以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るカラープリンター100の構成を示す概略図であり、図2は、図1における画像形成ユニットPa付近の拡大図である。なお、画像形成ユニットPb〜Pdについても基本的に同様の構成であるため説明を省略する。カラープリンター100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
これらの画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dがそれぞれ配設されている。さらに、テンションローラー10と駆動ローラー11を含む複数のローラーに掛け回され、図1において時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。図2に示すように、感光体ドラム1aの周囲には、ドラム回転方向(図2の反時計回り方向)に沿って帯電装置2a、現像装置3a、クリーニング装置5a、及び除電ランプ20が配設され、中間転写ベルト8を挟んで一次転写ローラー6aが配置されている。
感光体ドラム1a〜1dは、支持体(導電性基体)である素管と、素管の表面に形成される感光層とで構成される。本実施形態では、アルミニウム製の円筒状の素管の表面に、感光層として電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂(バインダー)、フィラーを同一層に含有した正帯電単層型有機感光層(OPC)を積層している。
帯電装置2a〜2dは、感光体ドラム1aに接触してドラム表面に帯電バイアス(DC電圧)を印加する帯電ローラー21と、帯電ローラー21をクリーニングするための帯電クリーニングローラー23とを有している。本発明においては、発生するオゾン量を少なくし、且つ帯電バイアス電源42(図3参照)のコストを低減するために、直流電圧のみからなる帯電バイアスを帯電ローラー21に印加している。
現像装置3a〜3dは、2本の攪拌搬送スクリュー25と、現像ローラー29とを有する二成分現像式であり、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を用いて現像ローラー29表面に磁気ブラシを形成し、現像ローラー29にトナーと同極性(正)の現像バイアスを印加した状態で感光体ドラム1a表面に磁気ブラシを接触させてトナーを付着させる。
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置4によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a〜3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ(図示せず)から各現像装置3a〜3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、一次転写ローラー6a〜6dにより一次転写ローラー6a〜6dと感光体ドラム1a〜1dとの間に所定の転写電圧を付与することにより、感光体ドラム1a〜1d上のイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。一次転写後に感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナー等はクリーニング装置5a〜5dにより除去される。
トナー像が転写される転写紙Pは、カラープリンター100内の下部に配置された用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して転写紙Pが所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラー9と中間転写ベルト8のニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送される。トナー像が二次転写された転写紙Pは定着部7へと搬送される。
定着部7に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13により加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、そのまま(或いは分岐部14によって反転搬送路18に振り分けられ、両面に画像が形成された後)排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
次に、本発明のカラープリンター100の制御経路について説明する。図3は、本発明のカラープリンター100に用いられる制御経路の一例を示すブロック図である。なお、カラープリンター100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、カラープリンター100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き自在の記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カラープリンター100内の各装置に制御信号を送信したり操作部50からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96を少なくとも備えている。また、制御部90は、装置本体内部の任意の場所に配置可能である。
ROM92には、カラープリンター100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、カラープリンター100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、カラープリンター100の制御途中で発生した必要なデータや、カラープリンター100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。また、ROM92(或いはRAM93)には、後述するように機外温度及び湿度に基づいて帯電バイアスを決定する際に用いられる温湿度帯電補正テーブルも格納されている。
また、制御部90は、カラープリンター100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、画像形成部Pa〜Pd、露光装置4、一次転写ローラー6a〜6d、二次転写ローラー9、画像入力部40、バイアス制御回路41、機外温湿度センサー50、操作部60等が挙げられる。
画像入力部40は、パソコン等からカラープリンター100に送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部40より入力された画像信号はデジタル信号に変換された後、一時記憶部94に送出される。
バイアス制御回路41は、帯電バイアス電源42、現像バイアス電源43、及び転写バイアス電源44と接続され、制御部90からの出力信号によりこれらの各電源を作動させるものであり、これらの各電源はバイアス制御回路41からの制御信号によって、帯電バイアス電源42は帯電装置2a〜2d内の帯電ローラー21に、現像バイアス電源43は現像装置3a〜3d内の現像ローラー29に、転写バイアス電源44は一次転写ローラー6a〜6d及び二次転写ローラー9に、それぞれ所定のバイアスを印加する。
機外温湿度センサー50は、カラープリンター100外部の温度及び湿度を検知するものである。機外温湿度センサー50は、カラープリンター100内において定着部7等の熱の影響を受け難い場所に配置される。
操作部60には、液晶表示部61、各種の状態を示すLED62が設けられており、ユーザーは操作部60のストップ/クリアボタンを操作して画像形成を中止し、リセットボタンを操作してカラープリンター100の各種設定をデフォルト状態にする。液晶表示部61は、カラープリンター100の状態を示したり、画像形成状況や印字部数を表示したりするようになっている。カラープリンター100の各種設定はパソコンのプリンタードライバーから行われる。
図1に示したカラープリンター100においては、印字開始時及び印字終了時に、感光体ドラム1a〜1dの帯電電位および現像ローラー29に印加される現像バイアスを複数段階に制御している。図4及び図5は、それぞれ本実施形態のカラープリンター100における印字開始時及び印字終了時の感光体ドラム1a〜1dの表面電位と現像ローラー29に印加される現像バイアスの推移を示すグラフである。
印字動作を開始する場合、各画像形成ユニットPa〜Pdの感光体ドラム1a〜1dの回転駆動が開始されるとともに、バイアス制御回路41によって帯電バイアス電源42から帯電ローラー21に中間バイアスV1が印加される。これにより、図4に示すように、感光体ドラム1a〜1dの表面は印字中の基準電位Vh(ここでは500V)よりも低い中間電位Vh1(100V)に帯電される。中間電位Vh1は、現像バイアスが印加されていない状態での現像ローラー29の電位(略0V)と中間電位Vh1との電位差が所定値(現像ローラー29の表面に担持された磁気ブラシ中の磁性キャリアが感光体ドラム1a〜1dに付着する電位差の下限値)を超えないように設定されている。
次に、バイアス制御回路41は、帯電バイアス電源42を制御することにより、帯電ローラー21に中間バイアスV2(>V1)を印加して感光体ドラム1a〜1dの表面を中間電位Vh1よりも高い中間電位Vh2(200V)に帯電させる。そして、感光体ドラム1a〜1dが帯電装置2a〜2dと現像装置3a〜3dとの距離(帯電−現像間距離d)だけ回転すると、中間電位Vh2に帯電された帯電領域の端部が現像装置3a〜3dの現像ローラー29と対向する現像領域に移動する。
このとき、現像ローラー29には、バイアス制御回路41によって現像バイアス電源43から所定の中間現像バイアスVdc1(100V)が印加される。中間現像バイアスVdc1は中間電位Vh2よりも低いため、現像ローラー29の表面に担持された磁気ブラシ中のトナーが感光体ドラム1a〜1dに付着するおそれはない。
中間現像バイアスVdc1が印加された後、バイアス制御回路41は、帯電バイアス電源42を制御することにより、帯電ローラー21に中間バイアスV3(>V2)を印加して感光体ドラム1a〜1dの表面を中間電位Vh3(300V)に帯電させる。中間電位Vh3は、中間現像バイアスVdc1との電位差が所定値を超えないように設定されているため、現像ローラー29の表面に担持された磁気ブラシ中の磁性キャリアが感光体ドラム1a〜1dに付着するおそれはない。
そして、感光体ドラム1a〜1dが帯電−現像間距離dだけ回転すると、現像ローラー29には、バイアス制御回路41によって現像バイアス電源43から中間現像バイアスVdc2(200V)が印加される。中間現像バイアスVdc2は中間電位Vh3よりも低いため、現像ローラー29の表面に担持された磁気ブラシ中のトナーが感光体ドラム1a〜1dに付着するおそれはない。
以下、同様にして帯電ローラー21に中間バイアスV4(>V3)を印加して感光体ドラム1a〜1dの表面を中間電位Vh4(400V)に帯電させる。その後、帯電ローラー21に基準バイアスVs(>V4)を印加して感光体ドラム1a〜1dの表面を基準電位Vh(500V)に帯電させる。また、現像ローラー29には中間現像バイアスVdc3(300V)を経て印字中の基準現像バイアスVdc(400V)が印加される。
一方、印字動作を終了する場合は、図5に示すように、帯電バイアス電源42から帯電ローラー21に印加される帯電バイアスを基準バイアスVsから中間バイアスV4〜V1の順に段階的に低下させて、感光体ドラム1a〜1dの表面電位を基準電位Vhから中間電位Vh4〜Vh1に段階的に低下させる。また、バイアス制御回路41によって現像バイアス電源43から各現像装置3a〜3dの現像ローラー29へ印加される現像バイアスが、基準現像バイアスVdcからVdc3〜Vdc1に段階的に切り換えられる。
感光体ドラム1a〜1dの表面電位が中間電位Vh1に切り換えられた後、バイアス制御回路41によって現像バイアス電源43から現像ローラー29への第1中間現像バイアスVdc1の印加が停止(0V)される。
中間現像バイアスVdc1の印加が停止された後、バイアス制御回路41は、帯電バイアス電源42から帯電ローラー21に印加する中間バイアスV1をOFFにする。中間バイアスV1をOFFにした状態で感光体ドラム1a〜1d及び現像装置3a〜3dの駆動が継続されると、現像ローラー29上のトナーがドラム表面に付着するため、中間バイアスV1をOFFにすると同時、または略同時に駆動を停止する。以上のようにして、感光体ドラム1a〜1dの表面電位は中間電位Vh1(100V)を経て略0Vとなる。
上記の制御により、現像ローラー29に対して感光体ドラム1a〜1dの表面電位が大きくなり過ぎることによる感光体ドラム1a〜1dの表面へのキャリアの付着、及び、感光体ドラム1a〜1dの表面電位に対して現像バイアスが大きくなり過ぎることによる非露光領域(白地部)へのトナーの付着の両方を抑制することができる。
次に、帯電ローラー21に印加する基準バイアスVs、中間バイアスV1〜V4の決定方法について説明する。本実施形態で用いる正帯電単層型有機感光層(OPC)を有する感光体ドラム1a〜1dを、帯電ローラー21に直流電圧を印加する直流帯電方式を用いて帯電させる場合、表面電位はカラープリンター100の使用環境(機外温湿度)によって変化する。
図6は、帯電ローラー21に印加される帯電バイアスと感光体ドラム1a〜1dの表面電位との関係を示すグラフである。図6に示すように、機外温度が高い場合(30℃、図6の破線)、及び常温の場合(25℃、図6の実線)は、帯電ローラー21に印加される帯電バイアスと感光体ドラム1a〜1dの表面電位は略比例関係にあり、帯電ローラー21に印加される帯電バイアスが高くなるほど感光体ドラム1a〜1dの表面電位も高くなる。
そこで、感光体ドラム1a〜1dの表面電位を一定にするためには、カラープリンター100の使用環境(機外温湿度)と帯電ローラー21に印加する帯電バイアスとを関連づけて格納した補正テーブルを予めRAM93に記憶させておき、機外温湿度に基づいて帯電ローラー21に印加する基準バイアスV1を変更する方法が一般的である。500Vの表面電位を得るための基準バイアスVsを決定する温湿度帯電補正テーブルを表1に示す。
例えば、機外温湿度センサー50により検知された機外温度が20℃、機外湿度が50%である場合、表1から帯電バイアスの補正値は−20Vである。そこで、表面電位の目標値が500Vとなる基準バイアスVsから20Vを差し引いた補正値を帯電ローラー21に印加することにより、感光体ドラム1a〜1dの表面電位を500Vにすることができる。図6から、常温(25℃)において表面電位の目標値が500Vとなる帯電バイアスは1200Vであることがわかる。従って、1200V−20V=1180Vの帯電バイアスを帯電ローラー21に印加すればよい。
また、機外温度が30℃、機外湿度が65%である場合、表1から帯電バイアスの補正値は−70Vである。そこで、帯電バイアスの基準値(1200V)から70Vを差し引いた補正値(1130V)を帯電ローラー21に印加することにより、感光体ドラム1a〜1dの表面電位を500Vにすることができる。
図6に示したように、帯電ローラー21に印加する帯電バイアスを一定とした場合、感光体ドラム1a〜1dの表面電位は機外温度及び機外湿度が高くなるほど高くなる。そこで、表1のように低温低湿条件になるほど帯電バイアスの補正量を大きくする(直流電圧を大きくする)ことで、感光体ドラム1a〜1dの表面電位を一定に維持することができる。
以上のように、感光体ドラム1a〜1dの表面電位と帯電ローラー21に印加する帯電バイアスとは略比例関係にある。そのため、感光体ドラム1a〜1dの表面電位を中間電位Vh1〜Vh4とする際は、表1を用いて決定された基準バイアスVsから基準電位Vhと中間電位Vh1〜Vh4との電位差分だけ下げた中間バイアスV1〜V4を印加することで所望の表面電位が得られると考えられる。
しかし、機外温度が低い場合(10℃、図6の一点鎖線)は、帯電ローラー21に印加される帯電バイアスに対して感光体ドラム1a〜1dの表面電位が直線的に変化しない。特に、感光体ドラム1a〜1dの表面電位が所定電位(200V)よりも低い場合に狙いの電位よりも高くなる傾向にある。また、機外温度が低くなるほど、機外湿度が低くなるほど帯電バイアスの変化に対して表面電位が直線的に変化しない領域が増大する。
そのため、例えば中間電位Vh1を100Vに設定しようとして、表1で得られた基準バイアスVsから400V低下させた中間バイアスV1を印加した場合、実際の中間電位Vh1は100V以上になってしまい、感光体ドラム1a〜1dへのキャリア付着を発生させてしまうリスクが増える。
そこで、本実施形態では、印字開始時、或いは印字終了時に100V(または200V)といった低い中間電位Vh1(または中間電位Vh2)を設定する場合は、表1に示した温湿度帯電補正テーブルによって設定された基準バイアスVsを、機外温湿度に応じてさらに補正して中間バイアスV1、V2を設定する。具体的には、基準バイアスVsから差し引く補正バイアス値を機外温湿度に応じて補正する。表2は、中間電位Vh1を100Vに設定する場合に帯電ローラー21に印加する中間バイアスV1の決定に用いる補正バイアス設定テーブルである。
例えば、機外温湿度センサー50により検知された機外温度が10℃、機外湿度が40%である場合、表2から帯電バイアスの補正値は600Vである。そこで、表面電位の目標値が100Vとなる帯電バイアスから600Vを差し引いた補正値を帯電ローラー21に印加することにより、感光体ドラム1a〜1dの表面電位を100Vにすることができる。図6より、10℃において表面電位の目標値が500Vとなる基準バイアスVsは1400Vであるから、表面電位の目標値が100Vとなる帯電バイアスは1400−600=800Vであることがわかる。従って、機外温度が10℃、機外湿度が40%である場合は800Vの中間バイアスV1を帯電ローラー21に印加すればよく、この結果は図6のグラフとよく一致している。
また、機外温度が30℃、機外湿度が65%である場合、表2から帯電バイアスの補正値は490Vである。そこで、30℃において表面電位の目標値が500Vとなる基準バイアスVs(1100V)から490Vを差し引いた補正値(610V)を帯電ローラー21に印加することにより、感光体ドラム1a〜1dの表面電位を100Vにすることができる。従って、機外温度が30℃、機外湿度が65%である場合は610Vの中間バイアスV1を帯電ローラー21に印加すればよく、この結果は図6のグラフとよく一致している。
本実施形態では、感光体ドラム1a〜1dの表面電位を、印字開始時においては中間電位Vh1〜Vh4を経て基準電位Vhまで立ち上げ、印字終了時においては基準電位Vhから中間電位Vh4〜Vh1を経て略0Vまで立ち下げる。また、現像ローラー29に印加する現像バイアスを、印字開始時においては中間現像バイアスVdc1〜Vdc3を経て基準現像バイアスVdcまで立ち上げ、印字終了時においては基準現像バイアスVdcから中間現像バイアスVdc3〜Vdc1を経て略0Vまで立ち下げる。そして、表面電位を基準電位Vhとする際に帯電ローラー21に印加する基準バイアスVsを機外温湿度に応じて設定する。さらに、表面電位を中間電位Vh1(およびVh2)とする際に帯電ローラー21に印加する中間バイアスV1(およびV2)は、基準電位Vhを得るための基準バイアスVsから機外温湿度に応じた所定のバイアス値を差し引いて求める。
これにより、感光体ドラム1a〜1dの表面電位を基準電位Vhまで立ち上げる際、及び、基準電位Vhから立ち下げる際に経由する中間電位Vh1〜Vh4を、温湿度条件に係わらず狙いの電位に精度良く設定することができる。従って、現像ローラー29から感光体ドラム1a〜1dへのキャリア付着やトナー付着を効果的に抑制することができる。
なお、図6に示したように、感光体ドラム1a〜1dの表面電位が200Vを下回ると特に低温環境において帯電バイアスの上げ幅に対する表面電位の上昇幅が小さくなる。そのため、表面電位を200Vよりも低い電位に設定する場合に狙いの表面電位まで上昇させ難くなる。そこで、表面電位を0Vから立ち上げる際(中間電位Vh1までの立ち上げ1段階目)の帯電バイアスの上げ幅を、2段階目以降の帯電バイアスの上げ幅に比べて大きくしておくことが好ましい。
例えば、表面電位を0Vから中間電位Vh1まで立ち上げる際の帯電バイアスの上げ幅を130Vとし、中間電位Vh1からVh2まで立ち上げる際、Vh2からVh3まで立ち上げる際、Vh3からVh4まで立ち上げる際、およびVh4から基準電位Vhまで立ち上げる際の帯電バイアスの上げ幅を100Vとする。これにより、表面電位を0Vから基準電位Vhまで立ち上げる際の表面電位の上昇幅を略一定にすることができる。
なお、現像バイアスは金属製の現像ローラー29に印加されるため、温度による上昇幅の変動はほとんど見られない。そのため、現像バイアスを0Vから基準バイアスまで立ち上げる際の現像バイアスの上げ幅は一定でよい。
以下、機外温度が27℃より高く、機外湿度が45%より高い場合(高温高湿環境)、および機外温度が14℃以下であり、機外湿度が45%以下である場合(低温低湿環境)における帯電バイアスの上げ幅の設定について具体的に説明する。なお、ここでは図4に示したように感光体ドラム1a〜1dの表面電位を中間電位Vh1(100V)から3段階の中間電位Vh2〜Vh4を経て印字中の基準電位Vh(500V)まで立ち上げるものとする。
また、中間電位Vh1〜Vh2(立ち上げ1段階目)の帯電バイアスの上げ幅を200V、Vh2〜Vh3、Vh3〜Vh4、Vh4〜Vh(立ち上げ2〜4段階目)の帯電バイアスの上げ幅を100Vとし、機外温度が27℃より高く、機外湿度が45%以下である場合の帯電バイアスのデフォルト値(補正量0)を1200Vとする。高温高湿環境および低温低湿環境において感光体ドラム1a〜1dの表面電位を中間電位Vh1〜Vh4および基準電位Vhに帯電させるための帯電バイアス(中間バイアスV1〜V4、基準バイアスVs)の設定値と上げ幅を表3に示す。
表3では、帯電バイアスのデフォルト値(補正量0)をD(ここでは1200V)、表1を用いて温度及び湿度に基づいて基準バイアスVsを決定する際の帯電バイアスの補正値をX、表2を用いて温度及び湿度に基づいて中間バイアスV1を決定する際の帯電バイアスの補正値をYとするとき、Vs=D+X、V1〜V4=D+X−Yによって算出される。
例えば、高温高湿環境下で感光体ドラム1a〜1dの表面電位を基準電位Vh(500V)とするための帯電バイアス(基準バイアスVs)は、表1からX=−70であるから1200−70=1130Vとなる。また、感光体ドラム1a〜1dの表面電位を中間電位Vh1(100V)とする場合の帯電バイアス(中間バイアスV1)は、表2からY=490であるから1200−70−490=640Vとなり、中間電位Vh2〜Vh4とする場合の帯電バイアス(中間バイアスV2〜V4)は、それぞれ640Vに各段階の帯電バイアスの上げ幅(200V、100V、100V)を累積して加えた840V、940V、1040Vとなる。
一方、低温低湿環境下で感光体ドラム1a〜1dの表面電位を基準電位Vh(500V)とするための帯電バイアス(基準バイアスVs)は、表1からX=120であるから1200+120=1320Vとなる。また、感光体ドラム1a〜1dの表面電位を中間電位Vh1(100V)とする場合の帯電バイアス(中間バイアスV1)は、表2からY=600であるから1200+120−600=720Vとなり、中間電位Vh2〜Vh4とする場合の帯電バイアス(中間バイアスV2〜V4)は、それぞれ920V、1020V、1120Vとなる。
表3のように帯電バイアスを設定した場合、高温高湿環境下では中間電位Vh1〜基準電位Vhの各段階における帯電バイアスの上げ幅は問題のない範囲となっているが、低温低湿環境下では中間電位Vh4〜基準電位Vh間の帯電バイアスの上げ幅が200Vと大きくなっており、中間電位Vh2〜Vh4の各段階における帯電バイアスの上げ幅が小さくなっている。そのため、中間電位Vh2〜Vh4が基準電位Vhに比べて低くなり、感光体ドラム1a〜1dへのトナー付着が発生するおそれがある。
これは、前述したように機外温度が低い場合は帯電バイアスに対して感光体ドラム1a〜1dの表面電位が直線的に変化しないためであり、特に感光体ドラム1a〜1dの表面電位の目標値が低い場合(200V以下)は帯電バイアスに対して表面電位が直線的に変化せず、狙いの電位よりも高くなる傾向にある。また、感光体ドラム1a〜1dの表面電位の目標値が基準電位(500V)に近づくにつれて帯電バイアスに対して表面電位が直線的に変化するようになる。
そこで、環境条件の差によって帯電バイアスの補正量が異なる場合でも帯電バイアスに対して感光体ドラム1a〜1dの表面電位が直線的に上昇するように、即ち、中間電位Vh2〜Vh4に帯電させる際の帯電バイアスの上げ幅が一定の割合となるように帯電バイアス(中間バイアスV2〜V4)を補正する。このときの帯電バイアス(中間バイアスV1〜V4、基準バイアスVs)と上げ幅を表4に示す。
表4では、感光体ドラム1a〜1dの表面電位を中間電位Vhn(n=2〜4)に帯電させるときの中間バイアスVnを以下の式(1)で算出している。なお、帯電バイアスの最小調整幅は10Vであるため、計算結果は十の位までの概数としている。
Vn=D+X−Y+(Y−100)/4*k ・・・(1)
式(1)中のkは補正係数であり、ここではn=2のときk=1.6、n=3のときk=3、n=4のときk=4である。なお、kの値は一例であり、±0.5程度変化させてもよい。
例えば、高温高湿環境下で感光体ドラム1a〜1dの表面電位を中間電位Vh2とするための帯電バイアス(中間バイアスV2)は、V2=1200−70−490+(490−100)/4*1.6≒800Vとなる。また、中間電位Vh3とするための帯電バイアス(中間バイアスV3)は、V3=1200−70−490+(490−100)/4*3≒930Vとなり、中間電位Vh4とするための帯電バイアス(中間バイアスV4)は、V4=1200−70−490+(490−100)/4*4=1030Vとなる。その結果、中間電位Vh1〜基準電位Vhの各段階における帯電バイアスの上げ幅は、それぞれ160V、130V、100V、100Vとなっている。
一方、低温低湿環境下で感光体ドラム1a〜1dの表面電位を中間電位Vh2とするための帯電バイアス(中間バイアスV2)は、V2=1200+120−600+(600−100)/4*1.6=920Vとなる。また、中間電位Vh3とするための帯電バイアス(中間バイアスV3)は、V3=1200+120−600+(600−100)/4*3≒1100Vとなり、中間電位Vh4とするための帯電バイアス(中間バイアスV4)は、V4=1200+120−600+(600−100)/4*4=1220Vとなる。その結果、中間電位Vh1〜基準電位Vhの各段階における帯電バイアスの上げ幅は、それぞれ200V、180V、120V、100Vとなっている。
上記式(1)を用いて、感光体ドラム1a〜1dの表面電位を段階的に立ち上げる際の各段階における帯電バイアス(中間バイアスV2〜V4)の上げ幅が直前の帯電バイアスの上げ幅を超えないように帯電バイアスを補正することにより、環境条件に関係なく感光体ドラム1a〜1dの表面電位と現像ローラー29の電位(現像バイアス)との電位差が所定の範囲となる。従って、感光体ドラム1a〜1dの表面電位を0Vから基準電位Vhまで段階的に立ち上げる際の感光体ドラム1a〜1dへのキャリア付着およびトナー付着の両方を効果的に抑制することができる。
なお、表4では感光体ドラム1a〜1dの表面電位を段階的に立ち上げる際の帯電バイアスの上げ幅について説明したが、感光体ドラム1a〜1dの表面電位を段階的に立ち下げる際の帯電バイアスの下げ幅についても全く同様に決定することができる。例えば、高温高湿環境下において感光体ドラム1a〜1dの表面電位を段階的に立ち下げる際は、帯電バイアスの下げ幅を100V、100V、130V、160Vとして、帯電バイアスを1130Vから1030V、930V、800V、640Vに下げていけばよい。
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では印字動作の開始時には中間電位Vh1〜Vh4を経て基準電位Vhまで5段階で立ち上げ、印字動作の終了時には基準電位Vhから中間電位Vh4〜Vh1を経て略0Vまで5段階で立ち下げる制御としているが、2段階以上で表面電位の立ち上げ、立ち下げを行う制御であれば5段階に限らない。同様に、現像バイアスも中間現像バイアスVdc1〜Vdc3を経た4段階に限らず、2段階以上の立ち上げ、立ち下げ制御であればよい。
また、上記実施形態において、帯電ローラー21は、感光体ドラム1a〜1dの表面に接触した状態で感光体ドラム1a〜1dの表面を帯電させるように構成されているが、帯電ローラー21が感光体ドラム1a〜1dの表面に近接して配置され、非接触の状態で帯電させるように構成される実施形態においても、実質的に同じ作用により実質的に同じ効果を奏することができる。
また、本発明は図1に示したようなタンデム型のカラープリンターに限らず、モノクロプリンター、デジタル複合機、カラー複写機等の、種々の画像形成装置に適用できるのはもちろんである。