JP4384458B2 - クラスレート化合物、熱電材料 - Google Patents

クラスレート化合物、熱電材料 Download PDF

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Description

本発明は、クラスレート化合物、及びそれを用いた熱電材料に関する。
現在の人類社会は膨大な熱エネルギーの消費により成り立っているが、多くの熱エネルギーは利用されることなく大気中に排出されている。
例えば、工場排熱に代表される未利用のエネルギーの特徴は、
1)排熱温度が比較的低いが多量であること
2)排出される時間形態は定常ではないが長時間に及ぶことである。従ってこれらの熱エネルギーの形態から電力に変換する方法で最も適した方法は、熱電発電であると考えられる。
しかし、従来の熱電材料では、廃熱発電の温度領域である200〜900℃で使用が困難であることや、発電に係る性能を示す無次元性能指数(ZT)の値が低く、実用化レベルに達していない等の問題があった。
近年、熱電材料として、シリコンクラスレート化合物を主体としてなるものが提案された(特許文献1参照。)。これによるとBax1(Six2Alx3)(7.24≦x1≦7.85,x2+x3=46,11.45≦x3≦14.75)のn型クラスレート化合物において、900℃におけるZTが2.0以上であり、優れた熱電効率が得られることが開示されている。
特開2002−274831号公報
前記クラスレート化合物を製造する際、通常、まず各構成原子を含有する化合物を所望の混合比で混合した後、融点以上で加熱してインゴットとする。そして、粉砕、水洗後、ホットプレスにより圧密して固化される。
シリコンクラスレート化合物では、製造工程にてインゴットとする際、Si原子が偏析しやすく、各構成元素が均一に混ざり難く、複数回融点以上で加熱しなければならない場合がある。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、優れた熱電効率が得られ、かつ簡便に製造できるクラスレート化合物、及びそれを利用した熱電材料と熱電モジュールを提供する。
かかる課題を解決するため、請求項1に係る発明は、Ge原子を主体としてなるクラスレート格子と、該クラスレート格子の格子中の少なくとも一部に内包されたドーピング原子としてのBaと、前記クラスレート格子を構成する原子の少なくとも一部と置換された置換原子としてのAlを主体としてなり、一般式Ba(Gex1Alx2)で示され、GeとAlの組成比を示すx1とx2について、x1+x2=46の関係を満足するとともに、Alの組成比を示すx2が、10≦x2≦13の範囲とされてなり、n型熱電材料として機能することを特徴とするクラスレート化合物である。
請求項2に係る発明は、Ge原子を主体としてなるクラスレート格子と、該クラスレート格子の格子中の少なくとも一部に内包されたドーピング原子としてのBaと、前記クラスレート格子を構成する原子の少なくとも一部と置換された置換原子としてのAlを主体としてなり、一般式Ba (Ge x1 Al x2 )で示され、GeとAlの組成比を示すx1とx2について、x1+x2=46の関係を満足するとともに、Alの組成比を示すx2が、14≦x2≦16の範囲とされてなり、p型熱電材料として機能することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、前記クラスレート格子が、Ge原子を主体としてなる12面体のGe20クラスタと、Ge原子を主体としてなる14面体のGe24クラスタとの混合格子のゲルマニウムクラスレートIであることを特徴とする請求項1または2に記載のクラスレート化合物である。
請求項に係る発明は、530℃における無次元性能指数が0.6以上であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載のクラスレート化合物である。
請求項に係る発明は、請求項1乃至のいずれかに記載のクラスレート化合物を主体としてなることを特徴とする熱電材料である。
請求項に係る発明は、n型の熱電素子とp型の熱電素子が電極を介して1対以上組み合わされ、両熱電素子の接続部分側に熱交換部が形成され、該接続部分に対向する側に電気回路が接続されてなり、前記n型の熱電素子又は前記p型の熱電素子の構成材料として請求項に記載の熱電材料が備えられたことを特徴とする熱電モジュールである。


本発明のクラスレート化合物によれば、高い無次元性能指数(ZT)が得られ、優れた熱電材料として利用できる。特に、530℃における無次元性能指数が0.6以上の高い値が実現できる。
また、クラスレート格子における置換原子となるAlの組成比を調整することによって、n型又はp型の熱電材料とすることができる。従来では、同一の原子から構成された化合物によって、n型の熱電材料とp型の熱電材料とを形成することができなかったが、本発明では、置換原子のAlの組成比x2を調整するだけでn型の熱電材料とp型の熱電材料とを製造することができる。このため、n型の熱電材料とp型の熱電材料とをほぼ同一の製造条件、設備にて製造することができる。
更に、Ge原子を主体としてなるクラスレート格子から構成されており、従来のシリコンクラスレート化合物のようにSi原子を含有していない。このため、製造工程にて構成原子が所定の組成比となるように混合された混合物を溶融してインゴットとする際、構成原子が偏析し難く、1回の溶融によって、構成元素が均一に分散されたインゴットを製造することができる。このため、従来のようにSi原子が偏析しやすく、複数回溶融してインゴットを製造する必要がない。
以上のように、本発明のクラスレート化合物は、簡便で安価に製造される。
クラスレート化合物は、n型熱電材料として利用する場合、一般式Ba(Gex1Alx2)(x1+x2=46)で示され、Alの組成比x2が10≦x2≦13であることが好ましく、これにより、高い熱起電力が得られ、かつ電気伝導性に優れ、また熱伝導率が小さく、優れたn型の熱電材料として利用できる。
また、クラスレート化合物は、p型熱電材料として利用する場合、一般式Ba(Gex1Alx2)で示され、Alの組成比xが14≦x2≦16であることが好ましく、これにより、符号が負で絶対値の大きい熱起電力が得られ、かつ電気伝導性に優れ、また熱伝導率が小さく、優れたp型の熱電材料として利用できる。
本発明の熱電材料では、前記した本発明のクラスレート化合物を主体として構成されたことによって、高い無次元性能指数が実現でき、優れた熱電効率が実現できる。
また、本発明の熱電モジュールでは、n型の熱電素子又はp型の熱電素子の構成材料として本発明の熱電材料が備えられたことによって、熱電発電モジュールとして用いた場合、優れた熱電性能が得られ、かつ高い熱電効率が実現できる。また、熱電冷却器として用いた場合、優れた熱電冷却の熱交換が実現できる。
以下に本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
図1は、本実施形態のクラスレート化合物1の格子構造の一例を示す模式図である。このクラスレート化合物1は、Ge原子を主体としてなるクラスレート格子2と、このクラスレート格子2の格子中の少なくとも一部に内包されたドーピング原子としてのBaと、クラスレート格子2を構成する原子の少なくとも一部と置換された置換原子としてのAlとを主体としてなり、一般式Ba(Gex1Alx2)で示され、GeとAlの組成比を示すx1とx2について、x1+x2=46の関係を満足するものである。
前記クラスレート格子2は、Ge原子を主体としてなるゲルマニウムクラスレートIから構成されている。図2は、このゲルマニウムクラスレートIの構成単位3の格子構造を示す模式図である。
ゲルマニウムクラスレートIは、1分子当たりに、Ge原子の12面体からなるGe20クラスタ4とGe原子の14面体からなるGe24クラスタ5とが組み合わさった構成単位3が、4分子組み合わさって構成されたものである。
このクラスレート格子2の格子中の少なくとも一部に、ドーピング原子としてBaが内包されている。Ba原子が内包されるサイトとしては、ゲルマニウムクラスレートIのうちのGe20クラスタ4の複数の2aサイト、Ge24クラスタ5の複数の6dサイト等が挙げられる。
ドーピング原子としてのBaがクラスレート格子2の格子中の少なくとも一部に内包されると、Ba原子は2価であるため、Ba原子の2個の電子がクラスレート格子2を構成する原子側へ移る。そのため、全体としてクラスレート化合物1は金属的な性質を有するようになる。また、Ba原子は、クラスレート格子2を構成するGe原子,Al原子よりも質量が大きいため、クラスレート格子2の原子の振動を抑制し、フォノンの散乱を生じさせて熱電導を低くするように機能する。
また、前記クラスレート格子2を構成する複数のGe原子のうち、少なくとも一部がAl原子で置換されている。
クラスレート格子2は、4価のGe原子でのみ構成されているときは、真性半導体であると考えられる。この4価のGe原子の一部が3価のAl原子によって置換された場合、置換原子のAlによって正孔(アクセプタ)が供給されることになる。
前述したように、このクラスレート格子2には、ドーピング原子のBa原子から2個の電子が供給されており、クラスレート格子2への置換原子のAlの組成比を最適化することにより、n型またはp型の半導体として機能し、熱電材料として利用できる。
本発明では、一般式Ba(Gex1Alx2)で表されるクラスレート化合物1において、種々のAlの組成比x2における電子状態密度を算出し、この計算結果に基づいて熱電材料として利用できるクラスレート化合物1のAlの組成比x2の検討を行っている。電子状態密度の計算結果について、以下に詳細に説明する。
図3は、BaGe43の電子状態密度の計算結果を示す図であり、図4は、Ba(Ge36Al10)の電子状態密度の計算結果を示す図であり、図5は、Ba(Ge30Al16)の電子状態密度の計算結果を示す図である。
ここで、電子状態密度の計算には、平面波基底の擬ポテンシャル法による第一原理計算を適用している。また、クラスレート化合物1の格子定数としては、Pachen等の実験値10.6565Å(BaGe43)を採用している。
また、Alの組成比x2=0、すなわちBaGe46は、化学的に不安定であり製造することが困難であるため、図3では、BaGe46の代わりに、BaGe43の電子状態密度を示している。
図3に示されたように、BaGe43の電子状態密度において、フェルミ準位Efは電子によって占有されており、BaGe43は、金属的な性質を有している。
これは、ドーピング原子としてのBaから2個の電子がクラスレート格子2を構成する原子側へ移ったためである。
これに対して、クラスレート化合物1を構成するクラスレート格子2のGe原子の一部がAl原子で置換されると、一般式Ba(Gex1Alx2)のAlの組成比x2が10〜13のとき、図4に示されたように、フェルミ準位Efは、伝導電子帯の最低エネルギー準位付近に位置し、クラスレート化合物1はn型の縮退半導体となる。
クラスレート化合物1がn型の縮退半導体となったのは、Alの組成比x2が10〜13のとき、ドーピング原子のBa原子からクラスレート格子2に供給された電子(ドナー)の数に比べて、置換原子のAlによって供給された正孔(アクセプタ)の数が少ないためである。このクラスレート化合物1はn型の縮退半導体であるため、n型の熱電材料として利用できる。
一般式Ba(Gex1Alx2)のAlの組成比x2が14〜16のとき、図5に示されたように、フェルミ準位Efは、価電子帯のエネルギーレベルの最大値付近に位置し、クラスレート化合物1はp型の縮退半導体となる。
クラスレート化合物1がp型の縮退半導体となったのは、Alの組成比x2が14〜16のとき、Alの置換量が多く、ドーピング原子のBa原子からクラスレート格子2に供給された電子(ドナー)の数に比べて、置換原子のAlによって供給された正孔(アクセプタ)の数が多くなったためである。このクラスレート化合物1はp型の縮退半導体であるため、p型の熱電材料として利用できる。
ここで、一般式Ba(Gex1Alx2)のAlの組成比x2が、13<x2<14のとき、ドーピング原子のBa原子からクラスレート格子2に供給された電子(ドナー)の数と、置換原子のAlによって供給された正孔(アクセプタ)の数とがほぼ一致し、クラスレート化合物1は金属と半導体の中間の性質を有する縮退半導体となる。
次に、前記した各組成比のクラスレート化合物1について、その熱電材料としての特性を以下に詳細に説明する。
図3乃至図5にて電子状態密度が算出されたBaGe43で表されるクラスレート化合物1、及び一般式Ba(Gex1Alx2)のAlの組成比x2がx2=10,16のクラスレート化合物1を、例えば特願2001−081371等に記載された方法によって製造し、その熱電材料としての特性を評価した。
図6は、前記クラスレート化合物1のゼーベック係数の一例を示す図である。ここで、ゼーベック係数とは、温度が1℃変化した際に発生する熱起電力である。ゼーベック係数の絶対値が大きいほど、その材料の熱起電力が大きく、熱電材料として優れた特性を有することがわかる。このゼーベック係数は、2端子法で測定された値である。
Ba(Ge36Al10)では、530℃におけるゼーベック係数が、約−0.0002(V/K)であり、絶対値が大きく、符号が負の値が得られており、n型の熱電材料として高い起電力が得られることがわかる。
また、Ba(Ge30Al16)では、530℃におけるゼーベック係数が、約0.0002(V/K)であり、絶対値が比較的大きく、符号が正の値が得られており、p型の熱電材料として高い起電力が得られることがわかる。
これに対して、BaGe43では、ゼーベック係数の絶対値がほぼ0であり、熱電材料として利用できないことがわかる。
図7は、前記クラスレート化合物1の比電気抵抗の一例を示す図である。ここで、この比電気抵抗は、4端子法で測定された値である。
一般式Ba(Gex1Alx2)のAlの組成比x2が変化しても、クラスレート化合物1の比電気抵抗はほぼ同一の比較的低い値であり、優れた電気導電性を有することがわかる。
図8は、前記クラスレート化合物1の熱電導率の一例を示す図である。ここで、この熱電導率は、レーザーフラッシュ法で測定された値である。
熱電材料は、加えられた温度差によって起電力を発生するものであるため、熱電導率が低く、熱平衡になりにくいものほど、熱電材料として優れていることになる。
一般式Ba(Gex1Alx2)のAlの組成比x2が変化しても、クラスレート化合物1の熱電導率はほぼ同一の低い値であり、熱電材料として優れていることがわかる。
図9は、前記クラスレート化合物1の無次元性能指数(ZT)を示す図である。ここで、無次元性能指数(ZT)とは、熱電材料の性能指標として多用される値であり、以下の式(1)によって表される。
但し、式(1)中、ZT,S,σ,κ,ρは、無次元性能指数,ゼーベック係数,電気伝導率,熱電導率,比電気抵抗をそれぞれ示す。
ZT=(Sσ/κ)T=(S/κρ)T (1)
熱電材料としては、ゼーベック係数の絶対値が大きく、かつ電気伝導率が大きく、かつ熱電導率が低いほど、高い熱電効率が得られる。前記無次元性能指数は、ゼーベック係数,電気伝導率,熱電導率を考慮して、熱電材料として優れた特性を有するかどうかを評価する性能指標である。この無次元性能指数が大きいほど、熱電材料として優れた特性を有しており、高い熱電効率が得られることとなる。
図9に示されたように、Ba(Ge36Al10)、Ba(Ge30Al16)で表されるクラスレート化合物1では、530℃において無次元性能指数が0.6以上であり、熱電材料として優れた特性を有することがわかる。
このクラスレート化合物1を熱電材料として用いることによって優れた熱電効率が実現できる。
以上のように、一般式Ba(Gex1Alx2)のAlの組成比x2が10〜13のとき、図4に示されたように、フェルミ準位Efは、伝導電子帯のエネルギーレベルの最小値近傍に位置し、n型の縮退半導体となり、かつn型の熱電材料として高い無次元性能指数(ZT)が得られる。このため、優れたn型の熱電材料として利用できる。
また、一般式Ba(Gex1Alx2)のAlの組成比x2が14〜16のとき、図5に示されたように、フェルミ準位Efは、価電子帯のエネルギーレベルの最大値近傍に位置し、p型の縮退半導体となり、かつp型の熱電材料として高い無次元性能指数(ZT)が得られる。このため、優れたp型の熱電材料として利用できる。
更に、本実施形態のクラスレート化合物では、クラスレート格子2における置換原子となるAlの組成比x2を調整することによって、n型又はp型の熱電材料とすることができる。
従来では、同一の原子から構成された化合物によって、n型の熱電材料とp型の熱電材料とすることができなかったが、本実施形態では、置換原子のAlの組成比x2を調整するだけでn型の熱電材料とp型の熱電材料とを製造することができる。このため、n型の熱電材料とp型の熱電材料とをほぼ同一の製造条件、設備にて製造することができる。
前記した本実施形態のクラスレート化合物1は、例えば特願2001−081371等に記載された方法によって製造できる。この製造方法の一例について以下に説明する。
Ge粉末とドーピング原子としてのBa粉末とクラスレート格子構成元素の置換原子となるAlの粉末を目的の組成比になるように秤量して混合する。そして、これらの混合粉末をアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気中にて融点以上の温度に加熱した後、徐冷して目的の組成のインゴットを得る。
このインゴットを大気中に取り出して粉砕し粉末化した後、得られた粉末を水洗いして水溶性の不純物(BaGe2等)を除去する。
次に、Arガス雰囲気あるいは真空雰囲気において熱処理(仮焼き処理)を施し、不要成分等をガス状態にして除去し、仮焼き処理後の粉末を更に粉砕して粒径を揃え、この粉砕物を放電プラズマ装置を用いて加熱加圧焼結し、所望の形状、例えば柱状の焼結物としてクラスレート化合物1を得ることができる。このクラスレート化合物1は、焼結物の状態で、そのまま熱電材料として使用できる。
ここで、放電プラズマ焼結とは、混合粉末に一対のパンチで数MPa〜数10MPa程度の圧力で加圧すると同時に電流を印加して約1000℃程度の高温に加熱しながら数分〜数時間程度焼結する加圧焼結法の一種である。
本実施形態のクラスレート化合物1では、クラスレート格子2としてGe原子を主体としてなるゲルマニウムクラスレートIから構成されており、従来のようにSi原子を含有していない。このため、製造工程にて構成原子が所定の組成比となるように混合された混合物を溶融してインゴットとする際、構成原子が偏析し難く、1回の溶融によって、構成元素が均一に分散されたインゴットを製造することができる。このため、従来のシリコンクラスレート化合物のように、Si原子が偏析しやすく、複数回溶融してインゴットを製造する必要がない。
このように、本実施形態のクラスレート化合物1は、簡便で安価に製造される。
次に、本実施形態のクラスレート化合物1の熱電材料を用いて構成された熱電モジュールについて説明する。
図10は、熱電モジュール6の基本構成の一例を示す概略図である。この実施形態の熱電モジュール6は、上下に離間して対向配置された絶縁物の基板(図示省略)の間に、p型の柱状の熱電材料からなる複数の熱電素子61と、n型の柱状の熱電材料からなる複数の熱電素子62が交互に配置されている。
この複数の熱電素子61,62のうち、相互に隣接する1組の熱電素子61,62の下端部どうしが間欠的に下部側の電極板63で接続され、相互に隣接する他の熱電素子61,62の上端部どうしが間欠的に上部側の電極板64で接続されると同時に、隣接するp型の熱電素子61の端部とn型の熱電素子62の端部とが互い違いに交互に接続されて全ての熱電素子が直列接続されるように複数の電極板63,64で接続されている。
また、上下の基板間の複数の熱電素子61,62のうち、一側の端部の熱電素子61と接続配線65とが電極板63を介して接合され、また他側の端部の熱電素子62と接続配線66とが電極板63を介して接合されて構成されている。
この熱電モジュール6のうち、熱電素子61,62の上部側の電極板64側が、熱交換部分として機能するようになっている。
ここで、前記p型の熱電素子61及び前記n型の熱電素62が前述した本実施形態のクラスレート化合物からなる熱電材料から構成される。
図10(a)に示すように上部側の電極板64側を加熱することで接続配線65,66の間に負荷としての抵抗67などを接続して電気回路68を構成しておくならば、電極板64側を他の熱源で加熱し、電極板63側を放熱側とすることで接続配線65,66間に電位差を生じさせて電流を流すことができ、熱電発電用に供することができる。
また、図10(b)に示すように接続配線65,66に電源69を組み込み、矢印に示す方向に電流を流すことで、上部側の電極板64側にて吸熱作用を行うことができ、下部側の電極板63側を発熱側として先の吸熱作用によって熱電冷却器として使用することができる。
前述したように本実施形態の熱電材料は、高いゼーベック係数と無次元性能指数を有する。本実施形態の熱電モジュールでは、この本実施形態の熱電材料を備えたことによって、熱電発電モジュールとして用いた場合、優れた熱電性能が得られ、かつ高い熱電効率が実現できる。また、熱電冷却器として用いた場合、優れた熱電冷却の熱交換が実現できる。
本実施形態のクラスレート化合物1の格子構造の一例を示す模式図である。 ゲルマニウムクラスレート46の構成単位の格子構造を示す模式図である。 BaGe43の電子状態密度の計算結果を示す図である。 Ba(Ge36Al10)の電子状態密度の計算結果を示す図である。 Ba(Ge30Al16)の電子状態密度の計算結果を示す図である。 クラスレート化合物のゼーベック係数の一例を示す図である。 クラスレート化合物の比電気抵抗の一例を示す図である。 クラスレート化合物の熱電導率の一例を示す図である。 クラスレート化合物1の無次元性能指数の一例を示す図である。 熱電モジュールの基本構成の一例を示す概略図であり、(a)は熱電発電モジュールとして用いた場合であり、(b)は熱電冷却器として用いた場合である。
符号の説明
1‥‥クラスレート化合物、2‥‥クラスレート格子、4‥‥Ge20クラスタ、5‥‥Ge24クラスタ、6‥‥熱電モジュール、61‥‥p型の熱電素子、62‥‥n型の熱電素子、63,64‥‥電極、68‥‥電気回路

Claims (6)

  1. Ge原子を主体としてなるクラスレート格子と、該クラスレート格子の格子中の少なくとも一部に内包されたドーピング原子としてのBaと、前記クラスレート格子を構成する原子の少なくとも一部と置換された置換原子としてのAlを主体としてなり、
    一般式Ba(Gex1Alx2)で示され、GeとAlの組成比を示すx1とx2について、x1+x2=46の関係を満足するとともに、Alの組成比を示すx2が、10≦x2≦13の範囲とされてなり、n型熱電材料として機能することを特徴とするクラスレート化合物。
  2. Ge原子を主体としてなるクラスレート格子と、該クラスレート格子の格子中の少なくとも一部に内包されたドーピング原子としてのBaと、前記クラスレート格子を構成する原子の少なくとも一部と置換された置換原子としてのAlを主体としてなり、
    一般式Ba(Gex1Alx2)で示され、GeとAlの組成比を示すx1とx2について、x1+x2=46の関係を満足するとともに、Alの組成比を示すx2が、14≦x2≦16の範囲とされてなり、p型熱電材料として機能することを特徴とするクラスレート化合物。
  3. 前記クラスレート格子が、Ge原子を主体としてなる12面体のGe20クラスタと、Ge原子を主体としてなる14面体のGe24クラスタとの混合格子のゲルマニウムクラスレートIであることを特徴とする請求項1または2に記載のクラスレート化合物。
  4. 530℃における無次元性能指数が0.6以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のクラスレート化合物。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のクラスレート化合物を主体としてなることを特徴とする熱電材料。
  6. n型の熱電素子とp型の熱電素子が電極を介して1対以上組み合わされ、両熱電素子の接続部分側に熱交換部が形成され、該接続部分に対向する側に電気回路が接続されてなり、
    前記n型の熱電素子又は前記p型の熱電素子の構成材料として請求項5に記載の熱電材料が備えられたことを特徴とする熱電モジュール。
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