JP4390054B2 - 輸送タンク用内袋 - Google Patents

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Description

本発明は輸送タンク用内袋に関するものである。
船舶、鉄道、自動車などの貨物輸送において、貨物が液体の場合には、一般的にタンクコンテナが用いられる。このようなタンクコンテナとしては、国際規格であるISO規格の例えば20フィートタンクコンテナ(以下、単にタンクコンテナと称する。)が一般的に用いられる。このタンクコンテナは、長さが20フィート、幅が8フィート、高さが8フィートであり、約20トンの液体の充填が可能である。
このようなタンクを用いたコンテナ輸送では、輸送後にタンク内を洗浄する必要があること、耐薬品性を有する高品質なステンレス鋼板を用いるタンクを製造する必要があることなどから、例えば特許文献1に示すように、タンクを一般的な鋼板で製造し、このタンク内に耐薬品性を有する軟質合成樹脂性の内袋を装填することが提案されている。また、特許文献2〜5には、同じようにタンクに内袋を装填して、洗浄などの手間を省くようにしたものが提案されている。
特開昭61−104983号公報 特開2001−354292号公報 実開昭61−48190号公報 特開昭50−4615号公報 実開昭57−46492号公報
しかしながら、上記従来の内袋を有するタンクやタンクコンテナ等については、特許文献1〜5のように種々の提案がなされているものの、20フィートタンクコンテナなどの大型のタンクに対して、適切な内袋を製造することが困難であり、実用化されていないのが現状である。すなわち、長さが20フィート、幅が8フィート、高さが8フィートの円筒状タンクに適合する内袋を簡単に安価に製造することが困難であった。
例えば、タンクコンテナの形状に適合した内袋としては、タンクコンテナとほぼ同形状の円筒体状が理想的である。しかし、この場合には筒状フイルムの両端部に円形状蓋フイルムを溶着する必要があり、円形状蓋フイルムの形成、これの溶着といった手間を要し、製造が困難である。しかも、円形状蓋フイルムの溶着では、二次元方向での溶着が不可能であり、三次元方向での溶着となるため、これらフイルムを溶着するためのガイド装置などに専用のものが必要になるという問題もある。
これに対して、封筒型の内袋とすることで、単に筒状フイルムの両端部を溶着するだけでよく、製造が容易になる。この内袋では、タンクの給排口に内袋の給排口をセットすることにより、液体がタンク内面に直に接触することがなくなる。したがって、内袋を取り替えることにより、従来必要であったタンク内の洗浄処理が不要になる。しかし、タンクコンテナは円筒体状であり、この中に封筒型内袋を装填すると、両者の形状の違いから以下のような問題が発生する。まず、封筒型の内袋の両端部は溶着ラインで接合されているだけであり、封筒型内袋の長さが不充分であると、内袋に液体が満たされても、タンクコンテナと内袋との間に隙間が発生する。この隙間の発生によって、液体輸送中の液体の慣性力が内袋と給排口との間に負荷として集中し、この部分から内袋が破損してしまうことがある。また、逆に内袋の長さが必要以上に長くなると、液体を充填する途中で、両端部の折曲部分に液体が充填される前に、既に充填された液体の重みで折曲部分が潰されて、液体が進入不可能になり、充分な容量を有する内袋であっても、液体の充填が不可能になってしまう。しかも、この状態で液体の充填を続けると、内袋の内圧が高くなり、破損してしまう。このように、封筒型内袋は製造が容易であるものの、タンクコンテナに適合する適正な寸法で形成しないと、液体の充填不良や破損を招いてしまうという問題がある。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、製造が容易な封筒型内袋を用いても、充填不良や破損を招くことがないようにした輸送タンク用内袋を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、軸方向が水平となるように横置きされたほぼ円筒体状の輸送用タンクの内部に着脱自在に装着して用いられ、合成樹脂製の内袋本体と前記輸送用タンクの一端下部に配置されたタンク給排口に嵌合される内袋給排口とを有する輸送タンク用内袋において、前記内袋本体を封筒型に形成し、この内袋本体の長さをIL、幅をIW、前記輸送用タンクの長手方向縦断面における内周長をTLt、前記輸送用タンクの幅方向縦断面における内周長をTLrとしたときに、0.47・TLt≦IL≦0.6・TLt、0.47・TLr≦IW≦0.6・TLrとしたことを特徴とする。
なお、前記IL,IWを、0.49・TLt≦IL≦0.55・TLt、0.49・TLr≦IW≦0.58・TLrとすることが好ましい。また、前記内袋本体の一端部からL1離れた位置で長手方向に伸びる中心線上またはその近傍に前記内袋給排口を有することが好ましい。ただし、L1は0.44・IW≦L1≦0.50・IWの範囲である。前記内袋本体は、前記内袋給排口を下に向けた状態で両側縁部が、長手方向に伸びる中心線に平行に適数回内側に折り曲げ(谷折り)られており、この谷折りされた状態で内袋の両端部から前記内袋給排口に向かって、幅方向に伸びる中心線に平行に谷折りまたは巻取りされることにより、畳まれていることが好ましい。
本発明では、内袋本体を封筒型に形成したから、輸送用タンクとほぼ同形状の略円筒体状に形成する必要がなく、筒状フイルムの両端を単に溶着するだけでよく、内袋本体の製造が容易になる。また、内袋本体の長さをIL、幅をIW、前記輸送用タンクの長手方向縦断面における内周長をTLt、前記輸送用タンクの幅方向縦断面における内周長をTLrとしたときに、0.47・TLt≦IL≦0.6・TLt、0.47・TLr≦IW≦0.6・TLrとしたから、内袋本体を適正なサイズで構成することができ、略円筒体状の輸送用タンクに封筒型の内袋本体を装填しても、内袋本体の折り曲げ部による充填物の充填不良や、内袋本体の破裂などの発生を抑えることができる。
図1は20フィートのISOタンクコンテナ10を示しており、タンク本体11とこれを保持するフレーム12とから構成されている。タンク本体11の上部には、メンテナンスや液注入などを行うためのハッチ13が形成されており、このハッチ13は蓋14によって覆われて、輸送時には蓋14が開くことがないように、ロック部材によってロックされている。また、タンク本体11の一端下部にはタンク給排口15が形成されており、このタンク給排口15のフランジ15aを介して、フートバルブ16が固定されている。
タンク本体11内には、本発明の輸送タンク用内袋(以下、単に内袋という)20が装填される。この内袋20は、ハッチ13から作業者によってタンク本体11内に持ち込まれ、作業者によってタンク本体11にセットされる。そして、フートバルブ16を介してタンク給排口15から貨物としての液体が充填されることにより、タンク本体11内で内袋20が膨らみ、この内袋20がタンク本体11のライニングとして機能する。
図2(A)に示すように、内袋20は、封筒状に形成された内袋本体21と、前記タンク給排口15に嵌合する内袋給排口22とから構成されている。このように封筒状に内袋20を形成しているため、図3(A)に示すように、筒状フイルム23をロール状に巻き取ったフイルムロール24から、筒状フイルム23を引き出して、所定の長さに切断し、この切断した筒状フイルム23の両端部23a,23bを熱溶着などによって接合することにより、簡単に内袋本体21を形成することができる。
図2は、タンク本体11と内袋20との寸法の関係を示すもので、(A)はタンク本体11と内袋20との平面を、(B)はタンク本体11の長手方向縦断面と内袋20とを、(C)はタンク本体11の幅方向縦断面と内袋20とをそれぞれ示している。ここで、長手方向縦断面とは、(A)の平面図においてタンク本体11の長手方向に伸びる中心線CL1を含む縦断面(B−B矢視断面)をいい、幅方向縦断面とはタンク本体11の幅方向に伸びる中心線CL2を含む縦断面(C−C矢視断面)をいう。なお、CL3はタンク本体11の高さ方向に伸びる中心線を示している。
タンク本体11は横置きされて両端が閉じられた円筒体状に構成されており、内袋20は封筒状に構成されている。したがって、内袋20のサイズがタンク本体11に合わせた適正なサイズ範囲よりも小さい場合には、所定の充填容量を確保することができないばかりか、タンク本体11の内周面と内袋20の間に隙間が発生し、この隙間内を内袋20と充填した液とが移動することになって、内袋給排口22の溶着部分や、内袋20の両端部の溶着ラインで破損してしまうことがある。また、逆に内袋20のサイズがタンク本体に合わせた適正なサイズ範囲を超えて大きい場合には、原材料の無駄につながるだけでなく、内袋20の端部などの余剰部分が充填された液体の下方に位置してしまうと、この充填液の重みによって内袋20の端部が、液体が充填された内袋本体21とタンク本体11の内周面との間に挟まれてしまい、それ以上の液体の充填が不可能になってしまう。また、このまま液体の充填が続行される場合には、内袋20の内圧が高まって、破損してしまうことがある。
本実施形態では、タンク本体11のサイズを基準にして封筒型の内袋20のサイズをある一定範囲に規定することにより、上記のような液体の充填不良や、内袋20の破損などを防止している。内袋20の長さをIL、その幅をIW、タンク本体11の長手縦断面における内周長(第1内周長)をTLt、タンク本体11の幅方向縦断面における内周長(第2内周長)をTLrとしたときに、
0.47・TLt≦IL≦0.6・TLt、
0.47・TLr≦IW≦0.6・TLrとしている。
なお、前記IL,IWは、好ましくは
0.49・TLt≦IL≦0.55・TLt、
0.49・TLr≦IW≦0.58・TLrである。
このようにタンク本体11の内周長を基準にして封筒型内袋20のサイズを規定しているため、タンク本体11の形状が円筒状に限られず、他の楕円形状やその他の形状であっても容易に適用が可能である。
内袋給排口22は、内袋20の一端部からL1=1750mm離れた位置で長手方向に伸びる中心線上またはその近傍に設けられる。このように、内袋20の幅IWを基準にしてL1を0.44・IW≦L1≦0.50・IWの範囲内に規定することにより、タンク本体11の一端下部に形成されたタンク給排口15を基準にして内袋20を取り付けても、タンク本体11と内袋20との長手方向での中心位置を一致させることができる。これにより、内袋20の両端部の余剰部分をほぼ均等にタンク本体11内で振り分けることができる。したがって、内袋20の端部の余剰部分がタンク本体11の片側で余って、タンク本体11と内袋20との間に挟まれてしまうことがなくなり、これに起因する液体の充填不良や内袋破損などがなくなる。
次に、本発明の内袋20の製造方法について説明する。図4に示すフローチャートのように、筒状フイルムの切断、筒状フイルムの二重化、内袋給排口取付穴の形成、内袋給排口の取り付け、筒状フイルムの一端部の溶着、エア抜き、筒状フイルムの他端部の溶着、位置決めマークの記録、内袋本体の折り畳み、梱包の各工程が順次に行われて、筒状フイルムから内袋が構成される。
図3(A)に示すように、筒状フイルムの切断工程では、フイルムロール24から筒状フイルム23を引き出して、作業台25上に載せて長さILで例えばカッタ26により切断する。筒状フイルム23は、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)から構成されており、ロール形態に巻き取り収納されている。本実施形態では、内袋本体21を二重化しているので、(B)に示すように、筒状フイルム23を長さILで2回切断し、二つの筒状フイルム23を形成する。本実施形態では20フィートタンクコンテナ用内袋であるので、上記の適正範囲に基づき輸送用タンクの第1内周長TLt≒15500mm、第2内周長TLr≒7100mmから、IL=8300mm、IW=3900mmとしている。なお、筒状フイルム23のフイルム単層の厚みは120μmであり、本実施形態では筒状フイルム23として2層となっているので、筒状フイルム23の全体厚みは240μmである。なお、フイルム厚みは80〜500μmの範囲が好ましく、特に好ましくは100〜300μmの範囲である。
図3(C)に示すように、筒状フイルム23の二重化工程では、一方の筒状フイルム23内に他方の筒状フイルム23を入れて二重化する。次に、(D)に示すように、内袋給排口取付穴の穴あけ工程では、一方の端部23bからL1=1750mm離れた位置で幅方向中央に給排口に対応する穴27を開ける。この穴開け加工は、パンチやカッタなどを用いて行われ、上側の2層フイルムのみに対して行われる。
図5(E)に示すように内袋給排口22の取り付け工程では、開けられた穴27の周縁に対して内袋給排口22が熱溶着される。この熱溶着も上側の2層フイルムのみに対して行われる。内袋給排口22は、截頭円錐筒状の給排口本体22aと、これの両端部に取り付けられるフランジ22b,22cとから構成されており、例えばLLDPEで一体成形されている。下側のフランジは溶着用とされており、この溶着フランジ22bと内袋本体21とは図示しない熱溶着器によって熱溶着され、溶着ライン28,29が形成される。また、上側の取付フランジ22cはタンク給排口15(図6参照)にタンク内側から内袋給排口22を挿入したときに、タンク給排口15のフランジ15aの外側に出て、このフランジ15aに取付フランジ22cが密着する。
図6に示すように、タンク給排口15のフランジ15aには、内袋吸引防止部材30のフランジ30aや、フートバルブ16が取り付けられ、これにより、内袋給排口22はタンク給排口15に確実に取り付けられる。また、給排口本体22aは、タンク給排口15の内周面に沿うように形成されている。
図7(F)に示すように筒状フイルムの一端部の溶着工程では、筒状フイルム23の一端部23aのフイルム4層が、熱溶着器33によって同時に熱溶着され一端部23aが閉じられる。熱溶着器33は、受け台33aと溶着ヘッド33bとから構成されており、溶着ヘッド33bが下降して受け台33aとにより筒状フイルム端部23aを挟持した状態で熱が付与される。
図8(A)に示すように、熱溶着ライン35a,35bは、本実施形態では幅5mmの直線状であり、これらの熱溶着ライン35a,35bは隙間5〜10mmを設けて2条形成しているが、熱溶着ラインは1条や3条以上であってもよく、また、直線状に代えて波形などの溶着ラインとしてもよい。複条の熱溶着ラインの形成に際して、各溶着ラインは一括して形成してもよく、または片側ずつ順に形成してもよい。(A)は内側及び外側の筒状フイルム23の端部を4層状態で溶着したものであり、この場合には、熱溶着ライン35a,35bを一括して形成しても片側ずつ順に形成してもよい。(B)は内側の筒状フイルム23の一端部のみを先ず溶着して熱溶着ライン36aを形成し、次に内側と外側の筒状フイルム23の一端部を、先の溶着ライン36aの外側で4層状態で一括して溶着して熱溶着ライン36bを形成している。また、(C)は、内側の筒状フイルム23を外側のものに比べて少し短くしておき、それぞれの筒状フイルム23の端部を二層状態で個別に熱溶着し、熱溶着ライン37a,37bを形成している。なお、熱溶着ラインは、全幅分を一括して溶着してもよく、また溶着ヘッド33bの長さが制限される場合には、溶着ヘッド33bの長さ分ずつ逐次溶着してもよい。熱溶着器33はヒートシール方式を採用しているが、超音波溶着法やその他の溶着方法で行ってもよい。
図7(G)に示すようにエア抜き工程では、筒状フイルム23の熱溶着した一端部23aから他端部23bに向けて押圧ローラ38を作業台25の上で転がすことにより、二重化された内袋本体21のエア39が抜かれる。なお、エア抜きは、押圧ローラ38の転接に代えて、内袋本体21を一端側から他端側に折り畳んでゆくことによりエア抜きしてもよい。なお、他端部23b近くには内袋給排口22が突出して取り付けられているので、この部分を回避するように小さなローラが用いられて、内袋給排口22と他端部23bとの間のエアが抜かれる。
(H)に示すように筒状フイルム23の他端部の溶着工程では、エア抜きされた筒状フイルム23の他端部23bが一端部23aと同様に熱溶着器33で熱溶着され、図9(A)に示すように、内袋20が完成する。そして、内袋20には、長手方向に伸びる中心線に沿ってライン状の位置決めマーク45が油性インクなどで記録される。内袋20の完成後は、内袋本体21が折り畳まれて、梱包袋40に収納される。位置決めマーク45は本実施形態ではライン状であるが、これは位置決めすることができるものであればよく、形状やそのサイズなどは特に限定されない。
図9(A)に示すように、内袋本体21の折り畳みは、内袋給排口22を下に向けた状態で両側縁部21a,21bが長手方向に伸びる中心線(位置決めマーク45)に平行に、且つこの中心線に両側縁部21a,21bが近接するように、谷折り線21eに沿って谷折りされる。同様にして(B)に示すように、この谷折りした部分を再度長手方向に伸びる中心線に平行に且つこの中心線に谷折り線21eが近接するように谷折り線21fに沿って谷折りされ、二重に折り畳まれる。そして、(C)に示すように、谷折り線21e,21fで谷折りされた状態で内袋本体21の両端部21c,21dから前記内袋給排口22に向かって谷折り線21gに沿ってさらに複数回、谷折りされることにより、(D)に示すように、内袋本体21が小さく折り畳まれる。なお、谷折り線21gに沿って谷折りする代わりに、一端部から巻き取ってロール状に形成してもよい。そして、(E)に示すように、梱包袋40に収納される。このように谷折り線21e,21fに沿って二重に折り畳むことで、内袋本体21をコンパクトに収納することができる。なお、長手方向に伸びる中心線に平行に谷折りする回数は2回に限られず、1回または3回以上であってもよい。
このように内袋給排口22が外側になるように内袋本体21を折り畳むことにより、タンク給排口15に内袋給排口22を簡単にセットすることができる。しかも、谷折り線21gにより内袋本体21を谷折りすることにより、内袋給排口22をタンク給排口15にセットした状態で簡単に内袋本体21をタンク本体11の長手方向に容易に拡開することができる。しかも、内袋給排口22を下に向けた状態で各谷折り線21e,21fで谷折りにすることにより、内袋給排口22から液体を充填することで、充填された液体によって折り畳まれた内袋本体21が自然に拡開するようになる。
次に、内袋本体21のタンク本体11へのセット方法を説明する。作業者によってハッチ13から、梱包袋40に収納された状態で内袋20がタンク本体11内に持ち込まれて、梱包袋40から内袋20が取り出される。内袋20には、タンク本体11の長手方向に伸びる中心線CL1に対応するようにライン状の位置決めマーク45が記録されており、この位置決めマーク45をタンク本体11の長手方向に伸びる中心線CL1に合わせるようにして、タンク給排口15に内袋給排口22を挿入する。この挿入前には、タンク給排口15のフランジ15aからフートバルブ16が外されている。この挿入により、取付フランジ22cがタンク給排口15のフランジ15aに密着される。次に、谷折り線21gで折り畳まれた内袋本体21をタンク長手方向で展開する。次に、谷折り線21fで谷折りされた部分を展開して、タンク本体11内の取り付け作業を終了する。なお、谷折り線21eで谷折りされた両側縁部は折り畳まれた状態にしておく。この折り畳まれた状態の内袋本体21によりタンク本体11内のほぼ全幅が覆われており、谷折り線21eでの谷折りを展開しても自重で再度折れてしまうからである。この後、図6に示すように、タンク給排口15に、タンク本体11の外側から内袋吸引防止部材30、フートバルブ16などが取り付けられる。
貨物としての液体は、タンク給排口15から充填される。この充填速度は例えば50リットル/minで行われる。内袋本体21はタンク本体11内で長手方向に拡げられているので、液体が円滑に内袋本体21内に充填され、この充填によって内袋本体21が膨らむ。そして、側縁部が谷折りされた状態でも液体の充填に伴い次第に折り畳み部分が拡がって、タンク本体11内で内袋本体21の端部が液体が充填された部分の内袋本体21の重みで内袋本体21とタンク本体11との間に挟み込まれることもなく、内袋本体21が円滑に液体の充填で膨らみ、約20トンの液体が収納される。
なお、本実施形態では、タンク本体11内で縦方向に拡げられて内袋本体21がセットされるが、内袋本体21はその側縁部が幅方向に伸びる中心線に向けて谷折りされており、内袋本体内にエアが入り込まないようになっているので、嫌気性液体にも対応が可能である。また、内袋本体21及び内袋給排口22を耐薬品性が高いLLDPEから構成しているため、タンク本体11の材質が制限されることがなく、また、タンク内周面を、例えばポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂でライニングする必要もなくなる。
タンク給排口15から内袋給排口22内に配置される内袋吸引防止部材30は、液体を排出する際に、残存液体が少なくなって内袋本体21が内袋給排口22近くに位置したときに、この近くに位置する内袋本体21を吸引して給排口22を閉塞してしまうことがないように、内袋本体21との間に通路を確保するものである。この内袋吸引防止部材30は、タンク本体11内に突出して配置される半球状先端部30bと、これに連続し、周面に複数の連通孔30cを有する筒部30dと、筒部30dの基部に設けられる取付フランジ30aとから一体的に構成されている。この半球状先端部30bの内袋本体21内への突出により内袋本体21が給排口22に密着してしまうことがなくなり、連通孔30cを介して内袋本体21内の残存液体が確実に排出される。
内袋本体21には、内袋給排口22の他に、タンク本体11のハッチ13に対応する位置で、図示しないエア抜きキャップや、エア抜き弁などを溶着してもよく、この場合には、内袋本体のセット作業や送液作業によってエアが入ってしまった場合に、これを簡単に抜くことができる。
内袋本体21は、LLDPEから構成したが、この他に、LDPE(低密度ポリエチレン)、OP(ニ軸延伸ポリプロピレン)や、その他の合成樹脂から構成してよい。また、内袋本体21を二重化したが、これに代えて、一重や三重化、多重化してもよい。また、タンク本体を円筒状に構成したが、これに代えて、楕円筒状やその他の形状に構成したものに対しても本発明を実施することができる。また、本発明の内袋をタンクコンテナに用いたが、この他にタンクローリーなどのタンク用内袋として用いることもできる。
本発明の輸送タンク用内袋が用いられるタンクコンテナを示す正面図である。 タンク本体に適合する内袋サイズの説明図であり、(A)はタンク本体と内袋の平面を、(B)はタンク本体の長手方向縦断面を、(C)はタンク本体の幅方向縦断面をそれぞれ示している。 内袋の製造方法を示す概略の斜視図である。 内袋の製造方法を示すフローチャートである。 内袋の製造方法における給排口の溶着工程を示す斜視図である。 タンク給排口に内袋給排口を取り付けた状態を示す断面図である。 筒状フイルムの両端部の溶着工程と、エア抜き工程とを示す斜視図である。 内袋本体の溶着ラインを拡大して示す平面図であり、(A)は内側と外側の筒状フイルムを4層状態で一括して熱溶着した例を、(B)は内側筒状フイルムの端部のみを2層状態で熱溶着した後に、内側及び外側の筒状フイルムを4層状態で一括して熱溶着した例を、(C)は内側筒状フイルムと外側筒状フイルムとのそれぞれの端部を2層状態で熱溶着した例をそれぞれ示している。 内袋の折り畳み方法を示す説明図である。
符号の説明
10 タンクコンテナ
11 タンク本体
15 タンク給排口
16 フートバルブ
20 内袋
21 内袋本体
22 内袋給排口
23 筒状フイルム
30 内袋吸引防止部材

Claims (5)

  1. 軸方向が水平となるように横置きされたほぼ円筒体状の輸送用タンクの内部に着脱自在に装着して用いられ、合成樹脂製の内袋本体と前記輸送用タンクの一端下部に配置されたタンク給排口に嵌合される内袋給排口とを有する輸送タンク用内袋において、
    前記内袋本体を封筒型に形成し、この内袋本体の長さをIL、幅をIW、前記輸送用タンクの長手方向縦断面における内周長をTLt、前記輸送用タンクの幅方向縦断面における内周長をTLrとしたときに、
    0.47・TLt≦IL≦0.6・TLt、
    0.47・TLr≦IW≦0.6・TLrとしたことを特徴とする輸送タンク用内袋。
  2. 前記IL,IWを、
    0.49・TLt≦IL≦0.55・TLt、
    0.49・TLr≦IW≦0.58・TLrとしたことを特徴とする請求項1記載の輸送タンク用内袋。
  3. 前記内袋本体は、前記内袋給排口が外側になるように畳まれていることを特徴とする請求項1または2項記載の輸送タンク用内袋。
  4. 前記内袋本体の一端部からL1(ただし、0.44・IW≦L1≦0.50・IW)離れた位置で長手方向に伸びる中心線上またはその近傍に前記内袋給排口を有することを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の輸送タンク用内袋。
  5. 前記内袋本体は、前記内袋給排口を下に向けた状態で両側縁部が、長手方向に伸びる中心線に平行に適数回谷折りされており、この谷折りされた状態で内袋の両端部から前記内袋給排口に向かって、幅方向に伸びる中心線に平行に谷折りまたは巻取りされることにより、畳まれていることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の輸送タンク用内袋。
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