以下、本発明の実施形態を図1乃至図10に基づき説明する。本実施形態では、電子写真方式でタンデム型のカラーのプリンタ1(画像形成装置に相当)を例に挙げ説明する。但し、本実施形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(画像形成装置の概略構成)
まず、図1および図2を用いて、本発明の実施形態に係るプリンタ1の概略を説明する。図1は、本発明の実施形態に係るプリンタ1の概略構成を示す断面図である。図2は、本発明の実施形態に係る各画像形成部3の拡大断面図である。そして、本実施形態にかかるプリンタ1は、図1に示すように、本体内に、シート供給部2a、搬送路2b、画像形成部3、露光装置4、中間転写部5、定着部6等が設けられる。
前記シート供給部2aは、中間転写部5等に向け、例えば、コピー用紙、OHPシート、ラベル用紙等の各種シートを収容し、モータ等の駆動機構(不図示)により回転する給紙ローラ21により搬送路2bに送り出す。そして、搬送路2bは、プリンタ1内でシートを搬送し、シート供給部2aから供給されたシートを、中間転写部5、定着部6を経て排出トレイ22まで導く。搬送路2bには、搬送ローラ対23やガイド24および搬送されてくるシートを中間転写部5の手前で待機させ、タイミングをあわせて送り出すレジストローラ対25等が設けられる。
図1および図2に示すように、プリンタ1は、形成すべき画像の画像データに基づき、トナー像を形成する部分として、4色分の画像形成部3を備える。具体的に、プリンタ1は、ブラックの画像を形成する画像形成部3a(帯電装置7a、現像装置8a、除電装置31a、清掃装置32a等を具備)と、イエローの画像を形成する画像形成部3b(帯電装置7b、現像装置8b、除電装置31b、清掃装置32b等を具備)と、シアンの画像を形成する画像形成部3c(帯電装置7c、現像装置8c、除電装置31c、清掃装置32c等を具備)と、マゼンタの画像を形成する画像形成部3d(帯電装置7d、現像装置8d、除電装置31d、清掃装置32d等を具備)と、を備える。
ここで、図2に基づき、各画像形成部3a〜3dについて詳述する。尚、各画像形成部3a〜3dは、形成するトナー像の色が異なるだけで、いずれも基本的に同様の構成である。そこで、下の説明では、各画像形成部3内のa、b、c、dの符号は、特に説明する場合を除き省略する(尚、図2では、画像形成部3a、3b、3c、3d内の各部材に、識別的にa、b、c、dの符号を付すこととする。)
各感光体ドラム9は、周面にトナー像を担持し、例えば、アルミニウム製のドラムの外周面上に正帯電のアモルファスシリコンの感光層を有し、駆動装置(不図示)によって所定のプロセススピードで紙面時計方向に回転駆動される。尚、本実施形態の各感光体ドラム9は、正帯電型である。
各帯電装置7は、帯電ローラ71を有し、感光体ドラム9を一定の電位で帯電させる。各帯電ローラ71は、各感光体ドラム9に接し、感光体ドラム9に合わせ回転する。また、各帯電ローラ71には、帯電電圧印加部72(図4参照)により直流と交流が重畳された電圧が印加され、感光体ドラム9の表面が所定の正極性の電位(例えば、200V〜300V、暗電位)に均一に帯電される。また、各帯電ローラ71の表面の異物を除去する清掃ブラシ73(例えば、軸に樹脂等のブラシを巻き付けたもの)が設けられる。尚、帯電装置7は、コロナ放電式や、ブラシ等を用いて感光体ドラム9を帯電させるものでも良い。
各現像装置8は、トナーと磁性体のキャリアからなる現像剤(いわゆる2成分現像剤)を収納する(現像装置8aはブラック、現像装置8bはイエロー、現像装置8cはシアン、現像装置8dはマゼンタの現像剤を収納する)。各現像装置8は、現像ローラ81と、磁気ローラ82と、搬送部材83とを有する。各現像ローラ81は、それぞれ感光体ドラム9に対向し、所定のギャップ(例えば、1mm以下)を設けて配される。そして、各磁気ローラ82は、各現像ローラ81の右斜め上方に対向し、所定の隙間を設けて配される。そして、各搬送部材83は、各磁気ローラ82の上方に設けられる。
各現像ローラ81と各磁気ローラ82の各ローラ軸811、821は固定される。そして、各現像ローラ81と各磁気ローラ82の内部の各ローラ軸811、821には、軸線方向にのびる磁石813、823が取り付けられる。そして、各現像ローラ81と各磁気ローラ82は、それぞれ、磁石813、823を覆う円筒状のスリーブ812、822を有し、画像形成時は、このスリーブ812、822が回転する(図3参照)。そして、現像ローラ81の磁石813と、磁気ローラ82の磁石823では、現像ローラ81と磁気ローラ82の対向位置で異極が向かい合う。
これにより、各現像ローラ81と、各磁気ローラ82間には、磁性体キャリアで磁気ブラシが形成される。磁気ブラシと磁気ローラ82のスリーブ822の回転や磁気ローラ82への電圧印加(磁気ローラバイアス印加部84:図4参照)等で、現像ローラ81に、トナーが供給され、現像ローラ81にはトナーの薄層が形成される。また、現像後に残留したトナーは、磁気ブラシで現像ローラ81から引き剥がされる。各搬送部材83は、例えば、軸に対しスクリューが螺旋状に設けられ、現像剤を各現像装置8内で搬送、撹拌し、トナーを所定のレベルに帯電させる(本実施形態では、トナーは正帯電)。
各清掃装置32は、感光体ドラム9の清掃を行い、例えば、外周部分に弾性を有する円筒状の素材の清掃部材33を有し、清掃部材33は、各感光体ドラム9に当接し、ドラム表面の転写残トナーを除去、回収する。また、各清掃装置32の下方に、感光体ドラム9に対し光を照射して除電を行う除電装置31(例えば、アレイ状のLED)が設けられる。
各画像形成部3の上方の露光装置4は、入力されるカラー色分解された画像信号をレーザ出力部(不図示)にて光信号にそれぞれ変換し、変換された光信号であるレーザ光(破線で図示)を出力し、帯電後の感光体ドラム9の走査露光を行って、静電潜像を形成する。
ここで、露光装置4の概略構成を説明する。露光装置4には、半導体レーザ装置(レーザダイオード)と、レーザ光を反射させる平面反射面を複数持ち高速回転するポリゴンミラー(ポリゴンモータにより回転)と、fθレンズ、レーザ光を適宜、各感光体ドラム9に向けて反射させるミラー等が設けられる。この構成で、レーザ光が露光装置4から各感光体ドラム9に照射され、画像データに併せた静電潜像が感光体ドラム9上に形成される。具体的に、本実施形態の各感光体ドラム9は正帯電し、光の照射部分は電位が下がり、電位が下がった部分に正帯電トナーが付着する(例えば、ベタ塗り画像の場合、全ライン、全画素にレーザ光を照射)。尚、露光装置4は、多数のLEDからなるもの等を用いてもよい。
尚、露光装置4には、レーザ光の照射範囲内、かつ、感光体ドラム9への照射範囲外に、受光素子が設けられる。この受光素子は、レーザ光が照射されると、電流(電圧)を出力し、この出力は、例えば、後述のCPU11(Central Processing Unit)に入力され、放電発生の有無の確認時の同期信号として用いられる(図4参照)。
図1に戻り、中間転写部5は、感光体ドラム9からトナー像の1次転写を受けて、シートに2次転写を行うもので、各1次転写ローラ51a〜51d、中間転写ベルト52、駆動ローラ53、従動ローラ54、55、56、2次転写ローラ57、ベルト清掃装置58等で構成される。各1次転写ローラ51a〜51dは、無端状の中間転写ベルト52を介して各感光体ドラム9に当接し、転写用の電圧を印加する転写電圧印加部(不図示)に接続され、トナー像を中間転写ベルト52に転写する。
中間転写ベルト52は、駆動ローラ53、従動ローラ54、55、56に張架され、モータ等の駆動機構(不図示)に接続される駆動ローラ53の回転駆動により紙面反時計方向に周回する。中間転写ベルト52は、例えば、誘電体樹脂で構成される。また、駆動ローラ53は、中間転写ベルト52を介して2次転写ローラ57と当接し、2次転写部を形成する。シートへのトナー像転写を説明すると、各画像形成部3で形成されたトナー像(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの各色)は、各1次転写ローラ51に所定の電圧を印加して、順次、中間転写ベルト52に1次転写される。この時、各色のトナー像は、ずれなく重畳されるように、タイミングを取られつつ1次転写される。そして、各色重ね合わされたトナー像は、所定の電圧を印加された2次転写ローラ57により、シートに転写される。尚、2次転写後に中間転写ベルト52上に残った残トナー等は、ベルト清掃装置58で除去されて回収される(図1参照)。
前記定着部6は、2次転写部の転写材搬送方向の下流側に配され、シートに2次転写されたトナー像を加熱・加圧して定着させる。そして、定着部6は主として、発熱源を内蔵する定着ローラ61と、これに圧接される加圧ローラ62とで構成され、ニップが形成される。そして、トナー像の転写されたシートは、ニップを通過すると加熱・加圧され、その結果、トナー像がシートに定着する。尚、定着後のシートは、排出トレイ22に排出され画像形成処理が完了する。
(放電検出用の構成)
次に、本発明の特徴となる各現像ローラ81への現像バイアス印加および各感光体ドラム9と各現像ローラ81間の放電検出に関する構成を説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る現像ローラ81への現像バイアス印加および感光体ドラム9と現像ローラ81間の放電発生検出に関する現像ローラ81周辺の構成を示す。ただし、図3は1つの画像形成部3についてのみ示し、画像形成部3ごとに直流電圧印加部85、交流電圧印加部86、検出部14、アンプ15が設けられ、各アンプ15の出力が、後述する制御部10のCPU11に入力される。ここで、直流電圧印加部85、交流電圧印加部86、検出部14、アンプ15のそれぞれについて、各画像形成部の区別を示すa、b、c、dの符号を付しても良いが、各画像形成部では同様のものが設けられるので、記載の煩雑さを回避するため、以下では、a、b、c、dの符号は省略して説明する。
図3に示すように、現像ローラ81は、感光体ドラム9にギャップが設けられつつ対向し、ローラ軸811、画像形成時にトナーを担持するスリーブ812、キャップ814を有する。ローラ軸811はスリーブ812を挿通され、スリーブ812の両端に円形のキャップ814が嵌入される。また、現像ローラ81のローラ軸811には、感光体ドラム9へのトナーの供給のため、直流電圧印加部85と、交流電圧印加部86が接続される。
直流電圧印加部85は、現像ローラ81に印加する直流成分を発生させる回路であり、その出力は交流電圧印加部86に入力される。そして、直流電圧印加部85は、出力制御部87を有し、出力制御部87は、直流電圧印加部85が出力するバイアスの値をCPU11の指示に応じて制御する。
直流電圧印加部85は、プリンタ1内の電源装置16(図4参照)からの直流電力の供給を受け、CPU11の指示に応じ、出力制御部87の制御により、出力電圧が可変な回路である(例えば、出力電圧が異なる出力端までの経路を複数有し、画像形成時と放電検出時で、その経路の選択を変える等)。これにより、現像ローラ81に印加する交流電圧をバイアスさせることができる。
また、交流電圧印加部86は、例えば、矩形波状(パルス状)であり、直流電圧印加部85の出力する直流電圧を平均値(面積中心値)とする交流電圧を出力する回路である。そして、交流電圧印加部86は、Vpp制御部88およびデューティ比/周波数制御部89を有する。Vpp制御部88は、交流電圧のピーク間電圧(ピークトゥピーク)をCPU11の指示に応じて制御する。また、デューティ比/周波数制御部89は、交流電圧のデューティ比および周波数をCPU11の指示に応じて制御する。
例えば、交流電圧印加部86は、スイッチング素子等を備え、出力の正負をスイッチングにより反転させ、交流電圧を出力する。そして、デューティ比/周波数制御部89は、例えば、交流電圧印加部86の出力の正負のスイッチングのタイミングを制御することで、交流電圧のデューティ比や周波数を制御することができる。また、Vpp制御部88は、現像ローラ81に印加すべき交流電圧のピーク間電圧とデューティ比とに基づき、電源装置16から入力される直流電圧の昇降圧等により、交流電圧における正側のピーク値と負側のピーク値を、CPU11の指示に応じ、可変させる。また、尚、交流電圧印加部86の構成や、交流電圧のピーク間電圧、デューティ比、周波数を可変させる構成は、ピーク間電圧、デューティ比、周波数を変化できればよい。
そして、交流電圧印加部86内には、例えば、昇圧用トランス等による昇圧回路を出力段に備えることができ、昇圧後の直流と交流の重畳された現像バイアスが、例えば、現像ローラ81のローラ軸811に印加される。これにより、スリーブ812にも現像バイアスが印加され、スリーブ812に担持される帯電トナーが飛翔する。
検出部14は、現像ローラ81と感光体ドラム9間での放電発生時に流れる電流を電圧信号に変換し、放電の発生を検出する回路であり、変換した電圧信号をアンプ15に出力する。アンプ15は、検出部14からの電圧信号を増幅しCPU11に出力する。CPU11は、アンプ15からの電圧信号をA/D変換する。このA/D変換されたアンプ15の出力から、CPU11は、発生した放電の大きさ(現像ローラ81と感光体ドラム9間に流れた電流の大きさ)を認識することができる。
(プリンタ1のハードウェア構成)
次に、図4に基づき、本発明の実施形態に係るプリンタ1のハードウェア構成を説明する。図4は、本発明の実施形態に係るプリンタ1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、本実施形態に係るプリンタ1は、内部に制御部10を有する。制御部10は、プリンタ1の各部を制御し、検出部14の出力が入力され放電発生を認識する。例えば、制御部10は、CPU11、記憶部12等から構成される。CPU11は、中央演算処理装置であり、記憶部12に格納され、展開される制御プログラムに基づきプリンタ1の各部の制御や演算を行う。記憶部12は、ROM、RAM、フラッシュROM等の不揮発性と揮発性の記憶装置の組み合わせで構成される。例えば、記憶部12は、プリンタ1の制御プログラム、制御データ等を記憶する。
そして、制御部10は、シート供給部2a、搬送路2b、画像形成部3、露光装置4、中間転写部5、定着装置6、操作パネル13等と接続され、記憶部12の制御プログラムやデータに基づき、適切に画像形成が行われるように各部の動作を制御する。
尚、図4に示す操作パネル13は、例えば、プリンタ1の正面上方に設けられ、液晶画面を有し、種々の設定情報、警告等を表示する。また、操作パネル13は、種々の操作ボタンを有し、ユーザからの操作を受け付ける。また、制御部10には、印刷を行う画像データの送信元となるユーザ端末100(パーソナルコンピュータ等)等が接続され、制御部10は、受信した画像データを画像処理し、露光装置4に送信し、露光装置4はその画像データに基づき、感光体ドラム9に静電潜像を形成する。また、図4に示す、磁気ローラバイアス印加部84は、磁気ローラ82に、交流と直流を重畳した電圧を印加する回路である。また、帯電電圧印加部72は、帯電ローラ71に帯電用の電圧を印加する回路である。
(放電発生検出動作)
次に、初期設定としてプリンタ1の製造時に行われる放電発生検出動作について説明する。
まず、図5に基づき、放電発生検出時での現像ローラ81への電圧の印加について説明する。尚、図5では、上段に画像形成時のタイミングチャートを、下段に、放電発生検出時のタイミングチャートを示している。
まず、画像形成時のタイミングチャートにおける矩形波は、現像ローラ81に印加される現像バイアス(交流+直流)の波形の一例である。そして、「Vdc1」は、直流電圧印加部85のバイアスの電位を示す。「V0」は、感光体ドラム9の露光装置4による露光後の電位(ほぼ0V=明電位)を示す。「V1」は、感光体ドラム9の帯電後の電位(露光しない部分の電位。例えば、200〜300V程度)を示す。「V+1」は、V0と、画像形成時の現像バイアスのプラス側ピーク値との電位差を示す。「V−」は、V1と現像バイアスのマイナス側ピーク値との電位差を示す。「Vpp1」は、画像形成時の現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧を示す。また、「T1」は、矩形波におけるプラス側時間である。「T01」は、矩形波の周期を示す。
一方、放電発生検出時のタイミングチャートにおける矩形波は、放電発生検出時に、現像ローラ81に印加される現像バイアスの波形を示す。「Vdc2」は、検出時の直流電圧印加部85のバイアスの電位を示す。また、「V0」は、図5上段と同様、感光体ドラム9の露光装置4による露光後の電位(ほぼ0V)を示す。「V+2」は、検出時の現像バイアスのプラス側ピーク値とV0との電位差を示す。「Vpp2」は、検出時の現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧を示す。「T2」は、矩形波におけるプラス側時間である。「T02」は、矩形波の周期である。
放電発生検出時、CPU11の指示により、出力制御部87は直流電圧印加部85の出力を、放電発生検出用の設定値Vdc2(例えば、100V〜200V)に設定する。また、CPU11の指示で、Vpp制御部88は交流電圧印加部86の出力する交流電圧のVpp2を設定する。また、CPU11の指示で、デューティ比/周波数制御部89は、交流電圧印加部86の出力する交流電圧のデューティ比D2(周期T02に対するプラス側時間T2の比、T2/T02)を放電発生検出用の設定値に設定し、交流電圧印加部86の出力する交流電圧の周波数f2(=1/T02)を放電発生検出用の設定値に設定する(図5下段)。
ここで、デューティ比D2は、画像形成時のデューティ比D1(周期T01に対するプラス側時間T1の比、T1/T01)より小さく設定される(例えば、D1=40%、D2=30%)。そして、周波数f2は、交流電圧のプラス側時間が画像形成時と放電発生検出時で同じとなるよう設定される(即ち、T1=T2。例えば、D1=40%、D2=30%の場合、画像形成時の周波数f1=4kHzであれば、f2=3kHz)。
尚、バイアスの放電発生検出用の設定値Vdc2は、画像形成時の設定値Vdc1よりも高く設定することが望ましい。トナーは正極性に帯電し、放電発生検出時に磁気ローラ82から現像ローラ81に供給されるトナーの量を抑えることができるからである。
次に、図6に基づき、本発明の実施形態に係るプリンタ1の放電発生検出動作の制御の流れの一例を説明する。図6は、本発明の実施形態に係るプリンタ1の放電発生検出動作の制御の流れの一例を示す、フローチャートである。尚、このフローチャートは、1つの画像形成部3に対する制御であり、全色行う場合、本実施形態では、4回繰り返される。
この放電発生検出動作は、初期設定として製造時に行われる。まず、操作パネル13において所定の操作がされ、放電発生検出動作が開始されると(スタート)、CPU11の指示で、不図示の駆動機構により、感光体ドラム9、現像ローラ81、磁気ローラ82、中間転写ベルト52等の画像形成部3と中間転写部5での各種回転体の回転が開始される(ステップS601)。この各回転体の駆動は、放電発生検出動作が終了するまで継続する。尚、放電発生検出動作では、基本的に、現像ローラ81はトナーを担持しない。次に、CPU11の指示により、帯電電圧印加部72が、帯電装置7に電圧印加を開始する(ステップS602)。
次に、交流電圧印加部86が初期値のピーク間電圧を有する交流電圧を現像ローラ81に印加し、CPU11の指示により露光装置4が感光体ドラム9全面の露光を行い(露光された部分はほぼ0Vとなる)、その間、CPU11はアンプ15の出力電圧が所定の閾値を越えた回数をカウントする(デフォルト測定:ステップS603)。そして、CPU11はカウント数が0回でないか確認し、1回以上であれば放電発生として(ステップS604のNo)、ステップS605に進む。このデフォルト測定は、放電が到底発生しないという状態で行われ、デフォルト測定で放電発生を検出すれば、ギャップの異常や検出部14等のハードの異常が考えられる。この場合、CPU11は操作パネル13等にエラー表示(ステップS605)を行って、放電発生検出動作は終了する(エンド)。
一方、カウント数が0回であれば、放電が発生しなかったとして(ステップS604のYes)、CPU11の指示で、Vpp制御部88が、交流電圧印加部86の出力する交流電圧のピーク間電圧を現状より所定の刻み幅(例えば、30〜100Vなど)だけ増加させる(ステップS606)。
そして、交流電圧印加部86が所定の刻み幅だけピーク間電圧を増加させた交流電圧を現像ローラ81に印加し、CPU11の指示により露光装置4が所定時間感光体ドラム9の全面露光を行い、その間、CPU11はアンプ15の出力電圧が所定の閾値を越えた回数をカウントする(ステップS607)。そして、CPU11はカウント数が0回でないかを確認し、0回であれば(ステップS608のNo)、放電発生なしとして、現状のピーク間電圧が設定可能な最大値(例えば、1500〜3000V)に達しているかをCPU11が確認し(ステップS609)、達していれば(ステップS609のYes)、後述するステップS610に進む。達していなければ(ステップS609のNo)、ステップS606に戻る。ステップS608で、カウント値が1回以上ならば(ステップS608のYes)、放電発生ありとして、ステップS610に進む。
次に、ステップS610について、詳述する。放電発生検出時(ステップS608のYesの場合)や、設定可能な最大ピーク間電圧でも検出できなかった場合(ステップS609のYes)、CPU11は、放電が発生すると認めたピーク間電圧Vpp2、または最大ピーク間電圧Vpp2、周波数f2、デューティ比D2、バイアス設定値Vdc2から、図5に示す電位差V+2(放電検出時または設定可能な最大値でのVpp2印加時の感光体ドラム9と現像ローラ81間の電位差)を求める(ステップS610)。
ここで、V+2は容易に求めることができる。CPU11は、ピーク間電圧の大きさを指定してVpp制御部88に指示を出す。従って、制御部10は、放電発生を検出した場合、その時のVpp2を把握している。そして、設定値としてのデューティ比D2と、Vdc2を基準として、正側の面積と負側の面積を等しくすることに基づき、プラス側ピーク値とVdc2の電位差が求められる。この電位差に、Vdc2とV0との電位差(V0は、ほぼ0Vなので、Vdc2と扱える)を加えれば、V+2が求められる。
次に、求められたV+2に基づき、CPU11は、図5に示したV+1と、V−がいずれも求められたV+2よりも、小さくなるように、画像形成時に現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧Vpp1を決定し、決定したVpp1を画像形成用交流電圧のピーク間電圧設定値として記憶部12に記憶させる(ステップS611)。
具体的に、Vpp1の決定方法は多様であるが、例えば、V+1とV−をV+2よりも、どれほど小さくすれば放電が発生しないか(マージンをどれほどとるべきか)は、使用トナーにより異なる等の事情から、開発時の実験に基づき、例えば、求められたV+2に対し、画像形成時に放電が発生しないと認められるVpp1の値をテーブル化し、CPU11がそのテーブルを参照し、Vpp1が定められても良い。尚、このテーブルも記憶部12に記憶しておけばよい。これにより、画像形成時、放電が発生しないできるだけ大きな交流電圧を印加できる。
次に、CPU11は、放電が発生すると認めたピーク間電圧Vpp2、または最大ピーク間電圧Vpp2を、後述する簡易放電検出時に最初に現像ローラ81へ印加する交流電圧のピーク間電圧の設定値である簡易放電検出用ピーク間電圧設定値として記憶部12に記憶させる(ステップS612)。そして、処理は終了となる(エンド)。
(簡易放電検出動作)
上述のようにして、工場出荷時の本発明の実施形態に係るプリンタ1には、画像形成用の交流電圧が設定されることになるが、経時変化に対応すべく本発明の実施形態に係るプリンタ1には、以下説明する簡易放電検出機能を有している。
図7および図8に基づき、本発明の実施形態に係るプリンタ1の簡易放電検出動作の制御の流れの一例を説明する。図7は、本発明の実施形態に係るプリンタ1の簡易放電検出動作の制御の流れの一例を示すフローチャートである。尚、このフローチャートは、1つの画像形成部3に対する制御であり、全色行う場合、本実施形態では、4回繰り返される。
また、図8は、本発明の実施形態に係る簡易放電検出動作の制御の流れを示すタイミングチャートである。尚、図8での、「現像ローラ(交流)」は、交流電圧印加部86が現像ローラ81に交流電圧を印加するタイミングを示す。「Vpp」は、現像ローラ81へ印加する交流電圧のピーク間電圧の大きさの変化を示す。「現像ローラ(直流)」は、直流電圧印加部85が直流バイアスを出力するタイミングを示す。「磁気ローラ(交流)」は、磁気ローラバイアス印加部84(図4参照)が磁気ローラ82に交流電圧を印加するタイミングを示す。「磁気ローラ(直流)」は磁気ローラバイアス印加部84が磁気ローラ82に直流電圧を印加するタイミングを示す。「帯電ローラ」は、帯電装置7が感光体ドラム9を帯電させるタイミングを示す。「同期信号」は、露光装置4の受光素子が出力する同期用信号である。「露光」は、露光装置4での感光体ドラム9の露光(レーザ光照射)タイミングを示す。「放電検出(検出部出力)」は、検出部14による放電発生検出タイミングを示す。
尚、この簡易放電検出動作は、例えば、プリンタ1が一定枚数を印刷するごとに行ってもよいし、毎回のメイン電源オン時(プリンタ1の立上げ時)に行ってもよく、実施タイミングは、適宜設定可能である。
また、簡易放電検出動作において直流電圧印加部85が出力する直流バイアスは、前述の放電発生検出用の設定値Vdc2(図5下段)に設定される。また、簡易放電検出動作において交流電圧印加部86が出力する交流電圧のデューティ比および周波数は、前述の放電発生検出用の設定値D2およびf2(図5下段)に設定される。
まず、簡易放電検出動作が開始されると(スタート)、CPU11の指示で、不図示の駆動機構により、感光体ドラム9、現像ローラ81、磁気ローラ82、中間転写ベルト52等の画像形成部3と中間転写部5での各種回転体の回転が開始される(ステップS701)。この各回転体の駆動は、簡易放電検出動作が終了するまで継続する。尚、簡易放電検出動作では、基本的に、現像ローラ81はトナーを担持しない。
次に、CPU11は、記憶部12に記憶された簡易放電検出用ピーク間電圧設定値を読み出す(ステップS702)。
そして、準備状態(図8)に移行する(ステップS703)。ここでは、CPU11の指示で、直流電圧印加部85が直流バイアスの出力を開始する。また、CPU11の指示で、Vpp制御部88が、交流電圧印加部86の出力する交流電圧のピーク間電圧を、ステップS702で読み出された簡易放電検出用ピーク間電圧設定値まで増加させる。また、CPU11の指示で、帯電電圧印加部72が、帯電装置7に電圧印加を開始する。そして、準備状態の途中で、露光装置4の露光の開始の目安となる同期信号がHighとなる。同期信号のHigh後に、放電検出状態(1回目)に移行する(図8)。
放電検出状態(1回目)に移行すると、交流電圧印加部86は、ピーク間電圧が簡易放電検出用ピーク間電圧設定値である交流電圧を現像ローラ81に印加し、CPU11の指示により露光装置4が所定時間感光体ドラム9の全面露光を行い、その間、CPU11はアンプ15の出力電圧が所定の閾値を越えた回数をカウントする(ステップS704)。
そして、CPU11がカウント数が0回でないか確認し、カウント数が0回であれば(ステップS705のNo)、放電発生がなかったとして、条件変更状態に移行し、CPU11の指示で、Vpp制御部88が、交流電圧印加部86の出力する交流電圧のピーク間電圧を、簡易放電検出用ピーク間電圧設定値より大きい値まで増加させる(ステップS706、図8の矢印A)。ここでは、5V〜20V、例えば10Vだけ増加させる。次に、放電検出状態(2回目)に移行し(図8)、交流電圧印加部86は、増加させたピーク間電圧で交流電圧を現像ローラ81に印加し、CPU11の指示により露光装置4が所定時間感光体ドラム9の全面露光を行い、その間、CPU11はアンプ15の出力電圧が所定の閾値を越えた回数をカウントする(ステップS707)。
そして、CPU11はカウント数が0でないか確認し、カウント数が1回以上であれば(ステップS708のYes)、放電が発生したとして、そのまま処理終了となる(エンド)。即ち、記憶部12に記憶された簡易放電検出用ピーク間電圧設定値および画像形成用交流電圧のピーク間電圧設定値が更新されることはない。
ステップS708で、もしカウント数が0回であれば(ステップS708のNo)、放電発生なしとして、ステップS709に進む。ここでは、CPU11は、放電検出状態(2回目)での交流電圧のピーク間電圧Vpp2、周波数f2、デューティ比D2、バイアス設定値Vdc2から、図5に示す電位差V+2(Vpp2印加時の感光体ドラム9と現像ローラ81間の電位差)を求める。そして、求められたV+2に基づき、CPU11は、図5に示したV+1と、V−がいずれも求められたV+2以下となるように、画像形成時に現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧Vpp1を決定し、記憶部12に記憶された画像形成用交流電圧のピーク間電圧設定値を決定されたVpp1に更新する。これにより、放電が発生せず、より現像効率を高めた適切な現像が可能となる。
そして、CPU11は、記憶部12に記憶された簡易放電検出用ピーク間電圧設定値を、放電検出状態(2回目)での交流電圧のピーク間電圧Vpp2に更新し(ステップS710)、処理終了となる(エンド)。
また、ステップS705で、カウント数が1回以上であれば(ステップS705のYes)、放電が発生したとして、条件変更状態に移行し、CPU11の指示で、Vpp制御部88が、交流電圧印加部86の出力する交流電圧のピーク間電圧を、簡易放電検出用ピーク間電圧設定値より小さい値まで減少させる(ステップS711、図8の矢印B)。ここでは、5V〜20V、例えば10Vだけ減少させる。次に、放電検出状態(2回目)に移行し(図8)、交流電圧印加部86は、減少させたピーク間電圧で交流電圧を現像ローラ81に印加し、CPU11の指示により露光装置4が所定時間感光体ドラム9の全面露光を行い、その間、CPU11はアンプ15の出力電圧が所定の閾値を越えた回数をカウントする(ステップS712)。
そして、ステップS713で、CPU11がカウント数が0回でないか確認し、カウント数が0回であれば(ステップS713のNo)、放電発生なしとして、前述したステップS709、S710と進み、記憶部12に記憶された画像形成用交流電圧のピーク間電圧設定値および簡易放電検出用ピーク間電圧設定値が更新される。そして、処理終了となる(エンド)。これにより、放電発生を防いだ適切な現像が可能となる。
また、ステップS713で、もしカウント数が1回以上であれば(ステップS713のYes)、放電が発生したとして、ステップS714に進む。ここでは、CPU11は、放電検出状態(2回目)での交流電圧のピーク間電圧より小さいピーク間電圧Vpp2(例えば、10Vだけ減少)、周波数f2、デューティ比D2、バイアス設定値Vdc2から、図5に示す電位差V+2(Vpp2印加時の感光体ドラム9と現像ローラ81間の電位差)を求める。そして、求められたV+2に基づき、CPU11は、図5に示したV+1と、V−がいずれも求められたV+2以下となるように、画像形成時に現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧Vpp1を決定し、記憶部12に記憶された画像形成用交流電圧のピーク間電圧設定値を決定されたVpp1に更新する。これにより、放電発生を防いだ適切な現像が可能となる。
そして、CPU11は、記憶部12に記憶された簡易放電検出用ピーク間電圧設定値を、上記の放電検出状態(2回目)での交流電圧のピーク間電圧より小さいピーク間電圧Vpp2に更新し(ステップS715)、処理終了となる(エンド)。
このような簡易放電検出動作によれば、放電が発生し易い方向への経時変化があった場合でも、2回のみの現像ローラへの交流電圧印加により、放電が発生しない適切な画像形成用の現像ローラに印加する交流電圧を再設定できるので、再設定が短時間で済み、ユーザの使用の妨げとならない。また、現像ローラへ印加する交流電圧のピーク間電圧の小さくする方向への変化量を小さくすれば、再設定による画像形成用の交流電圧の変化を抑えることができるので、滑らかに画像品質を変化させることができる。
また、放電が発生しにくい方向への経時変化があった場合に、ピーク間電圧が現状より大きくなるように画像形成用の現像ローラに印加する交流電圧を再設定するので、放電を発生させないで現像効率を高めることができる。また、2回のみの交流電圧の印加により短時間での再設定が可能であり、ユーザの使用の妨げとならない。また、現像ローラへ印加する交流電圧のピーク間電圧の大きくする方向への変化量を小さくすれば、再設定による画像形成用の交流電圧の変化を抑えることができるので、滑らかに画像品質を変化させることができる。
(簡易放電検出動作の別実施形態)
次に、簡易放電検出動作の別実施形態について、図9および図10を用いて説明する。図9および図10は、本発明の実施形態に係るプリンタ1の簡易放電検出動作の制御の流れの別実施形態を示すフローチャートである。尚、このフローチャートは、1つの画像形成部3に対する制御であり、全色行う場合、本実施形態では、4回繰り返される。
尚、この簡易放電検出動作は、例えば、プリンタ1が一定枚数を印刷するごとに行ってもよいし、毎回のメイン電源オン時(プリンタ1の立上げ時)に行ってもよく、実施タイミングは、適宜設定可能である。
また、簡易放電検出動作において直流電圧印加部85が出力する直流バイアスは、前述の放電発生検出用の設定値Vdc2(図5下段)に設定される。また、簡易放電検出動作において交流電圧印加部86が出力する交流電圧のデューティ比および周波数は、前述の放電発生検出用の設定値D2およびf2(図5下段)に設定される。
まず、簡易放電検出動作が開始されると(スタート)、CPU11の指示で、不図示の駆動機構により、感光体ドラム9、現像ローラ81、磁気ローラ82、中間転写ベルト52等の画像形成部3と中間転写部5での各種回転体の回転が開始される(ステップS901)。この各回転体の駆動は、簡易放電検出動作が終了するまで継続する。尚、簡易放電検出動作では、基本的に、現像ローラ81はトナーを担持しない。
次に、CPU11は、ステップ数を0に初期化する(ステップS902)。
そして、CPU11は、記憶部12に記憶された簡易放電検出用ピーク間電圧設定値を読み出す(ステップS903)。
次に、準備状態に移行する(ステップS904)。ここでは、CPU11の指示で、直流電圧印加部85が直流バイアスの出力を開始する。また、CPU11の指示で、Vpp制御部88が、交流電圧印加部86の出力する交流電圧のピーク間電圧を、ステップS903で読み出された簡易放電検出用ピーク間電圧設定値まで増加させる。また、CPU11の指示で、帯電電圧印加部72が、帯電装置7に電圧印加を開始する。そして、準備状態の途中で、露光装置4の露光の開始の目安となる同期信号がHighとなる。同期信号のHigh後に、放電検出状態に移行する。
放電検出状態に移行すると、交流電圧印加部86は、ピーク間電圧が簡易放電検出用ピーク間電圧設定値である交流電圧を現像ローラ81に印加し、CPU11の指示により露光装置4が所定時間感光体ドラム9の全面露光を行い、その間、CPU11はアンプ15の出力電圧が所定の閾値を越えた回数をカウントする(ステップS905)。
そして、CPU11がカウント数が0回でないか確認し、カウント数が1回以上であれば(ステップS906のYes)、放電が発生したとして、条件変更状態に移行し、CPU11の指示で、Vpp制御部88が、交流電圧印加部86の出力する交流電圧のピーク間電圧を、直前の放電検出状態のピーク間電圧より小さい値まで減少させる(ステップS907)。ここでは、5V〜20V、例えば10Vだけ減少させる。次に、放電検出状態に移行し、交流電圧印加部86は、減少させたピーク間電圧で交流電圧を現像ローラ81に印加し、CPU11の指示により露光装置4が所定時間感光体ドラム9の全面露光を行い、その間、CPU11はアンプ15の出力電圧が所定の閾値を越えた回数をカウントする(ステップS908)。
そして、ステップS909で、CPU11がカウント数が0回でないか確認し、カウント数が1回以上であれば(ステップS909のYes)、放電が発生したとして、ステップS910に進み、CPU11は、ステップ数を1だけ増加させる。そして、CPU11は、ステップ数が所定値に達しているか判定し、もし所定値に達していなければ(ステップS911のNo)、ステップS907に戻り、条件変更状態に移行し、CPU11の指示で、Vpp制御部88が、交流電圧印加部86の出力する交流電圧のピーク間電圧を、直前の放電検出状態のピーク間電圧より小さい値まで減少させる。ここで、上記所定値は、2以上とすればよいが、あまり大きな値にすると、放電検出状態へ何度も移行し時間がかかるので、2〜5の値にするのが好適である。また、上記所定値を固定値ではなく、操作パネル13(図4)の操作により設定できるようにしてもよい。
また、ステップS911で、ステップ数が所定値に達していれば(ステップS911のYes)、ステップS912に進む。ここでは、CPU11は、直前の放電検出状態での交流電圧のピーク間電圧より小さいピーク間電圧Vpp2(例えば、10Vだけ減少)、周波数f2、デューティ比D2、バイアス設定値Vdc2から、図5に示す電位差V+2(Vpp2印加時の感光体ドラム9と現像ローラ81間の電位差)を求める。そして、求められたV+2に基づき、CPU11は、図5に示したV+1と、V−がいずれも求められたV+2以下となるように、画像形成時に現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧Vpp1を決定し、記憶部12に記憶された画像形成用交流電圧のピーク間電圧設定値を決定されたVpp1に更新する。これにより、放電発生を防いだ適切な現像が可能となる。
そして、CPU11は、記憶部12に記憶された簡易放電検出用ピーク間電圧設定値を、直前の放電検出状態での交流電圧のピーク間電圧より小さいピーク間電圧Vpp2に更新し(ステップS913)、処理終了となる(エンド)。
また、ステップS909で、カウント数が0回であれば(ステップS909のNo)、放電発生なしとして、ステップS914に進む。ここでは、CPU11は、直前の放電検出状態での交流電圧のピーク間電圧Vpp2、周波数f2、デューティ比D2、バイアス設定値Vdc2から、図5に示す電位差V+2(Vpp2印加時の感光体ドラム9と現像ローラ81間の電位差)を求める。そして、求められたV+2に基づき、CPU11は、図5に示したV+1と、V−がいずれも求められたV+2以下となるように、画像形成時に現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧Vpp1を決定し、記憶部12に記憶された画像形成用交流電圧のピーク間電圧設定値を決定されたVpp1に更新する。これにより、放電発生を防いだ適切な現像が可能となる。
そして、CPU11は、記憶部12に記憶された簡易放電検出用ピーク間電圧設定値を、直前の放電検出状態での交流電圧のピーク間電圧Vpp2に更新し(ステップS915)、処理終了となる(エンド)。
また、ステップS906で、カウント数が0回であれば(ステップS906のNo)、放電発生なしとして、条件変更状態に移行し、CPU11の指示で、Vpp制御部88が、交流電圧印加部86の出力する交流電圧のピーク間電圧を、直前の放電検出状態のピーク間電圧より大きな値まで増加させる(ステップS916)。ここでは、5V〜20V、例えば10Vだけ増加させる。次に、放電検出状態に移行し、交流電圧印加部86は、増加させたピーク間電圧で交流電圧を現像ローラ81に印加し、CPU11の指示により露光装置4が所定時間感光体ドラム9の全面露光を行い、その間、CPU11はアンプ15の出力電圧が所定の閾値を越えた回数をカウントする(ステップS917)。
そして、CPU11がカウント数が0回でないか確認し、カウント数が0回であれば(ステップS918のNo)、放電発生なしとして、ステップS921に進み、CPU11は、ステップ数を1だけ増加させる。そして、CPU11は、ステップ数が所定値に達しているか判定し、もし所定値に達していなければ(ステップS922のNo)、ステップS916に戻り、条件変更状態に移行し、CPU11の指示で、Vpp制御部88が、交流電圧印加部86の出力する交流電圧のピーク間電圧を、直前の放電検出状態のピーク間電圧より大きな値まで増加させる。ここでの所定値は、ステップS911と同じ値とすればよいが、異なる値でもよい。
また、ステップS922で、ステップ数が所定値に達していれば(ステップS922のYes)、ステップS923に進む。ここでは、CPU11は、直前の放電検出状態での交流電圧のピーク間電圧Vpp2、周波数f2、デューティ比D2、バイアス設定値Vdc2から、図5に示す電位差V+2(Vpp2印加時の感光体ドラム9と現像ローラ81間の電位差)を求める。そして、求められたV+2に基づき、CPU11は、図5に示したV+1と、V−がいずれも求められたV+2以下となるように、画像形成時に現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧Vpp1を決定し、記憶部12に記憶された画像形成用交流電圧のピーク間電圧設定値を決定されたVpp1に更新する。これにより、放電発生を防ぎ、より現像効率を高めた適切な現像が可能となる。
そして、CPU11は、記憶部12に記憶された簡易放電検出用ピーク間電圧設定値を、直前の放電検出状態での交流電圧のピーク間電圧Vpp2に更新し(ステップS924)、処理終了となる(エンド)。
また、ステップS918で、カウント数が1回以上であれば(ステップS918のYes)、放電が発生したとして、ステップS919に進む。ここでは、CPU11は、直前の放電検出状態での交流電圧のピーク間電圧より小さいピーク間電圧Vpp2(5V〜20V、例えば、10Vだけ減少)、周波数f2、デューティ比D2、バイアス設定値Vdc2から、図5に示す電位差V+2(Vpp2印加時の感光体ドラム9と現像ローラ81間の電位差)を求める。そして、求められたV+2に基づき、CPU11は、図5に示したV+1と、V−がいずれも求められたV+2以下となるように、画像形成時に現像ローラ81に印加する交流電圧のピーク間電圧Vpp1を決定し、記憶部12に記憶された画像形成用交流電圧のピーク間電圧設定値を決定されたVpp1に更新する。これにより、放電発生を防ぎ、より現像効率を高めた適切な現像が可能となる。
そして、CPU11は、記憶部12に記憶された簡易放電検出用ピーク間電圧設定値を、直前の放電検出状態での交流電圧のピーク間電圧より小さいピーク間電圧Vpp2に更新し(ステップS920)、処理終了となる(エンド)。
このような簡易放電検出動作の別実施形態によれば、放電が発生し易い方向への経時変化があった場合でも、所定の上限回数の範囲内での現像ローラへの交流電圧印加により、放電が発生しない適切な画像形成用の現像ローラに印加する交流電圧を再設定できるので、再設定が短時間で済み、ユーザの使用の妨げとならない。また、上限回数を大きくすることで、放電が発生しない適切な画像形成用の交流電圧の再設定がより確実なものとなる。また、現像ローラへ印加する交流電圧のピーク間電圧の小さくする方向への変化量を小さくすれば、再設定による画像形成用の交流電圧の変化を抑えることができるので、滑らかに画像品質を変化させることができる。
また、放電が発生しにくい方向への経時変化があった場合に、ピーク間電圧が現状より大きくなるように画像形成用の現像ローラに印加する交流電圧を再設定するので、放電を発生させないで現像効率を高めることができる。上限回数を大きくすれば、よりピーク間電圧が大きくなるよう再設定でき、より現像効率を高めることができる。また、上限回数の範囲内での交流電圧の印加により短時間での再設定が可能であり、ユーザの使用の妨げとならない。また、現像ローラへ印加する交流電圧のピーク間電圧の大きくする方向への変化量を小さくすれば、再設定による画像形成用の交流電圧の変化を抑えることができるので、滑らかに画像品質を変化させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
例えば、図7で示す簡易放電検出動作を次のように変更してもよい。ステップS702で、記憶部12に記憶された画像形成用交流電圧のピーク間電圧設定値を読み出すようにし、ステップS703で、CPU11の指示で、Vpp制御部88が、交流電圧印加部86の出力する交流電圧のピーク間電圧を、ステップS702で読み出された画像形成用交流電圧のピーク間電圧設定値まで増加させるようにする。そして、ステップS709で、CPU11が、記憶部12に記憶された画像形成用交流電圧のピーク間電圧設定値を、放電検出状態(2回目)のピーク間電圧に更新し、処理終了となるようにする(ステップS710は削除)。また、ステップS714で、CPU11が、記憶部12に記憶された画像形成用交流電圧のピーク間電圧設定値を、放電検出状態(2回目)のピーク間電圧より小さいピーク間電圧に更新し、処理終了となるようにする(ステップS715は削除)。
また、図9および図10で示す簡易放電検出動作を次のように変更してもよい。ステップS903で、記憶部12に記憶された画像形成用交流電圧のピーク間電圧設定値を読み出すようにし、ステップS904で、CPU11の指示で、Vpp制御部88が、交流電圧印加部86の出力する交流電圧のピーク間電圧を、ステップS903で読み出された画像形成用交流電圧のピーク間電圧設定値まで増加させるようにする。そして、ステップS912で、CPU11が、記憶部12に記憶された画像形成用交流電圧のピーク間電圧設定値を、直前の放電検出状態でのピーク間電圧より小さいピーク間電圧に更新し、処理終了となるようにする(ステップS913は削除)。また、ステップS914で、CPU11が、記憶部12に記憶された画像形成用交流電圧のピーク間電圧設定値を、直前の放電検出状態でのピーク間電圧に更新し、処理終了となるようにする(ステップS915は削除)。また、ステップS919で、CPU11が、記憶部12に記憶された画像形成用交流電圧のピーク間電圧設定値を、直前の放電検出状態でのピーク間電圧より小さいピーク間電圧に更新し、処理終了となるようにする(ステップS920は削除)。また、ステップS923で、CPU11が、記憶部12に記憶された画像形成用交流電圧のピーク間電圧設定値を、直前の放電検出状態でのピーク間電圧に更新し、処理終了となるようにする(ステップS924は削除)。