JP2005156904A - 画像形成装置、該装置における放電検知方法および画像形成方法 - Google Patents
画像形成装置、該装置における放電検知方法および画像形成方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005156904A JP2005156904A JP2003395001A JP2003395001A JP2005156904A JP 2005156904 A JP2005156904 A JP 2005156904A JP 2003395001 A JP2003395001 A JP 2003395001A JP 2003395001 A JP2003395001 A JP 2003395001A JP 2005156904 A JP2005156904 A JP 2005156904A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- image
- toner
- discharge
- carrier
- density
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Developing For Electrophotography (AREA)
- Dry Development In Electrophotography (AREA)
- Control Or Security For Electrophotography (AREA)
Abstract
【課題】 非接触現像方式の画像形成装置において、潜像担持体とトナー担持体との間における放電の発生を高い確度で検知するとともに、放電の発生を防止する。
【解決手段】 ベタ画像である画像部IMと、ハイライト画像である非画像部NIとを有するテスト用トナー像を形成する。画像部IM内部で放電が発生したことを示す放電スポットSP1については、画像部IMにおけるサンプリング結果から、濃度基準値Dth1を下回る濃度検出値P1の有無により検出する。画像部IMから非画像部NIに広がった放電を示す放電スポットSP3については、非画像部NIにおけるサンプリング結果から、濃度基準値Dth2を下回る濃度検出値P2の有無により検出する。放電スポットが検出されたときには放電が発生したと判定し、現像バイアスの振幅を下げる。
【選択図】 図8
【解決手段】 ベタ画像である画像部IMと、ハイライト画像である非画像部NIとを有するテスト用トナー像を形成する。画像部IM内部で放電が発生したことを示す放電スポットSP1については、画像部IMにおけるサンプリング結果から、濃度基準値Dth1を下回る濃度検出値P1の有無により検出する。画像部IMから非画像部NIに広がった放電を示す放電スポットSP3については、非画像部NIにおけるサンプリング結果から、濃度基準値Dth2を下回る濃度検出値P2の有無により検出する。放電スポットが検出されたときには放電が発生したと判定し、現像バイアスの振幅を下げる。
【選択図】 図8
Description
この発明は、静電潜像を担持する潜像担持体と、トナーを担持するトナー担持体とをギャップを隔てて対向配置し、交流成分を含む現像バイアスをトナー担持体に印加することで静電潜像をトナーにより顕像化してトナー像を形成する画像形成装置ならびにその放電検知方法および画像形成方法に関するものである。
静電潜像を担持する潜像担持体とトナーを担持するトナー担持体とがギャップを隔てて対向配置された非接触現像方式の画像形成装置では、交流成分を含む現像バイアスがトナー担持体に印加されることによって、トナーがトナー担持体からギャップに飛翔し潜像担持体へ移動することでトナー像が形成される。この種の画像形成装置においては、ギャップを隔てて対向する潜像担持体とトナー担持体との間で発生する放電現象が、トナー像の形成を阻害し、画像品質の著しい劣化や装置内部のトナーによる汚染などの問題を引き起こすことが知られている。
そこで、このような放電の発生を防止しつつ、装置各部に与えるバイアス電位を適切に設定するための技術が従来より提案されている。例えば、特許文献1に記載の画像形成装置では、潜像担持体である感光体ドラムとトナー担持体である現像ローラとの間にリーク(電流漏れ)が発生しないように、現像バイアスのピーク間電圧を設定している。また、例えば、特許文献2に記載の画像形成装置では、パッチ画像としてのハイライト画像を形成しその濃度検出を行うことによって、放電により像担持体上に生じる斑点を検出し放電の有無を判定している。
上記のようにして放電が起きないようにバイアス設定をしたにもかかわらず、実際に画像形成動作を実行してみると、得られた画像に放電の発生を示す斑点(以下、この斑点を「放電スポット」という)が現れることがあった。すなわち、上記従来技術は、実際の画像形成動作時におけるギャップでの放電発生を防止する上で必ずしも十分なものとは言えなかった。そこで、放電発生をより確実に防止し、現像バイアスを適正に設定するための技術の確立が望まれる。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、非接触現像方式の画像形成装置において、潜像担持体とトナー担持体との間における放電の発生を高い確度で検知することを第1の目的とする。また、この発明は、潜像担持体とトナー担持体との間における放電の発生を防止しながら、現像バイアスを適正に設定することを第2の目的とする。
本願発明者は、潜像担持体とトナー担持体との間に生じる放電現象について様々な実験を行い、次のような知見を得た。すなわち:
(1)放電が発生すると、トナー担持体表面の放電発生箇所付近のトナーが弾き飛ばされ、潜像担持体表面に付着したり(これが放電スポットとなる)、装置内部に飛散する(飛散トナーが装置内部を汚染する);
(2)潜像担持体表面のうち、トナーを付着させるべき領域(画像部)の内部で放電が発生した場合、その放電は比較的短時間で収束する;
(3)潜像担持体表面のうち、トナーを付着させるべき領域(画像部)とトナーを付着させない領域(非画像部)との境界部付近で放電が発生した場合、放電発生箇所に隣接する非画像部で場所を変えながら連鎖的に放電が発生し、なかなか収束しない。その結果、非画像部には複数の放電スポットが連続的に形成され、これらが連なって帯状の斑点となって現れる。
(1)放電が発生すると、トナー担持体表面の放電発生箇所付近のトナーが弾き飛ばされ、潜像担持体表面に付着したり(これが放電スポットとなる)、装置内部に飛散する(飛散トナーが装置内部を汚染する);
(2)潜像担持体表面のうち、トナーを付着させるべき領域(画像部)の内部で放電が発生した場合、その放電は比較的短時間で収束する;
(3)潜像担持体表面のうち、トナーを付着させるべき領域(画像部)とトナーを付着させない領域(非画像部)との境界部付近で放電が発生した場合、放電発生箇所に隣接する非画像部で場所を変えながら連鎖的に放電が発生し、なかなか収束しない。その結果、非画像部には複数の放電スポットが連続的に形成され、これらが連なって帯状の斑点となって現れる。
このような知見に鑑み、この発明にかかる画像形成装置は、上記第1の目的を達成するため、その表面に静電潜像を担持可能な潜像担持体と、前記潜像担持体に対しギャップを隔てて対向配置され、その表面に帯電トナーを担持するトナー担持体と、交流電圧、または交流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を現像バイアスとして前記トナー担持体に印加し、前記トナー担持体に担持された前記トナーを前記潜像担持体に移動させることで前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成する制御手段とを備え、前記制御手段は、トナーを付着させるべき画像部とトナーを付着させない非画像部とを有する前記トナー像を形成し、該トナー像のうち前記非画像部の濃度検出結果に基づいて、前記ギャップにおける放電の発生の有無を判定することを特徴としている。
また、この発明にかかる放電検知方法は、上記第1の目的を達成するため、その表面に静電潜像を担持可能な潜像担持体と、その表面に帯電トナーを担持するトナー担持体とをギャップを隔てて対向配置させるとともに、交流電圧、または交流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を現像バイアスとして前記トナー担持体に印加し、前記トナー担持体に担持された前記トナーを前記潜像担持体に移動させることで前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成する画像形成装置における放電検知方法であって、トナーを付着させるべき画像部とトナーを付着させない非画像部とを有する前記トナー像を形成し、該トナー像のうち前記非画像部の濃度検出結果に基づいて、前記ギャップにおける放電の発生の有無を判定することを特徴としている。
このように構成された発明では、実際にトナーを付着させるべき画像部を有するトナー像の形成を行っているので、画像部の形成を伴わずに放電を判定する上記従来技術に比べて、実際の画像形成時に即した状態で放電の発生を判定することができる。また、非画像部において濃度検出を行うことによって、放電の結果として形成された放電スポットによる濃度変化を検知し放電が発生したか否かを判定することができる。
また、画像部と異なる位置において濃度検出を行うことから、画像部の形成位置と濃度検出位置とは異なっていてもよい。したがって、これらの位置を個別に設定することができるので、それぞれの最適位置に設けることができる。例えば、潜像担持体とトナー担持体との間で最も放電の起きやすい位置、つまり両者の間のギャップが最も小さくなりうる位置に画像部を形成することで、このギャップにおいて起こりうる放電を高い確率で起こさせることができる。そして、こうして生じた放電の結果として現れる非画像部での濃度変化を、その検出に最も適した位置で検出することにより、ギャップでの放電発生の有無を高い確度で判定することができる。
放電の有無の判定基準については、例えば次のようにすることができる。すなわち、前記非画像部における濃度検出結果が、所定の非画像部用判定基準値よりも高濃度であるときに、前記ギャップにおける放電ありと判定することができる。本来トナーを付着させない非画像部では、放電が発生するとその痕跡が周囲より高濃度の放電スポットとして現れることから、非画像部に異常な高濃度部分が存在する場合には放電が発生したものと判定することができる一方、このような部分がない場合には放電が発生していないと判定することができる。
また、この発明にかかる画像形成装置は、上記第2の目的を達成するため、その表面に静電潜像を担持可能な潜像担持体と、前記潜像担持体に対しギャップを隔てて対向配置され、その表面に帯電トナーを担持するトナー担持体と、交流電圧、または交流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を現像バイアスとして前記トナー担持体に印加し、前記トナー担持体に担持された前記トナーを前記潜像担持体に移動させることで前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記現像バイアスの振幅を所定の範囲で変更設定可能となっており、しかも、トナーを付着させるべき画像部とトナーを付着させない非画像部とを有する前記トナー像を形成し、該トナー像のうち前記非画像部の濃度検出結果に基づいて、前記現像バイアスの振幅の上限値を設定する上限値設定処理を実行し、該上限値に基づいて前記現像バイアスの振幅を設定することを特徴としている。
また、この発明にかかる画像形成方法は、上記第2の目的を達成するため、その表面に静電潜像を担持可能な潜像担持体と、その表面に帯電トナーを担持するトナー担持体とをギャップを隔てて対向配置させるとともに、交流電圧、または交流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を現像バイアスとして前記トナー担持体に印加し、前記トナー担持体に担持された前記トナーを前記潜像担持体に移動させることで前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成する画像形成方法において、トナーを付着させるべき画像部とトナーを付着させない非画像部とを有する前記トナー像を形成し、該トナー像のうち前記非画像部の濃度検出結果に基づいて前記現像バイアスの振幅の上限値を設定し、該上限値に基づいて前記現像バイアスの振幅を設定することを特徴としている。
このように構成された発明では、実際にトナーを付着させるべき画像部を有するトナー像を形成し、そのうちの非画像部についての濃度検出結果に基づき現像バイアスの振幅の上限値を定めているので、前述の画像形成装置および放電検知方法と同様の原理により、放電の発生を抑制しながら現像バイアスの設定を行うことができる。
例えば、前記現像バイアスの振幅を、前記上限値を超えない値に設定することによって、放電の発生は確実に防止される。なお、前記したように、放電発生の痕跡は非画像部において周囲より高濃度の放電スポットとして現れるので、前記非画像部における濃度検出結果が、所定の非画像部用判定基準値よりも低濃度となるように、前記現像バイアスの振幅の上限値を設定しておけばよい。特に、前記非画像部における濃度検出結果が前記非画像部用判定基準値よりも低濃度となる範囲で最も大きな値を、前記現像バイアスの振幅の上限値とすれば、現像バイアスの振幅の設定可能な範囲がより広くなるので好ましい。
また、例えば、前記上限値設定処理を実行して現像バイアスの振幅の設定可能な範囲を画定した後に、画像濃度に影響を与える濃度制御因子の調整処理を実行するようにしてもよい。こうすることにより、ギャップでの放電の発生を確実に防止しながら、所望の画像濃度でのトナー像形成を安定して行うことが可能となる。なお、このような調整処理において濃度制御因子として使用しうる装置各部の動作パラメータおよびその調整方法については多くの公知技術が知られており、本発明においてもこれらの技術を適用することができる。現像バイアスの振幅を変更することでギャップにおけるトナーの飛翔性が変化することから、現像バイアスの振幅もこのような濃度制御因子として使用することができるが、この場合、上記で求めた上限値を超えないように現像バイアスの振幅を定めることで、放電の発生を防止しつつ所望の画像濃度を得られる適正な現像バイアス設定が可能となる。
ここで、前記画像部はできるだけ高濃度であることが好ましく、例えばベタ画像とするのが望ましい。その主たる理由は、ベタ画像等の高濃度画像では潜像担持体上における静電潜像の電位プロファイルの電位差が大きく、トナー担持体との間で放電が起きやすくなることである。このように放電の起きやすい条件で放電発生の有無を調べておくことで、実際のトナー像形成時における放電の発生をより確実に防止することができる。
なお、前記潜像担持体が所定方向に回転する回転体として構成されている場合には、前記画像部の前記潜像担持体の周方向に沿った長さが、前記潜像担持体の周長以上となるようにするのが好ましい。というのは、潜像担持体の加工上のばらつき、組み立て時のガタ、反りや偏心などに起因してギャップ変動が不可避的に生じ、これに伴って放電の起きやすさが変化するが、上記のようにすることで、ギャップが小さくなったときのみ生じる放電を見落とすことがなくなるからである。
また、前記トナー担持体が所定方向に回転する回転体として構成されている場合にも同様であるが、この場合には、前記画像部の前記トナー担持体の周方向に沿った長さが、前記トナー担持体の周長に対応した長さ以上となるようにするのが好ましい。ここで、「トナー担持体の周長に対応した長さ」とは、単にトナー担持体の周長というだけでなく、これにトナー担持体の回転速度を加味した長さを意味する。すなわち、一定時間内にギャップを通過するトナー担持体表面の周方向の長さとして定義される値であり、トナー担持体表面の移動速度(周速)が大きいほど大きな値となる。
例えば、潜像担持体およびトナー担持体がそれぞれ回転体として構成されている場合には、潜像担持体が1周する間にギャップを通過するトナー担持体表面の周方向の長さあるいはこれ以上の長さが上記した「トナー担持体の周長に対応した長さ」である。この場合、例えば潜像担持体およびトナー担持体それぞれの表面の移動速度の比(周速比)が1であれば、トナー担持体の周長あるいはこれ以上の長さが上記「長さ」に相当する。
また、前記トナー担持体表面が導電性材料により形成されている場合には、トナー担持体表面と潜像担持体表面との間で放電が起きやすいので、これらの間の放電を確実に防止する本発明の作用効果が特に顕著である。
さらに、この発明にかかる画像形成方法の他の態様は、上記第2の目的を達成するため、その表面に静電潜像を担持可能な潜像担持体と、その表面に帯電トナーを担持するトナー担持体とをギャップを隔てて対向配置させるとともに、交流電圧、または交流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を現像バイアスとして前記トナー担持体に印加し、前記トナー担持体に担持された前記トナーを前記潜像担持体に移動させることで前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成する画像形成方法において、トナーを付着させるべき画像部とトナーを付着させない非画像部とを有する前記トナー像を形成し、該トナー像のうち前記非画像部の濃度検出結果に基づいて、前記ギャップにおける放電の発生の有無を判定し、前記放電が発生すると判定したときには、前記現像バイアスの振幅を変更設定することを特徴としている。
このように構成された発明では、前述した放電検知方法と同様の原理によってギャップにおける放電の有無を高い確度で検知することができ、そして、放電が発生すると判定したときには前記現像バイアスの振幅を変更設定することで、放電の発生を回避することができる。
(第1実施形態)
図1はこの発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置1は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナー(現像剤)を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置1では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ10がエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、シートSに画像信号に対応する画像を形成する。
図1はこの発明にかかる画像形成装置の第1実施形態を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。この装置1は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナー(現像剤)を重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成する画像形成装置である。この画像形成装置1では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてエンジンコントローラ10がエンジン部EG各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、シートSに画像信号に対応する画像を形成する。
このエンジン部EGでは、感光体22が図1の矢印方向D1に回転自在に設けられている。また、この感光体22の周りにその回転方向D1に沿って、帯電ユニット23、ロータリー現像ユニット4およびクリーニング部25がそれぞれ配置されている。帯電ユニット23は所定の帯電バイアスを印加されており、感光体22の外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。クリーニング部25は一次転写後に感光体22の表面に残留付着したトナーを除去し、内部に設けられた廃トナータンクに回収する。これらの感光体22、帯電ユニット23およびクリーニング部25は一体的に感光体カートリッジ2を構成しており、この感光体カートリッジ2は一体として装置1本体に対し着脱自在となっている。
そして、この帯電ユニット23によって帯電された感光体22の外周面に向けて露光ユニット6から光ビームLが照射される。この露光ユニット6は、外部装置から与えられた画像信号に応じて光ビームLを感光体22上に露光して画像信号に対応する静電潜像を形成する。
こうして形成された静電潜像は現像ユニット4によってトナー現像される。すなわち、この実施形態では、現像ユニット4は、図1紙面に直交する回転軸中心に回転自在に設けられた支持フレーム40、支持フレーム40に対して着脱自在のカートリッジとして構成されてそれぞれの色のトナーを内蔵するイエロー用の現像器4Y、シアン用の現像器4C、マゼンタ用の現像器4M、およびブラック用の現像器4Kを備えている。この現像ユニット4は、エンジンコントローラ10により制御されている。そして、このエンジンコントローラ10からの制御指令に基づいて、現像ユニット4が回転駆動されるとともにこれらの現像器4Y、4C、4M、4Kが選択的に感光体22と所定のギャップを隔てて対向する所定の現像位置に位置決めされると、当該現像器に設けられて選択された色の帯電トナーを担持するとともに所定の現像バイアスを印加された金属製の現像ローラ44から感光体22の表面にトナーを付与する。これによって、感光体22上の静電潜像が選択トナー色で顕像化される。なお、この実施形態では各色のトナーはいずれも負に帯電するものとして説明するが、各部の電位を変更して正帯電トナーを使用することも可能である。
各現像器4Y、4C、4M、4Kには、当該現像器に関する情報を記憶するための不揮発性メモリ91〜94がそれぞれ設けられている。そして、各現像器に設けられたコネクタ49Y、49C、49M、49Kのうち必要に応じて選択された1つと、本体側に設けられたコネクタ109とが互いに接続され、エンジンコントローラ10のCPU101とメモリ91〜94との間で通信が行われる。こうすることで、各現像器に関する情報がCPU101に伝達されるとともに、各メモリ91〜94内の情報が更新記憶される。
上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。転写ユニット7は、複数のローラ72〜75に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向D2に回転させる駆動部(図示省略)とを備えている。そして、カラー画像をシートSに転写する場合には、感光体22上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト71上に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、カセット8から1枚ずつ取り出され搬送経路Fに沿って二次転写領域TR2まで搬送されてくるシートS上にカラー画像を二次転写する。
このとき、中間転写ベルト71上の画像をシートS上の所定位置に正しく転写するため、二次転写領域TR2にシートSを送り込むタイミングが管理されている。具体的には、搬送経路F上において二次転写領域TR2の手前側にゲートローラ81が設けられており、中間転写ベルト71の周回移動のタイミングに合わせてゲートローラ81が回転することにより、シートSが所定のタイミングで二次転写領域TR2に送り込まれる。
また、こうしてカラー画像が形成されたシートSは定着ユニット9、排出前ローラ82および排出ローラ83を経由して装置本体の上面部に設けられた排出トレイ部89に搬送される。また、シートSの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートSの後端部が排出前ローラ82後方の反転位置PRまで搬送されてきた時点で排出ローラ83の回転方向を反転し、これによりシートSは反転搬送経路FRに沿って矢印D3方向に搬送される。そして、ゲートローラ81の手前で再び搬送経路Fに乗せられるが、このとき、二次転写領域TR2において中間転写ベルト71と当接し画像を転写されるシートSの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートSの両面に画像を形成することができる。
また、ローラ75の近傍には、濃度センサ60およびクリーナ76が設けられている。濃度センサ60は、必要に応じ、後述するようにして中間転写ベルト71上に形成されるトナー像を構成するトナー量を光学的に検出する。すなわち、濃度センサ60は、トナー像に向けて光を照射するとともに該トナー像からの反射光を受光し、その反射光量に応じた信号を出力する。クリーナ76は、中間転写ベルト71に対し離当接自在に構成され、必要に応じて中間転写ベルト71に当接することで、該ベルト71上の残留トナーを掻き落とす。
また、この装置1では、図2に示すように、メインコントローラ11のCPU111により制御される表示部12を備えている。この表示部12は、例えば液晶ディスプレイにより構成され、CPU111からの制御指令に応じて、ユーザへの操作案内や画像形成動作の進行状況、さらに装置の異常発生やいずれかのユニットの交換時期などを知らせるための所定のメッセージを表示する。
なお、図2において、符号113はホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース112を介して与えられた画像を記憶するためにメインコントローラ11に設けられた画像メモリである。また、符号106はCPU101が実行する演算プログラムやエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶するためのROM、また符号107はCPU101における演算結果やその他のデータを一時的に記憶するRAMである。
図3は静電潜像を形成された感光体表面の電位プロファイルの例を示す図である。また、図4は現像バイアスの一例を示す電圧波形図である。前述したように、光ビームLによる露光に先立って、帯電ユニット23により感光体22は一様な表面電位に帯電される。この表面電位を電位Vniで表す。そして、その表面に部分的に光ビームLが照射されると、その照射部分の電荷が中和されて表面電位はよりゼロに近い値Vimに変化し、こうして感光体22表面に静電潜像が形成される。図3において、位置xは、感光体22表面における位置を表し、より詳しくは、その軸方向における位置を表している。
そして、現像器4Y,4C,4Mおよび4Kのうち現像位置に位置決めされた現像器に設けられた現像ローラ44には、図4に示す波形を有する現像バイアスが印加される。この現像バイアスに含まれる振幅Vpp(=|Vmax−Vmin|)なる交流成分が、トナーを現像ローラ44表面から飛翔させ、ギャップ内で往復運動させる。こうして飛翔した負帯電トナーは、感光体22表面のうち現像バイアスの直流成分Vdcよりも正電位側に帯電した部分、つまり光ビームLにより露光されて表面電位Vimとなっている部分に付着する。その一方、現像バイアスの直流成分Vdcよりも負側の表面電位Vniに帯電した部分にはトナーが付着しない。こうして感光体22上の静電潜像はこれに対応したトナー像として顕像化される。
なお、現像バイアスの波形としては図4に示す矩形波を有するものに限定されず、例えば正弦波や三角波など他の波形であってもよい。また、現像バイアスの直流成分Vdcには、交流成分に重畳された直流電圧のほか、交流成分のデューティ比を変化させることで生じる直流成分が含まれる。
このようにしてトナー像が形成される際に、感光体22およびこれと対向する現像ローラ44との表面電位の大小関係によって、両者の間に放電が生じる場合がある。本願発明者の実験によれば、感光体22表面のうち光ビームLにより露光されてトナーが付着すべき領域とそれ以外の領域とで、このような放電の起こりやすさは相違している。つまり、トナーを付着させるべき画像部と、トナーを付着させない非画像部との双方を含むトナー像を形成したとき、場所によって放電発生のメカニズムが異なっている。以下では、図5および図6を参照しながら、このような放電現象の発生メカニズムについての本願発明者の知見を説明する。
図5は画像部で発生する放電現象を説明する図である。前述したように、感光体22の表面22Sでは、トナーを付着させるべき画像部IMに対応する領域でその表面電位は電位Vimであり、トナーを付着させない非画像部NIに対応する領域でその表面電位は電位Vniである。一方、感光体22とギャップGを隔てて対向配置された現像ローラ44の表面電位は、現像ローラ44に印加される現像バイアスによる電位に、現像ローラ44の表面に担持された負帯電トナーによる負のオフセット電位Vtを加算した電位となる。しかも、この現像バイアスは交流成分を有するので、現像ローラ44の表面電位は時間とともに変化する。すなわち、図5(b)に示すように、現像ローラ44の表面電位は、正側の最大値(Vmax+Vt)と負側の最大値(Vmin+Vt)との間で交互に変化する。
そして、ギャップGにおいて対向する感光体22と現像ローラ44との電位差が火花電圧を超えると放電が発生する。図5(b)に示すように、このような放電が発生するのは、感光体22の画像部IMの電位Vimと現像ローラ44の表面電位の負側の最大値(Vmin+Vt)との間の電位差V1、および、感光体22の非画像部NIの電位Vniと現像ローラ44の表面電位の正側の最大値(Vmax+Vt)との間の電位差V2のいずれかが火花電圧を超えた場合である。このうち、後者による放電については、前述した特許文献2に記載の技術により検知することができる。すなわち、この種の放電の発生については、従来技術によって検知および防止が可能である。
一方、前者による放電については、画像部を形成しない従来技術では検知することができない。また、一般的な構成の画像形成装置では、適度の画像濃度を得るために、感光体22のうち画像部IMの表面電位Vimと現像バイアスの直流成分Vdcとの電位差(一般に「コントラスト電位差」と称される)を所定値に制御しており、その制約から、電位差V1に起因する放電が発生しやすい。このような放電現象は、画像部を有するトナー像形成を行わなければ発生しないため、従来の放電防止技術では、実際の画像形成時における放電発生を十分に防止することができなかったものと考えられる。
このような、感光体22の画像部IMの電位Vimと現像ローラ44の表面電位の負側の最大値(Vmin+Vt)との間の電位差V1に起因する放電現象DS1は、当然のごとく、感光体22上の画像部IMと、これと対向する現像ローラ44表面との間において発生する。現像ローラ44上の放電発生箇所付近では、表面のトナーが弾き飛ばされ、金属製の現像ローラ44表面が露出することが実験において観察された。弾き飛ばされたトナーはその一部が感光体22の放電発生箇所付近に付着し、その他は感光体22上や装置内部に飛散する。飛散したトナーはシートS上に形成される画像の地汚れや装置内部の汚染を引き起こす。
こうして現像ローラ表面が露出すると、その表面電位は帯電トナーによるオフセット分がなくなり現像バイアスそのものとなる。すなわち、放電の起こった領域では、感光体22表面と現像ローラ44表面との間の電位差はV3(=|Vim−Vmin|)となる。この電位差V3は放電の原因となった電位差V1よりも小さいため、この領域では放電が起こりにくくなる。つまり、画像部IMで発生した放電はあまり持続せず、比較的収束しやすい。
なお、ギャップGを通過した感光体表面22Sを観察すると、図5(c)に示すように、画像部IMには現像ローラ44から移動したトナーが付着しているが、放電の発生した箇所では十分な量のトナーが付着せず、斑点状の放電スポットSP1が生じている。
次に、感光体22の画像部IMの電位Vimと現像ローラ44の表面電位の負側の最大値(Vmin+Vt)との間の電位差V1による放電現象が、画像部IMと非画像部NIとの境界付近で発生した場合について検討する。
図6は画像部と非画像部との境界付近で発生する放電現象を説明する図である。このような位置で放電DS2が発生すると、上記の場合と同様に、放電発生箇所付近のトナーが弾き飛ばされ、現像ローラ44表面が露出する。このとき、感光体22上の非画像部NIと対向する位置において現像ローラ44表面が露出すると、その位置における感光体22と現像ローラ44との電位差V4(=|Vmax−Vni|)は、放電がない場合の電位差V2(=|Vmax+Vt−Vni|)よりも大きくなってしまい、この位置で新たな放電が発生する可能性が高くなる。そして、この位置で放電DS3が発生すると、さらにその隣接位置で現像ローラ44表面が露出して感光体22との電位差が大きくなり、これが新たな放電DS4を引き起こすというように、放電が連鎖的に発生することがある。
すなわち、感光体22上の画像部IMと非画像部NIとの境界付近で発生した放電は、その周辺の非画像部NIに次々と新たな放電を引き起こして周辺に伝播してゆき、収束しにくい。こうして放電が発生すると、弾き飛ばされたトナーが、本来トナーを付着させない感光体22上の非画像部NIに付着する。その結果、感光体表面22Sには、図6(c)に示すように、最初の放電DS2により生じた放電スポットSP2から非画像部NIに帯状に延びる放電スポットSP3が形成される。ただし、感光体22は矢印方向D1に移動しているため、感光体上ではその回転方向において、帯状の放電スポットSP3は最初の放電スポットSP2から斜め後方に向かって延びることとなる。また、一の放電発生箇所からその両側に放電が伝播することもあり、その結果、図6(c)の符号SP4に示すように、放電スポットが枝分かれしながら延びてゆく場合もある。実際に、通常より放電が起きやすい条件でトナー像を形成する実験を行ったところ、1つの放電スポットから多岐に分岐してツリー状に延びた付着トナーの帯が非画像部に広がるのが観察された。
なお、前記したように、画像部IM内では現像ローラ44表面の露出による表面電位の変化は、より放電が起きにくい方向に作用する。したがって、画像部IMの内部に向かってこのような放電の伝播が起きることは少ない。
以上を整理すると次の通りである:
(1)感光体22表面のうちトナーを付着させるべき画像部IMと、現像バイアスの負側の最大値を印加された現像ローラ44表面との間で放電が起こりやすい;
(2)放電が発生すると、現像ローラ44表面の放電発生箇所付近のトナーが弾き飛ばされ、感光体22表面に付着して放電スポットを形成したり、装置内部に飛散する;
(3)感光体22表面のうち、画像部IMの内部で放電が発生した場合、その部分に放電スポットを生じるが、放電はすぐに収束する;
(4)感光体22表面のうち、画像部IMとトナーを付着させない非画像部NIとの境界部付近で放電が発生した場合、放電発生箇所に隣接する非画像部で場所を変えながら連鎖的に放電が発生することがある。その結果、非画像部には複数の放電スポットが連続的に形成され、これらが連なって帯状の斑点となって現れる;
(5)このような放電の連鎖は、画像部IMの内部で起こることは少ない。
(1)感光体22表面のうちトナーを付着させるべき画像部IMと、現像バイアスの負側の最大値を印加された現像ローラ44表面との間で放電が起こりやすい;
(2)放電が発生すると、現像ローラ44表面の放電発生箇所付近のトナーが弾き飛ばされ、感光体22表面に付着して放電スポットを形成したり、装置内部に飛散する;
(3)感光体22表面のうち、画像部IMの内部で放電が発生した場合、その部分に放電スポットを生じるが、放電はすぐに収束する;
(4)感光体22表面のうち、画像部IMとトナーを付着させない非画像部NIとの境界部付近で放電が発生した場合、放電発生箇所に隣接する非画像部で場所を変えながら連鎖的に放電が発生することがある。その結果、非画像部には複数の放電スポットが連続的に形成され、これらが連なって帯状の斑点となって現れる;
(5)このような放電の連鎖は、画像部IMの内部で起こることは少ない。
以上の知見に鑑みれば、ギャップGにおける放電の発生を次のようにして検知することができる:
(a)トナーを付着させるべき画像部IMを有するテスト用のトナー像を形成することで、実際の画像形成時に生じうる放電を検知することができる;
(b)画像部での放電の発生を示す放電スポットが画像部に現れるか否かを検出することによって、放電発生の有無を検知することができる;
(c)画像部での放電に起因する放電スポットの連鎖が非画像部に現れるか否かを検出することによって、放電発生の有無を検知することができる;
(d)放電スポットの有無は、感光体22上のトナー濃度、または感光体22からトナー像を転写される中間転写ベルト71上のトナー濃度を測定することにより検出することができる;
(e)上記(b)および(c)を併せて実行することで、より高い確度で放電発生の有無を検知することができる。
(a)トナーを付着させるべき画像部IMを有するテスト用のトナー像を形成することで、実際の画像形成時に生じうる放電を検知することができる;
(b)画像部での放電の発生を示す放電スポットが画像部に現れるか否かを検出することによって、放電発生の有無を検知することができる;
(c)画像部での放電に起因する放電スポットの連鎖が非画像部に現れるか否かを検出することによって、放電発生の有無を検知することができる;
(d)放電スポットの有無は、感光体22上のトナー濃度、または感光体22からトナー像を転写される中間転写ベルト71上のトナー濃度を測定することにより検出することができる;
(e)上記(b)および(c)を併せて実行することで、より高い確度で放電発生の有無を検知することができる。
また、このような放電検知技術は、次のように利用することができる:
(f)現像バイアスの振幅Vpp(図4)を設定する際、放電の発生しないバイアス設定が可能;
(g)現像バイアスの振幅Vppを可変パラメータとする場合でも、放電が起き始める振幅を可変範囲の上限値とすることで、放電の発生を防止することができる。
(f)現像バイアスの振幅Vpp(図4)を設定する際、放電の発生しないバイアス設定が可能;
(g)現像バイアスの振幅Vppを可変パラメータとする場合でも、放電が起き始める振幅を可変範囲の上限値とすることで、放電の発生を防止することができる。
そこで、この実施形態においては、上記放電検知技術を次のように利用している。すなわち、この実施形態では、画像濃度に影響を与える濃度制御因子としての装置各部の動作パラメータを調整する濃度制御処理を適当なタイミングで実行することで画像濃度を制御する。その調整に先立って、上記放電検知技術を用いて現像バイアスの振幅Vppの上限値を定める上限値設定処理を行う。そして、その上限値に基づいて現像バイアスの設定を行うことで、ギャップGでの放電の発生を未然に防止しながら、所定の画像品質を得られる動作条件を決定する。
なお、上記濃度制御処理については、画像品質維持の観点から、いずれかのユニットが交換された直後や装置の電源投入直後、画像形成枚数が一定枚数に達した時などに実行するのが好ましいが、上限値設定処理については、その実行頻度は濃度制御処理のそれより低くてよい。というのは、1台の画像形成装置を継続的に使用する場合において、放電の起こりやすさが頻繁に変化することはあまりないからである。放電の起こりやすさが変化するのは、主にギャップGの大きさまたはギャップGにおける気圧が大きく変動した場合である。したがって、この上限値設定処理は、感光体ユニット2および現像ユニット4Y,4M,4C,4Kのいずれかが交換されたとき(ユニットの寸法ばらつき等によりギャップGが変動する)、設置場所が変更されたとき(設置場所の標高により気圧が変動する)およびサービスマンによる定期点検時で必要と判断されたとき等に、濃度制御処理より低い頻度で実行されればよい。
すなわち、濃度制御処理を実行する際に常に上限値設定処理を併せて行う必要はない。また、後述するように、上限値設定処理はトナー像の形成動作を含むので、トナー節約の観点からも、その実行頻度は最小限に抑えることが好ましい。ただし、現像バイアスの振幅を変更すれば画像濃度にも影響が出るので、上限値設定処理を実行したときには、引き続いて濃度制御処理を行って動作条件を再調整するのが望ましい。
図7はこの実施形態における放電検知方法を説明する原理図である。この放電検知方法では、現像バイアスの振幅をある値Vppに設定してテスト用のトナー像TIを形成し、中間転写ベルト71上に転写されたそのトナー像の濃度を濃度センサ60により測定する。そして、その測定結果に基づいて放電スポットが現れるか否かを検出し、該振幅Vppの現像バイアスの下で放電が発生するか否かを判定する。このテスト用トナー像TIは、図7に示すように、帯状のベタ画像である画像部IMと、その周囲を取り囲むハイライト画像である非画像部NIとの双方を含むトナー像である。
中間転写ベルト71の長手方向、すなわちその移動方向D2に沿った画像部IMの長さLpについては、感光体22の周長以上とするか、現像ローラ44の周長と、現像ローラ44および感光体22の周速比(感光体表面の移動速度に対する現像ローラ表面の移動速度の比)との積以上の長さとするのが好ましい。その理由は次の通りである。感光体22および現像ローラ44はいずれもローラ状の回転体として構成されているが、これらの加工上の寸法ばらつきや反り、偏心、さらに組み付け時のガタ等に起因して、ギャップGの大きさが周期的に変動することがある。放電はギャップGが小さくなるほど起こりやすいから、ギャップGが最小のときでも放電が起きないことを確認しておく必要がある。画像部IMの長さLpを上記のように設定しておけば、その中にギャップ最小で形成された部分が必ず含まれるから、放電が起きるか否かをより確実に検知することができる。
なお、画像部IMの長さLpを、感光体22、現像ローラ44のいずれの周長に基づいた長さとするかについては、装置の構成に応じて、つまりギャップ変動の主たる要因がどちらにあるかによって決めればよい。また、これらの周長の公倍数以上となるように長さLpを定めれば放電防止という点ではより確実であるが、あまり長くしすぎるとトナー消費量が多くなってしまう。
また、この実施形態では、1つの濃度センサ60により画像部IMおよび非画像部NIの濃度検出を可能とするために、中間転写ベルト71の移動方向D2において画像部IMより下流側の非画像部NIの濃度検出を行う。この点からも、画像部IMの長さは制約される。すなわち、画像部IMの下流側にできるだけ広い非画像部NIが設けられるのが好ましい。
一方、画像部IMの幅、すなわち上記長手方向に直交する中間転写ベルト71の幅方向の長さについては、濃度センサ60により濃度検出可能な幅Ws以上であればよい。この長さをあまり大きくしてもトナー消費量の増大を招く。
また、中間転写ベルト71の幅方向における画像部IMの形成位置については、現像ローラ44と感光体22との位置関係において放電が起きる可能性の最も高い位置、つまり両者が最接近する位置(代表的には、現像ローラ44または感光体22の軸方向における中央付近)とするのが好ましい。なお、画像部IMを形成された位置において濃度センサ60による濃度検出が可能でなければならないことはもちろんである。
また、画像部IMの画像パターンはベタ画像に限定されるものではなく他のパターンであってもよい。ただし、画像部IMに占めるドット部の面積ができるだけ大きいパターンであることが好ましい。このような画像パターンでは、感光体22上において静電潜像内の電位差が大きいため他のパターンより放電が起こりやすく、また中間転写ベルト71上において画像部IMが高濃度となるためトナー量が不足した放電スポットの識別が容易である。
このように構成されたテスト用トナー像TIを形成する際に放電が発生していれば、それを示す放電スポットが中間転写ベルト71上に現れるはずである。画像部IMの内部での放電発生を示す放電スポットSP1については、画像部IM内の複数位置で濃度サンプリングを行い、他の位置での濃度検出値よりも異常に低い濃度を示すサンプリングデータとして検出可能である。
一方、画像部IMと非画像部NIとの境界付近での放電を示す放電スポットSP2については、画像部IMでの濃度サンプリングでは直接検出されない可能性が高い。しかしながら、前述したように、この位置での放電現象は非画像部に伝播しやすい。その結果、放電スポットSP2から後方に延びるツリー状の放電スポットSP3が形成されるので、これを検出することで、このような放電の発生を間接的に検知することが可能である。
図8は放電スポットと濃度検出値との対応を示す図である。テスト用トナー像TIを形成された中間転写ベルト71を方向D2に移動させながら、濃度センサ60からの出力信号を定期的にサンプリングすることによって、図8に示すように、中間転写ベルト71上の異なる位置におけるトナー濃度が検出される。なお、この濃度センサ60はトナー像からの反射光量を検出しているのでトナー濃度が高いほど出力信号のレベルは低下するが、図8に示す「濃度検出値」はこの出力信号をトナー濃度に換算した値であり、上方ほど高濃度であることを示す。
このようにテスト用画像TIの濃度サンプリングを行った場合、画像部IMよりも上流側(図8において左方)では、中間転写ベルト71自身の表面色に対応した低い濃度検出値が得られる。ただし、その値は中間転写ベルト71の色ムラや測定誤差等に起因する変動を含むため必ずしも一定ではない。
一方、画像部IM内においては、高濃度を示す濃度検出値が得られる。しかし、放電スポットSP1に対応する位置では、放電によりトナーが弾き飛ばされたため、その周辺より異常に低い濃度を示す濃度検出値P1が現れる。このことから、画像部IMにおける濃度検出値について、正常な部分と放電スポットとを識別するための判定基準値Dth1を定めておき、画像部IMにおける各濃度検出値とこの判定基準値Dth1とを比較して、基準値Dth1を下回る濃度検出値があれば、画像部IM内において放電が発生したと判定することができる。
さらに、画像部IMよりも下流側の非画像部NIで濃度サンプリングを行うと、画像部IMの上流側でのサンプリング結果と同様に、低い濃度検出値が得られるはずである。しかしながら、画像部IMで生じた放電に連なる連鎖的な放電の結果として生じる帯状の放電スポットSP3が画像部IMの下流側でのサンプリング位置に達していれば、その位置における濃度検出値P2はその周辺より異常に高い濃度を示すこととなる。このことから、非画像部NIにおける濃度検出値について、正常な部分と放電スポットとを識別するための判定基準値Dth2を定めておき、非画像部NIにおける各濃度検出値とこの判定基準値Dth2とを比較して、基準値Dth2を上回る濃度検出値があれば、画像部IM周辺において放電が発生したと判定することができる。
このように、画像部IMおよび非画像部NIをともに含む図7のようなテスト用画像TIを形成し、その画像部IMまたは非画像部NIのいずれかにおいて濃度検出を行い、放電スポットの有無を調べることによって、放電が発生するか否かを判定することが可能である。そして、画像部IMおよび非画像部NIの双方においてこのような放電検知を行うことによって、放電検知の確度をより高めることができる。
前記したように、画像部IM内で発生した放電は短時間で収束するため、画像部IM内に生じる放電スポットSP1は比較的小さなものである。そのため、画像部IMでの濃度検出結果だけで放電の有無を判定した場合、放電の発生位置やサンプリングのタイミングによっては検出されずに見過ごされてしまうおそれがある。一方、非画像部NIで発生した放電は持続して帯状の放電スポットSP3を生じる。このような放電スポットはサイズが大きいため検出が比較的容易であるが、濃度センサ60により濃度検出可能な領域に現れるとは限らない。そこで、画像部IMおよび非画像部NIの双方において濃度検出を行い、いずれか一方でも放電スポットが検知されたときには放電が発生したと判定することで、放電検知の確度をさらに高めることが可能となる。
以上のようにして放電の発生を検知することによって、現像バイアスの振幅をどこまで上げることができるか、つまり、現像バイアスの振幅として設定可能な上限値を求めることができる。現像バイアスの振幅の大きさは、ギャップGにおけるトナー飛翔量を左右するから、画像品質にも影響のあるパラメータである。一般的には、ギャップGにおけるトナー飛翔量を十分に大きくしておくことによって、濃度ムラの少ない良好な画像品質が得られる。したがって、ギャップGにおいて放電が起きない範囲で現像バイアスの振幅をできるだけ大きく設定したい。また、現像バイアスの振幅を変更設定することで画像濃度を制御する場合にも、その振幅をどこまで上げることができるかが予めわかっていれば好都合である。上記のような確度の高い放電検知方法は、このような要求に応える技術として好適なものである。
図9はこの実施形態における現像バイアスの上限値設定処理および濃度制御処理を示すフローチャートである。上限値設定処理では、現像バイアスの振幅の可変範囲において、ギャップGで放電の発生しない振幅の最大値を定める。すなわち、まず現像バイアスの振幅Vppを可変範囲内の最大値に仮設定し(ステップS1)、そのバイアス条件の下でテスト用画像TI(図7)を形成する(ステップS2)。なお、可変の濃度制御因子として他の動作パラメータを持っている場合には、例えば最も高濃度となる条件にそれらを仮設定しておくとよい。こうして形成され、中間転写ベルト71上に転写されたテスト用画像TIについて、濃度センサ60により濃度サンプリングを行う(ステップS3)。この濃度サンプリングは、図8に示すように、テスト用画像TI内の画像部IM、非画像部NIの双方について行う。画像部IMの後方の非画像部NIにおける濃度検出は、少なくとも画像部IMの長さLp以上の長さにわたって行うのが好ましい。
次に、濃度サンプリングの結果のうち画像部IMについての濃度検出値に基づき、画像部IMでの放電判定(図10)を行う(ステップS4)。
図10はこの実施形態における放電判定処理を示すフローチャートである。この処理では、まず放電スポットが存在するか否かを識別する基準となる濃度基準値を設定する(ステップS101)。画像部IMについての濃度基準値は、図8における判定基準値Dth1に相当する。この濃度基準値Dth1の決め方については後述する。そして、こうして定めた濃度基準値Dth1と、画像部IMにおける各濃度検出値とを順次比較する(ステップS102)。
この比較の結果、基準外の濃度検出値、つまり濃度基準値Dth1よりも低濃度を示す濃度検出値があった場合には(ステップS103におけるYESの分岐)、画像部IMにおいて放電が発生したと判定し(ステップS105)、図9の処理に復帰する。一方、基準外の濃度検出値がなければ(ステップS103におけるNOの分岐)、放電なしと判定して図9の処理に復帰する(ステップS104)。
こうして画像部IMにおける放電の有無が判定されると、図5のステップS5に戻る。放電ありと判定された場合には(ステップS5におけるYESの分岐)、現在の現像バイアスの振幅Vppがその可変範囲における最小値であるか否かを判断する(ステップS10)。最小値でなかった場合には、その振幅を1段階低い値に変更設定し(ステップS11)、ステップS2に戻って、テスト用画像TIの形成とその濃度検出結果に基づく放電判定を再度実行する。一方、ステップS10において現像バイアスの振幅Vppが既に最小値であった場合には、振幅を最小にしても放電が起こることから、装置に何らかの異常が生じているものと考えられるので、所定のエラー処理を実行して装置の動作を停止させる(ステップS12)。ここでのエラー処理の内容は任意であるが、例えば、装置各部へのバイアス電圧の印加を停止して画像形成動作を禁止するとともに、所定のエラーメッセージを表示部12に表示したり、アラーム音を鳴らすことにより、ユーザに対し異常の発生を報知することができる。
また、画像部での放電がなかったと判定された場合には(ステップS5におけるNOの分岐)、続いて、濃度サンプリングの結果のうち非画像部NI、特に画像部IMよりも下流側の非画像部についての濃度検出値に基づき、放電判定を行う(ステップS6)。この場合の放電判定処理の内容は、上記した画像部でのそれと基本的に同一である。ただし、ステップS101における濃度基準値は図8に示す判定基準値Dth2に相当する値である点、および、ステップS103においてはこの基準値Dth2を超える濃度検出値があったときに放電発生と判定する点が異なっている。
こうして非画像部NIでの放電判定の結果、放電ありと判定された場合には(ステップS7におけるYESの分岐)、画像部IMで放電ありと判定されたときと同様に、ステップS10以降の処理を実行する。一方、放電なしと判定されれば(ステップS7におけるNOの分岐)、画像部IM、非画像部NIのいずれでも放電が検知されなかったので、このときの現像バイアスの振幅Vppをその上限値として設定する(ステップS9)。そして、こうして設定された上限値を踏まえて濃度制御処理を実行する(ステップS9)。より具体的には、この上限値を超えないように現像バイアスの振幅を設定しながら、画像濃度に影響を与える濃度制御因子を調整することで画像濃度を制御する。
濃度制御因子として使用することのできる動作パラメータや、その具体的な調整方法については従来より多くの技術が提案されており(例えば、本願出願人が先に開示した特開2002−214852号公報参照)、この実施形態における濃度制御処理についてもこれらの公知技術を適用することが可能であるのでここでは説明を省略する。この場合においても、現像バイアスの振幅Vppについては常に上記した上限値を超えないようにしながら調整を行うことで、ギャップGでの放電の発生が未然に防止され、各動作パラメータを適正に設定することができる。その結果、この実施形態では、所定の画像品質で安定して画像形成を行うことが可能となる。
次に、放電判定のための濃度基準値の定め方について説明する。各動作パラメータの調整を行っていない状態で形成される画像の濃度変化が比較的少ない場合には、装置構成に応じて濃度基準値Dth1、Dth2を予め定めておくことができる。例えば、濃度制御処理において使用するベタ画像の目標濃度の70%および30%に相当する値を、それぞれ画像部用の濃度基準値Dth1および非画像部用の濃度基準値Dth2とすることができる。また、例えば、2つの濃度目標値Dth1、Dth2をいずれも上記目標濃度の50%に相当する値としてもよい。これらの値は、装置の濃度変動の程度や、どのような濃度の放電スポットが生じやすいかなど、装置の構成に応じて適宜定めることができる。
また、現像器4Y等に設けられたメモリ91等に予め記憶された値、またはその値に基づいて算出した値を濃度基準値として使用してもよい。こうすれば、内蔵トナーの特性に応じた濃度基準値が使用されるので、トナーの特性ばらつきによる誤判定が起こりにくくなる。
また、画像部IMまたは非画像部NIにおける濃度検出値の平均値を求め、その平均値に対して一定値を加えたまたは乗じた値を濃度基準値としてもよい。例えば、画像部IMの濃度検出値の平均値の70%に対応する値を濃度基準値Dth1とすることができる。つまり、画像部IMの濃度平均値に対して一定の許容範囲を定め、これを超える偏差を有する濃度検出値の存在をもって放電スポットありとする考え方である。この場合において、上記平均値は、画像部IMにおける全ての濃度検出値を平均したものであってもよいし、これらのうち値の小さいものから順にいくつかの値を除外して平均したもの(大きいものから順に所定個数の値を累積平均したものと等価である)であってもよい。後者の方法は、放電スポット上で検出された濃度検出値を算入することにより平均値が低下して本来の画像濃度(放電スポットがない場合の画像濃度)との乖離が大きくなり、誤判定が増えるのを防止するためである。
さらに、上記平均値に代えて、濃度検出値をサンプリング順に累積平均し、その累積平均値に基づいて濃度基準値を定めるようにしてもよい。この方法によれば、濃度サンプリングと並行して放電検知を行うことができるので、比較的短時間で放電の発生を検知することが可能となる。この場合には、濃度基準値は一義的な値として定められるのではなく、サンプリングが進むにつれて刻々と変更されてゆくこととなる。
なお、これらの考え方は、非画像部用の濃度基準値Dth2に対しても適用することができる。また、濃度検出値の設定および放電の検知については、各トナー色毎に個別に行う必要があることは言うまでもない。また、例えば、いずれか1つの現像器が交換された直後に行う上限値設定処理では、交換された現像器についてのみ上記処理を行うようにしてもよいし、全色について上記処理を行ってもよい。
以上のように、この実施形態では、ベタ画像である画像部IMと非画像部NIとの双方を有するテスト用画像TIを形成し、ギャップGにおける放電の有無を判定している。このように、放電の起きやすい条件で画像形成動作を実行し、そのときの放電の有無を予め調べておくことで、以後の画像形成動作において放電が発生するのを未然に防止することができる。
また、非画像部NIの複数位置で濃度検出を行い、その濃度検出値に基づき、放電によって生じる放電スポットを検出することによって、放電の有無を判定することが可能である。非画像部では放電スポットは連続的に形成されるので、見落としが少なく確度の高い判定が可能である。
このように、この実施形態によれば、画像形成動作を実行する際に起こりうる放電を高い確度で検知することができる。そして、このような放電検知技術に基づき、放電の発生を未然に防止しながら、現像バイアスの振幅を適正に設定することができる。その結果、この実施形態の画像形成装置では、画像品質の良好な画像を安定して形成することができる。
(第2実施形態)
本発明の趣旨によれば、上記した上限値設定処理において、画像部IMの濃度検出およびその結果に基づく画像部IMでの放電判定を必ずしも行わなくてよい。というのは、前記したように、非画像部NIでの濃度検出およびその結果に基づく非画像部NIでの放電判定により、画像部IMでの放電の発生を間接的に検知可能だからである。このようにする場合には、非画像部NIにおける濃度検出を画像部IMの下流側で行う必要は必ずしもなく、例えば以下に説明する本発明の第2実施形態のようにして放電を検知することも可能である。
本発明の趣旨によれば、上記した上限値設定処理において、画像部IMの濃度検出およびその結果に基づく画像部IMでの放電判定を必ずしも行わなくてよい。というのは、前記したように、非画像部NIでの濃度検出およびその結果に基づく非画像部NIでの放電判定により、画像部IMでの放電の発生を間接的に検知可能だからである。このようにする場合には、非画像部NIにおける濃度検出を画像部IMの下流側で行う必要は必ずしもなく、例えば以下に説明する本発明の第2実施形態のようにして放電を検知することも可能である。
本発明にかかる画像形成装置の第2実施形態における装置構成および基本的な動作は上記した第1実施形態の装置と同一である。ただし、ギャップGにおける放電の有無を判定するためのテスト用トナー像の画像パターンおよび放電の検知方法が第1実施形態の場合とは相違している。
図11は第2実施形態における放電検知方法を説明する原理図である。図11に示すように、この場合のテスト用トナー像TIaも画像部IMaと非画像部NIaとを備えている。このうち画像部IMaについては、濃度センサ60により濃度検出可能な位置(濃度検出位置)である中間転写ベルト71上の幅Wsの範囲外であって、かつその近傍である位置に設けている。また、その長さについては第1実施形態におけるテスト用画像TIの画像部IMと同じ長さLpとする一方、その幅Wpについてはより小さくしている。より具体的には、ギャップGで放電が発生したときに生じる放電スポットの代表的な幅と同等またはこれより狭くなるように、画像部IMaの幅Wpを設定する。
前述したように、画像部内部での放電は持続しにくく、しかも非画像部での濃度検出によっては検知することができない。しかし、画像部IMaの幅Wpを放電スポットの幅またはそれ以下とすれば、画像部IMaで生じた放電の影響は高い確率で非画像部NIaにまで及ぶこととなる。つまり、こうすることで、画像部IMaでの放電が非画像部NIaでの放電スポットSP4の形成を誘発しやすくなり、その結果、放電の発生をより高い確度で検知することが可能となる。
また、画像部IMaの形成位置とは異なる濃度検出位置で濃度検出を行うことによって、濃度検出結果が画像部IMa自体の濃度の影響を受けることがなく、放電スポットが形成されたことによる非画像部NIaの高濃度部分を検知しやすくなる。また、非画像部NIaへの放電スポットの広がり方やその長さは不規則である。したがって、広がりの小規模な放電スポットを確実に検知するためには、非画像部NIaのうち画像部IMaの近傍、より好ましくは画像部IMaの幅方向における画像部IMaの端部に隣接する近傍領域で濃度検出を行うのが望ましい。こうすることで、比較的短時間で放電が収束し小さな放電スポットしか形成されなかった場合でも確実にそれを検出することができるので、放電検知の確度を向上させることができる。
なお、画像部IMaについては、より確実に放電の発生を検知するため、ギャップGにおいて最も放電が起きやすい位置に設けるのが好ましい。例えば、一般には現像ローラ44や感光体22の反りにより、ギャップGの中央付近で両者の距離が最小となって放電が最も起きやすいから、このような位置に画像部IMaを設けるのが好ましい。一方、濃度濃度センサ60の取り付け位置については、この実施形態では画像部NIaの位置とは独立に定めることができるので、例えば装置構成上好ましい位置、または濃度制御処理における濃度検出に最適な位置とすることができる。
図12はこの実施形態における現像バイアスの上限値設定処理および濃度制御処理を示すフローチャートである。この処理(ステップS21〜S30)では、前述した第1実施形態における処理(図9)のうち画像部における放電判定(ステップS4、S5)を除く各処理を実行する。ただし、ステップS3における濃度サンプリングは、非画像部NIaについてのみ実行すればよい。また、ステップS24における放電判定は、第1実施形態と同様に、図10に示す処理を実行することによりなされる。さらに、こうして放電の有無を判定した後に行う現像バイアス振幅の上限値の設定(ステップS26)や、それに続く濃度制御処理(ステップS27)についても、前述した第1実施形態(ステップS8およびS9)と同様にして処理することができる。
以上のように、この実施形態では、画像部IMaと非画像部NIaとの双方を含むテスト用画像TIaを形成し、そのうちの非画像部NIaの濃度検出結果に基づきギャップGにおける放電の有無を判定している。このように、非画像部NIaについてのみ濃度検出を行うことによっても、第1実施形態と同様に、放電の発生を高い確度で検知し、その結果に基づき、放電の発生を防止しつつ、現像バイアスの振幅を適正に設定することが可能である。
また、テスト用トナー像TIaのうち画像部IMaの中間転写ベルト71上の形成位置と、濃度センサ60の取り付け位置とを個別に設定することができるので、それぞれの位置として最も適切な位置を選択することができる。
(その他)
以上説明したように、これらの実施形態では、静電潜像を担持する感光体22が、本発明における「潜像担持体」として機能する一方、トナーを担持する現像ローラ44が、本発明の「トナー担持体」として機能している。また、エンジンコントローラ10が、本発明の「制御手段」として機能している。また、これらの実施形態では、上限値設定処理の実行後に行う濃度制御処理が、本発明の「調整処理」に相当する。また、2つの濃度基準値Dth1、Dth2のうち非画像部に対応した濃度基準値Dth2が本発明の「非画像部用判定基準値」に相当している。
以上説明したように、これらの実施形態では、静電潜像を担持する感光体22が、本発明における「潜像担持体」として機能する一方、トナーを担持する現像ローラ44が、本発明の「トナー担持体」として機能している。また、エンジンコントローラ10が、本発明の「制御手段」として機能している。また、これらの実施形態では、上限値設定処理の実行後に行う濃度制御処理が、本発明の「調整処理」に相当する。また、2つの濃度基準値Dth1、Dth2のうち非画像部に対応した濃度基準値Dth2が本発明の「非画像部用判定基準値」に相当している。
なお、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記第1実施形態では、1つの濃度センサ60で画像部IMおよび非画像部NIの濃度検出を行うため、画像部IMの下流側に位置する非画像部NIにおいて濃度検出を行うようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば、画像部IMの側方に位置する非画像部の濃度を検出するようにしてもよい。ただしこの場合、画像部IMおよび非画像部NI双方の濃度検出を行うためには、2個の濃度センサが必要となる。
また、例えば、上記各実施形態では、画像部IMまたは非画像部NI(NIa)に1つでも放電スポットが検出されれば放電ありと判定するようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば、放電スポットの存在を示す濃度検出値が所定個数以上あった場合に放電ありと判定するようにしてもよい。
また、例えば、上記各実施形態における現像ローラ44は金属製であるが、例えば樹脂製など他の材料で形成された現像ローラを有する装置に対しても本発明を適用可能である。ただし、本実施形態のように、その表面が導電性を有する構造の現像ローラにおいては、表面での放電が持続しやすいので、本発明を適用することにより奏される放電防止効果が特に顕著である。
また、例えば、上記各実施形態におけるテスト用画像TI(TIa)の画像部IM(IMa)は帯状のベタ画像であるが、画像部のパターンや形状はこれに限定されるものではない。また、1つの連続した画像パターン以外に、複数個に分割された画像であってもよい。
また、例えば、上記各実施形態では、感光体22から中間転写ベルト71に転写されたテスト用画像TI(TIa)に生じる放電スポットを検出しているが、感光体22上において放電スポットを検出するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態の構成に限定されず、例えばブラック色トナーに対応した現像器のみを備えモノクロ画像を形成する装置や、中間転写ベルト以外の転写媒体(転写ドラム、転写シートなど)を備える装置、さらには複写機、ファクシミリ装置など他の画像形成装置に対しても本発明を適用することが可能である。
10…エンジンコントローラ(制御手段)、 22…感光体(潜像担持体)、 44…現像ローラ(トナー担持体)、 60…濃度センサ、 Dth1…画像部用判定基準値、 Dth2…非画像部用判定基準値、 IM…画像部、 NI…非画像部、 SP1〜SP3…放電スポット、 TI…テスト用トナー像、 Vpp…現像バイアスの振幅
Claims (14)
- その表面に静電潜像を担持可能な潜像担持体と、
前記潜像担持体に対しギャップを隔てて対向配置され、その表面に帯電トナーを担持するトナー担持体と、
交流電圧、または交流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を現像バイアスとして前記トナー担持体に印加し、前記トナー担持体に担持された前記トナーを前記潜像担持体に移動させることで前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、トナーを付着させるべき画像部とトナーを付着させない非画像部とを有する前記トナー像を形成し、該トナー像のうち前記非画像部の濃度検出結果に基づいて、前記ギャップにおける放電の発生の有無を判定することを特徴とする画像形成装置。 - 前記制御手段は、前記非画像部における濃度検出結果が、所定の非画像部用判定基準値よりも高濃度であるときに、前記ギャップにおける放電ありと判定する請求項1に記載の画像形成装置。
- その表面に静電潜像を担持可能な潜像担持体と、
前記潜像担持体に対しギャップを隔てて対向配置され、その表面に帯電トナーを担持するトナー担持体と、
交流電圧、または交流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を現像バイアスとして前記トナー担持体に印加し、前記トナー担持体に担持された前記トナーを前記潜像担持体に移動させることで前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、前記現像バイアスの振幅を所定の範囲で変更設定可能となっており、しかも、
トナーを付着させるべき画像部とトナーを付着させない非画像部とを有する前記トナー像を形成し、該トナー像のうち前記非画像部の濃度検出結果に基づいて、前記現像バイアスの振幅の上限値を設定する上限値設定処理を実行し、
該上限値に基づいて前記現像バイアスの振幅を設定する
ことを特徴とする画像形成装置。 - 前記制御手段は、前記現像バイアスの振幅を前記上限値を超えない値に設定する請求項3に記載の画像形成装置。
- 前記制御手段は、前記非画像部における濃度検出結果が、所定の非画像部用判定基準値よりも低濃度となるように、前記現像バイアスの振幅の上限値を設定する請求項3または4に記載の画像形成装置。
- 前記制御手段は、前記非画像部における濃度検出結果が前記非画像部用判定基準値よりも低濃度となる範囲で最も大きな値を、前記現像バイアスの振幅の上限値とする請求項5に記載の画像形成装置。
- 前記制御手段は、前記上限値設定処理を実行した後に、画像濃度に影響を与える濃度制御因子の調整処理を実行する請求項3ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記画像部がベタ画像である請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
- 前記潜像担持体が所定方向に回転する回転体として構成された請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像部の前記潜像担持体の周方向に沿った長さが、前記潜像担持体の周長以上である画像形成装置。 - 前記トナー担持体が所定方向に回転する回転体として構成された請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像部の前記トナー担持体の周方向に沿った長さが、前記トナー担持体の周長に対応した長さである画像形成装置。 - 前記トナー担持体表面が、導電性材料により形成されている請求項1ないし10のいずれかに記載の画像形成装置。
- その表面に静電潜像を担持可能な潜像担持体と、その表面に帯電トナーを担持するトナー担持体とをギャップを隔てて対向配置させるとともに、
交流電圧、または交流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を現像バイアスとして前記トナー担持体に印加し、前記トナー担持体に担持された前記トナーを前記潜像担持体に移動させることで前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成する画像形成装置における放電検知方法において、
トナーを付着させるべき画像部とトナーを付着させない非画像部とを有する前記トナー像を形成し、該トナー像のうち前記非画像部の濃度検出結果に基づいて、前記ギャップにおける放電の発生の有無を判定することを特徴とする画像形成装置における放電検知方法。 - その表面に静電潜像を担持可能な潜像担持体と、その表面に帯電トナーを担持するトナー担持体とをギャップを隔てて対向配置させるとともに、
交流電圧、または交流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を現像バイアスとして前記トナー担持体に印加し、前記トナー担持体に担持された前記トナーを前記潜像担持体に移動させることで前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成する画像形成方法において、
トナーを付着させるべき画像部とトナーを付着させない非画像部とを有する前記トナー像を形成し、該トナー像のうち前記非画像部の濃度検出結果に基づいて前記現像バイアスの振幅の上限値を設定し、
該上限値に基づいて前記現像バイアスの振幅を設定する
ことを特徴とする画像形成方法。 - その表面に静電潜像を担持可能な潜像担持体と、その表面に帯電トナーを担持するトナー担持体とをギャップを隔てて対向配置させるとともに、
交流電圧、または交流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を現像バイアスとして前記トナー担持体に印加し、前記トナー担持体に担持された前記トナーを前記潜像担持体に移動させることで前記静電潜像を顕像化してトナー像を形成する画像形成方法において、
トナーを付着させるべき画像部とトナーを付着させない非画像部とを有する前記トナー像を形成し、該トナー像のうち前記非画像部の濃度検出結果に基づいて、前記ギャップにおける放電の発生の有無を判定し、
前記放電が発生すると判定したときには、前記現像バイアスの振幅を変更設定する
ことを特徴とする画像形成方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003395001A JP2005156904A (ja) | 2003-11-26 | 2003-11-26 | 画像形成装置、該装置における放電検知方法および画像形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003395001A JP2005156904A (ja) | 2003-11-26 | 2003-11-26 | 画像形成装置、該装置における放電検知方法および画像形成方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005156904A true JP2005156904A (ja) | 2005-06-16 |
Family
ID=34720872
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003395001A Withdrawn JP2005156904A (ja) | 2003-11-26 | 2003-11-26 | 画像形成装置、該装置における放電検知方法および画像形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005156904A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010054739A (ja) * | 2008-08-27 | 2010-03-11 | Kyocera Mita Corp | 画像形成装置 |
JP2010085591A (ja) * | 2008-09-30 | 2010-04-15 | Kyocera Mita Corp | 現像装置及びそれを備えた画像形成装置 |
US8010005B2 (en) | 2007-07-26 | 2011-08-30 | Ricoh Company Limited | Image forming apparatus |
JP2020154068A (ja) * | 2019-03-19 | 2020-09-24 | 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 | 画像形成装置 |
-
2003
- 2003-11-26 JP JP2003395001A patent/JP2005156904A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8010005B2 (en) | 2007-07-26 | 2011-08-30 | Ricoh Company Limited | Image forming apparatus |
JP2010054739A (ja) * | 2008-08-27 | 2010-03-11 | Kyocera Mita Corp | 画像形成装置 |
JP2010085591A (ja) * | 2008-09-30 | 2010-04-15 | Kyocera Mita Corp | 現像装置及びそれを備えた画像形成装置 |
JP2020154068A (ja) * | 2019-03-19 | 2020-09-24 | 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 | 画像形成装置 |
JP7346860B2 (ja) | 2019-03-19 | 2023-09-20 | 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 | 画像形成装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2007071985A (ja) | 画像形成装置 | |
JP2007187734A (ja) | 画像形成装置 | |
JP2007047553A (ja) | 画像形成装置および画像形成方法 | |
JP2007047554A (ja) | 画像形成装置および画像形成方法 | |
JP2005164852A (ja) | 画像形成装置、該装置における放電検知方法および画像形成方法 | |
JP4389615B2 (ja) | 画像形成方法 | |
JP2005156904A (ja) | 画像形成装置、該装置における放電検知方法および画像形成方法 | |
JP2004061837A (ja) | 画像形成装置および画像形成方法 | |
JP2007279277A (ja) | 画像形成装置および画像形成方法 | |
JP4997150B2 (ja) | カラー画像形成装置 | |
JP2005156903A (ja) | 画像形成装置、該装置における放電検知方法および画像形成方法 | |
JP2020170028A (ja) | 画像形成装置 | |
JP2005249990A (ja) | 画像形成装置および画像形成方法 | |
JP7302366B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP2005165208A (ja) | 画像形成装置および画像形成方法 | |
JP2005202099A (ja) | 画像形成装置 | |
JP2006276054A (ja) | 画像形成装置及び印加電圧制御方法 | |
JP2005258257A (ja) | 画像形成装置および画像形成方法 | |
JP2007047550A (ja) | 画像形成装置および画像形成方法 | |
JP2006284669A (ja) | 画像形成装置およびその制御方法 | |
JP2006195133A (ja) | 画像形成装置 | |
JP4396348B2 (ja) | 画像形成装置およびその制御方法 | |
JP2005258256A (ja) | 画像形成装置および画像形成方法 | |
JP7358831B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP2014134645A (ja) | 画像形成装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20070206 |