JP2015094060A - 不織布 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の表面シートは、ポリエチレン樹脂を含む鞘部及び該ポリエチレン樹脂より融点が高い樹脂成分を含む芯部を有し、表面に親水化剤の付着した芯鞘型複合繊維を含む構成繊維の交点が熱融着した熱融着部を備える。芯鞘型複合繊維は、加熱によってその長さが伸びる熱伸長性複合繊維を含む。親水化剤は、ポリオキシエチレン(POE)の付加モル数が20を超える多価アルコール脂肪酸エステルを、該親水化剤の全質量に対して20質量%以下の割合で含む。不織布は、該不織布の厚み方向及び平面方向の少なくとも何れか一方向に親水度勾配を有す。
【選択図】図1
Description
熱融着性の芯鞘型複合繊維は、同芯タイプの芯鞘型でも偏芯タイプの芯鞘型でも、サイド・バイ・サイド型でも良く、同芯タイプの芯鞘型であることが好ましい。
親水化剤を付着させる熱融着性の芯鞘型複合繊維は、芯部を構成する樹脂成分の融点と鞘部を構成する樹脂成分との融点の差(前者−後者)は、20℃以上であることが、不織布の製造が容易となることから好ましく、また150℃以内であることが好ましい。芯部を構成する樹脂成分が複数種類の樹脂のブレンドである場合の融点は、融点が最も高い樹脂の融点とする。
第1樹脂成分及び第2樹脂成分の融点は、示差走査型熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製DSC6200)を用い、細かく裁断した繊維試料(サンプル重量2mg)の熱分析を昇温速度10℃/minで行い、各樹脂の融解ピーク温度を測定し、その融解ピーク温度で定義される。第2樹脂成分の融点がこの方法で明確に測定できない場合、その樹脂を「融点を持たない樹脂」と定義する。この場合、第2樹脂成分の分子の流動が始まる温度として、繊維の融着点強度が計測できる程度に第2樹脂成分が融着する温度を軟化点とし、これを融点の代わりに用いる。
次に述べる熱融着繊維の繊維径についても同様である。なお、前記の繊維径とは不織布を実際に使用するときの繊維径のことであり、熱伸長性複合繊維の場合には、伸長によってその繊維径が小さくなった時の繊維径を指す。
アルキルリン酸エステル(成分B)の具体例としては、ステアリルリン酸エステル、ミリスチルリン酸エステル、ラウリルリン酸エステル、パルミチルリン酸エステルなどの飽和の炭素鎖を持つものや、オレイルリン酸エステル、パルミトレイルリン酸エステルなどの不飽和の炭素鎖及び、これらの炭素鎖に側鎖を有するものが挙げられる。より好ましくは、炭素鎖が16〜18のモノ又はジアルキルリン酸エステルの完全中和または部分中和塩である。なお、アルキルリン酸エステルの塩としては、Naやカリウムなどのアルカリ金属、アンモニア、各種アミン類などが挙げられる。
また、アルキルリン酸エステル(成分B)は、一種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、親水化剤における多価アルコール脂肪酸エステル(成分A)と、アルキルリン酸エステル(成分B)との含有比率は、質量比で、好ましくは2:1〜1:5、より好ましくは1:1〜1:3である。
親水化剤の付着量は、親水化剤を除く熱融着性の芯鞘型複合繊維の全質量に対する割合が、繊維の親水度を高める観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.1〜1.5質量%であり、より好ましくは0.2〜1.0質量%である。
不織布中から取り出した繊維に対する水の接触角は次の方法で測定される。測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA−Jを用いる。接触角測定には、蒸留水を用いる。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC−25)から吐出される液量を20ピコリットルに設定して、水滴を、繊維の真上に滴下する。滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析や画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17msec毎に、画像が録画される。録画された映像において、不織布中から取り出した繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.6.2、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と繊維のなす角を算出し、接触角とする。
なお、測定用サンプル(不織布から取り出して得られる繊維)は、図1(b)に示す凸部の頂部P1、凹部近傍部及び裏面(平坦面)P2における対応部位に位置する繊維を最表層から繊維長1mmで裁断し、該繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持し、該繊維1本につき異なる2箇所の接触角を測定する。前述の各部位において、N=5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均した値(小数点以下第2桁で四捨五入)を各々の接触角と定義する。
図1(a)及び図1(b)に示す不織布は、図2に示すように、熱により親水度が低下する前記芯鞘型複合繊維(熱伸長性複合繊維)の短繊維集合体を原材料として、カード機11を用いてウエブ12を形成し、該ウエブ12を一対のロール14,15を備えたエンボス装置13に導入してエンボス加工を行い、エンボス加工後のウエブ16に、エアスルー方式による熱風処理装置17により熱処理を施して得られたものである。
エンボス加工に用いた一対のロールは、一方は、格子状パターンのエンボス用凸部が周面に形成されたエンボスロール14であり、他方は、平滑な周面を有し、該エンボスロールに対向配置されたフラットロール15である。エンボス加工は、ウエブを、エンボスロール14の凸部とフラットロール15の平滑な周面との間で加圧し圧縮することにより行う。これにより、エンボス加工により形成された厚みの薄い部分(エンボス部)18と、それ以外の厚みの厚い部分19とを有する不織布が得られる。
これにより、エンボス加工により形成された厚みの薄い部分18及び/又はその周辺部が親水部となり、それ以外の厚みの厚い部分19に近くなるに従い、相対的に疎水性になり、最も厚みの厚い部分近傍が極大の疎水性を示す部分となっている親水度勾配のある不織布が得られる。また、前記熱風処理により、エンボス部以外の部分の鞘部の溶融が進行し、繊維の交点が熱融着して、熱融着部を有する強度のある不織布が得られる。
不織布10における厚みの厚い部分19と厚みの薄い部分18とは、不織布10の凹凸面10bに、凸部119と凹部118を形成している。凹部118は、互いに平行に延びる第1の線状凹部118aと、互いに平行に延びる第2の線状凹部118bとを有しており、第1の線状凹部118aと第2の線状凹部118bとが所定の角度をなして交差している。凸部119は、凹部118に囲まれた菱形状の閉鎖領域内に形成されている。
親水化剤の付着した熱融着性の芯鞘型複合繊維を用いて製造した不織布によれば、複雑な装置や特別な装置を要さずに、親水度が大きく異なる複数の部位を有する不織布を製造することができ、得られた不織布は、例えば、生理用ナプキン、パンティライナー、使い捨ておむつ等の吸収性物品の表面材として用いたときに、肌触りがよく、表面に液残りが生じにくく、表面に液流れが生じにくく、良好な吸収性能を示す。
エンボス化率は、計算式(U/T)×100、によって算出することができる。
例えば吸収体としては、パルプ繊維等の繊維材料からなる繊維集合体又はこれに吸収性ポリマーを保持させたものを、ティッシュペーパーや不織布等の被覆シートで被覆してなるものを用いることができる。裏面シートとしては、熱可塑性樹脂のフィルムや、該フィルムと不織布とのラミネート等の液不透過性ないし撥水性のシートを用いることができる。裏面シートは水蒸気透過性を有していてもよい。吸収性物品は更に、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。そのような部材は当業者に公知である。例えば吸収性物品を使い捨ておむつや生理用ナプキンに適用する場合には、表面シート上の左右両側部に一対又は二対以上の立体ガードを配置することができる。
例えば、不織布にエンボス部を形成する場合のエンボス部の形成パターンは、格子状に代えて、多列のストライプ状、ドット状、市松模様状、スパイラル状等任意のパターンとすることができる。ドット状とする場合の個々の点の形状としては、円形、楕円形、三角形、四角形、六角形、ハート型、任意の形状とすることができる。また正方形若しくは長方形の格子状や、亀甲模様をなす形状を採用してもよい。
また、図2に示す不織布の製造方法において、エンボス加工を施す際にエンボスロール及び/又はフラットロールを加熱し、エンボス部及び/又はその周辺の親水度が低下した不織布を製造することもできる。また、本発明の不織布を、おむつやナプキン、ワイパー、その他の製品に用いる場合において、製造の前、製造の途中、及び製品の形にした後のいずれの時点でも、所望の部分に熱を加えて、本発明の不織布の一部または全部について親水度を低下させることができ、または撥水性にすることもできる。
ポリエチレン樹脂を含む鞘部及び該ポリエチレン樹脂より融点が高い樹脂成分を含む芯部を有し、表面に親水化剤の付着した芯鞘型複合繊維を含む構成繊維の交点が熱融着した熱融着部を備える不織布であって、
前記芯鞘型複合繊維は、加熱によってその長さが伸びる熱伸長性複合繊維を含み、
前記親水化剤は、ポリオキシエチレン(POE)の付加モル数が20を超える多価アルコール脂肪酸エステルを、該親水化剤の全質量に対して20質量%以下の割合で含み、
前記不織布の厚み方向及び平面方向の少なくとも何れか一方向に親水度勾配を有している不織布。
前記多価アルコール脂肪酸エステルの主成分が、3価以上のアルコールであり、その全てがエステル化されている前記<1>に記載の不織布。
<3>
前記多価アルコール脂肪酸エステルの主成分が、グリセリン脂肪酸エステルであり、その全てがエステル化されている前記<1>又は<2>に記載の不織布。
<4>
多価アルコール脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が8〜22である前記<1>〜<3>の何れか1に記載の不織布。
<5>
前記多価アルコール脂肪酸エステルは、前記親水化剤の全質量に対して15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、該多価アルコール脂肪酸エステルの含有量の下限値は、1質量%以上であることが好ましい前記<1>〜<4>の何れか1に記載の不織布。
<6>
前記親水化剤は、前記多価アルコール脂肪酸エステルに加え、アルキルリン酸エステル、下記の一般式(1)で表わされるアニオン界面活性剤を含む前記<1>〜<5>の何れか1に記載の不織布。
<7>
前記アルキルリン酸エステルが、炭素鎖が16〜18のモノ又はジアルキルリン酸エステルの完全中和または部分中和塩である前記<1>〜<6>の何れか1に記載の不織布。
<8>
前記アルキルリン酸エステルは、親水化剤の全質量に対して含有量が、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である前記<1>〜<7>の何れか1に記載の不織布。
前記アニオン界面活性剤がジアルキルスルホン酸又はそれらの塩である前記<1>〜<8>の何れか1に記載の不織布。
<10>
前記ジアルキルスルホン酸の2鎖のアルキル基それぞれの炭素数は、4〜14個、好ましくは6〜10個である前記<1>〜<9>の何れか1に記載の不織布。
<11>
前記アニオン界面活性剤は、親水化剤の全質量に対して含有量が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは13質量%以下である前記<1>〜<10>の何れか1に記載の不織布。
<12>
前記多価アルコール脂肪酸エステルと前記アニオン界面活性剤との含有比率(前者:後者)が、質量比で4:1〜1:4である前記<1>〜<11>の何れか1に記載の不織布。
<13>
前記多価アルコール脂肪酸エステルと前記アニオン界面活性剤との含有比率(前者:後者)が、質量比で2:1〜1:2である前記<1>〜<12>の何れか1に記載の不織布。
<14>
前記親水化剤における前記多価アルコール脂肪酸エステルと、前記アルキルリン酸エステルとの含有比率は、質量比で、好ましくは2:1〜1:5、より好ましくは1:1〜1:3である前記<1>〜<13>の何れか1に記載の不織布。
<15>
前記多価アルコール脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレン(POE)の付加モル数が40以上、より好ましくは45以上である前記<1>〜<14>の何れか1に記載の不織布。
<16>
前記多価アルコール脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレン(POE)の付加モル数が100以下であることが好ましく、70以下であることがより好ましい前記<1>〜<15>の何れか1に記載の不織布。
<17>
前記親水化剤の芯鞘型複合繊維への付着量は、該親水化剤を除く芯鞘型複合繊維の全質量に対する割合が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.1〜1.5質量%であり、より好ましくは0.2〜1.0質量%である前記<1>〜<16>の何れか1に記載の不織布。
前記芯鞘型複合繊維は、同芯タイプの芯鞘型である前記<1>〜<17>の何れか1に記載の不織布。
<19>
前記芯鞘型複合繊維の鞘部を構成するポリエチレン樹脂は、密度が0.935〜0.965g/cm3である高密度ポリエチレンである前記<1>〜<18>の何れか1に記載の不織布。
<20>
前記芯鞘型複合繊維の鞘部を構成するポリエチレン樹脂は、結晶子サイズが100〜200Åであることが好ましく、115〜180Åであることがより好ましい前記<1>〜<19>の何れか1に記載の不織布。
<21>
前記親水化剤を付着させる前記芯鞘型複合繊維は、芯部を構成する樹脂成分の融点と鞘部を構成する樹脂成分との融点の差(前者−後者)が、20℃以上150℃以内である前記<1>〜<20>の何れか1に記載の不織布。
<22>
前記熱伸長性複合繊維は、芯部を構成する第1樹脂成分と、鞘部を構成する第2樹脂成分とを有しており、
前記熱伸長性複合繊維は、前記第1樹脂成分の融点よりも低い温度において熱によって伸長可能になっており、
前記熱伸長性複合繊維は、前記第2樹脂成分の融点(融点を持たない樹脂の場合は軟化点)より10℃高い温度での熱伸長率が0.5〜20%であることが好ましく、より好ましくは3〜20%、更に好ましくは5.0〜20%である前記<1>〜<21>の何れか1に記載の不織布。
<23>
前記熱伸長性複合繊維の繊維径は、10〜35μm、好ましくは15〜30μmである前記<1>〜<22>の何れか1に記載の不織布。
<24>
前記不織布は更に非熱伸長性繊維を含み、
前記熱伸長性複合繊維と前記非熱伸長性繊維との混合割合は、質量比で、前者:後者が1:9〜9:1が好ましく、より好ましくは4:6〜6:4である前記<1>〜<23>の何れか1に記載の不織布。
<25>
前記不織布中から取り出した前記芯鞘型複合繊維は、水に対する接触角が、好ましくは90度以下、より好ましくは85度以下であり、また、好ましくは60度以上、より好ましくは65度以上である前記<1>〜<24>の何れか1に記載の不織布。
<26>
前記不織布は厚みの薄い部分と、厚みの厚い部分とを有し、
前記厚みの厚い部分の頂部に比して、前記厚みの薄い部分又はその近傍部の親水度が高い前記<1>〜<25>の何れか1に記載の不織布。
(1)熱で親水度が低下する繊維の製造
・熱融着性繊維である、芯部がポリプロピレン樹脂、鞘部がポリエチレン樹脂からなる熱伸長性複合繊維を、下記組成の親水化剤(油剤)に浸漬した。浸漬後に、乾燥させて、親水化剤が付着した熱伸長性複合繊維を得た。繊維に対する油剤付着量は0.39質量%であった。
・熱融着性繊維である、芯部がポリエステル樹脂、鞘部がポリエチレン樹脂からなる非熱伸長性繊維を、下記組成の親水化剤(油剤)に浸漬した。浸漬後に、乾燥させて、親水化剤が付着した非熱伸長性繊維を得た。繊維に対する油剤付着量は0.47質量%であった。
・3価のアルコールであるグリセリン脂肪酸エステルであり、ポリオキシエチレン(POE)の付加モル数が25のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油〔前記多価アルコール脂肪酸エステル(成分A)、花王株式会社製の製品名「エマノーンCH−25」〕:10.0質量%(親水化剤中の成分Aの含有割合が上記の値となるように、「エマノーンCH−25」を添加した。)
・アルキルリン酸エステルカリウム塩〔前記アルキルリン酸エステル(成分B)、花王株式会社製、「グリッパー4131」の水酸化カリウム中和物〕:22.5質量%
・ジアルキルスルホサクシネートナトリウム塩〔前記一般式(1)で表わされるアニオン界面活性剤(成分C)、花王株式会社製、「ペレックスOT-P」〕:9.0質量%
・アルキル(ステアリル)ベタイン〔前記成分A〜前記成分C以外の成分、花王株式会社製、「アンヒトール86B」〕:13.5質量%
・ポリオキシエチレンアルキルアミド〔前記成分A〜前記成分C以外の成分、川研ファインケミカルズ製、アミゾールSDE〕:27.0質量%
・ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、変性シリコーン〔前記成分A〜前記成分C以外の成分以外の成分、信越化学工業株式会社製、X−22-4515〕:18.0質量%
親水化剤が付着した熱伸長性複合繊維と、親水化剤が付着した非熱伸長性繊維とを1:1で混綿したものを用い、図2に示す方法により不織布を製造した。具体的な製造方法は次のとおりである。先ず、カード機を用いて形成したウエブにエンボス加工を施した。エンボス加工は、格子状のエンボス部が形成され且つエンボス部(圧縮部)の面積率が22%となるように行った。エンボス加工の加工温度は、110℃であった。次にエアスルー加工を行った。エアスルー加工は、エンボス加工におけるエンボス面側から熱風を吹き付ける熱処理を1回行った。エアスルー加工の熱処理温度は、136℃とした。
得られた不織布は、図1に示すように、厚みの薄い部分(エンボス部)18とそれ以外の厚みの厚い部分19とを有し、片面が凸部119と凹部118とを有する起伏の大きい凹凸面10b、もう片面が、ほぼ平坦な平坦面10aとなっていた。
親水化剤の組成における前記多価アルコール脂肪酸エステル(成分A)を、3価のアルコールであるグリセリン脂肪酸エステルであり、ポリオキシエチレン(POE)の付加モル数が40のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油〔前記多価アルコール脂肪酸エステル(成分A)、花王株式会社製の製品名「エマノーンCH−40」〕に変更し、親水化剤が付着した熱伸長性複合繊維に対する油剤付着量が0.41質量%であった以外は、実施例1と同様の表1に記載の割合にして、実施例2の不織布を得た。
親水化剤の組成における前記多価アルコール脂肪酸エステル(成分A)を、3価のアルコールであるグリセリン脂肪酸エステルであり、ポリオキシエチレン(POE)の付加モル数が60のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油〔前記多価アルコール脂肪酸エステル(成分A)、花王株式会社製の製品名「エマノーンCH−60」〕に変更し、親水化剤が付着した熱伸長性複合繊維に対する油剤付着量が0.42質量%であった以外は、実施例1と同様の表1に記載の割合にして、実施例3の不織布を得た。
親水化剤の各成分の配合割合を、表1に記載の割合に変更した以外は実施例3と同様にして、実施例4の不織布を得た。
親水化剤の成分における前記多価アルコール脂肪酸エステル(成分A)を含有させず、その他の成分の含有割合を、表1に記載の割合に変更し、該親水化剤が付着した熱伸長性複合繊維に対する油剤付着量が0.40質量%であった以外は実施例1と同様にして、比較例1の不織布を得た。
親水化剤の組成における前記多価アルコール脂肪酸エステル(成分A)を、ポリオキシエチレン(POE)の付加モル数が4のポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート〔花王株式会社製の製品名「レオドールTW−S106V」〕に変更し、その他の成分の含有割合を、表1に記載の割合に変更し、該親水化剤が付着した熱伸長性複合繊維に対する油剤付着量が0.37質量%であった以外は実施例1と同様にして、比較例2の不織布を得た。
親水化剤の組成における前記多価アルコール脂肪酸エステル(成分A)を、ポリオキシエチレン(POE)の付加モル数が20のポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート〔花王株式会社製の製品名「レオドールTW−S120V」〕に変更し、その他の成分の含有割合を、表1に記載の割合に変更し、該親水化剤が付着した熱伸長性複合繊維に対する油剤付着量が0.39質量%であった以外は実施例1と同様にして、比較例3の不織布を得た。
親水化剤の付着量は、迅速残脂抽出機を用いて測定した。繊維2gを測り、下部に小さな孔のあいた所定の容器に入れた。その後、フタで繊維を押さえることで、繊維を容器の下部に押し込み、そこへ10ccのエタノール/メタノール(1:1)混合の溶液を投入し、10分間静置した後にもう一度フタをのせて、強くおしつけることで繊維に含まれているエタノール/メタノール成分を絞り、秤量皿に液を入れた。秤量皿を熱することで溶媒を飛ばし、秤量皿の元の重さから、加熱後の重量を測ることで親水化剤の付着量を測定した。N=3測定し、その平均を油剤付着量とした。
〔接触角〕
実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた不織布について、不織布中から取り出した繊維に対する水の接触角を測定した。それらの結果を表1に示した。実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた不織布については、不織布中から取り出した繊維に対する水の接触角は、特開2010−168715号公報の段落〔0057〕に記載の方法により測定した。
すなわち、測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA−Jを用いる。接触角測定には、蒸留水を用いる。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC−25)から吐出される液量を20ピコリットルに設定して、水滴を、不織布中から取り出した繊維の真上に滴下する。滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17msec毎に、画像が録画される。録画された映像において、不織布中から取り出した繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.6.2、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と繊維のなす角を算出し、接触角とする。N=5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均した値(小数点以下第2桁で四捨五入)を各々の接触角と定義する。
また、各不織布の「凸部頂部P1」及び「裏面P2」から熱伸長性複合繊維及び非熱伸長性繊維をそれぞれ下記の方法で採取し、採取した各熱伸長性複合繊維及び各非熱伸長性繊維に対する水の接触角を同様の方法により測定した。
混綿された不織布中から、精密はさみとピンセットを用いて、不織布の最表層部分からそれぞれの繊維を繊維長1mmで裁断し、不織布から取り出した。
花王株式会社の市販の生理用ナプキン(商品名「ロリエさらさらクッション肌きれい吸収」)から表面シートを取り除き、その代わりに、実施例1〜4及び比較例1〜3の各不織布を積層し、その周囲を固定して評価用の生理用ナプキンを得た。各不織布は、裏面P2側を吸収体側に向けて配置した。
前記生理用ナプキンの表面上に、内径1cmの透過孔を有するアクリル板を重ねて、該ナプキンに100Paの一定荷重を掛ける。斯かる荷重下において、該アクリル板の透過孔から脱繊維馬血6.0gを流し込む。前記馬血を流し込んでから60秒後にアクリル板を取り除き、次いで、該不織布の重量(W2)を測定し、予め測定しておいた、馬血を流し込む前の不織布の重量(W1)との差(W2−W1)を算出する。以上の操作を3回行い、3回の平均値を液残り量(mg)とする。液残り量は、装着者の肌がどの程度濡れるかの指標となるものであり、液残り量が少ないほど程、良い結果である。それらの結果を表1に示した。
P1 凸部頂部
P2 裏面
11 カード機
12 ウエブ
13 エンボス装置
14 エンボスロール
15 フラットロール
17 熱風処理装置
Claims (5)
- ポリエチレン樹脂を含む鞘部及び該ポリエチレン樹脂より融点が高い樹脂成分を含む芯部を有し、表面に親水化剤の付着した芯鞘型複合繊維を含む構成繊維の交点が熱融着した熱融着部を備える不織布であって、
前記芯鞘型複合繊維は、加熱によってその長さが伸びる熱伸長性複合繊維を含み、
前記親水化剤は、ポリオキシエチレン(POE)の付加モル数が20を超える多価アルコール脂肪酸エステルを、該親水化剤の全質量に対して20質量%以下の割合で含み、
前記不織布の厚み方向及び平面方向の少なくとも何れか一方向に親水度勾配を有している不織布。 - 前記多価アルコール脂肪酸エステルの主成分が、3価以上のアルコールであり、その全てがエステル化されている請求項1記載の不織布。
- 前記多価アルコール脂肪酸エステルの主成分が、グリセリン脂肪酸エステルであり、その全てがエステル化されている請求項1又は2記載の不織布。
- 前記親水化剤は、前記多価アルコール脂肪酸エステルに加え、アルキルリン酸エステル、下記の一般式(1)で表わされるアニオン界面活性剤を含み、前記多価アルコール脂肪酸エステルと前記アニオン界面活性剤との含有比率(前者:後者)が、質量比で4:1〜1:4である請求項1〜3の何れか1項記載の不織布。
- 前記多価アルコール脂肪酸エステルは、ポリオキシエチレン(POE)の付加モル数が40以上である請求項1〜4の何れか1項記載の不織布。
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