(第1実施形態)
図1はこの発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置1は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナー(現像剤)を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置1では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ10がエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、シートSに画像信号に対応する画像を形成する。
このエンジン部EGでは、感光体22が図1の矢印方向D1に回転自在に設けられている。また、この感光体22の周りにその回転方向D1に沿って、帯電ユニット23、ロータリー現像ユニット4およびクリーニング部25がそれぞれ配置されている。帯電ユニット23は所定の帯電バイアスを印加されており、感光体22の外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。クリーニング部25は一次転写後に感光体22の表面に残留付着したトナーを除去し、内部に設けられた廃トナータンクに回収する。これらの感光体22、帯電ユニット23およびクリーニング部25は一体的に感光体カートリッジ2を構成しており、この感光体カートリッジ2は一体として装置1本体に対し着脱自在となっている。
そして、この帯電ユニット23によって帯電された感光体22の外周面に向けて露光ユニット6から光ビームLが照射される。この露光ユニット6は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームLを感光体22上に露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では、現像ユニット4は、図1紙面に直交する回転軸中心に回転自在に設けられた支持フレーム40、支持フレーム40に対して着脱自在のカートリッジとして構成されてそれぞれの色のトナーを内蔵するイエロー用の現像器4Y、シアン用の現像器4C、マゼンタ用の現像器4M、およびブラック用の現像器4Kを備えている。この現像ユニット4は、エンジンコントローラ10により制御されている。そして、このエンジンコントローラ10からの制御指令に基づいて、現像ユニット4が回転駆動されるとともにこれらの現像器4Y、4C、4M、4Kが選択的に感光体22と所定のギャップを隔てて対向する所定の現像位置に位置決めされると、当該現像器に設けられて選択された色の帯電トナーを担持するとともに所定の現像バイアスを印加された金属製の現像ローラ44から感光体22の表面にトナーを付与する。これによって、感光体22上の静電潜像が選択トナー色で顕像化される。なお、この実施形態では各色のトナーはいずれも負に帯電するものとして説明するが、各部の電位を変更して正帯電トナーを使用することも可能である。
各現像器4Y、4C、4M、4Kには、当該現像器に関する情報を記憶するための不揮発性メモリ91〜94がそれぞれ設けられている。そして、各現像器に設けられたコネクタ49Y、49C、49M、49Kのうち必要に応じて選択された1つと、本体側に設けられたコネクタ109とが互いに接続され、エンジンコントローラ10のCPU101とメモリ91〜94との間で通信が行われる。こうすることで、各現像器に関する情報がCPU101に伝達されるとともに、各メモリ91〜94内の情報が更新記憶される。
上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。転写ユニット7は、複数のローラ72〜75に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向D2に回転させる駆動部(図示省略)とを備えている。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、感光体22上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト71上に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、カセット8から1枚ずつ取り出され搬送経路Fに沿って二次転写領域TR2まで搬送されてくるシートS上にカラー画像を二次転写する。
このとき、中間転写ベルト71上の画像をシートS上の所定位置に正しく転写するため、二次転写領域TR2にシートSを送り込むタイミングが管理されている。具体的には、搬送経路F上において二次転写領域TR2の手前側にゲートローラ81が設けられており、中間転写ベルト71の周回移動のタイミングに合わせてゲートローラ81が回転することにより、シートSが所定のタイミングで二次転写領域TR2に送り込まれる。
また、こうしてカラー画像が形成されたシートSは定着ユニット9、排出前ローラ82および排出ローラ83を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部89に搬送される。また、シートSの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートSの後端部が排出前ローラ82後方の反転位置PRまで搬送されてきた時点で排出ローラ83の回転方向を反転し、これによりシートSは反転搬送経路FRに沿って矢印D3方向に搬送される。そして、ゲートローラ81の手前で再び搬送経路Fに乗せられるが、このとき、二次転写領域TR2において中間転写ベルト71と当接し画像を転写されるシートSの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートSの両面に画像を形成することができる。
また、ローラ75の近傍には、濃度センサ60およびクリーナ76が設けられている。濃度センサ60は、必要に応じ、中間転写ベルト71上に形成されるトナー像を構成するトナー量を光学的に検出する。すなわち、濃度センサ60は、トナー像に向けて光を照射するとともに該トナー像からの反射光を受光し、その反射光量に応じた信号を出力する。クリーナ76は、中間転写ベルト71に対し離当接自在に構成され、必要に応じて中間転写ベルト71に当接することで、該ベルト71上の残留トナーを掻き落とす。
また、この装置1では、装置内部の温度および湿度を測定するための温湿度センサ91が設けられている。そして、CPU101は、この温湿度センサ91の出力に基づいて、装置の異常発熱や結露のおそれがないかなどを監視している。温湿度センサ91の設置位置は任意であるが、装置の機内温度を精度よく測定するため、ヒータを備える定着ユニット9から離れた位置とするのが好ましい。
さらに、この装置1では、図2に示すように、メインコントローラ11のCPU111により制御される表示部12を備えている。この表示部12は、例えば液晶ディスプレイにより構成され、CPU111からの制御指令に応じて、ユーザへの操作案内や画像形成動作の進行状況、さらに装置の異常発生やいずれかのユニットの交換時期などを知らせるための所定のメッセージを表示する。
なお、図2において、符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリである。また、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
図3は感光体および現像ローラに印加されるバイアス電圧を説明する図である。また、図4は感光体および現像ローラの表面電位を示す図である。感光体22は円筒状に形成された金属製のコア222と、その表面に設けられた感光性を有する表面層221とから成っており、コア222は軸受(図示省略)を介して電気的に接地されている。また、表面層221は帯電バイアス電圧Vgを印加された帯電ユニット23により帯電されている。これにより、感光体22の表面電位Vsはほぼ一様の電位Vniとなる。ただし、その表面領域のうち露光ユニット6からの光ビームLが照射され露光された画像部(トナーを付着させるべき領域)においては、その部分の電荷が中和されて表面電位Vsは画像部電位Vimとなっている。なお、露光されなかった部分の電位は依然としてVniであり、この部分はトナーを付着させない非画像部である。
一方、感光体22に対しギャップ部Gを隔てて対向配置された現像ローラ44には、直流電圧Vdcに対しピーク間電圧Vppなる矩形波交流電圧が重畳された現像バイアスVbが印加される。このため、現像ローラ44の表面電位は、図4に示すように、最高電位Vmaxと最低電位Vminとの間で時間とともに変化する。
なお、現像バイアスVbを発生する電源と現像ローラ44との間には、電流センサ121が介挿されている。電気的にフローティングされた現像ローラ44と、感光体22との間で放電が発生すると、現像ローラ44から感光体22を介してアースへ至る電流経路が形成される。このような電流を電流センサ121で検出することにより、放電の発生を検知することが可能である。すなわち、この電流センサ121は、放電を検知するためのセンサとして機能するものである。
このような電位が与えられた感光体22と現像ローラ44との間では、ギャップ部Gにおける両者の電位差が放電開始電圧を超えると放電が発生する。例えば、現像バイアスVbの最高電位Vmaxと感光体22の非画像部電位Vniとの電位差V1が放電開始電圧を超えると、現像ローラ44と感光体22の非画像部との間で放電が発生する。また、現像バイアスVbの最低電位Vminと感光体22の画像部電位Vimとの電位差V2が放電開始電圧を超えると、現像ローラ44と感光体22の画像部との間で放電が発生する。このような放電を防止するためには、両者の電位差が放電開始電圧を超えることがないように、各部に与える電位を調整する必要がある。
ギャップ部Gにおける放電の起こりやすさ、すなわち放電特性は、ギャップの大きさ、ギャップ部における気圧、湿度などによって変化する。このうち、最も大きく変動し放電特性に影響を及ぼすのはギャップの大きさである。というのは、感光体22や現像ローラ44、およびそれらを保持する部品には製造上の寸法ばらつきがあり、装置に装着される感光体カートリッジ2や現像器4Y等の組み合わせによってギャップの大きさは大きく変化するからである。
したがって、現像器や感光体カートリッジの少なくとも一方が交換されたり、新たに装着された場合には、感光体22と現像ローラ44との新たな組み合わせが出現することとなり、この場合には、画像形成動作を実行するのに先立って、当該組み合わせにおいて所定のバイアスを印加したときに放電が発生するか否かを予め判定しておくのが望ましい。また、一定の画像品質を維持するため、新たな組み合わせに対応して、画像形成条件の調整を新たに行う必要がある。そこで、放電判定動作を行って放電発生の有無を確認した後には、その結果を受けて、画像形成条件の調整を行う。こうすることで、放電が発生せず、しかも所定の画像品質が得られるような画像形成条件の下での画像形成動作が可能となる。
また、装置がその設置すべき場所に新規に設置された場合や、設置場所を移動された場合にも放電判定動作を行うのが好ましい。というのは、設置場所の温度や湿度、気圧等によってギャップ部Gでの放電特性は異なるからである。また、気温の低い場所から高い場所へ移動された場合のように、移動直後の装置の状態と、実際に使用する際の装置の状態とが大きく異なることもある。このような場合にも、新たに画像形成動作を行うのに先立って放電判定動作を行い、その後に画像形成条件の調整を行っておくのが好ましい。
ここで、画像形成条件の調整は、放電判定動作の実行後にのみ必要とされるわけではない。装置の特性変化や周囲環境の変化によっても画像品質は変動するから、このような変動を抑えて一定の画像品質を維持するためには、上記したタイミング以外にも、ある程度の頻度で画像形成条件の再調整を行うのが望ましい。
例えば、装置の電源が投入された直後や、装置がスリープ状態から画像形成動作が可能な状態に復帰する時には、先に画像形成動作が行われた時から長時間が経過し装置各部の温度が変動している可能性がある。また、画像形成枚数もしくは各現像器からのトナー使用量または現像器の通算使用時間が所定値に達したときには、現像器内のトナー残量およびその特性の経時変化によって、画像品質が変化することがある。この他、現像器および感光体カートリッジ以外の各ユニット、例えば露光ユニット6や転写ユニット7のいずれかが交換されたときや、周囲の温度・湿度が大きく変動したときなど、画像品質に変化が起きると予想されるときには、画像形成条件の再調整を行うことが好ましい。さらに、形成された画像の品質がユーザの所望するものとは異なっているなど、ユーザの希望によって画像形成条件の調整を行うべき場合もある。
これらの場合には、実際に画像を形成する前に画像形成条件の再調整を行うことが好ましい。しかしながら、前回画像形成条件の調整を行ったときから現在までにカートリッジの装着がなされておらず、設置場所の変更もなければギャップ部Gにおける放電特性に大きな変化はないから、画像形成条件の再調整をする前に改めて放電判定動作を行う必要がない。むしろ、このようなタイミングで放電判定動作を実行すれば、その実行中は画像形成動作を行えなくなるほか、放電発生によって装置内部へトナーが飛散したり、装置がダメージを受けるなどの弊害がある。
このような事情に鑑みて、この実施形態では、必要に応じて、CPU101が図5に示す制御動作を実行する。この制御動作においては、放電判定動作が必要な場合、すなわち4つの現像器4Y,4C,4M,4Kおよび感光体カートリッジ2のうち少なくとも1つが新たに装着された直後または装置の設置場所が変更された直後には放電判定動作を行ってから画像形成条件の調整を行う一方、それ以外の場合には放電判定動作を行わずに画像形成条件の調整を行う。なお、ユーザによるカートリッジの着脱操作は、例えば次のようにして装置側で把握することが可能である。
ロータリー現像ユニット4の支持フレーム40にリミットスイッチを設けておき、現像器が装着されているときとそうでないときとでその接点の状態が変化するようにしておく。そして、このリミットスイッチの接点の状態が、現像器なしからありに変化したとき、現像器が新たに装着されたと判断することができる。一方、リミットスイッチの状態に変化がなければ新たな装着はないと判断することができる。また、現像器内のメモリ91等に記憶されている現像器固有の情報を読み出すことによって、現像器が装着されたか否かを判定してもよい。なお、ここでは、現在現像器が装着されているか否かではなく、新たな装着が行われたか否かを判定するのであるから、単に同じ現像器が装着されたままの状態を維持している場合には「装着なし」と判断されるようにする。装着されない状態が維持される場合も同様であるが、この場合にはそもそも制御動作を行う意味がない。
また、設置場所の変更を装置側で把握するためには、例えば次のようにすることができる。すなわち、ユーザに対し、設置場所を変更した際には所定のキー操作を行うよう促す表示を装置本体または取り扱いマニュアル等に設けておく。そして、そのキー操作がなされたことをもって設置場所が変更されたと判断することができる。
図5はCPUによる制御動作を示すフローチャートである。この制御動作は、以下に列記するタイミング:装置の電源が投入された直後;スリープ状態から復帰するとき;画像形成枚数が所定枚数に達したとき;各現像器からのトナー使用量または現像器の通算使用時間が所定値に達したとき;エンジン部EGを構成するいずれかのユニットが装置に装着されたとき;機内温度または湿度の大きな変動があったとき;および、ユーザから要求があったとき(設置場所変更に対応するキー操作を含む)のそれぞれのタイミングで、CPU101が、ROM106に予め記憶された制御プログラムを実行することにより実行される。
この制御動作では、まず放電判定動作が必要であるか否かを判定する(ステップS101)。具体的には、上記したようにカートリッジ装着がなされたときおよび装置の設置場所が変更されたときに放電判定動作が必要と判断する。なお、新品の装置がユーザに納品され初めて電源を投入された時にも放電判定動作を行うのが好ましい。この場合、新しいカートリッジが装着され、設置場所も変更されているのが通常であるから、当然に放電判定動作が必要と判断されるであろうが、例えば工場出荷時に所定の操作(例えばリセット操作)をしておくことによって、次回の電源投入時に放電判定動作が実行されるようにしてもよい。
そして、放電判定動作が必要な場合には、続いて放電検知動作(ステップS102)および必要に応じてバイアス調整値の補正(ステップS103)を実行する。一方、放電判定動作が不要と判断したときにはこれらのステップを省略する。その後、バイアス最適化処理(ステップS104)を実行する。
以上より、4つの現像器および感光体カートリッジ2のいずれかが新たに装着された直後および設置場所の変更があった直後に行われる制御動作においては、放電判定動作(ステップS102)、バイアス調整値の補正(ステップS103)およびバイアス最適化動作(ステップS104)が順番に実行される。一方、これ以外のタイミングで実行される制御動作においては、放電判定動作およびバイアス範囲の設定動作はスキップされ、バイアス最適化動作のみが実行されることとなる。
図6は放電判定動作を示すフローチャートである。この放電判定動作の目的は、画像形成動作時の放電発生を防止することである。すなわち、画像形成動作時に現像ローラ44に与える現像バイアスVbおよび感光体22を帯電させるための帯電バイアスVgを、ギャップ部Gにおいて放電が発生しないように設定できるようにすることである。この放電判定動作では、まず装置の稼動情報、つまり現在の装置の稼動状況を示す情報を取得する(ステップS201)。ここでは、温湿度センサ91から出力される信号から求められる現時点の装置内部の温度および湿度と、現在使用している感光体22のこれまでの稼動量、つまり通算使用時間とを、その時点での装置の稼動情報とする。これらの稼動情報をどのように使用するかについては後述する。
続いて、放電判定条件、すなわち放電判定動作を行うとき各部に与えるバイアス電圧の大きさを設定する(ステップS202)。この場合において、放電判定の実効性、すなわち画像形成動作時の放電発生を防止する効果を高めるためには、画像形成動作時と同等またはこれよりも放電の起きやすい状態で、放電判定動作を行うことが望ましい。そこで、ここでは、現像バイアスの交流成分のピーク間電圧Vppを画像形成動作時よりも大きめの値(例えば、画像形成動作時の1500Vに対して1600V程度)に設定することでこの要求を満足させるようにする。一方、現像バイアスの直流成分Vdcおよび帯電バイアスVgについては、所定のデフォルト値に設定しておく。
そして、こうして定めた現像バイアスおよび帯電バイアスを現像ローラ44および帯電ユニット23にそれぞれ印加し(ステップS203)、放電に起因する電流が流れるか否かを電流センサ121(図3)で検出することにより、放電の有無を判定する(ステップS204)。
図5に戻って、制御動作の説明を続ける。この制御動作では、上記のようにして行った放電判定の結果を踏まえて、画像形成条件、つまり画像形成動作時の各バイアス電圧を設定する。すなわち、放電判定動作の結果に基づいて、後述するバイアス最適化動作を実行する際に使用する現像バイアスの値(以下、「バイアス調整値」という)を必要に応じ補正する(ステップS103)。そして、引き続きバイアス最適化動作(ステップS104)を実行することによって、現像バイアスVbおよび帯電バイアスVgを、所望の画像品質を得るための最適値にそれぞれ設定する。
この実施形態では、所定の画像品質を安定して得るため、現像バイアスの交流成分については、そのピーク間電圧Vppを一定とすることでギャップ部Gにおけるトナー飛翔量の安定を図る。一方、現像バイアスの直流成分Vdcを可変とし、必要に応じてその値を調整することで画像品質を制御する。その可変範囲については、例えば(−100)Vから(−300)Vまでとする。また、本願発明者らの実験により現像バイアスの直流成分Vdcと感光体の非画像部電位Vniとの間の電位差が、特に細線画像の画像品質に大きく影響することがわかっている。そこで、両者の電位差を常に一定に保つべく、現像バイアスの直流成分Vdcから一定のオフセット値を差し引いた電位を帯電バイアスVgとするようにしている。
図7は現像バイアスの直流成分を可変としたときの各部の電位を示す図である。図7に示すように、現像バイアスの直流成分Vdcを変化させた場合、図4に示した現像バイアスVbの波形自体が上下にシフトすることとなり、最高電位Vmaxおよび最低電位Vminも同じように変化する。また、感光体22を帯電させるための帯電バイアスVgを現像バイアスの直流成分Vdcに追随させているため、感光体22の非画像部電位Vniも同様の変化を示す。これに対して、感光体22の画像部電位Vimは感光体22の特性によって決まる値であり、バイアスの変化による変動はほとんどない。このことから、現像バイアスの直流成分Vdcを変化させることにより、現像バイアスの直流成分Vdcと画像部電位Vimとの電位差Vcontを変化させ、結果的に画像濃度を変化させることが可能となる。
しかしながら、現像バイアスの直流成分Vdcを変化させると、その最低電位Vminと感光体22の画像部電位Vimとの電位差V2も変化し、場合によってはこの電位差V2がギャップ部Gにおける放電開始電圧を超えて放電が発生することがある。したがって、現像バイアスの直流成分Vdcの可変範囲については上記したものに固定するのではなく、ギャップ部Gにおける放電特性に応じて適宜補正して適用する必要がある。すなわち、この実施形態の制御動作(図5)において、放電判定動作の結果に基づいてバイアス調整値の補正(ステップS103)を行う理由はこの点にある。
また、この実施形態では、放電判定動作の実行頻度は現像器または感光体カートリッジの交換頻度と同程度にまで抑制されている。こうすることで、放電判定動作時の放電によるトナー飛散や装置へのダメージを効果的に抑制することができる。その一方で、1回の放電判定動作の結果を継続的に使用して画像形成条件の調整を行うことから、1回ごとの放電判定動作の実効性が問題となる。例えば、通常より放電が起きやすい極端な高湿度環境下で放電判定動作が行われた場合、放電防止のためバイアス調整範囲が過剰な制約を受け、結果的に、通常の環境下で良好な画像形成を行うことができなくなってしまうおそれがある。また、これとは逆に、通常より放電の起きにくい環境で行った放電判定動作の結果に基づき画像形成条件を設定した結果、画像形成条件を調整する際や画像形成動作時に放電が発生してしまうことがある。
なお、感光体22の電気的・光学的特性がその温度や劣化の程度によって変化し、これによってギャップ部Gでの放電特性が変動する場合もある。
図8は感光体の表面電位と温度との関係を示す図である。一般的な感光体材料、例えば有機感光体では、その電気抵抗は高温になるほど低下する。したがって、電荷を保持する能力は高温になるほど低下し、図8に示すように、感光体22の画像部電位Vim、非画像部電位Vniはいずれも、温度が高くなるほど小さく(ゼロ電位に近く)なる。このような材料を用いた感光体22では、現像バイアスVbの最高電位Vmaxと非画像部電位Vniとの電位差V1は、高温になるほど小さくなる。したがって、非画像部での放電は高温になるほど起きにくくなる。これに対して、現像バイアスVbの最低電位Vminと画像部電位Vimとの電位差V2は、高温になるほど大きくなり、画像部での放電が起きやすくなる。
図9は感光体特性の経時変化を示す図である。感光体22は使用につれて磨耗し、図9に示すように、同じ帯電バイアスを与えてもその帯電電位(非画像部電位Vni)は次第に低下する。また、変化の度合いは小さいものの、画像部電位Vimも感光体22の使用時間によって変化する。したがって、印加する現像バイアスVb、帯電バイアスVgが同じであっても、それまでの感光体22の使用時間がどれほどであるかによって、放電特性は変化することとなる。
通常の動作環境においては、このような変化はギャップの変化に比べれば小さい。しかしながら、極端な低温や高温、高湿度など装置にとって劣悪な環境の下では放電特性に与える影響を無視できなくなる。このような環境下で放電判定動作が実行された場合には、その結果に基づいて設定された画像形成条件が、通常の環境下での動作には適さないものとなってしまうおそれがある。
これらのことから、画像形成条件の調整を適切に行うためには、放電判定動作を実行したときに装置がどのような稼動状況であったかを把握しておき、その情報を後に行う画像形成条件の調整動作に反映させることが望ましい。そこで、この実施形態においては、現像バイアスの調整値を放電判定結果に基づき必要に応じて補正することで、放電判定動作の実行時点での装置の稼動状況を反映させるようにしている。
この実施形態では、放電判定動作を実行する際に、CPU101が、その時点のギャップ部Gにおける放電特性を推定する。具体的には、放電判定動作実行時の装置の状態を示す稼動情報、つまり装置内部の温度・湿度や感光体22の通算使用時間を記憶しておき、これらの情報から、ギャップ部Gにおける放電特性が次の3つの状態:放電が特に起こりやすい第1状態;通常の動作条件に近い第2状態;および放電が特に起きにくい第3状態のいずれに該当するかを推定する。そして、画像形成条件の調整を行う際には、放電判定動作の結果と、こうして推定された放電判定動作時の放電特性とに応じて次のようにバイアス調整値を補正する。
図10はこの実施形態におけるバイアス調整値を説明する図である。まず放電判定動作において放電が発生しなかった場合のバイアス調整値について説明する。比較的放電が起きやすい第1状態で放電判定動作を行って放電が発生しなかったのであれば、通常の環境下ではさらに放電は起きにくいと考えられる。したがってこの場合、現像バイアスの交流成分Vppはより大きく、またその直流成分Vdcの調整範囲はより広く取ることができる。その一方、最も放電の起きにくい第3状態で放電判定動作が行われた場合には、通常の環境下で放電の発生を確実に防止するためには、現像バイアスの交流成分Vppはより小さく、またその直流成分Vdcの調整範囲はより狭くせざるを得ない。
また、放電判定動作において放電が発生した場合のバイアス調整値は次のとおりである。最も放電の起きやすい第1状態で放電が発生したとしても、通常の環境下では放電は起こらない可能性もある。したがって、この場合のバイアス調整値は、交流成分Vpp、直流成分Vdcとも中程度の値としてよい。これに対して、最も放電の起きにくい第3状態でも放電が発生したのであれば、現像バイアスの交流成分Vppについては最も小さく、また直流成分Vdcの調整範囲については最も狭くする必要がある。
ここで、現像バイアスの交流成分Vppの調整値としては、例えば、大:1600V、中:1500Vおよび小:1400Vを用いることができる。また、その直流成分Vdcの調整範囲としては、例えば、広域:(−100)V〜(−350)V、中域:(−100)V〜(−300)Vおよび狭域:(−100)V〜(−250)Vを用いることができる。なお、帯電バイアスVgについては、常に現像バイアスの直流成分Vdcから300Vを差し引いた値とする。
こうしてバイアス調整値が定まれば、続いてバイアス最適化処理(図5のステップS104)を実行することにより画像形成条件を最適化する。このとき、現像バイアスの交流成分Vppについては上記した調整値に設定する。また、その直流成分Vdcについては上記した調整範囲内で可変とし、以下のようにして、所望の画像濃度が得られる値に調整する。
図11はバイアス最適化動作を示すフローチャートである。まず、現像バイアスの直流成分Vdcをその調整範囲内の一の値(例えば、画像濃度が最も低くなる値)に仮設定する。帯電バイアスVgについては、現像バイアスの直流成分Vdcとの電位差が常に一定値となるようにする(ステップS301)。
そして、バイアス値を順次変更設定しながら、各バイアス値それぞれで所定パターン(例えばベタ画像やハーフトーン画像)のパッチ画像を形成する画像形成動作を実行する(ステップS302)。こうして形成された各パッチ画像の濃度を濃度センサ60により検出し(ステップS303)、各パッチ画像の濃度検出結果から、所望の画像濃度が得られる現像バイアスおよび帯電バイアスの最適値を算出する(ステップS304)。そして、現像ローラ44に与える現像バイアスの直流成分Vdcおよび帯電ユニット23に与える帯電バイアスVgを、算出された最適値に設定する(ステップS305)。
なお、図5に示すように、放電判定動作の実行を省略してバイアス最適化動作を行った場合には、バイアス調整値の再設定も行われない。そのため、この場合には、前回行った放電判定動作の結果に基づいて定められたバイアス調整値および調整範囲の下でバイアス最適化動作が行われることとなる。現像バイアスの調整範囲はギャップ部Gにおける放電特性に応じて定められるべきものであるから、放電特性に変化がない限り、調整範囲を変更する必要がないことは当然である。
このようにして各バイアスを設定することによって、画像形成条件が最適化される。そして、以後はこの画像形成条件の下で画像形成動作を実行することで、放電の発生を確実に防止しながら、所望の画像濃度の画像を形成することができる。
以上のように、この実施形態では、適当なタイミング、より具体的には、現像器または感光体カートリッジが新たに装置に装着されたときや、装置の設置場所が変更されたときに、現像ローラと感光体との間で放電が発生するか否かを判定する。そして、その判定結果に基づいて現像バイアスの設定を行うことで画像形成条件を最適化する。こうすることで、放電を起こすことなく、しかも良好な画像品質で画像形成動作を実行することができる。
また、放電判定動作が、極端に放電が起きやすいまたは起きにくい等の通常とは異なる環境下で実施される場合があることを考慮して、放電判定動作を実行したときの装置の稼動状況を把握しておき、それに応じて現像バイアスの調整範囲を補正する。このように、放電判定の結果とその時の装置の稼動状況とを現像バイアスの設定に反映させることで、この実施形態では、1回の放電判定動作の結果を事後においても継続的に使用して適切に現像バイアスの設定を行うことができる。そのため、放電判定動作を頻繁に行う必要がなくなり、その実行頻度を上記程度にまで抑制することが可能となっている。その結果、この実施形態では、放電判定動作時に生じる放電によって装置に与えるダメージを最小限に抑えることができる。
(第2実施形態)
前述したように、ギャップ部Gにおける放電の起きやすさはギャップの大きさ、温度および湿度等によって変化する。したがって、同一の装置においても、同じ大きさのバイアス電圧を印加したとき、その時の温度や湿度によって、ギャップ部Gにおいて放電が起きる場合と起きない場合とがありうる。例えば、装置が前述した第1状態(最も放電が起きやすい状態)にあるときには、通常の環境では放電が起きないようなバイアス値であっても放電を起こす場合もありうる。このような場合に、放電の有無を検査する目的で過大なバイアスを印加すれば当然に放電が発生し、装置にダメージを与えることになる。したがって、装置が放電を起こしやすい状態であることが予めわかっていれば、放電判定のために印加するバイアスについては比較的緩やかな、つまり放電の起きにくい値に設定することが望ましい。
また、装置が前述した第3状態(最も放電が起きにくい状態)にあるにもかかわらず通常の場合と同じバイアスを印加して放電判定を行った場合を考える。この場合、通常の環境では放電が発生するようなバイアスであるのに、装置が放電の起きにくい状態であったがために放電判定動作時に放電が起こらず、結果的に放電の可能性が看過されてしまうおそれがある。したがって、放電が起こりにくい状態にあるときには、通常よりいくらか厳しい、つまり放電が起きやすいバイアスを印加して放電判定を行うのが、放電判定の実効性を高めるうえで望ましい。
このように、放電判定条件、すなわち放電判定動作を行う際のバイアス設定値については一律とするのではなく、その時点における装置の状態に応じて定めることが望ましい。例えば、放電判定条件を次のように定めることができる。
前述したように、高温環境下では非画像部での放電は起きにくくなるから、このような環境で放電判定動作を行うと非画像部での放電が見落とされやすい。したがって、放電判定動作において非画像部で発生しうる放電を確実に検知するためには、その時の機内温度が高ければより放電が起きやすい環境となるように、各部の電位を設定するのが好ましい。そこで、感光体22表面を露光せずに放電判定を行う場合には、その時の装置内部の温度によって帯電バイアスVgを変化させる。具体的には、装置内部が高温(例えば40℃以上)であるときには常温(例えば40℃未満)であるときよりも帯電バイアスVgを負電位方向に大きくする。こうすることで、高温で低下した感光体22の非画像部電位Vniを負電位方向にシフトさせることができる。
一方、感光体22を露光して放電判定を行う場合には、低温になるほど放電の可能性を見落としやすくなる。これを防止するためには、放電判定を行う際に現像バイアスに印加する放電判定用バイアスの直流成分Vdcが、高温時よりも常温時においてより(負電位方向に)大きくなるようにすればよい。この場合、画像部電位Vimに対する帯電バイアスVgの影響は小さいので、帯電バイアスVgを変化させても無意味である。
図12は放電判定条件の一の設定例を示す図である。以上のことから、例えば、図12のようにして放電判定条件を設定することができる。まず、光ビームLにより感光体22を露光して放電判定を行う場合には、現像バイアスの直流成分Vdcおよび帯電バイアスVgを、それぞれ図12(a)に示す値に設定する。すなわち、機内温度が低い時には高温時よりも画像部電位Vimが高い(ゼロ電位からの偏差が大きい)ことに対応して、常温時(例えば40℃未満)には現像バイアスの直流成分Vdcを高温時より大きく設定する。
また、感光体22を露光せずに放電判定を行う場合には、現像バイアスの直流成分Vdcおよび帯電バイアスVgを、それぞれ図12(b)に示す値に設定する。すなわち、高温側で感光体22の非画像部電位Vniが低下するので、この低下を補うべく帯電バイアスVgを大きく設定する。
一方、機内の湿度と放電との関係については、一般に湿度が高くなるほどギャップ部における放電が起きやすくなる。このことは、感光体22の画像部、非画像部のいずれに対しても同じである。そこで、現像バイアスの交流成分Vppについては機内の湿度に応じて定める。すなわち、図12(c)に示すように、湿度が低く(例えば相対湿度90%未満)放電が起きにくい状態にある場合には、比較的高めの値(例えば1600V)に設定することで、放電判定動作の実効性を高める。これに対し、湿度が高くもともと放電が起きやすい状態であるときには、交流成分Vppをこれより低い値(例えば1500V)に設定することで無用な放電の発生を抑制する。
なお、この実施形態では、機内温度40℃未満の環境を「常温」、それ以上を「高温」と区分することとする。また、機内湿度(相対湿度)90%未満の環境を「低湿」、それ以上を「高湿」と区分することとする。このような区分はその一例を示したものであって、これらの数値に限定されるものではない。
また、装置内部の温度・湿度でなく、感光体22の使用時間に基づいて放電判定条件を設定してもよい。例えば次のようにすることができる。エンジンコントローラ10により管理されている感光体22の通算使用時間に基づいて、現在の感光体22の状態がその寿命における初期、中期および末期のいずれにあるかを判断する。そして、その結果に応じて、現像バイアスおよび帯電バイアスをそれぞれ図13に示す値に設定して放電判定動作を実行する。
図13は放電判定条件の他の設定例を示す図である。まず、光ビームLで感光体22を露光して放電判定を行う場合には、図13(a)に示すように、帯電バイアスVgについては第1実施形態と同様に現像バイアスとの電位差を一定に保つ一方、現像バイアスの直流成分Vdcについては、感光体22の使用時間が短いとき(使用初期)にそれ以後よりも大きな値となるようにする。これは、図9に示すように、感光体22の画像部電位Vimが、その使用時間の初期段階において比較的大きく低下しその後の変化が小さいことに対応して、現像バイアスVbの直流レベルをこの変化に合わせてシフトさせるためである。
また、感光体22表面を露光せずに放電判定を行う場合には、図13(b)に示すように、現像バイアスの直流成分Vdcを一定とする一方、帯電バイアスVgについては、感光体の使用時間が長くなるにつれて大きくする。これは、図9に示すように、感光体22の使用時間が長くなると非画像部電位Vniが小さくなるのを補うためである。
なお、現像バイアスの交流成分については、先の例と同様である。すなわち、図13(c)に示すように、温湿度センサ91により測定された機内の湿度に応じて放電判定時のピーク間電圧Vppを定める。
このようにして放電判定条件が定まると、前述した第1実施形態の装置と同様にして放電判定を行い、その結果に基づきバイアス調整値を設定し、バイアス最適化動作を実行する。こうすることによって、第1実施形態と同様に、現像バイアスを最適化して所望の画像濃度で画像を形成することが可能となる。
以上のように、この実施形態では、放電判定動作を行う際の装置の稼動状況に応じて、より詳しくは、装置内部の温度と湿度、または感光体22の通算使用時間と装置内部の湿度に応じて、現像ローラ44に印加する放電判定用バイアスを設定する。このため、放電判定用バイアスを一律とした場合に比べ次のような作用効果を奏する。まず、もともと放電が起きやすいと予想される場合には、放電判定条件を通常より緩やかなものとして放電判定を行うので、放電判定動作時に無用の放電を生じさせ装置にダメージを与えてしまうことが防止される。反対に、装置が放電の起きにくい状態である場合には放電判定条件を通常より厳しくするので、起こりうる放電を見逃してしまい画像形成動作時に放電が発生するという問題も回避される。
そして、第1実施形態と同様に、こうして設定した放電判定用バイアスを現像ローラ44に印加して放電判定を行い、その結果に基づいて現像バイアスの調整を行うことによって、この実施形態においても、画像形成条件を適切に設定することが可能である。
(変形例)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記各実施形態の画像形成装置は、現像ローラ(トナー担持体)と感光体(潜像担持体)とが離間配置された非接触現像方式の画像形成装置である。しかしながら、トナー担持体と潜像担持体とが当接している接触現像方式の装置であって、交流成分を含む現像バイアスによりトナーが移動するように構成された画像形成装置に対しても、本発明は適用可能である。というのは、接触現像方式の装置においても、振幅の大きな交流バイアスが印加されることによってトナー担持体と潜像担持体との間の放電が起こる場合があり、その起きやすさは両者の当接の状態によって変動するからである。このような装置に対しても、本発明を適用することによって、放電の発生を抑えながら、画像形成条件を適切に設定することができるという効果が得られる。
また、上記した各実施形態においては、画像形成時の動作条件(画像形成条件)として、現像ローラに与える現像バイアスの直流成分および交流成分と、感光体を均一に帯電させるための帯電バイアスとのそれぞれの大きさを調整するようにしているが、これらに加えて、画像形成動作時に画像品質に影響を及ぼす他の動作パラメータを調整するように構成されてもよい。
また、上記した各実施形態では、現像ローラ44に与える現像バイアスVbを、直流電圧に矩形波交流電圧を重畳した波形を有するものとしているが、現像バイアスの波形はこれに限定されるものではない。また、交流成分のデューティ比は1:1に限定されず、他の値であってもよい。この場合においては、現像バイアスに重畳される直流電圧と、交流成分のデューティ比に応じて生じる直流成分とを合成したものが、本実施形態にいう直流成分Vdcに対応することとなる。
また、上記した各実施形態の装置では、現像ローラと感光体とがそれぞれ別のカートリッジに取り付けられており、装置本体に対し個別に着脱自在となっているが、これらが同一のカートリッジに取り付けられ装置本体に対し一体的に着脱自在となっている装置に対しても、本発明を適用可能である。例えば、現像ローラと感光体とを一体のカートリッジに取り付けたモノクロ画像形成装置や、このようなカートリッジを複数色分設けてカラー画像を形成するタンデム方式の画像形成装置に対しても、本発明を適用可能である。これらの装置では、現像ローラと感光体との対向位置における位置関係がカートリッジの各個体ごとにばらついており、これに起因して、装置に装着されたカートリッジごとに放電の起きやすさが異なるからである。
また、上記した各実施形態では、所定のバイアス条件で現像ローラ44に流れる電流を検出することで放電の有無を判断しているが、放電判定の方法はこれに限定されるものではなく、他の方法によってもよい。例えば、放電が発生すると現像ローラ44表面からトナーが飛散し感光体22に付着するので、この付着トナーを感光体22上において、もしくはこれを転写される中間転写ベルト71上において検出することで、放電の有無を判定するようにしてもよい。
以上説明したように、上記した各実施形態においては、感光体22および現像ローラ44がそれぞれ本発明の「潜像担持体」および「トナー担持体」として機能している。また、これらをそれぞれ取り付けられた感光体カートリッジ2、現像器4Y,4C,4Mおよび4Kが本発明の「カートリッジ」に相当している。また、エンジンコントローラ10が本発明の「制御手段」として機能している。
2…感光体カートリッジ、4Y,4M,4C,4K…現像器(カートリッジ)、10…エンジンコントローラ(制御手段)、 22…感光体(潜像担持体)、 44…現像ローラ(トナー担持体)、 60…濃度センサ、 91…温湿度センサ