JP4297809B2 - 輸送タンク用内袋の装填方法 - Google Patents

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Description

本発明は輸送タンク用内袋及びその装填方法に関するものである。
船舶、鉄道、自動車などの貨物輸送において、貨物が液体の場合には、一般的にタンクコンテナが用いられる。このようなタンクコンテナとしては、国際規格であるISO規格の例えば20フィートタンクコンテナ(以下、単にタンクコンテナと称する。)が一般的に用いられる。このタンクコンテナは、長さが20フィート、幅が8フィート、高さが8フィートであり、約20トンの液体の充填が可能である。
このようなタンクを用いたコンテナ輸送では、輸送後にタンク内を洗浄する必要があること、耐薬品性を有する高品質なステンレス鋼板を用いてタンクを製造する必要があることなどから、例えば特許文献1に示すように、タンクを一般的な鋼板で製造し、このタンク内に耐薬品性を有する軟質合成樹脂性の内袋を装填することが提案されている。また、特許文献2〜5には、同じようにタンクに内袋を装填して、洗浄などの手間を省くようにしたものが提案されている。
特開昭61−104983号公報 特開2001−354292号公報 実開昭61−48190号公報 特開昭50−4615号公報 実開昭57−46492号公報
しかしながら、上記従来の内袋を有するタンクやタンクコンテナ等については、特許文献1〜5のように種々の提案がなされているものの、20フィートタンクコンテナなどの大型のタンクに対して、適切な内袋を製造することが困難であり、実用化されていないのが現状である。すなわち、長さが20フィート、幅が8フィート、高さが8フィートの円筒状タンクに適合する内袋を簡単に安価に製造することが困難であった。
例えば、タンクコンテナの形状に適合した内袋としては、タンクコンテナとほぼ同形状の円筒体状が理想的である。しかし、この場合には筒状フイルムの両端部に円形状蓋フイルムを溶着する必要があり、円形状蓋フイルムの形成、これの溶着といった手間を要し、製造が困難である。しかも、円形状蓋フイルムの溶着では、二次元方向での溶着が不可能であり、三次元方向での溶着となるため、これらフイルムを溶着するためのガイド装置などに専用のものが必要になるという問題もある。
これに対して、封筒型の内袋とすることで、筒状フイルムの両端部を溶着するだけでよく、製造が容易になる。この内袋では、タンクの給排口に内袋の給排口を装填することにより、液体がタンク内面に直に接触することがなくなる。したがって、内袋を取り替えることにより、従来必要であったタンク内の洗浄処理が不要になる。しかし、タンクコンテナは円筒体状であり、この中に封筒型内袋を装填すると、両者の形状の違いから以下のような問題が発生する。まず、円筒体状のタンクコンテナの容量と同等かそれ以上の容量を有する封筒型内袋は、タンクコンテナの長さよりも長く形成する必要があり、このため、図14(A)に示すように、内袋2をタンク本体3内で装填すると、内袋2の両端部2aがタンク本体3内で余って、その両端部2aが折れ曲がった状態になる。この状態で、タンク給排口5から液体6の充填を開始すると、給排口5はタンク3の一端下部に形成されているため、タンク給排口5の近くに内袋端部2aの折り曲げ線2cが位置してしまう。これにより、(B)に示すように、タンク給排口5から供給された液体6が内袋端部2a内に充填初期段階で充填されてしまい、この液体6が充填された端部2aの重みによりタンク給排口5が塞がれてしまい、送液が不可能になるという問題がある。なお、符号7は内袋吸引防止部材を示しており、この内袋吸引防止部材7は、液体6の排出の最後の段階で、液体6の排出によって内袋2がタンク給排口5内へ吸引されて、給排口5が閉塞されることを防止する。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、製造が容易な封筒型内袋を用いても、送液が円滑に行えるようにした輸送タンク用内袋及びその装填方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、ほぼ円筒体状の輸送用タンクの一端下部に配置されたタンク給排口に嵌合される内袋給排口を有する封筒型の合成樹脂製内袋を、前記輸送用タンク内に装填する方法において、前記内袋給排口を下に向けた状態で前記内袋本体の両側縁部が長手方向に伸びる中心線に平行に適数回谷折りされ、この谷折りされた状態の内袋本体が、その両端部から前記内袋給排口に向かって複数回谷折りされ、または一端部から巻き取られる折り畳み工程と、前記内袋本体に位置決めマークを形成しておき、この位置決めマークを基準にして内袋本体の向きを輸送用タンクに合わせる工程と、向きを合わせた状態で前記内袋給排口を前記タンク給排口に嵌合して内袋給排口をタンク給排口に取り付ける工程と、折り畳まれた内袋本体を輸送用タンクの長手方向で展開した後に、前記内袋給排口に近い内袋本体の端部をタンク給排口側に折り曲げ、この折り曲げに際して、その折曲線位置をタンク給排口から少なくとも30mm以上離す展開・折曲工程とを有することを特徴とする。
なお、前記内袋本体または輸送タンクに設けられる折曲線位置表示マークを基準にして、前記展開・折曲工程において前記端部を折り曲げることが好ましい。また、前記内袋本体または輸送タンクに設けられる固定手段により、内袋本体が輸送タンクの内周面に仮付けされることが好ましい。また、前記内袋本体の長さをIL、幅をIW、前記輸送用タンクの長手方向縦断面における内周長をTLt、前記輸送用タンクの幅方向縦断面における内周長をTLrとしたときに、
0.47・TLt≦IL≦0.6・TLt、
0.47・TLr≦IW≦0.6・TLrとし、
前記内袋本体の一端部からL1(ただし、0.44・IW≦L1≦0.50・IW)離れた位置で長手方向に伸びる中心線上またはその近傍に前記内袋給排口を有することが好ましい。
また、本発明は、ほぼ円筒体状の輸送用タンクの内部に着脱自在に装着され、合成樹脂製の内袋本体と前記輸送用タンクの一端下部に配置されたタンク給排口に嵌合される内袋給排口とを有する輸送タンク用内袋において、前記内袋本体を封筒型に形成し、この内袋本体の長さをIL、幅をIW、前記輸送用タンクの長手方向縦断面における内周長をTLt、前記輸送用タンクの幅方向縦断面における内周長をTLrとしたときに、
0.47・TLt≦IL≦0.6・TLt、
0.47・TLr≦IW≦0.6・TLrとし、
前記内袋本体の一端部からL1(ただし、0.44・IW≦L1≦0.50・IW)離れた位置で長手方向に伸びる中心線上またはその近傍に前記内袋給排口を有し、前記内袋本体は、前記内袋給排口を下に向けた状態で両側縁部が、長手方向に伸びる中心線に平行に適数回谷折りされており、この谷折りされた状態で内袋の両端部から前記内袋給排口に向かって、幅方向に伸びる中心線に平行に谷折りまたは巻取りされることにより、畳まれており、前記内袋本体の輸送タンク内への装填時に、前記内袋給排口に近い内袋本体の端部をタンク給排口側に折り曲げる際に、その折曲線位置をタンク給排口から少なくとも30mm以上離すための折曲線位置表示マークを有することを特徴とする。
本発明では、内袋本体をタンク内に入れて、内袋給排口に近い内袋本体の端部をタンク給排口側に折り曲げる際に、その折曲線位置をタンク給排口から少なくとも30mm以上離すようにしたから、タンク供給口から送液を開始しても、供給口側の内袋本体端部に液体が充填されることがなく、まず、タンク供給口から遠い内袋本体端部に液体が充填されることになる。したがって、供給口側の内袋本体端部に液体が充填されてこの内袋本体端部の重みで供給口が閉塞してしまうことがなく、送液を円滑に行うことができる。
また、前記内袋本体または輸送タンク内に前記折曲線位置を示すマークを設けることによって、折曲線位置を確認することができ、内袋本体のタンク内への装填を確実に行うことができる。前記内袋本体を輸送タンク内に装填する際に、内袋本体を輸送タンクの内周面に固定する固定手段を有することにより、内袋本体の展開が円滑に行われる位置に内袋本体部分を固定することができる。これにより、内袋本体への充填液の重みで内袋本体の端部などがタンク内面と液体が充填された内袋本体部分との間で挟まれてしまうことがなくなり、円滑な送液が可能になる。
内袋本体に位置決めマークを形成しておき、この位置決めマークを基準にして内袋本体の向きを輸送用タンクの取付向きに合わせるようにしたから、タンク内で内袋本体が斜めに装填されることがなくなる。斜めに装填されると、内袋本体がタンク内で片側にずれ、輸送中に余分な荷重がかかって破れ易くなったり、充填不足になったりすることがあるが、これらの発生が抑えられる。
図1は20フィートのISOタンクコンテナ10を示しており、タンク本体11とこれを保持するフレーム12とから構成されている。タンク本体11の上部には、メンテナンスや液体注入などを行うためのハッチ13が形成されており、このハッチ13は蓋14によって覆われて、輸送時には蓋14が開くことがないように、ロック部材によってロックされている。また、タンク本体11の一端下部にはタンク給排口15が形成されており、このタンク給排口15のフランジ15aを介して、フートバルブ16が固定されている。
タンク本体11内には、輸送タンク用内袋(以下、単に内袋という)20が装填される。この内袋20は、ハッチ13から作業者によってタンク本体11内に持ち込まれ、作業者によってタンク本体11に装填される。そして、フートバルブ16を介してタンク給排口15から貨物としての液体が充填されることにより、タンク本体11内で内袋20が膨らみ、この内袋20がタンク本体11のライニングとして機能する。
図2(A)に示すように、内袋20は、封筒状に形成された内袋本体21と、前記タンク給排口15に嵌合する内袋給排口22とから構成されている。このように封筒状に内袋20を形成しているため、図3(A)に示すように、筒状フイルム23をロール状に巻き取ったフイルムロール24から、筒状フイルム23を引き出して、所定の長さに切断し、この切断した二つの筒状フイルム23a,23bの両端部23c〜23fを熱溶着などによって接合することにより、簡単に内袋本体21を形成することができる。
図2は、タンク本体11と内袋20との寸法の関係を示すもので、(A)はタンク本体11と内袋20との平面を、(B)はタンク本体11の長手方向縦断面と内袋20とを、(C)はタンク本体11の幅方向縦断面と内袋20とをそれぞれ示している。ここで、長手方向縦断面とは、(A)の平面図においてタンク本体11の長手方向に伸びる中心線CL1を含む縦断面(B−B矢視断面)をいい、幅方向縦断面とはタンク本体11の幅方向に伸びる中心線CL2を含む縦断面(C−C矢視断面)をいう。なお、CL3はタンク本体11の高さ方向に伸びる中心線を示している。
タンク本体11は横置きされて両端が閉じられた円筒体状に構成されており、内袋20は封筒状に構成されている。したがって、内袋20のサイズがタンク本体11に合わせた適正なサイズ範囲よりも小さい場合には、所定の充填容量を確保することができないばかりか、タンク本体11の内周面と内袋20の間に隙間が発生し、この隙間内を内袋20と充填した液体とが移動することになって、内袋給排口22の溶着部分や、内袋20の両端部の溶着ラインで破損してしまうことがある。また、逆に内袋20のサイズがタンク本体に合わせた適正なサイズ範囲を超えて大きい場合には、原材料の無駄につながるだけでなく、内袋20の端部などの余剰部分が充填された液体の下方に位置してしまうと、この充填液体の重みによって内袋20の端部が、液体が充填された内袋本体21とタンク本体11の内周面との間に挟まれてしまい、それ以上の液体の充填が不可能になってしまう。また、このまま液体の充填が続行される場合には、内袋20の内圧が高まって、破損してしまうことがある。
本実施形態では、タンク本体11のサイズを基準にして封筒型の内袋20のサイズをある一定範囲に規定することにより、上記のような液体の充填不良や、内袋20の破損などを防止している。内袋20の長さをIL、その幅をIW、タンク本体11の長手縦断面における内周長(第1内周長)をTLt、タンク本体11の幅方向縦断面における内周長(第2内周長)をTLrとしたときに、
0.47・TLt≦IL≦0.6・TLt、
0.47・TLr≦IW≦0.6・TLrとしている。
なお、前記IL,IWは、好ましくは、
0.49・TLt≦IL≦0.55・TLt、
0.49・TLr≦IW≦0.58・TLrである。
このようにタンク本体11の内周長を基準にして封筒型内袋20のサイズを規定しているため、タンク本体11の形状が円筒状に限られず、他の楕円形状やその他の形状であっても容易に適用が可能である。
内袋給排口22は、内袋20の一端部からL1=1750mm離れた位置で長手方向に伸びる中心線上またはその近傍に設けられる。このように、内袋20の幅IWを基準にしてL1を0.44・IW≦L1≦0.50・IWの範囲内に規定することにより、タンク本体11の一端下部に形成されたタンク給排口15を基準にして内袋20を取り付けても、タンク本体11と内袋20との長手方向での中心位置をほぼ一致させることができる。これにより、内袋20の両端部の余剰部分をほぼ均等にタンク本体11内で振り分けることができる。したがって、内袋20の端部の余剰部分がタンク本体11の片側で余って、タンク本体11と内袋20との間に挟まれてしまうことがなくなり、これに起因する液体の充填不良や内袋破損などがなくなる。
次に、本発明の内袋20の製造方法について説明する。図4に示すフローチャートのように、筒状フイルムの切断、筒状フイルムの二重化、内袋給排口取付穴の形成、内袋給排口の取り付け、筒状フイルムの一端部の溶着、エア抜き、筒状フイルムの他端部の溶着、位置決めマーク及び折曲線位置表示マークの記録、内袋本体の折り畳み、梱包の各工程が順次に行われて、筒状フイルムから内袋が構成される。なお、内袋給排口取付穴の形成工程、及び内袋給排口の取付工程の後に、筒状フイルムの一端部の溶着工程を行っているが、これに代えて、筒状フイルムの一端部の溶着工程の後に、内袋給排口取付穴の形成工程、及び内袋給排口の取付工程を行ってもよい。
図3(A)に示すように、筒状フイルムの切断工程では、フイルムロール24から筒状フイルム23を引き出して、作業台25上に載せて長さILで例えばカッタ26により切断する。筒状フイルム23は、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)から構成されており、ロール形態に巻き取り収納されている。本実施形態では、内袋本体21を二重化しているので、(B)に示すように、筒状フイルム23を長さILで2回切断し、二つの筒状フイルム23a,23bを形成する。本実施形態では20フィートタンクコンテナ用内袋であるので、上記の適正範囲に基づき輸送用タンクの第1内周長TLt≒15500mm、第2内周長TLr≒7100mmから、IL=8300mm、IW=3900mmとしている。なお、筒状フイルム23のフイルム単層の厚みは120μmであり、本実施形態では筒状フイルム23として2層となっているので、筒状フイルム23の全体厚みは240μmである。なお、フイルム厚みは80〜500μmの範囲が好ましく、特に好ましくは100〜300μmの範囲である。
図3(C)に示すように、筒状フイルム23a,23bの二重化工程では、一方の筒状フイルム23a内に他方の筒状フイルム23bを入れて二重化する。次に、(D)に示すように、内袋給排口取付穴の穴あけ工程では、一方の端部23dからL1=1750mm離れた位置で幅方向中央に給排口に対応する穴27を開ける。この穴開け加工は、パンチやカッタなどを用いて行われ、上側の2層フイルムのみに対して行われる。
図5(E)に示すように内袋給排口22の取り付け工程では、開けられた穴27の周縁に対して内袋給排口22が熱溶着される。この熱溶着も上側の2層フイルムのみに対して行われる。内袋給排口22は、截頭円錐筒状の給排口本体22aと、これの両端部に取り付けられるフランジ22b,22cとから構成されており、例えばLLDPEで一体成形されている。下側のフランジは溶着用とされており、この溶着フランジ22bと内袋本体21とは図示しない熱溶着器によって熱溶着され、溶着ライン28,29が形成される。また、上側の取付フランジ22cはタンク給排口15(図6参照)にタンク内側から内袋給排口22を挿入したときに、タンク給排口15のフランジ15aの外側に出て、このフランジ15aに取付フランジ22cが密着する。
図6に示すように、タンク給排口15のフランジ15aには、内袋吸引防止部材30のフランジ30aや、フートバルブ16が取り付けられ、これにより、内袋給排口22はタンク給排口15に確実に取り付けられる。また、給排口本体22aは、タンク給排口15の内周面に沿うように形成されている。
図7(F)に示すように筒状フイルムの一端部の溶着工程では、二重化された筒状フイルム23a,23bの一端部23c,23eのフイルム4層が、熱溶着器33によって同時に熱溶着され一端部23c,23eが閉じられる。熱溶着器33は、受け台33aと溶着ヘッド33bとから構成されており、溶着ヘッド33bが下降して受け台33aとにより筒状フイルム端部23cを挟持した状態で熱が付与される。
図8(A)に示すように、熱溶着ライン35a,35bは、本実施形態では幅5mmの直線状であり、これらの熱溶着ライン35a,35bは隙間5〜10mmを設けて2条形成しているが、熱溶着ラインは1条や3条以上であってもよく、また、直線状に代えて波形などの溶着ラインとしてもよい。複条の熱溶着ラインの形成に際して、各溶着ラインは一括して形成してもよく、または片側ずつ順に形成してもよい。(A)は外側筒状フイルム23aと内側筒状フイルム23bとの端部23c,23eを4層状態で溶着したものであり、この場合には、熱溶着ライン35a,35bを一括して形成しても片側ずつ順に形成してもよい。(B)は内側の筒状フイルム23bの一端部23eのみを先ず溶着して熱溶着ライン36aを形成し、次に外側筒状フイルム23aの一端部23cと内側筒状フイルム23bの一端部23eを、先の溶着ライン36aの外側で4層状態で一括して溶着して熱溶着ライン36bを形成している。また、(C)は、内側の筒状フイルム23bを外側筒状フイルム23aに比べて少し短くしておき、それぞれの筒状フイルム23a,23bの端部23c,23eを二層状態で個別に熱溶着し、熱溶着ライン37a,37bを形成している。なお、熱溶着ラインは、全幅分を一括して溶着してもよく、また溶着ヘッド33bの長さが制限される場合には、溶着ヘッド33bの長さ分ずつ逐次溶着してもよい。熱溶着器33はヒートシール方式を採用しているが、超音波溶着法やその他の溶着方法、あるいは接着剤で行ってもよく、さらには、溶着と接着とを併せて用いてもよい。また、各溶着ラインの両端部を補強するために図示しない補強フイルムを筒状フイルム23a,23bの両側縁部に当てて熱溶着を行ってもよい。
図7(G)に示すようにエア抜き工程では、筒状フイルム23a,23bの熱溶着した一端部23cから他端部23dに向けて押圧ローラ38を作業台25の上で転がすことにより、二重化された内袋本体21のエア39が抜かれる。なお、エア抜きは、押圧ローラ38の転接に代えて、内袋本体21を一端側から他端側に折り畳んでゆくことによりエア抜きしてもよい。なお、他端部23d近くには内袋給排口22が突出して取り付けられているので、この部分を回避するように小さなローラが用いられて、内袋給排口22と他端部23dとの間のエアが抜かれる。
(H)に示すように筒状フイルム23a,23bの他端部23d,23fの溶着工程では、エア抜きされた筒状フイルム23a,23bの他端部23d,23fが一端部23c,23eと同様に熱溶着器33で熱溶着され、図9(A)に示すように、内袋20が完成する。そして、内袋20には、長手方向に伸びる中心線に沿ってライン状の位置決めマーク45が例えば黒色の油性インクなどで記録される。また、内袋供給口22に近い内袋本体端部(以下、単に第1端部21mといい、他方の端部を第2端部21nという)の折り曲げ限界位置を示す折曲線位置表示マーク46が例えば赤色の油性インクなどで内袋本体21の幅方向に伸びて記録されている。
折曲線位置表示マーク46は本実施形態では、内袋供給口22の内周縁からL2(本実施形態ではL2=100mm)離れた位置で、IW/2の長さで形成しているが、幅方向全体に渡る長さで形成してもよい。内袋供給口22の内周縁から折曲線位置表示マーク46までの距離L2は、30mm以上あればよく、好ましくは60mm以上、より好ましくは100mm以上である。この折曲線位置表示マーク46を基準にして、これよりも上側で内袋本体端部21mを内袋供給口22側へ折り曲げることで、後に説明するように円滑な送液が行える。なお、各マーク45,46の色を変えることによって、これらマークを確実に識別することができる。内袋20の完成後は、内袋本体21が折り畳まれて、梱包袋40に収納される。この折り畳みの際に各マーク45,46を基準にすることにより、折り曲げ位置が正確になる。また、位置決めマーク45や折曲線位置表示マーク46は本実施形態ではライン状であるが、これは位置決めすることができるものであればよく、形状やそのサイズなどは特に限定されない。また、これらマーク45,46は油性インクなどによる書き込み、印刷などに代えて、シールを貼付して形成してもよい。
図9(A)に示すように、内袋本体21の折り畳みは、内袋給排口22を下に向けた状態で両側縁部21a,21bが長手方向に伸びる中心線(位置決めマーク45)に平行に、且つこの中心線に両側縁部21a,21bが近接するように、谷折り線21eに沿って谷折りされる。同様にしてこの谷折りした部分を再度長手方向に伸びる中心線に平行に且つこの中心線に谷折り線21eが近接するように谷折り線21fに沿って谷折りされ、二重に折り畳まれる。そして、(B)に示すように、谷折り線21e,21fで谷折りされた状態で内袋本体21の両端部21c,21dから前記内袋給排口22に向かって谷折り線21gに沿ってさらに複数回、谷折りされることにより、(C)に示すように、内袋本体21が小さく折り畳まれる。なお、谷折り線21gに沿って谷折りする代わりに、一端部から巻き取ってロール状に形成してもよい。そして、(D)に示すように、梱包袋40に収納される。このように谷折り線21e,21fに沿って二重に折り畳むことで、内袋本体21をコンパクトに収納することができる。なお、長手方向に伸びる中心線に平行に谷折りする回数は2回に限られず、1回または3回以上であってもよい。
内袋給排口22が外側になるように内袋本体21を折り畳むことにより、タンク給排口15に内袋給排口22を簡単に装填することができる。しかも、谷折り線21gにより内袋本体21を谷折りすることにより、内袋給排口22をタンク給排口15に装填した状態で簡単に内袋本体21をタンク本体11の長手方向に容易に拡開することができる。しかも、内袋給排口22を下に向けた状態で各谷折り線21e,21fで谷折りにすることにより、内袋給排口22から液体を充填することで、充填された液体によって折り畳まれた内袋本体21が自然に拡開するようになる。
次に、内袋本体21のタンク本体11への装填方法を説明する。図10は、装填方法の処理手順を示している。作業者によってハッチ13から、梱包袋40に収納された状態で内袋20がタンク本体11内に持ち込まれて、梱包袋40から内袋20が取り出される。内袋20には、タンク本体11の長手方向に伸びる中心線CL1に対応するようにライン状の位置決めマーク45が記録されており、この位置決めマーク45をタンク本体11の長手方向に伸びる中心線CL1に合わせるようにして、タンク給排口15に内袋給排口22を挿入する。この挿入前には、タンク給排口15のフランジ15aからフートバルブ16が外されている。この挿入により、取付フランジ22cがタンク給排口15のフランジ15aに密着される。
タンク本体11の長手方向中心線CL1に位置決めマーク45を合わせることにより、タンク本体11内で内袋本体21が中心線CL1に対して傾いたりして取り付けられることがなくなり、この傾斜取り付けに起因する充填不良や、余分な荷重による破損の発生などが抑えられる。なお、タンク本体11には中心線CL1に沿って位置合わせマークを形成しておくことが好ましいが、この位置合わせマークは省略してもよい。位置合わせマークは、インクなどによる書き込みの他に、刻印や溝、突条の付与、シールの貼付などによって形成される。
次に、谷折り線21gで折り畳まれた内袋本体21をタンク長手方向で展開する。次に、谷折り線21fで谷折りされた部分を展開する。
次に、図11及び図12(A)に示すように、折曲線位置表示マーク46を基準にして、この折曲線位置表示マーク46よりも上側に実際の折曲線47が位置するようにして、第1端部21mを折り曲げて、タンク本体11内の内袋本体21の取り付け作業を終了する。なお、図11(B)に示すように、谷折り線21eで谷折りされた両側縁部22p,22qは折り畳まれた状態にしておく。この折り畳まれた状態の内袋本体21によりタンク本体11の底部のほぼ全幅が覆われており、谷折り線21eでの谷折りを展開しても自重で再度折れてしまうからである。この後、図6に示すように、タンク給排口15に、タンク本体11の外側から内袋吸引防止部材30、フートバルブ16などが取り付けられる。
図12(B)に示すように、貨物としての液体6は、タンク給排口15から充填される。この充填速度は例えば50リットル/minである。内袋本体21はタンク本体11内で長手方向に拡げられているので、液体6が円滑に内袋本体21内に充填され、この充填によって内袋本体21が膨らむ。そして、側縁部21p,21qが谷折りされた状態でも液体6の充填に伴い次第に折り畳み部分が拡がって、タンク本体11内で内袋本体21の端部が液体充填部分の内袋本体21の重みで内袋本体21とタンク本体11との間に挟み込まれることもなく、内袋本体21が円滑に液体6の充填で膨らみ、約20トンの液体が収納される。また、(A)に示すように、折曲線位置表示マーク46を基準にしてそれよりも上側で、第1端部21mがタンク給排口側に折曲線47によって折られるため、図14に示すように、第1端部21m側に最初に液体6が進入してしまうことがなく、図12(B)に示すように、第2端部21nに向けて液体6が充填されるため、第1端部21mに先に液体6が充填されることによる充填不良を解消することができる。なお、折曲線47の位置を所定位置にする代わりに又は加えて、充填初期段階の充填速度を例えば5〜10リットル/min程度に抑えて、第2端部23n側に液体6が優先的に充填されるようにしてもよい。また、折曲線位置表示マーク46は内袋本体21に設けたが、タンク本体11内面に形成してもよい。
本実施形態では、タンク本体11内で縦方向に拡げられて内袋本体21が装填されるが、内袋本体21はその側縁部21p,21qが幅方向に伸びる中心線に向けて谷折りされており、内袋本体21内にエアが入り込まないようになっているので、嫌気性液体にも対応が可能である。また、内袋本体21及び内袋給排口22を耐薬品性が高いLLDPEから構成しているため、タンク本体11の材質が制限されることがなく、また、タンク内周面を、例えばポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂でライニングする必要もなくなる。
タンク給排口15から内袋給排口22内に配置される内袋吸引防止部材30は、液体を排出する際に、残存液体が少なくなって内袋本体21が内袋給排口22近くに位置したときに、この近くに位置する内袋本体21を吸引して給排口22を閉塞してしまうことがないように、内袋本体21との間に通路を確保するものである。この内袋吸引防止部材30は、タンク本体11内に突出して配置される半球状先端部30bと、これに連続し、周面に複数の連通孔30cを有する筒部30dと、筒部30dの基部に設けられる取付フランジ30aとから一体的に構成されている。この半球状先端部30bの内袋本体21内への突出により内袋本体21が給排口22に密着してしまうことがなくなり、連通孔30cを介して内袋本体21内の残存液体が確実に排出される。
内袋本体21には、内袋給排口22の他に、タンク側のハッチに対応する位置で、図示しないエア抜きキャップや、エア抜き弁などを溶着してもよく、この場合には、内袋本体の装填作業や送液作業によってエアが入ってしまった場合に、これを簡単に抜くことができる。
内袋本体21は、LLDPEから構成したが、この他に、LDPE(低密度ポリエチレン)、OP(ニ軸延伸ポリプロピレン)や、その他の合成樹脂から構成してよい。また、内袋本体21を二重化したが、これに代えて、三重以上の多重化としてもよい。また、タンク本体を円筒状に構成したが、これに代えて、楕円筒状やその他の形状に構成したものに対しても本発明を実施することができる。また、本発明の内袋をタンクコンテナに用いたが、この他にタンクローリーなどのタンク用内袋として用いることもできる。
図13は、両面粘着テープ70による固定手段を用いて内袋本体21をタンク本体11に装填した状態を示している。両面粘着テープ70は、内袋本体21の折り畳み工程において、所定位置に貼り付けられる。この貼り付けに際しては、一方の剥離シートを剥離してその粘着面により両面粘着テープ70が貼り付けられる。そして、図13に示す内袋本体21の展開時に、他方の剥離シートを剥離して、その粘着面をタンク本体11の内面に貼り付けることで、内袋本体21が展開容易なようにタンク本体11の内面に固定される。なお、粘着テープ70の粘着力は、内袋本体21がタンク本体11の内面に仮付けされる程度のものでよく、液体の充填時には、内袋本体21の膨らみに応じて粘着テープ70がタンク本体11の内面から剥離して、内袋本体21の膨らみを規制することがないようにしている。
また、図13においては、両面粘着シート70を用いて、内袋本体21をタンク本体11の内面に仮付けしたが、両面粘着シート70の代わりにマグネットシートを内袋本体11に貼り付けておき、磁力によるタンク本体11の内面への吸着で内袋本体21をタンク本体11の内面に仮付けしてもよい。
内袋本体21の両端角部は、他の部位に比べて突出した形状となるため、タンク内面に接触して擦れが発生しやすい。この擦れ対策として、両端角部を内側に折り返して、合成樹脂製クリップや粘着テープ、接着テープなどを用いて折り返し状態を保持して、タンク内に装填してもよい。
また、内袋本体21に、シールや油性インクを用いて、装着手順を示す番号などを付してもよい。例えば、タンク内で内袋本体21を拡開するときに、拡開順序を示す番号を付して、各対応する部位に付しておくと、装填を確実に行うことができる。
上記実施形態では、内袋吸引防止部材30を用いた実施形態について説明したが、内袋吸引防止部材30を用いない場合にも、本発明を実施することができる。
本発明の輸送タンク用内袋が用いられるタンクコンテナを示す正面図である。 タンク本体に適合する内袋サイズの説明図であり、(A)はタンク本体と内袋の平面を、(B)はタンク本体の長手方向縦断面を、(C)はタンク本体の幅方向縦断面をそれぞれ示している。 内袋の製造方法を示す概略の斜視図である。 内袋の製造方法を示すフローチャートである。 内袋の製造方法における給排口の溶着工程を示す斜視図である。 タンク給排口に内袋給排口を取り付けた状態を示す断面図である。 筒状フイルムの両端部の溶着工程と、エア抜き工程とを示す斜視図である。 内袋本体の溶着ラインを拡大して示す平面図であり、(A)は内側と外側の筒状フイルムを4層状態で一括して熱溶着した例を、(B)は内側筒状フイルムの端部のみを2層状態で熱溶着した後に、内側及び外側の筒状フイルムを4層状態で一括して熱溶着した例を、(C)は内側筒状フイルムと外側筒状フイルムとのそれぞれの端部を2層状態で熱溶着した例をそれぞれ示している。 内袋の折り畳み方法を示す説明図である。 内袋のタンク本体への装填手順を示すフローチャートである。 タンク本体への内袋20の装填状態を示すもので、(A)は長手方向縦断面図であり、(B)は幅方向縦断面図である。 折曲線位置表示マークを参照して第1端部をタンク給排口の上に折り曲げた状態を示す概略の断面図であり、(A)は液体の充填前の状態を示し、(B)は液体の充填を開始した初期段階の状態を示している。 他の実施形態におけるタンク本体への内袋20の装填状態を示すもので、(A)は長手方向縦断面図であり、(B)は幅方向縦断面図である。 第1端部がタンク給排口の上部近くで折り曲げられたときの充填を開始した初期段階の状態を示す要部の拡大した断面図である。
符号の説明
6 液体
10 タンクコンテナ
11 タンク本体
15 タンク給排口
16 フートバルブ
20 内袋
21 内袋本体
22 内袋給排口
23,23a,23b 筒状フイルム
30 内袋吸引防止部材
45 位置決めマーク
46 折曲線位置表示マーク
47 折曲線

Claims (4)

  1. ほぼ円筒体状の輸送用タンクの一端下部に配置されたタンク給排口に嵌合される内袋給排口を有する封筒型の合成樹脂製内袋を、前記輸送用タンク内に装填する方法において、
    前記内袋給排口を下に向けた状態で前記内袋本体の両側縁部が長手方向に伸びる中心線に平行に適数回谷折りされ、この谷折りされた状態の内袋本体が、その両端部から前記内袋給排口に向かって複数回谷折りされ、または一端部から巻き取られる折り畳み工程と、
    前記内袋本体に位置決めマークを形成しておき、この位置決めマークを基準にして内袋本体の向きを輸送用タンクに合わせる工程と、
    向きを合わせた状態で前記内袋給排口を前記タンク給排口に嵌合して内袋給排口をタンク給排口に取り付ける工程と、
    折り畳まれた内袋本体を輸送用タンクの長手方向で展開した後に、前記内袋給排口に近い内袋本体の端部をタンク給排口側に折り曲げ、この折り曲げに際して、その折曲線位置をタンク給排口から少なくとも30mm以上離す展開・折曲工程とを有することを特徴とする輸送タンク用内袋の装填方法。
  2. 前記内袋本体または輸送タンクに設けられる折曲線位置表示マークを基準にして、前記展開・折曲工程において前記端部を折り曲げることを特徴とする請求項1記載の輸送タンク用内袋の装填方法。
  3. 前記内袋本体または輸送タンクに設けられる固定手段により、内袋本体が輸送タンクの内周面に仮付けされることを特徴とする請求項1または2記載の輸送タンク用内袋の装填方法。
  4. 前記内袋本体の長さをIL、幅をIW、前記輸送用タンクの長手方向縦断面における内周長をTLt、前記輸送用タンクの幅方向縦断面における内周長をTLrとしたときに、
    0.47・TLt≦IL≦0.6・TLt、
    0.47・TLr≦IW≦0.6・TLrとし、
    前記内袋本体の一端部からL1(ただし、0.44・IW≦L1≦0.5・IW)離れた位置で長手方向に伸びる中心線上またはその近傍に前記内袋給排口を有することを特徴とする請求項3記載の輸送タンク用内袋の装填方法。
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