JP4382295B2 - ウレアーゼ不活性化組成物及び飲食品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、尿素の加水分解を触媒するウレアーゼを不活性化する組成物及び飲食品に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、パーオキシダーゼ、チオシアン酸及び過酸化水素を有効成分とするウレアーゼ不活性化組成物及び飲食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
ウレアーゼは尿素を加水分解してアンモニアと二酸化炭素を生成する酵素であり、植物や微生物に広く分布することが知られている。
【0003】
ヒトでは肝臓で生成された尿素の約20%は循環によって腸管に達し、さらに腸管の内部に拡散して細菌のウレアーゼによる分解を受け、その結果、アンモニアが合成される。ヒトの肝性脳症や肝性昏睡は、重度の肝機能不全状態においてアンモニアを解毒できず、血中に残存する高レベルのアンモニアによって脳が障害される疾患である[マイクロバイオロジカル・レビューズ(Microbiological Reviews)、第53巻、第85乃至108頁、1989年]。肝性脳症や肝性昏睡の発病機構は完全に解明されてはいないが、腸管に存在する尿素分解性細菌が産生するアンモニアの関与が示唆されている。微生物のウレアーゼによって産生されるアンモニアは腸内腐敗産物の一種でもあり、多量のアンモニアは宿主に対して毒性を示し、老化を早める要因になると考えられている(腸内細菌学、光岡友足編、朝倉書店、第102及び401頁、1990年)。
【0004】
微生物のウレアーゼは、病原因子および宿主への定着因子としても機能することが知られている[マイクロバイオロジカル・レビューズ(Microbiological Reviews)、第59巻、第451乃至480頁、1995年]。胃炎や胃潰瘍の原因菌であるヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)のウレアーゼは、尿素を分解してアンモニアを発生させることで胃酸を中和する役割を担っている。乳児のおむつかぶれの原因の一つには、糞便細菌のウレアーゼが尿中の尿素を分解してアンモニアを発生させ、その結果、おむつのpHが上昇し、糞便中の各種蛋白分解酵素や脂質分解酵素が活性化されることが明らかにされている[ペディアトリック・ダーマトロジー(Pediatric Dermatology)、第3巻、第102乃至106頁、1986年]。さらに、微生物のウレアーゼは、失禁症の大人のおむつから発生する悪臭(アンモニア臭)の原因となることも報告されている[ゲロントロジー(Gerontology)、第30巻、第261乃至266頁、1984年]。
【0005】
従って、ウレアーゼの効率的な不活性化は健康の維持、感染症の予防に有効であると考えられる。
【0006】
特開平8−19595号公報では、植物由来のウレアーゼ阻害物質からなるアンモニア発生防止剤(以下、従来技術1と記載する。)が開示されている。しかし、従来技術1のアンモニア発生防止剤では、食品や医薬品としての応用例は無く、経口的に摂取することによる体内のアンモニアの低減効果は一切記載されていない。特開平7−118153号公報では、抗ウレアーゼ剤(以下、従来技術2と記載する。)が開示されているが、化学合成された化合物であり、長期間投与の点で副作用などが問題となっていた。
【0007】
このような状況から、少量でウレアーゼを不活化し、しかも安全で副作用が少ない、日常の食生活から摂取することが可能なウレアーゼを不活性化する食品の開発が望まれていた。
【0008】
パーオキシダーゼは微生物、植物及び動物に広く分布する酵素である[H.シーゲルおよびA.シーゲル編、メタル・イオンズ・イン・バイオロジカル・システムズ(Metal Ions in Biological Systems)、マルセル デッカー、ニューヨーク、第25乃至75頁、1994年]。補酵素としてヘムを含有するラクトパーオキシダーゼは、母乳や牛乳など、哺乳類の乳に存在し、動物の組織や体液に広く含有されるチオシアン酸を過酸化水素の存在下で酸化して抗菌物質である次亜チオシアン酸を生成させる。またミエロパーオキシダーゼは、哺乳類の白血球の一種である好中球のアズール顆粒に含有されており、貪食胞にアズール顆粒が融合して形成されるファゴリソソームの中で、過酸化水素の酸化力を利用して塩素イオンから抗菌物質である次亜塩素酸を生成する。
【0009】
ラクトパーオキシダーゼ及びミエロパーオキシダーゼの抗菌・抗ウィルスの作用機構として、微生物の酵素の不活性化が報告されており、例えば、細菌の呼吸鎖の酵素を不活性化すること[フェムス・マイクロバイオロジー・レターズ(FEMS Microbiology Letters)、第10巻、第67乃至70頁、1981年]が知られている。また、ラクトパーオキシダーゼは、解糖系の酵素であるヘキソキナーゼを不活性化し[バイオキミカ・エト・バイオフィジカ・アクタ(Biochimica et Biophysica Acta)、第658巻、第238乃至247頁、1981年]、ミエロパーオキシダーゼは、インフルエンザ・ウィルスのシアリダーゼを不活性化することが明らかにされている[ジャーナル・オブ・インフェクシャス・ディシージーズ(Journal of Infectious Diseases)、第164巻、第8乃至14頁、1991年]。
【0010】
これらパーオキシダーゼは、パーオキシダーゼ、チオシアン酸および過酸化水素からなる反応系によって様々な効果を発揮している。例えばパーオキシダーゼ−チオシアン酸イオン及び又はハロゲノイオン−過酸化水素系を含む乳酸菌発酵食品の製造法(特開昭62−228224号公報)、二酵素系歯みがき(特公平4−25924号公報)、殺菌剤組成物(特開平1−61427号公報)など、すでに多様な用途への応用が開示されている。
【0011】
しかしながら、これらパーオキシダーゼ、チオシアン酸および過酸化水素からなる反応系がウレアーゼを不活性化させるという報告は未だなされていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、ヒトの健康及び感染症におけるウレアーゼとの因果関係、及びその重要性に注目し、安全性且つ経済性の観点から天然に存在する安価な物質でウレアーゼを不活性化する方法について鋭意研究を行っていたところ、パーオキシダーゼ、チオシアン酸および過酸化水素の反応系によるウレアーゼの不活性化機構を発見した。その結果、パーオキシダーゼ、チオシアン酸および過酸化水素のいずれか一つ又は二つの組み合わせでは、ウレアーゼを不活性化する効果は確認されなかったにもかかわらず、三つを組み合わせた系により、ウレアーゼを効果的に不活性化させる性質を見出し、この発明を完成させた。
【0013】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、安全性に優れ、効果的にウレアーゼを不活性化するウレアーゼ不活性化組成物及び飲食品を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の第一の発明は、パーオキシダーゼ、チオシアン酸及び過酸化水素を有効成分とするウレアーゼ不活性化組成物である。
【0015】
前記課題を解決する本発明の第一の発明における望ましい態様は、パーオキシダーゼがラクトパーオキシダーゼ又はミエロパーオキシダーゼのいずれかであることである。
【0016】
前記課題を解決する本発明の第二の発明は、パーオキシダーゼ、チオシアン酸及び過酸化水素を有効成分とするウレアーゼ不活性化飲食品である。
【0017】
前記課題を解決する本発明の第二の発明における第一の望ましい態様は、パーオキシダーゼがラクトパーオキシダーゼ又はミエロパーオキシダーゼのいずれかであることである。
【0018】
前記課題を解決する本発明の第二の発明における第二の望ましい態様は、チオシアン酸が植物から供給されることである。
【0019】
前記課題を解決する本発明の第二の発明における第三の望ましい態様は、過酸化水素が微生物によって産生されること、及び該微生物が乳酸菌であることである。
【0020】
前記課題を解決する本発明の第二の発明における第四の望ましい態様は、飲食品が発酵乳であることである。
次に、本発明について具体的に説明する。
【0021】
【発明の実施の形態】
本明細書において百分率(%)は、特に断りのない限り重量による表示である。また、特に低い濃度の表示には百万分率(ppm)を用いる。
【0022】
本発明に使用されるパーオキシダーゼは、哺乳類のヘム・パーオキシダーゼであれば、どのような動物の体液や組織から分離されたものでも可能であるが、中でもラクトパーオキシダーゼ及びミエロパーオキシダーゼが好ましく、特に牛乳から分離されたラクトパーオキシダーゼが最も安価に得られるので好適である。
【0023】
ラクトパーオキシダーゼの製造は、例えば生菌含有液状組成物(特開平5−41981公報)に開示された方法のように未加熱のホエーまたは脱脂乳から工業的に製造することが好ましく、更に、市販の天然物由来のラクトパーオキシダーゼ、又は組換え型ラクトパーオキシダーゼ{例えば、シンらの方法[バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニュケーションズ(Biochemical and Biophysical Research Communications)、第271巻、第831乃至836頁、2000年]によって発現・精製された組換え型ラクトパーオキシダーゼ、又は市販の組換え型ラクトパーオキシダーゼ}を使用することも可能である。
【0024】
ミエロパーオキシダーゼは、例えばモリタらの方法[ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistry)、第99巻、第761乃至770頁、1986年]によって、血液中の好中球から精製されたミエロパーオキシダーゼが好ましいが、更に、市販の天然物由来のミエロパーオキシダーゼ、又は組換え型ミエロパーオキシダーゼ{例えば、シンらの方法[バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニュケーションズ(Biochemical and Biophysical Research Communications)、第271巻、第831乃至836頁、2000年]によって発現・精製された組換え型ミエロパーオキシダーゼ、又は市販の組換え型ミエロパーオキシダーゼ}を使用することも可能である。
【0025】
本発明に使用されるチオシアン酸には、チオシアン酸の薬学的に許容される塩類、哺乳類の乳に含有されるチオシアン酸、並びにキャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、及びカブ等の1種又は2種以上から選択される野菜に含有されるチオシアン酸など、様々な形態のチオシアン酸を利用することが可能である。尚、食品への使用に関しては、安全性の面を考慮すると、チオシアン酸は植物から供給されることが好ましく、特に野菜を磨り潰す又はミキサーなどで粉砕することなどによって液状化して調製された野菜汁を使用してウレアーゼ不活性化飲食品を製造することが特に好ましい。
【0026】
本発明に使用される過酸化水素は、試薬の過酸化水素及び過酸化水素塩、並びに低い酸化還元電位を持つため酸素分子を還元することによって過酸化水素の発生源となるヒドロキシヒドロキノン等のポリフェノール、並びにグルコースオキシダーゼ及びキサンチンオキシダーゼ等のオキシダーゼとその基質であるグルコース及びキサンチン等から生成される過酸化水素、並びにラクトバシルス(Lactobacillus)及びストレプトコッカス(Streptococcus)等が産生する過酸化水素など、パーオキシダーゼが基質として利用できる過酸化水素であればよいが、食品への使用に関しては、安全性の面を考慮すると、過酸化水素は乳酸菌から供給されることが好ましい。
【0027】
パーオキシダーゼ、過酸化水素およびチオシアン酸の反応系によるウレアーゼの不活性化の効果を調べるために使用するウレアーゼは、植物由来のウレアーゼ、及び微生物由来のウレアーゼ等を使用することが可能である。
【0028】
本発明のウレアーゼ不活性化組成物は、ウレアーゼが触媒する尿素の加水分解によって発生するアンモニアを低減する目的で、おむつの吸収剤に添加したり、トイレやペットの消臭剤に添加して、製品として製造することが可能である。
【0029】
本発明のウレアーゼ不活性化飲食品は、ウレアーゼが触媒する尿素の加水分解によって発生するアンモニアが原因で起こると考えられる健康へのリスク、感染症、悪臭発生など、体内のアンモニアを低減させる目的で摂取することが可能であり、例えば、加工乳、コーヒー飲料、及び流動食などの液状食品、並びにヨーグルト(プレーンヨーグルト、フルーツヨーグルト、ハードヨーグルト、ドリンクヨーグルト、フローズンヨーグルト)を中心とした発酵乳などのペースト状及びゲル状の食品で行われることを望ましい態様としている。
【0030】
尚、本発明のウレアーゼ不活性化組成物及び飲食品を製造するにあたっては、本発明の有効成分の供給源の如何に関わらず、ウレアーゼの残存活性が50%以下となるような効果を示すことが好ましい。植物由来のウレアーゼを不活性化するためには、パーオキシダーゼが0.13ppm以上、チオシアン酸が1.2ppm以上、及び過酸化水素が0.31ppm以上含有することが望ましく、また、微生物由来のウレアーゼを不活性化するためには、パーオキシダーゼが0.06ppm以上、チオシアン酸が1.2ppm以上、及び過酸化水素が0.63ppm以上含有することが望ましいが、ウレアーゼ不活性化組成物及び飲食品を製造するにあたっては、パーオキシダーゼが0.13ppm以上、チオシアン酸が1.2ppm以上、及び過酸化水素が0.63ppm以上含有することが特に望ましい。
次に試験例を示して本発明を詳細に説明する。
【0031】
試験例1
この試験は、パーオキシダーゼ、チオシアン酸および過酸化水素を含む組成物による、植物由来のウレアーゼに対する不活性化作用を調べるために行った。
(1)試料の調製
植物由来のウレアーゼであるナタ豆ウレアーゼ、パーオキシダーゼ、チオシアン酸、及び過酸化水素の各試料は以下のとおり調製した。
【0032】
即ち、植物由来のウレアーゼは、ナタ豆から精製されたウレアーゼ(和光純薬社製。以下、ナタ豆ウレアーゼ溶液と記載する。)を100ミリ単位/mlの濃度となるように、50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)に溶解して調製した。パーオキシダーゼは、精製ウシラクトパーオキシダーゼ(シグマ社製。以下、ラクトパーオキシダーゼ溶液と記載する。)を、160ppmの濃度になるように50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)に溶解してラクトパーオキシダーゼ溶液とし、また、ヒトミエロパーオキシダーゼ(アテンズ・リサーチ・アンド・テクノロジー社製。以下、ミエロパーオキシダーゼ溶液と記載する。)を160ppmの濃度になるように50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)に溶解してミエロパーオキシダーゼ溶液として調製した。チオシアン酸は、チオシアン酸ナトリウムを500ppmの濃度になるように溶解して、チオシアン酸ナトリウム溶液を調製した。過酸化水素は、200ppmの濃度になるように、50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)に溶解して調製した。
【0033】
(2)試験方法
12穴マイクロタイタープレート(ファルコン社製)に、ナタ豆ウレアーゼ溶液を0.2ml添加し、次に、ラクトパーオキシダーゼ溶液を0.1ml、チオシアン酸ナトリウム溶液を0.2mlおよび50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)1.3mlをそれぞれ添加し、試験群1aとした。これとは別に、試験群1aのラクトパーオキシダーゼ溶液の代わりに、ミエロパーオキシダーゼ溶液を0.1mlを添加して行った試験を試験群1bとした。次に、マイクロタイタープレートを37℃で10分間予備的に加温し、最後に、過酸化水素溶液を0.2ml添加した。この溶液の最終容量は2mlであり、8ppmのパーオキシダーゼ、50ppmのチオシアン酸ナトリウム、及び20ppmの過酸化水素を含む。尚、対照試験として、パーオキシダーゼ、チオシアン酸、過酸化水素のいずれの成分も添加していない条件である、試験群1aのラクトパーオキシダーゼ溶液、試験群1bのミエロパーオキシダーゼ溶液、チオシアン酸ナトリウム溶液、及び過酸化水素溶液を、すべて50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)に変更して添加した条件で、同様の試験を行って、対照試験群1とした。各溶液を添加してから1時間経過した時点で、10ミリモルアジ化ナトリウム溶液を2ml混合することによってパーオキシダーゼ反応を停止した。この溶液に残存したウレアーゼ活性を、タケベらの方法[ケミカル・アンド・ファーマシューティカル・ブレティン(Chemical and Pharmaceutical Bulletin)、第36巻、第693乃至699頁、1988年]に従って測定した。ウレアーゼ活性は、パーオキシダーゼ、チオシアン酸、過酸化水素のいずれの成分も添加していない条件でインキュベートした場合の活性に対する残存活性として求め、試験を3回実施して平均値を計算した。
【0034】
(3)試験結果
この試験の結果は表1に示すとおりである。表1は、パーオキシダーゼ、チオシアン酸、過酸化水素を含む組成物のナタ豆由来のウレアーゼに対する作用を示した表である。8ppmパーオキシダーゼ、20ppm過酸化水素および50ppmチオシアン酸から構成される試験群1a及び試験群1bは、ナタ豆由来のウレアーゼの残存活性を完全に消失させた。ウレアーゼ活性は、アジ化ナトリウムを添加することによってパーオキシダーゼ反応を停止した後に測定したため、ウレアーゼは不活性化されたことが判明した。更に、パーオキシダーゼ、チオシアン酸、過酸化水素を含む組成物を含有しない対照試験群1は、ウレアーゼの不活性化が認められなかったことから、ウレアーゼの不活性化には、パーオキシダーゼ、チオシアン酸、過酸化水素を含む組成物が必須であり、その際、パーオキシダーゼはラクトパーオキシダーゼ又はミエロパーオキシダーゼのいずれにおいても、ウレアーゼを不活性化させることが判明した。
【0035】
【表1】
【0036】
試験例2
この試験は、パーオキシダーゼ、チオシアン酸および過酸化水素を含む組成物による、微生物由来のウレアーゼに対する不活性化作用を調べるために行った。
(1)試料の調製
微生物由来のウレアーゼは以下のとおり調製した。即ち、ヘリコバクター・ピロリ菌ATCC43504株はヤマザキらの方法[ジャーナル・オブ・インフェクション・アンド・ケモセラピー(Journal of Infection and Chemotherapy)、第3巻、第85乃至89頁、1997年]に従って培養し、6000×g、15分間、5℃の条件で遠心分離することによってヘリコバクター・ピロリ菌体画分を回収し、更に菌体に50ミリモルのリン酸緩衝液(pH6.6)を加えて懸濁した。このとき、菌体懸濁液に含有されるウレアーゼの活性は54.5ミリ単位/mlであり、これをヘリコバクター・ピロリ菌由来のウレアーゼ溶液(以下、ピロリ菌ウレアーゼ溶液と記載する。)とした。
【0037】
また、ラクトパーオキシダーゼ溶液、ミエロパーオキシダーゼ溶液、チオシアン酸ナトリウム溶液、及び過酸化水素溶液については、試験例1と同様に試料を調製した。
【0038】
(2)試験方法
この試験は、試験例1の試験群1a及び試験群1bのナタ豆ウレアーゼ溶液をピロリ菌ウレアーゼ溶液に変更した以外は、同様の方法によって試験を行い、試験群1a及び試験群1b に対応する試験群を、それぞれ試験群2a及び試験群2b とした。また、対照試験は対照試験群1と同様に行い、対照試験群2とした。
【0039】
(3)試験結果
この試験の結果は表2に示すとおりである。表2は、パーオキシダーゼ、チオシアン酸、過酸化水素を含む組成物の微生物由来のウレアーゼに対する作用を示した表である。その結果、試験群2a及び試験群2bは、ヘリコバクター・ピロリ菌由来のウレアーゼの残存活性を完全に消失させた。更に、パーオキシダーゼ、チオシアン酸、過酸化水素を含む組成物を含有しない対照試験群2は、ウレアーゼの不活性化が認められなかった。
【0040】
従って、パーオキシダーゼ、チオシアン酸、過酸化水素を含む組成物は、微生物由来のウレアーゼに対して不活性化の作用を示すことが判明した。
【0041】
【表2】
【0042】
試験例3
この試験は、ラクトパーオキシダーゼの濃度と植物由来のウレアーゼの不活性化効果との関係を調べるために行った。
(1)試料の調製
パーオキシダーゼとして、ラクトパーオキシダーゼを使用し、ラクトパーオキシダーゼの濃度が、160、20、10、5、2.6、1.2、0.6及び0.3ppmとなるように50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)を使用して希釈した溶液を調製し、それぞれ試料1a、試料1b、試料1c、試料1d、試料1e、試料1f、試料1g、及び試料1hとした。植物由来のウレアーゼ溶液として用いるナタ豆ウレアーゼ溶液、チオシアン酸ナトリウム溶液、及び過酸化水素溶液は、試験例1と同様の濃度にそれぞれ調製した。
【0043】
(2)試験方法
この試験は、試験例1の試験群1aのラクトパーオキシダーゼ溶液を試料1a乃至試料1hに変更した以外は同様の方法で行い、試料1a乃至試料1hを用いた試験群をそれぞれ試験群3a乃至試験群3hとした。試験群3a乃至試験群3hのラクトパーオキシダーゼの最終濃度は、それぞれ8、1、0.5、0.25、0.13、0.06、0.03、及び0.016ppmである。また、対照試験は、試料1aを50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)に変更して同様に試験を行い、対照試験群3とした。
【0044】
(3)試験結果
この試験の結果は表3に示すとおりである。表3はラクトパーオキシダーゼの濃度による植物由来のウレアーゼの不活性化の割合を示す表である。その結果、植物由来のウレアーゼを不活性化する好ましい活性である、ウレアーゼ残存活性が50%以下となる活性を得るためには、ラクトパーオキシダーゼの濃度は0.13ppmであればよいと考えられる。
【0045】
【表3】
【0046】
試験例4
この試験は、ラクトパーオキシダーゼの濃度と微生物由来のウレアーゼの不活性化効果との関係を調べるために行った。
(1)試料の調製
試験例3の試料1a乃至試料1hを使用し、さらに微生物由来のウレアーゼ溶液は、試験例2のピロリ菌ウレアーゼ溶液と同様に調製した。チオシアン酸ナトリウム溶液及び過酸化水素溶液は、試験例1と同様に調製した。
【0047】
(2)試験方法
この試験は、試験例3のナタ豆ウレアーゼ溶液をピロリ菌ウレアーゼ溶液に変更した以外は試験例3と同様に試験を行い、試料1a乃至試料1hを用いた試験群をそれぞれ試験群4a乃至試験群4hとした。また、対照試験は、試料1aを50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)に変更して同様に試験を行い、対照試験群4とした。
【0048】
(3)試験結果
この試験の結果は表4に示すとおりである。表4はラクトパーオキシダーゼの濃度による微生物由来のウレアーゼの不活性化の割合を示す表である。その結果、微生物由来のウレアーゼを不活性化する好ましい活性である、ウレアーゼ残存活性が50%以下となる活性を得るためには、ラクトパーオキシダーゼの濃度は0.06ppmであればよいと考えられる。
【0049】
【表4】
【0050】
試験例5
この試験は、チオシアン酸の濃度と植物由来のウレアーゼの不活性化効果との濃度の関係を調べるために行った。
(1)試料の調製
チオシアン酸としてチオシアン酸ナトリウムを用いて、チオシアン酸の濃度が500、125、63、31、16、7.8、及び3.9ppmとなるように50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)を使用して希釈した溶液を調製し、それぞれ試料2a、試料2b、試料2c、試料2d、試料2e、試料2f、及び試料2gとした。植物由来のウレアーゼ溶液として使用するナタ豆ウレアーゼ溶液、ラクトパーオキシダーゼ溶液、及び過酸化水素溶液は、試験例1と同様に調製した。
【0051】
(2)試験方法
この試験は、試験例1の試験群1aのチオシアン酸ナトリウム溶液を試料2a乃至試料2gに変更した以外は同様の方法で行い、試料2a乃至試料2gを用いた試験群をそれぞれ試験群5a乃至試験群5gとした。試験群5a乃至試験群5gのチオシアン酸の最終濃度は、それぞれ50、12.5、6.3、3.1、1.6、0.78、及び0.39ppmである。また、対照試験は、試料2aを50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)に変更して同様に試験を行い、対照試験群5とした。
【0052】
(3)試験結果
この試験の結果は表5に示すとおりである。表5はチオシアン酸の濃度による植物由来のウレアーゼの不活性化の割合を示す表である。その結果、植物由来のウレアーゼを不活性化する好ましい活性である、ウレアーゼ残存活性が50%以下となる活性を得るためには、チオシアン酸の濃度は1.6ppmであればよいと考えられる。
【0053】
【表5】
【0054】
試験例6
この試験は、チオシアン酸の濃度と微生物由来のウレアーゼの不活性化効果との濃度の関係を調べるために行った。
(1)試料の調製
試験例5の試料2a乃至試料2gを使用し、さらに微生物由来のウレアーゼ溶液は、試験例2のピロリ菌ウレアーゼ溶液と同様に調製した。ラクトパーオキシダーゼ溶液及び過酸化水素溶液は、試験例1と同様に調製した。
【0055】
(2)試験方法
この試験は、試験例5のナタ豆ウレアーゼ溶液をピロリ菌ウレアーゼ溶液に変更した以外は試験例5と同様に試験を行い、試料2a乃至試料2gを用いた試験群をそれぞれ試験群6a乃至試験群6gとした。また、対照試験は、試料2aを50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)に変更して同様に試験を行い、対照試験群6とした。
【0056】
(3)試験結果
この試験の結果は表6に示すとおりである。表6はチオシアン酸の濃度による微生物由来のウレアーゼの不活性化の割合を示す表である。その結果、微生物由来のウレアーゼを不活性化する好ましい活性である、ウレアーゼ残存活性が50%以下となる活性を得るためには、チオシアン酸の濃度は1.6ppmであればよいと考えられる。
【0057】
【表6】
【0058】
試験例7
この試験は、過酸化水素の濃度と植物由来のウレアーゼの不活性化効果との関係を調べるために行った。
(1)試料の調製
過酸化水素の濃度が50、25、12.5、6.3、3.1、1.6、及び0.8ppmとなるように50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)を使用して希釈した溶液を調製し、それぞれ試料3a、試料3b、試料3c、試料3d、試料3e、試料3f、及び試料3gとした。植物由来のウレアーゼ溶液として使用するナタ豆ウレアーゼ溶液、ラクトパーオキシダーゼ溶液、及びチオシアン酸ナトリウム溶液は、試験例1と同様に調製した。
【0059】
(2)試験方法
この試験は、試験例1の試験群1aの過酸化水素溶液を試料3a乃至試料3gに変更した以外は同様の方法で行い、試料3a乃至試料3gを用いた試験群をそれぞれ試験群7a乃至試験群7gとした。試験群7a乃至試験群7gの過酸化水素の最終濃度は、それぞれ20、2.5、1.25、0.63、0.31、0.16、及び0.08ppmである。また、対照試験は、試料3aを50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)に変更して同様に試験を行い、対照試験群7とした。
【0060】
(3)試験結果
この試験の結果は表7に示すとおりである。表7は過酸化水素の濃度による植物由来のウレアーゼの不活性化の割合を示す表である。その結果、植物由来のウレアーゼを不活性化する好ましい活性である、ウレアーゼ残存活性が50%以下となる活性を得るためには、過酸化水素の濃度は0.31ppmであればよいと考えられる。
【0061】
【表7】
【0062】
試験例8
この試験は、過酸化水素の濃度と微生物由来のウレアーゼの不活性化効果との関係を調べるために行った。
(1)試料の調製
試験例7の試料3a乃至試料3gを使用し、さらに微生物由来のウレアーゼ溶液は、試験例2のピロリ菌ウレアーゼ溶液と同様に調製した。ラクトパーオキシダーゼ溶液及びチオシアン酸ナトリウム溶液は、試験例1と同様に調製した。
【0063】
(2)試験方法
この試験は、試験例7のナタ豆ウレアーゼ溶液をピロリ菌ウレアーゼ溶液に変更した以外は試験例7と同様に試験を行い、試料3a乃至試料3gを用いた試験群をそれぞれ試験群8a乃至試験群8gとした。また、対照試験は、試料3aを50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)に変更して同様に試験を行い、対照試験群8とした。
【0064】
(3)試験結果
この試験の結果は表8に示すとおりである。表8は過酸化水素の濃度による微生物由来のウレアーゼの不活性化の割合を示す表である。その結果、微生物由来のウレアーゼを不活性化する好ましい活性である、ウレアーゼ残存活性が50%以下となる活性を得るためには、過酸化水素の濃度は0.63ppmであればよいと考えられる。
【0065】
【表8】
【0066】
参考例1
キャベツ1kgを家庭用ミキサーにかけ、粉砕して得られた液体を濾紙で濾過することによって野菜汁を作成した。この野菜汁のチオシアン酸濃度をバスらの方法[インディアン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー・アンド・ファーマコロジー(Indian Journal of Physiology and Pharmacology)、第30巻、第241乃至247頁、1986年]を用いて測定したところ、48ppmであった。
【0067】
試験例9
この試験は、植物由来のウレアーゼの不活性化における、植物由来のチオシアン酸供給能を調べるために行った。
(1)試料の調製
参考例1の野菜汁に、50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)を添加して、40、20、10、5、及び2.5%野菜汁を調製し、それぞれ試料4a、試料4b、試料4c、試料4d、及び試料4eとした。また、植物由来のウレアーゼ溶液として使用するナタ豆ウレアーゼ溶液、ラクトパーオキシダーゼ溶液、及び過酸化水素溶液は、試験例1と同様に調製した。
【0068】
(2)試験方法
この試験は、試験例1の試験群1aの方法と同様に行い、試料4a乃至試料4eを使用する試験群をそれぞれ試験群9a乃至試験群9eとした。具体的な試験方法は以下のとおりである。即ち、12穴マイクロタイタープレート(ファルコン社製)に、試料4a乃至試料4eをそれぞれ1ml添加し、次いで、ナタ豆ウレアーゼ溶液を0.2ml、ラクトパーオキシダーゼ溶液を0.1ml添加した。更に、50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)を0.5ml添加した後、マイクロタイタープレートを37℃で10分間予備的に加温して、最後に、過酸化水素溶液を0.2ml添加した。この反応系における試験群9a乃至試験群9eの野菜汁の最終濃度は、それぞれ20、10、5、2.5、及び1.3%である。各溶液を添加してから1時間経過した時点で、10ミリモルアジ化ナトリウム溶液を2ml混合することによってパーオキシダーゼ反応を停止して、残存したウレアーゼ活性を測定した。また、対照試験は、試料4a乃至試料4eの代わりに、50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)を1ml添加して、同様の試験を行って対照試験群9とした。
【0069】
(3)試験結果
この試験の結果は表9に示すとおりである。表9は、野菜汁に含まれるチオシアン酸による植物由来のウレアーゼの不活性化の割合を示す表である。その結果、チオシアン酸の代わりに野菜汁を添加すると、植物由来のウレアーゼは不活性化されることが確認された。従って、チオシアン酸の供給源として植物を利用することが可能であると判明した。また、植物由来のウレアーゼを不活性化する好ましい活性である、ウレアーゼ残存活性が50%以下となる活性を得るためには、チオシアン酸の供給源として植物を利用した場合、2.5%以上の野菜汁を含有し、その際のチオシアン酸の濃度は1.2ppm以上であればよいと考えられる。
【0070】
【表9】
【0071】
試験例10
この試験は、微生物由来のウレアーゼの不活性化における、植物由来のチオシアン酸供給能を調べるために行った。
(1)試料の調製
微生物由来のウレアーゼとして使用するピロリ菌ウレアーゼ溶液は、試験例2と同様に調製した。また、試験例9のナタ豆ウレアーゼ溶液をピロリ菌ウレアーゼ溶液に変更した以外は、すべて試験例9で用いる試料を同様に調製した。
【0072】
(2)試験方法
この試験は、試験例9のナタ豆ウレアーゼ溶液をピロリ菌ウレアーゼ溶液に変更した以外は同様に行い、試料4a乃至試料4eを使用する試験群をそれぞれ試験群10a乃至試験群10eとした。また、対照試験として、対照試験群9のナタ豆ウレアーゼ溶液をピロリ菌ウレアーゼ溶液に変更した以外は同様に試験を行って、対照試験群10とした。
【0073】
(3)試験結果
この試験の結果は表10に示すとおりである。表10は、野菜汁に含まれるチオシアン酸による微生物由来のウレアーゼの不活性化の割合を示す表である。その結果、チオシアン酸の代わりに野菜汁を添加すると、微生物由来のウレアーゼは不活性化されることが確認された。従って、チオシアン酸の供給源として植物を利用することが可能であると判明した。また、微生物由来のウレアーゼを不活性化する好ましい活性である、ウレアーゼ残存活性が50%以下となる活性を得るためには、チオシアン酸の供給源として植物を利用した場合、2.5%以上の野菜汁を含有し、その際のチオシアン酸の濃度は1.2ppm以上であればよいと考えられる。
【0074】
【表10】
【0075】
試験例11
この試験は、植物由来のウレアーゼの不活性化における、乳酸菌由来の過酸化水素供給能を調べるために行った。
(1)試料の調製
乳酸菌は、市販のラクトバシラス・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)を使用した。乳酸菌を、2%乳糖を添加したMRS培地(ディフコ社製)に接種して42℃で12時間培養し、6000×g、15分間、5℃の条件で遠心分離することによって乳酸菌を回収し、4%グルコースを含む50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)に、109/mlになるように懸濁して、試料5aとした。更に、試料5aを、4%グルコースを含む50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)を108、107、及び106/mlとなるように希釈して、それぞれ試料5b、試料5c、及び試料5dとした。尚、乳酸菌の菌数は、乳酸菌懸濁液を生理食塩水で10倍ずつ希釈し、BCP加プレートカウント寒天培地(栄研化学社製)に混釈して37℃で3日間培養して、形成されるコロニーを数えることによって測定した。また、植物由来のウレアーゼ溶液として使用するナタ豆ウレアーゼ溶液、ラクトパーオキシダーゼ溶液、及びチオシアン酸ナトリウム溶液は、試験例1と同様に調製した。
【0076】
(2)試験方法
試料5a乃至試料5dを使用する試験群をそれぞれ試験群11a乃至試験群11dとして、以下の試験方法のとおり試験を行った。即ち、12穴マイクロタイタープレート(ファルコン社製)に、ナタ豆ウレアーゼ溶液を0.2ml添加し、次に、ラクトパーオキシダーゼ溶液を0.1ml、チオシアン酸ナトリウム溶液を0.2mlおよび50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)1.3mlをそれぞれ添加した。次に、マイクロタイタープレートを37℃で10分間予備的に加温し、最後に、試料5a乃至試料5dをそれぞれ0.2ml添加した。この反応系における、試験群11a乃至試験群11dの乳酸菌の最終含量は、それぞれ108、107、106、及び105/mlである。各溶液を添加してから1時間経過した時点で、10ミリモルアジ化ナトリウム溶液を2ml混合することによってパーオキシダーゼ反応を停止して、残存したウレアーゼ活性を測定した。また、対照試験は、試料5a乃至試料5dの代わりに、50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)を0.2ml添加して、同様の試験を行って対照試験群11とした。
【0077】
(3)試験結果
この試験の結果は表11に示すとおりである。表11は、乳酸菌が産生する過酸化水素による植物由来のウレアーゼの不活性化の割合を示す表である。その結果、乳酸菌が産生する過酸化水素によって、植物由来のウレアーゼは不活性化されることが確認された。従って、過酸化水素の供給源として乳酸菌を利用することが可能であると判明した。また、植物由来のウレアーゼを不活性化する好ましい活性である、ウレアーゼ残存活性が50%以下となる活性を得るためには、過酸化水素の供給源として乳酸菌を利用した場合、106/ml以上の乳酸菌を含有すればよいと考えられる。
【0078】
【表11】
【0079】
試験例12
この試験は、微生物由来のウレアーゼの不活性化における、乳酸菌由来の過酸化水素供給能を調べるために行った。
(1)試料の調製
微生物由来のウレアーゼとして使用するピロリ菌ウレアーゼ溶液は、試験例2と同様に調製した。また、試験例11のナタ豆ウレアーゼ溶液をピロリ菌ウレアーゼ溶液に変更した以外は、すべて試験例11で用いる試料を同様に調製した。
【0080】
(2)試験方法
この試験は、試験例11のナタ豆ウレアーゼ溶液をピロリ菌ウレアーゼ溶液に変更した以外は同様に行い、試料5a乃至試料5dを使用する試験群をそれぞれ試験群12a乃至試験群12dとした。また、対照試験として、対照試験群11のナタ豆ウレアーゼ溶液をピロリ菌ウレアーゼ溶液に変更した以外は同様に試験を行って、対照試験群12とした。
【0081】
(3)試験結果
この試験の結果は表12に示すとおりである。表12は、乳酸菌が産生する過酸化水素による微生物由来のウレアーゼの不活性化の割合を示す表である。その結果、乳酸菌が産生する過酸化水素によって、微生物由来のウレアーゼは不活性化されることが確認された。従って、過酸化水素の供給源として乳酸菌を利用することが可能であると判明した。また、微生物由来のウレアーゼを不活性化する好ましい活性である、ウレアーゼ残存活性が50%以下となる活性を得るためには、過酸化水素の供給源として乳酸菌を利用した場合、107/ml以上の乳酸菌を含有すればよいと考えられる。
【0082】
【表12】
【0083】
試験例13
この試験は、乳酸菌を使用して、発酵乳を製造した際の発酵乳中の過酸化水素濃度を測定するために行った。
【0084】
即ち、乳脂肪含量3.5%、無脂乳固形分含量9.2%の生乳10kgを均質化し、90〜92℃で10分間加熱殺菌した。約42℃に冷却し、スターターとして市販のストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)およびラクトバシラス・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)の牛乳カルチャーをそれぞれ100gずつ添加した。発酵タンク内で充分に攪拌し、42〜45℃で4時間静置して発酵させた。この発酵乳を攪拌しながら5〜8℃に冷却し、次いでホモゲナイザーで均質化することによって均質化発酵乳を得た。
【0085】
この発酵乳の過酸化水素濃度をギリランドの方法[ジャーナル・オブ・デイリー・サイエンス(Journal of Dairy Science)、第52巻、第321乃至324頁、1969年]で測定したところ、1.4ppmであった。
【0086】
試験例14
この試験は、本発明のウレアーゼ不活性化飲食品のウレアーゼ不活性化の効果、及びアンモニア濃度への影響を検討するために行った。
(1) 試料の調製
実施例1の(2)と同様の製造方法により製造したドリンクヨーグルトを試験試料とした。また、実施例1の(2)に記載の製造方法において、ラクトパーオキシダーゼ溶液および野菜汁の代わりに50ミリモルリン酸緩衝液(pH6.6)を添加して製造したドリンクヨーグルトを対照試料とした。
【0087】
(2) 試験方法
4週齢のBALB/C雌性マウス(日本エス・エル・シー社から購入)を10匹ずつ2群に分けて糞食防止ネットを配設したケージに入れ、固形飼料で一週間馴化飼育した。次に、水の代わりに試験試料を無菌パック(ムサシ社製)から一週間自由摂取させて飼育したマウスを試験試料群とした。また、試験試料の代わりに対照試料を摂取させて飼育したマウスを対照試料群とした。飼育終了後、各群のマウスを解剖して盲腸を摘出した。盲腸の内容物の重量を測定して、その10倍量の50ミリモルリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)を添加して均質化した。該均質化盲腸内容物の一部を、リングらの方法[ジャーナル・オブ・ニュートリション(Journal of Nutrition)、第124巻、第18乃至23頁、1994年]に従って抽出し、試験例1の試験群1aの方法を参考にしてウレアーゼ活性を測定した。ウレアーゼの活性は、1分当たり1マイクロモルの尿素を分解する量を1単位とし、蛋白質1mg当たりの単位数で表した。また、該均質化盲腸内容物の残りの一部について、アンモニアテスト・ワコー(和光純薬社製)を使用してアンモニア含量を測定した。
【0088】
(3) 試験結果
この試験の結果は、表13に示すとおりである。表13は、試験試料及び対照試料を摂取したマウスのウレアーゼ活性及びアンモニア濃度の変化を示した表である。その結果、対照試料群では52ミリ単位/mgのウレアーゼ活性と10.6ミリモルのアンモニアが検出された。このウレアーゼ活性は、腸内細菌に由来し、ウレアーゼによる尿素の分解でアンモニアが生成されたと考えられる。一方、試験試料群では、24ミリ単位/mgのウレアーゼ活性と8.7ミリモルのアンモニアが検出され、対照試料群に比して、ウレアーゼ活性及びアンモニア濃度が効果的に抑制された。従って、本発明のウレアーゼ不活性化飲食品は、ウレアーゼ活性及びアンモニア濃度の低減に有効であることが判明した。
【0089】
【表13】
【0090】
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0091】
【実施例】
実施例1
(1)ラクトパーオキシダーゼの製造
未加熱のホエー1000kgを、10リットルのCM−セファデックスC−50(ファルマシア社製)を充填したカラムに通液した。次いで水100kgでセファデックスゲルを洗浄し、0.3モル食塩を含む20ミリモルリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)20リットルを通液し、セファデックス樹脂に吸着したラクトパーオキシダーゼを溶出した。溶出液を分画分子量10,000の限外濾過膜(旭化成社製)で濃縮して脱塩した。得られた濃縮液約1リットルをメンブランカートリッジ(ナルゲン社製)で無菌濾過し、凍結乾燥して粉末状の無菌ラクトパーオキシダーゼ40gを得た。
【0092】
このラクトパーオキシダーゼ標品を、アクリルアミド濃度が10〜20%のSDS−ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動を行い、クマシーブリリアントブルーR250(シグマ社製)で染色して、画像処理装置(アトー社製)で分析したところ、純度は約50%であった。
【0093】
(2)パーオキシダーゼ、チオシアン酸および過酸化水素を含有するドリンクヨーグルトの製造
乳脂肪含量3.5%、無脂乳固形分含量9.2%の生乳10kgを均質化し、90〜92℃で10分間加熱殺菌した。約42℃に冷却し、スターターとして市販のストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)およびラクトバシラス・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)の牛乳カルチャーをそれぞれ100gずつ添加した。発酵タンク内で充分に攪拌し、42〜45℃で4時間静置して発酵させた。この発酵乳を攪拌しながら5〜8℃に冷却し、次いでホモゲナイザーで均質化することによって均質化発酵乳を調製した。
【0094】
次に、17%のグラニュウ糖(東洋精糖社製)液5kgにペクチン(三栄源FFI社製)60gを添加して、90〜92℃で10分間殺菌した後、5〜8℃に冷却して糖液を調製した。また、キャベツ3kgを家庭用ミキサーにかけて濾紙(ワットマン社製)で濾過し、90〜92℃で10分間殺菌した後、5〜8℃に冷却して野菜汁900gを調製した。更に、前記(1)で製造したラクトパーオキシダーゼ0.8gを水40gに溶解し、メンブラン・フィルター(ミリポア社製)で無菌濾過してラクトパーオキシダーゼ溶液を得た。
【0095】
これらの方法で調製した均質化発酵乳、糖液、野菜汁、及びラクトパーオキシダーゼ溶液のそれぞれ全量をタンク内で十分に混合し、100gずつ紙容器に充填した後、密封してドリンクヨーグルト100個を製造した。
【0096】
【発明の効果】
以上記載したとおり、本発明はパーオキシダーゼ、チオシアン酸および過酸化水素を有効成分とするウレアーゼ不活性化組成物及び飲食品に関するものであり、本発明により奏される効果は次のとおりである。
(1)天然に存在する物質から構成されるため、副作用がなく、安全性が高い。
(2)植物及び微生物由来のウレアーゼを効果的に不活性化する。
(3)ウレアーゼが触媒する尿素の加水分解によって発生するアンモニアを効果的に低減する。
(4)アンモニアが原因で起こる健康へのリスクや悪臭発生などの局面で摂取することによって、健康の維持に効果的である。
Claims (7)
- ラクトパーオキシダーゼ又はミエロパーオキシダーゼのいずれかと、チオシアン酸及び過酸化水素とを有効成分として含有する抗ウレアーゼ剤。
- ラクトパーオキシダーゼ又はミエロパーオキシダーゼのいずれかと、チオシアン酸及び乳酸菌とを有効成分として含有する、請求項1に記載の抗ウレアーゼ剤。
- 乳酸菌が106/ml〜109/mlの菌数で含有されている、請求項2に記載の抗ウレアーゼ剤。
- ラクトパーオキシダーゼ又はミエロパーオキシダーゼのいずれかと、野菜汁及び過酸化水素とを有効成分として含有する、請求項1に記載の抗ウレアーゼ剤。
- 野菜汁が2.5%〜20%の濃度で含有されている、請求項4に記載の抗ウレアーゼ剤。
- ラクトパーオキシダーゼ又はミエロパーオキシダーゼのいずれかと、野菜汁及び乳酸菌とを有効成分として含有する、請求項1〜5の何れかに記載の抗ウレアーゼ剤。
- 請求項1〜6の何れかに記載の抗ウレアーゼ剤を含んでなる、アンモニア発生防止剤。
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