JP4386581B2 - 精製されたプロスタグランジン誘導体の製造方法 - Google Patents

精製されたプロスタグランジン誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、精製されたプロスタグランジン誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【背景技術】
プロスタグランジン類(以下、プロスタグランジンをPGと記す)は、1960年にPGE、PGE、PGE、PGFα、PGFαおよびPGFαの6種の構造が決定されてから、PG類縁体の発見が相次ぎ、また生理作用も次々と明らかにされてきた。具体的には、血小板凝集抑制作用、血管拡張性血圧降下作用、胃酸分泌抑制作用、平滑筋収縮作用、細胞保護作用、および利尿作用等の多彩な生理活性が明らかになっている。そして、PG類は、心筋梗塞、狭心症、動脈硬化、高血圧症、十二指腸潰瘍、分娩誘発、および妊娠中絶等の治療または予防に有効な化合物群であることも明らかになっている。
【0003】
一方、文献では、将来これらPG類の薬剤が占める役割が大きくなることが予測されている。PG類は典型的な局所ホルモンであり、必要に応じて局所で作られ、そして局所で作用するホルモンである。このことから、これらのPG関連薬剤には、オータコイドとしての特性や、化学的性質を考慮に入れた薬剤放出系(ドラッグデリバリーシステム)が必要であることが提案されている。薬物放出系は、全身投与では効果が弱く、全身性副作用が強く現れる欠点を有する薬剤を改善するシステムである。PG類の薬物放出系の一例として、リピッド・ミクロスフェア(以下、LMという)を担体とした例がある。このLMは、実際にはPG類含有脂質の乳化微粒子であると考えられ、脂肪乳剤とも称されている。以下における脂肪乳剤−PGとは、PG類等を含有する脂質の乳化物をいう。
【0004】
従来よりPGEを直径2μmのLMに封入した脂肪乳剤−PGEからなるターゲット療法剤は、生体内での安定性が高く、PGE単独より強い血管拡張作用や血小板凝集抑制作用を示すことが報告されている(Sim,A.K,,et al.,Arzneim−Forsch/Drug Res.,1206−1209,1986)。
【0005】
しかし、脂肪乳剤−PGEを生体に投与した場合には、LMからPGEが大量に遊離する欠点がある。そこで、その遊離量を抑える研究が脂肪乳剤−PGEエステル類を用いて検討された(五十嵐その他、炎症、8,243−246,1988)。具体的には、まずPGEエステル類に活性がないこと、およびPGEエステル類は生体内のエステラーゼによりエステル結合が切断され、PGEとなって活性を発揮すること(これをPGEのプロドラッグという)を確認したうえで、脂肪乳剤−PGEエステル類の血中での安定性が検討された。
【0006】
該検討ではPGEエステル類として、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、またはオクチルエステルが用いられた。PGEエステル類の活性の指標としては、血小板凝集抑制効果が用いられた。また、血中での脂肪乳剤としての安定性は、等張塩中でインキュベートしたときのPGEエステル類のLMからの遊離を測定することにより評価された。その結果、PGEエステル類のLM製剤の保存安定性と有効性が確認された。
【0007】
ところで、脂肪乳剤の製造において、脂肪乳剤−PGEの徐放性を高めるためには、分散媒に微細に分散させる必要がある。その場合、PGEとその他の材料を加熱溶解し、それを80〜90℃程度の高温下で水中にホモジナイズする。しかし、このような高温下においては、従来のPGEは急速に分解する欠点があった。また、従来のPGEは保存安定性が低いために、商品流通経路においても急速に分解する問題があった。そこで、高温下で製剤化しても安定性が良好であり、また流通経路においても保存安定性の向上したPGE類縁体の開発が提案され、たとえば、9位カルボニル基をエノールエステルに誘導体化したPGE類縁体が報告されている(特許第2602964号)。
【0008】
これらのPG誘導体を合成する方法として、有機銅反応剤を用いる方法がある。さらに該有機銅反応剤の反応溶媒への溶解性を向上させる目的で、有機リン化合物や有機イオウ化合物等を加えて、これらの化合物を有機銅反応剤に配位させる方法がある。該方法でPG誘導体を合成した場合、PG誘導体中には、反応に用いた化合物や、該化合物に由来する副生成物が存在する。これらを、通常の抽出操作等の後処理で除こうとする場合、完全に除去することは困難であった。また、クロマトグラフィ等の精製法でこれらの化合物を除こうとする場合には、工程が増加し、非効率的であり、後処理工程で収率が下がる問題もあった。
【0009】
【発明の開示】
すなわち本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、アルキルリチウムと有機銅反応剤の作用のもとに、下式(1)で表されるアルケン類を下式(2)で表されるシクロペンテノンに付加反応させて付加体を生成させ、つぎに該付加体に下式(3)で表されるカルボン酸ハライド、下式(4)で表されるカルボン酸無水物、または下式(5)で表されるカルボン酸混成無水物を反応させて、下式(6)で表されるプロスタグランジン誘導体を含む反応生成物を得た後に、該反応生成物を芳香族へテロ環化合物で処理することを特徴とする、精製されたプロスタグランジン誘導体の製造方法を提供する。
【0010】
【化3】
Figure 0004386581
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
:アルカノイル基、または、アルキル基部分にヘテロ原子を含むアルカノイル基。
:アルキル基、または、ヘテロ原子を含むアルキル基。
、R:それぞれ独立に、水酸基の保護基または水素原子。
:アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基。
:アルカノイル基、または、アルキル基部分にヘテロ原子を含むアルカノイル基であり、かつ、Rとは異なる基。
Q:エチレン基またはビニレン基。
:ヨウ素原子またはトリアルキルスズ基。
:ハロゲン原子。
【0011】
【化4】
Figure 0004386581
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
7 、R 8 :それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基。
Y:窒素原子またはCH。ただし、YにR 7 が結合している場合はC。
n:0〜5の整数。
m:0〜3の整数。
【0012】
式(1)で表されるアルケン類(以下、アルケン類(1))のように記載する。他の化合物においても同様に記載する。)におけるXは、ヨウ素原子またはトリアルキルスズ基を示し、トリアルキルスズ基としては、トリブチルスズ基が好ましい。Xは、ヨウ素原子が好ましい。
【0013】
アルケン類(1)におけるRは、水酸基の保護基または水素原子である。水酸基の保護基としては、Greeneらによる著書(Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1981)記載の保護基を使用できる。このうち、水酸基の保護基としては、アシル基(たとえば、低級アルキル基を含むアルカノイル基であり、好ましくはアセチル基等。または芳香族環を含むアシル基であり、好ましくはベンゾイル基、p−メチルベンゾイル基、またはp−フェニルベンゾイル基等。)、トリアルキルシリル基(たとえば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基。)、トリアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、アリールジアルキルシリル基、アルアルキル基(たとえばベンジル基。)、およびテトラヒドロピラニル基等が好ましい。
【0014】
アルケン類(1)におけるRは、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基である。
がアルキル基である場合には、炭素数3〜8の直鎮状または分岐状のアルキル基が好ましい。該アルキル基の具体例としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−メチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
が置換アルキル基である場合には、直鎖状または分岐状の炭素数3〜8の非置換アルキル基の水素原子の1個以上が1価置換基で置換された基、または、アルキル基の炭素−炭素結合間に2価ヘテロ原子(たとえばエーテル性酸素原子、チオエーテル性硫黄原子等。)が挿入された基が好ましい。置換アルキル基における1価置換基としては、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、アリールオキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基が好ましい。
【0015】
置換アルキル基としてのRは、ハロゲン化アルキル基(たとえば、モノハロゲン化アルキル基、ジハロゲン化アルキル基等)、アリールアルキル基、(ハロゲン化アリール)アルキル基、フェノキシアルキル基、(ハロゲン化フェノキシ)アルキル基等が好ましく、特に1−フルオロペンチル基、1,1−ジフルオロペンチル基、1−フルオロ−2−メチルヘキシル基、フェノキシメチル基、2−クロロフェノキシメチル基、3−クロロフェノキシメチル基、4−クロロフェノキシメチル基、1−フェニルエチル基、または2−フェニルエチル基が好ましく、特にフェノキシメチル基、クロロフェノキシメチル基、またはフェニルエチル基が好ましい。
【0016】
がシクロアルキル基である場合には、環部分が炭素数3〜8であるシクロアルキル基が好ましい。シクロアルキル基は、環部分にアルキル基が結合したシクロアルキル基であってよく、該アルキル基としては、炭素数1〜8である直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3−メチルシクロペンチル基、3−エチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、およびシクロオクチル基等が挙げられる。
【0017】
が置換シクロアルキル基である場合には、前記シクロアルキル基の水素原子の1個以上が置換された基が好ましい。置換基としてはハロゲン原子が好ましい。置換シクロアルキル基の環部分は、炭素数3〜8であるのが好ましい。該置換シクロアルキル基の具体例としては、2−フルオロシクロプロピル基、3−フルオロシクロブチル基、3−クロロシクロブチル基、3−フルオロシクロペンチル基、3−クロロシクロペンチル基、(クロロまたはフルオロ)シクロヘキシル基、(クロロまたはフルオロ)シクロヘプチル基、(クロロまたはフルオロ)シクロオクチル基等が挙げられる。
【0018】
がアルケニル基である場合には、炭素数3〜8の直鎖状または分岐状のアルケニル基が好ましい。該アルケニル基の具体例としては、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、1−メチル−2−ヘキセニル基、2−ヘプテニル基、2−オクテニル基、2−メチル−4−ヘプテニル基等が挙げられる。
がアルキニル基である場合には、炭素数3〜8の直鎖状または分岐状のアルキニル基が好ましい。該アルキニル基の具体例としては、2−ブチニル基、2−ペンチニル基、2−ヘキシニル基、1−メチル−3−ペンチニル基、1−メチル−3−ヘキシニル基、1−メチル−3−ヘプチニル基等が挙げられる。
中に不斉炭素が存在する場合、該炭素原子の立体化学はRであってもSであってもそれらが混合していてもよい。
【0019】
アルケン類(1)のうちXがヨウ素原子である場合の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
(1E,3S)−1−ヨード−3−(t−ブチルジメチルシロキシ)−オクタ−1−エン、
(1E,3R)−1−ヨード−3−(t−ブチルジメチルシロキシ)−オクタ−1−エン、
(1E,3S)−1−ヨード−3−(t−ブチルジメチルシロキシ)−4,4−ジフルオロ−オクタ−1−エン、
(1E,3R)−1−ヨード−3−(t−ブチルジメチルシロキシ)−4,4−ジフルオロ−オクタ−1−エン、
(1E,3S,5R)−1−ヨード−3−(t−ブチルジメチルシロキシ)−5,9−ジメチル−デカ−1,8−ジエン、
(1E,3S,5Rまたは5S)−1−ヨード−3−(t−ブチルジメチルシロキシ)−5−メチル−ノナ−1−エン、
(1E,3S,4Rまたは4S)−1−ヨード−3−(t−ブチルジメチルシロキシ)−4−メチル−オクタ−1−エン−6−イン、
(1E,3S,4Rまたは4S)−1−ヨード−3−(t−ブチルジメチルシロキジ)−4−メチル−ノナ−1−エン−6−イン。
アルケン類(1)のうちXがトリアルキルスズ基である場合の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
(1E,3S)−1−トリブチルスタニル−3−(t−ブチルジメチルシロキシ)−オクタ−1−エン、
(1E,3R)−1−トリブチルスタニル−3−(t−ブチルジメチルシロキシ)−オクタ−1−エン、
(1E,3S)−1−トリブチルスタニル−3−(t−ブチルジメチルシロキシ)−4,4−ジフルオロ−オクタ−1−エン、
(1E,3R)−1−トリブチルスタニル−3−(t−ブチルジメチルシロキシ)−4,4−ジフルオロ−オクタ−1−エン、
(1E,3S,5Rまたは5S)−1−トリブチルスタニル−3−(t−ブチルジメチルシロキシ)−5,9−ジメチル−デカ−1,8−ジエン、
(1E,3S,5Rまたは5S)−1−トリブチルスタニル−3−(t−ブチルジメチルシロキシ)−5−メチル−ノナ−1−エン、
(1E,3S,4Rまたは4S)−1−トリブチルスタニル−3−(t−ブチルジメチルシロキシ)−4−メチル−オクタ−1−エン−6−イン、
(1E,3S,4Rまたは4S)−1−トリブチルスタニル−3−(t−ブチルジメチルシロキシ)−4−メチル−ノナ−1−エン−6−イン。
アルキルリチウムとしては、t−ブチルリチウムが好ましい。アルキルリチウム量は、アルケン類(1)に対して0.5〜10倍モルが好ましく、特に1〜2倍モルが好ましい。
【0020】
有機銅反応剤としては、トリアルキルホスフィン−ヨウ化銅(I)錯体が好ましく、特にトリ(n−ブチル)ホスフィン−ヨウ化銅(I)錯体が好ましい。有機銅反応剤の量は、アルケン類(1)に対して0.2〜4倍当量が好ましく、特に0.5〜2倍当量が好ましい。また、有機銅反応剤の溶解性を改善する目的で、反応系中に、有機リン化合物や有機硫黄化合物を加えてもよい。有機リン化合物としては、トリアルキルホスフィンが好ましく、トリ(n−ブチル)ホスフィンが好ましい。有機硫黄化合物としては、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジフェニルスルフィドが好ましい。有機リン化合物または有機硫黄化合物の量は、有機銅反応剤に対して0.8〜1.2倍当量が好ましい。
【0021】
本発明においては、アルキルリチウムおよび有機銅反応剤の作用のもとに、アルケン類(1)をシクロペンテノン(2)に付加反応させる。
式(2)におけるRがアルキル基である場合には、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、特に炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。該アルキル基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。Rとしては、特にメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基,t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、またはn−ヘプチル基が好ましく、とりわけ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、またはn−ペンチル基が好ましい。
【0022】
がヘテロ原子を含むアルキル基の場合には、アルキル基の水素原子の1個以上がヘテロ原子を含む1価基で置換された基が好ましい。ヘテロ原子を含む1価基としては、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アミノ基、またはカルバモイル基等からなる1価基、またはこれらを含む1価基が好ましい。また、ヘテロ原子を含むアルキル基のアルキル基部分は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0023】
ヘテロ原子を含むアルキル基であるRとしては、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、カルボキシメチル基、2−カルボキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、(ジメチルカルバモイル)メチル基、2−(ジメチルカルバモイル)エチル基、2−(ジメチルアミノ)エチル基、または3−(ジメチルアミノ)プロピル基が好ましい。
【0024】
としては、ヘテロ原子を含むアルキル基が好ましく、アルキル基部分の炭素数が1〜8である該基がより好ましく、アルキル基部分の炭素数が1〜5である該基が特に好ましい。
【0025】
式(2)におけるRは水酸基の保護基または水素原子を示し、水酸基の保護基としては、Rと同様の基が好ましい。RとRとは、同一であっても異なっていてもよい。
式(2)におけるQは、エチレン基(−CHCH−)またはビニレン基(−CH=CH−)を示す。Qがビニレン基である場合、該二重結合は、トランス二重結合であってもシス二重結合であってもよく、トランス二重結合が好ましい。
シクロペンテノン(2)には、プロスタン酸を基本骨格とするPGの炭素原子番号で11位に不斉炭素原子が存在するが、その絶対配置は特に限定されない。
【0026】
本発明においては、アルキルリチウムと有機銅反応剤の作用のもとに、アルケン類(1)とシクロペンテノン(2)を反応させて付加体を生成させる。アルケン類(1)の量は、シクロペンテノン(2)に対して0.5〜10倍モルとするのが好ましい。
該付加反応は、以下のメカニズムで進行すると考えられる。すなわち、アルケン類(1)がアルキルリチウムと反応することによりリチオ化され、アルケン類(1)中の−Xが−Liに置換された1−リチオアルケン類となる。そして、該1−リチオアルケン類と有機銅反応剤とが反応することにより、1−リチオアルケン類の末端−Liが銅原子において錯体化したオルガノ銅が生成する。つぎにこのオルガノ銅がシクロペンテノン(2)に1,4−共役付加し、付加体が生成する、と考えられる。
【0027】
該反応は不活性溶媒の存在下に実施するのが好ましい。不活性溶媒としては、非プロトン系の溶媒が好ましく、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジオクチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、および1,4−ジオキサン等が好ましく、特にテトラヒドロフランまたはジエチルエーテルが好ましい。不活性溶媒を用いる場合の量は、アルケン類(1)に対して1〜500倍重量が好ましく、特に10〜100倍重量が好ましい。
該付加反応の反応温度は−95℃〜+50℃が好ましく、特に−78℃〜+20℃が好ましい。さらに反応時間は0.1〜20時間が好ましい。該付加反応により得られた付加体は、必要に応じて単離してもよいが、本発明においては、付加体を取り出さずに次の反応(以下、第2工程ともいう)にそのまま用いるのが好ましい。
【0028】
第2工程では、付加体に、カルボン酸ハライド(3)、カルボン酸無水物(4)、またはカルボン酸混成無水物(5)を反応させて、PG誘導体(6)とする。カルボン酸ハライド(3)、カルボン酸無水物(4)、またはカルボン酸混成無水物(5)の量は、シクロペンテノン(2)に対して0.5〜50倍モルとするのが好ましい。この方法においては、類似骨格を有する公知化合物において知られる方法(Sih,et al.,J.Am.Chem.Soc.,110,3588,1988)の条件をそのまま適用できる。
【0029】
カルボン酸ハライド(3)、カルボン酸無水物(4)、またはカルボン酸混成無水物(5)におけるRはアルカノイル基またはアルキル基部分にヘテロ原子を含むアルカノイル基である。
がアルカノイル基である場合には、炭素数2〜6のアルカノイル基が好ましく、特に炭素数2〜4のアルカノイル基が好ましく、とりわけ、アセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基、またはブタノイル基が好ましい。
【0030】
また、Rがアルキル基部分にヘテロ原子を含むアルカノイル基(以下、置換アルカノイル基と記す。)としては、アルキル基部分の水素原子の1個以上が、ヘテロ原子を含む1価基で置換された置換アルカノイル基が好ましい。該ヘテロ原子を含む1価基としては、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、アミノ基、またはカルバモイル基、またはこれらの基を含む1価基が好ましい。
【0031】
がアルカノイル基である場合は、つぎの態様が好ましい。すなわち、カルボン酸無水物(4)としては無水酢酸または無水酪酸が好ましい。カルボン酸混成無水物(5)におけるRは、アルカノイル基、または、アルキル基部分にヘテロ原子を含むアルカノイル基であり、かつ、Rとは異なる基であり、Rの具体例にある基と同様のアルカノイル基が好ましい。カルボン酸混成無水物(5)としては、酢酸ピバリン酸混成無水物(Rがアセチル基であり、Rがピバロイル基である化合物)または酪酸ピバリン酸混成無水物(Rがブチリル基であり、Rがピバロイル基である化合物)が好ましい。カルボン酸ハライド(3)におけるXは塩素原子が好ましく、カルボン酸ハライドとしては、酢酸クロリドまたは酪酸クロリドが好ましい。
【0032】
また、Rがヘテロ原子を含むアルカノイル基の場合、カルボン酸ハライド(3)またはカルボン酸無水物(4)が好ましく、特に2−メトキシプロピオン酸無水物、2−メトキシプロピオン酸クロリド、3−メトキシプロピオン酸無水物、3−メトキシプロピオン酸クロリド、2−トリメチルシロキシプロピオン酸無水物、2−トリメチルシロキシプロピオン酸クロリド、3−トリメチルシロキシ酪酸無水物、3−トリメチルシロキシ酪酸クロリド、トリメチルシロキシカルボニル酢酸無水物、トリメチルシロキシカルボニル酢酸クロリド、メトキシカルボニル酢酸無水物、メトキシカルボニル酢酸クロリド、エトキシカルボニル酢酸無水物、エトキシカルボニル酢酸クロリド、ジメチルアミノ酢酸無水物、4−(ジメチルアミノ)酪酸クロリド、3−(ジメチルアミノ)プロピオン酸無水物、または3−(ジメチルアミノ)プロピオン酸クロリドが好ましい。
【0033】
第2工程の反応においては反応溶媒を用いるのが好ましい。反応溶媒としては非プロトン系の溶媒が好ましい。反応溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジオクチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、および1,4−ジオキサン等が好ましく、特にテトラヒドロフランやジエチルエーテルが好ましい。本発明においては、付加反応後に付加体を取り出さずに、カルボン酸ハライド(3)、カルボン酸無水物(4)、またはカルボン酸混成無水物(5)を反応させるのが好ましいことから、反応溶媒を用いる場合には、付加反応における反応溶媒と同一の溶媒を用いるのが好ましい。反応溶媒は1種または2種以上を使用できる。
【0034】
反応溶媒量はアルケン類(1)に対して1〜500倍重量とするのが好ましい。また、上記反応の反応温度は、−78℃〜溶媒還流程度の温度の範囲が採用され、好ましくは−78℃〜室温付近の温度である。反応時間は0.5〜48時間が好ましい。
上記の反応では、PG誘導体(6)を含む反応生成物が生成する。
【0035】
式(6)におけるR、R、R、およびQとしては、上記と同じ意味を示し、好ましい態様も同じである。RおよびRは、水酸基の保護基または水素原子である。医薬として有用なPG誘導体(6)は、RおよびRの両方が水素原子である化合物であるが、Rおよび/またはRが水酸基の保護基である場合には、脱保護せずに芳香族へテロ環化合物で処理するのが好ましい。
および/またはRが水酸基の保護基であるPG誘導体(6)は、式(6a)で表される。
【0036】
【化5】
Figure 0004386581
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
、R、R、Q:上記と同じ意味を示す。
30、R40:それぞれ水酸基の保護基または水素原子であり、いずれか一方は水酸基の保護基である。
30、R40が、それぞれ水酸基の保護基である場合の具体例としては、Rが水酸基の保護基である場合と同様の基が挙げられる。またPG誘導体(6)、または式(6a)で表される化合物は、その11、12、15位に不斉炭素原子を有するため各種の立体異性体が存在するが、本発明はそのいずれのPG誘導体であっても、さらにそれらの混合物であってもよい。
【0037】
本発明においては、上記の反応で得られたPG誘導体(6)を含む反応生成物を芳香族へテロ環化合物で処理する。
芳香族へテロ環化合物は、ヘテロ原子として窒素原子を有する芳香族ヘテロ環化合物であり、本発明では、下式(7)で表される化合物が使用される。
【0038】
【化6】
Figure 0004386581
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
、R:それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基。
、Y:それぞれ独立に、窒素原子またはCH。ただし、Rが結合しているYはCであり、Rが結合しているYはCである。
n:0〜5の整数。
m:0〜3の整数。
がアルキル基である場合には、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、特にメチル基、エチル基、またはプロピル基等が好ましい。
式(7)で表される化合物としては、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、ビピリジル(たとえば、2,2'−ビピリジル)、ビス(2−ピリジル)メタン、1,2−ビス(2−ピリジル)エタン、1,3−ビス(2−ピリジル)プロパン、6,6'−ビス(2−メチルピリジル)、および2,2'−ビス(4−メチルピリジル)等が挙げられる。
【0039】
芳香族へテロ環化合物は、カルボン酸ハライド(3)、カルボン酸無水物(4)、またはカルボン酸混成無水物(5)を反応させた直後の反応粗生成物、または、該反応粗生成物を通常の精製手段(たとえば、ろ過、カラムクロマトグラフィ等)に付したもの(以下、これらを反応生成物と総称する。)を処理する。
【0040】
芳香族へテロ環化合物を処理する具体的な方法としては、反応生成物と芳香族へテロ環化合物とを混合して撹拌する方法が挙げられ、該方法により反応生成物中の不純物、特に反応に用いた有機銅反応剤または有機銅反応剤に由来する副生成物を除去できる。該除去は、芳香族へテロ環化合物と、有機銅反応剤や副生成物がキレートを形成することによると考えられる。芳香族へテロ環化合物と有機銅化合物がキレートを生成することは、すでに文献(D.Purdie and A.F.Wells,J.Chem.Soc.,1503,1936.)において知られているが、これを精製方法に応用することに本発明の特徴がある。該精製方法においては、目的化合物の生成に悪影響を与えることなく、不必要な不純物のみを効率的に除去できる。
【0041】
芳香族へテロ環化合物の量は、反応に用いた有機銅反応剤に対して、1〜100倍モルが好ましい。また、芳香族へテロ環化合物を処理する際の温度は、−20℃〜室温付近の温度が好ましく、撹拌する場合の撹拌時間は、0.1〜24時間が好ましい。
芳香族へテロ環化合物を作用させた後の反応生成物は、反応溶媒等を留去し、つぎに通常の精製手段(たとえば、シリカゲルクロマトグラフィ等)で精製するのが好ましい。通常の精製手段により、目的化合物中の有機銅反応剤または有機銅反応剤に由来する副生成物を、充分に減少させうる。
【0042】
上記の方法により、精製されたPG誘導体(6)が得られる。本発明の方法により、精製されたPG誘導体(6)に対する銅含量は、約0〜100ppm程度にまで減少させうる。さらに、精製されたPG誘導体が、Rおよび/またはRが水酸基の保護基であるPG誘導体(6a)である場合には、芳香族へテロ環化合物を作用させた後に必要に応じて脱保護反応を行ってもよい。脱保護反応は、公知の方法により実施でき、たとえばGreeneらによる著書(Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1981)に記載の方法により精製された脱保護体(6b)が得られる。
【0043】
【化7】
Figure 0004386581
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
、R、R、Q:式(6a)の場合と同じ。
31、R41:それぞれR31はR30に、R41はR40に対応する基であり、それぞれ独立に、水酸基の保護基または水素原子であり、水酸基の保護基であるR30、R40に対応するR31、R41の少なくとも1つは水素原子であり、水素原子であるR、Rに対応するR31、R41は水素原子。
【0044】
本発明の方法により得られる精製されたPG誘導体(6)は、反応に用いた有機銅反応剤または該反応剤由来の不純物が効率的に除かれた純度の高い化合物である。
該PG誘導体(6)としては、下記化合物が挙げられる。
【0045】
ブチル 9−ブタノイルオキシ−11α,15S−ジヒドロキシプロスター8,13E−ジエン−1−オアート(式(6)においてRとRがブチル基であり、RとRが水素原子であり、Qがエチレン基、Rがn−ペンチル基である化合物。)、
ブチル 9−ブタノイルオキシ−11α,15S−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)プロスター8,13E−ジエン−1−オアート、
メチル 9−アセトキシ−11α,15S−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)−17S,20−ジメチルプロスター8,13E−ジエン−1−オアート、
メチル 9−アセトキシ−11α,15S−ジヒドロキシ−17S,20−ジメチルプロスター8,13E−ジエン−1−オアート、
メチル 9−アセトキシ−11α,15S−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)プロスター8,13E−ジエン−1−オアート、
メチル 9−アセトキシ−11α,15S−ジヒドロキシプロスター8,13E−ジエン−1−オアート、
ブチル 9−アセトキシ−11α,15S−ジヒドロキシ−17S,20−ジメチルプロスター8,13E−ジエン−1−オアート、
ブチル 9−アセトキシ−11α,15S−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)−17S,20−ジメチルプロスター8,13E−ジエン−1−オアート、
ブチル 9−アセトキシ−11α、15S−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)−プロスター8,13E−ジエン−1−オアート。
【0046】
本発明により得られた、精製されたPG誘導体は、そのまま、またはこれを含む医薬組成物として用いることができる。該PG誘導体は、心筋梗塞、狭心症、動脈硬化、高血圧症、十二指腸潰瘍、分娩誘発、妊娠中絶等の治療または予防に有効であることから、精製されたPG誘導体は、これらの治療または予防剤として用いうる。
【0047】
【実施例】
以下に本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されない。なお、以下において銅含量は、誘導結合プラズマ発光分光法により測定した。
[例1]精製されたブチル 9−ブタノイルオキシ−11α, 15S−ジヒドロキシプロスター8,13E−ジエン−1−オアートの合成例
(1E,3S)−1−ヨード−3−(t−ブチルジメチルシロキシ)−1−ノネン(1.12g、3.03mmol)のエーテル(2.54ml)溶液を−78℃に冷却し、窒素気流下でt−ブチルリチウム(1.48Mペンタン溶液3.84ml、5.69mmol)を滴下した。同温度で2時間撹拌した後、トリ(n−ブチル)ホスフィン−ヨウ化銅(I)錯体(1.04g、2.81mmol)、トリ(n−ブチル)ホスフィン(0.69ml、2.76mmol)のエーテル(2.02ml)溶液を滴下した。−78℃で50分間撹拌した後、(4R)−t−ブチルジメチルシロキシ−2−(6−ブトキシカルボニルヘキシル)−2−シクロペンテン−1−オン(1.0g、2.53mmol)のエーテル(8.07ml)溶液を滴下した。−78℃で30分、さらに+30℃〜−20℃で30分撹拌して付加体を得た。
【0048】
該付加体に無水酪酸(1.12ml、6.83mmol)を0℃で滴下し、0℃〜室温で2時間撹拌した。飽和硫酸アンモニウム水溶液(43ml)に注ぎ、有機層と分離した後、水層をエーテル(21ml)で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し反応生成物を得た(該反応生成物中の銅含量1〜3%)。反応生成物をろ過後、2,2'−ビピリジル(2.06g、13.2mmol)を添加し、5分撹拌した。溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:1〜20:1(容積比))で精製し、保護基を有するPG誘導体であるブチル 9−ブタノイルオキシ−11α,15S−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)プロスター8,13E−ジエン−1−オアートを得た(0.84g、収率46,9%、銅含量59ppm)。
H−NMR(CDCl):δ0.0−0.1(12H,m),0.8−1.0(27H,m),1.1−1.8(22H,m),2.0(2H,m),2.25(2H,t,J=7.5Hz),2.39(3H,m),2.8(1H,m),3.05(1H,m),4.05−4.15(4H,m),5.3−5.6(2H,m).
【0049】
つぎに保護基を有するPG誘導体(700mg、0.99mmol)をアセトニトリル(8.32ml)に溶解し、0℃で46%フッ化水素酸水溶液(2.62ml)を加え、同温度で1時間撹拌した。反応液を20%炭酸カリウム水溶液(29ml)と塩化メチレン(5.9ml)の混液に注ぎ、有機層と分離した後、水層を塩化メチレン(7.75ml)で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥ろ過し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1〜1:1〜1:2(容積比))で精製し、表掲化合物を得た(293mg、収率61.7%、銅含量7ppm)。
H−NMR(CDCl):δ0.85−1.05(9H,m),1.2−1.8(22H,m),2.05(2H,m),2.25(2H,t,J=7.5Hz),2.35−2.45(3H,m),2.88(1H,m),3.05(1H,m),4.05−4.15(4H,m),5.4−5.65(2H,m).
【0050】
[例2]精製されたメチル 9−アセトキシ−11α,15−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)プロスター8,13E−ジエン−1−オアートの合成例
例1の(4R)−t−ブチルジメチルシロキシ−2−(6−ブトキシカルボニルヘキシル)−2−シクロペンテン−1−オンの代わりに、(4R)−t−ブチルジメチルシロキシ−2−(6−メトキシカルボニルヘキシル)−2−シクロペンテン−1−オンを、無水酪酸の代わりに無水酢酸を用い、同様の反応を行い、メチル 9−アセトキシ−11α,15S−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)プロスター8,13E−ジエン−1−オアートを得た(銅含量5ppm)。
H−NMR(CDCl):δ0.0−0.1(15H,m),0.7−0.8(18H,m),1.1−2.4(21H,m),2.0(3H,m),2.65−2.95(2H,m),3.55(3H,s),3.95−4.00(2H,m),5.20−5.50(2H,m).
【0051】
[例3(比較例)]
例1において、2,2'−ビピリジル(2.06g、13.2mmol)を添加して5分撹拌する工程を省略すること以外は、例1と同様に実施した。最終化合物中の銅含量は26ppmであった。
本発明方法によれば、骨格形成反応に用いる有機銅反応剤に由来する銅化合物を、簡便な方法で、効率的に除去できる。得られたPG誘導体(式6)中に含まれる銅含量は、きわめて少量にできるため、PG誘導体(式6)は、そのまま医薬品の原料として用いうる。

Claims (8)

  1. アルキルリチウムと有機銅反応剤の作用のもとに、下式1で表されるアルケン類を下式2で表されるシクロペンテノンに付加反応させて付加体を生成させ、つぎに該付加体に下式3で表されるカルボン酸ハライド、下式4で表されるカルボン酸無水物、または下式5で表されるカルボン酸混成無水物を反応させて、下式6で表されるプロスタグランジン誘導体を含む反応生成物を得た後に、該反応生成物に、下式7で表される芳香族へテロ環化合物を作用させることを特徴とする、精製されたプロスタグランジン誘導体の製造方法。
    Figure 0004386581
    ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
    1 :アルカノイル基、または、アルキル基部分にヘテロ原子を含むアルカノイル基。
    2 :アルキル基、または、ヘテロ原子を含むアルキル基。
    3 、R4 :それぞれ独立に、水酸基の保護基または水素原子。
    5 :アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基。
    6 :アルカノイル基、または、アルキル基部分にヘテロ原子を含むアルカノイル基であり、かつ、R1 とは異なる基。
    Q:エチレン基またはビニレン基。
    1 :ヨウ素原子またはトリアルキルスズ基。
    2 :ハロゲン原子。
    Figure 0004386581
    ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
    7 、R 8 :それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基。
    Y:窒素原子またはCH。ただし、YにR 7 が結合している場合はC。
    n:0〜5の整数。
    m:0〜3の整数。
  2. 芳香族へテロ環化合物を作用させた後に、脱保護反応を行い、式6におけるR3 およびR4 の少なくとも1つが水素原子であるプロスタグランジン誘導体とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 芳香族へテロ環化合物が、ピリジン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、ビピリジル(たとえば、2,2'−ビピリジル)、ビス(2−ピリジル)メタン、1,2−ビス(2−ピリジル)エタン、1,3−ビス(2−ピリジル)プロパン、6,6'−ビス(2−メチルピリジル)、および2,2'−ビス(4−メチルピリジル)である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 反応生成物を芳香族へテロ環化合物で処理する手法が、反応生成物と芳香族へテロ環化合物とを混合して撹拌する方法である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  5. 芳香族へテロ環化合物が、有機銅反応剤に対して1〜100倍モルである請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  6. 反応生成物を芳香族へテロ環化合物で処理する際の温度が、−20℃〜室温である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  7. 精製されたプロスタグランジン誘導体が、プロスタグランジン誘導体に対して銅を実質的に0ppm以上100ppm以下で含む請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  8. 式6で表されるプロスタグランジン誘導体が、ブチル 9−ブタノイルオキシ−11α,15S−ジヒドロキシプロスター8,13E−ジエン−1−オアートである請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
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