1時間乾燥させ、繊維中に存在している水分を除去する。こうして乾燥させた繊維から1gを正確に量りとる(誤差±0.1mg)。次に、量り取った繊維を、該繊維に極力損傷を与えないように注意しつつ、前記繊維粗度計に付属のミキサーで150mlの水中に完全に離解させ、これを全量が5000mlになるまで水で薄めて希釈液を得た。得られた希釈液から50mlを正確に量りとってこれを繊維粗度測定溶液とし、前記繊維粗度計の操作手順に従って目的とする繊維粗度及び平均繊維長をそれぞれ算出する。尚、平均繊維長の算出には、前記操作手順に基づき下記式により計算された値を用いる。
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特定吸収紙の第1層に含有される親水性嵩高繊維の一例として、嵩高性セルロース繊維が挙げられる。嵩高性セルロース繊維は、捻じれ構造、クリンプ構造、屈曲及び/又は分岐構造等の立体構造を有するセルロース繊維であり、その立体構造により該繊維自体が嵩高である。嵩高性セルロース繊維(親水性嵩高繊維)としては、例えば、セルロース繊維の分子内及び/又は分子間を架橋剤により架橋した架橋セルロース繊維(例えば、HBAとして知られている化学的に架橋されたセルロース繊維);セルロース繊維等をアルカリ処理し、繊維断面を膨潤増大させたマーセル化パルプ(例えば、商品名「ポロセニア」)等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特に架橋セルロース繊維は、湿潤状態でもその嵩高性(立体構造)を維持し得るため、本発明で好ましく用いられる。架橋セルロース繊維は、セルロース繊維の分子内及び分子間の双方が架橋されていることが好ましい。嵩高性セルロース繊維(親水性嵩高繊維)の素材となるセルロース繊維としては、例えば、レーヨン、キュプラ、テンセル、リヨセル等の再生セルロース繊維、アセテート等の半合成セルロース繊維等が挙げられる。
嵩高性セルロース繊維の製造工程で使用されるセルロース繊維の架橋剤としては、例えば、ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素等のN−メチロール系化合物;クエン酸、トリカルバリル酸、ブタンテトラカルボン酸等のポリカルボン酸;ポリグリシジルエーテル系化合物等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
架橋剤の使用量は、セルロース繊維100質量部に対して、0.2〜20質量部とすることが好ましい。0.2質量部未満であると、架橋密度が低いため、嵩高性セルロース繊維の湿潤時の弾性率が低く、ヨリ/ヘタリが生じるおそれがあり、20質量部を超えると、嵩高性セルロース繊維が剛直になり過ぎ、応力がかかった時、繊維が脆くなってしまうおそれがある。架橋剤を用いてセルロース繊維を架橋する方法としては、例えば下記i)及びii)の方法が挙げられる。i)架橋剤の水溶液に必要に応じて触媒を添加したものに、セルロース繊維を含浸し、架橋剤水溶液が設計付着量となるように該セルロース繊維を脱水した後、これを架橋温度に加熱する方法。ii)スプレー等により架橋剤水溶液をセルロース繊維に設計付着量となるように散布し、その後、該セルロース繊維を架橋温度に加熱し、架橋反応させる方法。
特定吸収紙の第1層は、親水性嵩高繊維に加えて、パルプ繊維を含有する。第1層にパルプ繊維を含有させる理由は、親水性嵩高繊維の使用により懸念される強度特性の低下を抑制するためである。特に、第1層において親水性嵩高繊維の含有質量比をパルプ繊維に比して多く設定した場合には、大部分を占める親水性嵩高繊維間で造る高空隙の中にパルプ繊維同士で造る小空隙が若干第1層中に混在する構成が得られ、それによって透過性を保ちつつ毛管力を強化できる。
特定吸収紙の第1層に含有されるパルプ繊維としては、公知のパルプ繊維を特に制限無く用いることができ、例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の木材パルプ;楮、三椏、雁皮等の靱皮繊維;藁、竹、ケナフ、麻等の非木材パルプ等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのパルプ繊維の中でも、特にNBKPは、これを用いて製造される紙の強度が高いため、本発明で好ましく用いられる。本発明で用いるNBKPとしては、この種の紙において通常用いられるNBKPを特に制限無く用いることができる。NBKPとして、パルプの漂白に塩素化合物を使用しないECF(エレメンタリー・クロリンフリー)漂白パルプやTCF(トータル・クロリンフリー)漂白パルプを使用しても良い。
特定吸収紙の第1層における親水性嵩高繊維とパルプ繊維との含有質量比(親水性嵩高繊維/パルプ繊維)は、液拡散性と強度特性とのバランスの観点から、好ましくは4/6〜9/1、更に好ましくは5/5〜8/2である。繊維粗度0.30mg/m以上の親水性嵩高繊維が少なすぎると、第1層の嵩高さが不足して、前述した第1層と第2層との液透過速度差が小さくなり、液拡散性が不十分になるおそれがあり、逆に親水性嵩高繊維が多すぎると、第1層の強度の急激な低下が生じるおそれがある。
特定吸収紙の第1層には、繊維として、前述した繊維粗度0.30mg/m以上の親水性嵩高繊維及びパルプ繊維に加えて、更に、熱融着性接着繊維を含有させることができる。熱融着性接着繊維は、加熱により溶融し相互に接着する繊維であり、これを第1層に含有させることにより、第1層の嵩高構造がより安定的に維持されるようになる。熱融着性接着繊維の含有率は、第1層中の全繊維の乾燥質量に対して、好ましくは10質量%以下、更に好ましくは8質量%以下である。
熱融着性接着繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸及びその塩等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリエチレン−ポリプロピレン複合繊維、ポリエチレン−ポリエステル複合繊維、低融点ポリエステル−ポリエステル複合繊維、繊維表面が親水性であるポリビニルアルコール−ポリプロピレン複合繊維、ポリビニルアルコール−ポリエステル複合繊維等を挙げることができる。複合繊維を用いる場合には、芯鞘型複合繊維及びサイド・バイ・サイド型複合繊維の何れをも用いることができる。これらの熱融着性接着繊維は、各々単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。本発明において好ましく用いられる熱溶融性接着繊維としては、ポリビニルアルコール、ポリエステル等を挙げることができる。
特定吸収紙の第1層には、前述した各種繊維に加えて、更に乾燥紙力増強剤を含有させることができる。第1層に含有される乾燥紙力増強剤としては、従来公知のものを特に制限無く用いることができ、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)及びその塩、ポリアクリルアミド系樹脂及びその塩、カチオン化デンプン、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。CMCあるいはポリアクリルアミド系樹脂の塩としては、それぞれ、ナトリウム塩が主に用いられる。ポリアクリルアミド系樹脂としては、例えば、カチオン性又はアニオン性ポリアクリルアミド(PAM)が挙げられる。これらの乾燥紙力増強剤の中でも、特にCMC及びその塩、アニオン性PAM及びその塩、PVAが好ましい。
後述するように特定吸収紙の第1層を湿式抄紙法により製造する場合、第1層に紙力増強剤を含有させる方法としては、紙料から繊維を抄いて繊維ウエブとする前に該紙料に紙力増強剤を添加する、いわゆる内添法と、紙料から繊維を抄いて得られた繊維ウエブに、塗布、含浸、噴霧等の種々の付与方法により紙力増強剤を付与する、いわゆる外添法とがあり、本発明では何れの添加方法も利用可能であるが、第1層は、親水性嵩高繊維を含有していることに起因して紙粉や毛羽が発生し易く、また、内添法では紙力増強剤の歩留まりが低下するおそれがあることから、第1層は外添法によって紙力増強剤(乾燥紙力増強剤)が付与されたものであることが好ましい。
乾燥紙力増強剤の含有率は、特定吸収紙の第1層中の全繊維の乾燥質量に対して、好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.2〜2質量%である。乾燥紙力増強剤の含有率が少なすぎると、乾燥紙力増強剤を使用する意義(紙粉や毛羽立ちの防止、乾燥引張強度等の強度特性の向上)が薄れ、乾燥紙力増強剤の含有率が多すぎると、特定吸収紙の硬化(風合いの低下)の他、特定吸収紙の製造時におけるヤンキードライヤーへの紙の張り付きやメッシュドラムへの紙力増強剤の付着等による、特定吸収紙の地合の低下を招くおそれがある。
特定吸収紙の第1層は、前述した繊維(繊維粗度0.30mg/m以上の親水性嵩高繊維、パルプ繊維等)並びに乾燥紙力増強剤以外の他の成分を含有していても良い。他の成分としては、例えば、エポキシ化ポリアミドポリアミン樹脂(PAE)等の湿潤紙力増強剤、タルク等の填料、染料、色顔料、抗菌剤、pH調整剤、歩留り向上剤、耐水化剤、消泡剤等の一般的に抄紙用原材料や添加物として使用されているものが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
特定吸収紙の第2層は、繊維粗度0.10〜0.20mg/mの特定パルプ繊維を含有する。第2層の特性に関し特に重要なのは、前述したように、第1層よりも液透過速度が遅いことであり、斯かる観点から、本発明においては、特定吸収紙の第2層を構成する繊維として、特定吸収紙の第1層の構成繊維(親水性嵩高繊維)に比して繊維粗度の小さい特定パルプ繊維を用い、それによって第2層が第1層よりも嵩高にならないように工夫している。第2層に含有される特定パルプ繊維の繊維粗度は、好ましくは0.12〜0.20mg/m、更に好ましくは0.15〜0.20mg/mである。また、第2層に含有される特定パルプ繊維の平均繊維長は、特定吸収紙の地合等の観点から、好ましくは1〜3mm、更に好ましくは2〜2.8mmである。
特定吸収紙の第2層に含有される特定パルプ繊維としては、繊維粗度が前記範囲にあるパルプ繊維を用いることができ、このパルプ繊維としては、公知のパルプ繊維を特に制限無く用いることができ、例えば、第1層に含有されるパルプ繊維(NBKP等)と同様のものを用いることができる。従って、本発明においては、第2層に含有される特定パルプ繊維と第1層に含有されるパルプ繊維とが同じになる場合があり得る。第1層に含有される繊維粗度0.30mg/m以上の親水性嵩高繊維は、通常、セルロース繊維に特定処理(架橋剤による処理、アルカリ処理等)を施すことによって製造されるのに対し、第2層に含有される繊維粗度0.10〜0.20mg/mの特定パルプ繊維は、通常、そのような特定処理は不要である。従って、繊維粗度が0.10〜0.20mg/mの範囲にあるNBKP等を、そのまま第2層の特定パルプ繊維として用いることができる。
特定吸収紙の第2層には、繊維として、繊維粗度0.10〜0.20mg/mの特定パルプ繊維に加えて、更に、繊維粗度が前記範囲外にある他の繊維を含有させることもできる。但し、前述した第1層との液透過速度差をより確実に生じさせ、それによって特定吸収紙全体として優れた液透過性及び液拡散性を得る観点から、特定パルプ繊維以外の他の繊維の含有率は、第2層中30質量%以下とすることが好ましく、0質量%、即ち、特定吸収紙の第2層中の繊維としては特定パルプ繊維のみを用いることが更に好ましい。特定パルプ繊維の含有率は、第2層中、好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%である。
特定吸収紙の第2層に含有される繊維のフリーネス(第2層に含有される繊維が特定パルプ繊維のみである場合は、特定パルプ繊維のフリーネス)は、好ましくは450〜700mlであり、更に好ましくは480〜680ml、特に好ましくは480〜650mlである。フリーネスは、JIS P8121に規定するカナダ標準ろ水度(C.S.F.)で示される値であり、繊維の叩解(水の存在下で繊維を機械的に叩き、磨砕する処理)の度合いを示す値である。繊維の叩解は、繊維を分散させた紙料(スラリー)に対して、ビーダー、ディスクリファイナー等の公知の叩解機を用いて常法に従って実施することができる。通常、繊維のフリーネスの値が小さいほど、叩解の度合いが強く、叩解による繊維の損傷が大きくてフィブリル化が進行している。フリーネスが前記範囲にある繊維(前記特定パルプ繊維)は、フィブリル化が進行しているため繊維どうしが絡み合い易く、そのため、特定吸収紙(第2層)の低坪量化を図った場合に、繊維の繊維間結合点の数が減少しても、各繊維間結合の強度は、フリーネスが700mlを超え相対的にフィブリル化が進行していない繊維に比して高い。一方、フリーネスが450ml未満の場合は、繊維の絡み合いによる強度改善効果は飽和しており、また、繊維の切断が促進され、透過時間が遅くなるおそれがある。従って、フリーネスが450〜700mlである繊維(特定パルプ繊維)を含有する特定吸収紙の第2層は、良好な強度特性(引張強度)及び液透過性を有し得る。
特定吸収紙の第2層は、特定パルプ繊維に加えて、更に湿潤紙力増強剤を含有していても良い。第2層に含有される湿潤紙力増強剤としては、従来公知のものを特に制限無く用いることができ、例えば、エポキシ化ポリアミドポリアミン樹脂(PAE)、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、ジアルデヒドデンプン、ポリエチレンアミン、メチロール化ポリアミド等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの湿潤紙力増強剤の中でも、特にPAEは、これを用いて製造される紙の湿潤紙力強度が高いため、本発明で好ましく用いられる。
湿潤紙力増強剤の含有率は、特定吸収紙の第2層中の全繊維の乾燥質量に対して、好ましくは0.2〜2質量%、更に好ましくは0.5〜1質量%である。湿潤紙力増強剤の含有率が少なすぎると、湿潤紙力増強剤を使用する意義(湿潤引張強度等の強度特性の向上)が薄れ、湿潤紙力増強剤の含有率が多すぎると、特定吸収紙の硬化(風合いの低下)の他、特定吸収紙の製造時におけるヤンキードライヤーへの紙の張り付きやメッシュドラムへの紙力増強剤の付着等による、特定吸収紙の地合の低下を招くおそれがある。
特定吸収紙の第2層は、繊維粗度0.10〜0.20mg/mの特定パルプ繊維及び湿潤紙力増強剤以外の他の成分を含有していても良い。他の成分としては、例えば、CMC等の乾燥紙力増強剤、タルク等の填料、染料、色顔料、抗菌剤、pH調整剤、歩留り向上剤、耐水化剤、消泡剤等の一般的に抄紙用原材料や添加物として使用されているものが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
特定吸収紙を構成する第1層及びこれに重層する第2層は、それぞれ、公知の湿式抄紙法によって製造することができる。湿式抄紙法は、繊維の水分散液からなる紙料(スラリー)を調製する紙料調製工程と、紙料から繊維を抄いて繊維ウエブとしたものを搬送しながら乾燥する抄紙工程とを有するものである。抄紙工程は、通常、ワイヤパート、プレスパート、ドライヤーパート、サイズプレス、カレンダパート等に分けられ、順次実施される。湿式抄紙法は、例えば、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、オントップ抄紙機、ハイブリッド抄紙機又は丸網抄紙機等の抄紙機を用いて常法に従って実施することができる。
特定吸収紙において、第1層と第2層とは一体化されている。第1層と第2層とを一体化させる方法としては、両者が一体化できれば特に限定されるものではなく、例えば、湿式抄紙法により別々に製造した乾燥状態の第1層と第2層とを重ね合わせて積層体を得、該積層体を一対のエンボスロールに通して押圧し両者を一体化させる方法、あるいは粘着剤や接着剤等の接合手段によって両者を一体化させる方法等を採用することができる。前者の方法において、積層体は、第1層側から第2層側に押圧されても良く、これとは逆方向に押圧されても良い。前者の方法で得られた特定吸収紙には、通常、第1層及び第2層が一体的に凹陥してなる凹部が形成される。
本発明においては、第1層と第2層とを一体化させる方法としては、湿式抄紙過程で得られる第1層及び第2層それぞれの湿潤状態の繊維ウエブを、引き続き湿式抄紙過程で一体化させる方法が好ましい。このような方法で両層を一体化させると、両層の繊維が一層緊密に絡み合って、両層間での液体の移動がスムースに行われる。第1層と第2層とを湿式抄紙過程で一体化させる方法の具体例としては、次の方法が挙げられる。即ち、第1層形成用のスラリーを抄紙機に供給し、ワイヤー上に紙層(繊維ウエブ)を形成させる。これとは別に、第2層形成用のスラリーを別の抄紙機に供給し、ワイヤー上に紙層(繊維ウエブ)を形成させる。これらの紙層(繊維ウエブ)をそれぞれのワイヤーから取り上げ、湿潤状態のまま両者を重ね合わせ、引き続きこれを圧搾脱水、乾燥することによって、第1層と第2層とが一体化した特定吸収紙が得られる。
また、第1層と第2層とを湿式抄紙過程で一体化させる方法の別の具体例としては、次の方法が挙げられる。即ち、第1層形成用のスラリーと第2層形成用のスラリーとを、それぞれ2列の抄紙ノズルから一度にワイヤー上に供給して、2層構造の紙層(繊維ウエブ)を形成する。次いで、この紙層(繊維ウエブ)をワイヤーから取り上げ、圧搾脱水、乾燥することによって、第1層と第2層とが一体化した特定吸収紙が得られる。
特定吸収紙は、厚みの薄い吸収体のコアラップシートに適したものとする等の観点から、坪量が比較的低いことが好ましく、具体的には、第1層と第2層との合計坪量が10〜30g/m2、特に12〜25g/m2、とりわけ15〜20g/m2であることが好ましい。坪量がこのように低いと紙力の低下が懸念されるが、前述した特定吸収紙の構成(特に第2層の構成)を採用することにより斯かる懸念を払拭できる。特定吸収紙の坪量が10g/m2未満では、紙力が著しく低下するおそれがあり、また、特定吸収紙の坪量が30g/m2超では、特定吸収紙が硬くなるおそれがある。第1層の坪量は、好ましくは10〜22g/m2、更に好ましくは10〜18g/m2であり、第2層の坪量は、好ましくは8〜15g/m2、更に好ましくは8〜12g/m2である。
特定吸収紙(第1層、第2層)の坪量は、次のようにして測定される。JIS P8111の条件にてサンプル(特定吸収紙又は第1層若しくは第2層)の調湿を行った後、サンプルから10cm四方(面積100cm2)の測定片を切り出し、該測定片の重量を少数点以下2桁の天秤にて測定し、その測定値を面積で除して該測定片の坪量を算出する。サンプルから切り出した10枚の測定片について、前記手順に従って坪量を算出し、それらの平均値をサンプルの坪量とする。第1層と第2層とが重層した状態で一体化して特定吸収紙を構成している場合は、該特定吸収紙から第1層を引き剥がし、残った第2層について、前記手順に従ってその坪量(第2層単独の坪量)を測定し、また、別途前記手順に従って測定した該特定吸収紙紙の坪量から該第2層単独の坪量を差し引いて、引き剥がした第1層単独の坪量を算出する。
特定吸収紙は、クレープ(ちりめん状のシワ)を有していることが好ましい。クレープを有する吸収紙は、クレープを有しない吸収紙に比して液透過性が高く、また、クレープ率が高くなるほど液透過性が高まる。但し、クレープ率が高くなると、強度特性(引張強度)は低下する傾向がある。斯かる知見に基づき、液透過性と強度特性とのバランスの観点から、特定吸収紙のクレープ率は5〜20%、特に8〜18%、とりわけ10〜15%とすることが好ましい。また、特定吸収紙におけるクレープは、ドライヤーパートにおけるヤンキードライヤー等から乾燥状態の繊維ウエブをドクターナイフ等で剥離する際に生じる、ドライクレープであることが好ましい。クレープ率は、次のようにして測定される。
<クレープ率の測定方法>
測定対象シート(特定吸収紙)から長さ方向(測定対象シートの製造時の搬送方向、MD)に200mm、幅方向(MDに直交する方向、CD)に100mmの矩形形状を切り出してサンプルとする。この矩形形状のサンプルを10分間水中に浸漬した直後のMDの長さCを測定し、次式によりクレープ率を算出する。 クレープ率(%)={(C−200)/200}×100 例えば、10分間浸漬後のMDの長さCが220mmであった場合、前記式により算出される当該シートのクレープ率は10%である。
また、特定吸収紙のクレム吸水量は、好ましくは0.2g/30sec・15mm以上、更に好ましくは0.2〜0.4g/30sec・15mmである。特定吸収紙のクレム吸水量が斯かる範囲にあることは、その内部に高空隙な構造が形成されていることによるところが大きく、その高空隙な構造の形成は、特に第1層の親水性嵩高繊維の使用によるところが大きい。クレム吸水量が斯かる範囲にある特定吸収紙は、実用上十分な液透過性及び液拡散性を有しており、コアラップシートとして好適である。クレム吸水量は、JIS P8141に規定する、紙のクレム法による吸水度試験方法に準じ、次のようにして測定される。
<クレム吸水量の測定方法>
測定対象シート(特定吸収紙)を室温23℃±2℃、相対湿度50%RH±2%の環境下で12時間放置して一定状態になるよう調湿する。調湿後のシートから、MDに150mm、CDに15mmの寸法の長方形形状を切り出し、この切り出された長方形形状をサンプルとする。サンプルの一方の短辺から長手方向内方に5mm離間した位置に、該短辺と平行な直線(標線)を鉛筆で引く。そして、サンプルの長辺が垂直になるように該サンプルを電子天秤の下部に吊り下げ、この吊り下げ状態を保持したままで該サンプルを前記標線まで素早く測定液(生理食塩水)中に入れる。尚、サンプルは、前記標線(鉛筆で引いた直線)が前記測定液に近くなるように吊り下げる。そして、サンプルを測定液中に入れてから30秒後の該サンプルの重量増加分を電子天秤で測定し、その測定値をクレム吸水量(g/30sec.15mm)とする。クレム吸水量が多いほど高評価となる。尚、電子天秤には、市販の電子天秤データ取り込みソフト(商品名 RsCom Ver2.40:(株)エー・アンド・デイ社製)がインストールされたパーソナルコンピュータが電気的に接続されており、これによりサンプルの重量変化を記録することができる。
また、特定吸収紙の製造時の搬送方向(Machine Direction、略してMD)の乾燥引張強度は、好ましくは600cN/25mm以上、更に好ましくは650〜1500cN/25mmであり、また、特定吸収紙のMDに直交する方向(Cross machine Direction、略してCD)の湿潤引張強度は、好ましくは50cN/25mm以上、更に好ましくは60〜120cN/25mmである。乾燥引張強度及び湿潤引張強度がそれぞれ斯かる範囲にある特定吸収紙は、実用上十分な強度を有しており、コアラップシートとして好適である。特に、特定吸収紙のMDの乾燥引張強度が前記範囲にあることは、主として、特定吸収紙の製造時の搬送テンションや紙継ぎにおける急激なテンション変動において特定吸収紙が破れるという不都合の防止に寄与し、また、特定吸収紙のCDの湿潤引張強度が前記範囲にあることは、主として、特定吸収紙を吸収性物品においてコアラップシートとして使用した場合に、吸収性物品の着用者(乳幼児等)の体液排泄後の動きや摩擦等によってコアラップシートが破けて吸収性コアの形成材料(木材パルプや高吸水性樹脂等)が表面シート上に出てくるという不都合の防止に寄与する。特定吸収紙のMDの乾燥引張強度及びCDの湿潤引張強度がそれぞれ前記範囲にあることは、特に第2層の存在によるところが大きく、第2層の優れた引張強度特性は、第2層中の繊維(特定パルプ繊維)のフリーネスが前記特定範囲にあること、及び第2層に湿潤紙力増強剤が含有されていることによるところが大きい。乾燥引張強度及び湿潤引張強度はそれぞれ次のようにして測定される。
<乾燥引張強度の測定方法>
測定対象シート(特定吸収紙)を室温23℃±2℃、相対湿度50%RH±2%の環境下で12時間放置して一定状態になるよう調湿する。調湿後のシートから、MDに150mm、CDに25mmの寸法の長方形形状を切り出し、この切り出された長方形形状をサンプルとする。このサンプルを、そのMDが引張方向となるように引張試験機(島津製作所製オートグラフAG−1kN)のチャックに無張力で取り付ける。チャック間距離は100mmとする。サンプルを300mm/分の引張速度で引っ張り、サンプルが破断するまでの最大強度を測定する。測定は5回行い、これらの平均値をMDの乾燥引張強度とする。
<湿潤引張強度の測定方法>
前記<乾燥引張強度の測定方法>と同様の手順で測定対象シート(薄葉紙)のサンプルを用意する。このサンプルを、そのCDが引張方向となるように引張試験機(島津製作所製オートグラフAG−1kN)のチャックに無張力で取り付け、筆先が水で湿らされた筆の該筆先により、サンプルの一面に引張方向の全長に亘って約10mmの幅で水を塗布してサンプルを湿潤状態とした後、サンプルを300mm/分の引張速度で引っ張り、サンプルが破断するまでの最大強度を測定する。測定は5回行い、これらの平均値をCDの湿潤引張強度とする。
<湿潤引張強度の測定方法>
前記<乾燥引張強度の測定方法>と同様の手順で測定対象シート(特定吸収紙)のサンプルを用意する。このサンプルを、そのMDが引張方向となるように引張試験機(島津製作所製オートグラフAG−1kN)のチャックに無張力で取り付け、筆先が水で湿らされた筆の該筆先により、サンプルの一面に引張方向の全長に亘って約10mmの幅で水を塗布してサンプルを湿潤状態とした後、サンプルを300mm/分の引張速度で引っ張り、サンプルが破断するまでの最大強度を測定する。測定は5回行い、これらの平均値をMDの湿潤引張強度とする。
[表面シート]
表面シート2としては、当該技術分野において従来用いられている液透過性のシートを用いることができ、例えば、カード法により製造された不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布及びニードルパンチ不織布等の種々の不織布;開口手段によって液透過可能とされたフィルム等が挙げられる。これらの不織布やフィルムには、界面活性剤等の親水化剤を用いた親水化処理が施されていても良い。表面シート2の坪量は、コスト、生産面、吸収性能の観点から、好ましくは10〜50g/m2、更に好ましくは15〜30g/m2である。
本発明に係る表面シートとしては、実質的に凹凸を有していない平坦状の表面シート2(平坦型表面シート)に代えて、図6及び図7に示す凹凸形状を有する表面シート2A(凹凸型表面シート)を用いることもできる。表面シート2Aは、図6及び図7に示すように、着用者の肌側に向けて突出する凸部21と該凸部21に隣接する凹部22とをそれぞれ多数有している。凸部21と凹部22とは、おむつ1の肌対向面を形成する表面シート2Aの肌対向面2aに、交互に且つ一方向に列をなすように配置されている。凸部21と凹部22とによる表面シート2Aの肌対向面2aの斯かる凹凸形状は、少なくとも股下部C(前記排泄部対向部)における吸収体4の配置領域(図1に示す如きおむつ1の平面視において吸収体4と重なる領域。おむつ1の幅方向Yの中央部。)に形成されており、本実施形態においては更に背側部A及び腹側部Bそれぞれにおける吸収体4の配置領域にも形成されている。
表面シート2Aは単層構造の不織布からなる。表面シート2Aは、凹部22以外の部分において着用者の肌側に向けて突出しており凸部21を形成している。凸部21内には、表面シート2Aの形成材料が実質的に存在していない空間25が形成されている。凹部22は、実質的に凹凸の無い平坦状であり、吸収体4(コアラップシート5A)の肌対向面に接している。凸部21と凹部22とによる凹凸構造を有する表面シート2Aは、公知のエンボス加工を利用して形成することができ、例えば、表面シート原反(凹凸の無い平坦状のシート)を、周面が凹凸形状となっている第1ロールと該第1ロールの凹凸形状に対して噛み合い形状となっている凹凸形状を周面に有する第2ロールとの噛み合わせ部に噛み込ませて、該表面シート原反を凹凸賦形することにより得られる。
おむつ1において、表面シート2に代えて表面シート2Aを用いた場合には、凸部21が肌側に向き且つ表面シート2Aの形成材料が実質的に存在していない空間25が形成されていることによって、表面シート2Aの透過性が向上していると共に、表面(肌対向面)に凹凸がない平坦型表面シートに比べ、肌への接着面積が相対的に低下していることによって、肌への排泄液の付着量が低下し、表面(肌対向面)のドライ感が向上するという効果が奏される。
表面シート2Aによる前述した作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、表面シート2Aの各部の寸法等は次のように設定することが好ましい。
凸部21の高さL1(図7参照)は、好ましくは2〜6mm、更に好ましくは3〜5mmである。
凸部21の最大径L2(図7参照)は、好ましくは1〜10mm、更に好ましくは2〜5mmである。
[吸収性コア]
吸収性コア40は吸収性材料を含有する。吸収性コア40に含有される吸収性材料としては、例えば、親水性繊維及び吸水性ポリマーが挙げられる。吸収性コア40は、親水性繊維及び吸水性ポリマーの一方のみを含有していても良く、両方を含有していて良い。吸収性材料(親水性繊維及び吸水性ポリマー)の含有率は、吸収性コア40中、好ましくは70〜100質量%であり、更に好ましくは95〜100質量%である。吸収性コア40は常法に従って製造できる。
吸収性コア40に含有される親水性繊維(吸収性材料)としては、親水性表面を有する繊維であって、その湿潤状態において、繊維どうしが互いに高い自由度を有するシートを形成できるものであれば、特に制限なく用いることができる。そのような親水性繊維の例には、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)等の木材パルプや木綿パルプ、ワラパルプ等の非木材パルプ等の天然セルロース繊維;レーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維;ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維等の親水性合成繊維;ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレン(PE)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維を界面活性剤により親水化処理したもの等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
吸収性コア40に含有される吸水性ポリマー(吸収性材料)としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを用いることができ、例えば、ポリアクリル酸ソーダ、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ソーダ架橋体、(デンプン−アクリル酸)グラフト重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアクリル酸カリウム、並びにポリアクリル酸セシウム等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。吸水性ポリマーとしては、通常は粒子状のものが用いられるが、繊維状のものでも良い。粒子状の吸水性ポリマーには、その形状の違いから、不定形タイプ、塊状タイプ、俵状タイプ、球粒凝集タイプ、球状タイプ等があるが、何れのタイプも用いることができる。
吸収性コア40に含有される吸水性ポリマーのボルテックス法に吸水速度は、1〜60秒が好ましく、更に好ましくは5〜40秒である。また、吸収性コア40に含有される吸水性ポリマーの加圧下通液速度は、1〜500ml/min.が好ましく、更に好ましくは1〜200ml/min.である。吸水性ポリマーのボルテックス法による吸水速度及び加圧下通液速度の測定法を以下に示す。
<ボルテックス法による吸水速度の測定方法>
200mLのガラスビーカーに、生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水。調整にはイオン交換水を用いる。)50mLとマグネチックスターラーチップ(中央部直径8mm、両端部直径7mm、長さ30mmで、表面がフッ素樹脂コーティングされているもの)とを入れ、該ビーカーをマグネチックスターラー(アズワン製HPS−100)に載せる。マグネチックスターラーの回転数を600±60rpmに調整し、ビーカー内の生理食塩水を攪拌させる。測定試料である吸水性ポリマー2.0gを、攪拌中の食塩水の渦の中心部で液中に投入し、JIS K7224(1996)に準拠して該吸水性ポリマーの吸水速度(秒)を測定する。具体的には、吸水性ポリマーのビーカーへの投入が完了した時点でストップウォッチをスタートさせ、スターラーチップが試験液に覆われた時点(渦が消え、液表面が平らになった時点)でストップウォッチを止め、その時間(秒)をボルテックス法による吸水速度として記録する。測定はn=5測定し、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とした。測定は23±2℃、湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した上で測定する。尚、製品(吸収性物品)から吸水性ポリマーを取り出して測定する場合は次の方法で行う。まず、製品から表面材やバックシート、台紙などを取り除き吸水性ポリマーのみ、又は、吸水性ポリマーと繊維状物との混合体の状態にする。該吸水性ポリマーと繊維状物との混合体を篩を用いて吸水ポリマーと繊維状物とを分ける。また、少なくとも5枚以上の製品から取り出した吸水性ポリマーを利用する。
<加圧下通液速度の測定方法>
100mLのガラスビーカーに、測定試料である吸水性ポリマー0.32±0.005gを膨潤するのに十分な量の生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水)、例えば吸水性ポリマーの飽和吸収量の5倍以上の生理食塩水に浸して30分間放置する。別途、垂直に立てた円筒(内径25.4mm)の開口部の下端に、金網(目開き150μm、株式会社三商販売のバイオカラム焼結ステンレスフィルター30SUS)と、コック(内径2mm)付き細管(内径4mm、長さ8cm)とが備えられた濾過円筒管を用意し、コックを閉鎖した状態で該円筒管内に、膨潤した測定試料を含む前記ビーカーの内容物全てを投入する。コックを開いて濾過円筒管内の液面を60mLの目盛り線より5cm上に調整する。次いで、目開きが150μmで直径が25mmである金網を先端に備えた直径2mmの円柱棒を濾過円筒管内に挿入して、該金網と測定試料とが接するようにし、更に測定試料に2.0kPaの荷重が加わるようおもりを載せる。この状態で1分間放置した後、コックを開いて液を流し、濾過円筒管内の液面が60mLの目盛り線から40mLの目盛り線に達する(つまり20mLの液が通過する)までの時間(T1)(秒)をストップウォッチで計測する。計測された時間T1(秒)を用い、次式から2.0kPaでの加圧下通液速度を算出する。尚、式中、T0(秒)は、濾過円筒管内に測定試料を入れないで、生理食塩水20mlが金網を通過すのに要する時間を計測した値である。測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とした。
加圧下通液速度(ml/min)=20×60/(T1−T0)
吸収性コア40の坪量は、尿等の排泄液の吸収保持能力を実用上十分なものとする観点から、好ましくは50〜800g/m2、更に好ましくは100〜500g/m2ある。
本発明に係る吸収性コアとしては、実質的に凹凸を有していない平坦状の吸収性コア40(平坦型吸収性コア)に代えて、図8に示す凹凸形状を有する吸収性コア40A(凹凸型吸収性コア)を用いることもできる。吸収性コア40Aは、図8に示すように、吸収性材料が相対的に多い高坪量部41と、吸収性材料が相対的に少ない低坪量部42とを有し、高坪量部41と低坪量部42とが、所定方向に交互に形成されているものである。図8に示す形態においては、高坪量部41と低坪量部42とは、長手方向X及び幅方向Yそれぞれに交互に形成されている。より具体的には、吸収性コア40Aには、図8に示すように、吸収性コア40Aの長手方向Xに沿ってその全長に亘って延びる直線状の低坪量部42Xと、吸収性コア40Aの幅方向Yに沿ってその全長に亘って延びる直線状の低坪量部42Yとがそれぞれ複数形成され、低坪量部42全体として格子状に形成されており、これら直線状の低坪量部42X,42Yで区画された部位が高坪量部41となっている。複数の高坪量部41は、それぞれ、平面視において矩形形状を有している。
また、図8に示すように、高坪量部41は低坪量部42(42X,42Y)に比して厚みが大きく、そのため吸収性コア40Aは、高坪量部41が低坪量部42に比して隆起した凹凸形状を有している。吸収性コア40Aが凹凸形状を有していると、吸収性コア40の如き、凹凸形状を有しておらず肌対向面及び非肌対向面の何れも略平坦な吸収性コアに比して、おむつ1の着用時に吸収性コア40A(吸収体4)の変形、具体的には、吸収性コア40Aのおむつ着用者の肌に向かって隆起するような形状への変形が誘導され易い。このような吸収性コア40Aの変形容易性によって、おむつ1の着用時に股下部Cにおける前記排泄部対向部がおむつ着用者の肌に押し当てられるような形状に容易に変形するため、フィット性が向上し、おむつ着用者に快適な装着感を与えると共に、尿等の体液の漏れが効果的に抑制される。
図8(b)に示す如き吸収性コア40Aの断面視において、低坪量部42(42X,42Y)は、吸収性コア40の厚み方向に偏在している。より具体的には、低坪量部42は、図8に示すように、吸収性コア40Aの厚み方向Tにおいて非肌対向面40b側に偏在している。そして、低坪量部42がこのように厚み方向Tにおいて非肌対向面40b側に偏在していることにより、高坪量部41は、非肌対向面40bとは反対側、即ち、厚み方向Tにおいて肌対向面40a側に突出している。従って、吸収性コア40Aにおいては、非肌対向面40b(コアラップシート5Bとの対向面)は、実質的に凹凸が無く略平坦であるのに対し、肌対向面40a(コアラップシート5Aとの対向面)は、突出形成された高坪量部41(凸部)と高坪量部41,41間に位置する低坪量部42(非凸部あるいは凹部)とによる凹凸を有している。
おむつ1において、吸収性コア40に代えて吸収性コア40Aを用いた場合には、吸収性コア40Aが低坪量部42とそれに対応して形成された凹部(吸収性コア40Aの形成材料が存在しない空間)とを有していることで、排泄液の吸収時間を短縮させつつ排泄液を拡散させて効率良く吸収性コア40Aを利用できる。
吸収性コア40Aによる前述した作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、吸収性コア40Aの各部の寸法等は次のように設定することが好ましい。
吸収性コア40Aの高坪量部41の坪量S41と低坪量部42の坪量S42との比(S41/S42)は、好ましくは1.25〜10、更に好ましくは3〜6である。
高坪量部41の坪量S41は、好ましくは100〜600g/m2、更に好ましくは150〜500g/m2であり、低坪量部42の坪量S42は、好ましくは10〜150g/m2、更に好ましくは30〜100g/m2である。
高坪量部41の厚みT41と低坪量部42の厚みT42との比(T41/T42)は、好ましくは1〜20、更に好ましくは1.5〜10である。
高坪量部41の厚みT41は、好ましくは0.5〜10mm、更に好ましくは1〜8mmであり、低坪量部42の厚みT42は、好ましくは0.1〜5mm、更に好ましくは0.2〜3.0mmである。
高坪量部41は、面積50cm2当たり25〜45cm2、特に30〜45cm2形成されていることが好ましい。
凹凸形状を有する吸収性コア40Aは、この種の吸収性物品の吸収性コアの製造方法と同様に、公知の積繊装置を用いて製造することができる。積繊装置は、通常、外周面に集積用凹部を有する回転ドラムを備え、回転ドラムを回転させつつ、その外周面に吸収性材料を飛散状態にて供給し、吸収性材料を集積用凹部の底面からの吸引により集積用凹部内に積繊させ、この集積用凹部内の積繊物を、集積用凹部に対向配置させた吸引手段からの吸引により集積用凹部から離型して、吸引手段上に転写する装置である。斯かる構成の積繊装置において、集積用凹部の通気性の底面の一部に非又は難通気性部材を配置する等して、該底面の一部を非又は難通気性部とすることにより、吸収性材料の積繊時に該非又は難通気性部に吸収性材料が積繊し難くなり、該非又は難通気性部における吸収性材料の積繊量は、該底面の他の部位に比して少なくなる。従って、このような、集積用凹部の底面の一部が非又は難通気性部となっている回転ドラムを備えた積繊装置を用いて常法に従って吸収性コアを製造することにより、該非又は難通気性部に対応する部位が低坪量部42(42X,42Y)、該底面の他の部位に対応する部位が高坪量部41となり、凹凸形状を有する吸収性コア40Aが得られる。
[液透過性シート]
液透過性シート9としては、当該技術分野において表面シートと吸収体との間に介在配置される種々のシートを用いることができ、例えば、湿式抄紙により得られた紙;カード法により製造された不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布及びニードルパンチ不織布等の種々の不織布等を用いることができる。これらの不織布には、界面活性剤等の親水化剤を用いた親水化処理が施されていても良い。液透過性シート9の坪量は、液透過性の観点から、好ましく5〜50g/m2、更に好ましくは10〜30である。
[裏面シート等]
おむつ1における前述した肌側構成部材(コアラップシート、表面シート、吸収性コア、液透過性シート)以外の他の構成部材としては、当該技術分野において従来用いられているものを適宜用いることができる。裏面シート3としては、例えば、透湿性を有しない樹脂フィルムや、微細孔を有し、透湿性を有する樹脂フィルム、撥水不織布等の不織布、これらと他のシートとのラミネート体等の各種液不透過性ないし撥水性のものを用いることができる。また、サイドシート6としては、裏面シート3と同様のものを用いることができる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、前記実施形態では、2枚のコアラップシート5A,5Bを用いて吸収性コア40を被覆していたが、図9に示すように、1枚のコアラップシート5Aのみを用いても良い。その場合、吸収性コア40を被覆する1枚のコアラップシート5Aは、吸収性コア40の幅方向Yの長さの2倍以上3倍以下の幅を有している。図9に示す吸収体4Aは、この1枚のコアラップシート5Aの幅方向Yの中央部に吸収性コア40を載置し、その幅方向Yの両側部を吸収性コア40の上面側に折り返し、その両側縁部どうしをホットメルト型接着剤等の公知の接合手段により接合して該シート5Aを筒状に形成し、上下反転させて得られる。
また、前記実施形態では、本発明の吸収性物品の適用例の一つとしていわゆる展開型の使い捨ておむつを挙げたが、予めパンツ型に成形されたパンツ型の使い捨ておむつの他、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等にも適用することができる。前述した一の実施形態のみが有する部分は、すべて適宜相互に利用できる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1〕
図1及び図2に示すおむつ1と同様の基本構成を有する展開型の使い捨ておむつを作製し、これを実施例1のサンプルとした。
表面シートとしては、実質的に凹凸を有していない平坦型表面シートとして、坪量20g/m2のエアスルー不織布を用いた。
裏面シートとしては、坪量25g/m2の液不透過性且つ透湿性のポリエチレン製樹脂フィルム(炭酸カルシウム配合)を用いた。
吸収性コアとしては、実質的に凹凸を有していない平坦型吸収性コアとして、繊維集合体に粒子状の吸水性ポリマー(SAP)を保持させたもので、フラッフパルプ170g/m2と吸水性ポリマー260g/m2との均一混合物からなる総坪量430g/m2の吸収性コアを用いた。この吸収性コアの長手方向の全長は360mm、幅方向の全長(最大長さ)は110mmであった。
コアラップシートとしては、下記方法により製造した2層構造の吸収紙(前記特定吸収紙)を用いた。
〔実施例1で用いたコアラップシートの製造方法〕
親水性嵩高繊維及びパルプ繊維を、両繊維の含有質量比(親水性嵩高繊維/パルプ繊維)が8/2となるように混合して繊維の集合体を得、該集合体を水中に均一に分散させて、繊維濃度2質量%のスラリー(紙料)を調製し、第1層用スラリーとした。
また、パルプ繊維(繊維粗度0.10〜0.20mg/mの特定パルプ繊維)を水中に均一に分散させて、繊維濃度2質量%のスラリー(紙料)を調製し、該スラリーを叩解機にかけて、特定パルプ繊維のフリーネスを600mlに調整し、更に、湿潤紙力増強剤としてPAEを、該スラリー中の全繊維の乾燥質量に対して0.8質量%投入し、各成分が均一になるように十分に撹拌し、固形分濃度0.1質量%の第2層用スラリーを調製した。
前記第1層用スラリー及び前記第2層用スラリーを、それぞれ、ワイヤー目開き径90μm(166メッシュ)の金網抄紙ワイヤー上に散布し、金網抄紙ワイヤー上に紙層を形成させ、サクションボックスを用いて6ml/(cm2・sec)の速度で該紙層を脱水した後、第1層用スラリーから得られた湿潤状態の第1紙層と第2層用スラリーから得られた湿潤状態の第2紙層とを、湿潤状態のまま重ね合わせ、引き続きこれを圧搾脱水し、更にドライヤーで乾燥させ、乾燥面からドクターブレードで紙層をはがしながら、ドライヤーと巻き取りの速比をつけてクレープを付与した。尚、前記第1紙層と前記第2紙層とを重ね合わせる前に、該第1紙層を、乾燥紙力増強剤としてのPVAの5質量%水溶液中に浸漬させることにより、第1層に乾燥紙力増強剤を含有させた。こうして得られた2層構造の吸収紙(クレープ紙)を実施例1のサンプルとした。
〔実施例2〕
表面シートとして、図6及び図7に示す表面シート2Aと概ね同様の構成の凹凸型表面シートを用いた以外は実施例1と同様にして展開型の使い捨ておむつを作製し、実施例2のサンプルとした。実施例2で用いた凹凸型表面シートは、PETを芯部、PEを鞘部とする芯鞘型複合繊維100質量%からなる平坦状のエアスルー不織布を原反として用い、公知の加工装置によりこの原反に凹凸形状を付与して製造した。実施例2で用いた凹凸型表面シートは、坪量30g/m2、凸部の高さ(図7のL1に相当)4.0mm、該凸部の最大径(図7のL2に相当)3.0mmであった。
〔実施例3〕
吸収性コアとして、図8に示す吸収性コア40Aと概ね同様の構成の凹凸型吸収性コアを用いた以外は実施例2と同様にして展開型の使い捨ておむつを作製し、実施例3のサンプルとした。実施例3で用いた凹凸型吸収性コアは、繊維集合体に粒子状の吸水性ポリマーを保持させたもので、フラッフパルプ170g/m2と吸水性ポリマー260g/m2との均一混合物からなる総坪量430g/m2の吸収性コアであり、長手方向の全長は360mm、幅方向の全長(最大長さ)は110mmであった。また、実施例3で用いた凹凸型吸収性コアは、高坪量部と低坪量部との坪量比(高坪量部/低坪量部)5.2、高坪量部の坪量520g/m2、低坪量部の坪量100g/m2、高坪量部と低坪量部との厚み比(高坪量部/低坪量部)1.5、高坪量部の厚み3.0mm、低坪量部の厚み2.0mmであり、高坪量部は、面積50cm2当たり40cm2形成した。
〔実施例4〕
図5に示すおむつ1と同様の基本構成を有する(表面シートと吸収体との間に液透過性シートを有する)展開型の使い捨ておむつを作製し、これを実施例4のサンプルとした。液透過性シートとして、坪量25g/m2のエアスルー不織布を用いた。実施例4の使い捨ておむつは、液透過性シートを有している点以外は、実施例1の使い捨ておむつと同じである。
〔比較例1〕
コアラップシートとして下記方法により製造した単層構造の吸収紙(クレープ紙)を用いた以外は実施例1と同様にして展開型の使い捨ておむつを作製し、比較例1のサンプルとした。
〔比較例1で用いたコアラップシートの製造方法〕
NBKPを水中に均一に分散させて、繊維濃度2質量%のスラリー(紙料)を調製し、このスラリーを叩解機にかけて、NBKPのフリーネスを700mlに調整した。更に、このスラリーを希釈しながら、湿潤紙力増強剤としてPAEを、スラリー中の全繊維の乾燥質量に対して0.78質量%投入し、各成分が均一になるように十分に撹拌し、固形分濃度0.1質量%のスラリーに調整した。こうして得られたスラリーを、ワイヤー目開き径90μm(166メッシュ)の金網抄紙ワイヤー上に散布し、金網抄紙ワイヤー上に紙層を形成させ、サクションボックスを用いて6ml/(cm2・sec)の速度で該紙層を脱水した後、該紙層をドライヤーで乾燥させ、乾燥面からドクターブレードで紙層をはがしながら、ドライヤーと巻き取りの速比をつけてクレープを付与した。こうして得られた単層構造の薄葉紙(クレープ紙)を、比較例1でコアラップシートとして用いた。尚、下記表1及び表2では、この単層のコアアラップシートの該単層の組成等を、第1層の欄に記載した。
〔比較例2〕
表面シートとして、実施例2で用いた凹凸型表面シートと同じものを用いた以外は比較例1と同様にして展開型の使い捨ておむつを作製し、比較例2のサンプルとした。
〔比較例3〕
吸収性コアとして、実施例3で用いた凹凸型吸収性コアと同じものを用いた以外は比較例1と同様にして展開型の使い捨ておむつを作製し、比較例3のサンプルとした。
下記表1中、繊維の欄における数値(質量%)は、第1層又は第2層中の全繊維に占める当該繊維の割合(質量基準)を意味し、繊維以外の成分(添加剤)の欄における数値(質量%)は、第1層又は第2層中の全繊維の乾燥質量に対する当該成分の割合(質量基準)を意味する。また、下記表1中の各成分の詳細は次の通り。
・親水性嵩高繊維:繊維粗度0.32mg/mのHBA。
・パルプ繊維:繊維粗度0.15mg/mのNBKP(商品名「Cariboo」、Cariboo Pulp and Paper Company製)。
・特定パルプ繊維:繊維粗度0.15mg/mのNBKP(商品名「Cariboo」、Cariboo Pulp and Paper Company製)(前記パルプ繊維と同一の繊維)。
・乾燥紙力増強剤:PVA(クラレ株式会社製、商品名「VPB107−1」)。
・湿潤紙力増強剤:PAE(星光PMC株式会社製、商品名「WS4030」)。
Figure 0006080246
〔評価〕
実施例及び比較例の各サンプル(使い捨ておむつ)について、各構成部材の液透過時間を前記方法によって測定し、液戻り量を下記測定方法によって測定した。それらの結果を下記表2に示す。
<液戻り量の測定方法>
使い捨ておむつを平面状に拡げ、表面シートを上に向けて水平面上に固定した状態で、吸収体の中心部における該表面シート上に人工尿40gを注入して吸収させ、10分間放置し、更に人工尿40gを注入して吸収させた。斯かる人工尿の注入操作を5回繰り返し、合計200gの人工尿をおむつに吸収させた。次いで、おむつにおける人工尿の吸収部位上にToyo Roshi Kaisha,Ltd製の4Aろ紙20枚重ね、更にその上に荷重を10分間加えて、おむつに吸収させた人工尿をろ紙に吸収させた。荷重は30cm×15cmの面積に6kgが加わるようにした。10分経過後荷重を取り除き、人工尿を吸収したろ紙の重量を測定した。この重量から人工尿吸収前のろ紙の重量を差し引き、その値を液戻り量とした。液戻り量が少ないほど、吸収体(吸収性コア)の利用効率が高く高評価となる。
人工尿の組成は次の通り。尿素1.94質量%、塩化ナトリウム0.7954質量%、硫酸マグネシウム(七水和物)0.11058質量%、塩化カルシウム(二水和物)0.06208質量%、硫酸カリウム0.19788質量%、ポリオキシエチレンラウリルエーテル0.0035質量%及びイオン交換水(残量)。
Figure 0006080246
表1及び2に示す通り、2層構造のコアラップシートを用い且つ各層の液透過時間が前記関係(T3>T4>T1≧T2あるいはT3>T4>T1≧T5≧T2)にある実施例1〜4は、単層構造のコアラップシートを用いた比較例1〜3に比して、液戻り量が少なかった。また、表面シートとして凹凸型表面シートを用いた実施例2及び3は、平坦型表面シートを用いた実施例1及び4に比して、液戻り量が少なかった。以上のことから、液透過性及び液拡散性に優れ、吸収体の利用効率が高い吸収性物品を得るためには、2層構造のコアラップシートを用い、且つ表面シート、該コアラップシート及び吸収性コアそれぞれの液透過時間が前記関係にあることが重要であり、また、該表面シートが、着用者の肌側に向けて突出する凸部と該凸部に隣接する凹部とをそれぞれ多数有していると、より好ましい結果が得られることがわかる。
1 使い捨ておむつ(吸収性物品)
2,2A,2B,2C 表面シート
2a 表面シートの肌対向面
2b 表面シートの非肌対向面
21 表面シートの凸部
22 表面シートの凹部
23 表面シートの上層
24 表面シートの下層
25 表面シートの空間
3 裏面シート
4,4A 吸収体
40,40A 吸収性コア
40a 吸収性コアの肌対向面
40b 吸収性コアの非肌対向面
5A,5B コアラップシート
51 コアラップシートの第1層
52 コアラップシートの第2層
9 液透過性シート

Claims (5)

  1. 吸収体及び該吸収体の肌対向面側に配された表面シートを具備し、該吸収体が、パルプ繊維を含む吸収性材料を含有する吸収性コアと、該吸収性コアの少なくとも肌対向面を被覆するコアラップシートとを含んで構成されている吸収性物品であって、
    前記コアラップシートは、第1層とこれに重層する第2層とを具備し、該第1層は、該第2層に比して前記表面シートから近い位置に存しており、
    前記表面シートの下記方法で測定される液透過時間T1、前記第1層の該液透過時間T2、前記第2層の該液透過時間T3、前記吸収性コアの該液透過時間T4が、T3>T4>T1≧T2の関係にある吸収性物品。
    <液透過時間の測定方法>
    上下端が開口している内径35mmの2本の円筒を、両円筒の軸を一致させて上下に配し、8cm四方の測定サンプルを上下の円筒間に挟み込み、その状態で、上側の円筒内に生理食塩水を40g±1g供給する。供給された生理食塩水は、測定サンプルを透過するか又は測定サンプルに吸収されて上側の円筒内からなくなる。生理食塩水の供給開始時から、生理食塩水の水面が測定サンプルの表面と同位置になるまでの時間を測定し、その時間を液透過時間とする。
  2. 前記表面シートと前記吸収体との間に液透過性シートが配されており、該液透過性シートの前記液透過時間をT5とした場合、T3>T4>T1≧T5≧T2の関係にある請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記第1層は、繊維粗度0.30mg/m以上の親水性嵩高繊維とパルプ繊維とを含有し、前記第2層は、繊維粗度0.10〜0.20mg/mの特定パルプ繊維を含有する請求項1又は2記載の吸収性物品。
  4. 前記表面シートは、着用者の肌側に向けて突出する凸部と該凸部に隣接する凹部とをそれぞれ多数有している請求項1〜3の何れか一項に記載の吸収性物品。
  5. 前記吸収性コアは、前記吸収性材料が相対的に多い高坪量部と、前記吸収性材料が相対的に少ない低坪量部とを有し、該高坪量部と該低坪量部とが、所定方向に交互に形成されている請求項1〜4の何れか一項に記載の吸収性物品。
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