JP4389711B2 - 多相交流モータ制御装置 - Google Patents

多相交流モータ制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4389711B2
JP4389711B2 JP2004216952A JP2004216952A JP4389711B2 JP 4389711 B2 JP4389711 B2 JP 4389711B2 JP 2004216952 A JP2004216952 A JP 2004216952A JP 2004216952 A JP2004216952 A JP 2004216952A JP 4389711 B2 JP4389711 B2 JP 4389711B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
winding
temperature
motor
current
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004216952A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006042466A (ja
Inventor
山下正治
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2004216952A priority Critical patent/JP4389711B2/ja
Publication of JP2006042466A publication Critical patent/JP2006042466A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4389711B2 publication Critical patent/JP4389711B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Power Steering Mechanism (AREA)
  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)

Description

本発明は、多相交流モータにより発生する回転トルクを変更するための電流を同多相交流モータの各相の巻線にそれぞれ通電するとともに、同多相交流モータの各相の巻線の温度を推定する多相交流モータ制御装置に関する。
多相交流モータ制御装置(以下、モータ制御装置とも称呼する。)は、多相交流モータの各相の巻線に通電する電流を制御することにより同多相交流モータにより発生する回転トルクを制御する装置である。以下、多相交流モータの一例として3相ブラシレスモータを挙げて、このモータ制御装置について説明する。
図1は、3相ブラシレスモータの回転軸に直交する平面にて同3相ブラシレスモータを切断した断面の概略構成を示している。3相ブラシレスモータ10は、ハウジング10a、固定子10b及び回転子10cを備えている。ハウジング10aは車体に固定されている。固定子10bは、ハウジング10aの内側にて同ハウジング10aに固定されていて、U相部10b1、V相部10b2及びW相部10b3を有している。U相部10b1、V相部10b2及びW相部10b3は、内側に向かってそれぞれ延在するU相ティース10b11、V相ティース10b21及びW相ティース10b31を有している。U相ティース10b11、V相ティース10b21及びW相ティース10b31にはU相の巻線10b12、V相の巻線10b22及びW相の巻線10b32がそれぞれ巻回されている。回転子10cは、固定子10bの内側にてハウジング10a及び固定子10bに対して相対回転可能となっている。回転子10cの外周面上には、N極とS極とが交互に配置された図示しない永久磁石が固着されている。
モータ制御装置は、このように構成されている3相ブラシレスモータ10のU相の巻線10b12、V相の巻線10b22及びW相の巻線10b32に、図2に示したようなU相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwをそれぞれ通電することにより、U相部10b1、V相部10b2及びW相部10b3のそれぞれに適当な磁界を発生させる。U相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwは、正弦波状に変化し、かつ、位相が互いにモータの回転角(電気角)で120°ずつ異なる電流である。これにより、回転子10cは、同回転子10c上の永久磁石と前記磁界との相互作用により回転力を受け、回転する(即ち、回転トルクが発生する。)。
ところで、3相ブラシレスモータ10により発生する回転トルクの大きさは、U相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwの大きさに比例する。従って、3相ブラシレスモータ10によって大きな回転トルクが長時間出力されなければならない状況が生じると、各相の巻線には大きな電流が長時間通電される。この結果、巻線が過熱し、巻線に施されている被覆が溶ける等の理由によって巻線が損傷する場合がある。
この問題に対処するために、従来のモータ制御装置は、U相電流Iuの2乗値Iu、V相電流Ivの2乗値Iv及びW相電流Iwの2乗値Iwに基づいて図1に示したU相の巻線の発熱量Qu、V相の巻線の発熱量Qv及びW相の巻線の発熱量Qwをそれぞれ求め、同求められた発熱量Qu、発熱量Qv及び発熱量Qwに基づいてU相の巻線の温度Tu、V相の巻線の温度Tv及びW相の巻線の温度Twをそれぞれ推定し、同推定された各相の巻線の温度のうちの最高値が所定温度以上とならないようにU相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwを所定値以下に制御している。これにより、巻線の過熱が抑止される(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−284375号公報(第0078欄)
ところが、各相のうちの任意の相の巻線の温度は、同任意の相の巻線と同任意の相と異なる他の相の巻線との間の移動熱量によっても変化する。例えば、モータ制御装置が、3相ブラシレスモータ10としての車両の電動パワーステアリング装置用モータに適用された場合、ステアリングホイールが図2のモータの回転角Sに応じる操舵角に保持されている間、モータ制御装置は、V相電流Iv及びW相電流Iwより大きさが大きいU相電流IuをU相の巻線10b12に通電し続ける。これにより、U相の巻線の温度TuがV相の巻線の温度Tv及びW相の巻線の温度Twよりも高くなる。この結果、図1に示したように、U相の巻線10b12からV相の巻線10b22へ移動する熱量の大きさ|Quv|及びU相の巻線10b12からW相の巻線10b32へ移動する熱量の大きさ|Qwu|が大きくなり、これらの移動熱量によるV相の巻線の温度Tvの変化分及びW相の巻線の温度Twの変化分が、V相の巻線の温度Tv及びW相の巻線の温度Twを推定する際に無視できないほどになる。
しかしながら、従来のモータ制御装置によれば、任意の相の巻線と同任意の相と異なる他の相の巻線との間の移動熱量を考慮することなく、各相の巻線の発熱量のみに基づいて各相の巻線の温度が推定されている。このため、各相の巻線の温度は正しく推定されていない。そして、このように正しく推定されていない各相の巻線の温度のうちの最高値が所定温度以上とならないようにU相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwを所定値以下に制限しても、実際には、いずれかの相の巻線の温度が所定温度以上となってしまう状況が生じ得る。この結果、従来のモータ制御装置では、巻線が損傷する事態を回避することができない場合がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、任意の相の巻線の発熱量のみでなく同任意の相の巻線と同任意の相と異なる他の相の巻線との間の移動熱量にも基づいて任意の相の巻線の温度を推定する動作を各相の巻線に対して行うことにより、各相の巻線の温度をより正確に推定することができる多相交流モータ制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る多相交流モータ制御装置は、
多相交流モータにより発生する回転トルクを変更するための電流を同多相交流モータの各相の巻線にそれぞれ通電するモータ通電制御部と、
前記モータ通電制御部により前記各相の巻線のうちの任意の相の巻線に通電される電流に基づいて同任意の相の巻線の発熱量を求めるとともに、現時点にて推定されている同任意の相の巻線の温度と同任意の相と異なる他の相の巻線の温度とに基づいて同任意の相の巻線と同他の相の巻線との間の移動熱量を求め、同任意の相の巻線の発熱量及び同任意の相の巻線と同他の相の巻線との間の移動熱量に基づいて同任意の相の巻線の温度を新たに推定する動作を各相の巻線に対して行う温度推定部とを備えている。
これによれば、任意の相の巻線の発熱量のみでなく同任意の相の巻線と同任意の相と異なる他の相の巻線との間の移動熱量にも基づいて同任意の相の巻線の温度を推定する動作が各相の巻線に対して行われる。これにより、任意の相の巻線と他の相の巻線との間の移動熱量に応じて変化する任意の相の巻線の温度の変化分を考慮して任意の相の巻線の温度が推定される。この結果、多相交流モータの各相の巻線の温度が正確に推定される。
また、このモータ制御装置のモータ通電制御部は、
前記多相交流モータに要求される回転トルクに応じた指令電流値を演算する指令電流演算部と、
前記温度推定部により新たに推定された各相の巻線の温度のうちの最高値が所定温度以上とならないように前記指令電流値の大きさを所定の値以下に制限して最終的な指令電流値を決定する指令電流制限部と、
前記決定された最終的な指令電流値の大きさが大きいほど前記各相の巻線に通電する電流の大きさが大きくなるように同各相の巻線に通電する電流を決定する電流変換部とを含むように構成されていることが好適である。
これによれば、各相の巻線の温度のうちの最高値が所定温度以上とならないように指令電流値の大きさが所定の値以下に制限され、その制限された指令電流値が最終的な指令電流値となる。また、各相の巻線に通電される電流の大きさは最終的な指令電流値の大きさが大きいほど大きくなるように決定される。従って、各相の巻線に通電される電流の大きさは、最終的な指令電流値の大きさが小さくなるほど小さくなる。一方、本発明に係る多相交流モータ制御装置によれば、各相の巻線の温度は正確に推定されている。以上により、指令電流値の大きさを所定の値以下に制限することによって各相の巻線の温度は所定温度以上とならないように確実に制御される。この結果、巻線が損傷する事態を回避することができる。
また、モータ制御装置は、多相交流モータとしての車両の電動パワーステアリング装置用モータに適用されることが好ましい。
この場合、ステアリングホイールが所定の操舵角に保持されている間、電動パワーステアリング装置用モータのいずれかの相の巻線に大きな電流が通電され続ける状況が生じても、正確に推定された各相の巻線の温度により各相の巻線に通電する電流を的確に制限することが可能となる。これにより、電動パワーステアリング装置用モータの巻線が損傷する事態を回避することができる。
以下、本発明の実施形態に係る多相交流モータ制御装置について図面を参照しながら説明する。図3は、多相交流モータ制御装置及び同モータ制御装置により制御される3相ブラシレスモータ10が組み付けられている車両の電動パワーステアリング装置(以下、パワーステアリング装置とも称呼する。)の全体概略図である。3相ブラシレスモータ10は、多相交流モータの一例である。
パワーステアリング装置20はラック&ピニオン式のステアリング装置であり、3相ブラシレスモータ10、ステアリングホイール21、ステアリングシャフト22、ステアリングギアボックス23及びラック24を備えている。
ステアリングホイール21は、車体に対して固定され、運転者により回転操作されるようになっている。ステアリングシャフト22は、ステアリングホイール21の回転をステアリングギアボックス23内の図示しないピニオンに伝達するようになっている。ピニオンは、ステアリングギアボックス23内においてラック24の歯車と噛合し、ステアリングシャフト22の回転運動をラック24の直線運動に変換するようになっている。ラック24は、その両端においてタイロッド及びナックルアーム(共に図示しない)を介して操舵用車輪と接続されている。これにより、ラック24が長手方向に移動すると、操舵用車輪は、左右に操舵される。
次に、3相ブラシレスモータ10の回転軸に直交する平面1−1にて同3相ブラシレスモータ10を切断した断面の概略構成を示した図1を参照しながら3相ブラシレスモータ10について説明する。3相ブラシレスモータ10は前述した構成を備えていて、その回転子10cは、図示しないボールねじ機構を介して同回転子10cの内部を貫通するラック24と連結されている。
図2に示したようなU相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwが3相ブラシレスモータ10の各相の巻線にそれぞれ通電されると、回転子10cが回転する。この回転は、ボールねじ機構を介してラック24に伝達される。その結果、ラック24が長手方向に移動する。このようにして、3相ブラシレスモータ10は回転トルクを発生するようになっている。以上の構成により、3相ブラシレスモータ10は、ステアリングホイール21の回転操作に応じた操舵用車輪の操舵に対してアシスト力を付与するようになっている。
次に、3相ブラシレスモータ10を制御するモータ制御装置30について説明する。図3に示したように、モータ制御装置30は、モータ通電制御部31(破線にて図示)、回転角変換部32、温度推定部33及び温度選択部34により示した機能ブロックを有している。モータ通電制御部31は、指令電流演算部31a、指令電流制御部31b、2相/3相変換部31c、PWM(Pulse Width Modulation)制御回路31d及び駆動回路31eにより示した機能ブロックを有している。また、温度推定部33は、図4にて一点鎖線内に示したように、外気温度変化熱量演算部33a、U相温度推定部33b、V相温度推定部33c、W相温度推定部33d、U−V相移動熱量演算部33e、V−W相移動熱量演算部33f及びW−U相移動熱量演算部33gにより示した機能ブロックを有している。
モータ制御装置30は、実際には、図3の一点鎖線にて示した電気制御装置40により構成されている。電気制御装置40は、互いにバスで接続された図示しないCPU、ROM、RAM、Back up RAM及び入出力回路を主たる構成としたマイクロコンピュータを含んでいる。ROMは、指令電流演算部31a、指令電流制御部31b、2相/3相変換部31c、回転角変換部32、温度推定部33及び温度選択部34の各機能を実現するためにCPUが実行する処理手順を示したルーチン(プログラム)等を予め記憶する記憶領域であり、RAMはCPUが必要に応じて一時的にデータを格納する記憶領域であり、Back
up RAMは必要なデータを保持しておく記憶領域である。また、入出力回路は電気制御装置40へ入出力される入出力データを制御するインターフェースである。
電気制御装置40には、操舵トルクセンサ51、回転角センサ52及び外気温度センサ53及び車速センサ54が接続されていて、各センサからの信号を入力するようになっている。
操舵トルクセンサ51は、ステアリングシャフト22に作用する操舵トルクTRに応じた信号を検出するようになっている。
回転角センサ52は、3相ブラシレスモータ10の回転角(機械角)θmに応じた信号を検出するようになっている。
外気温度センサ53は、3相ブラシレスモータ10の近傍であって、3相ブラシレスモータ10の各相の巻線に通電される電流Iu、電流Iv及び電流Iwの影響を受けて温度上昇する部分以外の部分に配設されていて、3相ブラシレスモータ10の近傍の外気温度tempに応じた信号を検出するようになっている。
車速センサ54は、車輪の回転速度または変速機の出力軸の回転速度を検出することにより車両の速度(車速V)に応じた信号を出力するようになっている。
また、電気制御装置40には、3相ブラシレスモータ10が接続されていて、3相ブラシレスモータ10の各相の巻線にU相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwをそれぞれ通電するようになっている。
次に、上記のように構成されたモータ制御装置30の作動について、「3相ブラシレスモータの各相の巻線に通電する電流制御」「各相の巻線の温度推定」「推定された各相の巻線の温度に基づく電流制限」の順に説明する。なお、指令電流演算部31a、指令電流制御部31b、2相/3相変換部31c、回転角変換部32、温度推定部33及び温度選択部34の各機能は、CPUが所定時間の経過毎に各機能を実現するためにROMに記憶されたプログラムを繰り返し実行することにより達成される。
「3相ブラシレスモータの各相の巻線に通電する電流制御」
まず、指令電流演算部31aは、入力された操舵トルクTR及び車速Vに基づいて3相ブラシレスモータ10に要求される回転トルクに応じた2相指令電流値(即ち、d軸指令電流値Id及びq軸指令電流値Iq)を演算する。q軸指令電流値Iqは、操舵トルクTRの増加に従って増加するとともに車速Vの増加に従って減少する操舵アシストトルク(即ち、3相ブラシレスモータ10の回転トルク)を発生するために必要な実効電流に対応する。また、d軸指令電流値Idは、モータの磁束を制御するための無効電流に対応し、本実施形態では「0」の値に設定される。
指令電流制御部31bは、後に詳述するように、別途算出される各相の巻線の温度Tu、温度Tv及び温度Twのうちの最高値に基づいて2相指令電流値を制限し、制限された2相指令電流値を最終的な指令電流値として決定する。
回転角変換部32は、3相ブラシレスモータ10の回転角を機械角θmから電気角θeに変換する。
2相/3相変換部31cは、3相ブラシレスモータ10の回転角(電気角)θeに従い、指令電流制御部31bにて決定された最終的な指令電流値を3相指令電流値(U相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwに応じた値)に変換する。
PWM制御回路31dは、PWM(パルス幅変調)方式により、3相指令電流値に対応するパルス幅変調制御信号(PWM制御信号)を形成して駆動回路31eに出力する。
駆動回路31e(インバータ回路)は、入力されたPWM制御信号に応じて図示しない3対のパワースイッチング素子(半導体素子)をスイッチングすることにより、バッテリ35から供給される所定の電圧を3相ブラシレスモータ10に印加する。これにより、PWM制御信号に対応したU相電流Iu、V相電流Iv及びW相電流Iwが各相の巻線に通電する。この結果、回転子10cが回転し、前述した操舵アシストトルクが発生する。
「各相の巻線の温度推定」
一方、モータ制御装置30は、巻線の温度が所定温度以上となることにより巻線が損傷する事態を回避するために各相の巻線に通電する電流を制限する。このため、まず、温度推定部33は、図4に示したように、以下に説明する各種熱量(Qu、Qv、Qw、Quv、Qvw、Qwu及びQtemp;図1を参照)を求め、求められた熱量に基づいて各相の巻線の温度を所定時間の経過毎に推定(更新)する。
(U相の巻線の温度Tuの推定)
U相温度推定部33bは、U相の巻線10b12に通電される電流Iu(2相/3相変換部31cからPWM制御回路31dに入力されるU相電流Iu)の2乗値Iuを下記(1)式に代入することによりU相の巻線の発熱量Quを演算する。
Qu=Iu・R ・・・(1)
なお、RはU相の巻線10b12の抵抗である。
また、一般に、互いに近接した物体Xと物体Yとの温度がそれぞれTx、Tyであるとすると、YからXへ移動する熱量は、
Qyx=B(Ty−Tx)
にて表されることが知られている。
そこで、U−V相移動熱量演算部33eは、現時点にて推定されている(即ち、所定時間前に更新された(以下同じ))U相の巻線の温度Tu(図4のTu(old))と現時点にて推定されているV相の巻線の温度Tv(Tv(old))とを下記(2)式に代入することによりU相からV相へ移動する熱量Quvを演算する。また、W−U相移動熱量演算部33gは、現時点にて推定されているU相の巻線の温度Tu(Tu(old))と現時点にて推定されているW相の巻線の温度Tw(Tw(old))とを下記(3)式に代入することによりW相からU相へ移動する熱量Qwuを演算する。
Quv=B(Tu−Tv) ・・・(2)
Qwu=B(Tw−Tu) ・・・(3)
更に、外気温度変化熱量演算部33aは、入力された外気温度tempと前回入力された外気温度temp(old)とを下記(4)式に代入することにより外気温度の変化に伴い3相ブラシレスモータ10の周囲から同3相ブラシレスモータ10に与えられる熱量Qtempを演算する。
Qtemp=A(temp−temp(old)) ・・・(4)
その後、外気温度変化熱量演算部33aは、入力された外気温度tempを前回入力された外気温度temp(old)としてRAMに一時記憶する。
U相温度推定部33bは、このようにして求められた各熱量を下記(5)式に代入することによりU相の巻線の温度Tuを新たに推定する。
Tu=Tu+C(Qu−Quv+Qwu+Qtemp) ・・・(5)
(V相の巻線の温度Tvの推定)
V相温度推定部33cは、V相の巻線10b22に通電される電流Iv(2相/3相変換部31cからPWM制御回路31dに入力されるV相電流Iv)の2乗値Ivを下記(6)式に代入することによりV相の巻線の発熱量Qvを演算する。
Qv=Iv・R ・・・(6)
なお、RはV相の巻線10b22の抵抗である。
また、V−W相移動熱量演算部33fは、現時点にて推定されているV相の巻線の温度Tvと現時点にて推定されているW相の巻線の温度Twとを下記(7)式に代入することによりV相からW相へ移動する熱量Qvwを演算する。
Qvw=B(Tv−Tw) ・・・(7)
V相温度推定部33cは、このようにして求められた発熱量Qv及び移動熱量Qvwと移動熱量Quv及び外気温度の変化に伴う熱量Qtempとを下記(8)式に代入することによりV相の巻線の温度Tvを新たに推定する。
Tv=Tv+C(Qv−Qvw+Quv+Qtemp) ・・・(8)
(W相の巻線の温度Twの推定)
W相温度推定部33dは、W相の巻線10b32に通電される電流Iw(2相/3相変換部31cからPWM制御回路31dに入力されるW相電流Iw)の2乗値Iwを下記(9)式に代入することによりW相の巻線の発熱量Qwを演算する。
Qw=Iw・R ・・・(9)
なお、RはW相の巻線10b32の抵抗である。
W相温度推定部33dは、このようにして求められた発熱量Qwと移動熱量Qwu、移動熱量Qvw及び外気温度の変化に伴う熱量Qtempとを下記(10)式に代入することによりW相の巻線の温度Twを新たに推定する。
Tw=Tw+C(Qw−Qwu+Qvw+Qtemp) ・・・(10)
なお、(1)〜(10)式中のA、B〜B及びC〜Cは所与の定数である。また、R〜Rのそれぞれ、B〜Bのそれぞれ及びC〜Cのそれぞれは同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
このように温度推定部33が各相の巻線の発熱量のみでなく各相の巻線と各相と異なる他の相の巻線との間の移動熱量にも基づいて各相の巻線の温度を新たに推定する理由について説明すると、例えば、ステアリングホイール21が図2にてモータの回転角(電気角)Sに対応する操舵角に保持されている間、モータ制御装置30は、V相電流Iv及びW相電流Iwより大きさが大きいU相電流IuをU相の巻線10b12に通電し続ける。
これにより、U相の巻線の温度TuがV相の巻線の温度Tv及びW相の巻線の温度Twよりも高くなる。この結果、図1に示したように、U相の巻線10b12からV相の巻線10b22へ移動する熱量の大きさ|Quv|及びU相の巻線10b12からW相の巻線10b32へ移動する熱量の大きさ|Qwu|が大きくなり、これらの熱が流入したことにより生じるV相の巻線の温度Tvの変化分(C・Quv)及びW相の巻線の温度Twの変化分(−C・Qwu)が、V相の巻線の温度Tv及びW相の巻線の温度Twを推定する際に無視できないほどになる。
従って、温度推定部33は、前述したように各相の巻線と各相と異なる他の相の巻線との間の移動熱量も考慮して各相の巻線の温度Tu、温度Tv及び温度Twを新たに推定している。この結果、各相の巻線の温度Tu、温度Tv及び温度Twは、各相の巻線の発熱量のみに基づき推定される場合に比較して、より正確に推定される。
「推定された各相の巻線の温度に基づく電流制限」
上述したように各相の巻線の温度Tu、温度Tv及び温度Twは、各相毎に独立して精度良く推定される。図3に示した温度選択部34は、このように推定された各相の巻線の温度Tu、温度Tv及び温度Twのうちの最高値Tmaxを選択する(図5を参照)。
一方、指令電流制御部31bは、巻線温度の最高値Tmaxが所定温度以上とならないように2相指令電流値の大きさを所定の値以下に制限して最終的な指令電流値を決定する。ここで、所定温度とは、巻線が過熱し、巻線に施されている被覆が溶ける等の理由によって巻線が損傷する事態を回避できる温度Tlim(例えば、140℃)である。また、2相指令電流値の大きさを所定の値以下に制限して最終的な指令電流値を求める方法の一例としては、巻線温度の最高値Tmaxが所定温度Tlim以上となったとき、q軸指令電流値Iqに0.8を乗算した値を最終的な指令電流値とする場合が挙げられる。
従って、巻線温度の最高値Tmaxが所定温度Tlim以上とならなかったとき、指令電流制御部31bは、指令電流演算部31aから出力された2相指令電流値をそのまま最終的な指令電流値として決定する。
前述したように、2相/3相変換部31cは、2相指令電流値を3相指令電流値に変換する。ここで、2相/3相変換部31c(電流変換部に相当)は、2相指令電流値(最終的な指令電流値)の大きさが大きいほど3相指令電流値の大きさが大きくなるように電流値を変換する。従って、最終的に各相の巻線に通電される電流Iu、電流Iv及び電流Iwの大きさは、最終的な指令電流値の大きさが小さくなるほど小さくなる。
一方、前述したように、温度推定部33により各相の巻線の温度Tu、温度Tv及び温度Twは正確に推定されている。以上により、2相指令電流値の大きさを所定の値以下に制限することによって各相の巻線の温度Tu、温度Tv及び温度Twは所定温度以上とならないように確実に制御される。これにより、各相の巻線が損傷する事態を回避することができる。
以上に説明したように、本実施形態に係るモータ制御装置30は、各相の巻線の発熱量Qu、発熱量Qv及び発熱量Qwのみでなく各相の巻線と他の相の巻線との間の移動熱量Quv、移動熱量Qvw及び移動熱量Qwuにも基づいて各相の巻線の温度Tu、温度Tv及び温度Twを新たに推定する。これにより、各相の巻線の温度Tu、温度Tv及び温度Twが正確に推定される。
また、本実施形態に係るモータ制御装置30は3相ブラシレスモータ10としての電動パワーステアリング装置用モータに適用されている。従って、電動パワーステアリング装置用モータの巻線に大きな電流が通電され続ける状況が生じても、巻線の温度が所定温度以上とならないように各相の巻線の電流が制限される。この結果、電動パワーステアリング装置用モータの巻線が損傷する事態を回避することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、コイル(巻線)数が3つの3相ブラシレスモータ10に基づいて本発明のモータ制御装置30を説明した。しかし、3相ブラシレスモータ10のコイル数は、9つ或いは12等であってもよい。
また、モータ制御装置30は、3相ブラシレスモータ10に限られず4相以上の多相交流モータに適用可能である。この場合、温度推定部33は、現時点にて推定されている任意の相の巻線の温度と同任意の相と異なる他の相の巻線の温度とに基づいて同任意の相と同他の相の巻線との間の移動熱量を求めるとき、「同任意の相と異なる他の相の巻線の温度」として「同任意の相と異なる他の相の巻線のうちの少なくともいずれかの巻線の温度」を用いることができる。例えば、温度推定部33は、「同任意の相と異なる他の相の巻線の温度」として「同任意の相と異なる他の相の巻線のうち、同任意の相の巻線と隣接した巻線のみの温度」を用いてもよいし、「同任意の相と異なる他の相のすべての巻線の温度」を用いてもよい。
また、(1)式、(6)式及び(9)式にて各相の巻線の発熱量Qu、発熱量Qv及び発熱量Qwを求めるために必要な「各相の巻線に通電される電流」は、2相/3相変換部31cから出力された3相指令電流値であってもよく、実際に各相の巻線に通電している電流を図示しない電流センサにて検出することにより得られる電流値であってもよい。
また、指令電流制御部31bは、2相指令電流値を所定の値以下に制限する代わりに、3相指令電流値を制限してもよい。
また、モータ制御装置30は、3相指令電流値と電流センサにて検出された各相の巻線の電流値との差信号により実際に各相の巻線に流れる電流が、設定された目標電流(指令電流値)となるようにフィードバック制御を行ってもよい。
また、本発明に係るモータ制御装置30は、電動パワーステアリング装置用モータに適用されるだけでなく、ステアバイワイヤ方式のステアリング装置用モータに適用されてもよい。また、車両以外の各種装置に搭載された電動モータに適用されてもよい。
3相ブラシレスモータを回転軸に直交する平面にて切断した断面の概略構成図である。 モータの回転角(電気角)と各相の巻線の電流との関係を示した図である。 モータ制御装置及びモータ制御装置が車両の電動パワーステアリング装置用モータに適用された全体概略図である。 温度推定部の機能ブロック図である。 U相の巻線の温度Tu、V相の巻線の温度Tv、W相の巻線の温度Tw及びこれらの温度の最高値Tmaxの時間的推移を示した図である。
符号の説明
10…3相ブラシレスモータ、20…車両の電動パワーステアリング装置、30…多相交流モータ制御装置、31a…指令電流演算部、31b…指令電流制限部、31c…2相/3相変換部、31d…PWM制御回路、31e…駆動回路、32…回転角変換部、33…温度推定部、33a…外気温度変化熱量演算部、33b…U相温度推定部、33c…V相温度推定部、31d…W相温度推定部、33e…U−V相移動熱量演算部、33f…V−W相移動熱量演算部、33g…W−U相移動熱量演算部、34…温度選択部、40…電気制御装置、51…操舵トルクセンサ、52…回転角センサ、53…外気温度センサ、54…車速センサ。

Claims (3)

  1. 多相交流モータにより発生する回転トルクを変更するための電流を同多相交流モータの各相の巻線にそれぞれ通電するモータ通電制御部を備えた多相交流モータ制御装置であって、
    前記モータ通電制御部により前記各相の巻線のうちの任意の相の巻線に通電される電流に基づいて同任意の相の巻線の発熱量を求めるとともに、現時点にて推定されている同任意の相の巻線の温度と同任意の相と異なる他の相の巻線の温度とに基づいて同任意の相の巻線と同他の相の巻線との間の移動熱量を求め、同任意の相の巻線の発熱量及び同任意の相の巻線と同他の相の巻線との間の移動熱量に基づいて同任意の相の巻線の温度を新たに推定する動作を各相の巻線に対して行う温度推定部を備えた多相交流モータ制御装置。
  2. 請求項1に記載の多相交流モータ制御装置であって、
    前記モータ通電制御部は、
    前記多相交流モータに要求される回転トルクに応じた指令電流値を演算する指令電流演算部と、
    前記温度推定部により新たに推定された各相の巻線の温度のうちの最高値が所定温度以上とならないように前記指令電流値の大きさを所定の値以下に制限して最終的な指令電流値を決定する指令電流制限部と、
    前記決定された最終的な指令電流値の大きさが大きいほど前記各相の巻線に通電する電流の大きさが大きくなるように同各相の巻線に通電する電流を決定する電流変換部と、
    を含む多相交流モータ制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の多相交流モータ制御装置であって、
    前記多相交流モータとしての車両の電動パワーステアリング装置用モータに適用された多相交流モータ制御装置。
JP2004216952A 2004-07-26 2004-07-26 多相交流モータ制御装置 Expired - Fee Related JP4389711B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004216952A JP4389711B2 (ja) 2004-07-26 2004-07-26 多相交流モータ制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004216952A JP4389711B2 (ja) 2004-07-26 2004-07-26 多相交流モータ制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006042466A JP2006042466A (ja) 2006-02-09
JP4389711B2 true JP4389711B2 (ja) 2009-12-24

Family

ID=35906836

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004216952A Expired - Fee Related JP4389711B2 (ja) 2004-07-26 2004-07-26 多相交流モータ制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4389711B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4683491B2 (ja) * 2006-07-26 2011-05-18 本田技研工業株式会社 モータ保護装置
JP5211618B2 (ja) * 2007-10-01 2013-06-12 日本精工株式会社 モータ温度推定装置及びそれを搭載した電動パワーステアリング装置
JP5365837B2 (ja) * 2008-12-22 2013-12-11 アイシン精機株式会社 モータ制御装置
EP3540937A4 (en) * 2016-11-10 2020-06-03 NSK Ltd. ELECTRIC POWER STEERING DEVICE
EP3379722B1 (en) 2016-11-11 2020-06-03 NSK Ltd. Electric power steering device

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2745166B2 (ja) * 1991-05-24 1998-04-28 三菱電機株式会社 サーボアンプ及びサーボモータの駆動制御装置
JP4048785B2 (ja) * 2001-02-06 2008-02-20 国産電機株式会社 電動機用制御装置
JP2002345147A (ja) * 2001-05-15 2002-11-29 Hitachi Ltd モータ制御装置
JP4391719B2 (ja) * 2002-03-20 2009-12-24 トヨタ自動車株式会社 モータ温度推定装置およびモータ制御装置
JP3975809B2 (ja) * 2002-04-03 2007-09-12 国産電機株式会社 温度検出装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006042466A (ja) 2006-02-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6022951B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP4379702B2 (ja) ブラシレスモータ制御装置
JP5692569B2 (ja) 車両用操舵装置
JP5712098B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
CN110915126B (zh) 马达控制装置
JP4628833B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2010178546A (ja) モータ制御装置
JP2020043643A (ja) 3相回転機の制御装置
JP6288408B2 (ja) モータ制御方法、モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
JP5263079B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP5862135B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
JP4389711B2 (ja) 多相交流モータ制御装置
JP2006304441A (ja) 同期モータ制御装置
JP4145816B2 (ja) 電動ステアリング装置
JP6891755B2 (ja) 多相回転機の制御装置
JP2019047568A (ja) モータ制御装置
JP2020005388A (ja) モータ制御方法およびモータ制御装置
JP2019050684A (ja) パワーステアリング装置の制御装置
JP2008155683A (ja) 電気式動力舵取装置
JP7449471B2 (ja) モータ制御装置
JP2007089287A (ja) モータ制御装置
JP5545465B2 (ja) モータ制御装置および車両用操舵装置
JP2008284977A (ja) 電動パワーステアリング制御装置、及びモータ駆動制御方法
JP6120050B2 (ja) モータ制御装置およびそれを用いた電動パワーステアリング装置
CN116897507A (zh) 电动机的控制方法及电动机的控制装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061129

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090909

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090915

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090928

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121016

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121016

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121016

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131016

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees