以下、本発明の実施形態を図1乃至9に基づき説明する。本実施形態では、電子写真方式でタンデム型のカラーのプリンタ1(画像形成装置に相当)を例に挙げ説明する。但し、本実施形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(画像形成装置の概略構成)
まず、図1及び2を用いて、本発明の実施形態に係るプリンタ1の概略を説明する。図1は、本発明の実施形態に係るプリンタ1の概略構成を示す断面図である。図2は、本発明の実施形態に係る各画像形成部3の拡大断面図である。そして、本実施形態にかかるプリンタ1は、図1に示すように、本体内に、シート供給部2a、搬送路2b、画像形成部3、露光装置4、中間転写部5、定着部6等が設けられる。
前記シート供給部2aは、中間転写部5等に向け、例えば、コピー用紙、OHPシート、ラベル用紙等の各種シートを収容し、モータ等の駆動機構(不図示)により回転する給紙ローラ21により搬送路2bに送り出す。そして、搬送路2bは、プリンタ1内でシートを搬送し、シート供給部2aから供給されたシートを、中間転写部5、定着部6を経て排出トレイ22まで導く。搬送路2bには、搬送ローラ対23やガイド24及び搬送されてくるシートを中間転写部5の手前で待機させ、タイミングをあわせて送り出すレジストローラ対25等が設けられる。
図1及び図2に示すように、プリンタ1は、形成すべき画像の画像データに基づき、トナー像を形成する部分として、4色分の画像形成部3を備える。具体的に、プリンタ1は、ブラックの画像を形成する画像形成部3a(帯電装置7a、現像装置8a、除電装置31a、清掃装置32a等を具備)と、イエローの画像を形成する画像形成部3b(帯電装置7b、現像装置8b、除電装置31b、清掃装置32b等を具備)と、シアンの画像を形成する画像形成部3c(帯電装置7c、現像装置8c、除電装置31c、清掃装置32c等を具備)と、マゼンタの画像を形成する画像形成部3d(帯電装置7d、現像装置8d、除電装置31d、清掃装置32d等を具備)と、を備える。
ここで、図2に基づき、各画像形成部3a〜3dについて詳述する。尚、各画像形成部3a〜3dは、形成するトナー像の色が異なるだけで、いずれも基本的に同様の構成である。そこで、下の説明では、各画像形成部3内のa、b、c、dの符号は、特に説明する場合を除き省略する(尚、図2では、画像形成部3a、3b、3c、3d内の各部材に、識別的にa、b、c、dの符号を付すこととする。)
各感光体ドラム9は、周面にトナー像を担持し、例えば、アルミニウム製のドラムの外周面上に正帯電のアモルファスシリコンの感光層を有し、駆動装置(不図示)によって所定のプロセススピードで紙面時計方向に回転駆動される。尚、本実施形態の各感光体ドラム9は、正帯電型である。
各帯電装置7(帯電部に相当)は、帯電ローラ71を有し、感光体ドラム9を一定の電位で帯電させる。各帯電ローラ71は、各感光体ドラム9に接し、感光体ドラム9に合わせ回転する。又、各帯電ローラ71には、帯電電圧印加部72(図4参照)により直流と交流が重畳された電圧が印加され、感光体ドラム9の表面が所定の正極性の電位(例えば、200V〜300V、暗電位)に均一に帯電される。又、各帯電ローラ71の表面の異物を除去する清掃ブラシ73(例えば、軸に樹脂等のブラシを巻き付けたもの)が設けられる。尚、帯電装置7は、コロナ放電式や、ブラシ等を用いたものでも良い。
各現像装置8は、トナーと磁性体のキャリアからなる現像剤(いわゆる2成分現像剤)を収納する(現像装置8aはブラック、現像装置8bはイエロー、現像装置8cはシアン、現像装置8dはマゼンタの現像剤を収納する)。各現像装置8は、現像ローラ81と、磁気ローラ82と、搬送部材83とを有する。各現像ローラ81は、それぞれ感光体ドラム9に対向し、所定のギャップ(例えば、1mm以下)を設けて配される。そして、各磁気ローラ82は、各現像ローラ81の右斜め上方に対向し、所定の隙間を設けて配される。そして、各搬送部材83は、各磁気ローラ82の上方に設けられる。
各現像ローラ81と各磁気ローラ82の各ローラ軸811、821は固定される。そして、各現像ローラ81と各磁気ローラ82の内部の各ローラ軸811、821には、軸線方向にのびる磁石813、823が取り付けられる。そして、各現像ローラ81と各磁気ローラ82は、それぞれ、磁石813、823を覆う円筒状のスリーブ812、822を有し、画像形成時は、このスリーブ812、822が回転する(図3参照)。そして、現像ローラ81の磁石813と、磁気ローラ82の磁石823では、現像ローラ81と磁気ローラ82の対向位置で異極が向かい合う。
これにより、各現像ローラ81と、各磁気ローラ82間には、磁性体キャリアで磁気ブラシが形成される。磁気ブラシと磁気ローラ82のスリーブ822の回転や磁気ローラ82への電圧印加(磁気ローラバイアス印加部84:図4参照)等で、現像ローラ81に、トナーが供給され、現像ローラ81にはトナーの薄層が形成される。又、現像後に残留したトナーは、磁気ブラシで現像ローラ81から引き剥がされる。各搬送部材83は、例えば、軸に対しスクリューが螺旋状に設けられ、現像剤を各現像装置8内で搬送、撹拌し、トナーを所定のレベルに帯電させる(本実施形態では、トナーは正帯電)。
各清掃装置32は、感光体ドラム9の清掃を行い、例えば、外周部分に弾性を有する円筒状の素材の清掃部材33を有し、清掃部材33は、各感光体ドラム9に当接し、ドラム表面の転写残トナーを除去、回収する。又、各清掃装置32の下方に、感光体ドラム9に対し光を照射して除電を行う除電装置31(例えば、アレイ状のLED)が設けられる。
各画像形成部3の上方の露光装置4(露光部に相当)は、入力されるカラー色分解された画像信号をレーザ出力部(不図示)にて光信号にそれぞれ変換し、変換された光信号であるレーザ光(破線で図示)を出力し、帯電後の感光体ドラム9の走査露光を行って、静電潜像を形成する。尚、露光装置4には、レーザ光の感光体ドラム9の照射範囲内で、感光体ドラム9への照射範囲外に、受光素子(不図示)が設けられる。この受光素子は、レーザ光が照射されると、電流(電圧)を出力し、この出力は、例えば、後述のCPU11に入力され、放電発生の有無の確認時の同期信号として用いられる(図5参照)。
図1に戻り、中間転写部5は、感光体ドラム9からトナー像の1次転写を受け、シートに2次転写を行い、各1次転写ローラ51a〜51d(転写部に相当)、中間転写ベルト52(中間転写体に相当)、駆動ローラ53、従動ローラ54、55、56、2次転写ローラ57、ベルト清掃装置58等で構成される。各1次転写ローラ51a〜51dは、無端状の中間転写ベルト52を介し各感光体ドラム9に当接し、転写用の電圧を印加する転写電圧印加部59(図8参照)に接続され、トナー像を中間転写ベルト52に転写する。
中間転写ベルト52は、駆動ローラ53、従動ローラ54、55、56に張架され、モータ等の駆動機構(不図示)に接続される駆動ローラ53の回転駆動により紙面反時計方向に周回する。又、駆動ローラ53は、中間転写ベルト52を介して2次転写ローラ57と当接し、2次転写部を形成する。シートへのトナー像転写を説明すると、各画像形成部3で形成されたトナー像(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各色)は、各1次転写ローラ51に所定の電圧を印加して、順次、中間転写ベルト52に1次転写される。この時、各色のトナー像は、タイミングを取られつつ1次転写され、ずれなく重畳される。そして、各色重ね合わされたトナー像は、所定の電圧を印加された2次転写ローラ57により、シートに転写される。尚、2次転写後に中間転写ベルト52上に残った残トナー等は、ベルト清掃装置58で除去されて回収される(図1参照)。
前記定着部6は、2次転写部の転写材搬送方向の下流側に配され、シートに2次転写されたトナー像を加熱・加圧して定着させる。そして、定着部6は主として、発熱源を内蔵する定着ローラ61と、これに圧接される加圧ローラ62とで構成され、ニップが形成される。そして、トナー像の転写されたシートは、ニップを通過すると加熱・加圧され、その結果、トナー像がシートに定着する。尚、定着後のシートは、排出トレイ22に排出され画像形成処理が完了する。
(放電検出用の構成)
次に、図3に基づき、本発明の特徴となる各現像ローラ81への現像バイアス印加と各感光体ドラム9間の放電検出に関する構成を説明する。図3は、本発明の実施形態に係る現像ローラ81への現像バイアス印加と感光体ドラム9間の放電発生検出に関する現像ローラ81周辺の構成を示す。
ただし、図3は1つの画像形成部3についてのみ示し、画像形成部3ごとに直流電圧印加部85、交流電圧印加部86、検出部14、アンプ15が設けられ、各アンプ15の出力が、後述する制御部10のCPU11に入力される。ここで、直流電圧印加部85、交流電圧印加部86、検出部14、アンプ15のそれぞれに、各画像形成部の区別を示すa、b、c、dの符号を付しても良いが、各画像形成部3で設けられるものは同様なので、記載の煩雑さを回避のため、以下では、a、b、c、dの符号は省略して説明する。
図3に示すように、現像ローラ81は、感光体ドラム9にギャップが設けられつつ対向し、ローラ軸811、画像形成時にトナーを担持するスリーブ812、キャップ814を有する。ローラ軸811はスリーブ812を挿通され、スリーブ812の両端に円形のキャップ814が嵌入される。又、現像ローラ81のローラ軸811には、感光体ドラム9へのトナーの供給のため、直流電圧印加部85と、交流電圧印加部86が接続される。
直流電圧印加部85は、現像ローラ81に印加する直流成分を発生させる回路であり、その出力は交流電圧印加部86に入力される。そして、直流電圧印加部85は、出力制御部87を有し、出力制御部87は、直流電圧印加部85が出力するバイアスの値をCPU11の指示に応じて制御する。
直流電圧印加部85は、プリンタ1内の電源装置16(図4参照)からの直流電力の供給を受け、CPU11の指示に応じ、出力制御部87の制御により、出力電圧が可変な回路である(例えば、出力電圧が異なる出力端までの経路を複数有し、画像形成時と放電検出時で、その経路の選択を変える等)。これにより、現像ローラ81に印加する交流電圧をバイアスさせることができる。
又、交流電圧印加部86は、例えば、矩形波状(パルス状)であり、直流電圧印加部85の印加する直流電圧を平均値とする交流電圧を出力する回路である。そして、交流電圧印加部86は、Vpp制御部88およびデューティ比/周波数制御部89を有する。Vpp制御部88は、交流電圧のピーク間電圧(ピークトゥピーク)をCPU11の指示に応じて制御する。また、デューティ比/周波数制御部89は、交流電圧のデューティ比および周波数をCPU11の指示に応じて制御する。
例えば、交流電圧印加部86は、スイッチング素子等を備え、出力の正負をスイッチングにより反転させ、交流電圧を出力する。そして、デューティ比/周波数制御部89は、例えば、交流電圧印加部86の出力の正負のスイッチングのタイミングを制御することで、交流電圧のデューティ比や周波数を制御することができる。又、Vpp制御部88は、現像ローラ81に印加すべき交流電圧のピーク間電圧とデューティ比とに基づき、電源装置16から入力される直流電圧の昇降圧等により、交流電圧における正側のピーク値と負側のピーク値を、CPU11の指示に応じ、可変させる。又、尚、交流電圧印加部86の構成や、交流電圧のピーク間電圧、デューティ比、周波数を可変させる構成は、ピーク間電圧、デューティ比、周波数を変化できればよい。
そして、交流電圧印加部86内には、例えば、昇圧用トランス等による昇圧回路を出力段に備えることができ、昇圧後の直流と交流の重畳された現像バイアスが、例えば、現像ローラ81のローラ軸811に印加される。これにより、スリーブ812にも現像バイアスが印加され、スリーブ812に担持される帯電トナーが飛翔する。
検出部14は、現像ローラ81と感光体ドラム9間での放電発生時に流れる電流を電圧信号に変換し、放電の発生を検出する検出回路14aと、変換した電圧信号を増幅するアンプ15で構成される。例えば、検出回路14aは、放電未発生時の現像ローラ81に流れる電流を抵抗等を用いて変換した電圧と、放電発生時の現像ローラ81に流れる電流を変換した電圧とを比較し、その2種の電圧の差分をアンプ15に出力する。即ち、放電発生時の現像ローラ81に流れる電流の変化分を電圧に変換して出力する。尚、放電により流れた電流を電圧に変換する構成は、これに限られない。
尚、本実施形態のプリンタ1では、使用する感光体ドラム9は、正帯電するアモルファスシリコンの感光層を有し、現像ローラ81の電位が高い状態での放電の方が、感光体ドラム9に大電流が流れにくいという特性を有する(ダイオード的な特性)。そのため、大電流による感光体ドラムの損傷を回避するため、デューティ比、周波数を調整して、現像ローラ81の電位が高い状態での放電の有無を検出する(詳細は後述)。従って、放電電流は、現像ローラ81から感光体ドラム9に向けてのみ流れ、放電電流は、現像ローラ81に印加される直流電圧の変動として現れる。
アンプ15は、検出部14からの電圧信号を増幅し、放電検出信号としてCPU11に出力する。CPU11は、アンプ15からの放電検出信号をA/D変換する。このA/D変換部されたアンプ15の出力から、CPU11は、発生した放電の大きさ(現像ローラ81と感光体ドラム9間に流れた電流の大きさ)を認識することができる。
(プリンタ1のハードウェア構成)
次に、図4に基づき、本発明の実施形態に係るプリンタ1のハードウェア構成を説明する。図4は、本発明の実施形態に係るプリンタ1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、本実施形態に係るプリンタ1は、内部に制御部10を有する。制御部10は、プリンタ1の各部を制御し、検出部14の出力が入力され放電発生を認識する。例えば、制御部10は、CPU11、記憶部12等から構成される。CPU11は、中央演算処理装置であり、記憶部12に格納され、展開される制御プログラムに基づきプリンタ1の各部の制御や演算を行う。
記憶部12は、ROM、RAMフラッシュROM等の不揮発性と揮発性の記憶装置の組み合わせで構成される。例えば、記憶部12は、プリンタ1の制御プログラム、データ等を記憶する。尚、本発明に関し、放電検出や現像ローラ81に印加する交流電圧の設定用プログラムや放電検出用の閾値TH1(詳細は後述)も記憶部12は記憶する。又、計時部11aは、プリンタ1の制御に必要な時間を計時する。例えば、放電発生検出時、感光体ドラム9や現像ローラ81等の回転速度と、周長と、回転時間(例えば、計時部11aが計時)に基づき、制御部10は、感光体ドラム9等の回転数を把握することができる。
そして、制御部10は、シート供給部2a、搬送路2b、画像形成部3、露光装置4、中間転写部5、定着装置6、操作パネル13等と接続され、記憶部12の制御プログラムやデータに基づき、適切に画像形成が行われるように各部の動作を制御する。又、制御部10は、モータMとも接続され、モータMへの電力供給のON/OFFを制御して、回転駆動力の供給を制御し、感光体ドラム9、現像ローラ81等の回転を制御する。
尚、図4に示す操作パネル13は、例えば、プリンタ1の正面上方に設けられ、液晶画面を有し、種々の設定情報、警告等を表示する。又、操作パネル13は、種々の操作ボタンを有し、ユーザからの操作を受け付ける。又、制御部10には、印刷を行う画像データの送信元となるユーザ端末100(パーソナルコンピュータ等)等が接続され、制御部10は、受信した画像データを画像処理し、露光装置4に送信し、露光装置4はその画像データに基づき、感光体ドラム9に静電潜像を形成する。又、図4に示す、磁気ローラバイアス印加部84は、磁気ローラ82に、交流と直流を重畳した電圧を印加する回路である。又、帯電電圧印加部72は、帯電ローラ71に帯電用の電圧を印加する回路である。
又、本発明に関し、制御部10(CPU11)は、検出部14(アンプ15)が接続される。又、放電発生検出時、CPU11は、現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧等を段階的に変える指示を交流電圧印加部86に与え、検出部14(アンプ15)のアナログ出力をA/D変換して、放電発生の有無の検出や、放電の大きさを判断する。そして、放電発生を検出した場合、制御部10は、その時の直流電圧や交流電圧のピーク間電圧等の値に基づき、放電発生時の現像ローラ81との感光体ドラム9の間の電位差を把握し、画像形成時に放電が生じないように、画像形成動作時に印加すべき現像バイアスを決定する。尚、画像形成時の現像バイアスの設定は記憶部12に記憶される。
(放電発生検出動作、及び、現像ローラ81に印加する交流電圧の設定)
次に、図5及び図6に示すタイミングチャートで、感光体ドラム9と現像ローラ81間での放電の発生検出動作の一例を説明する。図5は、本発明の実施形態に係る放電発生検出動作の概略を説明するためのタイミングチャートである。図6は、本発明の実施形態に係る現像ローラ81に印加する交流電圧の詳細を説明するタイミングチャートである。尚、この放電発生検出動作は、各画像形成部3について、1つずつ順に行われる。
まず、図5に基づき、放電発生検出動作の概略を説明する。尚、図5での、「現像ローラ(交流)」は、交流電圧印加部86が現像ローラ81に交流電圧を印加するタイミングを示す。「Vpp」は、現像ローラ81への交流電圧のピーク間電圧の大きさの変化を示す。「現像ローラ(直流)」は、直流電圧印加部85が現像ローラ81に直流電圧を印加するタイミングを示す。「磁気ローラ(交流)」は、磁気ローラバイアス印加部84(図4参照)が磁気ローラ82に交流電圧を印加するタイミングを示す。「磁気ローラ(直流)」は磁気ローラバイアス部が磁気ローラ82に直流電圧を印加するタイミングを示す。
又、「帯電ローラ」は、帯電装置7が感光体ドラム9を帯電させるタイミングを示す。「同期信号」は、露光装置4の受光素子が出力する同期用信号である。「露光」は、露光装置4での感光体ドラム9の露光(レーザ光照射)タイミングを示す。「放電検出(検出部出力)」は、検出部14による放電発生検出タイミングを示す。
〈初期動作〉
本発明に係る放電発生検出動作が開始されると、感光体ドラム9、現像ローラ81、中間転写ベルト52等が回転を開始した後、初期動作では、現像ローラ81と磁気ローラ82にそれぞれ、交流と直流の電圧が印加される。この初期動作での磁気ローラ82への電圧印加により、少量のトナーが磁気ローラ82から現像ローラ81に供給される。放電発生検出では、基本的に、現像ローラ81にトナーを担持させないが、全くトナーを担持させないと、感光体ドラム9とこれに接する回転部材(中間転写ベルト52等)との摩擦が大きくなりすぎる等、弊害があるので、若干量、感光体ドラム9にトナーが供給される。初期動作の後、準備状態に移行する。
〈準備状態〉と〈デフォルト測定〉
準備状態では、帯電装置7による感光体ドラム9への帯電が開始される。尚、放電発生検出動作が終了するまで、帯電装置7に印加される電圧はONのままである。又、現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧が測定するピーク間電圧にまで高められる。次に、デフォルト測定に移行し、放電の検出有無を確かめる。尚、デフォルト測定は、検出部14等、部材設置位置や回路等の異常発見のため行われる。デフォルト測定の後、条件変更状態(1回目)に移行する。
〈条件変更状態〉
条件変更状態となった場合、制御部10は、現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧を段階的に変化させる(例えば、上昇)。そして、条件変更状態の途中で、露光装置4の露光の開始の目安となる同期信号がHighとなる。同期信号のHigh後に、放電検出状態に移行する。
〈放電検出状態〉
放電検出状態では、現像ローラ81に対し現像バイアスが印加され、露光装置4が露光を継続して行う(感光体ドラム9全面の露光、感光体ドラム9の表面電位がほぼ0Vで安定)。尚、本実施形態のプリンタ1では、トナーと感光体ドラム9の帯電極性が正極性であり、露光部分にトナーがのるので、継続した露光は、ベタ塗り画像の静電潜像形成と同じである。従って、放電検出状態では、例えば、制御部10から露光装置4に、ベタ塗りの画像データが送り込まれる(ベタ塗りの画像データは、例えば、記憶部12が記憶)。
この時、放電検出状態は、一定時間(例えば、0.5秒〜数秒間)続き、CPU11へのアンプ15の入力から放電発生を認識しない場合等、条件変更状態に移行する。条件変更状態では、再び、制御部10は、交流電圧印加部86に指示し、交流電圧のピーク間電圧の変更指示を出す。これにより、次回以降の放電検出状態では、基本的に前回よりも現像ローラ81に印加される交流電圧のピーク間電圧が高い状態とされる。そして、放電する交流電圧の認定まで、条件変更状態と放電検出状態が繰り返され、繰り返しの間、段階的に一定の刻み幅で現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧が高められる。尚、図5では、n回目の放電検出状態で、放電が検出されたことを示す。
次に、図6に基づき、放電検出状態での現像ローラ81への電圧の印加について説明する。尚、図6では、上段に画像形成時のタイミングチャートを、下段に、放電検出状態のタイミングチャートを示している。
まず、画像形成時のタイミングチャートにおける矩形波は、現像ローラ81に印加される現像バイアス(交流+直流)の波形の一例である。そして、「Vdc1」は、直流電圧印加部85のバイアスの電位を示す。「V0」は、感光体ドラム9の露光装置4による露光後の電位(ほぼ0V=明電位)を示す。「V1」は、感光体ドラム9の帯電後の電位(露光しない部分の電位。例えば、200〜300V程度)を示す。「V+1」は、V0と、画像形成時の現像バイアスの正のピーク値との電位差を示す。「V-」は、V1と現像バイアスの負のピーク値との電位差を示す。「Vpp1」は、画像形成時の現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧を示す。又、「T1」は、矩形波におけるHigh状態(正極性状態)の時間である。「T01」は、矩形波の周期を示す。
一方、放電発生検出時のタイミングチャートにおける矩形波は、放電有無検出時に、現像ローラ81に印加される現像バイアスの波形を示す。「Vdc2」は、検出時の直流電圧印加部85のバイアスの電位を示す。又、「V0」は、図5上段と同様、感光体ドラム9の露光装置4による露光後の電位(ほぼ0V)を示す。「V+2」は、検出時の現像バイアスの正のピーク値とV0との電位差を示す。「Vpp2」は、検出時の現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧を示す。「T2」は、矩形波におけるHigh状態(正極性状態)の時間である。「T02」は、矩形波の周期である。
まず、放電発生検出時、CPU11の指示により、出力制御部87は直流電圧印加部85の出力を、放電発生検出用の設定値Vdc2(例えば、100V〜200V)に設定する。又、CPU11の指示で、Vpp制御部88は交流電圧印加部86の出力する交流電圧のVpp2を設定する。又、CPU11の指示で、デューティ比/周波数制御部89は、交流電圧印加部86の出力する交流電圧のデューティ比D2(周期T02に対するHighの時間T2の比、T2/T02)を放電発生検出用の設定値に設定し、交流電圧印加部86の出力する交流電圧の周波数f2(=1/T02)を放電発生検出用の設定値に設定する(図6下段)。
ここで、デューティ比D2は、画像形成時のデューティ比D1(周期T01に対するHighの時間T1の比、T1/T01)より小さく設定される(例えば、D1=40%、D2=30%)。そして、周波数f2は、交流電圧のプラス側時間が画像形成時と放電発生検出時で同じとなるよう設定される(即ち、T1=T2。例えば、D1=40%、D2=30%の場合、画像形成時の周波数f1=4kHzであれば、f2=3kHz)。これにより、画像形成時と同じ正極性の電圧が現像ローラ8に印加される。
尚、バイアスの放電発生検出用の設定値Vdc2は、画像形成時の設定値Vdc1よりも高く設定することが望ましい。トナーは正極性に帯電し、放電発生検出時に磁気ローラ82から現像ローラ81に供給されるトナーの量を抑えることができるからである。
(感光体ドラム9や現像ローラ81の振れ)
次に、図7に基づき、本発明の実施形態に係る感光体ドラム9や現像ローラ81の振れを説明する。図7は、本発明の実施形態に係る感光体ドラム9や現像ローラ81の振れを説明するための説明図である。
まず、図7(a)を説明する。図7(a)は、感光体ドラム9及び現像ローラ81を軸線方向から見た断面の一例を示す図である。そして、感光体ドラム9では、ローラ軸91の中心点P1から、感光体ドラム9の周面までの半径(例を「r1」、「r2」として図示)が、円周上の各点で異なることがある(例えば、r1≠r2の関係)。
この原因は、例えば、感光体ドラム9の基体部分92(基体部分を破線で図示)を、中心点P1を中心とした真円となるように形成することは困難な点がある。又、本実施形態の感光体ドラム9では、アルミ等の基体92上に、正帯電のアモルファスシリコンの感光層93(破線と実線の間の部分)が蒸着等により形成される(その他、例えば、OPC感光体は塗布により形成)が、その層厚を完全に均等にすることは難しい点がある。これらの点を含め、通常、感光体ドラム9は理想的な円筒形、円柱形に対し、振れ(ずれ)が存在する。
又、この振れが存在する点は、現像ローラ81も同様である。上述したように、本実施形態の現像ローラ81は、スリーブ812等で構成されるが、例えば、スリーブ812等にも製造上の誤差があり、現像ローラ81のローラ軸811の中心点P2から周面までの半径(例を「r3」、「r4」として図示)が、全円周方向で異なることがある(例えば、r3≠r4の関係)。
そして、これらの振れは、図7(b)で矢印で示すように、軸線方向の各点においても存在し得る。要するに、感光体ドラム9や現像ローラ81(のスリーブ812)の周面での、振れ量は、多様となり得る。従って、現像ローラ81と感光体ドラム9間の放電発生での重要要素である感光体ドラム9と現像ローラ81間のギャップ長は、厳密には、感光体ドラム9と現像ローラ81の回転により、変化する。
尚、図7(c)は、周方向の1点について、感光体ドラムの軸線方向での振れ量の一例である。縦軸に感光体ドラム9での振れ量を取り、横軸が感光体ドラム9の軸線方向での一端から他端に向けての位置を示す(例えば、図7(b)でのA点からB点まで)。そして、図7(c)に示すように、例えば、正弦波状の振れが存在する。尚、図7(c)は一例に過ぎず、振れ量は不規則である場合や、一部だけ突出して多いと言ったように、一概に決めることはできず、多様である。
(放電発生検出動作の制御の流れ)
次に、図8に基づき、本発明の実施形態に係るプリンタ1の放電発生検出動作の制御の流れの一例を説明する。図8は、本発明の実施形態に係るプリンタ1の放電発生検出動作の制御の流れの一例を示す、フローチャートである。尚、このフローチャートは、1つの画像形成部3に対する制御であり、全色行う場合、本実施形態では、4回繰り返される。
尚、この放電発生検出動作は、例えば、初期不良発見や初期設定として製造時や、プリンタ1の設置時、現像装置8や感光体ドラム9の交換時に行える。又、プリンタ1の設置時に行うのは、設置環境の標高によって気圧が変化し(例えば、日本国内とメキシコの高地との差)、放電が発生する電圧に差があるためである。現像装置8等の交換時に行うのは、感光体ドラム9と現像ローラ81とのギャップが交換前と変わるためである。尚、上記の例に限られず、例えば、プリンタ1が一定枚数を印刷するごとに行っても良いし、実施タイミングは、適宜設定することが可能である。
まず操作パネル13等での所定の操作等により、放電発生検出動作が開始されると(スタート)、CPU11の指示で、不図示の駆動機構により、感光体ドラム9、現像ローラ81、磁気ローラ82中間転写ベルト52等の画像形成部3と中間転写部5での各種回転体の回転が開始される(ステップS1)。この各回転体の駆動は、放電発生検出動作が終了するまで継続する。尚、放電発生検出動作では、基本的に、現像ローラ81はトナーを担持しない。次に、図5で説明した初期動作が行われる(ステップS2)。次に、図5で説明した準備状態に移行し(ステップS3)、例えば、CPU11の指示により、帯電電圧印加部72が、帯電装置7に電圧印加を開始する。
次に、図5で説明したデフォルト測定が行われる(ステップS4)。この時、放電発生を検出しないことを確認する(ステップS5)。このデフォルト測定は、放電が到底発生しないという状態(例えば、設定可能な交流電圧のうち、最も低いピーク間電圧の交流電圧を現像ローラ81に印加や、露光しない等)で行われ、デフォルト測定で放電発生を検出すれば(ステップS5のNo)、ギャップの異常や検出部14等のハードの異常が考えられる。この場合、操作パネル13等にエラー表示(ステップS6)を行って、放電発生検出動作は終了する(エンド)。
一方、CPU11に放電が発生した旨の信号が入力されなければ(ステップS5のYes)、図5で説明した条件変更状態に移行し、CPU11の指示で、Vpp制御部88が、交流電圧印加部86の出力する交流電圧のピーク間電圧を現状より所定の刻み幅ΔV1(例えば、30〜100Vなど)だけ増加させる設定が行われる(ステップS7)。
そして、次に、放電検出状態に移行し、具体的には、ΔV1だけピーク間電圧を増加させた交流電圧を現像ローラ81に印加し、感光体ドラム9を2回転以上させ、CPU11の指示によりこの間露光が行われ、その間、CPU11はアンプ15の出力電圧(放電検出信号)が所定の閾値を越えた回数をカウントする(ステップS8)。具体的に、本実施形態では、放電検出状態の時間は、感光体ドラム9が、複数回回転する時間(少なくとも2回転)とられる。尚、本実施形態では、現像ローラ81は、感光体ドラム9よりも半径が小さく周長が短いので(例えば、図7参照)、感光体ドラム9が2回転する間に、2回転以上回転している。もし、現像ローラ81の方が周長が長ければ、現像ローラ81が、複数回回転する時間(少なくとも2回転)とられる。
尚、放電検出状態において、感光体ドラム8(現像ローラ81)を回転させる回数は、特に制限はなく、周長が長い方の回転体が2回転以上する時間、放電検出状態とされる。
そして、放電検出状態の時間決定方法については、例えば2回転ならば、予め設定値としての回転体の周長の2倍と、設定上のその回転体の回転速度(周速度)を記憶部12が記憶しておき、2回転分の時間(周長の2倍÷回転速度)を計時部13が計時すればよい。
そして、カウント数が感光体ドラム9と現像ローラ81のうち、少ない方の回転数未満でないかを確認し(ステップS9)、回転数未満であれば(ステップS9のNo)、放電発生なしとして、現状のピーク間電圧が設定可能な最大値(例えば、1500〜3000V)に達しているかをCPU11が確認し(ステップS10)、達していれば(ステップS10のYes)、ステップS11に移行する(詳細は後述)。達していなければ(ステップS10のNo)、ステップS7に戻る。
ステップS10で、カウント値が回転数以上ならば(ステップS9のYes)、放電発生として、CPU11の指示で、Vpp制御部88(図3)は、交流電圧印加部86が現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧を、現状より所定の刻み幅ΔV1だけ減少させ(ステップS12)、さらに所定の刻み幅ΔV2だけ増加させた値に設定する(ステップS13)。即ち、制御部10が現像ローラ81に印加する交流電圧の段階的な変更を交流電圧印加部86に指示し、検出部14を用いて放電の発生を検出する放電発生検出時、1段階における放電発生検出中に、感光体ドラム9と現像ローラ81は、少なくとも2周以上、それぞれ回転し、制御部10は、その段階での放電発生検出中に、放電が発生した旨の検出部14の出力を、2回以上を受け取った場合に放電が発生したと認識する。ここで、所定の刻み幅ΔV2は、所定の刻み幅ΔV1を分割したものとできる(例えば、ΔV1=50Vであれば、ΔV2=10V等)。言い換えると、放電が発生するピーク間電圧をより細かく探し当てるため、1段階戻って放電発生検出におけるピーク間電圧の段階的な変化の刻み幅を小さくする。
その後、ステップS8と同様に、放電検出状態となり、CPU11は、感光体ドラム9を2回転以上させ、アンプ15の出力電圧(放電検出信号)が所定の閾値を越えた回数をカウントする(ステップS14)。言い換えると、刻み幅Δ1でのピーク間電圧の段階的な変更の際、放電が検出されれば、より詳細に放電が発生するピーク間電圧を得るため、刻み幅Δ2で、放電が検出されるまで、放電検出状態と条件変更状態とが繰り返される。
次に、ステップS9と同様に、カウント数が感光体ドラム9と現像ローラ81のうち、少ない方の回転数未満でないかを確認し(ステップS15)、回転数未満であれば(ステップS15のNo)、放電発生なしとして、現在のピーク間電圧が先に放電を検出したピーク間電圧に達しているかをCPU11が確認する(ステップS16)。もし達していれば(ステップS16のYes)、ステップS10に移行する。もし、達していなければ(ステップS16のNo)、ステップS12に戻る。一方、カウント値が回転数以上であれば(ステップS15のYes)、CPU11は、現在のピーク間電圧のときに放電が発生すると認定し、ステップS11に進む。
次に、ステップS11について、詳述する。放電発生検出時(ステップS15のYes、ステップS16のYesの場合)や、設定可能な最大ピーク間電圧でも検出できなかった場合(ステップS10のYes)、CPU11は、最大ピーク間電圧、又は、放電が発生すると認めたピーク間電圧Vpp2、周波数f2、デューティ比D2、バイアス設定値Vdc2から、図6に示す電位差V+2(放電検出時又は設定可能な最大値でのVpp2印加時の感光体ドラム9と現像ローラ81の電位差)を求める(ステップS11)。
ここで、V+2は容易に求めることができる。CPU11は、ピーク間電圧の大きさを指定してVpp制御部88に指示を出す。従って、制御部10は、放電発生を検出した場合、その時のVpp2を把握している。そして、設定値としてのデューティ比D2と、Vdc2を基準として、正側の面積と負側の面積を等しくすることに基づき、Vpp2の正側のピーク値とVdc2の電位差が求められる。この電位差に、Vdc2とV0との電位差(V0は、ほぼ0Vなので、Vdc2と扱える)を加えれば、V+2が求められる。
具体的には、放電発生検出動作時のVpp2は、段階的に変更され、デューティ比D2、バイアス設定値Vdc2を一定とすれば、各Vpp2の大きさに応じ、予めV+2を算出しておき、ルックアップテーブルとしてデータ化し、CPU11がそのテーブルを参照し、V+2が求められても良い。尚、このテーブルは、例えば、記憶部12に記憶しておけばよい。
次に、求められたV+2に基づき、CPU11は、図6に示したV+1と、V-がいずれも求められたV+2よりも小さくなるように、画像形成時に現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧Vpp1を設定する(ステップS17)。具体的に、Vpp1の決定方法は多様であるが。例えば、V+1とV-をV+2よりも、どれほど小さくすれば放電が発生しないか(マージンをどれほどとるべきか)は、使用トナーにより異なる等の事情から、開発時の実験に基づき、例えば、求められたV+2に対し、画像形成時に放電が発生しないと認められるVpp1の値をテーブル化し、CPU11がそのテーブルを参照し、Vpp1が定められても良い。尚、このテーブルも記憶部12に記憶しておけばよい。これにより、画像形成時、放電が発生せず、できるだけ大きな交流電圧を印加できる。
要するに、本実施形態のプリンタ1は、放電発生検出時に放電が発生したことを検出した場合、制御部10は、放電発生時に前記現像ローラ81に印加していた交流電圧のピーク値に対する感光体ドラム9と前記現像ローラ81間の電位差を求め、画像形成時における現像ローラ81と感光体ドラム9の表面電位の電位差が電位差よりも小さくなるように、画像形成時に現像ローラ81に印加すべき交流電圧を定めるのである。
そして、このVpp1の設定が完了すれば、放電発生検出と画像形成時のVpp1の設定は終了する(エンド)。そして、プリンタ1は、この制御完了後、画像形成可能な状態に復帰する。このように、本発明によれば、現像効率が高く、かつ、画像形成時に放電が発生しない、現像ローラ81に印加すべきVpp1を自動的に設定することができる。
(放電検出信号の閾値と本発明の利点)
次に、図9に基づき、本発明の実施形態に係るプリンタでの放電検出信号の閾値と、本発明の利点について説明する。図9は、本発明の実施形態に係るプリンタでの放電検出信号の閾値に関する説明図である。
まず、本発明では、図8のフローチャートを用いて説明したように(ステップS8、14)、放電の有無を検出部14(アンプ15)の出力(放電検出信号)をみて、閾値を超えるか否かにより放電が発生したか否かの判断を制御部10(CPU11)が行う。即ち、検出部14は、放電により現像ローラ81に流れる電流を電圧に変換し、その電圧を制御部10に向けて放電検出信号として出力し、制御部10は、検出部14から送信される放電検出信号の電圧値について、閾値を有し、閾値を超えるか否かにより放電発生の有無を認識する。具体的には、CPU11は、検出部14のアナログ出力電圧値をA/D変換し、ディジタル変換後の値に基づき、閾値と比較を行う。
又、ノイズについては、例えば、プリンタ内の各回路(例えば、交流電圧印加部86や帯電電圧印加部72等)から発する電磁波等によるノイズが考えられる。又、例えば、放電発生検出時、上述したように、現像ローラ81には、原則としてトナーは担持させないものの、スリーブ812に残留する帯電したトナーが、感光体ドラム9に飛翔する場合がある。この電荷を有するトナーの飛翔は、一種の電流と考えることができる。そして、放電により大電流を流せば、放電の検出は容易となるが、それでは感光体ドラム9の損傷を招く(例えば、感光層と基体を貫く穴ができる)ので、本発明では、微少な放電の段階で(放電電流が微少である段階で)、放電の発生を検出する。ところが、微少な放電を検出しようとすると、ノイズの存在により、放電発生を誤検出する可能性が高くなる。
そして、図9について、説明する。図9では、横方向に、制御部10に入力された放電検出信号の電圧値の例を示している。具体的に、図9の左から、2種のノイズがのった放電検出信号が制御部に入力された場合(ノイズ1、ノイズ2として図示)の電圧値の一例を示す。そして、図9の左から3番目と4番目に、放電発生時の放電検出信号の電圧値の一例を示す(放電発生時1、放電発生時2として図示)。又、図9における縦軸は、CPU11に入力される放電検出信号の電圧値の大きさを記す。
そして、ノイズ1、ノイズ2を例に挙げて、本発明を実施しない場合の問題点を説明する。本発明を実施しない場合、閾値(本発明)と示す閾値TH1に設定すると、例えば、CPU11は、ノイズ1については閾値TH1以下なので、放電発生と誤検出しない。しかし、閾値TH1を超えるノイズ2が入力された場合、CPU11は、放電が発生したと認識する。
従って、ノイズが制御部10に入力されても、放電が発生したと誤検出されないようにするには、発生しうるノイズよりも十分大きな閾値を設定する必要がある。そして、十分大きな閾値の例が、図9において、閾値(従来)と示す閾値TH2である。しかし、閾値TH2のように閾値を十分大きくとると、閾値TH2を超える程の放電を発生させなければ、放電発生を検出できない。
一方で、本発明では、放電発生検出状態において、複数回(例えば、2回以上)、閾値を超える放電検出信号が入力されない限り、放電が発生したと判断しないので(図8、ステップS9、ステップS15等参照)、例えば、1段階中に回転数未満(例えば、感光体ドラム9を2回転させる場合、2回未満の閾値を超える放電検出信号)のノイズが制御部10に入力されても、制御部10は、放電発生と誤認しない。従って、本実施形態のプリンタ1の放電検出では、閾値TH2よりもずっと閾値を下げることができる(例えば、1/2以下、その差をd1として例示)。そして、閾値TH1として示すように、放電発生検出での閾値を従来よりも大きく下げることができれば、図9で放電発生2として示す微少放電でも、確実に検出することができる。即ち、放電検出時、現像ローラ81に印加する交流電圧を段階的に増加させて、放電の発生する交流電圧を探すところ、微少放電も検出できるので、放電開始電圧に近い交流電圧(放電が発生する感光体ドラム9と現像ローラ81の電位差)を精度良く探し当てることができる。従って、画像形成時での現像ローラ81に印加すべき交流電圧の設定も適切に行うことができる。
このようにして、感光体ドラム9は、基体の製造時の誤差や、感光層(例えば、アモルファスシリコンや有機感光体)等の形成時の条件等により、その周面は完全に平坦とならず、理想的な形状(例えば、円筒形、円柱形)からの「振れ(ずれ)」がある。又、現像ローラ81も、製造時の誤差等で、「振れ」がある。従って、放電の発生に影響するギャップの長さは、厳密には感光体ドラム9や現像ローラ81の回転中も変化する。そして、放電は、感光体ドラム9や現像ローラ81での振れが大きい部分が、対向部分に到り、ギャップが最も短くなった時に生じやすくなるところ、1段階における放電発生検出中、感光体ドラム9と現像ローラ81は、少なくとも2周以上、それぞれ回転するので、振れが大きい部分を少なくとも2回、対向部分に到達させることができる。即ち、発生するならば、2回以上は放電が検出される可能性が高い。
従って、この構成によれば、制御部10は、その段階での放電発生検出中に、放電が発生した旨の検出部14の出力を、2回以上を受け取った場合に放電が発生したと認識するので、ノイズが制御部10に、単に、入力されても放電が発生したとは判断しない。従って、ノイズに起因する誤検出を減少させ、確実に放電の発生を検出することができる。
又、制御部10は、検出部14から送信される放電検出信号の電圧値について、閾値を有し、閾値を超えるか否かにより放電発生の有無を認識するところ、本構成によれば、ノイズによる誤検知がないので、閾値を低く設定することができ、しかも、現像ローラ81に印加される交流電圧が、放電開始電圧である、若しくは、これに近い場合であって、微少な放電でも放電の発生の有無を検出できる。これにより、放電発生検出時に、現像ローラ81に印加する交流電圧において、放電が開始される交流電圧の大きさを精度良く測定し、探し出すことができる。又、放電検出のため、大きな電流を流す必要がないから、画質の劣化につながるような感光体ドラム9の損傷をなくすことができる。
又、放電発生検出時、現像ローラ81に印加する交流電圧について、放電が開始する交流電圧を精度良く探し出した上で、その交流電圧に基づき、放電が発生する現像ローラ81と感光体ドラム9の電位差を求め、画像形成時の交流電圧の設定を行うから、現像効率が高く、画像形成時に放電の生じない交流電圧の設定を確実に行うことができる。
次に、他の実施形態について説明する。上記実施形態では、一定の値を有する閾値(絶対閾値)を例に挙げて説明したが、相対閾値(電圧値の変化率)を用いて放電の発生を検出しても良い。即ち、制御部10は、検出部14から制御部10に向けて出力される信号の変化を監視し、放電検出信号の電圧値の変化率を演算(例えば、CPU11が演算)し、閾値は、放電検出信号の電圧値の変化率に対するものとする。
ここで、相対閾値は、検出回路14aが、放電電流の検出のため、直流電圧印加部85や交流電圧印加部86等に接続され、これらの印加部等の影響を受ける場合や、ノイズの影響や、検出回路14aの回路構成等により、検出部14から制御部10への信号線にある程度の電圧がのっていることや、その電圧が変動する(安定しない)場合もあり得るためである。このような場合でも、相対閾値を用いれば、放電の発生を検出しやすくなる場合がある。即ち、放電により電流が発生し、検出部14から制御部10への信号線の状態の大きな変化が生じた場合に、制御部10は、放電が発生したと認識する。従って、制御部10は、正確に放電の発生を検出することができる場合がある。
又、上記の実施形態では、正帯電の感光体ドラム9やトナーを例に挙げて説明したが、本発明は負帯電の感光体ドラム9やトナーを用いた場合にも適用することができる。具体的に、放電発生検出時、帯電装置7は、感光体ドラム9に負極性の電圧を印加し、露光装置4が、表面電位をほぼゼロVで安定させる。又、1次転写ローラ71には、負極性の逆バイアス電圧を印加することになる。又、上記の実施形態では、カラーの画像形成装置について説明を行ったが、例えば、画像形成部3a(ブラック)のみを有するモノカラーの画像形成装置にも適用することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。