JP4383218B2 - 台車の旋回駆動方法および装置ならびにそれを用いたタイヤ成型システム - Google Patents

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Description

この発明は、台車を、オーバル型のエンドレスの移動経路に走行させるに当っての台車の旋回駆動方法および、その方法の実施に用いる旋回駆動装置ならびにその装置を用いたタイヤ成型システムに関するものであり、とくには、可動側部材である台車、キャリア等へのモータその他の駆動源の搭載を不要とする技術を提案するものである。
たとえば、タイヤ成型ドラムを搭載した台車を、エンドレスの台車移動経路を構成する無端レール上で移動させながら、その無端レールに沿わせて設けたそれぞれの作業ステーションで、タイヤ構成部材を所要の順序でタイヤ成型ドラム上に組付けるタイヤ成型システムは、従来から各種のものが提案されており、出願人も先に特願2002−341275号として提案した。
この成型システムは、成型ドラム上に、それぞれのタイヤ構成部材の組付けを行うそれぞれの作業ステーションと、成型ドラムを支持して、その成型ドラムをそれぞれの作業ステーションに移動させる成型台車と、成型台車の、所定の経路上での移動を案内する台車ガイド手段とを具えるものにおいて、台車ガイド手段を、相互に平行に敷設された内外二本の無端レールおよび、成型台車に設けられ、ローラもしくはボールによって各無端レールの少なくとも両側面上を転動して、無端レールの延在方向と直交する方向での台車位置を規制する車輪を含むものとし、各無端レールを、少なくとも、一の直線状部分と一の円弧状部分とで構成して、それらの両部分を滑らかに連続させるとともに、円弧状部分のレール幅を、その円弧状部分の曲率半径に応じた量だけ、直線状部分のレール幅より狭幅としたものであり、これによれば、とくには一対の無端レールと、成型台車に設けられて各無端レールの少なくとも両側面に緊密に掛合する車輪とを主たる構成部材とする台車ガイド手段、ならびに、各無端レールの、直線状部分に比して狭幅とした円弧状部分の作用の下で、成型台車を、レール延在方向と交差する方向に対して高い精度で位置決めすることができ、台車の停止位置精度を所要のものとするだけで、各作業ステーションでの作業を常に高精度に行うことができるので、台車のリフトアップおよび芯出し位置決めならびに、台車の乗せ換え等のための、設備、時間、スペース等を全く不要として、それらに起因して発生する問題のことごとくを効果的に解決することが可能となる。
ところが、このような提案技術にあって、台車側に、それの走行等のためのモータその他の駆動手段を搭載した場合には、そのモータ等への給電、加圧空気の供給等が不可避となって、装置構造が複雑になるとともに、設備コストおよびランニングコスト等がともに嵩むことになるという問題があった。
この発明は、これらの問題点を解決することを課題としてなされたものであり、それの目的とすることは、装置構造の簡素化、設備コストおよびランニングコストの有効なる低減を実現することができ、しかも、とくには、オーバル型のエンドレス移動経路の湾曲部分での台車の走行に当って、台車のすぐれた移動精度を確保するとともに、高い静粛性および耐久性の発揮を可能とし、さらには、簡単かつ容易なメンテナンスを可能とした、台車の旋回駆動方法および装置ならびに、それを用いたタイヤ成型システムを提供するにある。
この発明に係る、台車の旋回駆動方法は、オーバル型の、たとえば内外一対の無端レールからなるエンドレス移動経路の湾曲部分で、グランド側に位置決めした台車を、レールの案内下で駆動走行させるに当って、台車の、グランド側への位置決め固定状態で、その台車をキャリアに掛合させ、次いで、台車の、グランド側への固定を解除するとともに、その台車を、キャリアによって湾曲部分の全長にわたって牽引走行させ、その後、台車を、グランド側へ再び位置決め固定するとともに、台車のキャリアへの掛合を解除するにある。
ここで好ましくは、キャリアを、ローラチェーンの走行駆動に基づいて、同一の経路を辿って往復運動させる。
また好ましくは、台車の、グランド側への位置決めを、グランド側から進退変位される位置決めピンの、台車への嵌合により行い、一方、台車とキャリアとの掛合を、台車側から進退変位される掛合ピンの、キャリアへの嵌合により行う。
ところで、往動変位によって、台車をこのように牽引走行させたキャリアは、その後、元位置へ復動変位させて、次の牽引走行を待機させることが好ましい。
なお、台車の、キャリアへの掛脱に当っては、それらに先だって、台車の掛合ピン作動シリンダへ加圧空気を供給する。
また、この発明に係る、台車の旋回駆動装置は、上述したいずれかの方法を実施するためのものであり、湾曲部分に沿って、その全長にわたって水平面内で走行駆動されるエンドレスのローラチェーンを、ローラ軸線を垂直姿勢として配設し、そしてそのローラチェーンに、台車に対して掛脱可能な一個以上、たとえば一個だけのキャリアを取付けたものである。
ここで、ローラチェーンには、それのチェーンリンクの所定ピッチ毎に、たとえば樹脂材料からなる重量支持ロールを取付けることが好ましく、また湾曲部分に沿って延びるローラチェーンの少なくとも湾曲の内側で、チェーンガイドの、チェーンとの接触個所に、ローラと接触する耐摩耗性樹脂材料、たとえば、超高分子量ポリエチレン、高分子量ポリエチレン、ポリアミド、MCナイロン、ポリアセタール等を配設することが好ましい。
そしてまた好ましくは、ローラチェーンを内外一対のレール間に延在させるとともに、チェーンスプロケットの回転駆動を司るローラチェーンの駆動系をもまたそれらのレール間に配設する。
かかる装置では、台車の進行方向に対し、湾曲部分への入口の後方側部分および出口の前方側部分のそれぞれに、グランド側から進退変位して台車に掛脱する位置決めピンと、台車の掛合ピン作動シリンダに対して接続分離する、グランド側の加圧空気供給手段との両者を配設することが好ましい。
さらに、この発明に係る、タイヤ成型システムは、上述した旋回駆動装置のいずれかをその全てにわたって用いたものであって、台車に、タイヤ成型ドラムを位置決め載置するとともに、オーバル型のエンドレス移動経路の直線状部分に整列する複数台の台車のそれぞれを、一定の距離にわたって同時に間欠送りする、シリンダ、ボールねじ等とすることができる一の並進駆動手段を設けるとともに、それぞれの台車の停止位置と対応する位置に、タイヤ成型ドラムに対して所定の作業を行うそれぞれの作業ステーションを設けたものである。
この発明に係る旋回駆動方法では、湾曲部分に沿って駆動されるキャリアによって台車を牽引走行させることにより、台車の走行移動のための駆動手段をその台車に設けることが不要となり、その駆動手段のための台車側への給電、加圧空気の供給等が不要となるので、台車を含む、方法の実施装置の構造を簡単にして、設備コストおよびランニングコストをともに有利に低減させることができ、また、給電系、加圧空気の供給系等の故障のおそれを取り除いて、装置の稼働効率を高めるとともに、装置のメンテナンスを簡単かつ容易にすることができる。
またここで、キャリアの駆動を、ローラチェーンの走行駆動に基づいて行わせる場合は、簡単な構造の駆動系によって、台車に高い移動精度を付与するとともに、駆動系にすぐれた静粛性および耐久性を発揮させることができる。
そしてこの場合は、キャリアを、同一の経路を辿って往動および復動させることにより、限られたスペース内でのキャリアの所要の移動を、少ない占有空間の下で確実に行わせることができる。
このような方法において、グランド側から進退変位される位置決めピンをもって台車の位置決めを行うときは、台車を、動力源からより有効に解放することができ、一方、台車とキャリアとの掛合を、台車側から進退変位される掛合ピンによって行うときは、キャリアを動力源から解放して、それの構造を一層簡単にするとともに、キャリアの全体をより一層小型化することができる。
ところで、この方法では、はじめに、台車のグランド側への位置決め固定状態で、その台車をキャリアに掛合させ、次いで、台車の、グランド側への固定を解除するとともに、その台車を、キャリアによって湾曲部分の全長にわたって牽引走行させ、その後、台車を、グランド側へ再び位置決め固定するとともに、台車のキャリアへの掛合を解除することにより、台車の、キャリア等に対する受け渡しを、常に円滑にかつ確実に行うことができ、そして、往動変位によって、台車を牽引走行させたキャリアを、続いて元位置へ復動変位させて、次の牽引走行を待機させる場合は、作業能率を十分に向上させることができる。
また、この発明に係る旋回駆動装置では、湾曲部分に沿って、水平面内で走行駆動されるエンドレスのローラチェーンを、ローラ軸線を垂直姿勢として配設することで、キャリアの駆動系の構造を簡単なものとするとともに、先に述べたような、台車の高い移動精度、静粛性および耐久性を実現することができる。
ここで、このようなローラチェーンに一個のキャリアを取付けたときは、それの一回の往動変位で一台の台車を、また、そのチェーンに、所定の間隔をおいて複数のキャリアを取付けたときは、チェーンの一回の往動走行をもって複数台の台車を同時に、それぞれ牽引走行させることができる。
ここにおいて、ローラチェーンに、重量支持ロールを設けたときは、チェーンの弛み等を有効に取り除いて、台車の移動精度をより一層高めることができ、併せて、チェーンの走行抵抗の増加、不測の摩耗等を有効に防止することができる。
そしてまた、湾曲部分に沿って延びるローラチェーンの少なくとも湾曲の内側で、チェーンガイドの、チェーンとの接触個所に、ローラと接触する耐摩耗性樹脂材料を配設したときは、チェーンおよびチェーンガイドのそれぞれ、なかでも、チェーンローラの摩耗を有効に防止することができる。そしてこのことは、ローラチェーンの延在形態を常時湾曲形状に拘束することになる、湾曲の内側のチェーンガイドに耐摩耗性樹脂材料を配設することでより効果的となる。
かかる装置において、ローラチェーンおよびそれの駆動系の両者をともに一対のレール間に配設したときは、ローラチェーンのエンドレスの走行スペースを簡単に確保することができ、また、ローラチェーンおよび駆動系のそれぞれのメンテナンスを、レール間への露出下で容易に行うことができる。
かかる装置において、台車の進行方向に対し、湾曲部分への入口の後方側部分および、出口の前方側部分のそれぞれに、グランド側から進退変位して台車に掛脱する位置決めピンと、台車の掛合ピン作動シリンダに対して接続分離する、グランド側の加圧空気供給手段との両者を配設したときは、台車の、所定位置への位置決め固定および、台車側掛合ピンの、キャリアへの掛脱を常に円滑に、かつ確実に行わせることができる。
さらに、この発明に係るタイヤ成型システムでは、台車にタイヤ成型ドラムを位置決め載置するとともに、オーバル型のエンドレス移動経路の直線状部分に整列する複数台の台車を、ロッドレスシリンダ等の一の並進駆動手段をもって、一定の距離にわたって同時に間欠送りすることにより、駆動手段に対する設備コスト、ランニングコスト等を有効に低減させることができ、それに対するメンテナンスもまた容易にすることができる。
またここでは、それぞれの台車の停止位置と対応する位置に、タイヤ成型ドラムに対して所定の作業を行うそれぞれの作業ステーションを設けることで、台車の停止下で、それぞれのタイヤ成型ドラムに対し、それぞれの作業ステーションで、所定のタイヤ構成部材を同時に組付けることができ、このことを、各タイヤ成型ドラムが、一の直線状経路部分内の所定の全ての作業ステーションでの組付けが完了するまで繰り返すとともに、これらのことを、エンドレス移動経路の全周もしくはほぼ全周にわたって台車を移動させながら行うことで、タイヤ成型ドラム上に、所要の生タイヤを能率的に成型することができる。
以下にこの発明の実施の形態を図面に示すところに基づいて説明する。
図1はこの発明のタイヤ成型システムの実施の形態を、予備成型システムと併せて示す略線平面図であり、図中1は、この発明の対象であるタイヤ成型システムを、そして2は、タイヤ成型システム1に隣接させて設けた予備成型システムをそれぞれ示す。
ここで、タイヤ成型システム1は、成型ドラム3および、その成型ドラム3を位置決め載置して、それを片持ち支持するとともに、それの中心軸線の周りに回転駆動する台車4と、この台車4の循環走行を可能とする、ほぼ長円形状のエンドレス移動経路5とを具えるとともに、この移動経路5に沿わせて配設されて、成型ドラム3上に、それぞれのタイヤ構成部材の組付けを行う八つの作業ステーションF1〜F8を具える。
また、予備成型システム2は、円筒状ドラム6を片持ち支持する支持台車7と、この支持台車7の直線運動を可能とする軌道8とを具えるとともに、その軌道8に沿わせて配設した三つの作業ステーションC1〜C3と、作業ステーションC3での成型に寄与するとともに、予備成型品の、タイヤ成型システム1の成型ドラム3への引き渡しを行うトランスファ台車9とを具える。
なお、図中10は、タイヤ成型システム1での成型を終えて製造された生タイヤGを移動経路5上の成型ドラム3から受け取るタイヤ移載台車を示し、11は、タイヤ移載台車10から受け取った生タイヤを加硫システムへ搬送するコンベアを示す。
ところで、予備成型システムでは、円筒状ドラム6を支持した支持台車7を、作業ステーションC1からC2、C2からC3、そしてC3からC1への順で移動させ、トランスファ台車9を、作業ステーションC3とF1との間で往復させる。
また、タイヤ成型システム1では、トロイダルに膨出変形可能な成型ドラム3を支持した台車4に、作業ステーションF1からF2、F2からF3というように、それぞれの作業ステーションF1〜F8間の時計回りの移動を、所定のタクトタイムで繰り返し行わせる。なお、図に示したタイヤ成型システム1では、八台の台車4がエンドレスの移動経路5上に配設されており、それぞれの台車4は、たとえば経路5の内側等に配設した駆動装置により作業ステーション間を移動され、またそれぞれの作業ステーションに高い精度で位置決め停止される。
ここで、この図に示すところでは、移動経路5の各直状部分に存在するそれぞれの台車4を、それらに共通の各一個の並進駆動装置D1,D2によって同時に間欠的に送り走行させ、また、移動経路5の各湾曲部分を通過する台車4を、内外一対の無端レール間に、その湾曲に沿わせてエンドレスに延在させて配設したローラチェーンと、これも好ましくはレール間に配設したチェーン駆動系とからなる各駆動装置D3,D4とによって走行させることで、作業者が内外一対の無端レールの内側から、それぞれの作業ステーションでの成型状況を監視することができる。なおここでは、直状部分の各駆動装置D1,D2をもって、複数台の台車を同時に走行させることで、駆動のための部品点数を少ならしめて設備コストを低減し、同期駆動等の信頼性を高めることができる。
またここで、それぞれの台車4の停止後の、各作業ステーションF1〜F8と正確に対応する位置へのそれらの位置決め保持は、駆動装置それ自体をもって行い得ることはもちろんであるが、並進駆動装置D1,D2の駆動部を、台車4の次回の走行駆動のために、予め所定の位置に復帰させて待機させることによってタクトタイムの低減を図る場合には、その位置決め保持を、たとえばグランド側等に別途設けた位置決め保持ピンその他の保持手段に行わせることもできる。
ところで、このような並進駆動装置D1,D2は、ボールねじ、シリンダ等によって構成することができ、たとえばそれを、駆動精度にすぐれるボールねじによって構成したときは、そのボールねじによる、複数台の台車4の同時の間欠送り走行は、台車駆動部とすることができる一もしくは複数の雌ねじ部材のそれぞれから進退駆動される掛合ピンをそれぞれの台車4に嵌合させることまたは、それぞれの台車4から進退駆動される掛合ピンを雌ねじ部材に嵌合させることによって、それぞれの台車4とボールねじとの連結をもたらし、かかる状態で、そのボールねじの雄ねじ部材を所定の回数にわたって回転させることにより行うことができる。
この一方で、同時の間欠送り走行の終了後のそれぞれの台車4は、上記の連結状態を維持したまま、または、別個の位置決め保持ピン等によって位置決めされて、それぞれの作業ステーションF1〜F8での、成型ドラム3上への所定の作業の終了を待機する。
このようにして各作業ステーションの作業を完了した後は、常に同一の位置で、同一のストロークを行う雌ねじ部材と、次の台車4との掛合をもたらすことで、複数台の台車の再度の間欠送り走行を行わせ、以後同様のことを繰り返すことで、それぞれの成型ドラム3上に所定の生タイヤを製造する。
なお、タイヤ成型システム1においてこのようにして生タイヤを製造するに先だっては、予備成型システム2において、はじめに、作業ステーションC1で、インナーライナ部材組付け装置12とキャンバスチェーファ部材組み付け装置13とを用いて、円筒状ドラム6上に、それぞれ、インナーライナ部材およびキャンバスチェーファ部材を組付け、次いで、円筒状ドラム6を作業ステーションC2に移動させて、スキージ部材組付け装置14とカーカス部材組付け装置15とを用いて、スキージ部材およびカーカス部材のそれぞれを、インナーライナ部材およびキャンバスチェーファ部材の外周側に組付けてカーカスバンドを形成する。
また、作業ステーションC3では、ビードフィラがビードコアにプリセットされた一対のプリセットビードを、ハンドリングロボット16によってトランスファ台車9に予めセットし、そこで、セット済みの一対のプリセットビードの半径方向内側に、作業ステーションC2で成型されたカーカスバンドを挿入配置するとともに、そのカーカスバンドを、円筒状ドラム6からトランスファ台車9に引き渡す。
その後は、プリセットビードとカーカスバンドとを把持したトランスファ台車9を、タイヤ成型システム1内の、成型ドラム3が待機中の作業ステーションF1に移動させ、それらを、その成型ドラム3上に移載する。
ここでのこの移載は、成型ドラム3のビードロック部を拡径させてプリセットビードを成型ドラム3に固定した後、トランスファ台車9をそのプリセットビードおよびカーカスバンドから解放するとともに、そのトランスファ台車9をステーションC3に戻すことにより行われる。
以上のようにしてプリセットビードとカーカスバンドを成型システム1内に搬入した後の、それぞれの作業ステーションF2〜F8での具体的な作業は、たとえば、まず成型ドラム3を作業ステーションF2に移動させ、ブラダおよび剛性コアの拡径変形に基づいて、カーカスバンドの幅方向中央部をトロイダル状に膨出変形させるとともに、カーカス部材の側部を、外部駆動装置17の作動に基づく、カーカス折り返し棒の作用によって半径方向外方に巻き返す。
その後は、成型ドラム3を、上述したようにして、それぞれの作業ステーションF3〜F8に順次に移動させるとともに、それらの各作業ステーションに位置決め保持して次のような作業を行う。
作業ステーションF3は、内層ベルト部材組付け装置18を用いて、拡径した剛性コアによる外力の支持下にて内層ベルト部材を組付け、次いで、作業ステーションF4では、外層ベルト部材組付け装置19を用いて外層ベルト部材を組付ける。
そして、作業ステーションF5では、レイヤ部材組付け装置20とトレッドアンダクッション部材組付け装置21とを用いて、スパイラルレイヤ部材およびトレッドアンダクッション部材を順次に組付ける。
また、ステーションF6では、ベーストレッド部材組付け装置22を用いてベーストレッド部材を組付け、作業ステーションF7では、キャップトレッド部材組付け装置23を用いてキャップトレッド部材を組付ける。
さらに、作業ステーションF8では、成型中のタイヤの両側面に、サイドウォール部材組付け装置24を用いてサイドウォール部材を組付け、併せて、その半径方向内側に、ゴムチェーファ部材組付け装置25を用いてゴムチェーファ部材を組付けて所定の生タイヤを成型する。
生タイヤをこのようにして製造するに当り、ここにおける成型ドラム3は、ビードをロックしたまま、カーカスバンドのトロイダル状の拡張から、生タイヤの完成までの組付けを行うことができるので、それらの作業の間にビードのロックを解除して作業ステーション間を移載しなければならない従来の成型方法に対比してユニフォミティ等のタイヤ品質を大きく向上させることができる。
そして、完成された生タイヤGは、最後の作業ステーションF9で、バーコードの貼付等の作業を行ったあと、タイヤ移載台車10によって成型ドラム3から取り外されて、生タイヤ搬送コンベア11に引き渡され、それによってタイヤ加硫システムへ搬送される。
ところで、このような成型システム1における成型ドラム3は、異なる幅のタイヤ構成部材に対応できるよう、左右の、ヒードロック部同士および剛性コア同士の間隔を任意に変更できるよう構成されているが、異なるリム径のタイヤに関しては、成型ドラムそれ自体を交換して対処することが必要になるので、ここでは、成型ドラムの交換を、所定のタクトタイム内で行い得るよう、ドラム切替ステーションDを、軌道5に隣接させて配設している。
以上に述べたようなタイヤ成型システム1において、ここでは台車4の、エンドレス移動経路5上での移動を案内するべく、グランド側に、内外一対の無端レール31,32を相互に平行に敷設するとともに、台車4に、図2に部分断面正面図で示すように、各無端レール31,32に緊密に掛合して、台車位置を、レール31,32の延在方向と直交する方向に高精度に規制する車輪33を設ける。
ここで、各無端レール31,32は、図1に示すように、相互に平行で、ともに対向して位置するとともに、等しい長さの二個所の直線状部分と、それらの両端を滑らかに繋ぐ二個所の円弧状湾曲部分とで構成するのが好ましい。
また、かかるレール31,32に緊密に、いいかえれば遊びなく掛合する各車輪33には、各レール31,32の両側面上を転動する複数個のボールを設けることによって、または、レール31,32の両側面上を転動する複数個のローラおよびレール31,32の上を転動するローラのそれぞれを設けることによって、車輪33の位置規制機能を十分に高めることが好ましく、前者にあっては、車輪33を、直動ガイドのスライダのような、ボール循環式のスライドテーブルによって構成することが好ましい。
そしてここでは、エンドレス移動経路5の湾曲部分、すなわち、無端レール31,32の直線状部分を滑らかに繋ぐ円弧状湾曲部分31a,32aでの、台車4の、高い移動精度の下での駆動走行をもたらすべく、図3に要部拡大平面図で示すように、両レール31,32の湾曲部分31a,32a間に、水平面内で走行駆動されるエンドレスのローラチェーン34を、各ローラの軸線を垂直姿勢とした状態で、それらの湾曲部分31a,32aに沿わせるとともに、湾曲部分の全長にわたって、図ではその全長を越えて延在させ、そして、それぞれの延在端を、駆動側および被動側のそれぞれのスプロケット35,36に巻き掛けて配設し、このローラチェーン34の、図では湾曲の外側の延在部分に、台車4に対して掛脱される一個のキャリア37を取付け、好ましくはこのキャリア37を、ローラチェーン34の走行変位に基づいて、両レール31,32の中央位置を移動可能とする。
またここでは、ローラチェーンそれ自体の走行駆動、より正確には、キャリア37を、両スプロケット35,36間で往動および復動させる正、逆走行駆動のために、駆動側のスプロケット35を、たとえばチェーン38を介してモータ39に連結する。
なお、ローラチェーン34の駆動系としてのこれらのチェーン38およびモータ39は、無端レール31,32の内側もしくは外側に配設し得ることはもちろんであるが、図示のように、それらを両レール間に配設したときは,駆動系をも含むローラチェーン34のメンテナンス等を容易にすることができる。
このようにして配設されるローラチェーン34において好ましくは、図4に、図3のA−A線に沿う断面で例示するように、チェーン34のチェーンリンクの所定ピッチ毎に、水平面内で転動する、たとえばポリアセタール製とすることができる重量支持ロール40を取付け、これらの支持ロール40によるチェーン重量の支持下で、ローラチェーン34の弛みを有効に取り除く。
また好ましくは、円弧状湾曲部分31a,32aに沿って延びるローラチェーンそれ自体の湾曲部分で、少なくとも湾曲の内側にあって、チェーンの湾曲を強制する、図ではL字状の横断面形状を有し、支持ロール40の転動路をも構成するチェーンガイド41に、図5に要部を拡大して示すように、チェーン34のローラ34aと接触する、たとえば、超高分子量ポリエチレン、高分子量ポリエチレン、ポリアミド、MCナイロン、ポリアセタール等からなる耐摩耗性樹脂材料42を、固定、固着等によって配設して、ローラチェーン34およびチェーンガイド41の耐摩耗性を担保する。
そして、ローラチェーン34に取付けた一のキャリア37に対する台車4の掛合は、図3に示すキャリア37を被動側スプロケット36に整列させた状態の下での、その図のB−B線に沿う断面を図6に示すように、台車4に設けた掛合ピン43を、たとえばエアシリンダの作用下で、そのキャリア37に設けた掛合孔37a内へ進入させることによって行うことができ、このような掛合の解除は、エアシリンダから圧力を排出することによる掛合ピン43の自己復帰によって、または復動タイプとしたそのエアシリンダへの再度の圧力供給によって掛合ピン43を掛合孔37aから後退させることにより行うことができ、掛合ピン43のキャリア37への掛合下では、台車4を、ローラチェーン34の走行に基づくキャリア37の移動によって、円弧状湾曲部分31a,31bの全長にわたって牽引走行させることができる。
ここで、台車4に設けた掛合ピン43のこのような掛脱作動のためには、その台車4の、少なく牽引走行の開始前の時点、より好ましくは、それの前後の両時点で、台車4のピン作動シリンダに対して圧力を供給する、グランド側の加圧空気供給手段を、その作動シリンダに接続および分離可能に設けることが好ましく、これによれば、少なくとも台車4の移動中は、その加圧空気供給手段を、台車4の作動シリンダから分離させることで、配管およびそれの取り回しの繁雑さの他、誤作動のおそれ等をも十分に取り除くことができる。
従ってここでは、加圧空気供給手段からの加圧空気によって台車4の掛合ピン43をキャリア37に掛合させた後は、その加圧空気供給手段を台車4から分離させることで、台車4の牽引走行中はその掛合状態を確実に維持することができ、一方、牽引走行の終了後は、作動シリンダに接続した他の加圧空気供給手段からの圧力の供給によって両者の掛合を解除することで、台車4をキャリア37から完全に分離させて、それの、並進駆動手段による間欠送り等を十分に許容することができる。
併せてここでは、掛合ピン43の、キャリア37に対する円滑にして確実な掛脱を可能とするべく、台車4の進行方向に対し、湾曲部分31a,32aへの入口の後方側部分および、出口の前方側部分のそれぞれに、図6に入口後方側部分のものを例として示すように、台車4をグランド側に位置決め固定する位置決め手段44を設ける。この位置決め手段44は、床面に垂直に取付けた空圧シリンダ45と、このシリンダ45にて進退変位される位置決めピン46とからなり、この位置決めピン46は、台車4に設けた切欠47もしくは穴内へ進入して台車4をグランド側に位置決めし、固定する。
以上のように構成してなる台車の旋回駆動装置を用いて、無端レール31,32に掛合する台車を、それらの円弧状湾曲部分31a,32aに沿わせてそこを通過させるに当っては、はじめに、たとえば、生タイヤの成型ドラム3を位置決め載置した台車4の、並進駆動手段D1,D2による直線状の送り走行が終了したところで、グランド側に設けた位置決めピン46を、台車側の切欠47に嵌め込んで、その台車4をグランド側に位置決め固定し、次いで、図7(a)に模式的に示すように、台車4に接続した、グランド側の加圧空気供給手段48からの供給圧力に基づいて掛合ピン43を進出変位させて、そのピン43をキャリア37に掛合させる。続いて、図7(b)に示すように、加圧空気供給手段48を台車4から分離させるとともに、位置決めピン46を後退させて、台車4の、グランド側からの拘束を解除する。
その後は、ローラチェーン34の駆動系38,39を作動させて、そのローラチェーン自体を走行変位させ、これによって、チェーン34に取り付けたキャリア37を湾曲部分31a,32aの全体にわたって往動変位させることで、台車4を牽引走行させて、その湾曲部分31a,32aを通過させる。
ここで、台車4のこの牽引走行は、高い位置精度の下にて行うことができるので、湾曲部分31a,32a内に一個所以上の作業ステーションを設ける場合にあっても、台車4を所期した通りの位置に正確に位置決め停止させるとともに、そこに固定することができる。
そして、台車4が湾曲部分を完全に通過した後は、台車4のその後の送り走行を並進駆動手段D1,D2に委ねるべく、図7(c)に示すように、位置決めピン46をもって台車4をグランド側に位置決め固定するとともに、グランド側の他の加圧空気供給手段48の台車4への接続下で、掛合ピン43を後退変位させて、図7(d)に示すように、それとキャリア37との掛合を解除し、併せて、その加圧空気供給手段48を台車4から再び分離させる。
このようにして湾曲部分31a,32aを通過した台車4、ひいては、そこに載置した成型ドラム3はその後、並進駆動装置D1,D2により、それぞれの作業ステーションF1〜F8へ、前述したように、順次に直線状に間欠送り走行され、各ステーションで、成型ドラム3上への所定の作業が行われる。
一方、一台の台車4の牽引走行を終了してその台車4から解放されたキャリア37は、ローラコンベア34の逆転走行に基づいて、往動変位で辿った経路と同一の経路を経て、元の位置まで復動変位され、そこで次の同様の牽引走行を待機する。
かくしてここでは、台車4を、オーバル型のエンドレス移動経路の湾曲部分に走行させるための、モータその他の駆動手段をその台車4に設けることが不要であり、このことはキャリア37についても同様であるので、台車およびキャリアそれ自体の構造を簡単にするとともに、それらを小型化することができ、しかも、旋回駆動装置全体としての構造をもまた簡単なものとするとともに、設備コストおよびランニングコストを有効に低減させることができる。
以上この発明の実施の形態を図面に示すところに基づいて説明したが、台車に対してはタイヤ成型ドラム以外のものを載置することもでき、また、台車単独で旋回走行させることもできる。
タイヤ成型システムの実施形態を示す略線平面図である。 無端レールおよび車輪を示す部分断面正面図である。 旋回駆動装置の実施形態を示す要部拡大平面図である。 図3のA−A線に沿う断面図である。 耐摩耗性樹脂材料の拡大断面図である。 図3のB−B線に沿う断面図である。 旋回駆動方法の実施形態を示す工程図である。
符号の説明
1 タイヤ成型システム
3 成型ドラム
4 台車
5 エンドレス移動経路
10 生タイヤ
31,32 無端レール
31a,32a 円弧状湾曲部分
33 車輪
34 ローラチェーン
34a ローラ
35,36 スプロケット
37 キャリア
37a 掛合孔
38 チェーン
39 モータ
40 重量支持ロール
41 チェーンガイド
42 耐摩耗性樹脂材料
43 掛合ピン
44 位置決め手段
45 空圧シリンダ
46 位置決めピン
47 切欠
48 加圧空気供給手段
D1,D2 並進駆動手段
D3,D4 駆動装置
F1〜F8 作業ステーション

Claims (10)

  1. オーバル型のエンドレス移動経路の湾曲部分で、台車を、レールの案内下で駆動走行させるに当り、台車の、グランド側への位置決め固定状態で、その台車をキャリアに掛合させ、次いで、台車の、グランド側への固定を解除するとともに、その台車を、キャリアによって湾曲部分の全長にわたって牽引走行させ、その後、台車を、グランド側へ再び位置決め固定するとともに、台車のキャリアへの掛合を解除する台車の旋回駆動方法。
  2. キャリアを、ローラチェーンの走行駆動に基づいて、同一の経路を辿って往復運動させる請求項1に記載の台車の旋回駆動方法。
  3. 台車の、グランド側への位置決めを、グランド側から進退変位される位置決めピンの、台車への嵌合により行い、台車とキャリアとの掛合を、台車側から進退変位される掛合ピンの、キャリアへの嵌合により行う請求項1もしくは2に記載の台車の旋回駆動方法。
  4. 往動変位によって台車を牽引走行させたキャリアを、元位置まで復動変位させる請求項1〜のいずれかに記載の台車の旋回駆動方法。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載した台車の旋回駆動方法を実施するための装置であって、
    湾曲部分に沿って、その全長にわたって水平面内で走行駆動されるエンドレスのローラチェーンを、ローラ軸線を垂直姿勢として配設するとともに、そのローラチェーンに、台車に対して掛脱可能な一個以上のキャリアを取付けてなる台車の旋回駆動装置。
  6. ローラチェーンに、それのチェーンリンクの所定ピッチ毎に重量支持ロールを取付けてなる請求項に記載の台車の旋回駆動装置。
  7. 湾曲部分に沿って延びるローラチェーンの少なくとも湾曲の内側で、チェーンガイドの、チェーンとの接触個所に、ローラと接触する耐摩耗性樹脂材料を配設してなる請求項もしくはに記載の台車の旋回駆動装置。
  8. ローラチェーンを内外一対のレール間に延在させるとともに、ローラチェーンの駆動系をそれらのレール間に配設してなる請求項5〜7のいずれかに記載の台車の旋回駆動装置法。
  9. 台車の進行方向に対し、湾曲部分への入口の後方側部分および、出口の前方側部分のそれぞれに、グランド側から進退変位して台車に掛脱する位置決めピンと、台車の掛合ピン作動シリンダに対して接続分離する、グランド側の加圧空気供給手段との両者を配設してなる請求項5〜8のいずれかに記載の台車の旋回駆動装置。
  10. 請求項5〜9のいずれかに記載した台車の旋回駆動装置を用いたタイヤ成型システムであって、
    台車に、タイヤ成型ドラムを位置決め載置するとともに、オーバル型のエンドレス移動経路の直線状部分に整列する複数台の台車のそれぞれを、一定の距離にわたって同時に間欠送りする一の並進駆動手段を設けるとともに、それぞれの台車の停止位置と対応する位置に、タイヤ成型ドラムに対して所定の作業を行うそれぞれの作業ステーションを設けてなるタイヤ成型システム。
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