JP2019218651A - 親水化剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】紙おむつや生理用ナプキン等の衛生材料の表面材を構成する疎水性繊維に対して、初期透水性、耐久透水性及び液戻り防止性のいずれについても優れた性能を付与することができる親水化剤を提供する。【解決手段】ポリオキシアルキレン脂肪族アルコールモノ脂肪酸エステルである成分(A)、スルホコハク酸ジアルキル金属塩である成分(B)、及び1〜30のオキシアルキレン単位を有するグリセロールヒドロキシ脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物である成分(C)を必須成分として含有する親水化剤。【選択図】なし

Description

本発明は、疎水性繊維に対して初期透水性、耐久透水性及び液戻り防止性を付与することができる親水化剤に関するものであり、詳しくは、紙おむつや生理用ナプキン等の透水性の必要な物品に用いられる親水化剤に関するものである。
ポリオレフィン系やポリエステル系等の熱可塑性合成繊維は疎水性であるため、従来から透水性を付与する方法が提案されている。特に、紙おむつや生理用ナプキン等の衛生材料の着用時には発汗、尿、体液等による不快感を回避するために、これら製品の表面材が濡れやすく、しかもその濡れやすさが短時間で発揮されることが重要である。更には一度吸収体に吸収された液体が再び表面材上に戻らないこと、すなわち吸収体からの液戻りがないことが重要であると考えられている。そのため、通常、これらの製品の表面材を構成している繊維、例えばポリオレフィン系繊維には、短時間で液を吸収することが要求される。また、紙おむつ等は、自分で排泄物を処理出来ない乳幼児、高齢者、病人等が着用するものであり、吸収容量の増大、濡れ防止性の向上により1回の着用で必ずしも1回の排泄物が処理されるとは限らず、これら衛生材料等の表面材には耐久透水性が強く要求されている。
従来、上記の表面材等の繊維に透水性を付与する方法としては下記(1)〜(3)に示すような方法が知られている。
(1)疎水性樹脂に親水化剤を練り込み、紡糸した繊維により透水性の繊維重合体を得る方法。この方法としては、例えば、ポリマーにポリエチレングリコールを混合し、溶融混練後、繊維を製造する方法(特許文献1)や、アルキルスルホン酸ナトリウム塩を混合し繊維化する方法(特許文献2)等がある。
(2)透水性低分子化合物を付着させる方法。この方法としては、ポリオレフィン系繊維にポリオキシアルキレン変性シリコーンを付着させる方法(特許文献3)、ポリグリセリン脂肪酸エステルを付着させる方法(特許文献4)、アルキル燐酸エステル塩に2種類の両性界面活性剤を併用する方法(特許文献5)等がある。
(3)プラズマ処理、コロナ放電処理等の物理的処理を施す方法。この方法としては、減圧下で酸素を高周波エネルギーで励起して処理し、表面をカルボニル化する方法(特許文献6)等がある。
しかしながら、上記(1)の方法は、十分な透水性能を発揮するまで親水化剤を疎水性樹脂に添加すると、樹脂との相溶性の問題で紡糸時に糸切れが発生する等で生産性が著しく低下する。親水化剤が比較的早期に繊維表面にブリードアウトした場合でも、透水性が長期に持続せず耐久性の面で不十分といった問題がある。また、上記(2)の方法は簡便で初期透水性が優れていても、一旦液体が通過すると乾燥された後は透水性が大幅に低下してドライタッチになるのに非常に時間がかかり、液戻り防止性や耐久透水性が不十分となる問題等がある。上記(3)の方法では、改質により生じた極性基の経時変化により、経時的に透水性が劣化しやすく、しかも改質には特殊な装置を使用し多量の熱や電気を要するため経済的ではない。
特開昭49−529号公報 特開平5−272006号公報 特開平1−148879号公報 特開平2−216265号公報 特開2000−170076号報 特開昭50−73976号公報
本発明の課題は、紙おむつや生理用ナプキン等の衛生材料の表面材を構成する疎水性繊維に対して、初期透水性、耐久透水性及び液戻り防止性のいずれについても優れた性能を付与することができる親水化剤を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意研究した結果、疎水性繊維に親和性があるポリオキシアルキレン脂肪族アルコールモノ脂肪酸エステル(A)、親水性の高いスルホコハク酸ジアルキルエステル又はその塩(B)、及び成分(A)と成分(B)に親和性を持ち、耐久透水性向上の効果を持つグリセロールヒドロキシ脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物(C)を組み合わせることにより、疎水性繊維に対して初期透水性、耐久透水性及び液戻り防止性のいずれの性能をも付与することができる親水化剤を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン脂肪族アルコールモノ脂肪酸エステル(A)、下記一般式(2)で示されるスルホコハク酸ジアルキルエステル又はその塩(B)、及び1〜30のオキシアルキレン単位を有するグリセロールヒドロキシ脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物である成分(C)を必須成分として含有することを特徴とする親水化剤に関する。
Figure 2019218651
(式中、Rは炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基、Rは炭素数7〜21のアルキル基又はアルケニル基、AOは炭素数2のオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基を表し、xは1〜20の整数、yは10〜60の整数である。AO及びAOについてオキシアルキレン基の付加順は限定しておらず、付加する際の付加方法はブロック付加、又はランダム付加のいずれであってもよい。)
Figure 2019218651
(式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数6〜10のアルキル基、AOは炭素数2のオキシエチレン基、zは1〜10の整数、aは1又は2、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。)
本発明はまた、前記親水化剤が付着した熱可塑性合成繊維に関する。
本発明はまた、前記親水化剤が付与された不織布に関する。
本発明の親水化剤を繊維に付与することにより、繊維の初期透水性、耐久透水性及び液戻り防止性のいずれについても優れた性能を発揮することが出来る。従って、本発明の親水化剤は、紙おむつや生理用品等に用いられる不織布等の親水化剤として好適に使用が可能である。
以下、本発明の内容を具体的に説明する。
前記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン脂肪族アルコールモノ脂肪酸エステル(A)は、耐久透水性と液戻り防止性を発揮する点で重要な成分である。Rは炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基、Rは炭素数7〜21のアルキル基又はアルケニル基であり、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、デセニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、トリデセニル基、テトラデシル基、テトラデセニル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、へプタデシル基、へプタデセニル基、オクタデシル基、イソオクタデシル基、ノナデシル基、ノナデセニル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
アルキル基又はアルケニル基の炭素数が7未満の場合、繊維との親和性がなくなり耐久透水性と液戻り性が低下する。一方、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が22を超える場合、透水性自体が不十分となり耐久性も得られない。
Oは炭素数2のオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基を表す。xは1〜20の整数、好ましくは2〜18で、xが20を超えると透水性は上がるが耐久透水性と液戻り防止性が低下する。xが1未満であると透水性自体が十分に得られなくなる。yは5〜50の整数、好ましくは7〜40で、yが5未満であると耐久透水性が不足し、50を超えると疎水性が強くなり過ぎ透水性が十分に得られなくなる。AO及びAOについてオキシアルキレン基の付加順は限定しておらず、付加する際の付加方法はブロック付加、又はランダム付加のいずれであってもよい。また、成分(A)は1種又は2種以上から構成されていてもよい。
前記一般式(1)で示される成分(A)の具体例としては、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクチルアルコールモノ脂肪酸(C〜C22)エステル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンオクチルアルコールモノ脂肪酸(C〜C22)エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルアルコールモノ脂肪酸(C〜C22)エステル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンラウリルアルコールモノ脂肪酸(C〜C22)エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンパルミチルアルコールモノ脂肪酸(C〜C22)エステル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンパルミチルアルコールモノ脂肪酸(C〜C22)エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルアルコールモノ脂肪酸(C〜C22)エステル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンステアリルアルコールモノ脂肪酸(C〜C22)エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオレイルアルコールモノ脂肪酸(C〜C22)エステル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンオレイルアルコールモノ脂肪酸(C〜C22)エステル等が挙げられ、これらの中でもより好ましくは、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルアルコールモノラウレート、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレン2−エチルヘキシルアルコールモノオレート、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレン2−エチルヘキシルアルコールモノイソステアレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルアルコールモノラウレート、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンステアリルアルコールモノラウレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルアルコールモノオレート、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンステアリルアルコールモノオレート、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンステアリルアルコールモノイソステアレート等が挙げられる。
前記一般式(2)で示されるスルホコハク酸ジアルキルエステル塩(B)は、初期透水性を発揮させる点で重要な成分である。R及びRは炭素数6〜10のアルキル基であり、分布があってもよく、直鎖又は分岐のどちらでもよいが、分岐を有した方が初期透水性を向上させる。アルキル基としては、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
Mは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。また、成分(B)は1種又は2種以上から構成されていてもよい。
前記一般式(2)で示される成分(B)の具体例としては、スルホコハク酸ジオクチルNa、スルホコハク酸ジ2−エチルヘキシルNa、スルホコハク酸ジデシルNa等が挙げられる。これらの中でも、スルホコハク酸ジ2−エチルヘキシルNa等が好ましい。
グリセロールヒドロキシ脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物である成分(C)は、耐久透水性を向上する点で重要な成分である。グリセロールヒドロキシ脂肪酸エステルとしては、ヒマシ油又は硬化ヒマシ油が挙げられ、アルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド又はブチレンオキサイドが挙げられ、好ましくはエチレンオキサイドである。アルキレンオキサイドの平均付加モル数としては1〜30、好ましくは3〜20で、付加モル数が30を超えると親水化剤としての耐久透水性付与効果が低下する。付加モル数が1未満であると透水性自体が十分に得られなくなる。
本発明の親水化剤は、効果を十分に発揮させる為に、前記成分(A)、(B)及び(C)の質量の合計を100質量%としたとき、成分(A)を60〜90質量%、成分(B)を5〜20質量%、及び成分(C)を5〜25質量%含有することが好ましく、更には成分(A)を75〜90質量%、成分(B)を5〜16質量%、及び成分(C)を7〜20質量%含有することが好ましい。成分(A)の割合が90質量%を超え、成分(B)の割合が5質量%未満になる場合、初期透水性が不十分となる。また、成分(A)の割合が60質量%未満となり、成分(B)の割合が20質量%を超える場合、初期透水性は若干向上するが耐久透水性と液戻り防止性は著しく低下する。
また、初期透水性、耐久透水性及び液戻り防止性について優れた性能を発揮させる為には、親水化剤の不揮発分全体に占める成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の合計の割合は、70〜100質量%であることが好ましく、80質量%以上がより好ましい。親水化剤には必要に応じて、浸透剤、乳化剤、帯電防止剤、消泡剤、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、抗菌剤等の他の成分を含有させてもよいが、親水化剤の不揮発分全体に占める成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の合計の割合が70質量%未満となると、初期透水性、耐久透水性及び液戻り防止性のいずれか又は全ての性能を十分に発揮出来なくなる場合がある。
本発明の親水化剤の製造方法は特に限定されず、公知の方法を採用出来る。
成分(A)のポリオキシアルキレン脂肪族アルコールモノ脂肪酸エステルは、例えば脂肪族アルコールに通常の条件でアルキレンオキサイドを付加後、脂肪酸とのエステル化反応によって製造することができる。
成分(B)のスルホコハク酸ジアルキルエステル又はその塩についても、通常の条件で脂肪族アルコールを無水マレイン酸と反応後、重亜硫酸塩と反応させることにより製造出来る。
成分(C)のグリセロールヒドロキシ脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物についても、通常の条件でヒマシ油又は硬化ヒマシ油にアルキレンオキサイドを付加させることで製造することが出来る。
成分(A)、成分(B)及び成分(C)の混合については、容器に各成分を仕込んだ後、40〜60℃の温度で均一に混合する。製造される親水化剤には、親水化剤自体の外観安定性や水等への希釈時の溶解性の向上を目的に水及び/又は溶剤を含有していても良い。
本発明の親水化剤は、熱可塑性合成繊維としてポリオレフィン繊維、フィブリル化ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、塩ビ繊維等に使用出来る。その中でもポリオレフィン繊維に用いることが好ましく、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体などから任意に1あるいは2種以上選択して使用することが出来る。
また、本発明の親水化剤は、不織布、織編物などの布帛に使用することが出来る。不織布の形態としては、サーマルボンド不織布、ケミカルボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布等の主としてステープル繊維からなる不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の長繊維からなる不織布、湿式抄造法による湿式不織布、エアレイド不織布等の短繊維からなる不織布、あるいはこれらの積層体を用途に応じて決定することが出来る。
本発明の親水化剤を付与された不織布は、紙おむつや生理用ナプキン等の衛生材料の吸収体を必要とする表面材、お尻拭き、ウェットティッシュ、化粧綿、ワイパー、フィルター、ペット用トイレシート等に用いることが出来る。
上記繊維に親水化剤を付着させる方法としては、水等の溶媒で溶液にして塗布する方法か、予めマスターバッチ等を作製し繊維製造時に樹脂に混練する方法等でもよい。
本発明の親水化剤を塗布する場合は、水等の溶媒で希釈した溶液、あるいは希釈せず原液を繊維に付着させることができ、上記不織布を製造する際における紡糸工程、延伸工程、捲縮工程等のいずれで行ってもよい。親水化剤を付着させる方法は、通常水等の溶媒で希釈した溶液を用いて、浸漬法、噴霧法、キスコーターやグラビヤコーターによるコーティング法等の既知の方法がある。水溶液の場合には水で0.1〜50質量%に希釈するが、必要に応じて乳化剤や可溶化剤を併用しても良い。また、親水化剤の乾燥方法は、熱風や赤外線による乾燥、あるいは熱源に接触させて乾燥させる方法等を用いてもよい。
塗布する場合の親水化剤の不揮発分の付着量は、ポリオレフィン系不織布に対して、0.05〜5.0質量%であり、好ましくは0.1〜2.0質量%である。付着量が0.05質量%未満であると、十分な透水性が得られず、付着量が5.0質量%を超えると、繊維をカード処理する時に巻付きが多くなり生産性が大幅に低下し、得られる不織布にベトツキが生じて肌触りが悪くなり、吸収性物品の表面材として適当でなくなる。
本発明の親水化剤を樹脂に混練する場合は、公知の混合装置を用いればよく、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどで混合し、公知の短軸または2軸押出機等で溶融混合して、予めマスターバッチにしておくと良い。このときポリオレフィン系樹脂には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線防止剤などの安定剤や酸化チタン、金属石けん、カーボンブラック、顔料、抗菌剤、滑剤等の添加剤を混合させることが出来る。
混練する場合の親水化剤の添加量は、樹脂に対して0.1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%混練する。混練する量が0.1質量%未満では十分な透水性が得られず、30質量%を超えると繊維強度が低下し生産性が大幅に低下するので好ましくない。
親水化剤が混練されたポリオレフィン系樹脂は、公知の溶融紡糸機を用い溶融紡糸される。紡糸温度は、親水化剤が実質的に変質しない温度で実施され、紡糸温度180〜300℃で樹脂を押し出し、所定の繊度の紡糸フィラメントを作製する。紡糸フィラメントは、必要に応じて延伸される。延伸は、延伸温度90〜130℃、延伸倍率2倍以上で処理すると、繊維強度が向上するので好ましい。得られたフィラメントには、繊維処理剤を付着させてもよい。
ポリオレフィン系繊維から不織布を製造するには、溶融紡糸・延伸・捲縮・熱処理・カットの各工程を経て、短繊維(ステープルファイバー)を得て、次いでローラーカード方式で不織布を得る方法、あるいは溶融紡糸で直接的に不織布を作製するスパンボンド法やメルトブロー法、糸条形成過程を経た糸を短くカットし、分散・ウェブ化・交絡工程を経て得る湿式成型法等を採用することが出来る。引張破断強力の高い不織布を得るにはスパンボンド法、目付けの小さい不織布を得るにはメルトブロー法、均質度の極めて高い不織布を得るには湿式成型法が特に好ましい。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
成分(A):ポリオキシアルキレンアルキルアルコールモノ脂肪酸エステルの合成
・成分(A1)の合成
5Lオートクレーブに2−エチルヘキサノール260gと水酸化カリウム6.0gを仕込み、オートクレーブ内を窒素ガスで置換する。300rpmの撹拌速度で130℃まで昇温し、プロピレンオキサイド2320gを同温度で徐々に圧入し付加させる。同温度で3時間熟成し150℃まで昇温後、エチレンオキサイド220gを圧入し付加させる。同温度で1時間熟成し60℃まで冷却後、ラウリン酸400gと水酸化カリウム4.0gを仕込み220℃まで昇温させる。昇温後窒素バブリングを行いながら10時間エステル化を行う。60℃まで冷却後、氷酢酸10.6gにて中和し、釜出しを行い、成分(A1)(ポリオキシプロピレン(20モル)ポリオキシエチレン(5モル)2-エチルヘキサノールモノラウレート)を得た。
・成分(A2)〜(A8)
成分(A1)と同様の合成方法にて、以下の成分(A2)〜(A8)を合成した。
成分(A2):ポリオキシプロピレン(20モル)ポリオキシエチレン(5モル)2−エチルヘキサノールモノオレート
成分(A3):ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(20モル)ラウリルアルコールモノラウレート
成分(A4):ポリオキシプロピレン(15モル)ポリオキシエチレン(10モル)ラウリルアルコールモノオレート
成分(A5):ポリオキシプロピレン(10モル)ポリオキシエチレン(10モル)ステアリルアルコールモノオレート
成分(A6):ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(20モル)ステアリルアルコールモノオレート
成分(A7):ポリオキシプロピレン(20モル)ポリオキシエチレン(25モル)2−エチルヘキサノール
成分(A8):ポリオキシプロピレン(50モル)ポリオキシエチレン(5モル)2−エチルヘキサノール
成分(B):スルホコハク酸ジアルキル金属塩
・成分(B1)の合成
1Lオートクレーブに2−エチルヘキサノール450gと無水マレイン酸170g、パラトルエンスルホン酸1gを仕込み、250rpmの撹拌速度で窒素バブリングを行いながら徐々に180℃まで昇温し、180℃到達後4時間反応させる。60℃まで冷却後、無水重亜硫酸ソーダ170gを仕込み、窒素バブリングを行いながら110℃まで昇温し2時間反応させ、60℃まで冷却した後釜出しを行い、成分(B1)(スルホコハク酸ジ2−エチルヘキシルNa)を得た。
成分(C):グリセロールヒドロキシ脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物
・成分(C1)の合成
5Lオートクレーブに硬化ヒマシ油を2640gと水酸化カリウム1.5gを仕込み、釜内を十分に窒素置換を行った後、窒素バブリングを行いながら130℃まで加温を行う。同温度で釜内を減圧とし1時間脱水を行った後、150℃まで昇温を行い、エチレンオキサイド1450gを付加し、成分(C1)(ポリオキシエチレン(10モル)硬化ヒマシ油)を得た。
・成分(C2)〜(C4)
成分(C1)と同様の合成方法にて、以下の成分(C2)〜(C4)を合成した。
成分(C2):ポリオキシエチレン(20モル)硬化ヒマシ油
成分(C3):ポリオキシエチレン(10モル)ヒマシ油
成分(C4):ポリオキシエチレン(40モル)硬化ヒマシ油
成分(A1)〜(A8)と成分(B1)、成分(C1)〜(C4)については、表1及び表2に記載の割合(質量%)にて40℃〜50℃に加温し、必要に応じ水及び溶剤を加え均一になるまで混合後、各々の親水化剤とした。
表1及び表2に示す各親水化剤について、40℃の温水で不揮発分の割合が5質量%濃度になるように水溶液を作製する。次に、各親水化剤の水溶液にポリプロピレン不織布(目付:15gsm)を1分間浸漬後、不織布に対して親水化剤の不揮発分の付着量が0.5質量%となるようマングル試験機を使用して絞る。続いて、各親水化剤の付着した不織布を80℃で30分間乾燥後、恒温恒湿室(20℃、50%RH)で24時間保管し、試験布を得た。
試験布に対する親水化剤の付着量(W2)は、親水化剤が付着した不織布サンプル(W1)についてメタノールを用いてソックスレー抽出を行い求めた。そして下記計算式により親水化剤付着率X(%)を求めた。
X(%)=100×W2/W1
液流れ試験、初期透水試験、耐久透水試験及び液戻り試験に用いる人工尿については、尿素:NaCl:MgSO:CaCl:水=1.9:0.78:0.078:0.029:97.2%の処方で作製した。
作製した試験布について、下記の試験方法を用いてそれぞれ評価を行った。結果を表3に示す。
(1)液流れ試験
45°の傾斜をつけたアクリルボードに濾紙(ADVANTEC社製No.2、15×30cm)を3枚重ねで取り付ける。次に濾紙上に試験布(15×30cm)を取り付ける。続いて人工尿の滴下位置に線を引き、試験布の1cm上よりピペットを用いて人工尿1ccを滴下する。滴下後、人工尿の流れた縦方向の距離(mm)を測定する。測定値は5回測定の平均値とする。流れた距離が短い程、瞬間透水性が良好である。
(2)初期透水試験、耐久透水試験
LENZING TECHNIK社製通液度測定器「LISTER AC」を使用し、EDANA RECOMMENDED TEST METHODのNONWOVENS COVERSTOCK LIQUID STRIKE−THROUGH TIMEに準じた透水試験を行った。濾紙(インテック(株)販売のGRADE:989 10cm角×3枚重ね)上に試験布(10cm角)を置き、その上に通液度測定器付属の通液検知電極を備えた通液検知プレートを置く。次に試験布表面から25mmの高さから5mLの人工尿を25mL/3.5秒の速さで滴下する。滴下から人工尿が試験布表面を通過するまでの時間を通液度測定器で測定し透水時間とした。また、これを3回繰り返し耐久透水試験とした。透水時間が短い程、透水性が良好である。更に2回目、3回目の透水時間が1回目の透水時間と差が無く短い程、耐久透水性が良好である。
(3)液戻り試験
濾紙(ADVANTEC社製No.5A、10cm角)を5枚重ね、濾紙上に試験布(10cm角)を置く。次に試験布上に内径12mmの円筒を固定後、円筒上部から人工尿10mLを注入し、試験布を通して濾紙に吸収させる。濾紙に人工尿が吸収されたら円筒を取り除き、予め秤量した濾紙(ADVANTEC社製No.5A、10cm角)を2枚重ねで試験布上に置く。続いて濾紙の上から3.5kgの荷重を5分間かける。5分経過後に濾紙の重さを計り重量増加分を計算して液戻り量(g) とする。測定値は5回測定の平均値とする。液戻り量が少ない程、液戻り防止性が良好である。
Figure 2019218651
Figure 2019218651
Figure 2019218651
本発明の親水化剤を繊維に付与することにより、繊維の初期透水性、耐久透水性、液戻り防止性のいずれについても優れた性能を発揮することが出来る。従って本発明の親水化剤は、紙おむつや生理用品等に用いられるポリオレフィン系不織布等の親水化剤として好適に使用が可能である。




Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で示されるポリオキシアルキレン脂肪族アルコールモノ脂肪酸エステル(A)、下記一般式(2)で示されるスルホコハク酸ジアルキルエステル又はその塩(B)、及び1〜30のオキシアルキレン単位を有するグリセロールヒドロキシ脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物(C)を必須成分として含有することを特徴とする親水化剤。
    Figure 2019218651
    (式中、Rは炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基、Rは炭素数7〜21のアルキル基又はアルケニル基、AOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基を表し、xは1〜20の整数、yは5〜50の整数である。AO及びAOについてオキシアルキレン基の付加順は限定しておらず、付加する際の付加方法はブロック付加、又はランダム付加のいずれであってもよい。)
    Figure 2019218651
    (式中、R及びRはそれぞれ独立して炭素数6〜10のアルキル基、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子を表す。)
  2. 前記成分(A)、(B)及び(C)の質量の合計を100質量%としたとき、成分(A)を60〜90質量%、成分(B)を5〜20質量%、及び成分(C)を5〜25質量%含有する、請求項1に記載の親水化剤。
  3. 前記親水化剤の不揮発分全体に占める成分(A)、成分(B)及び成分(C)の合計の割合が70〜100質量%である、請求項1又は2に記載の親水化剤。
  4. 熱可塑性合成繊維に用いられる請求項1〜3のいずれかに記載の親水化剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の親水化剤が付着した熱可塑性合成繊維。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の親水化剤が付与された不織布。
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