しかしながら、特許文献1に記載の例のように、表皮材の開口部にガーニッシュの挿入片部を挿入する構成では、表皮材の開口部が通孔の奥まった部分に形成されているので、表皮材の開口部にガーニッシュの挿入片部を挿入する作業がたいへん煩わしいものとなっていた。従って、ヘッドレストを組み立てる作業現場では、表皮材の通孔にガーニッシュを簡単に装着できる構成が望まれていた。
また、特許文献1に記載の例では、ガーニッシュの当接片部に対して表皮材の開口部周縁の表皮端末を位置決めすることが困難であるため、作業経験の浅い作業者によっては、ガーニッシュを表皮材の通孔に装着する際に、開口部周縁の表皮端末にしわや弛みが生じてしまうことがあった。
そして、上述のように開口部周縁の表皮端末にしわや弛みが生じた状態で発泡樹脂を表皮材の内部で発泡させると、開口部周縁の表皮端末にしわや弛みが生じた状態に仕上がってしまうことがあった。
このように、特許文献1に記載の例では、作業者によって開口部周縁の表皮端末の仕上がりにばらつきが生じやすく、ヘッドレストの外観品質を一定に保持することが困難であった。
また、特許文献2に記載のように、車両前後方向に分割されたガーニッシュをヘッドレストの通孔に車両前後方向から嵌め合わせる構成のヘッドレストが提案されているが、上記問題を解決するに至っていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、外観品質を向上させることが可能なヘッドレストを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、外観品質を一定に保持することが可能なヘッドレストを提供することにある。
また、本発明のさらに他の目的は、ヘッドレストを備えた車両用シートにおいて、ヘッドレストの外観品質を向上させることが可能な車両用シートを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ヘッドレストを備えた車両用シートにおいて、ヘッドレストの外観品質を一定に保持することが可能な車両用シートを提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、ヘッドレストの外観品質を向上させることが可能なヘッドレストの製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ヘッドレストの外観品質を一定に保持することが可能なヘッドレストの製造方法を提供することにある。
前記課題は、請求項1に記載の発明によれば、前後方向に沿って通孔を有する表皮材によってクッション材およびフレームが被覆されると共に、前記通孔に前後方向からフロントガーニッシュおよびリアガーニッシュが装着されてなる穴開きヘッドレストにおいて、前記表皮材の前記通孔を形成する表皮端末には、前記通孔の周方向に沿って開口部が形成され、前記フロントガーニッシュは、前記開口部を挟んだ一方の側の第一表皮端末を掛止可能な第一掛止部を有して構成され、前記リアガーニッシュは、前記開口部を挟んだ他方の側の第二表皮端末を掛止可能な第二掛止部を有して構成され、前記フロントガーニッシュと前記リアガーニッシュとは、前記通孔の内側で互いに接続固定されると共に前記開口部を封止するように構成されたこと、により解決される。
このように、本発明のヘッドレストは、表皮材に形成された通孔に前後方向から装着されるフロントガーニッシュおよびリアガーニッシュを備え、フロントガーニッシュは、開口部を挟んだ一方の側の第一表皮端末を掛止可能な第一掛止部を有し、リアガーニッシュは、開口部を挟んだ他方の側の第二表皮端末を掛止可能な第二掛止部を有して構成されている。そして、フロントガーニッシュとリアガーニッシュとは通孔の内側で互いに接続固定されるように構成されているので、表皮材の通孔にガーニッシュを装着するには、例えば、第一表皮端末および第二表皮端末を一旦外部に引き出した状態としてからフロントガーニッシュおよびリアガーニッシュに第一表皮端末および第二表皮端末をそれぞれ掛止させ、この状態でフロントガーニッシュおよびリアガーニッシュを互いに近づけるようにヘッドレストの中央側へ移動させて接続固定するだけで良い。
従って、従来のように、表皮材の通孔の奥まった部分で表皮材の開口部にガーニッシュの挿入片部を挿入する構成に比して、表皮材の通孔にガーニッシュを装着する作業を容易に行うことが可能である。
また、表皮材の通孔を形成する表皮端末には開口部が形成されているが、本発明では、フロントガーニッシュとリアガーニッシュを通孔の内側で互いに接続固定するだけでフロントガーニッシュおよびリアガーニッシュによって開口部を封止することが可能である。
従って、従来のように、ガーニッシュの挿入片部を表皮材の開口部に全周に渡って挿入する構成に比して、開口部を封止する作業を容易に行うことが可能である。
ここで、請求項2に記載のように、フロントガーニッシュおよびリアガーニッシュの少なくとも一方にフレームに連結可能な連結部が形成されていると、フロントガーニッシュおよびリアガーニッシュをフレームに強固に固定することが可能となる。これにより、フロントガーニッシュおよびリアガーニッシュがフレームに対して位置ずれ等を起こすことを防ぐことができるので、ヘッドレストに形崩れ等が生じることを防止することが可能となる。
また、請求項3に記載のように、第一表皮端末に第一表皮端末係合孔が形成され、第二表皮端末に第二表皮端末係合孔が形成され、第一掛止部に第一表皮端末係合孔と係合する第一係合突起が形成され、第二掛止部に第二表皮端末係合孔と係合する第二係合突起が形成されていると、第一表皮端末係合孔に第一係合突起を係合すると共に第二表皮端末係合孔に第二係合突起を係合するという非常に簡単な作業によってフロントガーニッシュおよびリアガーニッシュに第一表皮端末および第二表皮端末をそれぞれ掛止することができる。
従って、従来のように、ガーニッシュの挿入片部を表皮材の開口部に全周に渡って挿入する構成に比して、開口部を封止する作業をより簡単に行うことが可能である。
また、第一表皮端末係合孔、第二表皮端末係合孔、第一係合突起、第二係合突起は予め定められた位置に形成されているので、ガーニッシュを表皮材の通孔に装着する際に、従来のように、ガーニッシュに対して表皮端末の位置決め作業を行う必要が無く、作業に熟練を要することが無い。
従って、作業者によって開口部周縁の表皮端末の掛止処理にばらつきが生じることを防止できるので、表皮材の開口部周縁の表皮端末にしわやたるみ等が発生することを防止することが可能となる。
さらに、請求項4に記載のように、本発明のヘッドレストは、表皮材に発泡樹脂を注入するための樹脂注入口を有し、フロントガーニッシュおよびリアガーニッシュによって開口部を封止した状態で、樹脂注入口より表皮材の内部に注入した発泡樹脂を発泡させることによってクッション材を形成するものである。
このように、フロントガーニッシュおよびリアガーニッシュによって表皮材の開口部が封止された状態で、樹脂注入口より表皮材の内部に注入した発泡樹脂を発泡させることによってクッション材を形成することができるので、予め所定の形状に成形されたクッション材を表皮材の内部に挿入配置する構成に比して、表皮材の内側に配置したフレームやインナー部材等の隙間に隈なくクッション材を形成することができる。これにより、ヘッドレストを所望の形状とすることが可能となる。
そして、本発明のヘッドレストは、請求項5に記載のように、車両用シートに適用されると好適である。
また、前記課題は、請求項6に記載の発明によれば、前後方向に沿って通孔を有する表皮材によってクッション材およびフレームが被覆されると共に、前記通部に前後方向からフロントガーニッシュおよびリアガーニッシュが装着されてなる穴開きヘッドレストの製造方法であって、前記フレームを前記表皮材の内部に配置するフレーム配置工程と、前記フロントガーニッシュおよび前記リアガーニッシュに前記通孔を形成する第一表皮端末および第二表皮端末をそれぞれ掛止する表皮端末掛止工程と、前記フロントガーニッシュおよび前記リアガーニッシュを互いに近づけるようにヘッドレストの中央側へ移動させて接続固定すると共に、前記フロントガーニッシュおよび前記リアガーニッシュによって前記第一表皮端末と前記第二表皮端末との間に形成された開口部を封止するガーニッシュ装着工程と、前記表皮材の内部に発泡樹脂を注入し、該発泡樹脂を発泡させることによって前記表皮材の内部に前記クッション材を形成するクッション材形成工程と、を備えてなること、により解決される。
本発明の上記方法によれば、表皮材の通孔にガーニッシュを装着するには、例えば、第一表皮端末および第二表皮端末を一旦外部に引き出した状態としてからフロントガーニッシュおよびリアガーニッシュに第一表皮端末および第二表皮端末をそれぞれ掛止させ、この状態でフロントガーニッシュおよびリアガーニッシュを互いに近づけるようにヘッドレストの中央側へ移動させて接続固定するだけで良い。
従って、従来のように、表皮材の通孔の奥まった部分で表皮材の開口部にガーニッシュの挿入片部を挿入する方法に比して、表皮材の通孔にガーニッシュを装着する作業を容易に行うことが可能である。
また、本発明では、フロントガーニッシュとリアガーニッシュを通孔の内側で互いに接続固定するだけでフロントガーニッシュおよびリアガーニッシュによって開口部を封止することが可能である。
従って、従来のように、ガーニッシュの挿入片部を表皮材の開口部に全周に渡って挿入する方法に比して、開口部を封止する作業を容易に行うことが可能である。
さらに、本発明のヘッドレストの製造方法では、ガーニッシュ装着工程の後に、表皮材の内部に発泡樹脂を注入し、該発泡樹脂を発泡させることによって表皮材の内部にクッション材を形成している。
従って、予め所定の形状に成形されたクッション材を表皮材の内部に挿入配置する場合に比して、表皮材の内側に配置したフレームの隙間に隈なくクッション材を形成することができる。これにより、ヘッドレストを所望の形状とすることが可能となる。
ここで、請求項7に記載のように、ガーニッシュ装着工程において、フロントガーニッシュおよびリアガーニッシュの少なくとも一方をフレームに連結すると、フロントガーニッシュおよびリアガーニッシュをフレームに強固に固定することが可能となる。これにより、フロントガーニッシュおよびリアガーニッシュがフレームに対して位置ずれ等を起こすことを防ぐことができるので、ヘッドレストに形崩れ等が生じることを防止することが可能となる。
また、請求項8に記載のように、表皮端末掛止工程において、フロントガーニッシュに形成された第一係合突起を第一表皮端末に形成された第一表皮端末係合孔に係合すると共に、リアガーニッシュに形成された第二係合突起を第二表皮端末に形成された第二表皮端末係合孔に係合すると、このような非常に簡単な作業によってフロントガーニッシュおよびリアガーニッシュに第一表皮端末および第二表皮端末をそれぞれ掛止することができる。
従って、従来のように、ガーニッシュの挿入片部を表皮材の開口部に全周に渡って挿入する場合に比して、開口部を封止する作業をより簡単に行うことが可能である。
また、第一表皮端末係合孔、第二表皮端末係合孔、第一係合突起、第二係合突起は予め定められた位置に形成されているので、ガーニッシュを表皮材の通孔に装着する際に、従来のように、ガーニッシュに対して表皮端末の位置決め作業を行う必要が無く、作業に熟練を要することが無い。
従って、作業者によって開口部周縁の表皮端末の掛止処理にばらつきが生じることを防止できるので、表皮材の開口部周縁の表皮端末にしわやたるみ等が発生することを防止することが可能となる。
このように、本発明によれば、表皮材の通孔にガーニッシュを装着する作業を従来よりも容易に行うことができるので、作業者によって開口部周縁の表皮端末の仕上がりにばらつきが生じることを防止することができる。これにより、ヘッドレストの外観品質を一定に保持することが可能となる。
また、本発明によれば、表皮材の開口部周縁の表皮端末にしわやたるみ等が発生することを防止することができるので、これにより、ヘッドレストの外観品質を向上させることが可能となる。
以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
図1乃至図7は、本発明の一実施形態を示す図であり、図1はヘッドレストの構成を示す側面断面図、図2はヘッドレストの分解斜視図、図3はヘッドレストを備えた車両用シートの構成を示す図、図4は表皮材の構成を示す斜視図、図5は表皮材の内部にフレームを配置させる様子を示す説明図、図6は表皮材の通孔にガーニッシュを装着する様子を示す説明図、図7は表皮材の内部に発泡樹脂を注入する様子を示す説明図である。
はじめに、図1乃至図4を参照しながら、本発明の一実施形態に係るヘッドレスト10の構成について説明する。
本発明の一実施形態に係るヘッドレスト10は、いわゆる穴開きタイプのものであって、例えば、乗用自動車等の車両に設けられた車両用シート1のヘッドレストとして好適に用いられるものである。本例のヘッドレスト10は、フレーム20と、ガーニッシュ30と、クッション材50と、表皮材60を有して構成されている。
フレーム20には、図2に示すように、略水平方向に沿って延出する水平杆部21が形成されており、この水平杆部21の両端部には、斜め下方へ傾斜する傾斜杆部22,22が一体に形成されている。
右側の傾斜杆部22と左側の傾斜杆部22とは、上下方向に並んで水平方向に沿って延出する一対の連結杆部23,24によって連結されており、傾斜杆部22,22の端部には、垂直方向に沿って延出する垂直杆部25,25がそれぞれ一体に形成されている。
垂直杆部25,25の延出端部は、図3に示すように、車両用シート1のシートバック2の上端部に設けられた不図示の取付部に固定される。これにより、本例のヘッドレスト10は、車両用シート1のシートバック2の上部に固定される。
ガーニッシュ30は、図1に示すように、表皮材60に形成された通孔66に装着されて表皮材60の開口部67を封止するものである。本例のガーニッシュ30は、図2に示すように、フロントガーニッシュ31およびリアガーニッシュ41を有する分割構造となっている。
フロントガーニッシュ31は、表皮材60に形成された通孔66の形状に沿って構成されており、その内側に前後方向に貫通する孔部32を有して構成されている。
フロントガーニッシュ31のリアガーニッシュ41側には、複数(例えば、8箇所)の係合爪33aを有する凸状の第一接続部33が形成されている。この第一接続部33は、後述するリアガーニッシュ41の第二接続部43に挿入接続され、係合爪33aは、第二接続部43の係合孔43aに係合される。
フロントガーニッシュ31の外周面には、前後方向に延びる突条体からなるリブ34が複数(例えば、8箇所)形成されている。このリブ34の先端部は、リアガーニッシュ41側へそれぞれ突出している。
この構成により、フロントガーニッシュ31をリアガーニッシュ41に接続固定した状態では、複数のリブ34の先端部がリアガーニッシュ41のフロントガーニッシュ31側の部分を挟持するようになっている(図6参照)。
リブ34上には、フロントガーニッシュ31の外周面と略垂直な方向へ突出する第一掛止部としての第一係合突起35が形成されている(例えば、8箇所)。この第一係合突起35は、図1に示すように、表皮材60に形成された第一表皮端末係合孔64aに係合される。
フロントガーニッシュ31のリアガーニッシュ41と反対側には、フロントガーニッシュ31の外周面に対して外側へ延出する第一壁部38が形成されている。
この第一壁部38は、表皮材60の第一表皮端末64を径方向外側へ押し広げると共に、通孔66の内部に位置する第一表皮端末64の端末処理部分が外部から視認できないように覆い隠すためのものである。
リアガーニッシュ41は、フロントガーニッシュ31と略対称形状に構成されており、その内側に前後方向に貫通する孔部42を有して構成されている。
リアガーニッシュ41のフロントガーニッシュ31側には、図2に示すように、係合爪33aと整合する位置に係合孔43aを有する凹状の第二接続部43が形成されている。
本例では、第一接続部33が第二接続部43に挿入接続された状態で係合爪33aが係合孔43aに係合されることによって、フロントガーニッシュ31とリアガーニッシュ41とが一体に固定されるようになっている。
リアガーニッシュ41の外周面には、この外周面と略垂直な方向へ突出する第二掛止部としての第二係合突起45が複数(例えば、8箇所)形成されている。この第二係合突起45は、図1に示すように、表皮材60に形成された第二表皮端末係合孔65aに係合される。
リアガーニッシュ41の上面部には、この上面部と略垂直な方向に延出する第一係合部46が形成されており、リアガーニッシュ41の下面部には、この下面部と垂直な方向に延出する第二係合部47が形成されている。
この第一係合部46および第二係合部47(本発明に係る連結部に相当する)は、リアガーニッシュ41をフレーム20に連結するためのものであり、フレーム20に設けられた連結杆部23,24と係合可能に構成されている。
リアガーニッシュ41のフロントガーニッシュ31と反対側には、リアガーニッシュ41の外周面と略垂直な方向に延出する第二壁部48が形成されている。
この第二壁部48は、図1に示すように、表皮材60の第二表皮端末65を径方向外側へ押し広げると共に、通孔66の内部に位置する第二表皮端末65の端末処理部分が外部から視認できないように覆い隠すためのものである。
クッション材50は、例えば、ウレタン等の発泡樹脂体により構成されている。本例のクッション材50は、フレーム20の上部を包囲すると共に、表皮材60により被覆される。なお、クッション材50は、後述するように、金型装置90を用いた発泡成形により形成される。
表皮材60は、クッション材50を被覆するためのものであり、図4に示すように、所定の立体的形状を有する概略袋状に形成されている。本例の表皮材60は、例えば、本革、合成皮革、ファブリック等により構成されている。
図1,図4に示すように、表皮材60の底面表皮61には、フレーム20の垂直杆部25を挿通するためのピラー孔61aと、表皮材60の内側に発泡樹脂の原液を注入するための樹脂注入口61bが形成されている。
正面表皮62には、孔部62aが形成されており、背面表皮63には、孔部63aが形成されている。正面表皮62の孔部62aが形成された周縁部には、縫合糸62bによって第一表皮端末64が縫合されており、背面表皮63の孔部63aが形成された周縁部には、縫合糸63bによって第二表皮端末65が縫合されている。
本例では、第一表皮端末64が正面表皮62の孔部62aの周縁部に沿って縫合されることによって筒状に形成され、また、第二表皮端末65が背面表皮63の孔部63aの周縁部に沿って縫合されることによって筒状に形成されている。
そして、このように第一表皮端末64および第二表皮端末65がそれぞれ筒状に構成されることにより、表皮材60に前後方向に沿って通孔66が形成されている。
ここで、本例では、筒状に構成された第一表皮端末64と同じく筒状に構成された第二表皮端末65とは、互いに離間されるように構成されている。
この構成により、第一表皮端末64と第二表皮端末65との間には、通孔66の周方向に沿って環状の開口部67が形成されている。この開口部67は、フレーム20を表皮材60の内部に挿入可能な程度の大きさに構成されている。
また、第一表皮端末64には、第一表皮端末係合孔64aが複数(例えば、8箇所)形成されている。同様に、第二表皮端末65には、第二表皮端末係合孔65aが複数(例えば、8箇所)形成されている。
この第一表皮端末係合孔64aは、フロントガーニッシュ31に設けられた第一係合突起35とそれぞれ対応する位置に形成されており、第二表皮端末係合孔65aは、リアガーニッシュ41に設けられた第二係合突起45とそれぞれ対応する位置に形成されている。
次に、上記構成からなるヘッドレスト10の製造方法について説明する。
まず、図5に示すように、表皮材60の底面表皮61に形成されたピラー孔61aにフレーム20の垂直杆部25をそれぞれ挿通する。続いて、表皮材60の開口部67からフレーム20の上部を挿入することによって、フレーム20の上部に表皮材60を被覆する。
そして、上述のように、フレーム20の上部に表皮材60を被覆した状態で、図6に示すように、第一表皮端末64を裏返して正面表皮62の外側へ引き出す。同様に、第二表皮端末65を裏返して背面表皮63の外側へ引き出す。
続いて、上述のようにして第一表皮端末64および第二表皮端末65をそれぞれ裏返すようにして外側へ引き出した状態で、第一表皮端末64および第二表皮端末65にフロントガーニッシュ31およびリアガーニッシュ41を組み付ける。
このとき、筒状の第一表皮端末64の内側にフロントガーニッシュ31を挿入配置し、第一表皮端末64の裏面64b側からフロントガーニッシュ31の第一係合突起35を第一表皮端末64の第一表皮端末係合孔64aに順次挿入して係合する。これによって、フロントガーニッシュ31に第一表皮端末64が掛止される。
同様に、筒状の第二表皮端末65の内側にリアガーニッシュ41を挿入配置し、第二表皮端末65の裏面65b側からリアガーニッシュ41の第二係合突起45を第二表皮端末65の第二表皮端末係合孔65aに順次挿入して係合する。これによって、リアガーニッシュ41に第二表皮端末65が掛止される。
このように、本例では、第一係合突起35および第二係合突起45を第一表皮端末係合孔64aおよび第二表皮端末係合孔65aにそれぞれ係合するという非常に簡単な作業によってフロントガーニッシュ31およびリアガーニッシュ41に第一表皮端末64および第二表皮端末65をそれぞれ掛止することができる。
続いて、上述のようにしてフロントガーニッシュ31に第一表皮端末64を掛止すると共に、リアガーニッシュ41に第二表皮端末65を掛止した状態で、フロントガーニッシュ31およびリアガーニッシュ41を互いに近づけるようにヘッドレスト10の中央側へスライドさせる。
これにより、裏返しになっていた第一表皮端末64および第二表皮端末65が徐々に表となるように表皮材60の内側へ押し込まれる。
そして、フロントガーニッシュ31の第一接続部33をリアガーニッシュ41の第二接続部43に挿入接続し、続いて、第一接続部33に形成された係合爪33aを第二固定部
32に形成された係合孔43aに係合する。
また、上述のようにしてフロントガーニッシュ31をリアガーニッシュ41に接続固定すると、リブ34の先端部がリアガーニッシュ41のフロントガーニッシュ31側の部分を挟持する。これによって、図6の一点鎖線に示すように、フロントガーニッシュ31とリアガーニッシュ41とが強固に固定される。
さらに、上述のように、リアガーニッシュ41をヘッドレスト10の中央側へスライドさせることによって、リアガーニッシュ41に形成された第一係合部46および第二係合部47をフレーム20の連結杆部23,24に係合する。
これにより、フレーム20にガーニッシュ30が強固に連結固定される。また、第一表皮端末64および第二表皮端末65がヘッドレスト10の中央側へ引き寄せられた状態となる(図1参照)。
そして、第一表皮端末64および第二表皮端末65によって形成された通孔66と、フロントガーニッシュ31の孔部32と、リアガーニッシュ41の孔部42とによってヘッドレスト10に車両前後方向に貫通する通孔Hが構成される(図1,図3参照)。さらに、ガーニッシュ30の環状の本体部によって開口部67が封止される。
このように、本例では、表皮材60の通孔66にガーニッシュ30を装着するには、第一表皮端末64および第二表皮端末65を一旦外部に引き出した状態としてから第一表皮端末係合孔64aおよび第二表皮端末係合孔65aに第一係合突起35および第二係合突起45をそれぞれ係合させ、この状態でフロントガーニッシュ31およびリアガーニッシュ41を互いに近づけるようにヘッドレスト10の中央側へスライドさせて互いに接続固定するだけで良い。
従って、従来のように、表皮材の通孔の奥まった部分で表皮材の開口部にガーニッシュの挿入片部を挿入する場合に比して、表皮材60の通孔66にガーニッシュ30を装着する作業を容易に行うことが可能である。
また、表皮材60の通孔66を形成する表皮端末には開口部67が形成されているが、本例では、フロントガーニッシュ31とリアガーニッシュ41を通孔66の内側で互いに接続固定するだけでフロントガーニッシュ31およびリアガーニッシュ41によって開口部67を封止することが可能である。
従って、従来のように、ガーニッシュの挿入片部を表皮材の開口部に全周に渡って挿入する構成に比して、開口部67を封止する作業を容易に行うことが可能である。
さらに、本例では、第一表皮端末係合孔64a、第二表皮端末係合孔65a、第一係合突起35、第二係合突起45は予め定められた位置に形成されているので、ガーニッシュ30を表皮材60の通孔66に装着する際に、ガーニッシュ30に対して第一表皮端末64および第二表皮端末65の位置決め作業を行う必要が無く、作業に熟練を要することが無い。
従って、作業者によって第一表皮端末64および第二表皮端末65の掛止処理部分にばらつきが生じることを防止できるので、表皮材60の開口部周縁の表皮端末にしわやたるみ等が発生することを防止することが可能である。
さらに、本例では、リアガーニッシュ41をフレーム20に連結するので、フロントガーニッシュ31およびリアガーニッシュ41をフレーム20に強固に固定することができる。
従って、フロントガーニッシュ31およびリアガーニッシュ41がフレーム20に対して位置ずれ等を起こすことを防ぐことができるので、ヘッドレスト10に形崩れ等が生じることを防止することが可能である。
また、上述のように表皮材60の通孔66にフロントガーニッシュ31およびリアガーニッシュ41を装着した状態では、フロントガーニッシュ31の第一壁部38およびリアガーニッシュ41の第二壁部48によって、表皮材60の第一表皮端末64および第二表皮端末65の端末処理部分が外部から視認できないように覆い隠される。従って、ヘッドレスト10の通孔Hの外観を向上させることができる。
そして、上述のようにして、フレーム20に表皮材60を被覆すると共に表皮材60の通孔66にガーニッシュ30を装着した状態で、図7に示すように、ヘッドレスト10の本体部11を金型装置90の型部(不図示)にセットする。なお、金型装置90の型部(不図示)は、ヘッドレスト10の本体部11を所定形状に成形することができるように形成されている。
そして、樹脂注入口61bに樹脂注入ノズル91を挿入し、樹脂注入ノズル91からウレタン等の発泡樹脂の原液を表皮材60の内部に所定量注入する。
続いて、表皮材60の内部に注入した発泡樹脂の原液を樹脂発泡させてクッション材50を形成する。これにより、フレーム20、ガーニッシュ30、クッション材50、表皮材60が一体に形成され、ヘッドレスト10が形成される(図1参照)。
そして、上述のようにして、フレーム20、ガーニッシュ30、クッション材50、表皮材60を一体に形成した後、金型装置90の型開きを行い、金型装置90からヘッドレスト10を取り出す。このようにして、本実施形態に係るヘッドレスト10の製造を完了する。
このように、本例では、ヘッドレスト10にガーニッシュ30を装着して開口部67を封止した後に、表皮材60の内部に発泡樹脂を注入し、該発泡樹脂を発泡させることによって表皮材60の内部にクッション材50を形成している。
従って、予め所定の形状に成形されたクッション材を表皮材の内部に挿入配置する場合に比して、表皮材60の内側に配置したフレーム20の隙間に隈なくクッション材50を形成することができる。従って、ヘッドレスト10を所望の形状とすることが可能である。
以上詳述したように、本実施形態によれば、第一表皮端末64および第二表皮端末65を一旦外部に引き出した状態としてからフロントガーニッシュ31およびリアガーニッシュ41に第一表皮端末64および第二表皮端末65をそれぞれ掛止させ、この状態でフロントガーニッシュ31およびリアガーニッシュ41を互いに近づけるようにヘッドレスト10の中央側へ移動させて接続固定するだけで表皮材60の通孔66にガーニッシュ30を装着することができる。
従って、従来に比して、表皮材60の通孔66にガーニッシュ30を装着する作業を容易に行うことが可能である。
また、表皮材60の通孔66を形成する表皮端末には開口部67が形成されているが、本例では、フロントガーニッシュ31とリアガーニッシュ41を通孔66の内側で互いに接続固定するだけでフロントガーニッシュ31およびリアガーニッシュ41によって開口部67を封止することが可能である。
従って、従来のように、ガーニッシュの挿入片部を表皮材の開口部に全周に渡って挿入する構成に比して、開口部67を封止する作業を容易に行うことが可能である。これにより、作業者によって開口部周縁の表皮端末の仕上がりにばらつきが生じることを防止することができるので、ヘッドレスト10の外観品質を一定に保持することが可能となる。
また、本実施形態によれば、作業者によって第一表皮端末64および第二表皮端末65の掛止処理部分にばらつきが生じることを防止できるので、表皮材60の開口部周縁部分にしわやたるみ等が発生することを防止することができる。これにより、ヘッドレスト10の外観品質を向上させることが可能となる。
なお、上記実施形態では、フロントガーニッシュ31およびリアガーニッシュ41の双方によって表皮材60の開口部67を封止したが、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、フロントガーニッシュ31又はリアガーニッシュ41のいずれかによって開口部67が封止される構成であっても良い。
また、上記実施形態では、リアガーニッシュ41が第一係合部46および第二係合部47によってフレーム20に連結される構成であったが本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、フロントガーニッシュ31がフレーム20に連結される構成であっても良く、また、フロントガーニッシュ31およびリアガーニッシュ41の双方がフレーム20に連結される構成であっても良い。
また、上記実施形態では、第一表皮端末係合孔64aに第一係合突起35を係合することによってフロントガーニッシュ31に第一表皮端末64が掛止され、同様に、第二表皮端末係合孔65aに第二係合突起45を係合することによってリアガーニッシュ41に第二表皮端末65が掛止される構成であったが本発明はこれに限定されるものではない。
その他にも、例えば、面状ファスナ等を用いてフロントガーニッシュ31およびリアガーニッシュ41に第一表皮端末64および第二表皮端末65がそれぞれ掛止される構成であっても良い。すなわち、本発明に係る第一掛止部および第二掛止部は係合突起を有する構成に限られるものではない。
また、第一表皮端末64および第二表皮端末65に係合突起がそれぞれ形成され、フロントガーニッシュ31およびリアガーニッシュ41に係合孔がそれぞれ形成され、これらを係合することによって、フロントガーニッシュ31およびリアガーニッシュ41に第一表皮端末64および第二表皮端末65がそれぞれ掛止される構成であっても良い。