JP2865553B2 - ボールペンのリフィール - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、静的には高い粘性を有
し、筆記時のボールの回転で粘性が低下してインクが流
出される、所謂剪断減粘性を有したインクを使用したボ
ールペンの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】同出願人は実公平４ー５２０６７号でボ
ールを遊嵌した弁室を設けたボールペンのインクの逆流
防止機構を開示している。此のものは、合成樹脂製の口
プラでボールを遊嵌する弁室内にボールを抜出不能とす
る突条を所要数設けて、筆記時には突条と突条との間に
形成される隙間を連通してチップにインクが流動される
ように成されている。又、筆記時の先端ボールの回転で
粘性が低下してインクが流出される剪断減粘性を有した
インクを使用したボールペンが知られている。一般に剪
断減粘性を有したインクを使用したボールペンは、イン
クの流出量が多く（筆記濃度を上げるため）インク収容
管の径を太くしてインクの搭載量を多くしている。又、
インクの粘度は油性ボールペンのインクに比べて小さい
のでインク収容管に対する流動抵抗は小さい。従って、
インクの自重や衝撃によりインク漏れ（インク収容管の
後端にインクが逆流する）が生じやすい。その為に、通
常はインクの後端に筆記時のインクの消耗に追随して移
動するが、インクの自重や衝撃に対してインクの逆流を
抑制するグリース状のフォロアが設けられている。しか
しながら、フォロアを設けても上向き筆記をした時には
チップのボール直下のインクが無くなると、インクのヘ
ッドが直に加わる為に顕著な逆流が生じて手や衣服を汚
す危険がある。又、インクの粘度が低く流出量が多いが
故に、チップ側を下向きにした場合に先端ボールとチッ
プかしめ部の隙間が生じるとインクが滲みでる（直流）
問題が存在する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、筆記
時のボールの回転で粘性が低下してインクが流出される
剪断減粘性を有したインクを使用したボールペンの改良
であって、ボールペンの上向き筆記や衝撃によって生じ
るインクの逆流とチップ側を下向きに置いた時の直流を
防止可能とし、ボールペンのリフィールを搭載する軸筒
内や手、衣服の汚損を防止可能とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する為に
案出された本発明のボールペンのリフィールは、継ぎ手
の先端にボールペンのチップを、後端にインク収容管を
固着して成るボールペンのリフィールに於いて、継ぎ手
の軸心にチップの後端に対向する側でテーパー状の受け
座が設けられて、略中央に受け座と密接可能とするテー
パー部を備えた鍔部を有し、前方に延出した軸部の外周
所要箇所ににインク誘導溝と先端に細径部を有し、且つ
後方に延出した軸部を夫々一体に有したコマが設けら
れ、コマは継ぎ手の後端から嵌挿されて鍔部の後端と継
ぎ手の内段部との間にスプリングが附勢されると共にコ
マの前方の軸部がチップ内孔部に嵌挿され、テーパー部
が受け座に密接されてインクの流入が阻止されると共に
細径部の先端が先端ボールの後端に当接して、先端ボー
ルがチップ先端の抱持部の内縁に密接し、先端ボールの
軸方向の微小な推移でコマを推移して受け座と抱持部の
密接状態が解除され、インクが流出可能となるように構
成されたことを特徴とする。

【０００５】

【実施例】図１及び図２に示した本発明の実施例は、継
ぎ手３の前半に係止筒部７と後半に嵌合筒部１２を設
け、前側の係止筒部７には円周上の所要位置に軸方向前
方に傾斜したリブ８が設けられている。係止筒部７には
前端よりチップ嵌着孔１０が形成されて、チップ嵌着孔
１０にはチップ５が後端側から圧入されている。

【０００６】継ぎ手３は弾性変形可能な合成樹脂により
一体成形で構成されており、前記チップ嵌着孔１０に連
通して後方にチップ５の軸部１１の後端に対向する側で
テーパー状の受け座１３が設けられている。又、受け座
１３の所要位置に適宜膨出して円周状に周接リブ１４が
形成されている。又、前記嵌合筒部１２の後端側の所要
箇所にスリ割り部２１が形成されて弾性変形により後端
部が適宜拡開可能に成されている。又、嵌合筒部１２の
後端にはテーパー面２５を有して、上記受け座１３に連
通する内孔の後端に内段部２２が形成されている。

【０００７】コマ１５は、略中央に前記受け座１３と密
接可能とするテーパー部１７ａを備えた鍔部１７を有
し、前方に延出した軸部の外周所要箇所にインク誘導溝
１６と先端に細径部１８を有し、且つ後方に延出した軸
部２０を夫々一体に有して形成されている。又、チップ
５は、インク流入可能なチャネル５ｂを有した座に先端
ボール５ａが略当接した状態で先端ボール５ａが回転自
在に抱持されるようかしめられている。

【０００８】前記コマ１５は、継ぎ手３の嵌合筒部１２
の後端部を弾性的に拡開させた状態で後端から嵌挿さ
れ、鍔部１７後端の段部１９と継ぎ手３の内段部２２と
の間にスプリング２３が附勢されると共に、コマ１５の
前方の軸部がチップ５の内孔部に嵌挿されて、テーパー
部１７ａが受け座１３の周接リブ１４に密接されてイン
クの流入が阻止されると共に、前記細径部１８の先端が
先端ボール５ａの後端に当接して、先端ボール５ａがチ
ップ５先端の抱持部の内縁に密接する。

【０００９】又、継ぎ手３の前記係止筒部７の後端には
鍔部２６が設けられ、鍔部２６の後方には嵌合筒部１２
が延設されている。嵌合筒部１２の外周には筒状のイン
ク収容管４がその先端を鍔部２６の後端に当接して圧入
固着されている。又、インク収容管４内には静的には高
い粘性を有し、筆記時の先端ボール５ａの回転で粘性が
低下してインクが流出可能となる剪断減粘性を有したイ
ンク２４が充填され、必要によりインク２４の後端にイ
ンクの消耗と共にインク面に接触して追随して移動可能
なグリース状のフォロアが充填される。（図示せず）

【００１０】以上のように、継ぎ手３にチップ５とイン
クを充填したインク収容管４を固着して構成されたボー
ルペンのリフィールを軸筒１に挿入して、軸部６の前面
に継ぎ手３の鍔部２６の後端縁を衝合させて、内面部に
段部９を設けた口金２を、その段部９を継ぎ手３の前記
リブ８の周面に衝合せしめた状態で軸筒１の軸部６に螺
着させている。

【００１１】

【作用】先ず、図１はチップ５を下向きにした筆記前の
状態を示しており、その時コマ１５は先端の細径部１８
が先端ボール５ａの後端に当接した状態となり、且つ鍔
部１７のテーパー部１７ａが受け座１３の周接リブ１４
に密接している。尚、この状態では、細径部１８で先端
ボール５ａが抱持部の内縁に押圧状に密接されるので直
流が防止される。又、テーパー部１７ａが周接リブ１４
に密接しているので上向きでインクの逆流が防止され
る。又、上向き筆記に際しては、インクの後端に設けた
グリース状のフォロア（図示せず）とコマ１５の共同作
用でインクの逆流が防止される。

【００１２】又、図２は筆記状態を示しており、筆圧に
より先端ボール５ａが微小に後退するので隙間を生じて
インクが流出する。又、その時、コマ１５が先端ボール
５ａと連動して後退するので前記テーパー部１７ａと周
接リブ１４との密接状態が解除され、その隙間を通じて
インクがインク誘導溝１６を通過して先端ボール５ａの
後端まで誘導される。又、筆記により先端ボール５ａの
回転で粘性が低下してインクが多量に流出され、ボテが
無く、濃度の高い筆記が可能となる。

【００１３】又、実施例のボールペンのリフィールは軸
筒１に搭載された際に、継ぎ手３の鍔部２０が軸部６の
前端に衝合した状態で口金２が螺着され、その時、係止
筒部７のリブ８が口金２の段部９に食いつき状に衝合す
るので、チップ５と口金２との間でガタ止めされる。

【００１４】

【発明の効果】本発明のボールペンのリフィールの構成
及び作用は以上の如くであり、上向きや衝撃によってイ
ンクの逆流が防止可能となり、又、下向きに置かれた時
に直流が防止され、軸筒内や手や衣服等を汚す事故が防
止される。又、実施例のボールペンのリフィールを軸筒
に搭載した時には、チップと口金がガタ止めされるので
筆感が良いという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例であるボールペンのリフィール
の要部縦断面図で、チップを下向きにした状態を示して
いる。

【図２】本発明の実施例であるボールペンの要部縦断面
図で、筆記中の状態を示している。

【符号の説明】

１ 軸筒 ２ 口金 ３ 継ぎ手 ４ インク収容管 ５ チップ ５ａ 先端ボール ５ｂ チャネル ６ 軸部 ７ 係止筒部 ８ リブ ９ 段部 １０ チップ嵌着孔 １１ 軸部 １２ 嵌合筒部 １３ 受け座 １４ 周接リブ １５ コマ １６ インク誘導溝 １７ 鍔部 １７ａ テーパー部 １８ 細径部 １９ 段部 ２０ 軸部 ２１ スリ割り部 ２２ 内段部 ２３ スプリング ２４ インク ２５ テーパー面 ２６ 鍔部

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 継ぎ手の先端にボールペンのチップを、
   後端にインク収容管を固着して成るボールペンのリフィ
   ールに於いて、継ぎ手の軸心にチップの後端に対向する
   側でテーパー状の受け座が設けられて、略中央に上記受
   け座と密接可能とするテーパー部を備えた鍔部を有し、
   前方に延出した軸部の外周所要箇所にインク誘導溝と先
   端に細径部を有し、且つ後方に延出した軸部を夫々一体
   に有したコマが設けられ、当該コマは上記継ぎ手の後端
   から嵌挿されて鍔部の後端と継ぎ手の内段部との間にス
   プリングが附勢されると共にコマの前方の軸部がチップ
   内孔部に嵌挿され、上記テーパー部が受け座に密接され
   てインクの流入が阻止されると共に上記細径部の先端が
   先端ボールの後端に当接して、先端ボールがチップ先端
   の抱持部の内縁に密接し、先端ボールの軸方向の微小な
   推移でコマを推移して上記受け座と抱持部の密接状態が
   解除され、インクが流出可能となるように構成されたこ
   とを特徴とするボールペンのリフィール。
2. 【請求項２】 継ぎ手の受け座に円周状に膨出した周接
   リブを形成して、周接リブにコマのテーパー部を密接し
   て設けたことを特徴とする上記請求項１記載のボールペ
   ンのリフィール。
3. 【請求項３】 インク収容管に固着される嵌合筒部の後
   方外周部に所要箇所でスリ割り部を形成して、嵌合筒部
   を弾性変形により拡開してコマとスプリングが継ぎ手の
   後端から嵌挿可能となるように構成した上記請求項１記
   載のボールペンのリフィール。
4. 【請求項４】 インク収容管には静的には高い粘性を有
   し、筆記時の先端ボールの回転で粘性が低下してインク
   が流出される、所謂剪断減粘性を有したインクが充填さ
   れたことを特徴とする上記請求項１記載のボールペンの
   リフィール。