以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。なお、本発明は、電子写真方式を採用した画像形成装置、例えばコピー機、プリンター、ファクシミリ、これらの機能を備える複合機等に適用することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の構造を示す正面断面図である。画像形成装置1は、装置本体11に、画像形成部12、定着装置13、給紙部14、用紙排出部15、および原稿読取部16等を備えて構成されている。
装置本体11は、下部本体111と、この下部本体111の上方に対向配置された上部本体112と、この上部本体112と下部本体111との間に介設された連結部113とを備えている。連結部113は、下部本体111と上部本体112との間に用紙排出部15を形成させた状態で両者を互いに連結するための構造物であり、下部本体111の左部および後部から立設され、平面視でL字状を呈している。上部本体112は、連結部113の上端部に支持されている。
下部本体111には、画像形成部12、定着装置13および給紙部14が内装されているとともに、上部本体112には原稿読取部16とが装着されている。
画像形成部12は、給紙部14から給紙された用紙Pにトナー像を形成する画像形成動作を実行する。画像形成部12は、上流側から下流側へ向けて水平に順次配設された、イエロー色のトナーを用いるイエロー用ユニット12Y、マゼンタ色のトナーを用いるマゼンタ用ユニット12M、シアン色のトナーを用いるシアン用ユニット12Cおよびブラック色のトナーを用いるブラック用ユニット12Bkと、駆動ローラー125A等の複数のローラー間に画像形成における副走査方向へ無端走行可能に張架された中間転写ベルト125と、中間転写ベルト125の外周面に当接する二次転写ローラー196と、ベルトクリーニング装置198と、を備えている。
画像形成部12の各色のユニットは、感光体ドラム121と、感光体ドラム121へトナーを供給する現像装置122と、トナーを収容するトナーカートリッジ(不図示)と、帯電装置123と、ドラムクリーニング装置127と、をそれぞれ一体的に備えている。また、隣接する現像装置122の下方には、それぞれの感光体ドラム121を露光するための露光装置124が水平に配置されている。
感光体ドラム121は、その周面に静電潜像が形成されるとともに、前記静電潜像がトナーによって顕在化されるトナー像を担持する。
現像装置122は、矢印の方向へ回転する感光体ドラム121の周面の静電潜像にトナーを供給して当該トナーを積層させ、感光体ドラム121の周面に前記画像データに応じたトナー像を形成する。各現像装置122には、前記トナーカートリッジからトナーが適宜補給される。
帯電装置123は、各感光体ドラム121の直下位置にそれぞれ設けられている。帯電装置123は、各感光体ドラム121の周面を一様に帯電させる。
露光装置124は、各帯電装置123の下方位置に設けられている。露光装置124は、コンピューター等から入力された画像データや原稿読取部16が取得した画像データに基づく各色に対応したレーザー光を、帯電後の感光体ドラム121の周面に照射し、各感光体ドラム121の周面に静電潜像を形成する。なお、露光装置124は、感光体ドラム121上に、所定の潜像電位を形成するため、予め設定された露光光量に応じて、前記レーザー光を照射する。ドラムクリーニング装置127は、各感光体ドラム121の左方位置に設けられ、感光体ドラム121の周面の残留トナーを除去してクリーニングする。
中間転写ベルト125は、無端のベルトであって、基層、弾性層、及びコート層から成る積層構造を有する導電性の軟質ベルトである。中間転写ベルト125は、画像形成部12の上方において、略水平方向に配置された複数の張架ローラーに掛け回されている。張架ローラーは、定着装置13の近傍に配置され中間転写ベルト125を回転駆動する駆動ローラー125Aと、駆動ローラー125Aに対して水平方向に所定間隔を置いて配設され従動回転する従動ローラー125Eと、を含む。中間転写ベルト125は、駆動ローラー125Aに回転駆動力が与えられることにより、図1において時計方向に周回駆動される。
二次転写ローラー196には、二次転写バイアス印加部(不図示)が電気的に接続されている。二次転写ローラー196と駆動ローラー125Aとの間に印加される転写バイアスによって、中間転写ベルト125上に形成されたトナー画像は、下方の搬送ローラー対192から搬送された用紙Pに転写される。従動ローラー125Eの外側には、中間転写ベルト125を介して、対向配置されるベルトクリーニング装置198が配設されている。
定着装置13は、内部に加熱源であるハロゲンランプなどの通電発熱体を備えた加熱ローラー132と、加熱ローラー132に対向配置された加圧ローラー134と、を備えている。定着装置13は、画像形成部12で転写された用紙P上のトナー像に対し、用紙Pが加熱ローラー132と加圧ローラー134との間の定着ニップ部を通過する間に加熱ローラー132から熱を与えて定着処理を施す。定着処理の完了したカラー印刷済みの用紙Pは、定着装置13の上部から延設された排紙搬送路194を通って装置本体11の頂部に設けられた排紙トレイ151へ向けて排出される。
給紙部14は、装置本体11の図1における右側壁に開閉自在に設けられた手差しトレイ141と、装置本体11内における露光装置124より下方位置に挿脱可能に装着された給紙カセット142とを備えている。給紙カセット142は、複数枚の用紙Pが積層されてなる用紙束P1を収容する。給紙カセット142の上方には、ピックアップローラー143が設けられ、ピックアップローラー143は、給紙カセット142に収容された用紙束P1の最上位の用紙Pを用紙搬送路190へ向けて繰り出す。手差しトレイ141は、下部本体111の右面の下方位置に設けられた、用紙Pを1枚ずつ手差し操作で画像形成部12へ向けて給紙するためのトレイである。
画像形成部12の左方位置には、上下方向に延びる用紙搬送路190が形成されている。用紙搬送路190には、適所に搬送ローラー対192が設けられ、搬送ローラー対192は、給紙部14から繰り出された用紙Pを、二次転写ローラー196を有する二次転写ニップ部へ向けて搬送する。
用紙排出部15は、下部本体111と上部本体112との間に形成されている。用紙排出部15は、下部本体111の上面に形成された排紙トレイ151を備える。排紙トレイ151は、画像形成部12でトナー像が形成された用紙Pが、定着装置13で定着処理が施された後に排出されるトレイである。
原稿読取部16は、上部本体112の上面開口に装着された、原稿を載置するためのコンタクトガラス161と、このコンタクトガラス161に載置された原稿を押さえる開閉自在の原稿押さえカバー162と、コンタクトガラス161に載置された原稿の画像を走査して読み取る走査機構163とを備えている。走査機構163は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサを用いて原稿の画像を光学的に読み取り、画像データを生成する。また、装置本体11は、この画像データから作像画像を生成する画像処理部(不図示)を有する。
<現像装置の構成>
続いて、現像装置122について詳細に説明する。図2は、現像装置122の内部構造を概略的に示す上下および左右方向の断面図、図3は、現像装置122の内部構造を示した平面図である。現像装置122は、該現像装置122の内部空間を画定する現像ハウジング80を含む。この現像ハウジング80には、所定の極性に帯電する非磁性体のトナーおよび磁性体のキャリアを含む現像剤を貯留する現像剤貯留部81が備えられている。前記トナーの平均粒径は、6.8μmである。また、現像ハウジング80の内部には、現像剤貯留部81の上方に配置された磁気ローラー82と、磁気ローラー82の斜め上方位置で磁気ローラー82に対向配置された現像ローラー83と、磁気ローラー82に対向配置された現像剤規制ブレード84とが配設されている。
現像剤貯留部81は、現像装置122の長手方向に延びる2つの隣り合う現像剤貯留室81a、81bを含む。現像剤貯留室81a、81bは、現像ハウジング80に一体に形成され長手方向に延びる仕切り板801によって互いに仕切られているが、図3に示すように、長手方向における両端部において連通路803、804によって互いに連通されている。各現像剤貯留室81a、81bには、軸回りに回転することにより現像剤を攪拌及び搬送するスクリューフィーダー85、86が収容されている。スクリューフィーダー85、86は、図略の駆動機構により回転駆動されるが、その回転方向が互いに逆方向に設定されている。これにより現像剤は、図3に矢印で示すように、現像剤貯留室81aおよび現像剤貯留室81b間を攪拌されつつ循環搬送される。この攪拌により、トナーとキャリアとが混合され、トナーが例えばプラスに帯電される。
磁気ローラー82は、現像装置122の長手方向に沿って配設されており、図2では時計方向に回転駆動される。磁気ローラー82の内部には、固定式の所謂磁石ロール(図示せず)が配置されている。磁石ロールは複数の磁極を有しており、本実施形態では汲上極821、規制極822及び主極823を有する。汲上極821は現像剤貯留部81に対向し、規制極822は現像剤規制ブレード84に対向し、主極823は現像ローラー83に対向している。また、磁気ローラー82は、現像ローラー83に対して周速比1.5の速度で、対向位置において現像ローラー83と逆方向(カウンター回転)に回転される。
磁気ローラー82は、汲上極821の磁力によって現像剤貯留部81から現像剤をその周面82A上に磁気的に汲み上げる(受け取る)。磁気ローラー82は、周面82A上に、汲み上げられた現像剤を磁気的に現像剤層(磁気ブラシ層)として担持する。磁気ローラー82の回転に伴って、前記現像剤は現像剤規制ブレード84に向けて搬送される。
現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の回転方向から見て現像ローラー83よりも上流側に配置され、磁気ローラー82の周面82Aに磁気的に付着した現像剤層の層厚を規制する。現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の長手方向に沿って延びる磁性材料からなる板部材であり、現像ハウジング80の適所に固定された所定の支持部材841によって支持されている。また、現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の周面82Aとの間で所定の寸法の規制ギャップGを形成する規制面842(つまり現像剤規制ブレード84の先端面)を有する。
磁性材料から形成された現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の規制極822によって磁化される。これにより、現像剤規制ブレード84の規制面842と規制極822との間には、すなわち規制ギャップGには、磁路が形成される。汲上極821によって磁気ローラー82の周面82A上に付着した現像剤層が、磁気ローラー82の回転に伴って規制ギャップG内に搬送されると、現像剤層の層厚は規制ギャップGにおいて規制される。これにより、周面82A上には所定厚さの均一な現像剤層が形成される。
現像ローラー83は、現像装置122の長手方向に沿って、且つ、磁気ローラー82に対して平行に延びるように配設されており、図2では時計方向に回転駆動される。現像ローラー83は、磁気ローラー82の周面82A上に保持された現像剤層に接触した状態で回転しつつ、前記現像剤層からトナーを受け取ってトナー層を担持する周面83Aを有する。現像動作が行なわれる現像時には、現像ローラー83は、前記トナー層のトナーを感光体ドラム121の周面に供給する。本実施形態では、現像ローラー83は、アルマイトの表面に樹脂コート(ウレタンコート)が施されたローラーである。また、現像ローラー83は、感光体ドラム121に対して周速比1.3の速度で、対向位置において感光体ドラム121と同方向(ウィズ回転)に回転される。
現像ローラー83および磁気ローラー82は、後記の駆動部962によって回転駆動される。現像ローラー83の周面83Aと磁気ローラー82の周面82Aとの間には、所定の寸法の隙間Sが形成されている。隙間Sは例えば0.3mmに設定されている。現像ローラー83は、現像ハウジング80に形成された開口を通して感光体ドラム121に臨むように配置され、周面83Aと感光体ドラム121の周面との間にも所定の寸法の隙間が形成されている。本実施形態では、前記隙間は0.12mmに設定されている。
<電気的構成、ブロック図>
続いて、画像形成装置1の主要な電気的構成について説明する。画像形成装置1(現像装置122)は、当該画像形成装置1の各部の動作を統括的に制御する制御部90を備える。図4は、制御部90の機能ブロック図である。また、図5は、本実施形態に係る現像装置122の現像動作を示した模式図である。制御部90は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域
として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。また、制御部90には、現像装置122の各部材に加え、現像バイアス印加部88、リーク検知部89、駆動部962、画像メモリー963、I/F964などが電気的に接続されている。
更に、図5を参照して、現像バイアス印加部88は、第1印加部881と、第2印加部882と、を備える。これらの印加部は、直流電源と交流電源とから構成され、バイアス制御部92またはリーク検知制御部93からの制御信号に基づき、現像装置122内の磁気ローラー82および現像ローラー83に、直流電圧に交流電圧が重畳された現像バイアスを印加する。本実施形態では、第1印加部881は、現像ローラー83に電気的に接続されている。また、第2印加部882は、磁気ローラー82に電気的に接続されている。
リーク検知部89は、現像バイアス印加部88に電気的に接続されている。リーク検知部は、感光体ドラム121と現像ローラー83との間に発生するリーク、または、現像ローラー83と磁気ローラー82との間に発生するリークを検知する。詳しくは、リーク検知部89は、現像ローラー83に流れる電流値の変動(過電流)によって前記リークを検知する。
駆動部962(図4)は、モーター及びそのトルクを伝達するギア機構からなり、制御部90からの制御信号に応じて、現像動作及びリーク検知動作時に、感光体ドラム121に加え、現像装置122内の現像ローラー83、磁気ローラー82およびスクリューフィーダー85、86などを回転駆動させる。本実施形態では、現像ローラー83、磁気ローラー82およびスクリューフィーダー85、86は、駆動部962によって同期して回転駆動される。
画像メモリー963は、当該画像形成装置1がプリンターとして機能する場合に、例えばパーソナルコンピューターなどの外部機器から与えられる印刷用画像データを一時的に記憶する。また、画像メモリー963は、画像形成装置1が複写機として機能する場合には、ADF20により光学的に読み取られた画像データを一時的に記憶する。
I/F964は、外部機器とのデータ通信を実現させるためのインターフェイス回路であり、例えば画像形成装置1と外部機器とを接続するネットワークの通信プロトコルに従った通信信号を作成すると共に、ネットワーク側からの通信信号を画像形成装置1が処理可能な形式のデータに変換する。パーソナルコンピューター等から送信される印刷指示信号はI/F964を介して制御部90に与えられ、また画像データは、I/F964を介して画像メモリー963に記憶される。
制御部90は、前記CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、駆動制御部91、バイアス制御部92およびリーク検知制御部93を備えるように機能する。
駆動制御部91は、駆動部962を制御して、現像ローラー83、磁気ローラー82およびスクリューフィーダー85、86を回転駆動させる。また、駆動制御部91は、不図示の駆動機構を制御して、感光体ドラム121を回転駆動させる。本実施形態では、駆動制御部91は、現像動作およびリーク検知動作において、上記の各部材を回転駆動させる。
バイアス制御部92は、磁気ローラー82から現像ローラー83に、更に、現像ローラー83から感光体ドラム121にトナーが供給される現像動作時に、現像バイアス印加部88を制御して、磁気ローラー82と現像ローラー83との間に直流電圧の電位差を設ける。前記電位差によって、トナーが磁気ローラー82から現像ローラー83に移動される。現像動作時の現像バイアスの詳細については後記で詳述する。
リーク検知制御部93は、リーク検知動作において、現像バイアス印加部88を制御して、磁気ローラー82および現像ローラー83に、直流電圧および交流電圧を印加する。リーク検知動作では、現像ローラー83に印加される現像バイアスのうち、前記リークが発生する交流電圧のピーク間電圧が検出される。この際、リーク検知制御部93は、現像バイアスの交流電圧のピーク間電圧を増大させながら、感光体ドラム121と現像ローラー83との間、または、磁気ローラー82と現像ローラー83との間にリークを発生させる。現像動作に先だって、すなわち、現像動作とは異なる時に、予めリーク検知動作が実行され、リークが生じるピーク間電圧(リーク発生電圧)が検出される。この結果、現像動作時には、リーク発生電圧に至らない範囲で交流電圧のピーク間電圧が設定され、リークの発生が防止される。なお、リーク検知動作時の現像バイアスの詳細については後記で詳述する。
<現像動作について>
次に、図5を参照して、現像動作における感光体ドラム121上の静電潜像の現像メカニズムについて説明する。本実施形態に係る画像形成装置1は、毎分25枚のプリントスピードを備える。そして、感光体ドラム121の周速は、120mm/secに設定されている。また、本実施形態では、現像剤中のキャリアには、体積固有抵抗が、1.0E+10Ω・cmであり、飽和磁化が、65emu/gであり、平均粒径が35μmのコーティングフェライトキャリアが使用されている。
磁気ローラー82の周面82A上の磁気ブラシ層は、現像剤規制ブレード84によって層厚が均一に規制された後、磁気ローラー82の回転に伴って現像ローラー83に向けて搬送される。その後、磁気ローラー82および現像ローラー83が対向する領域において、磁気ブラシ層中の多数の磁気ブラシDBが、回転中の現像ローラー83の周面83Aに接触する。
このとき、バイアス制御部92は、現像バイアス印加部88を制御して、後記のように直流電圧および交流電圧からなる現像バイアスを磁気ローラー82および現像ローラー83に印加する。これにより、磁気ローラー82の周面82Aと現像ローラー83の周面83Aとの間に所定の電位差(現像用電位差ΔV)が生じる。現像用電位差ΔVは、環境などに応じて100Vから350Vの範囲に設定される。この電位差により、周面82Aと周面83Aとの対向位置において(主極823(図2)と周面83Aとの対向位置において)、磁気ブラシDBからトナーTのみが周面83Aに移動し、磁気ブラシDBのキャリアCと残留する一部のトナーとは周面82A上に残る。これにより、現像ローラー83の周面83A上に所定厚さのトナー層TLが担持される。
周面83A上のトナー層TLは、現像ローラー83の回転に伴って感光体ドラム121の周面に向けて搬送される。現像ローラー83には、直流電圧と交流電圧との重畳電圧が印加されている。したがって、静電潜像に応じて表面に電位を有している感光体ドラム121の周面と該現像ローラー83の周面83Aとの間には所定の電位差が生じている。この電位差により、トナー層TLのトナーTが感光体ドラム121の周面に移動する。これにより、感光体ドラム121の周面上の静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
なお、バイアス制御部92が、現像動作時において現像バイアス印加部88を制御して、磁気ローラー82及び現像ローラー83に印加する現像バイアスの一例は次の通りである。
磁気ローラー82の直流電圧Vmag_dc;450V
現像ローラー83の直流電圧Vslv_dc;250V
磁気ローラー82の交流電圧(Vpp)Vmag_ac;1800V(3.7kHz)
現像ローラー83の交流電圧(Vpp)Vslv_ac;700V(3.7kHz)
現像ローラー83の交流電圧のDuty比(Duty1);27%
磁気ローラー82の交流電圧のDuty比(Duty2);73%
感光体ドラム121の画像部電位VL:+100V
感光体ドラム121の背景部電位Vo:+430V
現像動作時には、磁気ローラー82および現像ローラー83に印加される現像バイアスのうち交流電圧は同位相で互いに反転されている。このため、磁気ローラー82と現像ローラー83との間には、前述の直流電圧からなる現像用電位差ΔVに加え、交流電圧に基づく周期的な電位差が設定される。この結果、磁気ローラー82から現像ローラー83へのトナーの移動が促進される。
更に、このような現像装置122においては、感光体ドラム121と現像ローラー83との間、または、磁気ローラー82と現像ローラー83との間でリークが生じるリーク発生電圧がリーク検知部89によって検出される際に、磁気ローラー82および現像ローラー83に固有の現像バイアスを印加することができる。したがって、リーク検知動作時に、磁気ローラー82から現像ローラー83にトナーが移動することを抑制し、可及的に現像ローラー83の表面が露出した状態でリーク検知動作を行うことが可能となる。
リーク検知制御部93(図4)は、画像形成装置1の工場出荷時や、画像形成装置1において現像装置122や感光体ドラム121が交換された場合などのタイミングに、リーク検知動作を実行する。また、リーク検知制御部93は、画像形成装置1の周囲の環境(温度、湿度)が変動した場合、あるいは、所定の枚数の印刷動作が実行された場合などのタイミングでも、リーク検知動作を実行する。このようなリーク検知動作では、リーク検知制御部93は、駆動制御部91を制御して、感光体ドラム121および現像装置122の各部材を回転駆動させる。また、リーク検知制御部93は、帯電装置123および露光装置124を制御して、感光体ドラム121上に静電潜像を形成する。そして、リーク検知制御部93は現像ローラー83に印加される交流電圧のピーク間電圧を増大させながら、リーク検知部89によって過電流を検出することによって、リークが発生するピーク間電圧を検出する。
リーク検知制御部93が、リーク検知動作時において現像バイアス印加部88を制御して、磁気ローラー82及び現像ローラー83に印加する現像バイアスの一例は次の通りである。
磁気ローラー82の直流電圧Vmag_dc;150V
現像ローラー83の直流電圧Vslv_dc;150V
磁気ローラー82の交流電圧(Vpp)Vmag_ac;可変(2.05kHz)
現像ローラー83の交流電圧(Vpp)Vslv_ac;可変(2.05kHz)
現像ローラー83の交流電圧のDuty比;15%
磁気ローラー82の交流電圧のDuty比;15%
感光体ドラム121の画像部電位VL:+100V
感光体ドラム121の背景部電位Vo:+430V
次に、本発明の第1の実施形態に係るリーク検知動作について説明する。表1は、本実施形態に係る現像バイアスのピーク間電圧Vppのテーブルである。表1に示されるテーブルは、制御部90に接続される不図示の記憶部に格納されている。前記テーブルはリーク検知動作に際して、リーク検知制御部93によって参照される。表1のテーブルのA行からV行までのそれぞれに対して、1列から5列までの異なるピーク間電圧の値が格納されている。
また、図6は、本実施形態に係るリーク検知動作のステップを示した模式図である。図7乃至図9は、本実施形態に係るリーク検知動作の一部を示したフローチャートである。
リーク検知制御部93は、前述のような所定のタイミングで連続的に複数回のリーク検知動作を行う。図6は、リーク検知制御部93が連続的に実行する6回のリーク検知動作の各ステップを示している。この際、本実施形態では、左から順に1回目から3回目までのリーク検知動作は、イエローの現像装置122におけるリーク検知動作であり、4回目から6回目までのリーク検知動作は、マゼンタの現像装置122におけるリーク検知動作である。すなわち、本実施形態における複数回のリーク検知動作は、同一の現像装置に対して繰り返し実行されるリーク検知動作と、異なる現像装置に対して順に実行されるリーク検知動作とを含む。
本実施形態では、リーク検知制御部93は、複数回のリーク検知動作のうち1回目のリーク検知動作では、予め設定された基準検知開始電圧V0からピーク間電圧を増大させ、リークが検知された際のピーク間電圧をリーク発生電圧VFとして検出する。
図6および図7を参照して、イエロー色の現像装置122における1回目のリーク検知動作のフローについて詳述する。リーク検知制御部93は、検知精度が相対的に粗めであり、かつ短時間で実行される第1フローと、検知精度が高い第2フローとを実行する(図7)。リーク検知制御部93は、イエロー色の現像装置122のリーク検知動作を開始すると(図7でステップS111)、表1に示すテーブルのA行1列(以下、表1のA−1と称する)の800Vのピーク間電圧を参照し、Vy11=800Vからリーク検知動作を開始する(図7のステップS112)。なお、表1のA−1のピーク間電圧は、基準検知開始電圧V0と定義される。基準検知開始電圧V0は、表1のテーブルに示されるピーク間電圧の最小値であり、画像形成装置1が標準的な平地(高地ではない)に設置された場合に、現像ローラー83において平均的にリーク発生が生じるピーク間電圧の約半分の値に予め設定されている。なお、このように基準検知開始電圧V0が低めに設定されていることによって、画像形成装置1が高地に設置され、低い気圧によってリークが発生しやすい場合でも、安定してリーク検知動作が実行される。なお、図7に示されるピーク間電圧Vy11の符号のうち、「y」はイエロー色を示し、続く「1」はイエロー色の1回目のリーク検知動作を意味している。更に続く「1」は、後記の第1リーク発生電圧VNが導出されるまでの第1フローを意味している。以後に示される符号も同様である。
リーク検知制御部93は、ピーク間電圧Vy11を現像ローラー83に印加し、リークの発生をリーク検知部89に検知させる(図7のステップS113)。そして、リークが発生していない場合(ステップS113でNO)、リーク検知制御部93は、基準検知開始電圧V0にα×sを足した値を、新たなピーク間電圧Vy11として設定する(ステップS114)。ここで、αは、予め設定された第1の電位間隔であり、本実施形態では、50Vに設定されている。なお、sは自然数であり、ステップS114が繰り返される度に1ずつカウントアップされる。リーク検知制御部93は、更新されたピーク間電圧Vy11においてリークが発生するまで、sを増加させながら、ステップS113およびS114を繰り返す。
そして、リーク検知制御部93は、ピーク間電圧Vy11においてリークが発生すると(ステップS113でYES)、その際のピーク間電圧Vy11を第1リーク発生電圧VNとして、前記記憶部に格納する(ステップS115)。なお、図7では、第1リーク発生電圧VNをVNy1と示している(イエロー色の1回目のリーク検知動作における第1リーク発生電圧VN)。一方、図6では、上記の第1リーク発生電圧VNy1が検出されるまでの流れが、イエロー色の1回目のリーク検知動作のA−1からM−1までのステップに示されている。換言すれば、本実施形態では、表1のM−1を参照して、第1リーク発生電圧VNy1=1400Vである。
このように、本実施形態では、リーク検知動作の第1フローとして、リーク検知制御部93は、基準検知開始電圧V0から第1の電位間隔αでピーク間電圧を増大させ、リークが最初に検知された際のピーク間電圧を第1のリーク発生電圧VNとして検出する。
更に、図7を参照して、リーク検知制御部93は、第2フローの最初のピーク間電圧Vy12として、補充検知開始電圧VHを採用する(ステップS116)。なお、図7に示されるピーク間電圧Vy12の符号のうち、「y」はイエロー色を示し、続く「1」はイエロー色の1回目のリーク検知動作を意味している。更に続く「2」は、後記の第2リーク発生電圧VMが導出されるまでの第2フローを意味している。以後に示される符号も同様である。ここで、補充検知開始電圧VHは、VH=VNy1−α+βとして算出される。なお、βは、予め設定された第2の電位間隔であり、本実施形態では、10Vに設定されている。したがって、補充検知開始電圧VHは、1360Vであり、図6では、イエロー色の1回目のリーク検知動作のL−2のステップで示されている。
次に、リーク検知制御部93は、補充検知開始電圧VHが採用された最初のピーク間電圧Vy12が、前述の第1リーク発生電圧VNy1よりも小さいか否かを判定する(ステップS117)。第2フローの開始時には、Vy12<VNy1が成り立つため(ステップS117でYES)、リーク検知制御部93は、当該ピーク間電圧Vy12においてリークが発生するか否かをリーク検知部89に検知させる(ステップS118)。そして、リークが発生していない場合(ステップS118でNO)、リーク検知制御部93は、ピーク間電圧Vy12にβ×tを足した値を、新たなピーク間電圧Vy12として設定する(ステップS119)。なお、tは、sと同様に自然数であり、ステップS119が繰り返される度に1ずつカウントアップされる。
リーク検知制御部93は、更新されたピーク間電圧Vy12においてリークが発生するまで、tを増加させながら、ステップS117、S118およびS119を繰り返す。そして、リーク検知制御部93は、ピーク間電圧Vy12においてリークが発生すると(ステップS118でYES)、その際のピーク間電圧Vy12を第2リーク発生電圧VMとして、前記記憶部に格納する。なお、図7では、第2リーク発生電圧VMをVMy1と示している。この際の符号「y1」は、イエロー色の1回目のリーク検知動作であることを示している。また、図6では、上記の第2リーク発生電圧VMy1が検出されるまでの流れが、イエロー色の1回目のリーク検知動作のL−2からL−3までのステップに示されている。換言すれば、本実施形態では、表1のL−3を参照して、第2リーク発生電圧VMy1=1370Vである。
更に、リーク検知制御部93は、イエロー色の1回目のリーク検知動作における最終的なリーク発生電圧VFとして、検出された第2リーク発生電圧VMy1を前記記憶部に格納する(ステップS121)。なお、ステップS119が繰り返された結果、更新されたピーク間電圧Vy12が第1リーク発生電圧VNy1を上回った場合(ステップS117でNO)、リーク検知制御部93は、イエロー色の1回目のリーク検知動作における最終的なリーク発生電圧VFとして、第1リーク発生電圧VNy1を前記記憶部に格納する(ステップS122)。これは、第1フローおよび第2フローにおいて、リークが発生した最小のピーク間電圧をリーク発生電圧VFとするためである。かくして、イエロー色の1回目のリーク検知動作におけるリーク発生電圧VFが確定される(ステップS123)。
このように、本実施形態では、リーク検知動作の第2フローとして、リーク検知制御部93は、第1リーク発生電圧VNy1よりも第1の電位間隔αだけ小さい補充検知開始電圧VH(第3検知開始電圧)から、第1の電位間隔αよりも小さい第2の電位間隔βでピーク間電圧を第1リーク発生電圧VNy1に至るまで増大させ、リークが再び検出された際のピーク間電圧を第2リーク発生電圧VMy1として検出する。そして、リーク検知制御部93は、検出された第1リーク発生電圧VNy1または第2リーク発生電圧VMy1を当該リーク検知動作におけるリーク発生電圧VFとする。
次に、図6および図8を参照して、イエロー色の2回目のリーク検知動作について説明する。2回目以降のリーク検知動作では、リーク検知制御部93は、既に検出されたリーク発生電圧VFに応じて算出された第1検知開始電圧VAからピーク間電圧を増大させ、リークが検知された際のピーク間電圧を次のリーク発生電圧VFとして検出する。
図8を参照して、リーク検知制御部93は、イエロー色の現像装置122の2回目のリーク検知動作を開始すると(図8でステップS131)、第1フローの最初のピーク間電圧Vy21として、第1検知開始電圧VAを採用する。ここで、第1検知開始電圧VA=VNy1−100(V)として算出される。式中の100Vは、第1の電位差と定義される。前述のように、1回目のリーク検知動作で検出された第1リーク発生電圧VNy1は1400Vであった。このため、第1検知開始電圧VAは、1300−100=1300Vであり、表1および図6では、イエロー色の2回目のリーク検知動作のK−1のステップで示されている。
このように、本実施形態では、2回目のリーク検知動作の開始が、基準検知開始電圧V0よりも大きな第1検知開始電圧VAから開始されることによって、2回目のリーク検知動作に要するステップ数を縮小することができる。一方、1回目のリーク検知動作においてリークが検知された第1リーク発生電圧VNy1よりも100V小さな第1検知開始電圧VAからリーク検知動作が開始されることによって、リーク発生電圧VFが変動する場合であっても、精度良くリーク検知動作を実行することができる。なお、後記のように、他の変形実施形態において、1回目のリーク検知動作においてリークが検知された第2リーク発生電圧VMy1(リーク発生電圧VF)よりも所定の第1の電位差分だけ小さな第1検知開始電圧VAから2回目のリーク検知動作が開始されてもよい。
なお、図8において、ステップS133からステップS143までのフローは、図7のステップS113からステップS123までのフローと同様である。図8のステップS143において、イエロー色の2回目のリーク検知動作におけるリーク発生電圧VFが確定される。
また、図6に示すように、2回目のリーク検知動作に続いてイエロー色の3回目のリーク検知動作が同様に実行されてもよい。そして、リーク検知制御部93は、これらイエロー色の複数回のリーク検知動作によって得られた複数のリーク発生電圧VFの平均値または最小値に基づいて、現像動作時にイエロー色の現像ローラー83に印加されるピーク間電圧を設定する。詳しくは、所定の安全率が考慮され、複数のリーク発生電圧VFの平均値または最小値よりも所定の値だけ小さなピーク間電圧が、現像動作時に印加されるピーク間電圧とされる。この結果、画像形成装置1において画像が形成される現像動作時にリークが発生することが抑止され、感光体ドラム121上のトナー画像に画像欠陥が生じることが防止される。
次に、図6および図9を参照して、本実施形態に係るマゼンタ色の1回目のリーク検知動作について説明する。前述のように、図6に示すように、マゼンタ色のリーク検知動作は、イエロー色のリーク検知動作の終了後に、連続して開始される。本実施形態では、リーク検知制御部93は、マゼンタ色の1回目のリーク検知動作では、イエロー色のリーク検知動作において既に検出されたリーク発生電圧VFに応じて算出された第1検知開始電圧VAからピーク間電圧を増大させ、リークが検知された際のピーク間電圧をマゼンタ色のリーク発生電圧VFとして検出する。
図9を参照して、リーク検知制御部93は、マゼンタ色の現像装置122の1回目のリーク検知動作を開始すると(図9でステップS151)、第1フローの最初のピーク間電圧Vm11として、第1検知開始電圧VAを採用する。ここで、第1検知開始電圧VA=VNy1−200(V)として算出される。式中の200Vは、図8のステップS132の100Vと同様に、第1の電位差と定義される。前述のように、イエロー色の1回目のリーク検知動作で検出された第1リーク発生電圧VNy1は1400Vであった。したがって、マゼンタ色の1回目のリーク検知動作の第1検知開始電圧VAは、1400−200=1200Vであり、表1および図6では、マゼンタ色の1回目のリーク検知動作のI−1のステップで示されている。
このように、本実施形態では、マゼンタ色の1回目のリーク検知動作の開始が、基準検知開始電圧V0よりも大きな第1検知開始電圧VAから開始されることによって、マゼンタ色のリーク検知動作に要するステップ数を縮小することができる。一方、イエロー色の1回目のリーク検知動作においてリークが検知された第1リーク発生電圧VNy1よりも200V小さな第1検知開始電圧VAから、マゼンタ色のリーク検知動作が開始されることによって、現像装置間でリーク発生電圧VFがばらつく場合であっても、精度良くリーク検知動作を実行することができる。特に、異なる現像装置間では、感光体ドラム121と現像ローラー83との間のギャップにばらつきがあるため、リーク発生電圧VFは、同一現像装置内での繰り返し時よりも変動しやすい。本実施形態では、上記のように、リーク検知制御部93が実行する複数回のリーク検知動作は、同一の現像装置に対して繰り返し実行される第1のリーク検知動作群(イエロー色の1回目、2回目)と、異なる現像装置に対して順に実行される第2のリーク検知動作群(イエロー色の1回目、マゼンタ色の2回目)とを含む。そして、第2のリーク検知動作群における第1の電位差(200V)は、第1のリーク検知動作群における第1の電位差(100V)よりも大きく設定されている。したがって、異なる現像装置においてリーク発生電圧VFが特にばらつく場合であっても、精度良くリーク検知動作を実行することができる。なお、他の変形実施形態において、イエロー色の1回目のリーク検知動作においてリークが検知された第2リーク発生電圧VMy1(リーク発生電圧VF)よりも所定の第1の電位差分だけ小さな第1検知開始電圧VAからマゼンタ色の1回目のリーク検知動作が開始されてもよい。
なお、図9において、ステップS153からステップS163までのフローは、図7のステップS113からステップS123までのフローと同様である。図9のステップS163において、マゼンタ色の1回目のリーク検知動作におけるリーク発生電圧VFが確定される。
その後、図6に示すように、連続してマゼンタ色の2回目および3回目のリーク検知動作が同様に実行される。そして、リーク検知制御部93は、これらマゼンタ色の複数回のリーク検知動作によって得られた複数のリーク発生電圧VFの平均値または最小値に基づいて、現像動作時にマゼンタ色の現像ローラー83に印加されるピーク間電圧を設定する。換言すれば、画像形成装置1において、複数回のリーク検知動作は、各現像装置122に対して複数回実行される。そして、各現像装置122において複数回のリーク検知動作によって得られた複数のリーク発生電圧VFの平均値または最小値に基づいて、各現像装置122の現像動作時に現像ローラー83に印加されるピーク間電圧が設定される。
表2は、本実施形態に係るリーク検知動作のステップ数を示すテーブルである。
表2を参照して、本実施形態に係るリーク検知動作と比較される他のリーク検知動作において、図6のイエロー色の1回目のリーク検知動作(15ステップ分)と同じリーク検知動作が、4色の現像装置122においてそれぞれ3回ずつ実行されたとする。この場合、表2に示すように、総ステップ1の合計は180ステップに及ぶ。一方、図6に示されるように、本実施形態では、イエロー色の3回のリーク検知動作は、それぞれ、15、5、5ステップで完了している。また、マゼンタ色の3回のリーク検知動作は、それぞれ、7、5、5ステップで完了している。この後、シアン色およびブラック色のリーク検知動作においても、マゼンタ色の場合と同様のステップ数でリーク検知動作が完了した。この結果、表2に示すように、本実施形態の総ステップ2の合計は76ステップに縮小され、総ステップ1の約40%のステップ数でリーク検知動作が完了している。このように、本実施形態では、リーク検知動作の精度を維持しつつ、リーク検知動作に要する時間を短縮することが可能となる。
次に、図10および図11を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。図10は、第2の実施形態に係るリーク検知動作のステップを示した模式図である。図11は、第2の実施形態に係るリーク検知動作の一部を示したフローチャートである。図11は、イエロー色の2回目のリーク検知動作のフローチャートに相当する。第2の実施形態では、連続して複数回実行されるイエロー色のリーク検知動作について説明する。なお、第2の実施形態では、先の第1の実施形態と比較して、2回目のリーク検知動作の第1フローにおいて相違するため、該相違点を中心に説明し、共通する点の説明を省略する。
先の第1の実施形態と同様に、図7および図10に示されるように、イエロー色の1回目のリーク検知動作が実行される。この結果、イエロー色の1回目の第1リーク発生電圧VNy1および第2リーク発生電圧VMy1が、前記記憶部に格納される(図7のステップS115およびS120、図10の1回目のリーク検知動作のM−1およびL―3)。また、イエロー色の1回目のリーク検知動作におけるリーク発生電圧VFが確定される(図7のステップS123)。
一方、本実施形態では、図11を参照して、リーク検知制御部93は、イエロー色の現像装置122の2回目のリーク検知動作を開始すると(図11でステップS171)、第1フローの最初のピーク間電圧Vy21として、第1検知開始電圧VAを採用する。ここで、第1検知開始電圧VA=VNy1−150(V)として算出される。ここで、式中の150Vは、第1の電位差と定義される。なお、第1の電位差は、第1の実施形態と同様に100Vに設定されてもよい。1回目のリーク検知動作で検出された第1リーク発生電圧VNy1は1400Vであったため、第1検知開始電圧VAは、1400−150=1250Vであり、表1および図10では、イエロー色の2回目のリーク検知動作のJ−1のステップで示されている。
本実施形態では、図11のステップS173およびS174を有する点に特徴がある。リーク検知制御部93は、第1検知開始電圧VAが採用されたピーク間電圧Vy21においてリークが発生するか否かを検出する(図11のステップS173)。先の第1の実施形態では、図8のステップS133で第1検知開始電圧VAによってリークが発生すると、この第1検知開始電圧VAが第1リーク発生電圧VNy2とされる(図8のステップS135)。しかしながら、実際には、第1検知開始電圧VAよりも小さな電圧値において、更に適切なリーク発生電圧(第1リーク発生電圧VNy2)が存在する可能性がある。また、2回目のリーク検知動作を短時間にて完了させるために、第1検知開始電圧VAを1回目の第1リーク発生電圧VNy1に近づけて設定した場合、第1検知開始電圧VAでのリークが発生しやすくなる。
本実施形態では、上記のような事象を踏まえ、第1検知開始電圧VAが採用されたピーク間電圧Vy21においてリークが発生すると(図11のステップS173でYES)、リーク検知制御部93は、次のピーク間電圧Vy21を、第2検知開始電圧VB(Vy21=VA―150(V))に設定する。なお、第1検知開始電圧VAは1250Vであったため、第2検知開始電圧VBは、1250−150=1100Vである。図10では、第2検知開始電圧VBは、2回目のリーク検知動作のG−1のステップで示されている。
したがって、リーク検知制御部93は、第1検知開始電圧VAよりも更に第1の電位差分だけ低い第2検知開始電圧VBから、リーク検知を再開する。そして、当該第2検知開始電圧VBにおいて、リークが発生しない場合(図11のステップS173およびステップS175でNO)に、図8のステップS134と同様に、第1の電位間隔αをもってピーク間電圧を増大させながらリーク検知を繰り返す(図11のステップS176、S175)。この結果、第1検知開始電圧VAにおいてリークが発生した場合であっても、第1検知開始電圧VAよりも小さな電圧値の適切なリーク発生電圧VF(第1リーク発生電圧VNy2)を検出することができる(図11のステップS177)。
なお、図11において、ステップS177からステップS185までのフローは、図8のステップS135からステップS143までのフローと同様である。図11のステップS185において、イエロー色の2回目のリーク検知動作におけるリーク発生電圧VFが確定される。
このように、第2の実施形態では、2回目以降のリーク検知動作において、第1検知開始電圧VAでリークが発生した場合に、第1検知開始電圧VAよりも第2の電位差(図11のステップS174の150V)分小さい第2検知開始電圧VBからリーク検知動作を再開する。この際、第2の電位差は前述の第1の電位差以上に設定されるとともに、かつ、第2検知開始電圧VBは基準検知開始電圧V0よりも大きく設定される。この結果、リーク検知動作のステップ数を短縮するとともに、適切なリーク発生電圧VF(第1リーク発生電圧VNy2)を検出することができる。
表3は、本実施形態に係るリーク検知動作のステップ数を示すテーブルである。
表3を参照して、本実施形態に係るリーク検知動作と比較される他のリーク検知動作において、図6のイエロー色の1回目のリーク検知動作(15ステップ分)と同じリーク検知動作が、イエロー色の現像装置122において3回実行されたとする。この場合、総ステップ3の合計は45ステップに及ぶ。一方、図10に示されるように、本実施形態では、イエロー色の3回のリーク検知動作は、それぞれ、15、6、6ステップで完了している。この結果、本実施形態の総ステップ4の合計は27ステップに縮小され、総ステップ3の約60%のステップ数でリーク検知動作が完了している。このように、本実施形態でも、リーク検知動作の精度を維持しつつ、リーク検知動作に要する時間を短縮することが可能となる。
次に、図12および図13を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。図12は、第3の実施形態に係るリーク検知動作のステップを示した模式図である。図13は、第3の実施形態に係るリーク検知動作の一部を示したフローチャートである。図13は、イエロー色の2回目のリーク検知動作のフローチャートに相当する。第3の実施形態では、連続して複数回実行されるイエロー色のリーク検知動作について説明する。なお、第3の実施形態では、先の第1の実施形態と比較して、2回目のリーク検知動作の第1フローの前に予備検知フローを備える点において相違するため、該相違点を中心に説明し、共通する点の説明を省略する。
先の第1の実施形態と同様に、図7および図10に示されるように、イエロー色の1回目のリーク検知動作が実行される。この結果、イエロー色の1回目の第1リーク発生電圧VNy1および第2リーク発生電圧VMy1が、前記記憶部に格納される(図7のステップS115およびS120、図12の1回目のリーク検知動作のM−1およびL―3)。また、イエロー色の1回目のリーク検知動作におけるリーク発生電圧VFが確定される(図7のステップS123)。
一方、本実施形態では、図13を参照して、リーク検知制御部93は、イエロー色の現像装置122の2回目のリーク検知動作を開始すると(図13でステップS191)、リーク検知制御部93は、予備検知フロー(第1予備検知動作)を実行する。ここで、リーク検知制御部93は、最初のピーク間電圧Vy21として、先の基準検知開始電圧V0を採用する(図13のステップS192)。そして、リーク検知制御部93は、基準検知開始電圧V0が採用された最初のピーク間電圧Vy21が、1回目のリーク検知動作における第1リーク発生電圧VNy1よりも小さいか否かを判定する(ステップS193)。予備検知フローの開始時には、Vy21<VNy1が成り立つため(ステップS193でYES)、リーク検知制御部93は、当該ピーク間電圧Vy21においてリークが発生するか否かをリーク検知部89に検知させる(ステップS194)。そして、リークが発生していない場合(ステップS194でNO)、リーク検知制御部93は、ピーク間電圧Vy21にγ×vを足した値を、新たなピーク間電圧Vy21として設定する(ステップS195)。なお、vは、sと同様に自然数であり、ステップS195が繰り返される度に1ずつカウントアップされる。また、γは、第3の電位間隔であり、先の第1の電位間隔αよりも大きく設定されている。本実施形態では、γは100Vである。図12の2回目のリーク検知動作において、予備検知フローは、A−1からI−1までのステップに示されている。
図13のステップS193からS195の予備検知フローが繰り返される中で、リークが発生した場合(図13のステップS194でYES)、リーク検知制御部93は、この際のピーク間電圧Vy21を予備検知リーク発生電圧VLとして前記記憶部に格納する(ステップS196)。一方、予備検知フローにおいてリークが発生することなく、増大されるピーク間電圧Vy21が第1リーク発生電圧VNy1を越えた場合(ステップS193でNO)、リーク検知制御部93は、通常の第1フローに移行する(ステップS197からS199)。リーク検知制御部93は、第1フローにおいてリークが発生した際のピーク間電圧Vy21を第1リーク発生電圧VNとして前記記憶部に格納する(ステップS200)。
その後、リーク検知制御部93は、図7のステップS116からS123までと同様に、第2フローにおいて詳細なリーク発生電圧の検出を実行する。なお、予備検知フローにおいてリークが発生した場合は、先に格納された予備検知リーク発生電圧VLに基づいて、予備補充検知開始電圧VIが算出され(図13のステップS201)、当該予備補充検知開始電圧VIから第2フローが開始される。一方、第1フローにおいてリークが発生した場合は、先に格納された第1リーク発生電圧VNに基づいて、補充検知開始電圧VHが算出され(図13のステップS202)、当該補充検知開始電圧VHから第2フローが開始される。
このように、本実施形態では、リーク検知制御部93は、2回目以降のリーク検知動作において、第1検知開始電圧VAからピーク間電圧を増大させる前に、基準検知開始電圧V0から第1検知開始電圧VAに至るまで、第3の電位間隔γでピーク間電圧を増大させながらリークを検知する予備検知フロー(第1予備検知動作)を実行する。したがって、基準検知開始電圧V0から第1検知開始電圧VAに至る領域で予備検知を行うため、誤検知が防止され、精度良くリーク検知動作が実行される。この際、予備検知フローでは、第1の電位間隔αよりも大きい第3の電位間隔γでピーク間電圧が増大されるため、予備検知フローの導入に伴ってリーク検知動作のステップ数が大幅に増大されることが防止される。
表4は、本実施形態に係るリーク検知動作のステップ数を示すテーブルである。
表4を参照して、本実施形態に係るリーク検知動作と比較される他のリーク検知動作において、図6のイエロー色の1回目のリーク検知動作(15ステップ分)と同じリーク検知動作が、イエロー色の現像装置122において3回実行されたとする。この場合、総ステップ5の合計は45ステップに及ぶ。一方、図12に示されるように、本実施形態では、イエロー色の3回のリーク検知動作は、それぞれ、15、10、10ステップで完了している。この結果、本実施形態の総ステップ6の合計は35ステップに縮小されながら、予備フローを実行することが可能となる。このように、本実施形態でも、リーク検知動作の精度を維持しつつ、リーク検知動作に要する時間を短縮することが可能となる。
以上、本発明の実施形態に係る画像形成装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採用することができる。
(1)上記の第3の実施形態では、図13の予備検知フローにおいてリークが発生することなく、増大されるピーク間電圧Vy21が第1リーク発生電圧VNy1を越えた場合(ステップS193でNO)、リーク検知制御部93が通常の第1フローに移行する(ステップS197からS199)態様にて説明した。本発明はこれに限定されるものではない。図14は、本発明の変形実施形態に係るリーク検知動作のステップを示した模式図である。
本変形実施形態では、リーク検知制御部93は、予備フロー(図14の2回目のリーク検知動作のA−1からI−1のステップ)が完了した後、第1フローに移行することなく、第2フローに移行する。すなわち、図14に示すように、リーク検知制御部93は、第1検知開始電圧VAから第2の電位間隔β(図14では、10V)でピーク間電圧を増大させながらリーク検知を実行する(図14の2回目のリーク検知動作のK−1からL−3のステップ)。この場合であっても、基準検知開始電圧V0から第1検知開始電圧VAに至る領域で予備検知を行うため、精度良くリーク検知動作が実行される。
更に、図15は、本発明の他の変形実施形態に係るリーク検知動作のステップを示した模式図である。本変形実施形態では、リーク検知制御部93は、第1検知開始電圧VA(図15の2回目のリーク検知動作のK−1ステップ)からピーク間電圧を増大させる前に、先の第3の実施形態とは異なる予備検知フロー(第2予備検知動作)を実行する。当該予備検知フローでは、リーク検知制御部93は、基準検知開始電圧V0から第1の電位間隔αよりも大きい第3の電位間隔γでピーク間電圧の増大を開始し(図15の2回目のリーク検知動作のA−1ステップからE−1ステップ)、かつ、第3の電位間隔γから電位間隔を縮小させながら、第1検知開始電圧VAに至るまでリークを検知する(図15の2回目のリーク検知動作のE−1ステップからJ−1ステップ)。この場合であっても、予備検知フローの導入に伴ってリーク検知動作のステップ数が大幅に増大されることが防止される。
(2)また、上記の第1の実施形態では、イエロー色の2回目のリーク検知動作が開始される際に、第1検知開始電圧VAに対してイエロー色の1回目の第1リーク発生電圧VNy1が参照された(図8のステップS132)。また、マゼンタ色の1回目のリーク検知動作が開始される際に、第1検知開始電圧VAに対してイエロー色の1回目の第1リーク発生電圧VNy1が参照された(図9のステップS152)。本発明は、これに限定されるものではない。以下に示す表5および表6は、本発明の変形実施形態において、第1検知開始電圧VAの参照先のパターンを示した表である。表5では、1色目(イエロー色)において3回のリーク検知動作が実行された後、同様に、各色において3回ずつのリーク検知動作が順に実行される。また、表6では、各色において1回ずつリーク検知動作が実行された後、同様の動作が繰り返し3回実行される。いずれも、第1検知開始電圧VAに対して参照された第1リーク発生電圧VNまたは第2リーク発生電圧VMに下線を付して示している。
表5のパターン1では、イエロー色の2回目の第1検知開始電圧VAは、イエロー色の1回目の第1リーク発生電圧VNを参照している。なお、Xは前述の第1の電位差であり、同一現像装置内において使用される電位差である。同様に、イエロー色の3回目の第1検知開始電圧VAは、イエロー色の2回目の第1リーク発生電圧VNを参照している。更に、マゼンタ色の1回目の第1検知開始電圧VAは、イエロー色の3回目の第1リーク発生電圧VNを参照している。また、マゼンタ色の2回目の第1検知開始電圧VAは、マゼンタ色の1回目の第1リーク発生電圧VNを参照している。なお、Yは前述の第1の電位差であり、異なる現像装置間において使用される電位差である。以後、同様の規則に沿って、マゼンタ色、シアン色およびブラック色において、第1リーク発生電圧VNまたは第2リーク発生電圧VMが参照される。
表5のパターン2では、イエロー色の2回目の第1検知開始電圧VAは、イエロー色の1回目の第1リーク発生電圧VNを参照している。また、イエロー色の3回目の第1検知開始電圧VAも、イエロー色の1回目の第1リーク発生電圧VNを参照している。更に、マゼンタ色の1回目の第1検知開始電圧VAは、イエロー色の1回目の第1リーク発生電圧VNを参照している。そして、マゼンタ色の2回目の第1検知開始電圧VAは、イエロー色の2回目の第1リーク発生電圧VNを参照している。マゼンタ色の3回目の第1検知開始電圧VAは、マゼンタ色の3回目の第1リーク発生電圧VNを参照している。以後、同様の規則に沿って、マゼンタ色、シアン色およびブラック色において、第1リーク発生電圧VNまたは第2リーク発生電圧VMが参照される。
表5のパターン3では、イエロー色の2回目の第1検知開始電圧VAは、イエロー色の1回目の第2リーク発生電圧VMを参照している。また、イエロー色の3回目の第1検知開始電圧VAは、イエロー色の2回目の第2リーク発生電圧VMを参照している。更に、マゼンタ色の1回目の第1検知開始電圧VAは、イエロー色の3回目の第2リーク発生電圧VMを参照している。そして、マゼンタ色の2回目の第1検知開始電圧VAは、マゼンタ色の1回目の第2リーク発生電圧VMを参照している。マゼンタ色の3回目の第1検知開始電圧VAは、マゼンタ色の2回目の第2リーク発生電圧VMを参照している。以後、同様の規則に沿って、マゼンタ色、シアン色およびブラック色において、第1リーク発生電圧VNまたは第2リーク発生電圧VMが参照される。
表6のパターン4では、マゼンタ色の1回目の第1検知開始電圧VAは、イエロー色の1回目の第1リーク発生電圧VNを参照している。また、シアン色の1回目の第1検知開始電圧VAは、マゼンタ色の1回目の第1リーク発生電圧VNを参照している。更に、ブラック色の1回目の第1検知開始電圧VAは、シアン色の1回目の第1リーク発生電圧VNを参照している。そして、イエロー色の2回目の第1検知開始電圧VAは、再び、イエロー色の1回目の第1リーク発生電圧VNを参照している。マゼンタ色の2回目の第1検知開始電圧VAは、マゼンタ色の1回目の第1リーク発生電圧VNを参照している。以後、同様の規則に沿って、マゼンタ色、シアン色およびブラック色において、第1リーク発生電圧VNまたは第2リーク発生電圧VMが参照される。
表6のパターン5では、マゼンタ色の1回目の第1検知開始電圧VAは、イエロー色の1回目の第1リーク発生電圧VNを参照している。また、シアン色の1回目の第1検知開始電圧VAは、マゼンタ色の1回目の第1リーク発生電圧VNを参照している。更に、ブラック色の1回目の第1検知開始電圧VAは、シアン色の1回目の第1リーク発生電圧VNを参照している。そして、イエロー色の2回目の第1検知開始電圧VAは、ブラック色の1回目の第1リーク発生電圧VNを参照している。マゼンタ色の2回目の第1検知開始電圧VAは、イエロー色の2回目の第1リーク発生電圧VNを参照している。以後、同様の規則に沿って、マゼンタ色、シアン色およびブラック色において、第1リーク発生電圧VNまたは第2リーク発生電圧VMが参照される。
表6のパターン6では、マゼンタ色の1回目の第1検知開始電圧VAは、イエロー色の1回目の第2リーク発生電圧VMを参照している。また、シアン色の1回目の第1検知開始電圧VAは、マゼンタ色の1回目の第2リーク発生電圧VMを参照している。更に、ブラック色の1回目の第1検知開始電圧VAは、シアン色の1回目の第2リーク発生電圧VMを参照している。そして、イエロー色の2回目の第1検知開始電圧VAは、イエロー色の1回目の第2リーク発生電圧VMを参照している。マゼンタ色の2回目の第1検知開始電圧VAは、マゼンタ色の1回目の第2リーク発生電圧VMを参照している。以後、同様の規則に沿って、マゼンタ色、シアン色およびブラック色において、第1リーク発生電圧VNまたは第2リーク発生電圧VMが参照される。
このように、本変形実施形態では、2回目以降のリーク検知動作における第1検知開始電圧VAは、先に実行されたリーク検知動作におけるリーク発生電圧VF(第1リーク発生電圧VNまたは第2リーク発生電圧VM)よりも第1の電位差(XまたはY)だけ小さく設定される。
(3)また、上記の実施形態では、現像ローラー83および磁気ローラー82を備え、タッチダウン現像方式が適用された現像装置122を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図16は、本発明の変形実施形態に係る現像装置122Aの断面図および制御部980の電気的構成を示したブロック図である。現像装置122Aは、現像ハウジング950と、現像ローラー951と、第1スクリューフィーダー952と、第2スクリューフィーダー953と、規制ブレード960とを備える。現像装置122Aには、二成分現像方式が適用されている。
現像ハウジング950には、現像剤収容部950Hが備えられている。現像剤収容部950Hには、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤が収容されている。また、現像剤収容部950Hは、現像剤が現像ローラー951の軸方向の一端側から他端側に向かう第1搬送方向(図16の紙面と直交する方向、後から前に向かう方向)に搬送される第1搬送部950Aと、軸方向の両端部において第1搬送部950Aに連通され、第1搬送方向とは逆の第2搬送方向に現像剤が搬送される第2搬送部950Bとを含む。第1スクリューフィーダー952および第2スクリューフィーダー953は、図16の矢印D162、163方向に回転され、それぞれ、現像剤を第1搬送方向および第2搬送方向に搬送する。特に、第1スクリューフィーダー952は、現像剤を第1搬送方向に搬送しながら、現像ローラー951に現像剤を供給する。
現像ローラー951は、表面に静電潜像が形成される不図示の感光体ドラム(像担持体)に対して間隔をおいて配置されている。現像ローラー951は、回転されるスリーブ951Sと、スリーブ951Sの内部に固定配置された磁石951Mとを備える。磁石951Mは、S1、N1、S2、N2およびS3極を備える。現像ローラー951は、図16の矢印D161方向に回転される。現像ローラー951は、現像ハウジング950H内の現像剤を受け取って、現像剤層を担持し、前記感光体ドラムにトナーを供給する。
規制ブレード960は、現像ローラー951に所定の間隔をおいて配置され、第1スクリューフィーダー952から現像ローラー951の周面上に供給された現像剤の層厚を規制する。
現像装置122Aが装着される画像形成装置(不図示)は、先の実施形態と同様に、現像バイアス印加部972(バイアス印加部)と、リーク検知部971と、制御部980と、駆動部973とを備える。
現像バイアス印加部972は、直流電源と交流電源とから構成され、後記のバイアス制御部982またはリーク検知制御部983からの制御信号に基づき、現像装置122Aの現像ローラー951に、直流電圧に交流電圧が重畳された現像バイアスを印加する。
リーク検知部971は、現像バイアス印加部972に電気的に接続されている。リーク検知部971は、感光体ドラムと現像ローラー951との間に発生するリークを検知する。詳しくは、リーク検知部971は、現像ローラー951に流れる電流値の変動(過電流)によって前記リークを検知する。
駆動部973は、モーター及びそのトルクを伝達するギア機構からなり、制御部980からの制御信号に応じて、先の実施形態と同様に、現像動作及びリーク検知動作時に、感光体ドラムに加え、現像装置122A内の現像ローラー951および第1スクリューフィーダー952、第2スクリューフィーダー953を回転駆動させる。
制御部90は、前記CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、駆動制御部981、バイアス制御部982およびリーク検知制御部983を備えるように機能する。
駆動制御部981は、駆動部973を制御して、現像ローラー951、第1スクリューフィーダー952、第2スクリューフィーダー953を回転駆動させる。また、駆動制御部981は、不図示の駆動機構を制御して、感光体ドラムを回転駆動させる。本変形実施形態では、駆動制御部981は、現像動作およびリーク検知動作において、上記の各部材を回転駆動させる。
バイアス制御部982は、現像ローラー951から感光体ドラムにトナーが供給される現像動作時に、現像バイアス印加部972を制御して、感光体ドラムと現像ローラー951との間に直流電圧および交流電圧の電位差を設ける。前記電位差によって、トナーが現像ローラー951から感光体ドラムに移動される。
リーク検知制御部983は、リーク検知動作において、現像バイアス印加部972を制御して、現像ローラー951に、直流電圧および交流電圧を印加する。リーク検知動作では、現像ローラー951に印加される現像バイアスのうち、前記リークが発生する交流電圧のピーク間電圧が検出される。この際、リーク検知制御部983は、現像バイアスの交流電圧のピーク間電圧を増大させながら、感光体ドラムと現像ローラー951との間にリークを発生させる。本変形実施形態においても、現像動作に先だって、すなわち、現像動作とは異なる時に、予めリーク検知動作が実行され、リークが生じるピーク間電圧(リーク発生電圧)が検出される。この結果、現像動作時には、リーク発生電圧に至らない範囲で交流電圧のピーク間電圧が設定され、リークの発生が防止される。
本変形実施形態においても、リーク検知制御部983は、所定のタイミングで連続的に複数回のリーク検知動作を行う。そして、リーク検知制御部983は、複数回のリーク検知動作のうち1回目のリーク検知動作では、予め設定された基準検知開始電圧V0からピーク間電圧を増大させ、リークが検知された際のピーク間電圧をリーク発生電圧VFとして検出する。また、リーク検知制御部983は、2回目以降のリーク検知動作では、既に検出されたリーク発生電圧VFに応じて算出された、基準検知開始電圧V0よりも大きな第1検知開始電圧VAからピーク間電圧を増大させ、リークが検知された際のピーク間電圧を次のリーク発生電圧VFとして検出する。この結果、複数回実行されるリーク検知動作のうち2回目以降のリーク検知動作に要するステップ数を縮小することができる。なお、本変形実施形態における各リーク検知動作の詳細な制御については、先の各実施形態と同様の制御を実行することが可能である。また、複数のカラーに応じて、現像装置122Aが複数配置された場合であっても、リーク検知動作に要するステップ数を縮小することができる。
なお、バイアス制御部982が、現像動作時において現像バイアス印加部972を制御して、現像ローラー951に印加する現像バイアスの一例は次の通りである。
現像ローラー951の直流電圧Vslv_dc;200V
現像ローラー951の交流電圧(Vpp)Vslv_ac;1400V(3.0kHz)
現像ローラー951と感光体ドラムとのギャップ:0.3mm
現像ローラー951の表面粗さRz:5.5μm
現像ローラー951の交流電圧のDuty比(Duty1);50%
感光体ドラムの画像部電位VL:+30V
感光体ドラムの背景部電位Vo:+300V
感光体ドラム:a−Si感光体
現像ローラー951上の現像剤の搬送量:8mg/cm2
また、リーク検知制御部983が、リーク検知動作時において現像バイアス印加部972を制御して、現像ローラー951に印加する現像バイアスについて説明する。図2に示されるようなタッチダウン現像方式の場合は、現像ローラー83にトナー層を形成させない状態でリーク検知動作を行う。このため、感光体ドラム121上の静電潜像が画像部分であっても、トナーが感光体ドラム121側に現像されることはほとんどない。又、感光体ドラム121上の画像部分には、トナーが現像される方向の電位が設定されているため、感光体ドラム121にはプラス極性の電荷が注入されやすくなっている。そこで、感光体ドラム121の画像部において、リークが発生するようにリーク検知動作が実行される。これは、感光体ドラム121の表面にマイナス極性の電荷(感光体ドラム121の画像部とは逆の極性)が注入されることを防ぐためである。感光体ドラム121に逆極性の電荷が注入されると、当該電荷が抜けにくいため、次のリーク検知動作に誤差が生じやすくなる。
一方、図16に示されるような2成分現像方式の場合は、現像ローラー951の現像領域には、磁気ブラシが形成されている。このため、感光体ドラム上の画像部でリーク検知動作が実行されると、リーク検知と同時に、感光体ドラム側にトナーが消費されてしまう。そこで、このトナー消費を抑えるために、2成分現像方式の場合には、感光体ドラム121の白地部(背景部)においてリーク検知動作が実行される必要がある。この場合も、リーク検知時にVo(背景部電位)−Vslv_dc >150(V)となると、感光体ドラム側にキャリアが現像される可能性が高まるため、Vo−Vslv_dc=50〜100V程度の電位差に設定された状態で、リーク検知動作が実行される。
なお、感光体ドラムの白地部においてリーク検知動作が実行されると、トナー消費は抑制されるが、感光体ドラムの表面に逆極性(ここではマイナス極性)の電荷が付与され、当該電荷が次の検知動作に影響を与える場合がある。そこで、2成分現像方式の場合には、転写部材(感光体ドラムに対向する部材、転写ローラーなど)に印加される転写バイアスが、感光体ドラムの極性(ここではプラス極性)と同じに設定される。この結果、感光体ドラムにマイナス極性の電荷が付与されていても、感光体ドラム上の電荷と転写部材の電荷とが互いに相殺される(キャンセル)。この結果、感光体ドラムから不必要な電荷を取り除くことができる。なお、2成分現像方式が採用された場合の具体的なリーク検知動作時の条件を以下に示す。
現像ローラー951の直流電圧Vslv_dc;250V
現像ローラー951の交流電圧(Vpp)Vslv_ac;可変(3.0kHz)
現像ローラー951の交流電圧のDuty比;50%
感光体ドラムの画像部電位VL:+30V
感光体ドラムの背景部電位Vo:+300V