JP4381579B2 - 親水耐久性と耐変色性とを兼備する親水性熱接着性繊維 - Google Patents

親水耐久性と耐変色性とを兼備する親水性熱接着性繊維 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、親水性能を有する熱接着性繊維に関し、さらに詳しくは、親水耐久性と耐変色性とを高水準にて兼備する、親水性熱接着性繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン単独からなる繊維、あるいはポリオレフィンを繊維表面の一部又は全部に露出させた複合繊維などの各種ポリオレフィン系繊維が提案されている。これらの繊維からなる不織布や織編物などの繊維製品は、化粧パフ、ウェットティッシュ、水切り袋などの家庭用や、湿布剤の基布などの医療用、水耕マット、排水マットなどの農業土木用、肌着などの衣料用などの分野で広く利用されている。
【0003】
このような用途分野では、上記繊維製品に対して優れた親水耐久性を要求される場合が多く、従来から、このポリオレフィン系繊維表面に親水性処理剤を付与する方法、例えば、ポリオキシアルキレン変性シリコーンを含有する処理剤(特開平1−148879号公報)、アルキロールアミド型化合物とポリオキシアルキレン変性シリコーンとを含有する処理剤(特開平1−148880号公報)、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する処理剤(特開平2−216265号公報)を繊維表面に付与する方法がそれぞれ提案されている。
【0004】
しかしながら、これらの方法によって得られるポリオレフィン系繊維及びこれら繊維からなる繊維製品は、ポリオレフィン系樹脂に、ラジカル発生による劣化防止を目的として、ジブチルヒドロキシトルエンをはじめとする酸化防止剤を添加・含有させておくことが多いために、日光の当たる場所や蛍光灯直下等に長期間保管しておくと変色を起こしやすく、製品品位を損なうといったトラブルが度々発生している。
【0005】
このトラブルへの対策として、変色の少ない酸化防止剤が種々提案されてはいるものの、前述に代表される親水耐久性を有するポリオレフィン系繊維については、酸化防止剤の変更によっても完全に変色を抑えることは困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術が有していた問題点を解消し、優れた親水耐久性を有しつつ、長期間保管しても変色の少ない、ポリオレフィン系親水性熱接着性繊維を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来技術に鑑み、繊維表面に付与する繊維処理剤について鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の目的は、
熱接着成分としてポリオレフィンが少なくとも繊維表面に露出するように配された熱接着性繊維であって、下記に定義される親水耐久性が150秒以下であり、かつ変色度(ΔE)が3以下であり、該熱接着性繊維表面には、繊維処理剤有効成分を基準として下記(A)成分を10〜50重量%、(B)成分を5〜50重量%、(C)成分を5〜60重量%、(D)成分を1〜10重量%の範囲内で各々含有する繊維処理剤が、該熱接着性繊維重量に対して0.05〜5重量%付着していることを特徴とする、親水耐久性と耐変色性とを兼備する親水性熱接着性繊維によって達成することができる。
(A)ポリオキシアルキレン単位からなるポリエーテルブロックと、ポリオキシカプロイル単位からなるポリエステルブロックとからなるポリエーテルポリエステルブロック共重合体;
(B)ポリオキシエチレン単位を有するポリオキシアルキレングリコールの高級アルキルエーテル;
(C)炭素数が12〜22であるアルキル基を有するアルキルホスフェート金属塩;及び
(D)ヒドロキシカルボン酸。
親水耐久性:
繊維を目付30g/m2、面積4cm2の熱接着ウェブとする。このウェブを軟水に浮かべ、全体が均一に濡れるまで放置後これを直ちに取り出し、25℃下で風乾させる。前記の操作を4回繰り返したウェブを軟水に浮かべてから全体が均一に濡れるまでにかかる時間を測定し、繊維の親水耐久性とする。
変色度:
繊維の熱接着ウェブが、温度90℃、相対湿度50%の雰囲気下、照度100mW/cm2、1時間の紫外線照射前後において、ハンター型色差計により測定されるL、a、b値から次式により求めたΔEを、繊維の変色度とする。
【0009】
【数2】
Figure 0004381579
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の親水性熱接着性繊維は、熱接着成分としてポリオレフィンが少なくとも繊維表面に露出するように配された熱接着性繊維であることが必要である。ここで、繊維表面に該ポリオレフィンが露出している割合は、該繊維が熱接着の効果を発揮する限り、任意に選択することができるが、通常は該繊維の任意横断面の全周長を基準として30%以上、さらに50%以上の割合をポリオレフィンが占めているように露出していることが好ましい。
【0011】
上記の要件を満たすのであれば、ポリオレフィン単独からなる繊維であっても、他のポリマーとの混合紡糸繊維、若しくは複合繊維(芯鞘型、サイド・バイ・サイド型、交互配列型、海島型など)であってもよい。
【0012】
ここで、好ましく用いられるポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリペンテン−1及びこれらのランダム又はブロック共重合体、あるいはさらに、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸、及びそれらのエステル、酸無水物などの誘導体から選択される少なくとも1種をグラフトしたグラフト共重合体を挙げることができ、なかでもポリエチレンを用いることが好ましい。
【0013】
上記繊維を複合繊維とする場合には、ポリオレフィンと混合あるいは複合できるポリマーとして、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルの他、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド等を挙げることができるが、ポリオレフィンより融点が高く、繊維形成能を有しかつ機械的特性が良好なポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルと、ポリオレフィンとからなる複合繊維は、最終的に得られる不織布などの繊維製品の嵩高性、耐ヘタリ性、弾力性、風合いなどが良好であり、特に好ましい。
【0014】
さらに、ポリオレフィンと他のポリマーとの複合重量比は特に限定されるものではないが、ポリオレフィンを熱接着性成分として利用する場合には、ポリオレフィンの重量割合を30〜70重量%の範囲内とすることが好ましい。
【0015】
本発明の親水性熱接着性繊維は、下記に定義される親水耐久性が150秒以下にあること、好ましくは60秒以下にあることが肝要である。
親水耐久性:
熱接着性繊維を用いて目付30g/m2のカードウェブを形成し、これを150℃の熱風で2分間熱接着させて熱接着ウェブを得た。これを面積4cm2の大きさに切り出して軟水に浮かべ、全体が均一に濡れるまで放置後これを直ちに取り出し、25℃下で風乾させる。前記の操作を4回繰り返したウェブを軟水に浮かべてから全体が均一に濡れるまでにかかる時間を測定し、繊維の親水耐久性とする。
【0016】
該親水耐久性が150秒より大きくなると、前述に挙げたような親水耐久性を要する製品の性能としては不十分である。
【0017】
また、上記の親水耐久性をもつ上に、下記に定義される変色度(ΔE)が3以下であることが必要である。
変色度:
繊維の熱接着ウェブが、温度90℃、相対湿度50%の雰囲気下、照度100mW/cm2、1時間の紫外線照射前後において、ハンター型色差計により測定されるL、a、b値から次式により求めたΔEを、繊維の変色度とする。
【0018】
【数3】
Figure 0004381579
【0019】
該変色度が3より大きいと、前述に挙げたような耐変色性を要する製品の性能としては不十分である。
【0020】
以上に説明した本発明の親水性熱接着性繊維は、その単繊維繊度は用途に応じて適宜設定すればよいが、例えば短繊維の場合には不織布、紡績糸等を製造する際のカード通過性の観点などから0.1〜23dtex、特に1〜11dtexの範囲が適当である。また、該繊維には用途に応じて適宜捲縮を付与してもよく、例えばカード不織布や紡績糸等とする場合には、その捲縮数を3〜40山/25mmの範囲、抄紙法やエアレイド法により不織布を成形する場合には、40山/25mm以下とすることが適当である。
【0021】
さらに、本発明の親水性熱接着性繊維は短繊維であっても長繊維であってもよいが、例えば短繊維の場合には、用途に応じて適宜繊維長は選択でき、例えばカード不織布や紡績糸等とする場合は25〜200mmの範囲、抄紙法やエアレイド法により不織布を形成する場合は0.5〜25mmの範囲で切断して適用すればよい。
【0022】
熱接着成分としてポリオレフィンが少なくとも繊維表面に露出するように配された熱接着性繊維に上記で示した親水耐久性及び耐変色性を付与するためには、例えば、繊維表面に繊維処理剤有効成分を基準として下記(A)成分を10〜50重量%、(B)成分を5〜50重量%、(C)成分を5〜60重量%(D)成分を1〜10重量%の範囲内で各々含有する繊維処理剤を、該繊維重量に対して0.05〜5重量%付着させることにより達成できる。
【0023】
(A)ポリオキシアルキレン単位からなるポリエーテルブロックと、ポリオキシカプロイル単位からなるポリエステルブロックとからなるポリエーテルポリエステルブロック共重合体;
(B)ポリオキシエチレン単位を有するポリオキシアルキレングリコールの高級アルキルエーテル;
(C)炭素数が12〜22であるアルキル基を有するアルキルホスフェート金属塩;及び
(D)ヒドロキシカルボン酸
ここで用いられる(A)成分のポリエーテルポリエステル共重合体および(B)成分のアルキルエーテルは、繊維に良好な親水性を付与する役割がある。また、(C)成分のアルキルホスフェート金属塩は、繊維の親水耐久性をさらに向上させるために添加され、(A)及び(B)成分自体が持っている親水耐久性をさらに向上させるのみでなく、(A)及び(B)成分をエマルジョンとした場合の繊維表面への付着効率を改善する役割がある。
【0024】
(A)成分として好ましく用いられるポリエーテルポリエステル共重合体は、ポリエーテルブロックとして、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基などの炭素数が2〜4のオキシアルキレン単位がランダム及び/又はブロック共重合したもの、中でもオキシエチレン単位を40モル%以上ランダム及び/又はブロック共重合したものが親水性を高める点で好ましい。また、ポリエーテルブロック中のオキシアルキレン単位のモル数は5〜200、特に50〜120の範囲が適当である。一方、ポリエステルブロック中のオキシカプロイル単位のモル数は、前記ポリエーテルブロック中のオキシアルキレン単位のモル数との比(オキシカプロイル単位のモル数/オキシアルキレン単位のモル数)が1/1〜1/10、好ましくは1/1.5〜1/4となるような範囲が、使用時に良好な親水性を発現させる上で好ましい。
【0025】
(B)成分として好ましく用いられるオキシエチレン単位を有するポリオキシアルキレングリコールの高級アルキルエーテル(以下、POEアルキルエーテルと略記することがある。)としては、ポリオキシアルキレングリコールの重合度は25〜70、特に30〜60の範囲が適当であり、オキシアルキレン単位はオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、オキシブチレン単位などの炭素数2〜4のオキシアルキレン単位が好ましい。なお、ポリオキシアルキレングリコール中にはオキシエチレン単位が含まれていること、好ましくは50モル%以上含まれていることが必要で、特に全てがオキシエチレン単位であるポリエチレングリコールが良好な親水性を発現させる上で好ましい。
【0026】
一方、高級アルキル基の炭素数は、使用時の親水性の観点から18〜40の範囲が好ましく、特に20〜30の範囲が適当である。このような高級アルキルエーテルは、通常対応する炭素数の高級アルコールに所要量のアルキレンオキサイドを付加させることにより製造される。なお、末端の水酸基はアルキル基などで、さらに封鎖しておいてもよい。
【0027】
(C)成分のアルキルホスフェート金属塩の存在下で、(A)成分及び(B)成分が、本発明が請求する十分な親水耐久性を発現するには、(A)成分のポリエーテルポリエステル共重合体と(B)成分のアルキルエーテルが共に含まれており、その含有率は、(A)成分を10〜50重量%、(B)成分を5〜50重量%含まれていることが肝要である。
【0028】
(A)成分及び(B)成分が、前記の含有率の範囲外にあると、本発明が請求する親水耐久性を得られない。また、(C)成分のアルキルホスフェート金属塩の含有率は5〜60重量%であることが必要である。(C)成分の含有率が5重量%未満であっても60重量%を越えても、本発明が請求する親水耐久性を得られない。
【0029】
(C)成分としての、アルキルホスフェート金属塩におけるアルキル基としては、炭素数が12〜22のものが好ましく挙げられ、具体的には、ラウリル、ミリスチル、セチル、ステアリルなどが挙げられるが、中でも親水耐久性の点から炭素数が14〜18のものが特に好ましい。
【0030】
炭素数が12未満の場合はアルキルホスフェート塩の親水性が高く、水に溶け出しやすいため親水耐久性の面で好ましくない。炭素数が22を越えると、撥水性が強すぎて、本発明の請求範囲にある親水耐久性を満たさなくなる。
【0031】
上記のアルキルホスフェート金属塩の具体例としては、ラウリルホスフェートカリウム塩、ミリスチルホスフェートカリウム塩、セチルホスフェートカリウム塩、ステアリルホスフェートカリウム塩等のカリウム塩、ラウリルホスフェートナトリウム塩、セチルホスフェートナトリウム塩、ミリスチルホスフェートナトリウム塩、セチルホスフェートナトリウム塩、ステアリルホスフェートナトリウム塩などのナトリウム塩等のアルカリ金属塩等を挙げることができ、これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもどちらでもよい。
【0032】
なお、アルキルホスフェート金属塩は、本発明の目的を達成することができる限り、ポリオキシアルキレン付加アルキルホスフェート金属塩の形態となっていても差し支えなく、また、それとアルキルホスフェート金属塩が各々数種混合した組成となっていても差し支えない。ポリオキシアルキレン付加アルキルホスフェート金属塩の具体例としては、ポリオキシエチレン3モル付加ラウリルホスフェートカリウム、ポリオキシエチレン1モル付加ミリスチルホスフェートナトリウム、ポリオキシエチレン5モル付加ステアリルホスフェートカリウム等を挙げることができる。
【0033】
(D)成分のヒドロキシカルボン酸は、先に述べた(A)、(B)、(C)成分及び機能付与や調整のために加えられるその他の成分と、親水耐久性や乳化性等のバランスの取れる範囲内で加えられるが、1〜10重量%の範囲内で加えることが特に肝要である。(D)成分の添加量が1重量%未満では、変色度ΔEが3以下を満足できなくなり、10重量%を越えると、親水耐久性が維持できなくなる。
【0034】
本発明に用いられるヒドロキシカルボン酸としては、グルコール酸、乳酸、リンゴ酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシステアリル酸、酒石酸、テトラヒドロキシ琥珀酸、グルコン酸等が挙げられる。
【0035】
また、(A)、(B)、(C)、(D)成分とそれら以外の成分を併用することは差し支えなく、殊に親水性に関しては、ジメチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールのブロック又はランダム三元共重合ポリエーテル、炭素数1〜12のアルキルアルコールにプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドとのブロック又はランダム付加物等のモノアリルエーテル等とを反応させて得られるポリエーテル変性シリコーンを添加するとさらに効果的である。
【0036】
繊維表面に対する繊維処理剤の付着量は、0.05〜5重量%であり、好ましくは0.1〜1重量%である。付着量が0.05重量%未満であると、繊維及びそれを用いた繊維製品の親水耐久性が劣り、付着量が5重量%を越えると、不織布等に成形する際のスカム発生や、熱接着点の強力が低下するので好ましくない。上記繊維処理剤を繊維表面に付着させて本発明の親水性熱接着性繊維を得るには、該繊維処理剤を水系のエマルジョンなどとして、該繊維を製造する際における紡糸及び/又は延伸工程において、通常の浸漬方法又はスプレー方式等により付着させる等して、容易に得ることができる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により、更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例の物性評価は以下の方法に従った。
【0038】
(1)固有粘度:
オルトクロルフェノールを溶媒として35℃で測定し、その相対粘度から常法により求めた。
【0039】
(2)油剤付着率:
所定繊維重量に対し、繊維から30℃のメタノールによって浴比1:20で60分抽出した残査の重量を測定し、所定繊維重量で除した値を用いた。
【0040】
(3)親水耐久性:
熱接着性繊維を用いて目付30g/m2のカードウェブを形成し、これを150℃の熱風で2分間熱接着させて熱接着ウェブを得た。これを面積4cm2の大きさに切り出して軟水に浮かべ、全体が均一に濡れるまで放置後これを直ちに取り出し、25℃下で風乾させる。前記の操作を4回繰り返したウェブを軟水に浮かべてから全体が均一に濡れるまでにかかる時間を測定し、繊維の親水耐久性とする。
【0041】
(4)変色度:
親水耐久性測定用に作成した目付30g/m2の熱接着ウェブを、UV照射装置(岩崎電気(株)製 EYE SUPER UV TESTER SUV−W13)を用いて、温度90℃、相対湿度50%の雰囲気下で、照度100mW/cm2で1時間照射し、ハンター形色差計を用いてL、a、b値を測定し、次式によって変色度ΔEを算出し、繊維の変色度とした。
【0042】
【数4】
Figure 0004381579
【0043】
(5)カード通過性:
親水耐久性測定用の目付30g/m2の熱接着ウェブを作成するにあたり、カードの通過性を目視により、下記判定基準に従って判断した。
判定基準:
○:スカム発生が全く見られなかったもの。
△:スカム発生はあるが、得られるウェブの品位には実用上問題が無いもの。
×:スカムが大量に発生、若しくは得られるウェブの品位が不良なもの。
【0044】
[実施例1〜13並びに比較例1〜11]
23℃での密度が0.95g/cm3、JIS K 7210の表1、条件4法記載の方法に準拠して測定したメルトフローレートが20g/10分間である、高密度ポリエチレンチップを、265℃で溶融したものを鞘成分(熱接着成分)とし、オルトクロロフェノール溶媒による固有粘度が0.65であるポリエチレンテレフタレートを290℃で溶融したものを芯成分(繊維形成成分)として、孔径が0.3mmφの芯鞘型複合紡糸口金を用いて、溶融ポリマーの吐出温度を250℃、孔当り吐出量を0.7g/分として吐出し、1000m/分で引き取り、芯鞘型熱接着性複合繊維を得た。この際、芯鞘成分の複合重量比は50/50とした。
【0045】
この未延伸糸を、70℃で3.0倍に延伸した後、延伸糸の繊維表面に表1に示す成分、含率である(A)ポリエーテルポリエステル、(B)POEアルキルエーテル、(C)アルキルホスフェート塩、(D)ヒドロキシカルボン酸、及びポリエーテル変性シリコーン(分子量80000、シロキサン含有率40重量%)からなる繊維処理剤を、濃度8%の水エマルジョンとしてオイルバスディップ法により表1に示した付着量になるように付与した。
【0046】
次いで、上記繊維を押込捲縮付与機に通して13個/25mmの捲縮を付与し、引き続きこれを切断して単糸繊度2.2dtex、繊維長50mmの短繊維を得た。得られた短繊維の親水耐久性及び変色度を評価し、その結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
Figure 0004381579
【0048】
【発明の効果】
本発明の親水性熱接着性複合繊維は、優れた親水耐久性と耐変色性とを両立するこれまでにない性質をもっており、長期間保管しても変色の問題がない、親水耐久性の要求される繊維製品を提供することができるため、その意義は大である。

Claims (2)

  1. 熱接着成分としてポリオレフィンが少なくとも繊維表面に露出するように配された熱接着性繊維であって、下記に定義される親水耐久性が150秒以下であり、かつ変色度(ΔE)が3以下であり、該熱接着性繊維表面には、繊維処理剤有効成分を基準として下記(A)成分を10〜50重量%、(B)成分を5〜50重量%、(C)成分を5〜60重量%、(D)成分を1〜10重量%の範囲内で各々含有する繊維処理剤が、該熱接着性繊維重量に対して0.05〜5重量%付着していることを特徴とする、熱接着性繊維。
    (A)ポリオキシアルキレン単位からなるポリエーテルブロックと、ポリオキシカプロイル単位からなるポリエステルブロックとからなるポリエーテルポリエステルブロック共重合体;
    (B)ポリオキシエチレン単位を有するポリオキシアルキレングリコールの高級アルキルエーテル;
    (C)炭素数が12〜22であるアルキル基を有するアルキルホスフェート金属塩;及び
    (D)ヒドロキシカルボン酸。
    親水耐久性:
    繊維を目付30g/m2、面積4cm2の熱接着ウェブとする。このウェブを軟水に浮かべ、全体が均一に濡れるまで放置後これを直ちに取り出し、25℃下で風乾させる。前記の操作を4回繰り返したウェブを軟水に浮かべてから全体が均一に濡れるまでにかかる時間を測定し、繊維の親水耐久性とする。
    変色度:
    繊維の熱接着ウェブが、温度90℃、相対湿度50%の雰囲気下、照度100mW/cm2、1時間の紫外線照射前後において、ハンター型色差計により測定されるL、a、b値から次式により求めたΔEを、繊維の変色度とする。
    Figure 0004381579
  2. 接着性繊維が、ポリオレフィンとポリエステルとからなる熱接着性複合繊維である、請求項1記載の熱接着性繊維。
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