JP4390232B2 - 削孔機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、法面等に対して削孔する場合に好適な削孔機に関する。より詳しくは、削孔用ドリルや自穿孔型のロックボルトなどの削孔機能を有する削孔用軸体の進退動作を案内するガイド機構の軽量化及びコンパクト化に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の削孔機に関しては、従来から作業員が削孔機を保持しながら削孔作業を実施する手持ち式のものや、削孔機を削孔位置まで移動して地盤あるいは作業員が形成した足場に削孔機を設置して削孔作業を実施する簡易設置式のものや、クレーン等の重機により保持して同作業を実施する重機保持式のものなどが広く知られている。ところで、前者の手持ち式の削孔機の場合には、削孔時の回転力ないし打撃力による振動作用が作業員にかかるため、作業負担が大きいだけでなく、白蝋病等の病害の原因になる可能性もあるといった問題があった。また、簡易設置式の場合には、重い削孔機を削孔位置まで移動して設置するための作業負担が問題であった。さらに、後者の重機保持式の場合にも、削孔機の重さの大きさに応じて大型の重機が必要になり作業性にも影響するといった問題があった。一方、削孔用ドリルの案内用の具体的なガイド機構としては、2本のガイド軸を平行に配設した平行案内フレームを採用するもの(特開平9−137690号公報、特許第2779694号明細書)や、断面コ字状のガイドレールを背中合せに平行に配設したもの(実公平3−46042号公報、特公平6−76755号公報)などが知られている。しかしながら、これらのガイド機構は、複数のガイド部材を平行に設置する方式を採用していることから、自重が大きくなるとともに占めるスペースも大きくなるという技術的な問題点があった。そして、この種の削孔用ドリルの動作はストロークが大きいため、ガイド機構としても長尺のものが使用されることから、そのガイド機構の重量や大きさの及す影響は大きく、簡易設置式の場合にも重機保持式の場合にも望ましいことではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の技術的事情に鑑みて開発したもので、削孔用ドリルや自穿孔型のロックボルトなどの削孔用軸体の進退動作を案内するガイド機構に関する軽量化を図り、削孔機としての軽量化に資することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、請求項1の発明では、角パイプ状からなる1本のガイド軸の外周面に該ガイド軸に沿って取付板を設け、該取付板を介して支持手段に連結して前記ガイド軸を支持するとともに、前記ガイド軸に対して、該ガイド軸の外周面に摺動自在に嵌合し得るほぼ同形の内面形状を有し、かつ前記取付板が通過可能な開口部を形成した摺動保持体を進退可能に外嵌し、その摺動保持体に対して削孔用軸体を装着するという技術手段を採用した。本発明では、以上のようにガイド軸を1本の角パイプ状から構成したので、軽量でありながら堅牢な精度のよいガイド機構をコンパクトに形成することができる。また、請求項2の発明では、前記摺動保持体に進退駆動用のチェーン、歯付ベルト等からなる紐帯状の牽引手段を連結し、その牽引手段にエア駆動手段を連係して進退駆動するように構成した。請求項3の発明では、前記紐帯状の牽引手段を前端と後端において上下の走行部間で折返すように構成するとともに、その下側走行部分を前記ガイド軸の内部を通したので、動きのある部分の露出範囲を低減できるとともに、牽引手段の下方へのたるみも解消できることから、作業中に絡み付く危険が低減でき作業員に対する安全性も向上する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に係る削孔機は、特に削孔機を人力により削孔位置まで移動して削孔作業を実施する簡易設置式に対して好適であるが、クレーン等の重機により保持して同作業を実施する重機保持式にも有効である。削孔用軸体としては、繰返し使用する一般的な削孔用ドリルのほか、地中に埋設する自穿孔型のロックボルトなどの削孔機能を有するものであれば、広く適用が可能である。前記ガイド軸は、角パイプ状に形成されたものであれば、金属製ものに限らず、十分な強度を有する他の材料から形成したものでもよい。また、角パイプ状としては、断面形状が正方形や長方形からなる矩形状のものだけでなく、三角形や六角形、八角形等の他の多角形を採用したものも可能である。なお、ガイド軸を支持手段に接続するための取付板の設置位置は、ガイド軸の下面だけでなく側面でもよく、また同じ面であれば複数設置することも可能である。また、その取付板が通過させるために、前記摺動保持体に形成する開口部の幅は適宜設定することができる。例えば、以下の実施例のようにスリット状のものでもよいし、場合によってはガイド軸の下面の全幅を開口部とすることも可能である。
【0006】
【実施例】
以下、図面を用いて本発明の実施例に関して説明する。図1は本発明に関する一実施例の作業状態を示した全体的な構成図である。図示のように、本実施例に係る削孔機1においては、角パイプ状に形成された長尺のガイド軸2に摺動保持体3を摺動自在に外嵌し、その摺動保持体3に対して削孔用軸体として自穿孔型のロックボルト4を装着することにより、前記ガイド軸2に沿ってロックボルト4を前進可能に構成している。また、前記ガイド軸2の下面には取付板5が設けてあり、その取付板5に設けた丸パイプ等からなる支軸6を介して、支持手段としての基台フレーム7に対して揺動可能に結合することにより、前記ガイド軸2の傾斜角を調整自在に支持している。なお、前記ガイド軸2の下面の例えば前後2個所に他の取付板8,9を設け、それらの取付板8,9を介して、後述のように単管やクランプ等を用いて、ガイド軸2を傾斜角固定の状態に支持するように構成することも可能である。
【0007】
図示のように、ロックボルト4の後端部には削岩用の駆動機構10が配設されており、ロックボルト4は該駆動機構10を介して前記摺動保持体3に装着されている。本実施例では、その削孔用の駆動機構10としてエア駆動機構を採用しており、エア供給管11、コントローラ12及びエア供給管13を介してコンプレッサ14に接続して圧力エアにより駆動するように構成されている。なお、削孔用の駆動機構10としては、ロックボルト4等の削孔用軸体に回転力ないし打撃力を付与し得る適宜の公知機構が採用可能である。一方、ガイド軸2の後端部には、前記摺動保持体3を牽引してガイド軸2に沿って進退させるために張設したチェーンや歯付ベルトなどからなる紐帯状の牽引手段15の駆動機構16が配設されている。本実施例では、その駆動機構16に関してもエアモータ等のエア駆動手段を採用しており、エア供給管17を経由して、前記コントローラ12及びエア供給管13を介してコンプレッサ14に接続することにより、それらの配管や設備を兼用して圧力エアにより駆動し得るように構成されている。なお、エア供給管17は、正転用供給管と逆転用供給管との2本の供給管から構成されている。
【0008】
次に本発明の特徴部分に関して詳細に説明する。図2は前記ガイド軸2と摺動保持体3との嵌合状態を示した拡大斜視図である。図示のように、本実施例においては、ガイド軸2として断面形状がほぼ正方形の角パイプ状からなる長尺の鋼管を採用している。また、摺動保持体3としては、ガイド軸2の外周面に摺動自在に嵌合し得るほぼ同形の正方形状の内面形状を有する角パイプ状からなる短い鋼管を採用している。そして、この摺動保持体3をガイド軸2に外嵌することにより、前記紐帯状の牽引手段15により牽引されて前記摺動保持体3がガイド軸2に沿って案内されながら進退するように構成されている。このように、本発明においては、ほぼ同形の角状の断面形状からなるガイド軸2の外周面と摺動保持体3の内周面とを摺動自在に接合した状態に嵌合したので、1本のガイド軸であってもきわめて安定した精度のよい案内作用が得られる。なお、摺動保持体3は、その内面形状がガイド軸2の外周面に摺動自在に嵌合し得るほぼ同形のものであれば足り、外面形状に関しては必ずしも同形にする必要はない。また、本実施例では、摺動保持体3の下面に前記取付板5が通過可能なスリット状の開口部18が形成されており、上面の前後端には前記牽引手段15を連結する連結部材19,20が設置されている。
【0009】
前記紐帯状の牽引手段15の後端側は、図3に示したように、前記駆動機構16に連結されたスプロケット等からなる駆動輪21により回転駆動されるように構成されている。また、同牽引手段15の前端側は、図4に示したように、同じくスプロケット等からなる従動輪22により支持され折返すように構成されている。そして、前記牽引手段15の両端部は、それぞれ前記摺動保持体3の上面に設置された連結部材19,20に連結され、その摺動保持体3を介して前記ロックボルト4を前進させるように構成されている。なお、前記牽引手段15の下側走行部分は、ガイド軸2の内部を通すように張設されている。また、従動輪22は、図4に示したように、調整機構23により前後位置を調整し得るように構成されており、牽引手段15の張設状態を調整し得るように構成されている。さらに、その調整機構23の前方には、図5に示したように、前記ロックボルト4等の削孔用軸体の前方部分を支持するガイド部24が形成されており、その部分に更に操作用のハンドル25が配設されている。
【0010】
しかして、前記実施例を使用して削孔作業を行う場合には、先ず法面等の所定の削孔位置に削孔機1を移動して設置する。その場合、本発明に係る削孔機1のガイド機構は、1本のガイド軸2から構成されているので、大幅な軽量化が可能なことから、所定の削孔位置まで組立て状態において、あるいは必要に応じて分解した状態において移動する場合の作業負担を軽減することができる。そして、削孔機1の設置場所が図1のように平坦地の場合には、三角状の前記基台フレーム7の底部を地上に載置し、上端部を支軸6を介して取付板5に連結することにより、簡単に所定の削孔位置に設置することができる。そして、更にコンプレッサ14からのエア供給管13を前記コントローラ12を経由してエア供給管11あるいは17を介して前記削孔用の駆動機構10あるいは前記牽引手段15用の駆動機構16に接続することにより削孔機1のセットが完了する。
【0011】
なお、削孔機1の設置場所が地盤から離れた空間部分の場合や、地盤が平坦地でなく地上に直接的に設置できない場合には、図6あるいは図7に示したような方法で設置することができる。すなわち、図6に示したように、例えば実開平6−35501号公報に開示した門型の取付具(図示を省略)などを用いて法面上に形成された法枠等に対して所要本数の単管を水平に固定することにより足場26を形成し、それらの足場26に対して前記基台フレーム7をクランプ27等により取着することにより、削孔機1を所定の削孔位置に簡便に設置することができる。また、図7に示したように、同様に設置した足場26に対してクランプ28,29等を用いて単管からなる支柱30,31を立設し、それらの支柱30,31の上部をクランプ32,33等を用いて前記取付板8,9の支軸に固定することにより、削孔機1を所定の削孔位置に簡便に設置することができる。
【0012】
以上のようにして、削孔機1を所定の削孔位置に設置できたら、前記コントローラ12によりコンプレッサ14からの圧力エアの供給を制御して削孔作業を実施することになる。すなわち、先ずコントローラ12によりエア供給管13をエア供給管11に連通して駆動機構10を駆動状態に制御する。そして、さらに同コントローラ12によりエア供給管13をエア供給管17を構成する正転用供給管及び逆転用供給管に対する連通状態を制御することにより、駆動機構16を介して前記駆動輪21の回転状態を制御する。すなわち、エア供給管13を先ずエア供給管17の正転用供給管側に連通して駆動機構16を介して駆動輪21を正回転させることにより、紐帯状の牽引手段15を介して摺動保持体3をガイド軸2に沿って前進させる。これにより、ロックボルト4が法面方向に前進して所定の削孔作業を実施することになる。しかる後、今度はエア供給管13の連通先をエア供給管17の逆転用供給管側に切替え、前記牽引手段15の走行方向を逆転させて摺動保持体3をガイド軸2に沿って後退させる。そして、摺動保持体3が元の位置に復帰することにより削孔作業が終了する。なお、以上の実施例では、削孔用軸体としてロックボルト4を使用しているので、摺動保持体3の復帰時には、前記エア供給管13とエア供給管11との連通を遮断して駆動機構10を停止させ、ロックボルト4は地中に残してくることになる。
【0013】
【発明の効果】
本発明によれば、次の効果を得ることができる。
(1)削孔用軸体のガイド機構として1本の角パイプ状からなるガイド軸を採用したので、軽量でしかも堅牢なガイド機構が簡便に得られ、削孔機としての軽量化に大きく資することができるとともに、装置のコンパクト化にも有効である。
(2)角パイプ状のガイド軸を採用したので、1本のガイド軸でも精度のよい案内性能が確実に得られる。
(3)ガイド機構の軽量化により、簡易設置式の場合には、作業位置までの移動及び設置作業にかかる作業負担が大幅に軽減され作業性が向上する。また、重機保持式の場合にも、重機にかかる荷重を低減できることから種々のメリットが得られる。
(4)削孔用軸体の進退駆動用のチェーンや歯付ベルト等からなる紐帯状の牽引手段の下側走行部分をパイプ状のガイド軸の内部を通すようにすれば、動きのある部分の露出範囲を低減できるとともに、牽引手段の下方へのたるみも解消できるので、作業中に絡み付く危険が低減でき作業員に対する安全性も向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の作業状態を示した全体的な構成図である。
【図2】 同実施例におけるガイド軸と摺動保持体との嵌合状態を示した拡大斜視図である。
【図3】 同実施例における牽引手段の駆動側を示した部分拡大図である。
【図4】 同実施例における牽引手段の従動側を示した部分拡大図である。
【図5】 同実施例における削孔用軸体の先端部のガイド部を示した部分拡大図である。
【図6】 本発明の他の実施例の作業状態を示した全体的な構成図である。
【図7】 本発明の他の実施例の作業状態を示した全体的な構成図である。
【符号の説明】
1…削孔機、2…ガイド軸、3…摺動保持体、4…ロックボルト、5…取付板、6…支軸、7…基台フレーム、8,9…取付板、10…駆動機構、11…エア供給管、12…コントローラ、13…エア供給管、14…コンプレッサ、15…牽引手段、16…駆動機構、17…エア供給管、18…開口部、19,20…連結部材、21…駆動輪、22…従動輪、23…調整機構、24…ガイド部、25…ハンドル、26…足場、27〜29…クランプ、30,31…支柱、32,33…クランプ

Claims (3)

  1. 角パイプ状からなる1本のガイド軸の外周面に該ガイド軸に沿って取付板を設け、該取付板を介して支持手段に連結して前記ガイド軸を支持するとともに、前記ガイド軸に対して、該ガイド軸の外周面に摺動自在に嵌合し得るほぼ同形の内面形状を有し、かつ前記取付板が通過可能な開口部を形成した摺動保持体を進退可能に外嵌し、その摺動保持体に対して削孔用軸体を装着したことを特徴とする削孔機。
  2. 前記摺動保持体に進退駆動用のチェーン、歯付ベルト等からなる紐帯状の牽引手段を連結し、その牽引手段にエア駆動手段を連係して進退駆動するように構成したことを特徴とする請求項1記載の削孔機。
  3. 前記紐帯状の牽引手段を前端と後端において上下の走行部間で折返すように構成するとともに、その下側走行部分を前記ガイド軸の内部を通したことを特徴とする請求項2記載の削孔機。
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