以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。なお、本発明は、電子写真方式を採用した画像形成装置、例えばコピー機、プリンター、ファクシミリ、これらの機能を備える複合機等に適用することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の構造を示す正面断面図である。画像形成装置1は、装置本体11に、画像形成部12、定着装置13、給紙部14、用紙排出部15、および原稿読取部16等を備えて構成されている。
装置本体11は、下部本体111と、この下部本体111の上方に対向配置された上部本体112と、この上部本体112と下部本体111との間に介設された連結部113とを備えている。連結部113は、下部本体111と上部本体112との間に用紙排出部15を形成させた状態で両者を互いに連結するための構造物であり、下部本体111の左部および後部から立設され、平面視でL字状を呈している。上部本体112は、連結部113の上端部に支持されている。
下部本体111には、画像形成部12、定着装置13および給紙部14が内装されているとともに、上部本体112には原稿読取部16が装着されている。
画像形成部12は、給紙部14から給紙された用紙Pにトナー像を形成する画像形成動作を実行する。画像形成部12は、上流側から下流側へ向けて水平に順次配設された、イエロー色のトナーを用いるイエロー用ユニット12Y、マゼンタ色のトナーを用いるマゼンタ用ユニット12M、シアン色のトナーを用いるシアン用ユニット12Cおよびブラック色のトナーを用いるブラック用ユニット12Bkと、駆動ローラー125A等の複数のローラー間に画像形成における副走査方向へ無端走行可能に張架された中間転写ベルト125と、中間転写ベルト125の外周面に当接する二次転写ローラー196と、ベルトクリーニング装置198と、を備えている。
画像形成部12の各色のユニットは、感光体ドラム121と、感光体ドラム121へトナーを供給する現像装置122と、トナーを収容するトナーカートリッジ(不図示)と、帯電装置123と、ドラムクリーニング装置127と、をそれぞれ一体的に備えている。また、隣接する現像装置122の下方には、それぞれの感光体ドラム121を露光するための露光装置124が水平に配置されている。
感光体ドラム121は、その周面に静電潜像が形成されるとともに、前記静電潜像がトナーによって顕在化されるトナー像を担持する。本実施形態では、感光体ドラム121は、アモルファスシリコン(α−Si)感光体である。
現像装置122は、矢印の方向へ回転する感光体ドラム121の周面の静電潜像にトナーを供給して当該トナーを積層させ、感光体ドラム121の周面に前記画像データに応じたトナー像を形成する。各現像装置122には、前記トナーカートリッジからトナーが適宜補給される。
帯電装置123は、各感光体ドラム121の直下位置にそれぞれ設けられている。帯電装置123は、各感光体ドラム121の周面を一様に帯電させる。
露光装置124は、各帯電装置123の下方位置に設けられている。露光装置124は、コンピューター等から入力された画像データや原稿読取部16が取得した画像データに基づく各色に対応したレーザー光を、帯電後の感光体ドラム121の周面に照射し、各感光体ドラム121の周面に静電潜像を形成する。なお、露光装置124は、感光体ドラム121上に、所定の潜像電位を形成するため、予め設定された露光光量に応じて、前記レーザー光を照射する。ドラムクリーニング装置127は、各感光体ドラム121の左方位置に設けられ、感光体ドラム121の周面の残留トナーを除去してクリーニングする。
中間転写ベルト125は、無端のベルトであって、基層、弾性層、及びコート層から成る積層構造を有する導電性の軟質ベルトである。中間転写ベルト125は、画像形成部12の上方において、略水平方向に配置された複数の張架ローラーに掛け回されている。張架ローラーは、定着装置13の近傍に配置され中間転写ベルト125を回転駆動する駆動ローラー125Aと、駆動ローラー125Aに対して水平方向に所定間隔を置いて配設され従動回転する従動ローラー125Eと、を含む。中間転写ベルト125は、駆動ローラー125Aに回転駆動力が与えられることにより、図1において時計方向に周回駆動される。
二次転写ローラー196には、二次転写バイアス印加部(不図示)が電気的に接続されている。二次転写ローラー196と駆動ローラー125Aとの間に印加される転写バイアスによって、中間転写ベルト125上に形成されたトナー画像は、下方の搬送ローラー対192から搬送された用紙Pに転写される。従動ローラー125Eの外側には、中間転写ベルト125を介して、対向配置されるベルトクリーニング装置198が配設されている。
定着装置13は、内部に加熱源であるハロゲンランプなどの通電発熱体を備えた加熱ローラー132と、加熱ローラー132に対向配置された加圧ローラー134と、を備えている。定着装置13は、画像形成部12で転写された用紙P上のトナー像に対し、用紙Pが加熱ローラー132と加圧ローラー134との間の定着ニップ部を通過する間に加熱ローラー132から熱を与えて定着処理を施す。定着処理の完了したカラー印刷済みの用紙Pは、定着装置13の上部から延設された排紙搬送路194を通って装置本体11の頂部に設けられた排紙トレイ151へ向けて排出される。
給紙部14は、装置本体11の図1における右側壁に開閉自在に設けられた手差しトレイ141と、装置本体11内における露光装置124より下方位置に挿脱可能に装着された給紙カセット142とを備えている。給紙カセット142は、複数枚の用紙Pが積層されてなる用紙束P1を収容する。給紙カセット142の上方には、ピックアップローラー143が設けられ、ピックアップローラー143は、給紙カセット142に収容された用紙束P1の最上位の用紙Pを用紙搬送路190へ向けて繰り出す。手差しトレイ141は、下部本体111の右面の下方位置に設けられた、用紙Pを1枚ずつ手差し操作で画像形成部12へ向けて給紙するためのトレイである。
画像形成部12の左方位置には、上下方向に延びる用紙搬送路190が形成されている。用紙搬送路190には、適所に搬送ローラー対192が設けられ、搬送ローラー対192は、給紙部14から繰り出された用紙Pを、二次転写ローラー196を有する二次転写ニップ部へ向けて搬送する。
用紙排出部15は、下部本体111と上部本体112との間に形成されている。用紙排出部15は、下部本体111の上面に形成された排紙トレイ151を備える。排紙トレイ151は、画像形成部12でトナー像が形成された用紙Pが、定着装置13で定着処理が施された後に排出されるトレイである。
原稿読取部16は、上部本体112の上面開口に装着された、原稿を載置するためのコンタクトガラス161と、このコンタクトガラス161に載置された原稿を押さえる開閉自在の原稿押さえカバー162と、コンタクトガラス161に載置された原稿の画像を走査して読み取る走査機構163とを備えている。走査機構163は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサを用いて原稿の画像を光学的に読み取り、画像データを生成する。また、装置本体11は、この画像データから作像画像を生成する画像処理部(不図示)を有する。
<現像装置の構成>
続いて、現像装置122について詳細に説明する。図2は、現像装置122の内部構造を概略的に示す上下および左右方向の断面図、図3は、現像装置122の内部構造を示した平面図である。現像装置122は、該現像装置122の内部空間を画定する現像ハウジング80を含む。この現像ハウジング80には、所定の極性に帯電する非磁性体のトナーおよび磁性体のキャリアを含む現像剤を貯留する現像剤貯留部81が備えられている。前記トナーの平均粒径は、6.8μmである。また、現像ハウジング80の内部には、現像剤貯留部81の上方に配置された磁気ローラー82と、磁気ローラー82の斜め上方位置で磁気ローラー82に対向配置された現像ローラー83と、磁気ローラー82に対向配置された現像剤規制ブレード84とが配設されている。
現像剤貯留部81は、現像装置122の長手方向に延びる2つの隣り合う現像剤貯留室81a、81bを含む。現像剤貯留室81a、81bは、現像ハウジング80に一体に形成され長手方向に延びる仕切り板801によって互いに仕切られているが、図3に示すように、長手方向における両端部において連通路803、804によって互いに連通されている。各現像剤貯留室81a、81bには、軸回りに回転することにより現像剤を攪拌及び搬送するスクリューフィーダー85、86が収容されている。スクリューフィーダー85、86は、図略の駆動機構により回転駆動されるが、その回転方向が互いに逆方向に設定されている。これにより現像剤は、図3に矢印で示すように、現像剤貯留室81aおよび現像剤貯留室81b間を攪拌されつつ循環搬送される。この攪拌により、トナーとキャリアとが混合され、トナーが例えばプラスに帯電される。
磁気ローラー82は、現像装置122の長手方向に沿って配設されており、図2では時計方向に回転駆動される。磁気ローラー82の内部には、固定式の所謂磁石ロール(図示せず)が配置されている。磁石ロールは複数の磁極を有しており、本実施形態では汲上極821、規制極822及び主極823を有する。汲上極821は現像剤貯留部81に対向し、規制極822は現像剤規制ブレード84に対向し、主極823は現像ローラー83に対向している。また、磁気ローラー82は、現像ローラー83に対して周速比1.5の速度で、対向位置において現像ローラー83と逆方向(カウンター回転)に回転される。
磁気ローラー82は、汲上極821の磁力によって現像剤貯留部81から現像剤をその周面82A上に磁気的に汲み上げる(受け取る)。磁気ローラー82は、周面82A上に、汲み上げられた現像剤を磁気的に現像剤層(磁気ブラシ層)として担持する。磁気ローラー82の回転に伴って、前記現像剤は現像剤規制ブレード84に向けて搬送される。
現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の回転方向から見て現像ローラー83よりも上流側に配置され、磁気ローラー82の周面82Aに磁気的に付着した現像剤層の層厚を規制する。現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の長手方向に沿って延びる磁性材料からなる板部材であり、現像ハウジング80の適所に固定された所定の支持部材841によって支持されている。また、現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の周面82Aとの間で所定の寸法の規制ギャップGを形成する規制面842(つまり現像剤規制ブレード84の先端面)を有する。
磁性材料から形成された現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の規制極822によって磁化される。これにより、現像剤規制ブレード84の規制面842と規制極822との間には、すなわち規制ギャップGには、磁路が形成される。汲上極821によって磁気ローラー82の周面82A上に付着した現像剤層が、磁気ローラー82の回転に伴って規制ギャップG内に搬送されると、現像剤層の層厚は規制ギャップGにおいて規制される。これにより、周面82A上には所定厚さの均一な現像剤層が形成される。
現像ローラー83は、現像装置122の長手方向に沿って、且つ、磁気ローラー82に対して平行に延びるように配設されており、図2では時計方向に回転駆動される。現像ローラー83は、磁気ローラー82の周面82A上に保持された現像剤層に接触した状態で回転しつつ、前記現像剤層からトナーを受け取ってトナー層を担持する周面83Aを有する。現像動作が行なわれる現像時には、現像ローラー83は、前記トナー層のトナーを感光体ドラム121の周面に供給する。本実施形態では、現像ローラー83は、アルマイトの表面に樹脂コート(ウレタンコート)が施されたローラーである。また、現像ローラー83は、感光体ドラム121に対して周速比1.3の速度で、対向位置において感光体ドラム121と同方向(ウィズ回転)に回転される。
現像ローラー83および磁気ローラー82は、後記の駆動部962によって回転駆動される。現像ローラー83の周面83Aと磁気ローラー82の周面82Aとの間には、所定の寸法の隙間Sが形成されている。隙間Sは例えば0.3mmに設定されている。現像ローラー83は、現像ハウジング80に形成された開口を通して感光体ドラム121に臨むように配置され、周面83Aと感光体ドラム121の周面との間にも所定の寸法の隙間が形成されている。本実施形態では、前記隙間は0.12mmに設定されている。
<電気的構成、ブロック図>
続いて、画像形成装置1の主要な電気的構成について説明する。画像形成装置1(現像装置122)は、当該画像形成装置1の各部の動作を統括的に制御する制御部90を備える。図4は、制御部90の機能ブロック図である。また、図5は、本実施形態に係る現像装置122の現像動作を示した模式図である。制御部90は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。また、制御部90には、現像装置122の各部材に加え、現像バイアス印加部88、リーク検知部89、駆動部962、画像メモリー963、I/F964などが電気的に接続されている。
図5を参照して、現像バイアス印加部88は、第1印加部881と、第2印加部882と、を備える。これらの印加部は、直流電源と交流電源とから構成され、バイアス制御部92またはリーク検知制御部93からの制御信号に基づき、現像装置122内の磁気ローラー82および現像ローラー83に、直流電圧に交流電圧が重畳された現像バイアスを印加する。本実施形態では、第1印加部881は、現像ローラー83に電気的に接続されている。また、第2印加部882は、磁気ローラー82に電気的に接続されている。図5に示されるように、現像ローラー83に印加される電圧はグランド(接地)を基準に設定されており、磁気ローラー82に印加される電圧は現像ローラー83の電位を基準に設定されている。
リーク検知部89は、現像バイアス印加部88に電気的に接続されている。リーク検知部は、感光体ドラム121と現像ローラー83との間に発生するリーク、または、現像ローラー83と磁気ローラー82との間に発生するリークを検知する。詳しくは、リーク検知部89は、現像ローラー83に流れる電流値の変動(過電流)によって前記リークを検知する。
図6は、画像形成装置1に搭載された現像装置122、現像バイアス印加部88、リーク検知部89の模式図である。図6は、画像形成装置1を背面側から見た図に相当する。図6に示すように、各色の現像装置122(122Y、122M、122Cおよび122Bk)のそれぞれに個別の現像バイアス印加部88(88Y、88M、88Cおよび88Bk)が電気的に接続されている。また、各色の現像バイアス印加部88には、それぞれリーク検知部89(89Y、89M、89Cおよび89Bk)が接続されている。そして、すべての現像バイアス印加部88およびリーク検知部89は、1枚の基板88I上に搭載されている。この際、各現像バイアス印加部88は、一の方向に沿って(紙面左から右に向かって)隣接して配置されている。
駆動部962(図4)は、モーター及びそのトルクを伝達するギア機構からなり、制御部90からの制御信号に応じて、現像動作及びリーク検知動作時に、感光体ドラム121に加え、現像装置122内の現像ローラー83、磁気ローラー82およびスクリューフィーダー85、86などを回転駆動させる。本実施形態では、現像ローラー83、磁気ローラー82およびスクリューフィーダー85、86は、駆動部962によって同期して回転駆動される。
画像メモリー963は、当該画像形成装置1がプリンターとして機能する場合に、例えばパーソナルコンピューターなどの外部機器から与えられる印刷用画像データを一時的に記憶する。また、画像メモリー963は、画像形成装置1が複写機として機能する場合には、ADF20により光学的に読み取られた画像データを一時的に記憶する。
I/F964は、外部機器とのデータ通信を実現させるためのインターフェイス回路であり、例えば画像形成装置1と外部機器とを接続するネットワークの通信プロトコルに従った通信信号を作成すると共に、ネットワーク側からの通信信号を画像形成装置1が処理可能な形式のデータに変換する。パーソナルコンピューター等から送信される印刷指示信号はI/F964を介して制御部90に与えられ、また画像データは、I/F964を介して画像メモリー963に記憶される。
制御部90は、前記CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、駆動制御部91、バイアス制御部92およびリーク検知制御部93を備えるように機能する。
駆動制御部91は、駆動部962を制御して、現像ローラー83、磁気ローラー82およびスクリューフィーダー85、86を回転駆動させる。また、駆動制御部91は、不図示の駆動機構を制御して、感光体ドラム121を回転駆動させる。本実施形態では、駆動制御部91は、現像動作およびリーク検知動作において、上記の各部材を回転駆動させる。
バイアス制御部92は、磁気ローラー82から現像ローラー83に、更に、現像ローラー83から感光体ドラム121にトナーが供給される現像動作時に、現像バイアス印加部88を制御して、磁気ローラー82と現像ローラー83との間に直流電圧および交流電圧の電位差を設ける。前記電位差によって、トナーが磁気ローラー82から現像ローラー83に移動される。現像動作時の現像バイアスの詳細については後記で詳述する。
リーク検知制御部93は、リーク検知動作において、現像バイアス印加部88を制御して、磁気ローラー82および現像ローラー83に、直流電圧および交流電圧を印加する。リーク検知動作では、現像ローラー83に印加される現像バイアスのうち、前記リークが発生する交流電圧のピーク間電圧(リーク発生電圧)が検出される。この際、リーク検知制御部93は、現像バイアスの交流電圧のピーク間電圧を増大させながら、感光体ドラム121と現像ローラー83との間、または、磁気ローラー82と現像ローラー83との間にリークを発生させる。現像動作に先だって、すなわち、現像動作とは異なる時に、予めリーク検知動作が実行される。この結果、現像動作時には、リーク発生電圧から所定のオフセット電圧が差し引かれ、リーク発生電圧に至らない範囲の交流電圧のピーク間電圧が設定されることで、リークの発生が防止される。なお、リーク検知動作時の現像バイアスの詳細については後記で詳述する。
<現像動作について>
次に、図5を参照して、現像動作における感光体ドラム121上の静電潜像の現像メカニズムについて説明する。本実施形態に係る画像形成装置1は、一例として、毎分40枚のプリントスピードを備える。そして、感光体ドラム121の周速は、210mm/secに設定されている。また、本実施形態では、現像剤中のキャリアには、体積固有抵抗が、1010Ω・cmであり、飽和磁化が、65emu/gであり、平均粒径が35μmのコーティングフェライトキャリアが使用されている。
磁気ローラー82の周面82A上の磁気ブラシ層は、現像剤規制ブレード84によって層厚が均一に規制された後、磁気ローラー82の回転に伴って現像ローラー83に向けて搬送される。その後、磁気ローラー82および現像ローラー83が対向する領域において、磁気ブラシ層中の多数の磁気ブラシDBが、回転中の現像ローラー83の周面83Aに接触する。
このとき、バイアス制御部92は、現像バイアス印加部88を制御して、後記のように直流電圧および交流電圧からなる現像バイアスを磁気ローラー82および現像ローラー83に印加する。これにより、磁気ローラー82の周面82Aと現像ローラー83の周面83Aとの間に所定の電位差(現像用電位差ΔV)が生じる。現像用電位差ΔVは、環境などに応じて100Vから350Vの範囲に設定される。この電位差により、周面82Aと周面83Aとの対向位置(主極823(図2)と周面83Aとの対向位置)において、磁気ブラシDBからトナーTのみが周面83Aに移動し、磁気ブラシDBのキャリアCと残留する一部のトナーとは周面82A上に残る。これにより、現像ローラー83の周面83A上に所定厚さのトナー層TLが担持される。
周面83A上のトナー層TLは、現像ローラー83の回転に伴って感光体ドラム121の周面に向けて搬送される。現像ローラー83には、直流電圧と交流電圧との重畳電圧が印加されている。したがって、静電潜像に応じて表面に電位を有している感光体ドラム121の周面と該現像ローラー83の周面83Aとの間には所定の電位差が生じている。この電位差により、トナー層TLのトナーTが感光体ドラム121の周面に移動する。これにより、感光体ドラム121の周面上の静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
なお、バイアス制御部92が、現像動作時において現像バイアス印加部88を制御して、磁気ローラー82及び現像ローラー83に印加する現像バイアスの一例は次の通りである。
磁気ローラー82の直流電圧Vmag_dc;300V
現像ローラー83の直流電圧Vslv_dc;50V
現像ローラー83と磁気ローラー82との間の交流電圧(Vpp)Vmag_ac;1800V(4.7kHz)
現像ローラー83の交流電圧(Vpp)Vslv_ac;1300V(4.7kHz)
現像ローラー83の交流電圧のDuty比(Duty1);45%
現像ローラー83と磁気ローラー82との間の交流電圧のDuty比(Duty2);70%
感光体ドラム121の画像部電位VL:+20V
感光体ドラム121の背景部電位Vo:+230V
上記のように現像動作時には、磁気ローラー82および現像ローラー83に現像バイアスの交流電圧も印加される。このため、磁気ローラー82と現像ローラー83との間には、前述の直流電圧からなる現像用電位差ΔVに加え、交流電圧に基づく周期的な電位差が設定される。この結果、磁気ローラー82から現像ローラー83へのトナーの移動が促進される。
更に、このような現像装置122においては、感光体ドラム121と現像ローラー83との間、または、磁気ローラー82と現像ローラー83との間でリークが生じるリーク発生電圧がリーク検知部89によって検出される際に、磁気ローラー82および現像ローラー83に固有の現像バイアスを印加することができる。したがって、リーク検知動作時に、磁気ローラー82から現像ローラー83にトナーが移動することを抑制し、可及的に現像ローラー83の表面が露出した状態でリーク検知動作を行うことが可能となる。
リーク検知制御部93(図4)は、画像形成装置1の工場出荷時や、画像形成装置1において現像装置122や感光体ドラム121が交換された場合などに、リーク検知動作を実行する。また、リーク検知制御部93は、画像形成装置1の周囲の環境(温度、湿度)が変動した場合、あるいは、所定の枚数の印刷動作が実行された場合などでも、リーク検知動作を実行する。このようなリーク検知動作では、リーク検知制御部93は、駆動制御部91を制御して、感光体ドラム121および現像装置122の各部材を回転駆動させる。また、リーク検知制御部93は、帯電装置123および露光装置124を制御して、感光体ドラム121上に静電潜像を形成する。そして、リーク検知制御部93は現像ローラー83のみ、または現像ローラー83および磁気ローラー82に印加される交流電圧のピーク間電圧を増大させながら、リーク検知部89によって過電流を検出することによって、リークが発生するピーク間電圧を検出する。なお、本実施形態のように、各現像装置122において現像ローラー83および磁気ローラー82にそれぞれトランスが接続されている場合には、リーク検知制御部93は現像ローラー83に印加される交流電圧を変化させ、現像ローラー83と磁気ローラー82との間の交流電圧を固定した状態でリーク検知動作を実行する。一方、他の実施形態において、1つのトランスから現像ローラー83および磁気ローラー82に現像バイアスが印加される態様でもよい。この場合、現像動作時には位相が反転された交流電圧が現像ローラー83および磁気ローラー82に印加される。そして、リーク検知動作時には、リーク検知制御部93は現像ローラー83および磁気ローラー82の両方に印加される交流電圧を変化させながらリーク検知動作を実行する。
リーク検知制御部93が、リーク検知動作時において現像バイアス印加部88を制御して、磁気ローラー82及び現像ローラー83に印加する現像バイアスの一例は次の通りである。
磁気ローラー82の直流電圧Vmag_dc;50V
現像ローラー83の直流電圧Vslv_dc;30V
現像ローラー83と磁気ローラー82との間の交流電圧(Vpp)Vmag_ac;50V(固定)(3.0kHz)
現像ローラー83の交流電圧(Vpp)Vslv_ac;可変(3.0kHz)
現像ローラー83の交流電圧のDuty比;35%
現像ローラー83と磁気ローラー82との間の交流電圧のDuty比;35%
感光体ドラム121の画像部電位VL:+20V
感光体ドラム121の背景部電位Vo:+230V
リーク検知動作では、磁気ローラー82の直流電圧Vmag_dcが現像動作時よりも小さく設定され、現像ローラー83と磁気ローラー82との間の交流電圧が縮小されることで、磁気ローラー82から現像ローラー83にトナーが移動することが抑止される。
次に、本発明の第1の実施形態に係るリーク検知動作について更に説明する。表1は、本実施形態に係る現像バイアスのピーク間電圧Vppのテーブルである。表1に示されるテーブルは、制御部90に接続される不図示の記憶部に格納されている。前記テーブルはリーク検知動作に際して、リーク検知制御部93によって参照される。表1のテーブルのA行からV行までのそれぞれに対して、1列から5列までの異なるピーク間電圧の値が予め格納されている。
また、図7は、本実施形態に係るリーク検知動作を示したフローチャートである。
リーク検知制御部93は、前述のような所定のタイミングで連続的に複数回のリーク検知動作を行う。本実施形態における複数回のリーク検知動作は、同一の現像装置に対して繰り返し実行されるリーク検知動作と、異なる現像装置に対して順に実行されるリーク検知動作とを含む。
本実施形態では、リーク検知制御部93は、予め設定された基準検知開始電圧V0からピーク間電圧を増大させ、リークが検知された際のピーク間電圧を最終的にリーク発生電圧VFとして検出する。
図7を参照して、一例として、イエロー色の現像装置122における1回目のリーク検知動作のフローについて詳述する。リーク検知制御部93は、検知精度が相対的に粗めであり、かつ短時間で実行される第1フロー(粗調動作)と、検知精度が高い第2フロー(微調動作)とを実行する。リーク検知制御部93は、イエロー色の現像装置122のリーク検知動作を開始すると(図7でステップS111)、表1に示すテーブルのA行1列(以下、表1のA−1と称する)の800Vのピーク間電圧を参照し、Vy11=800Vからリーク検知動作を開始する(図7のステップS112)。なお、表1のA−1のピーク間電圧は、基準検知開始電圧V0と定義される。基準検知開始電圧V0は、表1のテーブルに示されるピーク間電圧の最小値であり、画像形成装置1が標準的な平地(高地ではない)に設置された場合に、現像ローラー83において平均的にリーク発生が生じるピーク間電圧の約半分の値に予め設定されている。なお、このように基準検知開始電圧V0が低めに設定されていることによって、画像形成装置1が高地に設置され、低い気圧によってリークが発生しやすい場合でも、安定してリーク検知動作が実行される。なお、図7に示されるピーク間電圧Vy11の符号のうち、「y」はイエロー色を示し、続く「1」はイエロー色の1回目のリーク検知動作を意味している。更に続く「1」は、後記の第1リーク発生電圧VNが導出されるまでの当該第1フローを意味している。以後に示される符号も同様である。
リーク検知制御部93は、ピーク間電圧Vy11を現像ローラー83に印加し、リークの発生をリーク検知部89に検知させる(図7のステップS113)。そして、リークが発生していない場合(ステップS113でNO)、リーク検知制御部93は、基準検知開始電圧V0にα×sを足した値を、新たなピーク間電圧Vy11として設定する(ステップS114)。ここで、αは、予め設定された第1の電位間隔であり、本実施形態では、50Vに設定されている。なお、sは自然数であり、ステップS114が繰り返される度に1ずつカウントアップされる。リーク検知制御部93は、更新されたピーク間電圧Vy11においてリークが発生するまで、sを増加させながら、ステップS113およびS114を繰り返す。
そして、リーク検知制御部93は、ピーク間電圧Vy11においてリークが発生すると(ステップS113でYES)、その際のピーク間電圧Vy11を第1リーク発生電圧VNとして、前記記憶部に格納する(ステップS115)。なお、図7では、第1リーク発生電圧VNをVNy1と示している(イエロー色の1回目のリーク検知動作における第1リーク発生電圧VN)。たとえば、図7のステップS113およびS114が12回繰り返された場合、第1リーク発生電圧VNy1=800+50×12=1400Vである(表1のM−1参照)。
このように、本実施形態では、リーク検知動作の第1フローとして、リーク検知制御部93は、基準検知開始電圧V0から第1の電位間隔αでピーク間電圧を増大させ、リークが最初に検知された際のピーク間電圧を第1リーク発生電圧VNとして検出する。
更に、図7を参照して、リーク検知制御部93は、第2フローの最初のピーク間電圧Vy12として、補充検知開始電圧VHを採用する(ステップS116)。なお、図7に示されるピーク間電圧Vy12の符号のうち、「y」はイエロー色を示し、続く「1」はイエロー色の1回目のリーク検知動作を意味している。更に続く「2」は、後記の第2リーク発生電圧VMが導出されるまでの当該第2フローを意味している。以後に示される符号も同様である。ここで、補充検知開始電圧VHは、VH=VNy1−α+βとして算出される。なお、βは、予め設定された第2の電位間隔であり、本実施形態では、10Vに設定されている。したがって、補充検知開始電圧VHは、VH=1400−50+10=1360Vである(表1のL−2参照)。
次に、リーク検知制御部93は、補充検知開始電圧VHが採用された最初のピーク間電圧Vy12が、前述の第1リーク発生電圧VNy1よりも小さいか否かを判定する(ステップS117)。第2フローの開始時には、Vy12<VNy1が成り立つため(ステップS117でYES)、リーク検知制御部93は、当該ピーク間電圧Vy12においてリークが発生するか否かをリーク検知部89に検知させる(ステップS118)。そして、リークが発生していない場合(ステップS118でNO)、リーク検知制御部93は、ピーク間電圧Vy12にβ×tを足した値を、新たなピーク間電圧Vy12として設定する(ステップS119)。なお、tは、sと同様に自然数であり、ステップS119が繰り返される度に1ずつカウントアップされる。
リーク検知制御部93は、更新されたピーク間電圧Vy12においてリークが発生するまで、tを増加させながら、ステップS117、S118およびS119を繰り返す。そして、リーク検知制御部93は、ピーク間電圧Vy12においてリークが発生すると(ステップS118でYES)、その際のピーク間電圧Vy12を第2リーク発生電圧VMとして、前記記憶部に格納する(ステップS120)。なお、図7では、第2リーク発生電圧VMをVMy1と示している。この際の符号「y1」は、イエロー色の1回目のリーク検知動作であることを示している。たとえば、図7のステップS119が1回実行された場合、第1リーク発生電圧VMy1=1360+10×1=1370Vである(表1のL−3参照)。
更に、リーク検知制御部93は、イエロー色の1回目のリーク検知動作における最終的なリーク発生電圧VFとして、検出された第2リーク発生電圧VMy1を前記記憶部に格納する(ステップS121)。なお、ステップS119が繰り返された結果、更新されたピーク間電圧Vy12が第1リーク発生電圧VNy1を上回った場合(ステップS117でNO)、リーク検知制御部93は、イエロー色の1回目のリーク検知動作における最終的なリーク発生電圧VFとして、第1リーク発生電圧VNy1を前記記憶部に格納する(ステップS122)。これは、第1フローおよび第2フローにおいて、リークが発生した最小のピーク間電圧をリーク発生電圧VFとするためである。かくして、イエロー色の1回目のリーク検知動作におけるリーク発生電圧VFが確定される(ステップS123)。
このように、本実施形態では、リーク検知動作の第2フローとして、リーク検知制御部93は、第1リーク発生電圧VNよりも第1の電位間隔αだけ小さいピーク間電圧(第3検知開始電圧)から、第1の電位間隔αよりも小さい第2の電位間隔βでピーク間電圧を第1リーク発生電圧VNに至るまで増大させ、リークが再び検出された際のピーク間電圧を第2リーク発生電圧VMとして検出する。そして、リーク検知制御部93は、検出された第1リーク発生電圧VNまたは第2リーク発生電圧VMを当該リーク検知動作におけるリーク発生電圧VFとする。このように、リーク検知動作が第1フローと第2フローとから構成されるため、リーク発生電圧VFがより高い精度で検出される。
その後、イエロー色の2回目および3回目のリーク検知動作が同様に実行される。バイアス制御部92は、これらイエロー色の複数回のリーク検知動作によって得られた複数のリーク発生電圧VFの平均値または最小値に基づいて、次の現像動作時にイエロー色の現像ローラー83に印加されるピーク間電圧を設定する。このため、現像装置122に印加されるピーク間電圧をリークが発生しない領域により確実に設定することができる。
前述のように、本実施形態では、複数の現像装置122(122Y、122M、122Cおよび122Bk)にそれぞれ現像バイアス印加部88(88Y、88M、88Cおよび88Bk)が接続されている。各色の現像装置122毎に、感光体ドラム121と現像ローラー83との間のギャップ、および、現像ローラー83と磁気ローラー82との間のギャップは異なるためリーク発生電圧VFも異なる。したがって、リーク検知制御部93は、各現像装置122に対してリーク検知動作を複数回実行する。そして、各現像装置122において複数回のリーク検知動作によって得られた複数のリーク発生電圧VFの平均値または最小値に基づいて、各現像装置122の次の現像動作時に現像ローラー83に印加されるピーク間電圧が設定される。
図8は、本実施形態と比較される他の態様において、リーク検知制御部が各色の現像装置122に対して実行するリーク検知動作のステップを模式的に示した例である。図8の左に示す3つのチャートは、イエローおよびシアンの現像装置122の3回分のリーク検知動作を示している。なお、説明を簡略化するために、イエローおよびシアンの現像装置122では同じピーク間電圧でリークが発生するものと仮定している。各チャートでは、前述の基準検知開始電圧V0(表1のA−1)から下に向かってピーク間電圧が増大されている。そして、13回目のステップにおいて表1のM−1の1400Vで1回目のリークが発生し、15回目のステップにおいて表1のL−3の1370Vで2回目のリークが発生している。換言すれば、各チャートのステップ1から13までが前述の第1フローに相当し、ステップ14から15までが前述の第2フローに相当する。なお、説明を簡略化するために、3回分の各チャートのリーク発生電圧VF(表1のL―3)は同一として示しているが、実際には、リーク発生電圧VFは繰り返しによって変動する。
同様に、図8の右に示す3つのチャートは、マゼンタおよびブラックの現像装置122の3回分のリーク検知動作を示している。なお、説明を簡略化するために、マゼンタおよびブラックの現像装置122では同じピーク間電圧でリークが発生するものと仮定している。いずれもステップ16においてリーク発生電圧VF=1420V(表3のM−3参照)が検出されている。表2は、上記の一連のリーク検知動作の総ステップ数を示した表である。
このように、各色の現像装置122に対して3回のリーク検知動作を順に実行した場合、一例として、186ステップのリーク検知動作が必要となる。この場合、リーク検知動作に必要な時間が増大され、画像形成装置1の停止時間(ダウンタイム)が増すこととなる。本実施形態では、リーク検知動作を短時間で実行するために、リーク検知制御部93が可能な限り複数の現像装置122のリーク検知動作を同時に実行する。図9は、本実施形態において、リーク検知制御部93がイエローおよびシアンの現像装置122に対して実行するリーク検知動作のステップの一例を模式的に示した例である。
図9では、イエローおよびシアンの現像装置122に対して、同時にリーク検知動作が実行された結果が3回分示されている。また、図9では、同時に開始されたイエローおよびシアンの現像装置122において、異なるピーク間電圧でリークが発生する場合を示している。すなわち、図9の左の1回目のチャートを参照して、前述の基準検知開始電圧V0(表1のA−1)から下に向かって、イエロー色およびシアン色のピーク間電圧がステップごとに増大され、第1フローが開始される。そして、13回目のステップで表1のM−1の1400Vでイエロー色において1回目のリークが発生し、イエロー色の第1フローが終了する。この際、リーク検知制御部93は、イエロー色のリーク検知動作を一旦中断する。そして、更に、シアン色の現像装置122に対してピーク間電圧を増大させ、14回目のステップで表1のN−1の1450Vでシアン色において1回目のリークが発生している。その後、リーク検知制御部93は、イエロー色の現像装置122の第2フローを開始する(15回目のステップ)。そして、16回目のステップで表1のL−3の1370Vで再びリークが発生することで、イエロー色の第2フローが終了する。更に、リーク検知制御部93は、シアン色の現像装置122の第2フローを開始する(17回目のステップ)。そして、18回目のステップで表1のM−3の1420Vで再びリークが発生することで、シアン色の第2フローが終了する。この結果、1回目のイエロー色およびシアン色のリーク検知動作が終了し、それぞれのリーク発生電圧VFが検出される。表3は、イエロー色およびシアン色の現像装置122において上記のリーク検知動作が3回ずつ実行されるとともに、同様のリーク検知動作がマゼンタ色およびブラック色の現像装置122においても実行された場合の総ステップ数を示した表である。
図9および表3に示すように、2色分のリーク検知動作は1回あたり18回のステップにて終了しているため、4色分のリーク検知動作が3回ずつ実行された場合の総ステップ数は、108回となる。したがって、先に図8および表2で示した他の態様の総ステップ数186回と比較して、42%の時間短縮のうえリーク検知動作を完了することが可能となる。
このように、本実施形態では、リーク検知制御部93は、所定のピーク間電圧で複数の現像装置122のうち1つの現像装置122において第1リーク発生電圧VNが検出された場合、当該現像装置122のリーク検知動作を他の現像装置の第1リーク発生電圧VNが検出されるまで中断し、前記複数の現像装置122すべての第1リーク発生電圧VNが検出された後、各現像装置122に対して第2フローを順に実行する。この場合、複数の現像装置122で同時にリークが発生した後は、複数の現像装置122の第1フロー(粗調動作)および複数の現像装置122の第2フロー(微調動作)を順に実行することが可能となる。
なお、他の実施形態において、リーク検知制御部93は、所定のピーク間電圧で複数の現像装置122のうちの1つの現像装置122において第1リーク発生電圧VNが検出された場合、他の現像装置122のリーク検知動作を中断し、前記第1リーク発生電圧VNが検出された現像装置122の第2フロー(微調動作)を実行した後、他の現像装置122のリーク検知動作を再開してもよい。すなわち、図9の13回目のステップにおいてイエロー色の第1リーク発生電圧VNが検出されると、シアン色のリーク検知動作を中断し、15回目および16回目のステップに示される第2フローに移行する。その後、14回目のステップに示されるシアン色の第1フローを実行するとともに、17回目および18回目のステップに示されるシアン色の第2フローを実行する。この場合であっても、複数の現像装置122で同時にリークが発生した後は、複数の現像装置122の第1フロー(粗調動作)および第2フロー(微調動作)を順に実行することが可能となる。
図9で説明した2色同時のリーク検知動作では、2つの現像装置122においてそれぞれ異なるピーク間電圧でリークが発生する場合であるが、実際には、同じピーク間電圧でリークが発生する場合もある。ところが、図6に示すように1つの基板上に各色の現像バイアス印加部88が隣接して配置される場合、1つの現像装置122で生じたリークによって、他の現像装置122の現像バイアス印加部88にノイズがもたらされる場合がある。したがって、2色の現像装置122において同時にリークが検出された場合、いずれのリーク検知も実際に発生したリークによるものであるのか、一方のリーク検知はノイズによって検出された誤検知であるのかが不明となる。
図10は、本実施形態と比較される他の態様において、リーク検知制御部が各色の現像装置122に対して実行するリーク検知動作のステップを模式的に示した例である。図10に示す3つのチャートは、一例としてイエローの現像装置122の3回分のリーク検知動作を示している。各チャートでは、前述の基準検知開始電圧V0(表1のA−1)から下に向かってピーク間電圧が増大されている。そして、13回目のステップにおいて表1のM−1の1400Vで1回目のリークが発生し、15回目のステップにおいて表1のL−3の1370Vで2回目のリークが発生している。換言すれば、各チャートのステップ1から13までが前述の第1フローに相当し、ステップ14から15までが前述の第2フローに相当する。なお、ここでも説明を簡略化するために、3回分の各チャートのリーク発生電圧VF(表1のL―3)は同一として示しているが、実際には、リーク発生電圧VFは繰り返しによって変動する。表4は、図10に示すリーク検知動作が4色の現像装置122ごとに実行された場合の総ステップ数を示した表である。
このように、各色の現像装置122に対して3回のリーク検知動作を順に実行した場合、一例として、180ステップのリーク検知動作が必要となる。この場合も、リーク検知動作に必要な時間が増大され、画像形成装置1の停止時間(ダウンタイム)が増すこととなる。一方、本実施形態に係るリーク検知動作では、リーク検知制御部93は、これら複数の現像装置122に対するリーク検知動作を同時に開始し、所定のピーク間電圧で複数の現像装置122においてリークが同時に発生した場合、当該同時にリークが発生した現像装置122のリーク検知動作を1つずつに切り替えて実行する。図11は、本実施形態において、リーク検知制御部93がイエローおよびシアンの現像装置122に対して実行するリーク検知動作のステップを模式的に示した例である。
図11では、イエローおよびシアンの現像装置122に対して、同時にリーク検知動作が実行された結果が3回分示されている。また、図11では、同時に開始されたイエローおよびシアンの現像装置122において、同じピーク間電圧でリークが発生する場合を示している。すなわち、図11の左の1回目のチャートを参照して、前述の基準検知開始電圧V0(表1のA−1)から下に向かって、イエロー色およびシアン色のピーク間電圧がステップごとに増大され、第1フローが開始される。そして、13回目のステップで表1のM−1の1400Vでイエロー色およびシアン色において1回目のリークが同時に発生する。リーク検知制御部93は、このように同時にリークが発生した場合、すぐさま13回目のステップのピーク間電圧1400Vが正しい第1リーク発生電圧VNとは決定しない。この場合、リーク検知制御部93は、シアン色のリーク検知動作を中断し、14回目のステップにおいてイエロー色の第1フローを再開する。特に、リーク検知制御部93は、13回目のステップの1400Vよりも、50V(第1の電位間隔α)だけ低い1350V(表1のL−1参照)から第1フローを再開する。そして、15回目のステップにおいて、イエロー色単独でリークが発生すると、当該ステップにおけるピーク間電圧1400Vを第1リーク発生電圧VNとして不図示の記憶部に格納する。前述のように、この際シアン色のリーク検知動作は中断しているため、上記の第1リーク発生電圧VNはノイズの影響を受けていない正しい値であることがわかる。その後、リーク検知制御部93は、16回目および17回目のステップにおいて、イエロー色の現像装置122の第2フローを実行し、第2リーク発生電圧1370V(表1のL−3参照)を検出する。更に、リーク検知制御部93は、中断していたシアン色のリーク検知動作を第1フローから開始する。この際も、リーク検知制御部93は、イエロー色と同様に、13回目のステップの1400Vよりも、50V(第1の電位間隔α)だけ低い1350V(表1のL−1参照)から第1フローを再開する。以後、同様にシアン色の第2リーク発生電圧1370V(表1のL−3参照)が検出される。表5は、イエロー色およびシアン色の現像装置122において上記のリーク検知動作が3回ずつ実行されるとともに、同様のリーク検知動作がマゼンタ色およびブラック色の現像装置122においても実行された場合の総ステップ数を示した表である。
図11および表5に示すように、2色分のリーク検知動作は1回あたり21回のステップにて終了しているため、4色分のリーク検知動作が3回ずつ実行された場合の総ステップ数は、126回となる。したがって、先に図10および表4で示した他の態様の総ステップ数180回と比較して、30%の時間短縮のうえリーク検知動作を完了することが可能となる。
このように本実施形態では、リーク検知制御部93は、所定のピーク間電圧で複数の現像装置122においてリークが同時に検出された場合、当該リークが検知された現像装置122毎に、再び第1フローを実行するとともに第2フローを実行する。したがって、複数の現像装置122において同時にリークが発生するまでの間、複数の現像装置122のリーク検知動作を同時並行して実行することが可能となり、リーク検知動作が短時間で実行される。また、たとえ一方の現像装置122で発生したリークからノイズを受けて、他方の現像装置122においてリークの誤検知が生じた場合であっても、再度の第1フローおよび第2フローによってリーク発生電圧VFが精度よく検出される。この際、リーク検知制御部93は、リークが同時に検出された現像装置122毎に再び実行される第1フローにおいて、基準検知開始電圧V0(第1検知開始電圧)よりも大きなピーク間電圧(第3検知開始電圧、図11の14回目および18回目のステップに相当)から第1の電位間隔αでピーク間電圧を増大させる。特に、本実施形態では、前述の第1リーク発生電圧VNよりも第1の電位間隔αだけ小さい電圧(第2検知開始電圧)から第1フローを再開する。このため、再び実行される第1フローを短時間で効率的に完了することができる。
更に、本実施形態では、前述のように、リーク検知制御部93は、イエロー色とシアン色の現像装置122のリーク検知動作を同時に実行し、マゼンタ色とブラック色の現像装置122のリーク検知動作を同時に実行する。換言すれば、図6を参照して、リーク検知制御部93は、基板88I上において隣り合わない2つのバイアス印加部88に対応した2つの現像装置122に対して同時にリーク検知動作を実行する。このため、互いにノイズを受けやすい現像装置122同士のリーク検知動作が同時に実行されることを防止することができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係るリーク検知動作について説明する。図12は、本実施形態に係るリーク検知動作のフローチャートである。本実施形態では、先の第1の実施形態と同様に、リーク検知制御部93がリーク検知動作を実行する。なお、本実施形態では、第1の実施形態と比較して、4色の現像装置122のリーク検知動作の実行順序において相違するため、本相違点について説明し、その他の共通する点の説明を省略する。図12では、イエロー色、マゼンタ色、シアン色およびブラック色の現像装置122(122Y、122M、122Cおよび122Bk)を、リークが発生した順に、それぞれA、B、CおよびDと称して図示している。また、図12では、4色の現像装置122において異なるピーク間電圧でリークが発生するものとする。
図12を参照して、リーク検知制御部93は、4色の現像装置122のリーク検知動作の第1フローを同時に開始する(ステップS131)。やがて、ピーク間電圧の増大に伴って、1色目(A)の現像装置122においてリークが発生する(ステップS132)。すなわち、1色目(A)の現像装置122の第1フローが終了する。この際、リーク検知制御部93は、1色目(A)のリーク検知動作を中断し、その他の3色(B、C、D)の現像装置122の第1フローを継続する(ステップS133)。やがて、ピーク間電圧の増大に伴って、2色目(B)の現像装置122においてリークが発生する(ステップS134)。同様に、ステップS135からステップS138までの間に、その他の3色目(C)および4色目(D)においてリークが発生する。
次に、リーク検知制御部93は、最初にリークが発生した1色目(A)の第2フローを実行する(ステップS139)。この結果、1色目(A)のリーク発生電圧VFが決定される(ステップS140)。同様に、ステップS141からステップS146までの間に、その他の3色(B、C、D)のリーク発生電圧VFが決定され、4色の現像装置122のリーク検知動作が1回ずつ完了する。本実施形態においても、複数色の現像装置122のリーク検知動作を短時間で実行することが可能となる。
次に、本発明の第3の実施形態に係るリーク検知動作について説明する。図13乃至図15は、本実施形態に係るリーク検知動作のフローチャートの一部である。本実施形態では、先の第1の実施形態と同様に、リーク検知制御部93がリーク検知動作を実行する。本実施形態においても、第1の実施形態と比較して、4色の現像装置122のリーク検知動作の実行順序において相違するため、本相違点について説明し、その他の共通する点の説明を省略する。図13乃至図15では、イエロー色、マゼンタ色、シアン色およびブラック色の現像装置122(122Y、122M、122Cおよび122Bk)を、リークが発生した順に、それぞれ、A、B、CおよびDと称して図示している。
図13を参照して、リーク検知制御部93は、4色の現像装置122のリーク検知動作の第1フローを同時に開始する(ステップS151)。やがて、ピーク間電圧の増大に伴って、何れかの現像装置122においてリークが発生する(ステップS152)。この際、リーク検知制御部93は、リークの発生が1つの現像装置122において発生したか、複数の現像装置122において発生したかを判定する(ステップS153)。リークが1つの現像装置122(1色目(A))において発生した場合(ステップS153でYES)、リーク検知制御部93は、他の3色(B、C、D)のリーク検知動作を停止し(ステップS154)、1色目(A)の第2フローを実行する(ステップS155)。そして、1色目(A)のリーク発生電圧VFが決定されると(ステップS156)、リーク検知制御部93は他の3色(B、C、D)の第1フローを再開する(ステップS157)。
やがて、ピーク間電圧の増大に伴って、3色のうちの何れかの現像装置122においてリークが発生する(ステップS158)。この際、リーク検知制御部93は、リークの発生が1つの現像装置122において発生したか、複数の現像装置122において発生したかを再び判定する(ステップS159)。リークが1つの現像装置122(2色目(B))において発生した場合(ステップS159でYES)、リーク検知制御部93は、他の2色(C、D)のリーク検知動作を停止し(ステップS160)、2色目(B)の第2フローを実行する(ステップS161)。そして、2色目(B)のリーク発生電圧VFが決定されると(ステップS162)、リーク検知制御部93は他の2色(C、D)のリーク検知動作を再開する(ステップS163)。やがて、ピーク間電圧の増大に伴って、2色のうちの何れかの現像装置122においてリークが発生する(ステップS164)。リーク検知制御部93は、リークの発生が1つの現像装置122において発生したか、複数の現像装置122において発生したかを判定する(ステップS165)。リークが1つの現像装置122(3色目(C))において発生した場合(ステップS165でYES)、上記と同様のステップS166からS172を経て、4色の現像装置122のリーク検知動作が終了する。
一方、図13のステップS153において、リークが複数の現像装置122において発生した場合(ステップS153でNO)、リーク検知制御部93は、リークの発生が2色の現像装置122において発生したか否かを判定する(図14のステップS181)。リークが2つの現像装置122(1色目(A)、2色目(B))において発生した場合(ステップS181でYES)、リーク検知制御部93は、3色(B、C、D)の第1フローを停止し(ステップS182)、1色目(A)の第1フローを継続する(ステップS183)。これは、先の第1の実施形態と同様に、2つの現像装置122において同時にリークが発生した場合には、一方のリーク発生が誤検知である可能性があるためである。なお、ステップS183において継続される1色目(A)の第1フローは、図11と同様に、第1リーク発生電圧VNよりも第1の電位間隔αだけ小さな電圧から開始されればよい。その後、1色目(A)のリークが単独で検出されると、第2フローを経て(ステップS184)、リーク発生電圧VFが決定される(ステップS185)。リーク検知制御部93は、リーク検知動作を停止していた3色の現像装置122のうち、2色目(B)の第1フローを同様に再開する(ステップS186)。そして、第2フローを経て(ステップS187)、2色目(B)のリーク発生電圧VFが決定される(ステップS188)。リーク検知制御部93は、残る2色(C、D)の現像装置122に対して、図13のステップS163の第1フローに移行して、リーク検知動作を継続する(ステップS189)。
一方、図14のステップS181において、発生したリークが2つの現像装置122ではなかった場合(ステップS181でNO)、リーク検知制御部93は、リークの発生が3色の現像装置122において発生したか否かを判定する(ステップS191)。そして、リークが3つの現像装置122(1色目(A)、2色目(B)、3色目(C))において発生した場合(ステップS191でYES)、リーク検知制御部93は、3色(B、C、D)の第1フローを停止し(ステップS192)、1色目(A)の第1フローを継続する(ステップS193)。その後、1色目(A)のリークが単独で検出されると、第2フローを経て(ステップS194)、リーク発生電圧VFが決定される(ステップS195)。リーク検知制御部93は、リーク検知動作を停止していた3色の現像装置122のうち、2色目(B)の第1フローを同様に再開する(ステップS196)。そして、第2フローを経て(ステップS197)、2色目(B)のリーク発生電圧VFが決定される(ステップS198)。リーク検知制御部93は、同様に、ステップS199からS201において、3色目(C)のリーク発生電圧VFが決定した後、残る1色(D)の現像装置122に対して、図13のステップS169の第1フローに移行して、リーク検知動作を継続する(ステップS202)。
一方、ステップS191において、リークが4つの現像装置122(1色目(A)、2色目(B)、3色目(C)、4色目(D))において発生した場合(ステップS191でNO、ステップS211)、リーク検知制御部93は、ステップS212からS2224において、4色の現像装置122のリーク検知動作(第1フロー、第2フロー)を順次実行し、各色のリーク発生電圧VFが決定される。
更に、図13のステップS159において、リークが複数の現像装置122において発生した場合(ステップS159でNO)、リーク検知制御部93は、リークの発生が2色の現像装置122において発生したか否かを判定する(図15のステップS231)。リークが2つの現像装置122(2色目(B)、3色目(C))において発生した場合(ステップS231でYES)、リーク検知制御部93は、2色(C、D)のリーク検知動作を停止し(ステップS232)、2色目(B)の第1フローを継続する(ステップS233)。その後、2色目(B)のリークが単独で検出されると、第2フローを経て(ステップS234)、リーク発生電圧VFが決定される(ステップS235)。リーク検知制御部93は、リーク検知動作を停止していた2色の現像装置122のうち、3色目(C)の第1フローを同様に再開する(ステップS236)。そして、第2フローを経て(ステップS237)、3色目(C)のリーク発生電圧VFが決定される(ステップS238)。リーク検知制御部93は、残る1色(D)の現像装置122に対して、図13のステップS169の第1フローに移行して、リーク検知動作を継続する(ステップS239)。また、ステップS231において3色の現像装置122で同時にリークが発生した場合(ステップS231でNO、ステップS241)、リーク検知制御部93は、ステップS242からS251において、3色の現像装置122のリーク検知動作(第1フロー、第2フロー)を順次実行し、各色のリーク発生電圧VFが決定される。
更に、図13のステップS165において、リークが複数の現像装置122において発生した場合(ステップS165でNO、図16のステップS261)、リーク検知制御部93は、ステップS262からS268において、2色の現像装置122のリーク検知動作(第1フロー、第2フロー)を順次実行し、各色のリーク発生電圧VFが決定される。
以上のように、本実施形態では、4色の現像装置122のリーク検知動作が同時に開始される。そして、1つの現像装置122においてリークが発生した場合は、当該現像装置122の第2フローが実行され、リーク発生電圧VFが決定される。そして、残りの現像装置122に対しても、同様に順次リーク発生電圧VFが決定される。一方、複数の現像装置122において同時にリークが発生した場合は、当該現像装置122に対して所定のステップだけ第1フローを再度実行することによって、誤検知によるリーク発生電圧VFの導出を防止することができる。また、複数の現像装置122に対して、同時にピーク間電圧を増大させながらリーク検知動作を実行する間、リーク検知動作に費やす時間を短縮することが可能となる。
以上、本発明の各実施形態に係る画像形成装置1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採用することができる。
(1)上記の各実施形態では、現像装置122およびリーク検知部89が、それぞれ異なる色のトナーに対応して4つずつ配置される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。現像装置122およびリーク検知部89は、トナーの色に応じてそれぞれ4つ以上配置されてもよい。
(2)上記の各実施形態では、複数の現像装置122のリーク検知動作のうち第1フローが同時に進行される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。複数の現像装置122のリーク検知動作のうち、第2フローが同時に進行される態様でもよい。この場合でも、複数の現像装置122において同時にリークが発生した場合には、それぞれの現像装置122において、所定の値だけ小さなピーク間電圧値から第2フローを再開することで、ノイズによるリーク誤検知の影響を取り除きながら、リーク検知動作の所要時間を短縮することができる。
なお、リーク検知動作が、複数の現像装置122において同時に実行される場合は、同じタイミングでリーク検知電圧が印加されることが望ましい。一の色の現像装置122において、現像バイアスのON時またはOFF時に生じるノイズが、他の色の現像装置122の検知回路に影響を与える場合があるためである。
(3)また、上記の実施形態では、現像ローラー83および磁気ローラー82を備え、タッチダウン現像方式が適用された現像装置122を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図17は、本発明の変形実施形態に係る現像装置122Aの断面図および制御部980の電気的構成を示したブロック図である。現像装置122Aは、現像ハウジング950と、現像ローラー951と、第1スクリューフィーダー952と、第2スクリューフィーダー953と、規制ブレード960とを備える。現像装置122Aには、二成分現像方式が適用されている。また、不図示の感光体ドラムおよび現像装置122Aは、イエロー色、マゼンタ色、シアン色およびブラック色に対応して、4つずつ配置されている。
現像ハウジング950には、現像剤収容部950Hが備えられている。現像剤収容部950Hには、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤が収容されている。また、現像剤収容部950Hは、現像剤が現像ローラー951の軸方向の一端側から他端側に向かう第1搬送方向(図17の紙面と直交する方向、後から前に向かう方向)に搬送される第1搬送部950Aと、軸方向の両端部において第1搬送部950Aに連通され、第1搬送方向とは逆の第2搬送方向に現像剤が搬送される第2搬送部950Bとを含む。第1スクリューフィーダー952および第2スクリューフィーダー953は、図17の矢印D162、163方向に回転され、それぞれ、現像剤を第1搬送方向および第2搬送方向に搬送する。特に、第1スクリューフィーダー952は、現像剤を第1搬送方向に搬送しながら、現像ローラー951に現像剤を供給する。また、第1スクリューフィーダー952および第2スクリューフィーダー953が回転されることで、現像剤収容部950H内のトナーとキャリアとからなる二成分現像剤が撹拌および帯電される。
現像ローラー951は、表面に静電潜像が形成される不図示の感光体ドラム(像担持体)に対して間隔をおいて配置されている。現像ローラー951は、回転されるスリーブ951Sと、スリーブ951Sの内部に固定配置された磁石951Mとを備える。磁石951Mは、S1、N1、S2およびN2極を備える。現像ローラー951は、図17の矢印D161方向に回転される。現像ローラー951は、現像ハウジング950H内の現像剤を受け取って、現像剤層(磁気ブラシ)を担持し、前記感光体ドラムにトナーを供給する。
規制ブレード960は、現像ローラー951に所定の間隔をおいて配置され、第1スクリューフィーダー952から現像ローラー951の周面上に供給された現像剤の磁気ブラシの層厚を規制する。規制ブレード960によって規制された現像剤層は、感光体ドラムと現像ローラー951との間に形成される現像ニップに搬送される。
現像装置122Aが装着される画像形成装置(不図示)は、先の実施形態と同様に、現像バイアス印加部972(バイアス印加部)と、リーク検知部971と、制御部980と、駆動部973とを備える。
現像バイアス印加部972は、直流電源と交流電源とから構成され、後記のバイアス制御部982またはリーク検知制御部983からの制御信号に基づき、現像装置122Aの現像ローラー951に、直流電圧に交流電圧が重畳された現像バイアスを印加する。
リーク検知部971は、現像バイアス印加部972に電気的に接続されている。リーク検知部971は、感光体ドラムと現像ローラー951との間に発生するリークを検知する。詳しくは、リーク検知部971は、現像ローラー951に流れる電流値の変動(過電流)によって前記リークを検知する。
駆動部973は、モーター及びそのトルクを伝達するギア機構からなり、制御部980からの制御信号に応じて、先の実施形態と同様に、現像動作及びリーク検知動作時に、感光体ドラムに加え、現像装置122A内の現像ローラー951および第1スクリューフィーダー952、第2スクリューフィーダー953を回転駆動させる。
制御部90は、前記CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、駆動制御部981、バイアス制御部982およびリーク検知制御部983を備えるように機能する。
駆動制御部981は、駆動部973を制御して、現像ローラー951、第1スクリューフィーダー952、第2スクリューフィーダー953を回転駆動させる。また、駆動制御部981は、不図示の駆動機構を制御して、感光体ドラムを回転駆動させる。本変形実施形態では、駆動制御部981は、現像動作およびリーク検知動作において、上記の各部材を回転駆動させる。
バイアス制御部982は、現像ローラー951から感光体ドラムにトナーが供給される現像動作時に、現像バイアス印加部972を制御して、感光体ドラムと現像ローラー951との間に直流電圧および交流電圧の電位差を設ける。前記電位差によって、現像ニップのトナーが現像ローラー951から感光体ドラムに移動される。
リーク検知制御部983は、リーク検知動作において、現像バイアス印加部972を制御して、現像ローラー951に、直流電圧および交流電圧を印加する。リーク検知動作では、現像ローラー951に印加される現像バイアスのうち、前記リークが発生する交流電圧のピーク間電圧が検出される。この際、リーク検知制御部983は、現像バイアスの交流電圧のピーク間電圧を増大させながら、感光体ドラムと現像ローラー951との間にリークを発生させる。本変形実施形態においても、現像動作に先だって、すなわち、現像動作とは異なる時に、予めリーク検知動作が実行され、リークが生じるピーク間電圧(リーク発生電圧)が検出される。この結果、現像動作時には、リーク発生電圧に至らない範囲で交流電圧のピーク間電圧が設定され、リークの発生が防止される。
本変形実施形態においても、リーク検知制御部983は、複数の現像装置122Aに対するリーク検知動作を同時に開始し、所定のピーク間電圧で複数の現像装置122Aにおいてリークが同時に発生した場合、当該同時にリークが発生した現像装置122Aのリーク検知動作を1つずつに切り替えて実行する。
また、本変形実施形態における各リーク検知動作の詳細な制御については、先の各実施形態と同様の制御を実行することが可能である。すなわち、前述の第1から第3の実施形態までのリーク検知動作の手順が、各色の現像装置122Aに対しても適用可能である。この結果、複数のカラーに応じて、現像装置122Aが複数配置された場合であっても、リーク検知動作に要するステップ数を縮小することができる。
なお、二成分現像方式が採用された現像装置122Aの具体的なリーク検知動作時の条件の一例を以下に示す。
画像形成装置1のプリント速度:55枚/分
プロセススピード:295mm/s
感光体ドラム:a−Si感光体
現像ローラー951のスリーブ951の表面粗さ:Rz=5.5μm
キャリアの体積固有抵抗:1014Ω・cm
キャリアの飽和磁化:55emu/g
キャリアの平均粒径:35μm
トナー:平均粒径6.8μm、正極帯電
現像ローラー951上の現像剤搬送量:11mg/cm2
現像ローラー951の周速:感光体ドラムに対して周速比1.8(ウィズ回転)
感光体ドラムと現像ローラー951とのギャップ:0.30mm
現像ローラー951の直流電圧Vslv_dc;200V
現像ローラー951の交流電圧(Vpp)Vslv_ac;可変(3.0kHz)
現像ローラー951の交流電圧のDuty比;50%
感光体ドラムの画像部電位VL:+30V
感光体ドラムの背景部電位Vo:+300V
尚、現像装置122Aにおいて、リーク検知動作を行う際には、対向する感光体ドラムの表面電位が背景部電位Voに設定される。このとき、現像バイアスのDC成分であるVslv_dcは、Vo−100≦Vslv_dc≦Voの範囲に設定されることが望ましい。Vo−100>Vslv_dcの場合には、リーク検知時に現像ローラー951から感光体ドラムにキャリアが現像されるキャリア現像が発生しやすくなる。一方、Vslv_dc>Voの場合、リーク検知時にトナーカブリが発生し、無駄なトナー消費が発生しやすい。
上記のように、感光体ドラムの表面電位が背景部電位Voに設定されると、感光体ドラムの背景部(白地部分)においてリークが検出される。このため、感光体ドラムの表面のダメージが抑止されることが望ましい。この場合、リークは、現像ローラー951に印加される現像バイアスのうちVminと、感光体ドラムの背景部電位Voとの間の電位差で発生する。なお、Vminとは、現像バイアスの交流成分の周期において、現像バイアスが最も背景部電位Voから遠ざかった際のピーク値である。上記の場合、現像バイアスのマイナス側の電位でリークが発生する。
プラス側の極性の感光体ドラムの表面にマイナスの電荷が付与されると、当該電荷による電位を取り除くことが難しい。このような電位の履歴は、次の検知動作に影響を与える場合がある。したがって、本変形実施形態のように二成分現像方式の場合には、リーク検知動作時に、転写部材(感光体ドラムに対向する部材、転写ローラーなど)に印加される転写バイアスが、感光体ドラムの極性(ここではプラス極性)と同じに設定される。この結果、感光体ドラムにマイナス極性の電荷が付与されていても、感光体ドラム上の電荷と転写部材の電荷とが互いに相殺される(キャンセル)。この結果、感光体ドラムから不必要な電荷を取り除くことができる。なお、リーク検知動作時に、感光体ドラム上に除電光を照射し、マイナス極性の電荷を確実に取り除いてもよい。
なお、前述のタッチダウン現像方式の場合には、感光体ドラムの画像部側でリーク検知動作を行う。したがって、上記の様に、マイナス極性の電荷を取り除く動作は必要ない。逆に、リーク検知動作時に、感光体ドラム121(図1)にトナーが付着することがある。このため、当該トナーを中間転写ベルト125側に移動させるために、転写部材(一次転写ローラー)には、マイナス極性の転写電圧が印加されている。
なお、二成分現像方式の現像装置122Aにおいて、上記の諸条件にてリーク検知動作を行った場合、最初にブラック色の現像装置122Aにてリークが発生し、微調動作(第2フロー)の結果、リーク発生電圧VFは1580Vとなった。