JP5733508B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
シートバックがシートクッションに対して前倒し可能に構成され、
前記シートバックを起立姿勢にロック及びロック解除するロック機構が前記シートバックの上端部に設けられ、
前記シートバックのシート幅方向外側の上面から前記ロック機構の操作ノブが突出し、
前記シートバックの後方の車体に設けられたシートベルト取出し口とシート側方の下側の固定部とにシートベルト装置のウェビングが張り渡され、
前記ウェビングが前記シートバックのシート幅方向外側の上面に接する車両用シートに関する。
そこで、従来、特許文献1に開示されているように、シートバックの上端部にシートベルトを挿通させるベルトガイドを設けてあった(以下、「第1の技術」と称する)。このベルトガイドは、ウェビングが挿通するリング部を操作ノブの上端部に一体に設けて構成されていた(特許文献1の第2図参照)。
また、前記特許文献1には、シートバックの上面の表皮材との間にウェビングを挿通させるフィニッシャーをシートバックの上端部に設けて前記ベルトガイドを構成した技術(以下、「第2の技術」と称する)も開示されている(特許文献1の第3図参照)。
この第2の技術において、前記フィニッシャーは操作ノブ挿通口を備え、シート幅方向に長い帯状に形成されてシートバックの上面の表皮材に重ね合わされ、ウェビングよりもシート幅方向外側のフィニッシャーの外側端部と、ウェビングよりもシート幅方向内側の操作ノブ挿通口周りのフィニッシャーの内側端部とがシートバックの表皮材に固定されていた。
また、第2の技術では、ウェビングよりもシート幅方向外側のフィニッシャーの端部がシートバックの上面に固定されていたために、フィニッシャーがシート幅方向外側に長くなり、フィニッシャーが大型化していた。
さらに、ウェビングよりもシート幅方向外側のフィニッシャーの外側端部と、ウェビングよりもシート幅方向内側の操作ノブ挿通口周りのフィニッシャーの内側端部とがシートバックの上面に固定されて、フィニッシャーと表皮材の間にウェビングが挿通されていたために、ウェビングからの引っ張り力がフィニッシャーを介して操作ノブ挿通口周りの表皮材に加わり、表皮材が変形したり破損したりしやすかった。
例えば、車体側にフックを設け、シートバックを前倒しする時は乗員がウェビングをフックに引っ掛けて保持させる手段もあるが、この手段では、乗員によるウェビングの移動操作が必要であり、乗員に負担がかかる。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、シートバックを前倒し姿勢から起立姿勢に戻した時に、シートベルト装置のウェビングがシートバックと車体との間に挟み込まれることを回避でき、乗員の意に反するシートバックのロック機構の解除を防止でき、構造を小型化でき、シートバックの上端部の表皮材の変形や破損を防止でき、乗員にかかる負担を軽減できる車両用シートを提供する点にある。
シートバックがシートクッションに対して前倒し可能に構成され、
前記シートバックを起立姿勢にロック及びロック解除するロック機構が前記シートバックの上端部に設けられ、
前記シートバックのシート幅方向外側の上面から前記ロック機構の操作ノブが突出し、
前記シートバックの後方の車体に設けられたシートベルト取出し口とシート側方の下側の固定部とにシートベルト装置のウェビングが張り渡され、
前記ウェビングが前記シートバックのシート幅方向外側の上面に接する車両用シートであって、
操作ノブ挿通口を備えたベゼルが前記シートバックのシート幅方向外側の上面に重ね合わされ、
前記ベゼルは、前記シートバックの表皮材を上下に挟み込むベゼルアッパとベゼルロアとから成り、
前記ベゼルアッパとベゼルロアはシート幅方向外側に延出され、
前記ベゼルアッパの延出端部から上方に延びる立ち上がり部と、前記立ち上がり部の上端部からシート幅方向内側に延びる折り返し部とを備えたフックが前記ベゼルアッパに形成され、
前記折り返し部の先端の下方に位置する前記ベゼルアッパの延出端部の裏面に、前記表皮材に形成された第1貫通孔に挿通する第1係合凸部が突設され、
前記第1係合凸部が係合する第1被係合部が前記ベゼルロアの延出端部に形成され、
前記第1係合凸部は、断面においてシート幅方向に長いリング状に形成されている点にある。(請求項1)
そして、ウェビングがシートバックの上端部からシート幅方向外側に外れようとした場合、前記フックでウェビングを受け止めることができる。従って、ウェビングがシートバックの上端部から車室外側に外れることを防止でき、シートバックを起立姿勢に戻した時に、ウェビングがシートバックと車体との間に挟み込まれることを防止することができる。
前記ベゼルアッパの第1係合凸部は、シートベルト装置のウェビングからの引っ張り力が大きく加わるベゼルアッパ部分、すなわち、フックの折り返し部の先端の下方に位置するベゼルアッパの延出端部の裏面に突設されて、ベゼルロアの第1被係合部に係合しているから、ベゼルアッパで前記引っ張り力に十分抗することができ、ベゼルアッパの耐久性を向上させることができる。
その結果、ウェビングをベゼルで安定して支持することができ、第1係合凸部及び第1被係合部付近のベゼルアッパとベゼルロアの変形を防止することができるとともに、第1係合凸部及び第1被係合部付近の表皮材の変形や破損を防止することができる。
また、シート幅方向外側に位置するベゼルアッパの延出端部側のフックでウェビングを受け止めており、前記フックは、ベゼルアッパ及びベゼルロアの操作ノブ挿通口付近の表皮材からはシート幅方向外側に離れているから、ベゼルアッパ及びベゼルロアの操作ノブ挿通口付近の表皮材に加わるウェビングからの引っ張り力を小さくすることができ、前記操作ノブ挿通口付近の表皮材の変形や破損も防止することができる。
しかも、前記第1係合凸部がウェビングよりもシート幅方向外側に位置する構造に比べると、ベゼルアッパとベゼルロアがシート幅方向外側に長くなることを回避することができ、ベゼルアッパ及びベゼルロアを小型化することができる。
また、ウェビングに操作ノブが引っ張られることがないから、乗員の意に反するシートバックのロック機構の解除を防止できる。
さらに、ウェビングを車体側のフックに引っ掛ける等の乗員によるウェビングの移動操作を不要にすることができ、乗員の負担を軽減することができる。
また、第1係合凸部をシート幅方向に長く設定することができ、より広い範囲でベゼルをシートバックの上端部に固着することができて、第1係合凸部と第1被係合部の係合構造の剛性・強度を向上させることができる。また、前記係合構造が、シート幅方向に加わる力に対して強い構造になり、シート幅方向でのベゼルの変形を抑制しやすくすることができる。(請求項1)
前記第1係合凸部のシート幅方向の中心と、前記フックの折り返し部の先端とがシート幅方向で略同一位置に位置していると、次の作用を奏することができる。(請求項2)
前記操作ノブ挿通口はシート幅方向に長い長孔状に形成され、
前記ベゼルアッパの操作ノブ挿通口の周縁部の裏面に、前記表皮材に形成された第2貫通孔に挿通される第2係合凸部が突設され、
前記第2係合凸部が係合する第2被係合部が前記ベゼルロアの操作ノブ挿通口の周縁部に形成されていると、次の作用を奏することができる。(請求項3)
つまり、ベゼルロアの延出端部に形成された第1被係合部に、ベゼルアッパの延出端部の裏面に突設された第1係合凸部が係合するのに加え、ベゼルロアの操作ノブ挿通口の周縁部に形成された第2被係合部に、ベゼルアッパの操作ノブ挿通口の周縁部の裏面に突設された第2係合凸部が係合して、ベゼルアッパとベゼルロアとでシートバックの表皮材を上下に挟み込む。これにより、ベゼルを表皮材に、より強固に固定することができる。
また、前記第2被係合部はシート幅方向に長いベゼルロアの操作ノブ挿通口の周縁部に形成されているから、第2被係合部をシート幅方向に長く設定することができ、より広い範囲でベゼルをシートバックの上端部に固着することができる。
その結果、第2係合凸部と第2被係合部の係合構造の剛性・強度を向上させることができる。そして、前記係合構造が、シート幅方向に加わる力に対して強い構造になり、シート幅方向でのベゼルの変形を抑制しやすくすることができる。(請求項3)
前記第1被係合部は、前記ベゼルロアに形成された長孔と、前記長孔の周縁部に立設された縦壁と、この縦壁に形成され、前記第1係合凸部の係合突起が係合する被係合突起とを備え、
前記第2被係合部は、前記ベゼルロアのベルト挿入口の周縁部に立設された縦壁と、前記縦壁に形成され、前記第2係合凸部の係合突起が係合する被係合突起とを備えていると、次の作用を奏することができる。(請求項4)
そして、第1係合凸部の係合突起が、第1被係合部の縦壁に形成された被係合突起に係合し、第2係合凸部の係合突起が、第2被係合部の縦壁に形成された被係合突起に係合する。これにより、ベゼルアッパとベゼルロアを強固に連結することができ、ベゼルアッパとベゼルロアとでシートバックの表皮材を上下に確実に挟み込むことができる。(請求項4)
前記ベゼルロアの第1被係合部の縦壁と前記第2被係合部の縦壁とを接続する第1補強リブが前記ベゼルロアの上面に形成されていると、次の作用を奏することができる。(請求項5)
前記ベゼルロアの周部に上方に張り出すフランジが形成され、
前記第1被係合部よりもシート幅方向外側に位置する前記ベゼルロアの周部のフランジと前記第1被係合部の縦壁とを接続する第2補強リブが前記ベゼルロアの上面に形成され、
前記第2被係合部よりもシート幅方向内側に位置する前記ベゼルロアの周部のフランジと前記第2被係合部の縦壁とを接続する第3補強リブが前記ベゼルロアの上面に形成されていると、次の作用を奏することができる。(請求項6)
また、前記第1被係合部よりもシート幅方向外側に位置する前記ベゼルロアの周部のフランジと前記第1被係合部の縦壁とを接続する第2補強リブが前記ベゼルロアの上面に形成され、前記第2被係合部よりもシート幅方向内側に位置する前記ベゼルロアの周部のフランジと前記第2被係合部の縦壁とを接続する第3補強リブが前記ベゼルロアの上面に形成されているから、シート幅方向に沿ったベゼルの曲げ(シート前後方向に沿う軸芯周りのベゼルの曲げ)に対するベゼルの剛性をより向上させることができる。その結果、ベゼルアッパとベゼルロアをシート幅方向外側に延出したことに起因するベゼルアッパとベゼルロアの剛性の低下をより確実に抑制することができる。(請求項6)
前記ベゼルアッパの上面は、シート前後方向の中心側ほど上方に位置する断面山形の傾斜面に形成され、
前記ベゼルアッパの上面のシート前後方向の中心にパーティションラインが位置するように前記ベゼルアッパが成形型で成形されていると、次の作用を奏することができる。(請求項7)
これに対して、本発明の上記構成によれば、前記ベゼルアッパの上面は、シート前後方向の中心側ほど上方に位置する断面山形の傾斜面に形成され、前記ベゼルアッパの上面のシート前後方向の中心にパーティションラインが位置するように前記ベゼルアッパが成形型で成形されているから、ベゼルアッパを成形する場合、シート前後方向に成形型を抜くことができ、スライド型を用いることなくベゼルアッパのフックを成形することができる。
また、ベゼルアッパの意匠面である上面の全体にシボをつけることができ、ウェビングがシートバックの上端部から車室外側に外れることを防止するベゼルアッパの機能を損なうことなくベゼルアッパの外観を向上させることができる。(請求項7)
前記ベゼルアッパの周部及び前記ベゼルロアの周部よりも内側の表皮材収容空間の高さ寸法はシート前後方向中央側ほど長く設定されていると、次の作用を奏することができる。(請求項8)
前記操作ノブは可撓性を備えたバンド部材で形成され、
前記操作ノブと前記フックの立ち上がり部との間に前記ウェビングが位置すると、次の作用を奏することができる。(請求項9)
これにより、シートバックをシートクッション側に前倒しした時に、ウェビングがシート幅方向に移動することを阻止することができるとともに、シートバックの上端部から車室外側に外れることをより確実に防止することができ、シートバックを起立姿勢に戻した時に、ウェビングがシートバックと車体との間に挟み込まれることをより確実に防止することができる。
また、操作ノブは可撓性を備えているので、ウェビングがリトラクタから引き出された時に操作ノブと接触してもウェビングが損傷しにくくなる。(請求項9)
シートバックを前倒し姿勢から起立姿勢に戻した時に、シートベルト装置のウェビングがシートバックと車体との間に挟み込まれることを回避でき、乗員の意に反するシートバックのロック機構の解除を防止でき、構造を小型化でき、シートバックの上端部の表皮材の変形や破損を防止でき、乗員にかかる負担を軽減できる車両用シートを提供することができた。
図1に示すように、自動車の車体1にリアドアのドア開口1Kが形成され、ドア開口1Kの車室内側のフロアにリアシート3(車両用シートに相当)が支持されている。リアシート3は、乗員の臀部及び大腿部を支持するシートクッション4と、乗員の上半身を支持するシートバック5とから成り、シートバック5がシートクッション4側に前倒し可能に構成されている。シートバック5を前倒しすることで後部荷室が車両前方側Frに拡大する。
図3に示すように、操作ノブ挿通口20Kを備えた樹脂製のベゼル20がシートバック5のシート幅方向外側W2の上面10に重ね合わされている。このベゼル20は、シートバック5の表皮材6を上下に挟み込むベゼルアッパ30とベゼルロア40とから成る(図2〜図5参照)。前記操作ノブ挿通口20Kもシート幅方向(車幅方向)に長く形成されている。
図2(a)〜図2(d),図3に示すように、ベゼルアッパ30の延出端部31から上方に延びる立ち上がり部32と、立ち上がり部32の上端部からシート幅方向内側W1に延びる舌片状の折り返し部33とを備えたフック34がベゼルアッパ30に形成されている。図4,図5にも示すように、ベゼルアッパ30のシート幅方向内側W1の端部30Aとベゼルロア40のシート幅方向内側W1の端部40Aとは舌片状に形成され、シート幅方向内側W1の端縁30A1,40A1が円弧状に形成されている。
第1係合凸部35は、断面においてシート幅方向に長いリング状に形成されており、シート幅方向に長い(ベゼルアッパ30の長手方向に長い)断面長円形の筒状の縦壁35Tと、この縦壁35Tの頂部に形成された係合突起35Kとを備えている。この係合突起35Kは縦壁35Tの全周にわたって形成され、縦壁35Tの径方向外方側に突出している。縦壁35T及び係合突起35Kには周方向に間隔を空けて位置する複数のスリット35Sが形成されている。これにより、縦壁35T及び係合突起35Kを弾性変形しやすくすることができ、第1係合凸部35をベゼルロア40の後述の第1被係合部45に係合しやすくすることができる。
また、前記第1係合凸部35のシート幅方向の中心35Cと、フック34の折り返し部33の先端33Aとがシート幅方向で略同一位置に位置している(図2(c),図2(d)参照)。
ベゼルアッパ30の操作ノブ挿通口20Kの周縁部の裏面に、表皮材6に形成された第2貫通孔6H2に挿通される第2係合凸部36が突設されている。第2係合凸部36は、シート幅方向に長い(ベゼルアッパ30の長手方向に長い)断面長円形の筒状の縦壁36Tと、この縦壁36Tの頂部に形成された係合突起36Kとを備えている。この係合突起36Kは縦壁36Tの全周にわたって形成され、縦壁36Tの径方向外方側に突出している。縦壁36T及び係合突起36Kには周方向に間隔を空けて位置する複数のスリット36Sが形成されている。これにより、縦壁36T及び係合突起36Kを弾性変形しやすくすることができ、第2係合凸部36をベゼルロア40の後述の第2被係合部46に係合しやすくすることができる。
図4に示すように、ベゼルアッパ30の上面30Mは、ベゼルアッパ30の幅方向中心側(シート前後方向の中心側)ほど上方に位置する断面山形の傾斜面に形成され、ベゼルアッパ30の上面30Mのシート前後方向の中心にパーティションラインPL(図2(c)参照)が位置するようにベゼルアッパ30が成形型で成形されている。
図4〜図6に示すように、ベゼルロア40の全周部に上方に張り出すフランジ40Fが形成されている。そして、ベゼルアッパ30の第1係合凸部35が係合する第1被係合部45がベゼルロア40の延出端部41に形成され、ベゼルアッパ30の第2係合凸部36が係合する第2被係合部46がベゼルロア40の操作ノブ挿通口20Kの周縁部に形成されている。
ベゼルロア40の第1被係合部45はシート幅方向に長い長円形の長孔状に形成されており、ベゼルロア40に形成された長孔45Hと、長孔45Tの周縁部に立設された縦壁45Tと、この縦壁45Tの頂部に形成され、第1係合凸部35の係合突起35Kが係合する被係合突起45Kとを備えている。この被係合突起45Kは縦壁45Tの全周にわたって形成され、縦壁45Tの径方向外方側に突出している。シート幅方向における前記長孔45Hの長さはベルト挿入口20Kの長さよりも短く設定されている。
図4〜図6に示すように、ベゼルロア40の第2被係合部46は、ベゼルロア40のベルト挿入口20Kの周縁部に立設された縦壁46Tと、この縦壁46Tの頂部に形成され、第2係合凸部36の係合突起36Kが係合する被係合突起46Kとを備えている。この被係合突起46Kは縦壁46Tの全周にわたって形成され、縦壁46Tの径方向内方側に突出している。
図5に示すように、ベゼルロア40の第1被係合部45の縦壁45Tと第2被係合部46の縦壁46Tとを接続するトラス状の第1補強リブ47がベゼルロア40の上面に形成されている。第1補強リブ47は、ベゼルアッパ30の幅方向で互いに間隔を空けて位置する一対の平行な直線状のリブ47Aと、一対の直線状のリブ47A間に架け渡され、互いに斜めに交差する複数の傾斜したリブ47Bとから成る。
(1) ベゼルアッパ30の延出端部31の裏面に突設された第1係合凸部35が表皮材6の第1貫通孔6H1に挿通され、ベゼルアッパ30の操作ノブ挿通口20Kの周縁部の裏面に突設された第2係合凸部36が表皮材6の第2貫通孔6H2に挿通される。そして、ベゼルロア40の延出端部41に形成された第1被係合部45に第1係合凸部35が係合し、ベゼルロア40の操作ノブ挿通口20Kの周縁部に形成された第2被係合部46に第2係合凸部36が係合して、ベゼルアッパ30とベゼルロア40とでシートバック5の表皮材6を上下に挟み込む。これにより、ベゼル20を表皮材6に、より強固に固定することができる。
また、ウェビング12がシートバック5の上端部からシート幅方向外側W2に外れようとした場合、フック34がウェビング12を受け止める。これにより、ウェビング12がシートバック5の上端部からシート幅方向外側に外れることを防止することができ、シートバック5を起立姿勢に戻した時に、ウェビング12がシートバック5と車体との間に挟み込まれることを防止することができる。
前記ベゼルアッパ30の第1係合凸部35は、シートベルト装置11のウェビング12からの引っ張り力が大きく加わるベゼルアッパ部分、すなわち、フック34の折り返し部33の先端33Aの下方に位置するベゼルアッパ30の延出端部31の裏面に突設されて、ベゼルロア40の第1被係合部45に係合するから、ベゼルアッパ30で前記引っ張り力に十分抗することができ、ベゼルアッパ30の耐久性を向上させることができる。
その結果、前記ウェビング12をベゼル20で安定して支持することができ、第1係合凸部35及び第1被係合部45付近のベゼルアッパ30とベゼルロア40の変形を防止することができるとともに、第1係合凸部35及び第1被係合部45付近の表皮材6の変形や破損を防止することができる。
また、シート幅方向外側W2に位置するベゼルアッパ30の延出端部31側のフック34でウェビング12を受け止めており、前記フック34は、ベゼルアッパ30及びベゼルロア40の操作ノブ挿通口20K付近の表皮材6からはシート幅方向外側W2に離れているから、ベゼルアッパ30及びベゼルロア40の操作ノブ挿通口20K付近の表皮材6に加わるウェビング12からの引っ張り力を小さくすることができ、前記操作ノブ挿通口20K付近の表皮材6の変形や破損も防止することができる。
しかも、前記第1係合凸部35がウェビング12よりもシート幅方向外側W2に位置する構造に比べると、ベゼルアッパ30とベゼルロア40がシート幅方向外側W2に長くなることを回避することができ、ベゼルアッパ30及びベゼルロア40を小型化することができる。
また、ウェビング12に操作ノブ7が引っ張られることがないから、乗員の意に反するシートバック5のロック機構の解除を防止できる。さらに、ウェビング12を車体側のフック(本実施形態の自動車の車体には設けてない)に引っ掛ける等の乗員によるウェビング12の移動操作を不要にすることができ、乗員の負担を軽減することができる。
さらに、前記第1被係合部45はシート幅方向に長い長孔状に形成されているから、第1被係合部45をシート幅方向に長く設定することができ、より広い範囲でベゼル20をシートバック5の上端部に固着することができて、第1係合凸部35と第1被係合部45の係合構造の剛性・強度を向上させることができる。また、前記係合構造が、シート幅方向に加わる力に対して強い構造になり、シート幅方向でのベゼル20の変形を抑制しやすくすることができる。
前記第2被係合部46はシート幅方向に長いベゼルロア40の操作ノブ挿通口20Kの周縁部に形成されているから、第2被係合部46をシート幅方向に長く設定することができ、より広い範囲でベゼル20をシートバック5の上端部に固着することができる。その結果、第2係合凸部36と第2被係合部46の係合構造の剛性・強度を向上させることができる。また、前記係合構造が、シート幅方向に加わる力に対して強い構造になり、シート幅方向でのベゼル20の変形を抑制しやすくすることができる。
また、シートベルト装置11のウェビング12からの引っ張り力が大きく加わるベゼルロア部分、すなわち、前記フック34の折り返し部33の先端33Aの下方のベゼルロア部分に第1被係合部45の長手方向の中心45Cが位置しているから、ベゼルロア40が前記引っ張り力に十分抗することができ、ベゼルロア40の強度を強くすることができて、ベゼルロア40の耐久性を向上させることができる。
そして、第1係合凸部35の係合突起35Kが、第1被係合部45の縦壁45Tに形成された被係合突起45Kに係合し、第2係合凸部46の係合突起46Kが、第2被係合部46の縦壁46Tに形成された被係合突起46Kに係合する。これにより、ベゼルアッパ30とベゼルロア40を強固に連結することができ、ベゼルアッパ30とベゼルロア40とでシートバック5の表皮材6を上下に確実に挟み込むことができる。
また、前記第1被係合部45よりもシート幅方向外側W2に位置するベゼルロア40の周部のフランジ40Fと第1被係合部45の縦壁45Tとを接続する第2補強リブ48がベゼルロア40の上面に形成され、第2被係合部46よりもシート幅方向内側W1に位置するベゼルロア40の周部のフランジ40Fと第2被係合部46の縦壁46Tとを接続する第3補強リブ49がベゼルロア40の上面に形成されているから、シート幅方向に沿ったベゼル20の曲げ(シート前後方向に沿う軸芯周りのベゼル20の曲げ)に対するベゼル20の剛性をより向上させることができる。その結果、ベゼルアッパ30とベゼルロア40をシート幅方向外側W2に延出したことに起因するベゼルアッパ30とベゼルロア40の剛性の低下をより確実に抑制することができる。
そして、前記ベゼルロア40の周部に形成された上方に張り出すフランジ40Fにより表皮材6に対する挟持圧力を強くすることができる。これにより、表皮材6をベゼルアッパ30とベゼルロア40で強固に挟み込むことができる。
これに対して、本発明の上記構成によれば、前記ベゼルアッパ30の上面30Mは、シート前後方向の中心側ほど上方に位置する断面山形の傾斜面に形成され、ベゼルアッパ30の上面30Mのシート前後方向の中心にパーティションラインPLが位置するようにベゼルアッパ30が成形型で成形されているから、ベゼルアッパ30を成形する場合、シート前後方向に成形型を抜くことができ、スライド型を用いることなくベゼルアッパ30のフック34を成形することができる。
また、ベゼルアッパ30の意匠面である上面30Mの全体にシボをつけることができ、ウェビング12がシートバック5の上端部から車室外側に外れることを防止するベゼルアッパ30の機能を損なうことなくベゼルアッパ30の外観を向上させることができる。
従って、シート前後方向中央側での表皮材6からのベゼル20に対する反力を少なくすることができる。これにより、第1係合凸部35と第1被係合部45の係合構造や第2係合凸部36と第2被係合部46の係合構造に加わる表皮材6からの反力を小さくでき、前記係合構造の負担を軽減することができる。その結果、前記係合構造の耐久性をより向上させることができる。
これにより、シートバック5をシートクッション4側に前倒しした時に、ウェビング12がシート幅方向に移動することを阻止することができるとともに、ウェビング12がシートバック5の上端部から車室外側に外れることをより確実に防止することができる。
その結果、シートバック5を起立姿勢に戻した時に、ウェビング12がシートバック5と車体との間に挟み込まれることをより確実に防止することができる。また、操作ノブ7は可撓性を備えているので、ウェビング12がクォータトリム8のスリット状のシートベルト取出し口8Kを通してリトラクタから引き出された時に操作ノブ7と接触してもウェビング12が損傷しにくくなる。
また、ウェビング12により操作ノブ7が隠れないようになっているので、操作ノブ7の操作を円滑に行うことができる。
4 シートクッション
5 シートバック
6 表皮材
6H1 第1貫通孔
6H2 第2貫通孔
7 操作ノブ
8K シートベルト取出し口
10 上面(シートバックのシート幅方向外側の上面)
11 シートベルト装置
12 ウェビング
20 ベゼル
20K 操作ノブ挿通口
30 ベゼルアッパ
30M ベゼルアッパの上面
31 ベゼルアッパの延出端部
32 立ち上がり部
33 折り返し部
33A 折り返し部の先端
34 フック
35 第1係合凸部
35C 第1係合凸部のシート幅方向の中心
36 第2係合凸部
40 ベゼルロア
40F フランジ(ベゼルロアのフランジ)
41 ベゼルロアの延出端部
45 第1被係合部
45C 第1被係合部の長手方向の中心
45H 長孔
45K 被係合突起(第1係合凸部の係合突起が係合する第1被係合部の被係合突起)
45T 長孔の周縁部に立設された縦壁(第1被係合部の縦壁)
46 第2被係合部
46K 被係合突起(第2係合凸部の係合突起が係合する第2被係合部の被係合突起)
46T ベゼルロアのベルト挿入口の周縁部に立設された縦壁(第2被係合部の縦壁)
47 第1補強リブ
48 第2補強リブ
49 第3補強リブ
PL パーティションライン
S 表皮材収容空間
W1 シート幅方向内側
W2 シート幅方向外側
Claims (9)
- シートバックがシートクッションに対して前倒し可能に構成され、
前記シートバックを起立姿勢にロック及びロック解除するロック機構が前記シートバックの上端部に設けられ、
前記シートバックのシート幅方向外側の上面から前記ロック機構の操作ノブが突出し、
前記シートバックの後方の車体に設けられたシートベルト取出し口とシート側方の下側の固定部とにシートベルト装置のウェビングが張り渡され、
前記ウェビングが前記シートバックのシート幅方向外側の上面に接する車両用シートであって、
操作ノブ挿通口を備えたベゼルが前記シートバックのシート幅方向外側の上面に重ね合わされ、
前記ベゼルは、前記シートバックの表皮材を上下に挟み込むベゼルアッパとベゼルロアとから成り、
前記ベゼルアッパとベゼルロアはシート幅方向外側に延出され、
前記ベゼルアッパの延出端部から上方に延びる立ち上がり部と、前記立ち上がり部の上端部からシート幅方向内側に延びる折り返し部とを備えたフックが前記ベゼルアッパに形成され、
前記折り返し部の先端の下方に位置する前記ベゼルアッパの延出端部の裏面に、前記表皮材に形成された第1貫通孔に挿通する第1係合凸部が突設され、
前記第1係合凸部が係合する第1被係合部が前記ベゼルロアの延出端部に形成され、
前記第1係合凸部は、断面においてシート幅方向に長いリング状に形成されている車両用シート。 - 前記第1係合凸部のシート幅方向の中心と、前記フックの折り返し部の先端とがシート幅方向で略同一位置に位置している請求項1記載の車両用シート。
- 前記操作ノブ挿通口はシート幅方向に長い長孔状に形成され、
前記ベゼルアッパの操作ノブ挿通口の周縁部の裏面に、前記表皮材に形成された第2貫通孔に挿通される第2係合凸部が突設され、
前記第2係合凸部が係合する第2被係合部が前記ベゼルロアの操作ノブ挿通口の周縁部に形成されている請求項1又は2に記載の車両用シート。 - 前記第1被係合部は、前記ベゼルロアに形成された長孔と、前記長孔の周縁部に立設された縦壁と、この縦壁に形成され、前記第1係合凸部の係合突起が係合する被係合突起とを備え、
前記第2被係合部は、前記ベゼルロアのベルト挿入口の周縁部に立設された縦壁と、前記縦壁に形成され、前記第2係合凸部の係合突起が係合する被係合突起とを備えている請求項3記載の車両用シート。 - 前記ベゼルロアの第1被係合部の縦壁と前記第2被係合部の縦壁とを接続する第1補強リブが前記ベゼルロアの上面に形成されている請求項4記載の車両用シート。
- 前記ベゼルロアの周部に上方に張り出すフランジが形成され、
前記第1被係合部よりもシート幅方向外側に位置する前記ベゼルロアの周部のフランジと前記第1被係合部の縦壁とを接続する第2補強リブが前記ベゼルロアの上面に形成され、
前記第2被係合部よりもシート幅方向内側に位置する前記ベゼルロアの周部のフランジと前記第2被係合部の縦壁とを接続する第3補強リブが前記ベゼルロアの上面に形成されている請求項5記載の車両用シート。 - 前記ベゼルアッパの上面は、シート前後方向の中心側ほど上方に位置する断面山形の傾斜面に形成され、
前記ベゼルアッパの上面のシート前後方向の中心にパーティションラインが位置するように前記ベゼルアッパが成形型で成形されている請求項1〜6のいずれか一つに記載の車両用シート。 - 前記ベゼルアッパの周部及び前記ベゼルロアの周部よりも内側の表皮材収容空間の高さ寸法はシート前後方向中央側ほど長く設定されている請求項7記載の車両用シート。
- 前記操作ノブは可撓性を備えたバンド部材で形成され、
前記操作ノブと前記フックの立ち上がり部との間に前記ウェビングが位置する請求項1〜8のいずれか一つに記載の車両用シート。
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