WO2019013277A1 - 不織布用繊維処理剤とそれを用いた不織布 - Google Patents

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Abstract

親水性と繰り返し透水性を不織布に付与することができ、かつ不織布を用いた物品における他の部位への転写を抑制できる不織布用繊維処理剤を提供する。 本発明の不織布用繊維処理剤は、次の成分(A)および(B)を含有する。 (A)アルキルリン酸エステル塩およびポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種 (B)融点が15℃以上である、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルおよび天然由来ワックスから選ばれる少なくとも1種

Description

不織布用繊維処理剤とそれを用いた不織布
 本発明は、不織布用繊維処理剤とそれを用いた不織布に関する。
 不織布用繊維処理剤は、以前より様々な基剤が検討されているが、中でもアルキルリン酸エステル塩やその誘導体は安全性の高さや性能面、工程油剤としての適性等から親水性付与薬剤に多用されている(特許文献1~8)。
 アルキルリン酸エステル塩やその誘導体を用いる薬剤の配合設計では、親水性能を配合基剤中のアルキル鎖長の割合でコントロールする場合が多く、親水性能や加工適性を向上させるためには、アルキル鎖長の短いリン酸エステル塩等を多く配合する必要がある。
特開2014-109078号公報 特開2016-216878号公報 特開2001-003271号公報 特開2004-076165号公報 特開2011-074500号公報 特開2015-094060号公報 特開2014-231666号公報 特開平3-193971号公報
 しかしながら、アルキル鎖長が短いリン酸エステル塩を多用すると、不織布に塗布した薬剤が意図せぬ部位を汚染(転写)することが多くなり、例えばオムツのギャザー部の防水性を著しく損なうなど、最終製品としての物品の性能、品質を損なう問題があった。
 すなわち、アルキル鎖長が短いリン酸エステル塩は強親水化基剤であり、その疎水性繊維への保持作用は一時性であるため、親水化剤は水分を付与すると大部分が洗い流されるのが典型的である。このように疎水性繊維への保持力が弱いため、薬剤を付着処理した不織布を用いて目的とする用途の物品に加工する際、例えば、不織布を重ねたり折り曲げたり、他の材料・部材や加工機械と接触させたり、ホットメルト接着や熱接着等の方法により相互に接着、固定したり、パッケージングしたりすることで物品を製造する際等に、繊維に付着処理した薬剤が意図せぬ部位に転写してしまい、物品の性能、品質を損なう問題があった。
 特許文献1~8のような従来技術では、薬剤の転写を抑制する課題には着目されておらず、従来要求されている親水性や繰り返し透水性を満足し、かつ繊維に付着処理した薬剤の意図せぬ部位への転写を抑制する技術、特に、強親水化基剤を使用しても物品における他の場所を汚染しない技術が望まれていた。
 本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、親水性と繰り返し透水性を不織布に付与することができ、かつ不織布を用いた物品における他の部位への転写を抑制できる不織布用繊維処理剤を提供することを課題としている。
 本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、融点が15℃以上の多価アルコール脂肪酸エステル等を用いることで、親水性を付与するアルキルリン酸エステル塩等、特にアルキル鎖長が短いリン酸エステル塩を用いても、不織布から他の部位への転写が起こりにくくなり、親水性と転写抑制に優れた不織布用繊維処理剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
 すなわち本発明の不織布用繊維処理剤は、次の成分(A)および(B)を含有する。
(A)アルキルリン酸エステル塩およびポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種
(B)融点が15℃以上である、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルおよび天然由来ワックスから選ばれる少なくとも1種
 本発明の不織布は、前記不織布用繊維処理剤で繊維が付着処理されたものである。
 本発明によれば、親水性と繰り返し透水性を不織布に付与することができ、繊維への浸透性を有し、不織布を用いた物品における他の部位への転写を抑制できる。
 以下に、本発明を詳細に説明する。
 衛生材料用途等に使用される親水化剤としての不織布用繊維処理剤は、表面吸収を速め、高吸収性樹脂等に到達させるなど、吸水速度のコントロールが必須であり、繰り返し透水性(耐久性)も重要視されるため、必然的に親水性の強い親水化基剤の配合が必須となるが、このような基剤を使用しても他の場所を汚染しない仕組みが必要である。そこで本発明では、成分(B)として融点が15℃以上の多価アルコール脂肪酸エステル等を用いることで、単独で用いた場合には水分を付与すると大部分が洗い流される一時性親水化剤である成分(A)のアルキルリン酸エステル塩等が、徐放されるようにしている。成分(A)は、不織布用繊維処理剤を繊維に付着処理すると、その分子構造のうち親水性部分が表面、疎水性部分が裏面となるように繊維表面に配向するが、ある程度の温度以上の融点を持つ疎水性ワックスとしての成分(B)は、疎水性の繊維表面で成分(A)の疎水部分を保持すると考えられる。そのため、水分を付与した際には、成分(A)を成分(B)が保持する作用によって、徐々に局所的に洗い流されるため、軽耐久性を持つ親水化剤として作用し、それにより不織布を用いた物品における他の部位への転写を抑制できると考えられる。
 本発明において、転写の抑制とは、例えば実施例に記載の測定方法:耐水度試験(静水圧法)のA法(低水圧法)に準拠した測定装置を用いた耐水圧測定において、ブランク値を基準とする耐水圧低下率が30%以内、特に20%以内、最も好ましくは10%であることを主な基準としている。この範囲内であれば、不織布を重ねたり折り曲げたり、他の材料・部材や加工機械と接触させたり、ホットメルト接着や熱接着等の方法により相互に接着、固定したり、パッケージングしたりすることで物品を製造する際等に、繊維に付着処理した薬剤が意図せぬ部位に転写してしまい、物品の性能、品質を損なうことへの抑制効果の発現に適している。
 本発明の不織布用繊維処理剤に使用される成分(A)は、アルキルリン酸エステル塩およびポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種である。成分(A)は、次式(I)で表されるリン酸モノエステル塩および/またはリン酸ジエステル塩を主成分とし、リン酸モノエステル塩を最も多く含むものが好ましい。成分(A)は、これらの他、ポリリン酸塩等を含んでもよい。成分(A)は、典型的にはこれらの混合物である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
(上記式中、Rはアルキル基、AOはオキシアルキレン基(Aはアルキレン部位)を示し、Mはカチオンを示し、mはポリオキシアルキレンの平均付加モル数、nは1または2の整数を示す。各式中におけるRおよびMが複数の場合、その各々は同一でも互いに異なっていてもよい。AOは、各々が同一であっても互いに異なっていてもよい。)
 リン酸モノエステル塩、リン酸ジエステル塩等の混合物である成分(A)は、例えば、対応するアルキル基を有するアルキルアルコールやポリオキシアルキレンアルキルエーテルと無水リン酸を反応させることにより得られるアルキルリン酸エステルやポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸を、水酸化カリウム等のアルカリで中和することにより得ることができる。
 成分(A)におけるアルキル基の炭素数は、特に限定されるものではないが、4~22が好ましく、6~18がより好ましい。
 アルキル基としては、例えば、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基(イソオクチル基)、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基(ラウリル基)、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基(ステアリル基)、ノナデシル基、イコシル基、へンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。成分(A)は、互いに異なるアルキル基を有する化合物の混合物であってもよく、この場合、上記アルキル基の炭素数は、平均炭素数である。なお、上記ブチル基からドコシル基までの各々は、n-、sec-、tert-、多分岐型(iso-)等の各種異性体を含む。
 成分(A)のうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩におけるオキシアルキレン基は、炭素数2~4が好ましく、炭素数2~3がより好ましく、炭素数2がさらに好ましい。その中でも、各々が同一であっても互いに異なっていてもよい。オキシアルキレン基の全体において、オキシエチレン基を含んでいることが好ましい。その中でも、全てのオキシアルキレン基がオキシエチレン基のみからなるもの、オキシエチレン基とオキシプロピレン基が混在しているものがより好ましく、全てのオキシアルキレン基がオキシエチレン基のみからなるものがさらに好ましい。オキシアルキレン基に炭素数の異なる複数種が混在している場合、例えばオキシエチレン基とオキシプロピレン基が混在している場合、これらはランダム状に混在していてもよく、ブロック状に混在していてもよい。
 成分(A)のうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩におけるポリオキシアルキレンの平均付加モル数mは、前記式(I)中におけるRO(AO)が複数の場合はそれぞれ独立に、例えば0.25以上、0.5以上、1以上、または2以上である。また、例えば30以下、20以下、10以下、または6以下である。
 成分(A)におけるカチオンMとしては、特に限定されるものではないが、例えば、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、マグネシウム、有機アンモニウム等が挙げられる。アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、例えば、カルシウム等が挙げられる。有機アンモニウムとしては、例えば、NRで表されるものが挙げられる。ここでR~Rはそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基を含んでもよいアルキル基もしくはアルキレン基、またはポリオキシアルキレン基を示す。これらの中でも、ナトリウムおよびカリウムから選ばれるいずれかのアルカリ金属、アンモニウム、炭素数20以下、好ましくは10以下、より好ましくは5以下のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基を有する有機アンモニウムが好ましい。
 成分(A)としては、次の成分(A1)を用いることができる。
(A1)アルキル基の炭素数が6~10である、アルキルリン酸エステル塩またはポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩
 本発明の不織布用繊維処理剤は、成分(A1)を含有することが好ましい。成分(A1)は、親水性、特に初期透水性と、加工適性の確保等に必要な繊維への浸透性を高めることができる。これらの点等を考慮すると、成分(A1)の含有量は、成分(A)に対して10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、35質量%以上が特に好ましく、40質量%以上が最も好ましい。
 成分(A1)のうち、アルキルリン酸エステル塩としては、例えば、ヘキシルリン酸エステル塩、オクチルリン酸エステル塩、2-エチルヘキシルリン酸エステル塩、デシルリン酸エステル塩、イソデシルリン酸エステル塩等が挙げられる。
 成分(A1)のうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩としては、例えば、ポリオキシエチレンヘキシルエーテルリン酸エステル塩(POE(1)~POE(30))、ポリオキシエチレンオクチルエーテルリン酸エステル塩(POE(1)~POE(30))、ポリオキシエチレン2-エチルヘキシルエーテルリン酸エステル塩(POE(1)~POE(30))、ポリオキシエチレンデシルエーテルリン酸エステル塩(POE(1)~POE(30))、ポリオキシエチレンイソデシルエーテルリン酸エステル塩(POE(1)~POE(30))等が挙げられる。なお、括弧内の数字は、ポリオキシエチレン(POE)単位の数を示す。
 成分(A)としては、次の成分(A2)を用いることができる。
(A2)アルキル基の炭素数が11以上である、アルキルリン酸エステル塩またはポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩
 成分(A2)は、親水性をコントロールし、繰り返し透水性を高め、転写を抑制できる。特に、成分(A)が、(A1)に加え、さらに成分(A2)を含有することが好ましく、これにより親水性と繰り返し透水性、繊維への浸透性、転写の抑制のバランスに優れた不織布用繊維処理剤を得ることができる。これらの点等を考慮すると、成分(A2)の含有量は、成分(A)に対して90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましく、65質量%以下が特に好ましく、60質量%以下が最も好ましい。また、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。
 成分(A2)のうち、アルキルリン酸エステル塩としては、例えば、ドデシルリン酸エステル塩(ラウリルリン酸エステル塩)、トリデシルリン酸エステル塩、イソトリデシルリン酸エステル塩、テトラデシルリン酸エステル塩(ミリスチルリン酸エステル塩)、ヘキサデシルリン酸エステル塩(セチルリン酸エステル塩)、オクタデシルリン酸エステル塩(ステアリルリン酸エステル塩)、イソオクタデシルリン酸エステル塩(イソステアリルリン酸エステル塩)等が挙げられる。
 成分(A2)のうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩としては、例えば、ポリオキシエチレンドデシルエーテルリン酸エステル塩(ラウリルエーテルリン酸エステル塩)(POE(1)~POE(30))、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル塩(POE(1)~POE(30))、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテルリン酸エステル塩(POE(1)~POE(30))、ポリオキシエチレンテトラデシルエーテルリン酸エステル塩(ミリスチルエーテルリン酸エステル塩)(POE(1)~POE(30))、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテルリン酸エステル塩(セチルエーテルリン酸エステル塩)(POE(1)~POE(30))、ポリオキシエチレンオクタデシルエーテルリン酸エステル塩(ステアリルエーテルリン酸エステル塩)(POE(1)~POE(30))、ポリオキシエチレンイソオクタデシルエーテルリン酸エステル塩(イソステアリルエーテルリン酸エステル塩)(POE(1)~POE(30))等が挙げられる。なお、括弧内の数字は、ポリオキシエチレン(POE)単位の数を示す。
 本発明の不織布用繊維処理剤に使用される成分(B)は、融点が15℃以上である、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルおよび天然由来ワックスから選ばれる少なくとも1種である(以下、ワックス成分ともいう)。
 成分(B)は、成分(A)の転写を抑制する。成分(B)の融点は、成分(A)の転写を抑制する点を考慮すると、15℃以上であり、20℃以上が好ましく、25℃以上がより好ましく、30℃以上がさらに好ましい。また、成分(A)の転写を抑制するとともに、特に親水性、さらには繰り返し透水性、加工適性の確保等に必要な繊維への浸透性を高める点を考慮すると、90℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましく、70℃以下がさらに好ましく、60℃以下が特に好ましい。融点が60℃以上、特に80℃以上の成分(B1)を使用する場合、浸透性を高める点を考慮すると、融点が60℃未満の成分(B2)と併用することが好ましく、成分(B2)に対する成分(B1)の質量比(B1/B2)を1未満とすることが好ましい。
 成分(B)のうち、多価アルコール脂肪酸エステルおよびポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルとしては、モノエステル、ジエステル、トリエステル等であってよい。多価アルコール脂肪酸エステルおよびポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルの多価アルコールは、2価以上のアルコールであり、3価以上のアルコールが好ましい。また、10価以下のアルコールが好ましく、8価以下のアルコールがより好ましい。具体的には、例えば、グリセリン、ジグリセリン等のポリグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビタンや、リトリトール、D-トレイトール、L-アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等の糖アルコール系化合物、アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類、トレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース等の二糖類、ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース等の三糖類等が挙げられる。また、多価アルコール脂肪酸エステルおよびポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルの脂肪酸としては、特に限定されるものではないが、融点等を考慮すると、脂肪酸の炭素数は、8以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。また、30以下が好ましく、22以下がより好ましく、18以下がさらに好ましい。飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよいが、これらの中でも、融点を高める点等を考慮すると、飽和脂肪酸が好ましく、直鎖飽和脂肪酸がより好ましい。飽和脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等が挙げられる。
 また、多価アルコール脂肪酸エステルとしては、天然から得られる油脂やそれに水素を添加した硬化油脂であってもよい。
 成分(B)のうち、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルにおけるポリオキシアルキレンの平均付加モル数は、多価アルコールエステルの水酸基1モル当量当たり、例えば100以下、あるいは80以下である。オキシアルキレン基は、炭素数2~4が好ましく、炭素数2(オキシエチレン基)または3(オキシプロピレン基)がより好ましい。オキシアルキレン基に炭素数の異なる複数種が混在している場合、例えばオキシエチレン基とオキシプロピレン基が混在している場合、これらはランダム状に混在していてもよく、ブロック状に混在していてもよい。
 成分(B)のうち、天然由来ワックスとしては、例えば、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス等が挙げられる。植物系ワックスとしては、例えば、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木蝋、ホホバ油等が挙げられる。動物系ワックスとしては、例えば、ラノリン、密蝋、鯨蝋等が挙げられる。鉱物系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム、オゾケライト、セレシン等が挙げられる。これらの中でも植物系ワックスが好ましい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
 本発明の不織布用繊維処理剤において、成分(A)に対する成分(B)の質量比(B)/(A)は、親水性を高める点を考慮すると、1未満が好ましい。また、転写を抑制する点を考慮すると、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.3以上がさらに好ましい。
 本発明の不織布用繊維処理剤は、本発明の効果、すなわち親水性と繰り返し透水性、繊維への浸透性を有し、転写を抑制できる点を考慮すると、成分(A)、(B)の合計量は、不織布用繊維処理剤の固形分に対して50質量%以上が好ましく、60質量%がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましく、85質量%以上が最も好ましい。ここで固形分は、繊維へ付着処理した際に消失する水や溶剤等の揮発性成分を除いた割合である。
 本発明の不織布用繊維処理剤は、成分(A)、(B)に加え、繊維への浸透性能を向上させる目的で浸透剤(C)を配合しても良い。浸透剤(C)としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等の非イオン界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。これらの中でも、安価で浸透性能を向上できることから、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、特に、ポリオキシアルキレン分岐アルキルエーテルを用いることが好ましい。浸透剤は配合量が増加すると、転写や耐久親水性に悪影響を及ぼすため、不織布用繊維処理剤の固形分に対して20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
 ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおけるアルキル部分は、直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基であってもよく、炭素数8~14のアルキル基が好ましく、炭素数10~12のアルキル基がより好ましい。分岐鎖アルキル基としては、例えば、イソオクチル基、イソデシル基、イソドデシル基、イソヘキサデシル(イソセチル)基、イソオクタデシル(イソステアリル)基、オクチルドデシル基、デシルテトラデシル基等が挙げられる。
 ポリオキシアルキレン直鎖アルキルエーテルおよびポリオキシアルキレン分岐アルキルエーテルにおけるポリオキシアルキレンの平均付加モル数は、2~12が好ましく、4~8がより好ましい。オキシアルキレン基は、炭素数2~4が好ましく、炭素数2(オキシエチレン基)または3(オキシプロピレン基)がより好ましい。オキシアルキレン基に炭素数の異なる複数種が混在している場合、例えばオキシエチレン基とオキシプロピレン基が混在している場合、これらはランダム状に混在していてもよく、ブロック状に混在していてもよい。
 本発明の不織布用繊維処理剤は、必要に応じて、水や溶剤を含有していてもよく、水を含有することが好ましい。本発明に使用する水としては、純水、蒸留水、精製水、軟水、イオン交換水、水道水等のいずれであってもよい。本発明の不織布用繊維処理剤を製造する際における固形分の割合は、5~90質量%が好ましく、10~80質量%がより好ましい。
 本発明の不織布用繊維処理剤は、上記した各成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲内において、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、界面活性剤、抗菌剤、酸化防止剤、防腐剤、艶消し剤、顔料、防錆剤、芳香剤、消泡剤、香料、pH調整剤、粘度調整剤等が挙げられる。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよびポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド等の非イオン界面活性剤、アルファオレフィンスルホン酸塩およびアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤、アルキルベタインおよびアルキルスルホベタイン、アルキルアミノ脂肪酸塩等の両性界面活性剤、アルキル第四級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤等が挙げられる。
 本発明の不織布用繊維処理剤は、固形分が2質量%となるように調製した水溶液における、最大泡圧法による泡寿命100ミリ秒時の動的表面張力が55mN/m以下であることが好ましく、50mN/m以下であることがより好ましい。動的表面張力がこの範囲であると、疎水性である繊維への浸透性が良く、工程通過性を阻害せず、転写の抑制効果の発現にも適している。
 本発明の不織布用繊維処理剤の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、成分(A)、(B)および水を配合し、必要に応じて成分(C)やその他の各成分を配合し、常温または必要に応じて加熱(例えば40~100℃)して均一に混合することにより、本発明の不織布用繊維処理剤を得ることができる。各成分の配合順序、配合方法は特に限定されない。本発明の不織布用繊維処理剤は、例えば、本発明の不織布用繊維処理剤を必要に応じて水で希釈して、エマルション分散液として繊維に付与することができる。
 次に、本発明の不織布用繊維処理剤を用いた不織布について説明する。
 不織布の原料繊維としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等や、これらのうち2種以上を使用した混合繊維、複合繊維等が挙げられる。
 繊維の断面形態としては、円形断面、異形断面等が挙げられる。異形断面としては、例えば、星形、楕円形、三角形、四角形、五角形、多葉形、アレイ形、T字形、馬蹄形等が挙げられる。
 複合繊維の断面形態としては、例えば、鞘芯型、並列型、偏心鞘芯型、多層型、放射型、海島型等が挙げられる。複合繊維としては、例えば、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、プロピレンと他のα-オレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂/ポリオレフィン樹脂や、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、直鎖状低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート等のポリオレフィン樹脂/ポリエステル樹脂や、共重合ポリエステル/ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂/ポリエステル樹脂や、ポリアミド樹脂/ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂/ポリアミド樹脂の組み合わせ等が挙げられる。
 原料繊維の紡糸方法としては、公知の紡糸方法であってよく、例えば、溶融紡糸法、湿式紡糸法、乾式紡糸等が挙げられる。紡糸した繊維は、延伸、捲縮等の処理を行ってもよい。
 不織布の製造工程では、繊維の集積層(ウェブ)を形成し、次に繊維同士を結合させる。
 繊維の集積層を形成する方法としては、例えば、乾式法、湿式法、スパンボンド法等が挙げられる。乾式法は、短繊維(例えば15~100mm)を、カード機やエアレイと呼ばれる空気流で一定方向またはランダムに並べて、繊維の集積層を形成する。湿式法は、短い繊維を水中に分散し抄紙機で漉いて繊維の集積層を形成する。スパンボンド法は、溶融した原料樹脂を紡糸機のノズルの先から溶出・紡糸させ、連続した長繊維で繊維の集積層を形成する。繊維を作る(紡糸)工程からそのまま不織布を製造する方法としては、その他にメルトブロー法、フラッシュ紡糸法等が挙げられる。
 繊維同士を結合させる方法としては、例えば、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、水流絡合法、ケミカルボンド法等が挙げられる。サーマルボンド法は、低融点の熱融着繊維を混合した繊維の集積層を、熱ロールの間を通して熱圧着し、あるいは熱風を当て、繊維同士を接着させる。ニードルパンチ法は、繊維の集積層を、高速で上下するニードル(針)で繰り返し突き刺し、ニードルに刻まれた突起により繊維を絡ませる。水流絡合法は、スパンレース、ウォーターパンチ、ウォータージェットとも呼ばれ、繊維の集積層に高圧の水流を噴射して繊維を絡ませる。ケミカルボンド法は、エマルジョン系の接着樹脂を含浸や噴霧等の方法で繊維の集積層に付着させ、加熱乾燥させて繊維の交点を接着する。
 本発明の不織布用繊維処理剤を用いて、繊維に付着処理する方法は、特に限定されるものではない。本発明の不織布用繊維処理剤は、製造工程の円滑化、容易化等を目的とする紡糸油剤、工程油剤や、最終用途に対する効果を目的とする仕上げ油剤として供給されてよい。工程油剤として使用される場合、カード機等での摩擦による静電気の発生、繊維のちぎれ、毛玉の発生等を抑制する、制電性能、平滑性、耐久性、熱安定性、安全性等の性能も付与し得る。本発明の不織布用繊維処理剤を繊維に付着させる工程としては、例えば、紡糸、延伸、捲縮等の工程が挙げられる。付着方法としては、繊維の製造工程やその特性に応じて均一に効率よく目的の付着量が得られる手段として、例えば、ローラーによる給油、浸漬、噴霧、泡塗工等の手段で本発明の不織布用繊維処理剤を繊維に供給し、乾燥する方法等が挙げられる。あるいは、繊維同士を結合した不織布に対して本発明の不織布用繊維処理剤を、例えば、ローラーによる給油、浸漬、噴霧、泡塗工等の手段で、供給、乾燥することで付着処理してもよい。
 本発明の不織布用繊維処理剤の繊維への付着量は、特に限定されるものではないが、本発明の効果を得る点や工程油剤としての性能等を考慮すると、繊維質量を基準とし固形分として0.05~2質量%が好ましく、0.1~1.5質量%がより好ましい。
 本発明の不織布は、本発明の不織布用繊維処理剤で繊維が付着処理されたものである。この不織布は、親水性と繰り返し透水性、繊維への浸透性を有し、転写を抑制できることから、このような性能が要求される各種用途に使用することができる。本発明の不織布が使用可能な分野としては、例えば、衛生材料用、医療用、衣料用、日用雑貨、農業・土木資材用、テープ用基材、フィルター用、包装資材用等が挙げられる。その中でも、親水性の付与等とともに、不織布を用いた物品への加工時、例えば、ホットメルト接着や熱接着等の方法により相互に接着、固定し、衛生用品を製造する加工時における不織布用繊維処理剤の繊維付着物の転写抑制が特に要求され得る分野に好適である。このような分野としては、例えば、紙おむつ、生理用品、マスク、包帯、絆創膏、消毒布、サージカルテープ等の衛生材料用が挙げられる。特に、乳児用使い捨ておむつ、介護用使い捨ておむつ等の紙おむつ、ナプキン等の生理用品等の吸収性物品の表面材、例えばトップシートや、トップシートと吸収要素との間に配置される中間シート等に好適である。
 以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.不織布用繊維処理剤と評価用不織布の作製
 表1の配合(質量部)の各成分を、80℃で60分間撹拌して実施例および比較例の不織布用繊維処理剤を作製した。
 以下の評価において、ポリプロピレン製評価用不織布は次の方法で作製した。
 実施例および比較例の不織布用繊維処理剤をそれぞれ40℃の水で固形分が1質量%となるように希釈して希釈液を得た。目付20g/mのポリプロピレンスパンボンド不織布を希釈液に浸漬して給油し、不織布の目標付着油量が0.6質量%となるよう圧搾後、乾燥機で80℃、30分間乾燥させ、不織布を得た。
 表1に示すアルキルリン酸エステル塩または誘導体(A)、ワックス成分(B)、浸透剤(C)は次のものを使用した。表1に記載の配合量は有効分を示している。
アルキルリン酸エステル塩または誘導体(A)
  1-1:ヘキシルリン酸カリウム
  1-2:2-エチルヘキシルリン酸カリウム
  1-3:デシルリン酸アンモニウム
  1-4:ラウリルリン酸カリウム
  1-5:POE(2)ラウリルエーテルリン酸カリウム
  1-6:POE(2)ステアリルエーテルリン酸カリウム
ワックス成分(B)
  2-1:ソルビタンモノステアレート(融点53℃)
  2-2:ジグリセリンラウレート(融点34℃)
  2-3:ショ糖ステアリン酸エステル(融点48℃)
  2-4:ポリソルベート65(融点33℃)
  2-5:POE(50)ステアリルエーテル(融点55℃)
  2-6:カルナバワックス(融点85℃)
  2-7:ソルビタンモノオレエート(液状)
  2-8:酸化ポリエチレンワックス(融点105℃)
 なお、ワックス成分(B)の融点は、微量融点測定装置((株)ヤナコ機器開発研究所製MP-3S)により測定した。
浸透剤(C)
  3-1:POA(4)分岐デシルエーテル
  3-2:POE(7)ラウリルエーテル
  3-3:POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム
  3-4:ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
  3-5:ポリエーテル変性シリコーン
2.評価
 上記において作製した不織布用繊維処理剤と評価用不織布を用いて次の評価を行った。
 以下の記述において、薬剤は実施例および比較例の不織布用繊維処理剤、付着量は薬剤の水以外の固形分(全有効分)の付着量を意味する。
[親水性(ストライクスルー試験)]
 2つの円筒形測定器具(内径40φ)の間に、上記で作製した不織布(目付20g/m)を4枚挟み、測定器具の上部円筒へ生理食塩水を50cc注ぎ入れた。注いだ生理食塩水が評価用不織布を30ccにするまでの時間を測定し、初期透水性能を評価した。 
 評価は生理食塩水の透過時間が10秒以内であるものを◎+、同じく10秒超30秒以内であれば◎、30秒超1分以内は○、1分超2分以内は△、2分を超えるものは×とした。
[繰り返し透水性(水滴法)]
 ストライクスルー試験の操作を5回連続で行った後、試験直後の薬剤処理不織布4枚を濾紙で挟み、ローラーを用いて水分を取り除いた。表面側の濾紙を取り除き、ストライクスルー試験部分にシリンジを用いて生理食塩水の水滴を10箇所落とした。
 評価は水滴が3秒以内に染込む箇所を計測して行い、8箇所以上は◎、7もしくは6箇所は○、5~2箇所は△、1箇所以下は×とした。
[浸透性(綿沈降法)]
 評価する薬剤の2質量%水溶液(有効分換算)を調製して、その上から10cm角に切り出した薬剤未処理のポリプロピレン製評価用不織布(目付20g/m)を静かに投下し、不織布全体に水溶液が浸透するまでの時間を測定した。
 評価は不織布全体に浴液が浸透するまでの時間が5秒以内であれば◎、5秒超10秒以内であれば○、10秒超15秒以内であれば△、15秒を超えるものは×とした。
[動的表面張力]
 評価する薬剤の2質量%水溶液(有効分換算)を調製して、市販の動的表面張力測定装置(協和界面科学(株)製BP-D5)を用いて最大泡圧法の測定を行い、泡寿命100ミリ秒(msec)時の表面張力(mN/m)を測定値として記録した。
[転写抑制(耐水圧低下率)]
 上記で不織布(目付20g/m)と、同じく15cm角の薬剤未処理の不織布を重ね合わせ、0.49kPaの荷重を加えて30日間静置した。期間経過後に薬剤未処理の不織布を取り出し試験片とし、JIS L 1092:2009 繊維製品の防水性試験方法に記載の耐水度試験(静水圧法)のA法(低水圧法)に準拠した測定装置を用いて耐水圧測定を行った。なお、測定装置に試験片を取り付ける際は、薬剤処理した不織布との接触面が水接触面側となるように取り付けた。また、対照試験として試験前に薬剤未処理の不織布の耐水圧測定を行い、ブランク値とした。
 評価は試験片の耐水圧低下率がブランク値の10%以内であれば◎+、10%超20%以内であれば◎、20%超30%以内であれば○、30%超50%以内であれば△、50%を超えるものは×とした。
 上記評価の結果を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002

Claims (8)

  1.  次の成分(A)および(B)を含有する不織布用繊維処理剤。
    (A)アルキルリン酸エステル塩およびポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種
    (B)融点が15℃以上である、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール脂肪酸エステルおよび天然由来ワックスから選ばれる少なくとも1種
  2.  前記成分(A)に対する前記成分(B)の質量比(B)/(A)が1未満である請求項1に記載の不織布用繊維処理剤。
  3.  前記成分(A)、(B)の合計量が、不織布用繊維処理剤の固形分に対して50質量%以上である請求項2に記載の不織布用繊維処理剤。
  4.  前記成分(A)が、次の成分(A1)を含有する請求項3に記載の不織布用繊維処理剤。
    (A1)アルキル基の炭素数が6~10である、アルキルリン酸エステル塩またはポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩
  5.  前記成分(A)が、さらに次の成分(A2)を含有する請求項4に記載の不織布用繊維処理剤。
    (A2)アルキル基の炭素数が11以上である、アルキルリン酸エステル塩またはポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩
  6.  前記成分(A1)の含有量が、前記成分(A)に対して10質量%以上である請求項5に記載の不織布用繊維処理剤。
  7.  固形分が2質量%となるように調製した水溶液における、最大泡圧法による泡寿命100ミリ秒時の動的表面張力が55mN/m以下である請求項1~6のいずれか一項に記載の不織布用繊維処理剤。
  8.  請求項1~7のいずれか一項に記載の不織布用繊維処理剤で繊維が付着処理された不織布。
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