JP4386513B2 - ボールペンチップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チップ内に回転自在に抱持したボールをチップ先端縁の内壁面に押圧する、ストレート部を有するスプリングを配設した構造のボールペンチップに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インキ収容筒に剪断減粘性を有したインキと該インキの消費とともに追従するグリース状のフォロワーを充填したボールペンについては、各メーカーより数多く提供されている。剪断減粘性を有したインキをインキ収容管に直詰めにしたボールペンにおいては、ボールペンチップの先端が下向き状態での振動や衝撃により、ボールペンチップの先端からのインキ洩れが発生しやすい。そのために、ボールペンチップ構造として、チップ先端に回転自在に抱持したボールを、ストレート部を有するスプリングにより、ストレート部をボールの後端に当接し、チップ先端縁の内壁面に押圧することにより弁機構を構成することも知られている。
【0003】
また、従来のボールペンチップに抱持されるボールの径が、0.7mm以上の比較的大径のものは書き味が滑らかであるということから注目され、各メーカーから、直径が0.7mm以上のボールを回転自在に抱持したボールペンチップを備えたボールペンが市場に提供されており、ノック式ボールペンとして提供されているものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、ストレート部を有するスプリングを配設してなるボールペンチップにおいて、スプリングをチップ内に配設し易く、さらに筆跡の線かすれがなく、インキ洩れがない構造について検討した結果、ボール座の中央部に形成したインキ流通孔と、スプリングのストレート部との関係において、下記のような問題があることが判った。
▲1▼スプリングを配設する際、ストレート部の端面がカットしたままであり、ストレート部の端面のエッジやバリがチップ内面に引っ掛かり、所定の位置にスプリングを配設できず、ボールが押圧されないという問題が生じることがある。
▲2▼また、ボール径が大径になるにつけチップ先端からのインキの流出が多くなり、それに見合ったインキが流出するようにボール座の中央部に形成したインキ流通孔の径は、大径にする必要があるが、インキ流通孔が大径になればなる程、配設したスプリングのストレート部のインキ流通孔での移動量が大きくなり、ストレート部の先端がボールの中央部を必ずしも押圧するとは限らず、ボールの端側を押圧した際には、ボールの中央部から離間していればいる程、スプリングの押圧によるボールとチップ先端内壁面とで構成される弁構造の機能が不十分なものとなるという問題が生じてくる。
▲3▼だからといって、スプリングのストレート部の少なくともインキ流通孔における線径を大径にすると、インキ流通孔の孔径をチップ先端からのインキの流出に見合ったインキが流出するように大径にしても、実質上、断面積でみるとインキの流出に見合ったインキが流出するための面積を得ていない結果となり、筆記時に充分なチップ先端からのインキ流出が得られない恐れがあるという問題が生じてくる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記問題を解決するために、チップ先端にボールを回転自在に抱持し、チップ内に、中央にインキ流通孔と該インキ流通孔に連通する放射状に延びた放射状溝を有した、前記ボールが当接するボール座を設け、先端をストレート部としたコイル状のスプリングを、ストレート部が前記インキ流通孔を通ってボールの後端に当接して配設し、ボールをチップ先端縁に押圧してなるボールペンチップにおいて、前記ストレート部を折り返すように折り曲げ、該折り曲げ部をボールの後端部に当接させ、ストレート部および折り返した折り返し部をインキ流通孔内に、前記折り返し部の先端をインキ流通孔より後端に位置させて配設するとともに、前記ストレート部の後端をコイル状の密着部、その後端をコイル状のバネ部とし、前記インキ流通孔内のスプリングの幅を、前記インキ流通孔の内径よりも小さくする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を用いて説明すると、本発明のボールペンチップ1は、中央にインキ流通孔3と該インキ流通孔3に連通する放射状に延びた放射状溝5を有したボール座4を設け、ボール抱持室2内にボール6を、ボール6の一部がチップ先端縁7より突出させ、回転自在に抱持する。
【0007】
ボールペンチップ1内に、ストレート部10を有し、該ストレート部10の後端をコイル状の密着部9’、その後端をコイル状のバネ部9としたスプリング8を、ストレート部10を折り曲げ、該折り曲げ部11をボール6の後端部に当接させ、ストレート部10および折り返し部11の一部は、インキ流通孔3内に位置するとともに、折り返した折り返し部12の先端13をインキ流通孔3より後端に位置させ、スプリング8の密着状の後端部8aをボールペンチップ1の後端部より突出させて配設(図示せず)してある。スプリング8は、ボールペンチップ1を嵌着するチップホルダー(図示せず)の内壁に形成した、スプリングの後端部8aを支持する支持部(段部等)により支持されて固定されるようになっている。
【0008】
ストレート部10を折り曲げ、折り曲げ部11を形成することにより、折り曲げ部11は丸みを有することになり、スプリング8をチップ内に配設する際に、チップ内に引っ掛かりにくくなる。また、折り返した折り返し部12の先端13をインキ流通孔より後端に位置させることにより、筆記時等にボールに押圧力が加わりチップの後端方向(図1の矢印F方向)に移動する際にインキ流通孔3でスプリングの先端13が引っ掛かることがないので、スムーズに軸方向への移動が可能である。
【0009】
また、図3に示すように、インキ流通孔3内のスプリングの幅Hであるならば、ストレート部を折り曲げるほうが、スプリングの線径を大径にした場合14より、断面積でみるとインキが流出するための面積を大きく得ることができる。
【0010】
他の実施の形態として、スプリング8がボールペンチップ1より抜け落ちないようにするために、スプリング8の後端部8aをボールペンチップ1の後端部を縮径とした部分に衝接したものでも良い。あるいは、ボールペンチップ1の後端部を縮径とする代わりに、後端部にインキ流通路を有したスプリング支持部材を圧入することにより、ボールペンチップ1より抜け落ちないようにしても良い。または、ボールペンチップを直に抱持する金属製のインキ収容筒において、インキ収容筒の内壁面に内方に突出するビード状の支持部を形成し、スプリングの後端部を前記支持部に支持させるようにして、ボールペンチップ内に配設するようにするものであっても良い。
【0011】
【発明の効果】
本発明のボールペンチップは、前述したような構造なので、スプリングをチップ内に配設し易く、さらに筆跡の線かすれやインキ洩れがない構造を得ることができた。
【0012】
また、ボール径が大きくなればなる程、当然チップ先端からのインキの流出は多くなるために、チップの内部構造もインキ流出が多くなるような構造する必要があり、インキ流通孔径は大きくなるため、本発明のボールペンチップは特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のボールペンチップの先端部分の縦断面図である。
【図2】図1におけるスプリングの図である。
【図3】図2におけるA−A拡大断面図および幅(線径)Hにおけるスプリングの仮想図である。
【符号の説明】
1 ボールペンチップ
2 ボール抱持室
3 インキ流通孔
4 ボール座
5 インキ流通溝
6 ボール
7 チップ先端縁
8 スプリング
9 コイル状のバネ部
10 ストレート部
11 折り曲げ部
12 折り返し部
13 先端

Claims (1)

  1. チップ先端にボールを回転自在に抱持し、チップ内に、中央にインキ流通孔と該インキ流通孔に連通する放射状に延びた放射状溝を有した、前記ボールが当接するボール座を設け、先端をストレート部としたコイル状のスプリングを、ストレート部が前記インキ流通孔を通ってボールの後端に当接して配設し、ボールをチップ先端縁に押圧してなるボールペンチップにおいて、前記ストレート部を折り返すように折り曲げ、該折り曲げ部をボールの後端部に当接させ、ストレート部および折り返した折り返し部をインキ流通孔内に、前記折り返し部の先端をインキ流通孔より後端に位置させて配設するとともに、前記ストレート部の後端をコイル状の密着部、その後端をコイル状のバネ部とし、前記インキ流通孔内のスプリングの幅を、前記インキ流通孔の内径よりも小さくしたことを特徴とするボールペンチップ。
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